JP3859888B2 - リン酸トリエステルの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤との反応によるリン酸トリエステルの製造の際、副生するハロゲン化アルカリ金属を効率良く除去精製するリン酸トリエステルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
アルキルオキシアルキレン基を有するリン酸トリエステルは、高極性で皮膚親和性に優れ、しかも低粘度、低沸点でありかつ安全性に優れるため、化粧料、外用剤等の用途が知られている(特開平9-241119号公報)。かかるアルキルオキシアルキレン基を有するリン酸トリエステルの製法としては、アルキルオキシアルキレン基を有する有機ヒドロキシ化合物とオキシハロゲン化リン等のリン酸化剤を反応させる方法等が知られている。
【0003】
上記反応においては、反応系中にハロゲン化水素が副生するが、このハロゲン化水素は、目的物であるリン酸トリエステルが高極性であるため、これに対する溶解度が高く、反応系中に残存する。従って、次の中和工程においてハロゲン化アルカリ金属が生成する。このハロゲン化アルカリ金属はリン酸トリエステルに不溶であるため、目的物中に残存すると得られる最終品が不均一となってしまい、好ましくない。そこで、リン酸トリエステルの製造工程において、ハロゲン化アルカリ金属をろ過等の手段により除去することが必要となる。
【0004】
しかしながら、特に中和前のハロゲン化水素の残存率が25重量%を超える場合には、中和後のハロゲン化アルカリ金属の含有量が10重量%以上となり、ろ過による除去が困難となる。
【0005】
従って、本発明は、リン酸トリエステルの製造時に副生するハロゲン化水素由来のハロゲン化アルカリ金属を、その含有率が高い場合にも効率良く除去できる、リン酸トリエステルの製造法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の一般式(1)
R1-O(AO)n-H (1)
〔式中、R1は炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Aは炭素数2又は3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数である1〜10の数を示し、n個のAは同一でも異なってもよい。〕
で表される有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤を反応させた後、中和して得られるリン酸トリエステルを含有する反応混合物を、無機塩の水溶液で洗浄するリン酸トリエステルの製造法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般式(1)中、R1としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。これらのうち炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のもの、特にエチル基及びn-ブチル基が好ましい。
【0008】
また、一般式(1)中のAは、具体的にはエチレン基、トリメチレン基又はプロピレン基であるが、なかでもエチレン基が好ましい。nとしては、1〜4、特に2〜3が好ましい。n個のAは同一でも異なってもよいが、同一であることが好ましい。
【0009】
上記有機ヒドロキシ化合物(1)と反応させるリン酸化剤としては、例えばオキシハロゲン化リン、三ハロゲン化リン等が挙げられるが、このうちオキシハロゲン化リン、特にオキシ塩化リンが好ましい。
【0010】
有機ヒドロキシ化合物(1)とリン酸化剤の反応方法としては、例えばG. M. Kosolapoffの「Organophosphorus Compounds」(John Wiley & Sons. Inc., New York, 1950)に記載されているように、(a)有機ヒドロキシ化合物(1)のナトリウムアルコキシドとオキシハロゲン化リン等とを反応させる方法、(b)過剰の有機ヒドロキシ化合物(1)とオキシハロゲン化リン等とを反応させる方法、(c)有機ヒドロキシ化合物(1)と三ハロゲン化リン等とを反応させてホスファイトとし、次いで適当な酸化剤で酸化する方法等が挙げられ、これらのいずれの方法を用いることもできる。
【0011】
上記反応において、リン酸トリエステルの3個の有機ヒドロキシ化合物残基が同一のものを合成する場合は、1種類の有機ヒドロキシ化合物(1)を用い、異なるものを合成する場合は2種類以上の有機ヒドロキシ化合物を用いる。得られるリン酸トリエステルは、3個の有機ヒドロキシ化合物残基が同一でも異なっても、化粧料等に配合した場合の性能に差異はないが、合成の容易さの点で同一であることが好ましい。
【0012】
有機ヒドロキシ化合物(1)とリン酸化剤との反応モル比は、3:1〜30:1、特に6:1〜9:1が好ましい。有機ヒドロキシ化合物(1)を2種類以上用いる場合は、その合計が上記モル比となることが好ましい。反応は、例えば非極性溶媒中又は無溶媒で、有機ヒドロキシ化合物(1)にリン酸化剤を添加し、好ましくは40〜90℃、特に好ましくは40〜80℃で、好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜18時間行われる。次いで反応混合物中に含有する酸を中和し、過剰の有機ヒドロキシ化合物を留去し、必要に応じ水蒸気との接触を経て、粗リン酸トリエステルを得ることができる。
【0013】
ここで、中和に使用される中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられるが、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0014】
本発明においては、上記粗リン酸トリエステルを無機塩の水溶液で洗浄することにより、上記中和で反応物中に生成したハロゲン化アルカリ金属を、効率良く除去することができる。かかる無機塩としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩が好ましく、特に塩化ナトリウムが好ましい。
【0015】
無機塩の水溶液の濃度は、分層性の観点から、1重量%以上、特に5重量%以上が好ましく、無機塩の析出性の観点から、26重量%以下、特に20重量%以下が好ましい。従ってその好ましい濃度範囲は、1〜26重量%、特に5〜20重量%である。
【0016】
粗リン酸トリエステルの洗浄における無機塩の水溶液の使用量は、無機塩の有機層への残存性の観点から、粗リン酸トリエステルの0.1重量倍以上、特に0.5重量倍以上が好ましく、有機物が水層に分配することによる収率低下を回避する観点から、粗リン酸トリエステルの10重量倍以下、特に2重量倍以下が好ましい。従ってその好ましい範囲は、粗リン酸トリエステル0.1〜10重量倍、特に0.5〜2重量倍である。
【0017】
無機塩水溶液による洗浄後、更に必要に応じて脱水、ろ過を行うことにより、ハロゲン化アルカリ金属を実質的に含有しないリン酸トリエステルが得られる。
【0018】
【実施例】
実施例1
フラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル600g(4.47mol)を入れ、窒素を50ml/minで吹き込みながら、減圧(20kPa)下で撹拌した。そこへ、反応液を室温に保ちながらオキシ塩化リン114g(0.745mol)を滴下し、40〜60℃で5時間熟成した。次いでこの反応終了物に16重量%水酸化ナトリウム水溶液149.0g(0.596mol)を添加して中和し、過剰のジエチレングリコールモノエチルエーテルを留去し、水蒸気と接触させ、粗リン酸トリエステル366.9gを得た。この粗リン酸トリエステルは、塩化ナトリウムを10重量%含有する不均一な液体であった。
次いで、この粗リン酸トリエステルに16重量%塩化ナトリウム水溶液300gを加えて洗浄した。その後、脱水及びろ過を経て、目的とするトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート266.1gを得た(収率80%)。
このものは無色透明で均一の液体であり、またクロルイオン分析を行った結果、クロルイオン含量は10mg/kg以下で、塩化ナトリウムを実質的に含んでいないものであった。
【0019】
実施例2
ジエチレングリコールモノエチルエーテルの代わりにジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いた以外は実施例1と同様にして反応、精製を行い、目的とするトリス(n-ブトキシエトキシエチル)ホスフェートを収率82%で得た。
このものは無色透明で均一の液体であり、またクロルイオン分析を行った結果、クロルイオン含量は10mg/kg以下で、塩化ナトリウムを実質的に含んでいないものであった。
【0020】
比較例1
実施例1において得られた粗リン酸エステルに水300gを加えて洗浄しようとしたが、系は均一となり、塩化ナトリウムを除去することができなかった。
【0021】
比較例2
実施例1において得られた粗リン酸エステルをそのままろ過に付したところ、目詰まりが生じて時間を著しく要し、また得られた目的物は173.0g(収率52%)であり、収率が低下した。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、リン酸トリエステルの製造の際に副生するハロゲン化アルカリ金属を効率的に除去することができる。
Claims (1)
- 次の一般式(1)
R1-O(AO)n-H (1)
〔式中、R1は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Aは炭素数2又は3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数である1〜4の数を示し、n個のAは同一でも異なってもよい。〕
で表される有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤を反応させた後、中和して得られるリン酸トリエステルを含有する反応混合物を、粗リン酸トリエステルの 0.5 〜2重量倍量の5〜 20 重量%無機塩水溶液で洗浄するリン酸トリエステルの製造法。
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