JP2664601B2 - 座席装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の運転者の脊椎
に負担を与えないソーラックスサポート姿勢に調整可能
な座席装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】着席者の脊椎に負担を与えないための座
席の形状については従来多くの研究がなされている。図
８に示すように、直立しているときの人Ｍの背中は腰の
上後部が中に入ったいわゆるＳ字形をしている。この姿
勢を保つのが一番自然で背骨に無理がかからないと考
え、図９に示すように、座席１に腰の後ろを前に押し込
むように保持するランバーサポート２を設けるものが一
般的であり、しかも、それだけが快適さを生み疲労も少
ないものと信じられていた。

【０００３】そして、このような考え方を基本にしたう
えで、着席者の姿勢にできるだけの自由度を与えようと
して、例えば、特開昭５９−１６８８１６号公報，実開
昭６２−１５９７６４号公報などの各種の座席装置が提
案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発明者
らの研究によれば、このような従来の技術は、単に着座
しているだけの静的な観察に偏した理論であって、着座
している運転者が自動車を運転するような動的な状況に
対しては必ずしも適応できるものではないことが判明し
た。

【０００５】すなわち、運転者はハンドルホイールを掴
んで操作する関係上、図１０において矢印で示すように
上体を起すのが一般的であり、そうすると運転者はいわ
ゆる猫背になり、腰を固定したままで猫背になると腹部
が圧迫されて苦しいので、尻を前に出すいわゆる尻ずれ
現象が生じて、尻の後ろがシートバックから離れてしま
い、ランバーサポート２に対してはかえって体が強く当
りすぎて背骨を圧迫することになるという不具合があっ
た。

【０００６】このように、直立しているときの人Ｍの背
中をＳ字形に保とうとする前記理論では、運転者の場
合、かえって体が支持されず不安定になったり、従来か
らあるランバーサポートが逆効果になったりして、背骨
を自然な状態で支持し安定した着座感を得たうえで運転
をすることができず、長時間の運転では疲れやすいとい
う問題点があった。

【０００７】本発明は、このような従来の技術が有する
問題点に着目してなされたもので、運転者が長時間着座
して運転操作をするような場合でも、背骨に無理がかか
らず、安定した着座感があって疲れにくい座席装置を提
供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】発明者らの研究調査によ
れば、運転者が長時間にわたり運転姿勢を取るような場
合背中を丸め、尻を前に少しずらした姿勢が最も背骨に
無理がかからず自然であるという検証が得られている。
すなわち、着座感は人により相違するとともに、時間的
な要因もあり、最初に快適でもその快適性が持続すると
は限らず、長時間の運転ということを条件とした場合、
前記旧理論では運転者は必ずしも快適ではなく、不自然
な姿勢が長時間続くことにより疲労を蓄積するものであ
る。

【０００９】そこで、運転者はどのような姿勢が自然で
背骨に無理がかからないかを研究した結果、着座者の脊
椎の曲線を示す図６に示すように、ヒップポイントＣが
図示した位置にある場合、上部では範囲Ａに示すように
上体を起して猫背になり、下部では範囲Ｂに示すように
尻を前に出しずらした状態が快適であり、この状態にな
るように人Ｍを図７のように保持するのが最も疲労しに
くい姿勢であるとの結論を得、この状態をソーラックス
サポート姿勢と呼ぶことにした。

【００１０】なお、図６に示す着座者の脊椎の曲線は、
最も一般的に使用される確率の高い角度のシートバック
の角度線Ｄの場合を示し、ハッチして示した範囲Ａ，Ｂ
はソーラックスサポート姿勢の範囲を示している。縦
軸，横軸の目盛りは５０mmである。この曲線はもっとも
使われやすいシートバックの角度での曲線を示してい
る。

【００１１】実際の使用状態では、シートバックの角度
は垂直から２０度〜４５度程度の範囲で使用され、図６
の状態よりシートバックが倒れた場合、ソーラックスサ
ポート姿勢の範囲は、上部ではより起き上がった状態に
なり、下部ではより突出した状態になり、図６の状態よ
りシートバックが起きた場合はこの逆となる。

【００１２】かかる結論に依り、前記目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、自動車の運転者の脊
椎に負担を与えないソーラックスサポート姿勢に調整可
能な座席装置（１）であって、車体据付部位に前後移動
可能に装着するシートクッション（１７）と、該シート
クッション（１７）の後方において別途車体据付部位に
支持するシートバック（１０）とを有し、該シートバッ
ク（１０）のクッション体（１０ａ）に内蔵されるバッ
クフレーム（２０）に、前記シートクッション（１７）
の前後移動に伴いシートバック（１０）のクッション体
（１０ａ）を変位させるソーラックス調節機構（３０）
を設け、前記ソーラックス調節機構（３０）は、前記ク
ッション体（１０ａ）の上部であって運転者の背中の上
側が当接する背面位置に設けた背調節部（３１）と、運
転者の尻の後ろに対応した位置に設けた尻調節部（３
５）と、前記シートクッション（１７）の前後移動に連
動して、前記背調節部（３１）及び尻調節部（３５）を
駆動する調節リンク（３７）とより成り、前記背調節部
（３１）は、前記バックフレーム（２０）に横設された
上部枢軸（３２）と、該上部枢軸（３２）に傾動可能に
支持され、前記クッション体（１０ａ）を、その上部が
運転者の背上部を背面位置より相対的に前に出すよう変
位させるソーラックスサポート姿勢に保持する上背サポ
ートパネル（３３）とを有し、前記尻調節部（３５）
は、前記上部枢軸（３２）の下方における前記バックフ
レーム（２０）に横設した下部枢軸（３６）と、ソーラ
ックスサポート姿勢を取るとき、前記下部枢軸（３６）
により支持されつつ運転者の尻を後方から保持するよう
傾動可能な尻サポートパネル（３６）とを有し、前記調
節リンク（３７）は、前記シートクッション（１７）の
後端に押引可能に連結支持され、かつシートクッション
（１７）の前後移動に同調して前後方向に回動すべく前
記下部枢軸（３６）に略中間部で枢支されたロアリンク
部材（３８）と、該ロアリンク部材（３８）の上端部に
回動可能に枢支され、かつロアリンク部材（３８）に対
し前方に屈曲した状態で前後方向に回動すべく前記上部
枢軸（３２）に支持されたアッパリンク部材（３９）と
を有し、前記ロアリンク部材（３８）の下側に前記尻サ
ポートパネル（３６）を固設する一方、前記アッパリン
ク部材（３９）の上側に前記上背サポートパネル（３
３）を固設し、前記上部枢軸（３２）と下部枢軸（３
６）との間には、前記尻サポートパネル（３６）と上背
サポートパネル（３３）とを隔ててセンタバック部（１
２）を保持する中背サポートパネル（３４）を架設して
成ることを特徴とする座席装置（１）に存する。

【００１３】

【作用】自動車の運転者は、ソーラックス調節機構（３
０）によって、シートバック（１０）のクッション体
（１０ａ）の上部と下部とを変位させて、脊椎に負担を
かけない自然な姿勢となる最適なソーラックスサポート
姿勢に適宜調整し、当該状態に保持することにより、長
時間座っても安定した着座感を得ることができる。

【００１４】ソーラックスサポート姿勢の調整は、シー
トクッション（１７）を車体据付部位に対して前後移動
させることにより行なう。すなわち、シートクッション
（１７）が前方へ移動すると、調節リンク（３７）のロ
アリンク部材（３８）の下端側が前方へ引かれ、当該ロ
アリンク部材（３８）が下部枢軸（３６）を略中心とし
て回動する。それにより、ロアリンク部材（３８）の下
側に固設された尻サポートパネル（３６）が前側に傾動
して、尻に対応するクッション体（１０ａ）の下部を前
方へ膨出させ、運転者の尻を後方から保持するソーラッ
クスサポート姿勢に変位させる。

【００１５】また、尻サポートパネル（３６）の傾動に
同調して、上背サポートパネル（３３）も傾動しクッシ
ョン体（１０ａ）の上部をソーラックスサポート姿勢に
変位させる。すなわち、ロアリンク部材（３８）の回動
と共に、その上端部に枢支されたアッパリンク部材（３
９）が、上部枢軸（３２）により支持されつつ、ロアリ
ンク部材（３８）に対しさらに前方に屈曲するよう回動
する。それにより、アッパリンク部材（３９）の上側に
固設された上背サポートパネル（３３）が前倒するよう
に傾動し、クッション体（１０ａ）の上部が運転者の背
中の上部を背面位置より相対的に前に出すよう変位さ
せ、該クッション体（１０ａ）をソーラックスサポート
姿勢に保持する。

【００１６】調整後、シートクッション（１７）が前後
移動しない限りその状態が保持される。このようなソー
ラックスサポート姿勢の際、運転者の脊椎に無理のかか
らない自然な姿勢となるため、運転者は腰等を痛めるお
それがなく長時間運転することができる。

【００１７】なお、ソーラックスサポート姿勢におい
て、通常の状態に戻すべくシートクッション（１７）を
後方へ移動すると、尻サポートパネル（３６）が前進傾
動した姿勢から次第に立ち上がり、それに伴い上背サポ
ートパネル（３３）も元の状態に後傾してクッション体
（１０ａ）は通常の状態に戻る。

【００１８】

【実施例】以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明
する。図１〜図５は本発明の一実施例を示している。図
１に示すように、本実施例の座席装置１は、シートバッ
ク１０のクッション体１０ａに内蔵したバックフレーム
２０にソーラックス調節機構３０を設け、かかるソーラ
ックス調節機構３０によって、自動車の運転者の脊椎に
負担のかからないに自然な着座感を与える図６及び図７
に示したソーラックスサポート姿勢に調整可能なもので
ある。

【００１９】車体フロアＦには、シートスライド装置２
が据え付けられており、このシートスライド装置２上を
車体据付部位として、シートクッション１７が、スライ
ド装置２とは独立に駆動機構５０によって前後移動可能
に装着されている。また、シートクッション１７の後方
において別途シートスライド装置２上にシートバック１
０が支持されている。なお、座席装置１は、シートスラ
イド装置２を介さずに直接車体フロアＦを車体据付部位
として装着してもよいものである。

【００２０】シートスライド装置２は、シートクッショ
ン１７の両側下方にそれぞれ配され前後方向に延びる一
対のレールユニット２ａ，２ａを有している。レールユ
ニット２ａは、車体フロアＦにレッグ部材５を介して固
設されるロアレール４と、ロアレール４に前後移動可能
に嵌合しシートクッション１７を支持するアッパレール
３とを具備して成る。

【００２１】シートクッション１７に内蔵されたクッシ
ョンフレーム４０は、駆動機構５０を介してアッパレー
ル３上に前後移動可能に支持されている。駆動機構５０
は、アッパレール３に固設された電動モータ５１と、電
動モータ５１の出力軸に連結され回転駆動されるリード
スクリュー５２と、リードスクリュー５２に相対的に回
転可能に螺合するナットハウジング５３とを具備して成
る。リードスクリュー５２の前端部は、アッパレール３
の前端に固着された支持ブラケット５４により回動可能
に支持されている。一方、ナットハウジング５３は、ク
ッションフレーム４０の前端部に枢支されている。

【００２２】図３に示すように、シートバック１０を構
成するクッション体は、着席した運転者の背面を当てる
主バック部１０ａと、運転者の側方への移動を抑えるよ
うに両側に設けられるバック側部１０ｂとに分割されて
いる。主バック部１０ａとバック側部１０ｂとは、それ
ぞれ、例えば、ウレタンフォーム等から一体的に発泡成
形されたものである。

【００２３】図４及び図５に示すように、主バック部１
０ａはさらに、運転者の背中の上部が当接するアッパバ
ック部１１と、運転者の尻の後ろに対応したロアバック
部１３と、アッパバック部１１とロアバック部１３との
間のセンタバック部１２とに分れている。アッパバック
部１１とセンタバック部１２との間、及びセンタバック
部１２とロアバック部１３との間には、それぞれ主バッ
ク部１０ａを変位しやすくするための曲げ用溝１６，１
６が凹設されている。

【００２４】図１に示すように、クッション体を保持す
るバックフレーム２０は、両側のサイド部２１，２１
と、両サイド部２１，２１の各上端間を結ぶ逆Ｕ字形の
アッパパイプ２２とから成る。各サイド部２１は、図示
した如く板状部材から形成したものであり、バックフレ
ーム２０の側壁２１ａ，２１ａを成している。なお、ア
ッパパイプ２２には、ヘッドレスト２５を取付けるため
のホルダ部材２３，２３が固着されている。

【００２５】サイド部２１の下端は、リクライニング機
構６０を介して、アッパレール３の後端に支持されてい
る。リクライニング機構６０は、サイド部２１の下端に
ボルト止めしたアーム部材６３と、アッパレール３の後
端に固設したベースブラケット６１と、ベースブラケッ
ト６１にアーム部材６３を傾動調節可能に枢支するリク
ライニング軸６２とを具備して成る。

【００２６】クッション体のバック側部１０ｂは、バッ
クフレーム２０を側壁２１ａを包み込むようにして、固
着クリップ１４により各サイド部２１に装着されてい
る。また、主バック部１０ａは、バックフレーム２０に
設けられたソーラックス調節機構３０を覆うようにして
装着されている。

【００２７】図１及び図２に示すように、ソーラックス
調節機構３０は、運転者の背中の上側が当接するアッパ
バック部１１の裏側に設けた背調節部３１と、運転者の
尻の後ろに対応するアンダバック部１３の裏側に設けた
尻調節部３５と、シートクッション１７の前後移動に連
動して、背調節部３１及び尻調節部３５を駆動する調節
リンク３７とにより構成されている。

【００２８】背調節部３１は、バックフレーム２０に横
設された上部枢軸３２と、上部枢軸３２に傾動可能に支
持され、アッパバック部１１が運転者の背中の上部を背
面位置より相対的に前に出すよう変位させ、主バック部
１０ａをソーラックスサポート姿勢に保持する上背サポ
ートパネル３３とを具備して成る。

【００２９】尻調節部３５は、上部枢軸３２の下方にお
けるバックフレーム２０に横設した下部枢軸３６と、ソ
ーラックスサポート姿勢を取るとき、下部枢軸３６によ
り支持されつつ運転者の尻を後方から保持するよう傾動
可能な尻サポートパネル３６とを具備して成る。

【００３０】調節リンク３７は、尻サポートパネル３６
を支持する両側のロアリンク部材３８，３８と、上背サ
ポートパネル３３を支持する両側のアッパリンク部材３
９，３９とを有する。さらに詳しく言えば、ロアリンク
部材３８は、クッションフレーム４０の後端に固着され
た枢支ブラケット４１に、前後方向に回動可能に枢支さ
れている。さらにロアリンク部材３８は、その略中間部
で下部枢軸３６に枢支されている。

【００３１】両側のロアリンク部材３８，３８の下側に
は、尻サポートパネル３６が固設されている。この尻サ
ポートパネル３６は、駆動機構５０によるシートクッシ
ョン１７の前後移動に同調して前進傾動し、ロアバック
部１３を前方へ膨出するよう変位させて、ソーラックス
サポート姿勢にさせるものである。この場合、尻サポー
トパネル３６の傾動範囲、すなわちロアリンク部材３８
の回動範囲は、図６に示すように、着座した運転者の脊
椎の下部をソーラックス姿勢となる範囲Ｂに位置させる
べく設定されている。

【００３２】また、ロアリンク部材３８の上端部には、
アッパリンク部材３９が回動可能に枢支されている。ア
ッパリンク部材３９の略中間部には、上部枢軸３１が相
対的に上下方向に移動かつ回動可能に嵌合するガイド溝
３９ａが穿設されている。上部枢軸３１によってアッパ
リンク部材３９は、ロアリンク部材３８に対し前方に屈
曲した状態で前後方向に回動すべく支持されている。

【００３３】両側のアッパリンク部材３９，３９の上側
には、上背サポートパネル３３が固設されている。この
尻サポートパネル３３は、尻サポートパネル３６に同調
して傾動し、アツパバック部１１を前方へ膨出するよう
変位させて、ソーラックスサポート姿勢にさせるもので
ある。この場合、上背サポートパネル３３の傾動範囲、
すなわちアッパリンク部材３９の回動範囲は、図６に示
すように、着座した運転者の脊椎の上部をソーラックス
姿勢となる範囲Ａに位置させるべく設定されている。

【００３４】また、上部枢軸３１と下部枢軸３６との間
には、尻サポートパネル３６と上背サポートパネル３３
とを隔ててセンタバック部１２を保持する中背サポート
パネル３４が架設されている。また、図２に示すよう
に、レールユニット２ａのアッパレール３には、ソーラ
ックスセンサ７０が設けられている。ソーラックスセン
サ７０は、ロアバック部１３等がソーラックスサポート
姿勢を形作る範囲に移動したことを、ナットハウジング
５３の前後位置を検出することにより検知するセンサ
で、具体的には、一般のリミットスイッチを使用するこ
とができる。

【００３５】次に作用を説明する。自動車の運転者は、
ソーラックス調節機構３０を操作し、シートバック１０
の下側を変位させて、図５に示すように、クッション体
のロアバック部１３を人体の方向に動かしてソーラック
スサポート姿勢に調整し、着座時における脊椎に対する
負担を軽減させるとともに、フィット感を向上させるこ
とができる。

【００３６】ソーラックスサポート姿勢の調整は、シー
トクッション１７をシートスライド装置２に対して前後
移動させることにより行なう。シートクッション１７を
前後移動させるには、まず、駆動機構５０の電動モータ
５１を起動して、リードスクリュー５２を一方向に回転
駆動させる。リードスクリュー５２が回転すると、これ
に相対的に回転可能に螺合しているナットハウジング５
３が前後方向に移動し、それにより、ナットハウジング
５３に支持されているクッションフレーム４０が前後移
動する。

【００３７】このように、駆動機構５０によって、クッ
ションフレーム４０が僅かに前のめに回動しつつ前方へ
移動すると、その後端に枢支されているロアリンク部材
３８の下端側が前方へ引かれ、ロアリンク部材３８が下
部枢軸３６を略中心として回動する。従って、ロアリン
ク部材３８の下側に固設された尻サポートパネル３６が
前進傾動して尻に対応するロアバック部１３を前方へ膨
出させ、運転者の尻を後方から保持するソーラックスサ
ポート姿勢に変位させる。

【００３８】また、尻サポートパネル３６の傾動に同調
して、上背サポートパネル３３も傾動しアッパバック部
１１をソーラックスサポート姿勢に変位させる。すなわ
ち、ロアリンク部材３８の回動と共に、その上端部に枢
支されたアッパリンク部材３９が、上部枢軸３２により
支持されつつ、ロアリンク部材３８に対してさらに前方
に屈曲するよう回動する。従って、アッパリンク部材３
９の上側に固設された上背サポートパネル３３が前倒す
るように傾動し、アッパバック部１１が運転者の背中の
上部を背面位置より相対的に前に出すよう変位させ、ソ
ーラックスサポート姿勢に保持する。

【００３９】ソーラックスサポート姿勢を形づくる位置
にロアバック部１３等が移動したときには、ナットハウ
ジング５３がソーラックスセンサ７０の検出範囲に移動
しており、ソーラックスセンサ７０から信号が出力され
るので、この信号に基づき運転者等に適当な表示を行な
えば、運転者等はソーラックス姿勢になっていることを
客観的に判断することができる。それにより、運転者の
不慣れや錯覚等によりソーラックスサポート姿勢に調整
されないといった不具合が排除され、確実にソーラック
スサポート姿勢への調整が行なわれる。

【００４０】ソーラックスサポート姿勢において、通常
の状態に戻すべく駆動機構５０の転動モータ５１を逆回
転させてシートクッション１７を後方へ移動させると、
尻サポートパネル３６が前進傾動した姿勢から次第に立
ち上がり、それに伴い上背サポートパネル３３も元の状
態に後傾してクッション体１０ａは通常の状態に戻る。

【００４１】なお、上記実施例では、ソーラックスサポ
ート姿勢への調整を確実なものとするために、上述のソ
ーラックスセンサ７０を設けたが、この代りにあるいは
この構成とともに、装置表面の適所にロアバック部１３
などの好ましい角度範囲を示す目盛り又は指示線等を形
成してもよい。

【００４２】

【発明の効果】本発明に係る座席装置によれば、シート
クッションの前後移動に連動するソーラックス調節機構
によって、シートバックのクッション体の上部と下部と
を前進させて、適宜最適なソーラックスサポート姿勢に
調整することができ、運転者の脊椎に負担をかけない自
然な姿勢を保持することができるから、運転者は長時間
座っても疲労が蓄積しないソーラックスサポート姿勢で
安定した状態で自動車を運転することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る座席装置を示す斜視図
である。

【図２】本発明の一実施例に係る座席装置を示す側面図
である。

【図３】本発明の一実施例に係る座席装置を構成するシ
ートバックのクッション体を示す分解斜視図である。

【図４】本発明の一実施例に係る座席装置の主バック部
を示す側面図である。

【図５】本発明の一実施例に係る座席装置の主バック部
を示す作用説明図である。

【図６】ソーラックスサポート姿勢を説明するための図
である。

【図７】ソーラックスサポート姿勢を説明するための図
である。

【図８】直立姿勢における人体の脊椎の状態を説明する
ための図である。

【図９】従来の座席装置におけるサポート姿勢を説明す
るための図である。

【図１０】従来の座席装置におけるサポート姿勢を説明
するための図である。

【符号の説明】

１…座席装置 １０…シートバック １１…アッパバック部 １２…センタバック部 １３…ロアバック部 １７…シートクッション ２０…バックフレーム ３０…ソーラックス調節機構 ３１…背調節部 ３５…尻調節部 ３３…調節リンク ４０…クッションフレーム ５０…駆動機構

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の運転者の脊椎に負担を与えないソ
   ーラックスサポート姿勢に調整可能な座席装置であっ
   て、 車体据付部位に前後移動可能に装着するシートクッショ
   ンと、該シートクッションの後方において別途車体据付
   部位に支持するシートバックとを有し、該シートバック
   のクッション体に内蔵されるバックフレームに、前記シ
   ートクッションの前後移動に伴いシートバックのクッシ
   ョン体を変位させるソーラックス調節機構を設け、 前記ソーラックス調節機構は、前記クッション体の上部
   であって運転者の背中の上側が当接する背面位置に設け
   た背調節部と、運転者の尻の後ろに対応した位置に設け
   た尻調節部と、前記シートクッションの前後移動に連動
   して、前記背調節部及び尻調節部を駆動する調節リンク
   とより成り、 前記背調節部は、前記バックフレームに横設された上部
   枢軸と、該上部枢軸に傾動可能に支持され、前記クッシ
   ョン体を、その上部が運転者の背上部を背面位置より相
   対的に前に出すよう変位させるソーラックスサポート姿
   勢に保持する背サポートパネルとを有し、 前記尻調節部は、前記上部枢軸の下方における前記バッ
   クフレームに横設した下部枢軸と、ソーラックスサポー
   ト姿勢を取るとき、前記下部枢軸により支持されつつ運
   転者の尻を後方から保持するよう傾動可能な尻サポート
   パネルとを有し、 前記調節リンクは、前記シートクッションの後端に押引
   可能に連結支持され、かつシートクッションの前後移動
   に同調して前後方向に回動すべく前記下部枢軸に略中間
   部で枢支されたロアリンク部材と、該ロアリンク部材の
   上端部に回動可能に枢支され、かつロアリンク部材に対
   し前方に屈曲した状態で前後方向に回動すべく前記上部
   枢軸に支持されたアッパリンク部材とを有し、 前記ロアリンク部材の下側に前記尻サポートパネルを固
   設する一方、前記アッパリンク部材の上側に前記背サポ
   ートパネルを固設し、前記上部枢軸と下部枢軸との間に
   は、前記尻サポートパネルと上背サポートパネルとを隔
   ててセンタバック部を保持する中背サポートパネルを架
   設して成ることを特徴とする座席装置。