JP3093898B2 - N−アルキルラクタム基含有リン酸エステル及びその製造法 - Google Patents

N−アルキルラクタム基含有リン酸エステル及びその製造法

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JP3093898B2 JP04337476A JP33747692A JP3093898B2 JP 3093898 B2 JP3093898 B2 JP 3093898B2 JP 04337476 A JP04337476 A JP 04337476A JP 33747692 A JP33747692 A JP 33747692A JP 3093898 B2 JP3093898 B2 JP 3093898B2
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明 藤生
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なリン酸エステル、
更に詳細には高洗浄力、低刺激性に加え、保湿性を高め
た洗浄剤に有用な新規なN−アルキルラクタム基含有リ
ン酸エステル及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】洗浄
剤の界面活性剤としては、現在アルキル硫酸塩、ポリオ
キシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が使用されてい
る。しかし、これらは皮膚荒れをおこすものが多く、近
年、刺激性の少ない界面活性剤としてリン酸モノエステ
ル塩が用いられている。
【0003】しかしながら、リン酸モノエステル塩を主
活性剤とした洗浄剤は、顔などの敏感な部位に使用する
と、洗いあがり時にツッパリ感を生じ、また毛髪の洗浄
に使用すると、髪にきしみ感を与えるという欠点がある
ことが知られている。従って、高い洗浄力を有し、低刺
激性で、しかも保湿性能が高い洗浄剤が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる事情において、本
発明者は、鋭意研究を行った結果、リン酸エステル化合
物に、保湿性官能基であるアルキルラクタム基をグリセ
リル基あるいはアルキルオキシド基を介して導入したN
−アルキルラクタム基含有リン酸エステルが、従来のリ
ン酸エステルに比べ、皮膚へのツッパリ感及び毛髪洗浄
時のきしみ感がなく、低刺激性であり、しかも、泡立ち
及び洗浄力に優れていることを見出し、本発明を完成し
た。
【0005】すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0006】
【化4】
【0007】(式中、R1は水素原子がフッ素原子で置
換されていてもよい炭素数6〜36の直鎖又は分岐鎖の
アルキル基又はアルケニル基を示し、R2は炭素数2〜
3のアルキレン基を示し、R3は炭素数1〜2のアルキ
レン基を示し、mは0ないし1の数を示し、nは3〜5
の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、アンモニウム又はアルキルアミンもしくはアル
カノールアミン塩を示す)で表されるN−アルキルラク
タム基含有リン酸エステルを提供するものである。
【0008】更にまた、本発明は一般式(1)で表され
るN−アルキルラクタム基含有リン酸エステルの製造法
を提供するものである。
【0009】本発明の一般式(1)で表されるリン酸エ
ステルにおいて、R1のフッ素原子で置換されていても
よい炭素数6〜36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又は
アルケニル基としては、例えばヘキシル、ヘプチル、オ
クチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシ
ル、オクタデシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコ
ンチル、2−エチルヘキシル、2−オクチルドデシル、
2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデ
シル、エメリーイソステアリル、オクテニル、デセニ
ル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニ
ル、ドコセニル、テトラコセニル、トリアコンテニル、
トリデカフルオロオクチル、ヘプタデカフルオロデシ
ル、ヘンエイコサフルオロドデシル、ペンタコサフルオ
ロテトラデシル、ノナコサフルオロヘキサデシル、トリ
トリアコンタフルオロオクタデシル、2−ペンタフルオ
ロエチルペンタフルオロヘキシル、2−トリデカフルオ
ロヘキシルトリデカフルオロデシル、2−ヘプタデカフ
ルオロオクチルヘプタデカフルオロドデシル、2−ヘン
エイコサフルオロデシルヘンエイコサフルオロテトラデ
シル、2−ペンタコサフルオロドデシルペンタコサフル
オロヘキサデシル、2−ノナコサフルオロテトラデシル
ノナコサフルオロオクタデシル基等が挙げられる。これ
らの中でも、界面活性能、自己組織能の点で炭素数8〜
36のものが好ましい。
【0010】本発明のN−アルキルラクタム基含有リン
酸エステル(1)は、例えば、一般式(2)
【0011】
【化5】
【0012】(式中、M1はアルカリ金属を示し、R1
前記した意味を有する)で表されるリン酸モノエステル
塩に一般式(3)
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R2、R3、m、nは前記した意味
を有する)で表されるグリシジルラクタム化合物を反応
させることにより製造される。
【0015】本発明において用いられるリン酸モノエス
テル塩(2)はいずれの方法で得られたものでもよい
が、例えばヒドロキシ化合物に五酸化リン、オキシ塩化
リン、ポリリン酸等のリン酸化剤を反応させて得られる
リン酸モノエステルを当量比の水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等の塩基で中和し製造することができる。な
お、上記反応においてはリン酸ジエステルやオルトリン
酸エステルが副生するが、例えば特公平1−41156
号の方法によれば、純度90%以上のリン酸モノエステ
ル塩(2)を工業的に製造することができる。
【0016】グリシジルラクタム化合物(3)は、いず
れの方法により得られたものでもよいが、一般的には対
応するN−アルカノールラクタムとエピハロヒドリンか
ら得ることができる。例えば濃硫酸、フッ化ホウ素ある
いは四塩化スズ等の酸触媒を用い、N−アルカノールラ
クタムとエピハロヒドリンとを反応させることによりハ
ロヒドリンを合成し、次いで、これを水酸化ナトリウム
等の塩基を用いて閉環してエポキシ体とする方法、ある
いは相間移動触媒を用いて水酸化ナトリウム等の塩基性
触媒の存在下でエピハロヒドリンとN−アルカノールラ
クタムを反応させる方法により製造することができる。
【0017】本発明によれば、リン酸モノエステル塩
(2)と1〜10モル倍、好ましくは3〜5モル倍のグ
リシジルラクタム化合物(3)を1〜50倍の水、メタ
ノール、エタノール又はこれらの混合物等の極性溶媒中
にて30〜100℃、好ましくは50〜90℃の温度で
1〜20時間反応させれば、N−アルキルラクタム基含
有リン酸エステル(1)を得ることができる。
【0018】なお、原料のリン酸モノエステル塩(2)
にリン酸モノエステル未中和物あるいはジアルカリ金属
塩が混入していると、上記反応において、グリシジルラ
クタム化合物(3)が2モル付加した副生物が生成し、
反応率の低下を惹起するので、リン酸モノエステル塩
(2)は高純度のものを用いることが必要である。
【0019】このようにして得られた反応生成物はその
使用目的によって、そのまま用いることも可能である
が、必要に応じて、更に晶析、溶剤抽出、溶剤洗浄、カ
ラムクロマト精製等を組み合わせて精製することも出来
る。
【0020】
【発明の効果】本発明のN−アルキルラクタム基含有リ
ン酸エステル(1)は良好な泡立ちと高い洗浄力を有
し、低刺激性で、保湿性能が高いと共に、ツッパリ感、
きしみ感が少ないという優れた特徴を有し、洗浄剤等に
広く使用することができる。
【0021】
【実施例】次に参考例および実施例、比較例を挙げて本
発明を説明する。
【0022】参考例1:反応器にN−ヒドロキシエチル
ピロリドン12.9g(0.1mol)と粉末状水酸化
ナトリウム4.0g(0.1mol)を加えて攪拌し、
50℃に昇温した。次に反応混合物を50℃に保ちなが
らエピクロルヒドリン18.5g(0.2mol)を1
時間かけて滴下した後、この温度下で2.5時間熟成を
行った。ここで析出した塩化ナトリウムをろ過して取り
除いた後、140〜147℃/3.5mmHgで減圧蒸留
を行い、純度94.9%の目的物N−エチルグリシジル
エーテルピロリドンを16.0g(収率86.3%)得
た。また、ガスクロマトグラフィー質量分析により、こ
の物質が分子量+1にピークを持つ目的物であることを
確認した。(分子量=C915NO3=185)
【0023】実施例1:反応器に純度97%のモノラウ
リルリン酸5.33g(0.02mol)を仕込み、1
規定の水酸化ナトリウム水溶液20mlを加え、十分に
攪拌しながら85℃まで昇温させ、この温度下で1時間
熟成した。次に参考例1で製したN−エチルグリシジル
エーテルピロリドン15.62g(0.08mol)を
85℃に保ったまま20分かけて滴下した。滴下終了
後、この温度下で6時間攪拌した。反応混合物を放冷
後、アセトン200gを加えて−5℃の温度下で未反応
のラウリルリン酸ナトリウムを析出させた。この結晶物
をろ過させ、母液よりアセトンを減圧留去後、過剰に使
用したN−エチルグリシジルエーテルピロリドンを酢酸
エチル100ml、水100mlを用いて有機層に除去
した。水層を分取し水を減圧留去した後、ワコーゲルC
−200を80g用いたシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより、クロロホルム/メタノール(8/2)混
合溶媒を溶出液として精製を行い、N−エチルピロリド
ングリセリルエーテルリン酸ナトリウム7.82g(収
率82.6%)を得た。ガスクロマトグラフィー質量分
析による純度は99%以上であった。
【0024】13C−NMR(D2O):表1
【0025】
【表1】
【0026】IR(neat):3400(O-H伸縮)c
-1,2910(C-H伸縮)cm-1,1680(O=C-H伸
縮)cm-1,1080(P-O伸縮)cm-1,1240(C-O-
C伸縮)cm-1
【0027】
【表2】
【0028】比較例1:反応器に純度97%のモノラウ
リルリン酸5.33g(0.02mol)を仕込み、イ
オン交換水20mlを加えて十分攪拌しながら85℃ま
で昇温し、この温度下で参考例1のN−エチルグリシジ
ルエーテルピロリドン15.62g(0.08mol)
を20分かけて滴下した。滴下終了後に85℃の温度下
で6時間攪拌した。反応混合物を薄層液体クロマトグラ
フィーにて分析したところ、目的物は生成しておらず、
N−エチルグリセリルエーテルピロリドンが重合したも
のや、2モル付加したリン酸エステル等の混合物であっ
た。
【0029】比較例2:反応器に純度97%モノラウリ
ルリン酸5.33g(0.02mol)を仕込み、2規
定の水酸化ナトリウム水溶液20mlを加えて十分に攪
拌しながら85℃まで昇温し、この温度下で1時間熟成
した。次に参考例1のN−エチルグリシジルエーテルピ
ロリドン15.62g(0.08mol)を20分かけ
て滴下した。滴下終了後、85℃で6時間攪拌した。反
応混合物を放冷後、アセトン200gを加え、−5℃で
未反応のラウリルリン酸ナトリウムを析出させろ過した
ところ、90%以上が回収された。また、ろ液からはエ
ポキシ体が加水分解したN−エチル−2−ヒドロキシプ
ロピルエーテルピロリドンが検出されたのみで目的物は
得られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−50365(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/572 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1は水素原子がフッ素原子で置換されていて
    もよい炭素数6〜36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又
    はアルケニル基を示し、R2は炭素数2〜3のアルキレ
    ン基を示し、R3は炭素数1〜2のアルキレン基を示
    し、mは0ないし1の数を示し、nは3〜5の数を示
    し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
    アンモニウム又はアルキルアミンもしくはアルカノール
    アミン塩を示す)で表されるN−アルキルラクタム基含
    有リン酸エステル。
  2. 【請求項2】一般式(2) 【化2】 (式中、R1は水素原子がフッ素原子で置換されていて
    もよい炭素数6〜36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又
    はアルケニル基を示し、M1はアルカリ金属を示す)で
    表されるリン酸モノエステル塩に一般式(3) 【化3】 (式中、R2は炭素数2〜3のアルキレン基、R3は炭素
    数1〜2のアルキレン基を示し、mは0ないし1の数を
    示し、nは3〜5の数を示す)で表されるグリシジルラ
    クタム化合物を反応させることを特徴とする請求項1記
    載のN−アルキルラクタム基含有リン酸エステルの製造
    法。
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