JP3558757B2 - リン酸エステルの製造法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ヒドロキシ化合物をリン酸化することによる、リン酸エステルの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、リン酸モノエステル純度が高く、オルトリン酸含量が少なく、かつ、匂い及び色相の良好なリン酸エステル混合物を容易に提供できる、リン酸エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
有機ヒドロキシ化合物のリン酸エステルは、洗浄剤、繊維処理剤、乳化剤、防錆剤、液状イオン交換体及び医薬品として、幅広い分野で利用されている。
従来のリン酸エステルの工業的製法として、有機ヒドロキシ化合物の五酸化リンとの反応が知られているが、その反応生成物は、主に下記式(A)で表されたリン酸モノエステルと下記式(B)で表されたリン酸ジエステルとのほぼ等モルの混合物(以下、この混合物をセスキホスフェートと称す)からなる。
【0003】
【化1】
Figure 0003558757
【0004】
(式中、Rは、有機ヒドロキシ化合物から1つの水酸基を除去して得られた残基を示す。)
リン酸モノエステルとリン酸ジエステルは、その物性において大きな差異を有する。例えば、長鎖アルキルアルコール(例えば、ラウリルアルコール)のリン酸モノエステルのアルカリ金属塩及びアルカノールアミン塩は、水溶性で、起泡力及び洗浄力が良好で、毒性が低く、皮膚刺激が小さいので、優れた洗浄剤として有用であり、一方、長鎖アルキルアルコールのリン酸ジエステルのアルカリ金属塩及びアルカノールアミン塩は、水には殆ど溶解せず、起泡力は殆ど示さずにむしろ抑泡性を示す。それ故、リン酸ジエステル塩を多量に含有するセスキホスフェートの塩は、高起泡性洗浄剤としては使用できない。
【0005】
このような状況下、リン酸モノエステル含量の高いリン酸エステル混合物を、工業的規模で安全かつ容易に製造できる方法の開発が強く要望されており、この期待に応えるために、次の方法が報告されている。
(1)有機ヒドロキシ化合物をオキシ塩化リンと反応させ、得られたモノアルキルホスホロジクロリデートを加水分解することからなる方法(K. SASSE編;Methoden der Organischen Chemie, 第12/2巻, 163〜164頁、及び特開昭50−64226号)、
(2)有機ヒドロキシ化合物に、予め五酸化リン1モルに対して 0.5〜3モルの量の水を添加し、その後、得られた混合物に五酸化リンを添加してリン酸化反応を行うことからなる方法(特公昭41−14416 号)、
(3)有機ヒドロキシ化合物に、オルトリン酸及び五酸化リンを反応させることからなる方法(特公昭42−6730号)、
(4)有機ヒドロキシ化合物を縮合リン酸(ポリリン酸)と反応させることからなる方法(A.K.Nelsonら,Inorg. Chem., 2, 775(1963)、またはF.B.Clarkeら、J. Amer. Chem. Soc., 88, 4401(1966) 及び特公昭43−26492 号)、
(5)有機ヒドロキシ化合物を縮合リン酸(ポリリン酸)と反応させ、その後、過剰のリン酸を回収し、濃縮し、再利用することからなる方法(特開昭61−17594号)、
(6)有機ヒドロキシ化合物を、五酸化リン、リン酸及びポリリン酸からなるリン酸化剤と、リン酸分が過剰の状態で反応させ、得られた反応生成物に、化学量論量になるように有機ヒドロキシ化合物を加えて、更にリン酸化反応を行うことからなる方法(特公昭57−61358 号)、及び
(7)水の存在下において、かつ、反応系に水蒸気を吹き込みながら、有機ヒドロキシ化合物を五酸化リンと反応させることからなる方法(特公平5−66958号)。
【0006】
しかしながら、これらの方法は、それぞれ次のような欠点を有し、工業的なリン酸モノエステルの製造方法としては、満足できるものではない。
(1)の方法によると、1モルのリン酸モノエステルを調製するのに3モルの塩化水素が発生する。従って、(1)の方法は、塩化水素の処理及び作業環境に関し、問題がある。更に、(1)の方法では、塩化水素の存在により、アルキルクロライドが副生するため、反応生成物のリン酸モノエステル含量を高めるのが困難である。
【0007】
(2)及び(3)の方法では、反応系に少量の水又はオルトリン酸が存在するとはいえ、当初から、活性の高い五酸化リンに有機ヒドロキシ化合物が直接接触する。それ故、リン酸ジエステルを含有するセスキリン酸エステルが生成され、反応生成物のリン酸モノエステル純度が低下する。加えて、これらの方法では、生成したリン酸モノエステルの分解が生じ、反応生成物の着色や異臭の発生が引き起こされるという欠点がある。五酸化リンの活性を低下させるために、多量の水又はオルトリン酸を用いると、生成物のオルトリン酸含量が増大する。オルトリン酸の製品への混入は、ある種の分野には好ましからざる影響を与えるため、その製品の用途が制限される。例えば、長鎖アルキルアルコールのリン酸モノエステルのモノナトリウム塩をペースト状の洗浄剤に使用すると、多量のオルトリン酸の存在のために、リン酸ジナトリウムが析出する。リン酸ジナトリウムの析出は、洗浄剤の使用上、好ましくない。
【0008】
(4)の方法によれば、リン酸モノエステルを選択的に調製することができる。しかし、副生するオルトリン酸の量は、用いたポリリン酸の平均縮合度の逆数にほぼ一致するため、製品へのオルトリン酸の混入は避けられない。従って、(4)の方法は、(2)及び(3)の方法と同様の問題がある。また、(4)の方法で、オルトリン酸の副生量を少なくするには、縮合度の非常に高いポリリン酸を使用する必要がある。しかし、そのようなポリリン酸の工業的な製造においては、反応系が高粘度となり、かつ、製造装置の材質が制限される。従って、その工業的製造は、極めて困難である。
【0009】
(5)の方法によれば、リン酸モノエステルを選択的に調製することができる。また、その方法では、過剰のリン酸を回収、再利用するので、この点からも、工業的に有利である。しかし、その方法は、大量のリン酸を使用するので、その回収には、様々な大きな負担とかなり煩雑な設備が必要である。従って、その方法は、容易には実施できない。
【0010】
(6)の方法によれば、有機ヒドロキシ化合物を2回に分割して添加するので、得られた反応生成物のリン酸ジエステルに対するリン酸モノエステルの割合は大きい。しかし、リン酸化剤の過剰の条件下、即ち反応初期段階において、反応系が高粘度となることがあり、工業上特殊な反応装置の使用が必要となる。加えて、(6)の方法によれば、生成したリン酸モノエステルの分解が進行し、リン酸モノエステルの収率が低下すると共に、反応生成物のオルトリン酸含量が増加する。反応生成物のオルトリン酸含量の増加は、ある種の分野には好ましからざる影響を与えるため、その反応生成物の用途が制限される。
【0011】
(7)の方法によれば、リン酸ジエステルに対するリン酸モノエステルの比率は、反応系に水蒸気を吹き込むことにより、大きくすることができる。しかし、反応系への水蒸気の吹き込みにより、オルトリン酸の生成量が大きくなる。従って、(7)の方法にも、(2)、(3)及び(4)の方法と同様の問題がある。
上記のように、リン酸化剤としてオキシ塩化リンを用いる方法では、塩化水素の発生に問題があり、一方、ポリリン酸を用いる方法では、オルトリン酸の副生及び製造装置の材質の制限に問題がある。五酸化リン法の中で、有機ヒドロキシ化合物を五酸化リンと直接反応させる方法では、リン酸ジエステルを含有するセスキリン酸エステルが生成し、一方、反応生成物のリン酸ジエステル含量を低下させるために、有機ヒドロキシ化合物を過剰のリン酸化剤と反応させる方法では、反応系の粘度が高くなって、攪拌が困難となったり、多量のオルトリン酸が副生するという問題がある。
従来のリン酸モノエステルの工業的製法は、上記の通りであるが、これらの方法の中では、五酸化リン法が設備の点で有利である。従って、五酸化リン法を更に改良することが、強く望まれている。
【0012】
本発明の目的は、五酸化リン法によるリン酸エステルの工業的な製造法であって、オルトリン酸の副生量が少なく、リン酸モノエステルが選択的かつ高収率で得られ、かつ、得られた反応生成物が色相及び匂いが良好であるという特徴を有するものを提供することにある。
本発明の他の目的は、五酸化リン法によるリン酸エステルの工業的な製造法であって、粘度が低い状態で常にリン酸化反応を行うことができる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる現状において、本発明者らは、リン酸エステルの工業的製造法について鋭意研究を行った。その研究の結果、従来の原料の仕込順序とは異なり、反応に用いられる五酸化リンの全部又は一部を、予め、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と混合してリン酸化剤を調製しておき、そのリン酸化剤に、有機ヒドロキシ化合物を添加すると、工業的に、効率よく、色相及び匂いが良好で、モノエステル含量が高くかつ副生リン酸量の少ないリン酸エステル混合物が得られることを見い出した。上記リン酸化剤は、仕込まれた五酸化リンの一部が不溶のまま残っている不均一系である。本発明者らは、特に、予め、有機ヒドロキシ化合物を、化学量論量よりも少ない量のリン酸化剤と(即ち、反応に用いられる五酸化リンの一部を用いて調製されたリン酸化剤を用いて)反応させ、得られた反応生成物に、その総量がほぼ化学量論量となるように五酸化リンの残部を加えることにより、反応系の粘度上昇なしに、目的のリン酸エステルが調製され得ることをも、見いだした。本発明は、これらの知見を基に完成された。
【0014】
即ち本発明は、五酸化リンを、予め、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と混合してリン酸化剤を調製しておき、そのリン酸化剤と、有機ヒドロキシ化合物を
a)式(I)で定義された比率が0.5〜1.0の範囲内の値を有し、かつ、
b)式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内の値を有する
という条件下に反応させることを特徴とするリン酸エステルの製造法を提供する

【0015】
【数3】
Figure 0003558757
【0016】
【数4】
Figure 0003558757
【0017】
尚、本明細書において、「有機ヒドロキシ化合物のモル数」という用語は、有機ヒドロキシ化合物に由来する水酸基当量を意味する。
この方法によれば、通常は、リン酸モノエステル純度の高いリン酸エステルの合成(リン酸化反応)が、実質的に上記一工程のみで達成され得る。
【0018】
また、本発明は、
(1)五酸化リンを、予め、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と混合してリン酸化剤を調製しておき、そのリン酸化剤と、有機ヒドロキシ化合物を、a)上記式(I)で定義された比率が0.5〜1.0の範囲内の値を有し、かつ、b)上記式(II)で定義された比率が3.2を越え6.4までの範囲内の値を有するという条件下に反応させる第一工程、及び
(2)五酸化リンを、上記式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内の値を有するという量で添加する第二工程
からなることを特徴とするリン酸エステルの製造法を提供する。
この方法によれば、通常は、リン酸モノエステル純度の高いリン酸エステルの合成(リン酸化反応)が、実質的に上記二工程のみで達成され得る。
【0019】
式(I)及び(II)においては、五酸化リンと、ポリリン酸及び/又はリン酸(即ちオルトリン酸)及び/又は水からなるリン酸化剤混合物を、形式的にP・n(HO)として扱い、「リン酸化剤」と呼称している。式(I)及び(II)で定義されたリン酸化剤のモル数とは、原料として反応系に導入されるリン酸化剤に由来するP単位の量(モル)を示す。式(I)及び(II)で定義された水のモル数とは、原料として反応系に導入されるリン酸化剤に由来する水(HO)の量(モル) を示す。即ち、水には、ポリリン酸を (P・xHO) と、オルトリン酸を(1/2(P・3HO)) として表した場合の水を含めた反応系内に存在するすべての水が含まれることになる。
【0020】
リン酸化剤は、五酸化リンと、水及びリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物からなることが好ましい。
リン酸化剤は、五酸化リンを、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と、 100℃にて4時間以内、又は、50℃にて10時間以内で混合して調製されたものであってもよい。このように調製されたリン酸化剤は、五酸化リン又はその水和物が存在するため、不均一である。
【0021】
上記の方法で得られた反応生成物を、加水分解及び/又は脱臭に供することが好ましい。
【0022】
有機ヒドロキシ化合物は、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルコール、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルコールへの1以上のアルキレンオキサイドの付加物(アルキレンオキサイドは2〜4の炭素原子を有し、アルキレンオキサイド付加モル数は1〜100である)、又は、アルキルフェノール(アルキル部分の炭素数は6〜20である)への1以上のアルキレンオキサイドの付加物(アルキレンオキサイドは2〜4の炭素原子を有し、アルキレンオキサイド付加モル数は1〜100である)であるのがよく、特に好ましくは炭素数6〜30の直鎖又は分岐の飽和アルコールである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明における五酸化リンは、「無水リン酸」とも称される化合物であり、その分子式は、P10あるいはPである。
本発明において、リン酸とは、下記式(C)で表されたオルトリン酸を指す。
【0024】
【化2】
Figure 0003558757
【0025】
一般に、リン酸は、オルトリン酸当量換算(即ち HPOとして算出)で 100重量%未満の濃度のリン酸水溶液として市販されている。その濃度は、特に限定されないが、好ましくは70〜90重量%である。
【0026】
ポリリン酸とは、上記式(C)で表されたオルトリン酸の縮合物であり、その分子中にピロリン酸結合(P−O−P)を有する。一般的には、ポリリン酸は、下記式(F)で表された直鎖の縮合リン酸類、分岐鎖の縮合リン酸類、環状の縮合リン酸類及び側鎖を有する環状の縮合リン酸類からなる群から選ばれた1種又はそれらの2種以上の混合物である。ポリリン酸は、上記式(C)で表されたオルトリン酸をも、その一成分として含んでいても良い。直鎖の縮合リン酸類の例として、下記式(D)で表されたピロリン酸及び下記式(E)で表されたトリポリリン酸が挙げられる。分岐鎖の縮合リン酸類、環状の縮合リン酸類及び側鎖を有する環状の縮合リン酸類の例としては、それぞれ、下記式(G)、(H)及び(I)で表された化合物が挙げられる。
【0027】
【化3】
Figure 0003558757
【0028】
ポリリン酸は、オルトリン酸当量換算(即ち HPOとして算出)で 100重量%以上の濃度のリン酸であり、均一かつ透明な外観を有する。本発明で用いられるポリリン酸のリン酸濃度は、特に限定されないが、好ましくは100〜120重量%である。
【0029】
本発明で用いられる有機ヒドロキシ化合物は、それが水酸基を有する有機化合物である限り、限定されないが、好ましくは式:ROHで表された有機モノヒドロキシ化合物である。その例としては、炭素数6〜30、好ましくは8〜24の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルコール、そのアルコールのアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドは2〜4の炭素原子を有し、アルキレンオキサイド付加モル数は1〜100である)、及びアルキルフェノール(アルキル部分の炭素数は6〜20である)のアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドは2〜4の炭素原子を有し、アルキレンオキサイド付加モル数は1〜100である)が挙げられ、特に好ましくは炭素数6〜30、更に特に好ましくは8〜24の直鎖又は分岐の飽和アルコールである。
【0030】
有機ヒドロキシ化合物の具体例としては、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソトリデカノール及び、オキソアルコール(日産化学工業(株)製)、ダイアドール(三菱化成工業(株)製)、ドバノール(三菱油化(株)製)、リネボール(昭和シェル化学(株)製)、ネオドール(Shell社製)及びライアール(Eni Chem. 社製)等の合成アルコール類が挙げられる。
本発明では、これらの有機ヒドロキシ化合物のうちの1種を、またはそれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0031】
本発明によれば、まず、上記式(I)で定義された比率が0.5〜1.0、好ましくは0.55〜0.9 、更に好ましくは0.60〜0.85の範囲内の値を有するように、五酸化リンを、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と混合し、リン酸化剤を調製する。五酸化リンを、水及び/又はリン酸と混合するのが好ましく、特に、リン酸水溶液と混合するのが好ましい。
【0032】
このように調製されたリン酸化剤は、P・n(HO)として表されたリン酸化剤に含まれた水1モルに対して、 0.5〜1.0 モルのP単位を含有する。その値が0.5 未満では、リン酸化剤の水含量が高すぎるため、有機ヒドロキシ化合物を得られたリン酸化剤と反応させた際に、オルトリン酸量が大きくなる。一方、その値が1.0 を越える場合は、得られたリン酸化剤が、活性の高い五酸化リンをそのまま含んでいるため、有機ヒドロキシ化合物をリン酸化剤と反応させた際に、セスキリン酸エステルが生成し易くなり、並びに、リン酸化剤が高粘度となって、リン酸化剤及びリン酸モノエステル調製時の操作が困難となる。
【0033】
リン酸化剤を調製する際の、原料の仕込手順については、その最終組成が式(I)で定義された比率に関する要求を満足する限り、特に限定されない。しかし、五酸化リンは、水と混合されると発熱するため、他の原料(水、リン酸及び/又はポリリン酸)に、五酸化リンを徐々に添加するのが好ましい。
【0034】
本発明に係るリン酸化剤は、不均一であってよい。換言すれば、本発明では、五酸化リンは、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と単に混合されればよい。即ち、完全に均一なポリリン酸になるように、それらを互いに反応させる必要はない。完全に均一なポリリン酸を調製するには、リン酸化剤の原料混合物を、高温で攪拌し、あるいは熟成させる必要があり、それ故、場合によっては、反応槽に加え、別のリン酸化剤調製槽が必要となる。
【0035】
五酸化リンを、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と混合して調製されたリン酸化剤は、そのまま、即ち不均一な状態で、有機ヒドロキシ化合物のリン酸化反応に用いることができる。リン酸化反応での使用に先立って、リン酸化剤を加熱して熟成させる必要はない。しかし、反応の都合上、リン酸化剤を加熱下に攪拌してもよい。リン酸化剤は、90℃で約5時間、又は50℃で約10時間攪拌しても、通常は、全体が均一なポリリン酸にはなり得ない。この場合の不溶物は、五酸化リンの水和物と考えられる。
【0036】
本発明の効果をより有効に達成するためには、本工程で使用する五酸化リンの量を、P単位で算出されたリン酸化剤全量を基準として、好ましくは30モル%以上、更に好ましくは60モル%以上、最も好ましくは70モル%以上とする。
【0037】
本発明の第一の態様では、上記で調製したリン酸化剤を、有機ヒドロキシ化合物と、上記式(II)で定義された値が2.8〜3.2となる条件下で反応させる。これは、有機ヒドロキシ化合物に由来する水酸基2当量に対し、少なくとも約0.91モルの量(即ち、必要理論量の少なくとも約91%の量)で、P単位で算出されたリン酸化剤が、初期仕込みされることを意味する。上記式(II)で定義された値が2.8 未満とは、リン酸化剤が過剰に存在することを意味し、その時、過剰のリン酸化剤は、最終的にはオルトリン酸となるため、得られた反応生成物は、多量のオルトリン酸を含むこととなり、好ましくない。また、反応が、上記式(II)で定義された比率が2.8 未満という条件下に行われる場合、セスキリン酸エステルが生成され、かつ、オルトリン酸が副生するため、反応生成物のモノエステル含量は高くならない。
本発明に係るリン酸化剤に含まれた不溶物は、有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤との反応の進行に従い、反応系に溶解する。
【0038】
上記式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内であるという条件下でのリン酸化反応は、通常は30〜100℃、好ましくは50〜90℃で、通常は0.1〜10時間、好ましくは 0.1〜8時間、攪拌下に行われる。上記の条件下に反応を行うと、有機ヒドロキシ化合物が劣化することなく、十分に反応が進む。
【0039】
本発明において、有機ヒドロキシ化合物を、リン酸化剤と、上記式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内であるという条件下に反応させると、通常は、リン酸化反応は、実質的にこの工程のみで達成される。ただし、この場合は、反応の間に、反応系の粘度が高くなる場合があり、ニーダー等の高粘度流体用の反応機の使用が必要とされる。それ故、以下に詳細に説明される本発明の第二の態様が、本発明の第一の態様よりも好ましい。
【0040】
本発明の第二の態様では、第一工程において、リン酸化剤を、有機ヒドロキシ化合物と、上記式(II)で定義された比率が3.2を越え6.4までの範囲内であるという条件下、それは、有機ヒドロキシ化合物に由来する水酸基2当量に対し、少なくとも0.37モルの量(即ち、必要理論量の少なくとも37%の量)で、P単位で算出されたリン酸化剤が、初期仕込みされることを意味する、に反応させる。反応の第一工程を、上記式(II)で定義された比率が6.4 を超える条件下に行うと、反応系に未反応アルコールが多量に残存する。この場合、第一工程の反応終了後、得られた反応系に五酸化リンを加えて反応を進めることは可能である。しかし、反応を進めるためには、反応系に多量の五酸化リンを添加する必要があり、それは、セスキリン酸エステルの生成量の増加を生起し、ひいては反応生成物のリン酸モノエステル純度の低下を引き起こすので、好ましくない。第一工程は、上記式(II)で定義された比率が、好ましくは3.5〜5.5、更に好ましくは 4.0〜5.0の範囲内の値を有するという条件下に行われる。
本発明に係るリン酸化剤に含まれた不溶物は、有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤との反応の進行に従い、反応系に溶解する。
【0041】
第一工程のリン酸化反応は、通常は30〜100 ℃、好ましくは50〜90℃で、通常は0.1〜10時間、好ましくは0.1〜8時間、攪拌下に行われる。そのような条件下に反応を行うと、有機ヒドロキシ化合物が劣化することなく、十分に反応が進む。
【0042】
本発明の第二の態様においては、第一工程の反応終了後、五酸化リンを、原料のトータル仕込み量についての上記式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内であるという量で、反応系に加え、更にリン酸化反応を行う。即ち、本発明の第一の態様では、上記式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内という条件下に、有機ヒドロキシ化合物のリン酸化反応を行うが、この場合には更なるリン酸化反応のために、追加の五酸化リンを加える必要はない。一方、本発明の第二の態様の第一工程では、上記式(II)で定義された比率が3.2を越え6.4以下という条件下に、リン酸化反応を行い、次いで第二工程で、上記式(II)で定義された比率が 2.8〜3.2 の範囲内となるような量で、反応系に追加の五酸化リンを加え、更にリン酸化反応を行う。
【0043】
第二工程の反応を、上記式(II)で定義された比率が3.2 を超える条件下に行うと、反応が完結せず、反応系に有機ヒドロキシ化合物が残存し、一方、その比率が 2.8未満の条件下に反応を行うと、過剰のリン酸化剤が、最終的にはオルトリン酸として反応系に残存する。いずれの場合も好ましくない。
【0044】
第二工程の反応のための五酸化リンは、回分式、半回分式のいずれで添加されてもよい。局部的な反応を避けるために、後者が好ましい。半回分式の添加は、間欠式又は連続式で、あるいは、間欠式と連続式を組み合わせて行われ得る。
【0045】
反応の第二段階のためのリン酸化剤として、POCl、ポリリン酸、又は五酸化リンと水との混合物を添加することも考えられる。しかし、POClを添加すると、塩化水素の副生という欠点があり、一方、その他のリン酸化剤を用いると、オルトリン酸の副生の欠点がある。驚くべき事に、五酸化リンをそのまま添加しても、リン酸ジエステルの生成量は増加せず、かつオルトリン酸の副生を抑制できる。更には、五酸化リンの強力なリン酸化力により、その添加により、反応率が向上し得たのである。
【0046】
五酸化リンを添加した後、得られた混合物は、通常は40〜120 ℃、好ましくは60〜100 ℃の温度で、通常は1〜24時間、好ましくは2〜12時間、攪拌下に反応せられる。このような条件下に反応を行うと、反応が有効に進み、そのため、有機ヒドロキシ化合物の反応率が十分高くなり、かつ、生成したリン酸エステルの分解が進行しにくい。
【0047】
本発明の種々の態様の内、第一工程の反応を、上記式(II)で定義された比率が3.2を越え6.4以下、好ましくは 3.5〜5の条件下に行い、その後、反応系に、上記式(II)で定義された比率が2.8〜3.2、好ましくは2.9〜3.1の範囲内の量で、五酸化リンを加え、さらにリン酸化反応を行うことからなる態様が好ましい。この態様によれば、通常は、リン酸化反応は、実質的に上記二工程のみで達成される。この態様でリン酸化反応を行うと、反応中の反応系の粘度上昇が抑制でき、高出力の攪拌機等の設備が不要である。
【0048】
上記の方法で調製された反応生成物(リン酸エステル混合物)は、そのまま用いることができるが、その用途によっては、以下の後処理に供することが好ましい。具体的には、下記式(J)で表された化合物等の、ピロリン酸結合を有する化合物を含有しているリン酸エステル混合物が、香粧品の調製に用いられると、得られた香粧品は、物性が良くない。
【0049】
【化4】
Figure 0003558757
【0050】
(式中、Xは、水素原子又は有機ヒドロキシ化合物から1つの水酸基を除去して得られた残基を示す。)
それ故、リン酸エステル混合物を加水分解に供し、ピロリン酸結合を切断することが好ましい。加水分解は、得られた反応生成物(リン酸エステル混合物)に、得られた反応生成物を基準にして1〜10重量%の水を加え、得られた混合物を60〜100 ℃に保つことによって行うのが好ましい。
【0051】
本発明の方法に従って調製されたリン酸エステル混合物は、比較的良好な匂いを有する。匂いを更に良くしたいときには、特に、長鎖アルキル基を有するリン酸エステルの場合には、リン酸エステルを脱臭に供することが好ましい。脱臭は、水蒸気蒸留、抽出、晶析等のうちのいずれで行ってもよいが、水蒸気蒸留が好ましく、薄膜による水蒸気蒸留が更に好ましい。
【0052】
本発明の方法によって調製されたリン酸エステル及びその塩は、洗浄剤、繊維処理剤、乳化剤、防錆剤、液状イオン交換体、医薬品等として、幅広い分野で利用することができる。リン酸エステルの塩とは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカノールアミン塩、塩基性アミノ酸塩等をいう。
例えば、本発明に係るリン酸エステル又はその塩を含有する洗浄剤組成物の調製においては、リン酸エステル又はその塩を、当該組成物全重量を基準にして、2〜60重量%、特には10〜40重量%の量で用いることが好ましい。洗浄剤組成物の調製の際には、上記のリン酸エステル又はその塩に加え、通常、洗浄剤組成物の調製に用いられている各種界面活性剤を、任意に用いることができる。
【0053】
この場合に用いることの出来る陰イオン界面活性剤の例としては、サルフェート系、スルホネート系及びカルボキシレート系の界面活性剤が挙げられ、サルフェート系及びスルホネート系界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、及びスルホコハク酸系、タウレート系、イセチオネート系、α−オレフィンスルホン酸系の界面活性剤が、カルボキシレート系界面活性剤の具体例としては、脂肪酸石鹸、エーテルカルボン酸塩系界面活性剤、アシル化アミノ酸系界面活性剤が挙げられる。
上記の場合に用いることの出来る両性界面活性剤の例としては、カルボベタイン系、ホスホベタイン系、スルホベタイン系及びイミダゾリニウムベタイン系の両性界面活性剤が挙げられる。
【0054】
上記の場合に用いることの出来る非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシアルキレン付加型、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン付加型、アミンオキサイド系、モノ及びジエタノールアミド系の界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル及びそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖エステル及びそのエチレンオキサイド付加物、アルキルサッカライド系界面活性剤及びそのエチレンオキサイド付加物、及びN−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド系界面活性剤が挙げられる。
上記の場合に用いることの出来る陽イオン界面活性剤の例としては、直鎖もしくは分岐のモノもしくはジアルキル付加型第4級アンモニウム塩及びそのアルキレンオキサイド付加物であって、アルキル基にアルキレンオキサイド分子が付加したものが挙げられる。
【0055】
これらの界面活性剤は、単独であるいは2種以上の混合物として用いられる。界面活性剤の量は、その組成物の剤型によって異なるが、洗浄剤組成物の全重量を基準にして、 0.1〜60重量%が好ましく、1〜50重量%が特に好ましい。
【0056】
本発明に係るリン酸モノエステルを含有する洗浄剤組成物は、上記界面活性成分に加え、洗浄剤組成物のための一又はそれ以上の通常成分を、本発明に係るリン酸モノエステルの効果を損なわない範囲で、更に含有することができる。通常成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重合度が4以上のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、重合度が3以上のポリプロピレングリコール類、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等のブチレングリコール類、グリセリン、ジグリセリン、重合度が3以上のポリグリセリン類、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール類、グリセリン類のエチレンオキサイド(以下、EOと略記)及び/又はプロピレンオキサイド(以下、POと略記)付加物、糖アルコール類のEO及び/又はPO付加物、ガラクトース、グルコース、フルクトース、シュークロース、マルトース、ラクトース等の糖類とそのEO及び/又はPO付加物、メチルグリコシド、エチルグリコシド等のグリコシド類とそのEO及び/又はPO付加物等の多価アルコール類;流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素類、オリーブ油、ホホバ油、月見草油、ヤシ油、牛脂等の天然油脂、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン油、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸等の油性成分;ビタミン類、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤、ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤、賦活剤、メントール等の冷感剤、紫外線吸収剤等の薬剤;モンモリロナイト、サポナイト、ヘクライト、ビーガム、クニピア、スメクトン等の水膨潤性粘土鉱物;カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、プルラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成高分子等の高分子類;酸化チタン、カオリン、マイカ、セリサイト、亜鉛華、タルク等の無機顔料、ポリメチルメタクリル酸、ナイロンパウダー等の高分子粉体等の顔料;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;無機塩類、ポリエチレングリコールステアレート、エタノール等の粘度調整剤;パール化剤;香料;色素;及び酸化防止剤が挙げられる。
【0057】
洗浄剤組成物は、通常の方法により製造することができる。洗浄剤組成物は、液体状、ペースト状、固形状、粉末等から選ばれた任意の剤型とすることができるが、当該組成物は、液体状又はペースト状とすることが望ましい。
【0058】
本発明におけるリン酸エステルの製造法によれば、モノエステル純度が高く、オルトリン酸(副生物)含量が低いリン酸エステル混合物を、極めて容易に製造することができる。また、本発明により、匂い及び色相が良好なリン酸エステルを、工業的に製造することが可能となる。
【0059】
本発明の製造法によって、上記のような優れたリン酸エステルが製造できる。その理由については、現時点でははっきりしたことは判っていないが、次のように推察される。即ち、有機ヒドロキシ化合物の活性の高い五酸化リンとの直接の反応により、ジエステルおよびトリエステルが生成する。しかし、本発明では、五酸化リンは予め水と反応しているため、五酸化リンの活性が制御され、モノエステルが優先的に生成する。また、品質面においては、本発明では、有機ヒドロキシ化合物やリン酸エステルの、活性の高い五酸化リンとの直接的な接触が抑制されているため、反応生成物の匂い及び色相が良好となる。
【0060】
本発明の方法で製造されたリン酸エステルを含有する液体洗浄剤組成物は、皮膚や毛髪を傷めず、しかも泡立ち及び泡安定性が良好であるため、シャンプー、ボディーシャンプーのみならず、台所用洗剤等の、直接皮膚に長時間接触する製品の洗浄剤成分として用いることができる。
【0061】
【実施例】
以下、実施例、比較例を参照して、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例中の“%”は、特記しない限り“重量%”である。
【0062】
実施例1
1000ml容量の反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0 g(0.5 モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)37.2g(0.258 モル)を仕込んだ。得られた混合物を50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 ) 186.3g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5 )を80℃に1時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)24.0g(0.167 モル)を、80℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。上記操作の間、反応系は低粘度であり、特に強力な攪拌機は不要であった。
その後、反応混合物にイオン交換水13.4gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持して加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸76.8重量%、ジラウリルリン酸13.0重量%、オルトリン酸 5.9重量%、未反応アルコール 4.3重量%からなっていた。生成物の色相は、クレット2であった。
【0063】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置(伝熱面積:0.03m、ガラス製)を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、ジャケットの温度150℃、20mmHgで、反応生成物とスチームを、それぞれ 100g/hr、150g/hr の速度で連続的に供給して行い、残渣として、リン酸モノエステルを含む目的物を得た。留分は、未反応のアルコールと水からなる混合物であった。残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸80.0%、ジラウリルリン酸13.6%、オルトリン酸 6.2%、未反応アルコール0.24%からなっていた。残渣の色相はクレット3であり、その匂いは官能評価で良好であった。
【0064】
尚、反応生成物(又は残渣)の分析は、次の如くして行った。
<リン酸モノエステル、リン酸ジエステル及びオルトリン酸の分析>
反応生成物を、ジエチルエーテル抽出に供し、当該生成物のエーテル及び水への分配を行い、オルトリン酸を含む水相と、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルを含む有機相を得た。各相を電位差滴定することにより、オルトリン酸含量を求めた。
具体的には、500mlの分液ロートに、試料5g程度(ag)、 0.1規定塩酸100ml及びジエチルエーテル 100mlを入れた。ロートを激しく振とうし、その後静置して、その内容物を二相に分けた。下層(水相)を、 0.5規定水酸化カリウム水溶液を用いて電位差滴定し、反応が第1当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(bモル)及び反応が第2当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(cモル)を求めた。次式(1)に従って、オルトリン酸含量を算出した。
【0065】
【数5】
Figure 0003558757
【0066】
有機相を蒸留し、エーテルを留去した。残渣にテトラヒドロフランを加え、全量 100mlとした。その中から、ホールピペットで10mlを採取し、それを、テトラヒドロフラン55mlとイオン交換水35mlからなる混合物に添加し、溶解させた。得られた溶液を、 0.5規定水酸化カリウム水溶液を用いて電位差滴定し、反応が第1当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(dモル)及び反応が第2当量点に達するまでに消費されたアルカリ量(eモル)を求めた。次式(2)及び(3)に従って、リン酸モノエステル含量とリン酸ジエステル含量を算出した。
【0067】
【数6】
Figure 0003558757
【0068】
【数7】
Figure 0003558757
【0069】
<未反応有機ヒドロキシ化合物の分析>
石油エーテルで抽出する方法で、未反応有機ヒドロキシ化合物の分析を行った。具体的には、試料 5〜10gを、イソプロパノール 100ml及び15重量%トリエタノールアミン水溶液 100mlからなる混合物に溶解させた。得られた溶液を、 500ml分液ロートに移し、石油エーテル 100mlずつで3回抽出した。石油エーテル相を合一し、それを50容量%エタノール水溶液100mlずつで2回、イオン交換水100mlで1回洗浄した。その石油エーテル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後、石油エーテル相を蒸留して石油エーテルを留去した。得られた残渣(石油エーテル抽出物)を、恒量に達するまで、室温、減圧(約 200mmHg)下に乾燥した。石油エーテル抽出物の重量を精秤した。
【0070】
また、色相は、次の如く測定した。
エタノール、テトラヒドロフラン等の溶媒を用いて、反応生成物を10重量/容量%に希釈し、又は残渣をそのような溶媒に10重量/容量%で溶解させた。得られた溶液の420 nmにおける吸光度を測定し、それに1000を乗じた。得られた値がクレットとして与えられた。クレットが高い程、黄色に着色していることを示し、クレットが低い程、無色に近づく。クレットが15以下であることが好ましく、10以下であることが更に好ましい。
匂いは、官能で判定した。
【0071】
比較例1
1000mlの反応容器に、ラウリルアルコール(Mw:186.3)186.3g(1.00モル)及び75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌した。
次いで、得られた混合物に、50℃にて、五酸化リン(有効分:98.5%)61.2g(0.425 モル)を徐々に加え、添加終了後、得られた混合物を90℃に10時間保持し、反応を行った。
その後、反応液にイオン交換水13.4gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸72.3%、ジラウリルリン酸16.6%、オルトリン酸 6.8%、未反応アルコール 4.3%からなっていた。生成物の色相は、クレット20であった。
【0072】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下で行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸75.3%、ジラウリルリン酸17.3%、オルトリン酸 7.1%、未反応アルコール0.31%からなっていた。残渣の色相はクレット30であり、その匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0073】
実施例2
1000mlの反応容器に、75%リン酸15.8g〔P:8.59g(0.061 モル)、水:7.21g(0.401 モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)39.2g(0.272 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.83)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 ) 204.9g(1.10モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5 )を80℃に1時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)24.0g( 0.167モル)を、80℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3.02)を90℃に6時間保持して、更に反応させた。上記操作の間、反応系は低粘度であり、特に強力な攪拌機は不要であった。
その後、反応混合物にイオン交換水14.2gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸76.7%、ジラウリルリン酸16.1%、オルトリン酸3.6 %、未反応アルコール 3.6%からなっていた。生成物の色相は、クレット2であった。
【0074】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の処理下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸79.4%、ジラウリルリン酸16.7%、オルトリン酸 3.7%、未反応アルコール0.26%からなっていた。残渣の色相はクレット3で、その匂いの官能評価結果は良好であった。
【0075】
比較例2
1000mlの反応容器に、ラウリルアルコール(Mw:186.3)204.9g(1.10モル)及び75%リン酸15.8g〔P:8.58g(0.060モル)、水:7.22g(0.401モル)〕を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌した。
次いで、得られた混合物に、50℃にて、五酸化リン(有効分:98.5%)63.4g(0.44モル)を徐々に加え、添加終了後、得られた混合物を80℃に12時間保持し、反応を行った。
その後、反応混合物にイオン交換水14.2gを加え、得られた混合物を80℃に3時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸72.1%、ジラウリルリン酸19.9%、オルトリン酸3.8 %、未反応アルコール 4.2%からなっていた。生成物の色相は、クレット18であった。
【0076】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の処理下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸75.0%、ジラウリルリン酸20.7%、オルトリン酸 4.0%、未反応アルコール0.29%からなっていた。残渣の色相はクレット25であり、その匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0077】
実施例3
1000mlの反応容器に、85%リン酸28.2g〔P:17.4g(0.123 モル)、水:10.8g(0.600モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)30.3g(0.210モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.56)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 ) 167.7g(0.90モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5 )を80℃に1時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)24.0g( 0.167モル)を、80℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。上記操作の間、反応系は低粘度であり、特に強力な攪拌機は不要であった。
その後、反応混合物にイオン交換水12.5gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸79.7%、ジラウリルリン酸7.2%、オルトリン酸8.4%、未反応アルコール 4.7%からなっていた。生成物の色相は、クレット2であった。
【0078】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸83.4%、ジラウリルリン酸 7.5%、オルトリン酸 8.8%、未反応アルコール0.22%からなっていた。残渣の色相はクレット3で、その匂いの官能評価結果は良好であった。
【0079】
比較例3
1000mlの反応容器に、ラウリルアルコール(Mw:186.3)167.7g(0.9 モル)及び85%リン酸28.2g〔P:17.4g(0.123モル)、水:10.8g(0.6モル)〕を加えた。得られた混合物を50℃で 0.5時間攪拌した。
次いで、得られた混合物に、50℃にて、五酸化リン(有効分:98.5%)54.3g(0.377 モル)を徐々に加え、添加終了後、得られた混合物を90℃に10時間保持し、反応を行った。
その後、反応混合物にイオン交換水12.5gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸75.4%、ジラウリルリン酸11.7%、オルトリン酸8.4 %、未反応アルコール 4.5%からなっていた。生成物の色相は、クレット30であった。
【0080】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸78.7%、ジラウリルリン酸12.2%、オルトリン酸 8.8%、未反応アルコール0.33%からなっていた。残渣の色相はクレット38であり、その匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0081】
実施例4
1000mlの反応容器に、105%ポリリン酸37.6g〔P:28.6g(0.202モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)18.9g(0.131 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、70℃で 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一のリン酸化剤に、70℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 ) 186.3g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5 )を70℃に1時間保持し、反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)24.0g( 0.167モル)を、70℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。上記操作の間、反応系は低粘度であり、特に強力な攪拌機は不要であった。
その後、反応混合物にイオン交換水26.7gを加え、得られた混合物を80℃に3時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸76.0%、ジラウリルリン酸13.5%、オルトリン酸6.1 %、未反応アルコール 4.4%からなっていた。生成物の色相は、クレット3であった。
【0082】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留処理条件は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸79.3%、ジラウリルリン酸14.1%、オルトリン酸 6.4%、未反応アルコール0.25%からなっていた。残渣の色相はクレット4であり、その匂いの官能評価結果は良好であった。
【0083】
実施例5
1000mlの反応容器に、85%リン酸23.5g〔P:14.5g(0.102 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)33.3g(0.234 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ウンデカノール(ネオドール1、シェル社製、Mw:172.9)172.9g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.46)を50℃に3時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)24.0g(0.167 モル)を、50℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:2.98)を90℃に8時間保持し、更に反応させた。上記操作の間、反応系は低粘度であり、特に強力な攪拌機は不要であった。
その後、反応混合物にイオン交換水12.7gを加え、得られた混合物を90℃に3時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノウンデシルリン酸75.9%、ジウンデシルリン酸13.6%、オルトリン酸6.6 %、未反応アルコール3.9 %からなっていた。生成物の色相は、クレット3であった。
【0084】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノウンデシルリン酸78.8%、ジウンデシルリン酸14.1%、オルトリン酸6.9 %、未反応アルコール0.20%からなっていた。残渣の色相はクレット4であり、匂いの官能評価の結果は良好であった。
【0085】
実施例6
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)37.2g(0.258 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、60℃で 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一のリン酸化剤に、60℃にて、ダイヤドール115L(三菱化成(株)製、Mw:190.7)190.7g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定
義された比率:4.5 )を60℃に2時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)24.0g(0.167 モル)を60℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を80℃に10時間保持し、さらに反応させた。上記操作の間、反応系は低粘度であり、特に強力な攪拌機は不要であった。
その後、反応混合物にイオン交換水27.2gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノアルキルリン酸76.0%、ジアルキルリン酸13.8%、オルトリン酸6.1 %、未反応アルコール 4.1%からなっていた。生成物の色相は、クレット2であった。
【0086】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノアルキルリン酸79.1%、ジアルキルリン酸14.4%、オルトリン酸 6.3%、未反応アルコール0.25%からなっていた。残渣の色相はクレット3であり、匂いの官能評価の結果は良好であった。
【0087】
実施例7
1000mlの反応容器に、85%リン酸23.5g〔P:14.5g(0.102 モル)、水:9.0 g(0.5 モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)33.3g(0.231 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 1.0時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一のリン酸化剤に、80℃にて、ステアリルアルコール(Mw:272.5)272.5 g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5 )を80℃に2時間保持し、反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)24.0g(0.167 モル)を80℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を100 ℃に3時間保持し、更に反応させた。上記操作の間、反応系は低粘度であり、特に強力な攪拌機は不要であった。
その後、反応混合物にイオン交換水17.7gを加え、得られた混合物を90℃に3時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノステアリルリン酸76.2%、ジステアリルリン酸14.6%、オルトリン酸 4.7%、未反応アルコール 4.5%からなっていた。生成物の色相はクレット3であり、匂いの官能評価の結果は良好であった。
【0088】
比較例4
1000mlの反応容器に、ステアリルアルコール(Mw:272.5)272.5g(1.0 モル)及び85%リン酸23.5g〔P:14.5g(0.102モル)、水:9.0g(0.5 モル)〕を仕込んだ。得られた混合物を、80℃で 0.5時間攪拌した。
次いで、得られた混合物に、80℃にて、五酸化リン(有効分:98.5%)57.3g(0.398 モル)を徐々に加え、添加終了後、得られた混合物を90℃に8時間保持し、反応を行った。
その後、反応混合物にイオン交換水17.7gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノステアリルリン酸70.8%、ジステアリルリン酸19.0%、オルトリン酸 5.0%、未反応アルコール 5.2%からなっていた。生成物の色相はクレット30であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0089】
実施例8
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)61.2g(0.425 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:1)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 )186.3 g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に8時間保持して反応させた。反応途中、反応系が高粘度となったので、強力攪拌機を用いて攪拌した。
その後、反応混合物にイオン交換水13.4gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸77.0%、ジラウリルリン酸14.1%、オルトリン酸5.2 %、未反応アルコール 3.7%からなっていた。生成物の色相は、クレット3であった。
【0090】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸79.8%、ジラウリルリン酸14.6%、オルトリン酸 5.4%、未反応アルコール0.22%からなっていた。残渣の色相はクレット4であり、匂いの官能評価の結果は良好であった。
【0091】
実施例9
1000mlの反応容器に、85%リン酸23.5g〔P:14.5g(0.102 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)57.3g(0.401 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:1)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ウンデカノール(ネオドール1、シェル社製、Mw:172.9)172.9g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:2.98)を90℃に8時間保持し、反応させた。反応途中、反応系が高粘度となったので、強力攪拌機を用いて攪拌した。
その後、反応混合物にイオン交換水12.7gを加え、得られた混合物を90℃に3時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノウンデシルリン酸76.2%、ジウンデシルリン酸14.0%、オルトリン酸 5.8%、未反応アルコール 4.0%からなっていた。生成物の色相は、クレット3であった。
【0092】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノウンデシルリン酸79.2%、ジウンデシルリン酸14.6%、オルトリン酸6.0 %、未反応アルコール0.20%からなっていた。残渣の色相はクレット4であり、匂いの官能評価の結果は良好であった。
【0093】
実施例1〜9及び比較例1〜4の結果、即ち、反応生成物の、リン酸モノエステル純度、副生オルトリン酸率、色相及び匂いの評価結果と、原料として使用した有機ヒドロキシ化合物の反応率を、表1に示す。また、実施例1〜3と比較例1〜3でそれぞれ得られた反応生成物の、リン酸モノエステル純度と副生オルトリン酸率との関係を、図1に示す。
【0094】
【表1】
Figure 0003558757
【0095】
注)
*1:下記式に従って算出された反応生成物(脱臭処理前のもの)のリン酸モノエステル純度:
【0096】
【数8】
Figure 0003558757
【0097】
*2:下記式に従って算出された反応生成物(脱臭処理前のもの)のオルトリン酸率:
【0098】
【数9】
Figure 0003558757
【0099】
*3:反応生成物(脱臭処理前のもの)の色相
*4:反応生成物(脱臭処理前のもの)の匂い
*5:下記式に従って算出された有機ヒドロキシ化合物の反応率:
【0100】
【数10】
Figure 0003558757
【0101】
表1及び図1の結果から明らかなように、水存在下での五酸化リンを用いた有機ヒドロキシ化合物のリン酸化反応は、有機ヒドロキシ化合物に対する水の割合が多くなると、生成物のリン酸モノエステル純度が増加するが、同時に生成物のオルトリン酸率も増加するという特徴を有している。実施例の生成物を、比較例のそれと比べると、両生成物のオルトリン酸率が同じである場合、実施例の生成物のリン酸モノエステル純度は、比較例の生成物のそれよりも高く、一方、両生成物のリン酸モノエステル純度が同じである場合は、実施例の生成物のオルトリン酸率は、比較例の生成物のそれよりも低い。また、実施例1〜9の生成物は、色相も良好である。更に、上記結果より、匂いについては、脱臭を行ったもの、行っていないものいずれも、実施例1〜9の生成物は、比較例のものと比べて、良好であることがわかった。
従って、本発明の方法により、リン酸モノエステル純度が高く、副生オルトリン酸率が低く、匂い及び色相が良好なリン酸エステル混合物を製造することができることが判った。
【0102】
次に、本発明において、原料の混合割合が限定される理由を説明するために、比較例を示す。
【0103】
比較例5
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)18.0g(0.125 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.4 )を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 )186.3 g(1.00モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:7.5 )を80℃に1時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)43.2g(0.3 モル)を80℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。
その後、得られた反応混合物にイオン交換水13.4gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸72.0%、ジラウリルリン酸16.2%、オルトリン酸 6.6%、未反応アルコール 5.2%からなっていた。生成物の色相は、クレット13であった。
【0104】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸75.6%、ジラウリルリン酸17.0%、オルトリン酸 6.9%、未反応アルコール 0.5%からなっていた。残渣の色相はクレット15であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0105】
比較例6
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)18.0g(0.125 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率: 0.4)を調製した。
次いで、不均一のリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3)74.5g(0.4 モル)加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5 )を80℃に1時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)14.4g(0.1 モル)を80℃にて徐々に2時間で加えた。添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。
その後、得られた反応混合物にイオン交換水 6.3gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸67.3%、ジラウリルリン酸 6.1%、オルトリン酸20.3%、未反応アルコール 6.3%からなっていた。生成物の色相は、クレット12であった。
【0106】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸71.5%、ジラウリルリン酸 6.5%、オルトリン酸21.6%、未反応アルコール 0.4%からなっていた。残渣の色相はクレット14であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0107】
比較例7
式(I)で定義された比率が1.2 のリン酸化剤を調製するため、1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水: 9.0g(0.5 モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)75.7g(0.525 モル)を仕込み、得られた混合物を攪拌した。系内がガラス状の固まりとなり、攪拌不能であった。
【0108】
比較例8
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)37.2g(0.258 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 )62.0g(0.333モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:2.5 )を80℃に1時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、ラウリルアルコール(Mw:186.3 )30.9g(0.166 モル)を加え、添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。
その後、得られた反応混合物にイオン交換水 7.5gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸68.4%、ジラウリルリン酸 7.6%、オルトリン酸16.8%、未反応アルコール 7.2%からなっていた。生成物の色相は、クレット14であった。
【0109】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸73.2%、ジラウリルリン酸 8.2%、オルトリン酸18.0%、未反応アルコール 0.6%からなっていた。残渣の色相は、クレット18であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0110】
比較例9
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)37.2g(0.258 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃で 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 )341.1g(1.83モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:7.0 )を80℃に1時間保持し、反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)64.0g(0.444 モル)を80℃にて徐々に2時間で加え、添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。
その後、得られた反応混合物にイオン交換水23.1gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸62.1%、ジラウリルリン酸29.2%、オルトリン酸 3.3%、未反応アルコール 5.4%からなっていた。生成物の色相は、クレット18であった。
【0111】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸65.0%、ジラウリルリン酸30.5%、オルトリ酸3.5%、未反応アルコール 1.0%からなっていた。残渣の色相はクレット20であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0112】
比較例10
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)37.2g(0.258 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3)186.3g(1.0モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5)を80℃に1時間保持し、反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)17.6g(0.122 モル)を80℃にて徐々に2時間で加え、添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率: 3.3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。
その後、反応混合物にイオン交換水13.0gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸66.3%、ジラウリルリン酸16.8%、オルトリン酸6.1 %、未反応アルコール10.8%からなっていた。生成物の色相は、クレット15であった。
【0113】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸73.7%、ジラウリルリン酸18.7%、オルトリン酸 6.8%、未反応アルコール 0.8%からなっていた。残渣の色相はクレット19であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0114】
比較例11
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)37.2g(0.258 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3)186.3g(1.0モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5)を80℃に1時間保持して反応させた。得られた反応混合物に、五酸化リン(有効分:98.5%)38.5g(0.267モル)を80℃にて徐々に2時間で加え、添加終了後、得られた混合物(式(II)で定義された比率: 2.5)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。
その後、得られた反応混合物にイオン交換水14.1gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸65.9%、ジラウリルリン酸16.6%、オルトリン酸12.9%、未反応アルコール 4.6%からなっていた。生成物の色相は、クレット15であった。
【0115】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸68.7%、ジラウリルリン酸17.3%、オルトリン酸13.5%、未反応アルコール 0.5%からなっていた。残渣の色相はクレット18であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0116】
比較例12
1000mlの反応容器に、75%リン酸19.7g〔P:10.7g(0.075 モル)、水:9.0g(0.5モル)〕と五酸化リン(有効分:98.5%)37.2g(0.258 モル)を仕込んだ。得られた混合物を、50℃にて 0.5時間攪拌し、不均一なリン酸化剤(式(I)で定義された比率:0.67)を調製した。
次いで、不均一なリン酸化剤に、50℃にて、ラウリルアルコール(Mw:186.3 )186.3 g(1.0 モル)を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:4.5 )を80℃に1時間保持し、反応させた。得られた反応混合物に、80℃にて、P換算で 116%のポリリン酸56.2g〔P:47.2g(0.333モル)、水:9.0g(0.5 モル)〕を加え、得られた混合物(式(II)で定義された比率:3)を90℃に6時間保持し、更に反応させた。
その後、得られた反応混合物にイオン交換水15.0gを加え、得られた混合物を90℃に2時間保持し、加水分解を行った。このようにして得られた反応生成物は、水分を除いて、モノラウリルリン酸67.5%、ジラウリルリン酸 6.7%、オルトリン酸17.3%、未反応アルコール 8.5%からなっていた。生成物の色相は、クレット7であった。
【0117】
更に、この反応生成物を、強制薄膜による水蒸気蒸留装置を用いる脱臭処理に供した。水蒸気蒸留は、実施例1と同様の条件下に行った。得られた残渣は、水分を除いて、モノラウリルリン酸73.4%、ジラウリルリン酸 7.3%、オルトリン酸18.8%、未反応アルコール 0.5%からなっていた。残渣の色相はクレット10であり、匂いの官能評価の結果、異臭が認められた。
【0118】
比較例5〜12の結果を表2に示す。それには、生成物の、リン酸モノエステル純度、副生オルトリン酸率、色相及び匂いの評価結果と、原料である有機ヒドロキシ化合物の反応率を記載してある。
尚、表2中の*1〜*3及び*5は、表1中のそれらと同様である。
【0119】
【表2】
Figure 0003558757
【0120】
以下に、上記実施例で得られたリン酸エステルを用いた洗浄剤組成物の、処方例を示す。
【0121】
処方例1(シャンプー)
(1) ソジウムラウリルエーテルサルフェート 12 %
(2) ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3 %
(3) 実施例1で得られたリン酸エステルのNa塩 10 %
(4) カチオン化セルロース 0.2%
(5) 香料 0.5%
(6) 水 バランス
上記処方に従い、加熱水(6) に上記(1)〜(4)成分を添加し、溶解させた。得られた溶液の冷却後、上記 (5)成分を添加した。透明なシャンプーが調製された。このシャンプーで毛髪を洗浄したところ、低刺激で泡立ちが良く、使用感に優れていた。
【0122】
処方例2(ボディシャンプー)
(1) 実施例1で得られたリン酸エステルのNa塩 15 %
(2) ラウロイルアマイドプロピルジメチルカルボキシベタイン 3 %
(3) ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン 1 %
(4) ヤシ油脂肪酸 4 %
(5) トリエタノールアミン 4 %
(6) ジブチルヒドロキシトルエン 0.1%
(7) エタノール 2 %
(8) 香料 0.5%
(9) 水 バランス
上記処方に従い、加熱水(9) に上記(1)〜(6)成分を添加し、溶解させた。得られた溶液の冷却後、上記(7)、(8)成分を添加した。透明なボディシャンプーが調製された。このボディシャンプーで皮膚を洗浄したところ、低刺激で泡立ちが良く、使用感に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1〜3でそれぞれ得られた反応生成物の、リン酸モノエステル純度と副生オルトリン酸率との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 五酸化リンを、予め、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と混合してリン酸化剤を調製しておき、そのリン酸化剤と、有機ヒドロキシ化合物を
    a)式(I)で定義された比率が0.5〜1.0の範囲内の値を有し、かつ、
    b)式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内の値を有する
    という条件下に反応させることを特徴とするリン酸エステルの製造法。
    Figure 0003558757
    Figure 0003558757
  2. (1)五酸化リンを、予め、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物と混合してリン酸化剤を調製しておき、そのリン酸化剤と、有機ヒドロキシ化合物を、a)上記式(I)で定義された比率が0.5〜1.0の範囲内の値を有し、かつ、b)上記式(II)で定義された比率が3.2を越え6.4までの範囲内の値を有するという条件下に反応させる第一工程、及び
    (2)五酸化リンを、上記式(II)で定義された比率が2.8〜3.2の範囲内の値を有するという量で添加する第二工程
    からなることを特徴とするリン酸エステルの製造法。
  3. リン酸化剤が、五酸化リンと、水及びリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一化合物からなる、請求項1又は2記載の製造法。
  4. 更に、反応生成物の加水分解工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
  5. 更に、脱臭工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造法。
  6. 有機ヒドロキシ化合物が、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルコール、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルコールへの1以上のアルキレンオキサイドの付加物(アルキレンオキサイドは2〜4の炭素原子を有し、アルキレンオキサイド付加モル数は1〜100である)、又は、アルキルフェノール(アルキル部分の炭素数は6〜20である)への1以上のアルキレンオキサイドの付加物(アルキレンオキサイドは2〜4の炭素原子を有し、アルキレンオキサイド付加モル数は1〜100である)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造法。
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