JP2659911B2 - 金属箔の製造方法 - Google Patents

金属箔の製造方法

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JP2659911B2 JP11636394A JP11636394A JP2659911B2 JP 2659911 B2 JP2659911 B2 JP 2659911B2 JP 11636394 A JP11636394 A JP 11636394A JP 11636394 A JP11636394 A JP 11636394A JP 2659911 B2 JP2659911 B2 JP 2659911B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属箔の製造方法に関
し、更に詳しくは、所定の電解液が満たされている電解
槽の中にアノード体とカソード体を配設し、両者間に通
電して電解反応を進めることによりカソード体の表面に
所定の金属を電析させたのち、その金属薄層をカソード
体の表面から剥離して例えば電解銅箔のような金属箔を
製造する際に、そのカソード体の使用寿命を長くできる
とともに、得られる金属箔の性状も良好にすることがで
きる金属箔の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄,銅,クロム,ニッケルなどの金属
箔、またはこれら金属の合金箔は、一般に、不溶性のカ
ソード体と、同じく不溶性のアノード体との間に、これ
ら金属のイオンを含む所定の電解液を供給しながら電解
反応を行うことにより目的とする金属をカソード体の表
面に所望の厚みだけ電析させて金属薄層を形成し、つい
で、形成されたその金属薄層をカソード体の表面から剥
離することによって製造されている。その場合、カソー
ド体としては、ドラム形状のものまたは板状のものが用
いられている。
【0003】ところで、上記した金属箔の製造は、図1
で示したような構造の装置で行われているのが通例であ
る。すなわち、まず、電解槽1の中には、例えば鉛から
成る不溶性のアノード体2と例えばチタン,ステンレス
鋼またはクロム被覆のステンレス鋼などから成りかつド
ラム形状をした不溶性の回転カソード体3が所定間隔の
間隙4を置いて対向配置され、槽内には例えば所定の種
類と濃度の電解液5が満たされている。
【0004】そして、ディストリビュータ(電解液流出
口)6で上記間隙4に電解液5を供給しながら、回転カ
ソード体3を矢印pのように回転させ、アノード体2と
回転カソード体3の間に所定の電流密度で通電して電解
反応が進められる。回転カソード体3の表面3aには所
定の厚みで金属が電析するが、その電析金属の薄層は回
転カソード体3の表面3aから金属箔として剥離され、
得られた金属箔7はガイドローラ8a,8bを介して、
巻取機9で巻き取られ、ここに所望する金属箔が連続的
に製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来装置を長時間運転すると、金属の電析と金属箔の剥離
が繰り返されることにより、そのカソード体表面の金属
疲労が起こったり、また、金属箔7が剥離されたのちに
露出した回転カソード体3の裸の表面3aは、アノード
体2から発生する酸素ガスや電解液5の飛沫などを含む
雰囲気に長時間曝されることにより不均一に酸化されて
しまう。その結果、表面3aには、様々な場所に厚みが
ばらついている不均一な酸化皮膜が形成される。そし
て、表面3aに、このような不均一な酸化皮膜が形成さ
れている状態で回転カソード体3に金属が電析すると、
得られる金属箔7には表面ムラやピンホールなどの組織
欠陥が発生する。
【0006】このような問題を解決するために、従来は
装置を所定の時間連続運転したのちに、回転カソード体
3を回転させながら、図1で示したように、その表面3
aに矢印qのように回転するバフ10を当接して表面3
aのバフ研磨を行い、もって表面3aに形成されていた
不均一な酸化皮膜を除去することにより回転カソード体
3の活性な表面を露出させるという処置が採られてい
る。この処置は周期的に行なわれ、そのことによって、
製造される金属箔の品質が一定に保持される。電解銅箔
の製造の際には、通常、例えば約48時間ごとにバフ研
磨が行われている。
【0007】しかしながら、金属箔の品質を一定に保持
するためには、上記バフ研磨を、装置を運転しながら所
定の周期で行うことが不可欠であるため、バフ研磨を行
っている過程で製造される金属箔は製品としての性状を
備えていないために、廃棄せざるを得ない。このような
ことから、金属箔の生産性が低下するという問題が引き
起こされる。
【0008】また、バフ研磨の過程で研磨粉やバフ片の
ような異物が発生するが、これら異物が電解液に混入す
ることが原因で、金属箔に不良品が発生することがあ
る。更には、バフ研磨によってカソード体の表面、とく
にカソード体表面の両端部が摩耗してカソード体の使用
寿命が短縮する。そのため、カソード体の交換頻度は高
くなり、製造コストの上昇が引き起こされる。
【0009】一方、旧東ドイツの公開公報:DD 21
7 828 A1には、銅箔製造に用いるチタンまたは
チタン合金のカソード体に陽極酸化を行って、表面に酸
化皮膜を形成する方法が開示されている。この方法にお
いては、硫酸などの電解液にカソード体の一部または全
部を浸漬し、電解電圧15〜40V,電流密度50〜3
00mA/dm2 の条件で10〜60分の陽極酸化が行われ
る。
【0010】しかしながら、この先行技術はカソード体
の陽極酸化処理を行ったのち、処理後のカソード体を銅
箔製造用の電解槽の中に入れて銅箔製造を行うことを開
示するのみである。また、この先行技術を利用して銅箔
を連続的に製造する場合には、カソード体表面の陽極酸
化処理を行う際に、銅箔製造の工程は、一旦、中断せざ
るを得ない。すなわち、上記先行技術を利用して銅箔製
造を行った場合、長尺な銅箔を連続的に生産する際の生
産性は低くなる。
【0011】本発明は、金属箔を連続的に製造する際に
おける上記した問題を解決し、用いるカソード体の表面
に均一な酸化皮膜を形成することにより、従来のような
バフ研磨を行うことなく品質が一定かつ良質な金属箔を
製造することができ、また、カソード体の使用寿命を長
くすることができる金属箔の製造方法の提供を目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、電解液に浸漬されているア
ノード体とカソード体の間に通電して電解反応を起こ
し、前記電解反応により前記カソード体の表面に金属を
電析して金属薄層を形成したのちに、前記金属薄層を前
記カソード体の表面から剥離して連続的に金属箔を製造
する際に、前記金属薄層の剥離後に露出している前記カ
ソード体の表面を連続的または間欠的に電解酸化して当
該露出表面に陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする
金属箔の製造方法が提供される。
【0013】本発明方法の最大の特徴は、金属箔の製造
装置を運転しつつ、金属箔が剥離されたカソード体の露
出表面に、カソード体表面への金属の電析にとって害と
ならない程度の厚みでかつ、その厚みも均一な陽極酸化
皮膜を一様に形成するところにある。とくに、本発明方
法によれば、カソード体の露出表面をオンラインで陽極
酸化することができるので、カソード体の表面には、一
定の厚みの極めて薄い酸化皮膜を確保することができ、
そのことにより、機械特性が比較的安定した薄い電解金
属箔を長時間に亘って製造することができるという利点
がある。
【0014】この均一な陽極酸化皮膜はそれ自体が耐食
性を備えている。したがって、金属箔製造時における電
解反応の進行中にアノード体から発生する酸素ガスや電
解液の飛沫微粒子に長時間曝されたとしても、金属箔剥
離後のカソード体の露出表面に不均一な酸化皮膜が形成
されることを防止する保護膜として機能する。その結
果、製造された金属箔には表面ムラやピンホールなどの
組織欠陥の発生が有効に防止される。
【0015】また、この陽極酸化皮膜は、この上に形成
される金属薄層との剥離性が良好であるため、金属の電
析−金属箔の剥離の反復に基づくカソード体の表面にお
ける金属疲労の発生を有効に抑制する。したがって、こ
の陽極酸化皮膜が形成されていないカソード体の場合に
は時として起こっているカソード体表面の局部的破損と
いう事態が防止される。
【0016】このように、本発明方法によれば、前記し
た極めて薄い均一な陽極酸化皮膜がオンラインで連続ま
たは必要に応じて間欠的にカソード体の表面に形成され
るので、カソード体の表面を長期間に亘って安定で均一
な状態に保持することができる。したがって、従来のよ
うにバフ研磨を短い周期で行わなくてもよくなる。この
陽極酸化皮膜は、後述する陽極酸化皮膜形成装置を、カ
ソード体の表面のうち、金属箔の剥離後に露出した表面
に装着し、その装置を連続的または間欠的に作動させる
ことによって形成される。
【0017】その場合、陽極酸化皮膜形成装置11は、
図2で示したように、カソード体3の表面3aが電解液
5と接触する前段の位置に装着される。したがって、カ
ソード体3への金属の電析は、電解反応に先立ち上記陽
極酸化皮膜形成装置を作動させることによって形成され
ている陽極酸化皮膜の上で進行する。
【0018】ここで、本発明の陽極酸化皮膜形成装置の
1例を図3に示す。この例の場合、装置は、中心に装置
装着用のシャフト12を有し、陽極酸化時に、回転カソ
ード体3に対向する対極体として機能する導電性のロー
ル13,この導電性ロールを取り囲んで配設された陽極
酸化用の電解処理液保持部14、および、この電解処理
液保持部に陽極酸化用の電解処理液15aを供給するた
めの電解処理液供給手段15であるパイプで構成されて
いる。そして、電解処理液保持部14が仮想線で示した
回転カソード体3の表面3aと接触した状態で、前記シ
ャフト12を図示しない手段で回転可能に支持すること
により装置11の全体が、図2で示したように、回転カ
ソード体3の表面3aに装着されている。
【0019】導電性ロール13としては、全体がチタ
ン,ニッケル,クロム,銅,ステンレスのような耐食性
を有する材料から成るロール、またはこれら材料の表面
を、例えば、銀,銀合金,金,金合金,パラジウム,パ
ラジウム合金などの導電性を有すると同時に陽極酸化に
用いる電解処理液に対して耐食性を有する材料で被覆し
たものを使用することもできる。また、ポリプロピレ
ン,ポリ塩化ビニルなど、非導電性のプラスチック材か
ら成るロールの表面を、導電性と耐食性を有する材料の
箔や線材やメッシュで覆ったもの、あるいは、上記ロー
ル表面に導電性と耐食性を有する材料をめっき,溶射,
塗布したものを使用することができる。要は、少なくと
も表面は導電性と耐食性を有しているロールが、カソー
ド体表面の電解酸化用の対極体として使用される。
【0020】この導電性ロール(対極体)13を取り囲
んでいる電解処理液保持部14は、通液性を有するとと
もに適当な弾性を備えている。この電解処理液保持部1
4は、用いる電解処理液に対して耐食性を備えた材料、
例えば、ポリウレタン,ポリビニルホルマールやポリエ
ステルのフェルト,不織布,スプリットヤーンなどで導
電性ロール13の周囲を被覆して形成される。
【0021】この電解処理液保持部14の上方には、電
解処理液保持部14の軸方向に複数個の開口15bが穿
設されているパイプ15が配置され、このパイプ15に
は、ポンプ15cによって所定の電解処理液15aが供
給されるようになっている。供給される電解処理液15
aは格別限定されるものではないが、金属箔製造に用い
ている電解液と混合してもその金属箔製造に害を与えな
いものが用いられ、例えば、金属箔の製造においてカソ
ード体の表面に金属を電析するために現に用いている電
解液と同一のもの、あるいは前記電解液と成分は同一で
あるがその成分比が異なっているものを使用することが
できる。
【0022】前記電解液としては、例えば、電解銅箔の
製造時には硫酸銅水溶液、ニッケル箔の製造時には硫酸
ニッケル水溶液やスルファミン酸ニッケル水溶液、亜鉛
箔の製造時には硫酸亜鉛水溶液などを使用することがで
きる。なお、これらの現に金属薄層の形成に用いている
電解液、あるいは、それと同一成分であるが成分比が異
なっている電解液を使用した場合には、その温度を、そ
の電解液に溶解している電解質の析出温度よりも高い温
度に設定することが好ましい。
【0023】電解液の温度を前記電解液に溶解している
電解質の析出温度よりも低い温度にすると、電解質の析
出が起こり、それがカソード体の表面に付着して陽極酸
化を妨げ、そのことが原因となって金属箔には局部的に
ミクロな組織欠陥が発生することにより、金属箔の機械
特性の低下や金属箔表面への瘤状組織が生じやすくなる
からである。
【0024】また、供給される電解処理液15aとして
は、カソード体3の表面3aに電析する金属のイオンは
含まないものを用いることもできる。このような電解処
理液としては、例えば、硫酸水溶液,リン酸水溶液,塩
酸水溶液のような酸性水溶液や、硫酸ナトリウム,硫酸
カリウム,塩化ナトリウム,塩化カリウムなどが溶解す
る中性水溶液をあげることができる。なかでも、銅箔製
造に際しては、硫酸水溶液は好適である。
【0025】電解処理液として硫酸水溶液を用いる場合
には、その濃度を10g/l以下にすることが好まし
い。その理由は以下のとおりである。図2において、カ
ソード体3の表面の陽極酸化に使われた硫酸水溶液はカ
ソード体3の表面に沿って電解槽1の液面にまで流れ落
ちていく。そして、装置11の下方に位置している電解
酸化処理後のカソード体3の表面にはほとんど電解電流
は流れず、したがって、陽極酸化皮膜も成長していな
い。そのため、ここに濃度が10g/lを超えた硫酸水
溶液が流れ落ちると、せっかく形成した薄く均一な厚み
の陽極酸化皮膜の侵食が起こり得るからである。
【0026】なお、陽極酸化用電解処理液の供給手段と
しては、上記したパイプ形式に限るものではなく、例え
ば、導電性ロール13を中空体とし、その周面に多数の
開口を穿設し、導電性ロール13の中空部に電解処理液
を供給することにより、その周面の開口から電解処理液
保持部14に内側から電解処理液を供給できるようなも
のであってもよい。
【0027】装置11を用いた場合、カソード体表面へ
の陽極酸化皮膜は次のようにして形成される。まず、矢
印pのように回転している回転カソード体3の表面3a
に、装置11の電解処理液保持部14を弾力性をもたせ
て接触させる。したがって電解処理液保持部14は図の
矢印r方向に自動的に回転する。この状態を維持したま
まパイプ(電解処理液供給手段)15に所定の電解処理
液15aが供給される。
【0028】電解処理液15aは開口15bから電解処
理液保持部14に滴下されて電解処理液保持部14の内
部にまで含浸し、そこに保持される。その結果、導電性
ロール(電解酸化用の対極体)13と回転カソード体3
の表面3aとの間は、電解処理液15aを介して導通状
態になる。
【0029】ついで、導電性ロール13に付設されてい
る端子13a,13aを電源(図示せず)のマイナス側
に、回転カソード体3の表面3aを電源のプラス側に接
続し、導電性ロール13と回転カソード体3の表面3a
の間に電解電流を通電して表面3aを陽極酸化する。こ
のとき、上記導電性ロール(対極体)は、回転カソード
体の表面に金属箔を電析させているときの電位よりも低
い電位になるような状態で通電し、同時にアノード体の
電位は回転カソード体の電位よりも高くすることが必要
である。アノード体の電位よりもカソード体の電位を高
くすると、カソード体の表面に金属箔が電析しなかった
り、あるいは、回転カソード体の電位よりも導電性ロー
ルの電位が高くなるような通電を行うと、導電性ロール
13がプラス極に、また、回転カソード体3の表面3a
がマイナス極となり、回転カソード体3の表面3aが陽
極酸化されないという不都合が生ずるからである。
【0030】このようにして、回転カソード体の表面3
aには所望する厚みの陽極酸化皮膜が形成される。例え
ば、回転カソード体がチタンで構成されている場合、形
成する陽極酸化皮膜の厚みを1.4〜140Åにすること
が好ましい。この皮膜の厚みを140Åより厚くする
と、皮膜が電気絶縁性になりはじめるとともに、その絶
縁性が不均一になり、回転カソード体の表面に電析して
得られた金属箔には表面ムラが起こり、ピンホールが発
生しやすくなる。その結果、抗張力や伸びなど、金属箔
の機械特性が劣化するからである。また、厚みが1.4Å
より薄くなると、アノード体から発生する酸素ガスや電
解液の飛沫から回転カソード体の表面を保護するための
保護皮膜としての機能や、また、金属の電析−金属薄層
の剥離の反復に伴う回転カソード体表面の金属疲労を抑
制するという機能などが失われてくるからである。
【0031】陽極酸化皮膜の好ましい厚みは、チタン製
回転カソード体表面の粗さや組織の均質さ、あるいは形
成する金属薄層の厚みによっても異なるが、50Å程度
である。厚みが50Å程度の陽極酸化皮膜は、酸化チタ
ン特有のアナターゼ型結晶構造をほとんどとらずに、比
較的エピタキシャルな、またはアモルファスな皮膜構造
になるため、その上に形成されている金属薄層にミクロ
な組織欠陥は全く発生せず、かつ組織が緻密になるから
であると考えられる。
【0032】また、チタン製の回転カソード体の表面に
陽極酸化皮膜を形成する場合、その表面粗さは、JIS
B0601で規定するRz値で2.0μm以下であること
が好ましい。鏡面であることを最適とするが、Rzが1.
0μm程度であれば充分である。この陽極酸化皮膜の形
成は、連続的に行ってもよいし、また間欠的に行っても
よい。
【0033】所定厚みの陽極酸化皮膜が形成されている
回転カソード体の表面に目的金属が電析され、その後そ
の金属薄層が剥離されると、陽極酸化皮膜の一部も同時
に金属箔側に剥離していくので、電析−剥離の反復によ
り陽極酸化皮膜の厚みは少しずつ薄くなっていく。した
がって、この薄くなる状態を補完するために、陽極酸化
皮膜の形成は、連続的または間欠的に行われることが必
要になる。
【0034】上記した陽極酸化を行う方法としては、定
電流法と定電圧法とがある。これらの方法のうち、電位
を一定に保持する定電圧法を採用することにより、カソ
ード体の表面から金属薄層を剥離したときに、その金属
薄層に取り去られる酸化皮膜の分を自動的かつ即座に補
完することができ、なおかつ、必要以上の厚みにまでそ
の酸化皮膜の厚みが成長するという事態を抑制すること
もできる。
【0035】とくに、カソード体の表面に形成された金
属薄層の厚みが薄ければ薄いほど、金属薄層のカソード
体表面からの剥離性が悪くなり、そのため、その金属薄
層が取り去る陽極酸化皮膜の厚みも厚くなる傾向を示す
ので、このような場合には、上記した定電圧法を適用す
ることが好適である。なお、陽極酸化の速度、したがっ
て形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、処理時間よりも、
陽極酸化処理時に採用する電解電圧でほとんど決まって
しまう。そして、採用した電解電圧と形成された陽極酸
化皮膜の膜厚とは正比例の関係にあり、電解電圧1Vは
陽極酸化皮膜の膜厚約14〜15Åに相当することが知
られている(日本金属学会会報 第27巻 第4号 2
96〜298頁 1988年参照)。
【0036】したがって、前記したように、陽極酸化皮
膜の膜厚は1.4〜140Åが好適であることからして、
定電圧法を採用する際には、その電解電圧を0.1〜10
Vに設定することが好ましいことになる。図4は、本発
明の別の陽極酸化皮膜形成装置16を回転カソード体の
表面に装着した状態を示す一部切欠斜視図である。
【0037】この装置の場合、電解処理液保持部16a
は箱型の容器であり、回転カソード体3の表面3a側の
部分が開口している。そしてその部分に、複数個の電解
処理液噴出孔19aが穿設されていて、かつ、回転カソ
ード体3の表面3aの曲率に合わせた屈曲面を有する多
孔板体19が取り付けられている。この多孔板体19
は、回転カソード体3の表面3aと液密に取り付けら
れ、回転カソード体3の表面3aとの間では摺接または
近接するように配置されている。
【0038】容器16aは、用いる電解処理液に対して
耐食性を有する材料、例えば、ポリ塩化ビニルやポリプ
ロピレンなどで製造され、また、多孔板体19は回転カ
ソード体の表面3aと摺接させることもあるので、耐摩
耗性,潤滑性,弾力性も備えた材料、例えば、ポリエチ
レン,ポリエステル,ポリウレタン,シリコーンゴムな
どの材料で構成することが好ましい。
【0039】そして、容器16aの略中央には、金属粉
除去フィルタ20が介装され、容器16aの内部を上下
2つの空間に画分し、上部の空間21aの中に対極体1
7が配置された構造になっている。上部空間21aに
は、供給管18cから電解処理液が供給されて排出管1
8bから流出していき、また下部空間21bには供給管
18aから電解処理液が供給され、多孔板体19の孔1
9aから回転カソード体の表面3aに向けて噴出してい
く。
【0040】このとき、回転カソード体3の表面3aに
は、厚みが均一な電解処理液の液膜が形成される。この
装置は、電解処理液が、金属箔の製造に用いている電解
液である場合に使用して有用である。金属箔の製造に用
いている電解液をポンプで汲み上げてそれをそのまま陽
極酸化用の電解処理液として用いると、陽極酸化皮膜を
形成しているときに、対極体17の表面には電解液に含
まれている金属が電析することがある。そして皮膜形成
時の条件によっては、金属粉として異常析出することが
ある。そして、対極体17に析出しているこれら金属粉
は、供給される電解処理液の流勢によって対極体17の
表面から離脱し、回転カソード体の表面3a、すなわち
陽極酸化皮膜が形成されつつある個所へ移動することが
ある。
【0041】このような事態が発生すると、これら金属
粉が回転カソード体の表面3aで共析して、形成された
陽極酸化皮膜に瘤状組織が混在するようになる。しか
し、この装置の場合、対極体17で金属粉が異常析出し
てそれが対極体17の表面から離脱したとしても、それ
ら離脱金属粉は、金属粉除去フィルタ20で捕捉または
遮断されるので、下部空間21b側、すなわち回転カソ
ード体の表面3aの方に移動していくことはない。この
ように、金属粉除去フィルタ20は、これら離脱金属粉
が回転カソード体の表面3aで共析して陽極酸化皮膜に
瘤状組織が混在することを防止する働きをする。
【0042】このような働きをする金属粉除去フィルタ
20としては微細孔を有する膜であってもよく、また、
イオン交換樹脂膜あるいは金属粉は通さないが金属イオ
ンは透過できる耐食性の布地であってもよい。イオン交
換樹脂膜を使用する場合は、上記した金属粉の移動防止
という効果とともに、対極体17での金属電着を起こさ
せないという効果も得られる。
【0043】この場合は、上部空間21aには金属箔製
造用の電解液を電解処理液としてそのまま供給し、しか
も、下部空間21bには、前記電解液とは成分比が異な
る電解液や金属イオンを含まない電解液を供給するとい
うように、電解処理液の供給態様を変化させてもよい。
この容器16aは、回転カソード体3の表面3aと多孔
板体19の端部19bが摺接するように装着されてもよ
いし、また、表面3aと多孔板体19の間に若干のクリ
アランスが形成されるように装着されてもよい。
【0044】ただし、前者の装着態様の場合は、回転カ
ソード体3の表面3aにおける両側端に絶縁性の材料で
製作した板状または環状の端部3bを取付け、この端部
3bと多孔板体19の端部が摺接するようにして、多孔
板体19の他の部分と回転カソード体の表面3aとの間
には若干のクリアランスを形成するようにする。あるい
は、装置自体の両端部に下記に示す耐摩耗性,潤滑性,
弾力性に富む例えば、発泡ポリエチレンのような発泡プ
ラスチックなどを取り付けてもよい。
【0045】後者の場合は、孔19aから噴出する電解
処理液によって回転カソード体の表面3aにはクリアラ
ンスに相当する均一な厚みの電解処理液の液膜が形成さ
れる。図5および図5のVI−VI線に沿う断面図である図
6は、本発明の更に別の装置例を回転カソード体の表面
に装着した状態を示す図である。
【0046】この装置22においては、電解処理液保持
部23は、断面が凸レンズ形状をした細長い密閉容器に
なっている。すなわち、この密閉容器23は、湾曲した
曲板23aの背部に陽極酸化用の対極体17の取付け部
23bが液密に装着され、長手方向における両端部23
c,23dが封止され、容器の略中央位置には電解処理
液の供給管24が付設され、前記曲板23aの先端には
電解処理液の噴出手段23eが形成されていて、これら
全体で回転カソード体3の表面3aへの電解処理液供給
手段が構成されている。なお、上記した噴出手段23e
としては、例えば、曲板23aの長手方向に沿って穿設
された複数個の孔や、所定幅で曲板23aの長手方向に
形成されたスリットなどをあげることができる。
【0047】対極体取付け部23bには対極体17が配
置され、容器全体は、その長手方向を回転カソード体3
の幅方向と一致させ、また、その曲板23aに形成され
ていて噴出手段23eが回転カソード体3の表面3aと
所定の間隔を置いて対向するように配置される。ポンプ
アップなどにより、供給管24から容器23内に送入さ
れた電解処理液は、容器23内を満たしたのち噴出手段
23eから噴出し、矢印p方向に回転する回転カソード
体3の表面3aに吹き当り、表面3aに沿って下方に流
下することにより、そこに均一な厚みの液膜を形成す
る。
【0048】なお、電解処理液としては、金属薄膜の製
造に用いている電解液をそのまま使用してもよいが、必
要に応じては、他の電解液、例えば希硫酸水溶液などを
用いてもよい。この状態を維持しつつ、回転カソード体
3を陽極,対極体17を陰極にして、両極間に所定電圧
を印加することにより、回転カソード体の表面3aは陽
極酸化される。そして、回転カソード体3は図の矢印p
方向に回転しているので、表面3aには連続的または間
欠的に陽極酸化皮膜が形成される。
【0049】なお、この実施例装置では、回転カソード
体の表面3aとの対向面を曲面にしているが、その形状
はこれに限定されるものではなく、内部に充満した電解
処理液が回転カソード体の表面3aに向かって噴出でき
るような形状であればよい。また、容器23の内部に、
電解処理液を均一に分散させるような手段、例えば、パ
イプに均一な小孔を穿設し、このパイプに電解処理液を
供給して前記小孔から噴出させるような手段を設けても
よい。更には、供給管24の付設位置は装置22の中央
位置でなくてもよく、噴出手段23eから電解処理液が
均一に噴出できるような位置であればどこでもよい。
【0050】また、対極体17と噴出手段23eとの間
に、前記したと同様な金属粉除去フィルタを設けて、対
極体に電着した金属粉が回転カソード体3の表面3aに
流れ出さないようにしてもよい。この実施例装置は、陽
極酸化用電解処理液として、金属濃度の比較的高い金属
箔製造用の電解液を用いる場合に、噴出手段23eの噴
出口を極力小さくすることにより、電解液の使用量を少
なくすることができ、かつ、そのことにより電解液の飛
散量を少なくして、使用電解液中の金属塩が析出するこ
とを極力抑制することができるという効果を奏する。
【0051】例えば、電解銅箔の製造時には、銅濃度が
比較的高い硫酸銅溶液が電解液として使用されている
が、その電解液を陽極酸化用の電解処理液として使用し
た場合、温度が低くなると硫酸銅の結晶が生成して、そ
れが装置や銅箔に付着し、装置の円滑な運転を阻害する
ことがある。そのため、図5,図6で示した実施例装置
では、噴出手段23eの形状およびカソード体表面3a
との距離を変えるだけで、上記した不都合を容易に解消
することができる。
【0052】
【実施例】
実施例1 図2で示した電解銅箔の製造装置において、回転カソー
ド体3を直径3000mm,長さ1500mmのチタン製ド
ラムとした。そして、このドラムの表面をバフ研磨し
た。
【0053】ついで、図3で示したように、直径250
mm,長さ1500mmのステンレス鋼のパイプ13の周囲
を厚み10mmのポリエステルフェルト14で被覆し、こ
のポリエステルフェルト14を前記チタン製ドラム3の
研磨表面3aに接触させ、ポリエステルフェルト14の
上方に、直径2mmの開口15bが10mm間隔で穿設され
ている直径30mmのポリ塩化ビニル製のパイプ15を配
置した。
【0054】パイプ15に、濃度10g/lの硫酸水溶
液(液温50℃)を陽極酸化用の電解処理液として供給
し、開口15bからポリエステルフェルト14に流下
し、チタン製ドラム3を回転させながら端子13a,1
3aとチタン製ドラム3との電解電圧を2Vと一定に保
持して、厚みがほぼ28Åの酸化皮膜が得られるように
ドラム3回転分の陽極酸化処理(合計の処理時間は3
秒)を行った。
【0055】チタン製ドラム3の表面は均一な比較的薄
い金色に変色し、ドラム表面にはチタンの酸化物から成
る陽極酸化皮膜の形成が確認された。その後、電解電圧
を0.5Vと一定にして連続的に陽極酸化処理を行った。
ついで、チタン製ドラム3の表面3aを順次図2の電解
装置の方に回転移動させ、そこで、Cu:80g/l,
2 SO4 :80g/l,ニカワ2ppmから成り、液
温55℃の電解液を用い、電流密度50A/dm2 ,流量
2m/sec の条件で表面3aに銅を電析して銅薄層を形
成したのち、それをチタン製ドラム3の表面3aから剥
離し、かつ、前記した0.5Vの連続的な陽極酸化処理を
継続しながら、厚み18μmの電解銅箔7を連続的に製
造した。
【0056】この作業を15日間継続したが、その間、
1度もバフ研磨をする必要はなかった。得られた電解銅
箔の引張強さ(kg/mm2),伸び率(%),シャイニー面
の粗さ(Rz),耐折強さ(回)を測定した。その結果
を表1にした。比較のために、チタン製ドラムに陽極酸
化処理を施すことなく、24時間周期でバフ研磨を行
い、得られた電解銅箔につきその特性を測定した(比較
例1)。その結果も表1に併記した。
【0057】なお、陽極酸化皮膜の厚みは、オージェ分
光分析装置を用いて測定した。この測定方法によると、
陽極酸化時の電解電圧と形成される陽極酸化皮膜の厚み
との間では、電解電圧1V当り厚み約14Åの皮膜が形
成されるという関係のあることが確認された。以下の実
施例においても、陽極酸化皮膜の厚みは上記と同様にし
て測定される値である。
【0058】
【表1】 *1:JISC6511に準拠 *2:JISC6
511に準拠 *3:JISB0601に準拠 *4:JISP8
115に準拠 表1のデータから明らかなように、本発明方法で製造し
た電解銅箔は、従来のものに比べて、引張強さが優れて
いて、銅張積層板用の銅箔として有用である。
【0059】なお、実施例1は陽極酸化皮膜の形成を連
続的に行うものであるが、陽極酸化を、自動タイマを用
いることにより1時間,6時間,12時間ごとにドラム
1周分につき断続的に行ったが、得られた電解銅箔の性
状は実施例1のものと同等であった。また、他の比較例
として、陽極酸化時の電解電圧を0.5V(皮膜の厚み7
Åに相当)とし、硫酸水溶液として濃度が20g/lの
ものを用いて実施例1と同様に電解銅箔を連続的に製造
した(比較例2)。この比較例2は、作業開始後7日間
経過した時点で、ドラムにバフ研磨を施す必要があっ
た。
【0060】次に、陽極酸化皮膜の厚みが銅箔の特性に
与える影響について調べた。実施例1において、初期の
陽極酸化皮膜形成時における電解電圧を変化させて厚み
が異なる陽極酸化皮膜をドラム表面に形成し、そのそれ
ぞれの場合につき、実施例1と同様の条件で厚み18μ
mの電解銅箔を連続的に製造した。得られた各電解銅箔
の引張強さ(kg/mm2),伸び率(%),シャイニー面の
粗さ(Rz),および、銅箔面積10m2 当たりのピン
ホールの個数を測定した。その結果を、初期の陽極酸化
皮膜の厚みとの関係として図7に示した。
【0061】図7から明らかなように、初期の陽極酸化
皮膜の厚みが140Åよりも厚くなると、得られる電解
銅箔は、その引張強さと伸び率が低下し、ピンホールの
発生が多くなる。
【0062】実施例2 ステンレス鋼パイプ13に代えて、直径200mmのポリ
塩化ビニルパイプの外周に厚み68μmの銅箔が貼着さ
れているものを用いたこと、陽極酸化用の電解処理液1
5aが濃度1g/lの硫酸水溶液(液温60℃)であっ
たこと、パイプ15の開口15bの径が2.5mmであった
こと、ドラム3回転分の陽極酸化処理(合計の処理時間
は6秒)時の電解電圧が5Vの一定値(陽極酸化皮膜の
厚み約70Åに相当)であったこと、銅電析用の電解液
がCu:100g/l,H2 SO 4 :100g/l,ニ
カワ3ppmから成り、液温60℃であったこと、電解
条件が、電流密度60A/dm2 ,流量2m/sec であっ
たことを除いては、実施例1と同様にして、陽極酸化処
理時の電解電圧を0.5Vと一定値に保ちながら、厚み3
5μmの電解銅箔を連続的に製造した。
【0063】この作業を1ケ月間継続したが、その間、
1度もバフ研磨をする必要がなかった。得られた電解銅
箔の引張強さ(kg/mm2),伸び率(%),シャイニー面
の粗さ(Rz),耐折強さ(回)を測定した。その結果
を表2にした。
【0064】比較のために、チタン製ドラムに陽極酸化
処理を施すことなく、40時間周期でバフ研磨を行い、
得られた電解銅箔につきその特性を測定した(比較例
3)。また、他の比較例として、陽極酸化時の電解電圧
15Vの一定値(陽極酸化皮膜の厚み約210Åに相
当)で行ったことを除いては、実施例2と同様にして厚
み35μmの電解銅箔を連続的に製造した(比較例
4)。これらの結果も表2に併記した。
【0065】
【表2】 表2のデータから明らかなように、実施例2の条件で製
造した電解銅箔も、従来のものに比べて、引張強さが優
れていて、銅張積層板用の銅箔として有用である。
【0066】なお、実施例2は陽極酸化皮膜の形成を連
続的に行うものであるが、0.5Vの陽極酸化を、自動タ
イマを用いることにより12時間,24時間ごとにドラ
ム1周分につき断続的に行ったが、得られた電解銅箔の
性状は実施例2のものと同等であった。
【0067】実施例3 図3の装置において、ポリ塩化ビニルパイプ13の直径
が150mmであったこと、パイプ15の開口15bの径
が1.5mmであったこと、初期ドラム3回転分の陽極酸化
処理(合計の処理時間は12秒)時の電解電圧が10V
の一定値(陽極酸化皮膜の厚みは約140Åに相当)で
あったこと、銅電析時における電解条件が、電流密度7
0A/dm2 ,流量3m/sec であったことを除いては、
実施例2と同様の条件で、厚み70μmの電解銅箔を連
続的に製造した。
【0068】この作業を1ケ月間継続したが、その間、
1度もバフ研磨をする必要がなかった。得られた電解銅
箔の引張強さ(kg/mm2),伸び率(%),シャイニー面
の粗さ(Rz),耐折強さ(回)を測定した。その結果
を表3にした。比較のために、チタン製ドラムに陽極酸
化処理を施すことなく、50時間周期でバフ研磨を行
い、得られた電解銅箔につきその特性を測定した(比較
例5)。その結果も表3に併記した。
【0069】
【表3】 表3のデータから明らかなように、実施例3の条件で製
造した電解銅箔も、従来のものに比べて、引張強さが優
れていて、銅張積層板用の銅箔として有用である。
【0070】なお、実施例3は陽極酸化皮膜の形成を連
続的に行うものであるが、ドラム3回転分の陽極酸化を
10Vで行ったのち、1Vの陽極酸化を、自動タイマを
用いることにより12時間,24時間ごとにドラム1周
分につき断続的に行ったが、得られた電解銅箔の性状は
実施例3のものと同等であった。
【0071】他の比較例として、電解銅箔製造用の電解
槽とは別の電解槽の中に実施例3で用いた硫酸水溶液を
満たし、ここに表面をバフ研磨したドラムを浸漬して電
解電圧10Vの一定値で陽極酸化処理を行った。処理後
のドラムを電解銅箔製造用の電解槽にセットし、実施例
3と同様にして連続的に電解銅箔を製造した(比較例
6)。実施例3の場合には、陽極酸化処理−電解銅箔の
製造を連続して行うことができるが、上記した比較例6
の場合には、処理後のドラムを電解銅箔製造用の電解槽
に移動する作業のためなどに、銅箔製造を24時間中断
せざるを得なかった。
【0072】実施例4 実施例1の陽極酸化皮膜形成装置において、パイプ15
の開口15bの径を3mmとし、動作時における電解電圧
を1Vと一定(陽極酸化皮膜の厚みは約14Åに相当)
にしてカソードドラム3の表面3aを4回転分(合計の
処理時間は2.5秒)連続酸化し、また銅電析時における
電解条件は実施例3と同じ条件にしたことを除いては実
施例1と同様にして、陽極酸化処理の電解電圧を0.1V
の一定値に保って連続的な陽極酸化処理を継続しなが
ら、厚み12μmの電解銅箔を連続的に製造した。
【0073】この作業を1週間継続したが、その間、1
度もバフ研磨をする必要がなかった。得られた電解銅箔
の引張強さ(kg/mm2),伸び率(%),シャイニー面の
粗さ(Rz),耐折強さ(回)を測定した。その結果を
表4にした。比較のために、チタン製ドラムに陽極酸化
処理を施すことなく、24時間周期でバフ研磨を行い、
得られた電解銅箔につきその特性を測定した(比較例
7)。その結果も比較例7として表4に併記した。
【0074】また、別の陽極酸化処理槽で、電解電圧1
Vの陽極酸化処理を行うことにより予め表面に陽極酸化
皮膜を形成し、このチタン製ドラムを、銅箔製造ライン
にセットし、実施例4と同一の条件下で厚み12μmの
電解銅箔を製造した。3時間位の運転後、電解銅箔の剥
離性が悪くなり、電解銅箔の引き剥がし張力は部分的に
不均一になり、得られた電解銅箔には皺の発生が認めら
れた。そこで、ドラムをラインから取り外し、再度、ド
ラム表面に陽極酸化処理を行うことが必要になった。
【0075】このように、予めライン外で陽極酸化処理
を施す場合には、3時間ごとに陽極酸化処理を行わなけ
ればならず、そのため、1回の連続運転で製造される電
解銅箔の長さは高々600m程度であり、長尺物を連続
して製造することができず、作業性のみならず生産性も
低下してしまう。得られた電解銅箔の特性を比較例8と
して表4に併記した。
【0076】
【表4】
【0077】実施例5 図4で示した陽極酸化皮膜形成装置を、バフ研磨が施さ
れているチタン製ドラム3の表面3aに、多孔板体19
と表面3aとのクリアランスが1mmとなるようにして装
着した。対極体17はステンレス鋼板であり、金属粉除
去フィルタ20は孔径1μmの微細孔が分布している微
多孔膜である。
【0078】実施例1で用いた電解液を、供給管18c
から電解処理液として上部空間21aに供給したのち排
出管18bから排出させてそれを再び電解槽に還流し、
またフィルタを介した上記電解液を供給管18aから下
部空間21bに供給して多孔板体19の孔19aから回
転カソード体の表面3aに噴出させ、そこに電解液の液
膜を形成した。
【0079】この状態を、チタン製ドラム3とステンレ
ス鋼板(対極体)17との電解電圧を2Vと一定に保持
して、厚みが約28Åの陽極酸化皮膜が得られるように
陽極酸化処理を行い、引き続き、この陽極酸化皮膜の上
に実施例1と同様の条件で厚み35μmの電解銅箔を形
成した。この作業を1ケ月間継続したが、その間、1度
もバフ研磨をする必要がなかった。
【0080】得られた電解銅箔の引張強さ(kg/mm2),
伸び率(%),シャイニー面の粗さ(Rz),耐折強さ
(回)を測定した。その結果を表5にした。比較のため
に、チタン製ドラムに陽極酸化処理を施すことなく、4
8時間周期でバフ研磨を行い、得られた電解銅箔につき
その特性を測定した(比較例9)。その結果も表5に併
記した。
【0081】
【表5】
【0082】実施例6 実施例5の装置において、金属粉除去フィルタ20とし
てアニオン交換樹脂膜(徳山曹達(株)製の高温タイプ
AMH)を用いて、また、多孔板体19の端部19bと
チタン製ドラムの表面3aとの間に柔軟な発泡ポリエチ
レンシートを介装して装置16とチタン製ドラムの表面
3aとを摺接状態にした。
【0083】供給した電解液の液漏れはほとんど起こら
ず、電解液の有効利用が可能となった。上部空間21a
には供給管18cから1g/lの硫酸水溶液をポンプで
循環供給し、また、下部空間21bには、電解銅箔製造
用の電解液であって、Cu:100g/l,H2
4 :90g/l,ニカワ4ppmから成り液温が65
℃の電解液を供給管18aから供給し、チタン製ドラム
3とステンレス鋼板17との電解電圧を5Vと一定に保
持して厚みが約70Åの酸化皮膜が得られるように陽極
酸化処理を行い、引き続き、この陽極酸化皮膜の上に、
上記電解液を用い、電流密度50A/dm2 ,流量1m/
sec の条件で厚み35μmの電解銅箔を形成した。
【0084】チタン製ドラムの表面3aにドラム2回転
分(合計の処理時間は4秒)の陽極酸化処理を行ったの
ち、約15日間、電解銅箔の製造を連続的に行ったが、
その間、1度もバフ研磨をする必要がなかった。得られ
た電解銅箔の引張強さ(kg/mm2),伸び率(%),シャ
イニー面の粗さ(Rz),耐折強さ(回)を測定した。
その結果を表6にした。
【0085】比較のために、チタン製ドラムに陽極酸化
処理を施すことなく、48時間周期でバフ研磨を行い、
得られた電解銅箔につきその特性を測定した(比較例1
0)。その結果も表6に併記した。
【0086】
【表6】
【0087】実施例7 耐熱ポリ塩化ビニル材を用いて、全体の形状が長さ15
00mm,幅200mm,厚み100mmで、曲板23aの先
端には、幅2mm,長さ1400mmのスリット23eが長
手方向に形成され、直径25mmの供給管27が付設され
ている、図5および図6で示した密封容器23を製造し
た。この容器23の内部には、長さ1400mm,幅10
0mm,厚み1mmの銅板が対極体17として配置されてい
る。
【0088】実施例1と同じ寸法形状で、表面にバフ研
磨を施したチタン製ドラム3に、この容器23を、スリ
ット23eがドラム面と対向するように装着した。実施
例1で用いた電解液を、供給管24から容器23内に供
給して充満させたのち、スリット23eからチタン製ド
ラム3の表面3aに噴出させ、そこに電解液の液膜を形
成した。
【0089】この状態で、直流安定化電源により電解電
圧を5Vに保持し、チタン製ドラム2回転分陽極酸化処
理(合計の処理時間は8秒)を行いながら、厚み68μ
mの電解銅箔を24時間製造したのち、電解電圧2Vの
陽極酸化処理を3回転分(合計の処理時間は12秒)行
い、その後、電解電圧を0.5Vと一定に保持したまま、
厚み18μmの電解銅箔を実施例1と同様の条件で製造
した。この作業を2週間継続したが、その間1度も、バ
フ研磨をする必要はなかった。そして、得られた銅箔も
実施例1と同様な性能を備えていた。
【0090】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明方
法によりカソード体の表面に形成された陽極酸化皮膜
は、均一で、耐食性に優れた保護膜として機能する。そ
のため、金属箔の製造時に、カソード体表面への不均一
な酸化皮膜生成に伴って起こる金属箔の表面ムラやピン
ホールなどの組織欠陥が有効に防止され、良質な金属箔
を製造することができる。
【0091】そして、従来のようなカソード体表面への
短い周期でのバフ研磨も不要となり、バフ研磨作業に伴
う材料費や作業コストも節減され、カソード体それ自体
の損耗も少なくなるので使用寿命も長くなり、カソード
体の交換頻度も少なくなり、金属箔の生産性を著しく高
めることができる。また、実施例1〜4で示したよう
に、カソード体が回転ドラムであり、陽極酸化皮膜形成
装置の対極体が導電性ロールである場合には、この導電
性ロールは回転ドラムの回転に応じて自動的に回転する
ことができるため、駆動用の手段を付設する必要はな
い。
【0092】また、実施例5〜6で用いたような陽極酸
化皮膜形成装置の場合は、電解処理液として、金属箔製
造用の比較的金属イオン濃度の高い電解液を用いること
ができる。そしてその電解処理液が金属箔製造用の電解
槽に混入しても同一液なので不都合な問題は起こらず、
特別な液混入防止装置を取付ける必要性もない。更には
陽極酸化皮膜形成用の電解処理液を別途調製することも
必要ではなく、電解処理液は、直接電解槽から取り出し
て用いることができるという利点がある。また、対極体
とカソード体の表面との間にイオン交換膜を金属粉除去
フィルタとして介装することにより、対極体に金属が電
着するという事態を防止できるし、導電性ロールを用い
た場合と同様に金属箔の製造にとって悪影響を与える対
極体で発生する金属粉のカソード体への移動も防止する
ことができる。
【0093】また、実施例7で用いた装置の場合は、陽
極酸化用の電解処理液が金属箔の製造に用いている電解
液であっても、スリットの幅を狭くしてその噴出量を少
なくし、また噴出させるカソード体の面積を極小にする
ことができる。そのため、電解液から金属塩がカソード
体の端部または周縁の絶縁体などの表面に析出せず、得
られる金属箔には金属塩が付着するような事態を防ぐこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の金属箔製造装置の例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の陽極酸化皮膜形成装置を装着した金属
箔製造装置の例を示す断面図である。
【図3】本発明の陽極酸化皮膜形成装置の1例を示す切
欠斜視図である。
【図4】本発明の陽極酸化皮膜形成装置の別の例を示す
一部切欠斜視図である。
【図5】本発明の陽極酸化皮膜形成装置の更に別の例を
示す一部切欠斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】陽極酸化皮膜の厚みと銅箔の特性との関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 電解槽 2 アノード体 3 回転カソード体 3a 回転カソード体3の表面 3b 回転カソード体3の端部 4 間隙 5 電解液 6 ディストリビュータ(電解液流出
口) 7 金属箔 8a,8b ガイドローラ 9 巻取機 10 バフ 11 本発明の陽極酸化皮膜形成装置 12 シャフト 13 導電性ロール(対極体) 13a 導電性ロールの端子 14 フェルト(電解処理液保持部) 15 パイプ(電解処理液供給手段) 15a 電解処理液 15b 開口 15c ポンプ 16 本発明の別の陽極酸化皮膜形成装置 16a 容器(電解処理液保持部) 17 対極体 18 電解処理液供給手段 18a 電解処理液供給管 18b 電解処理液排出管 18c 電解処理液供給管 19 多孔板体 19a 電解処理液噴出用の孔 19b 多孔板体19の端部 20 金属粉除去フィルタ 21a 上部空間 21b 下部空間 22 本発明の更に別の陽極酸化皮膜形成
装置 23 密閉容器(電解処理液保持部) 23a 曲板 23b 取付け部(対極体の) 23c,23d 密封容器23の両端部 23e 噴出手段 24 電解液供給管
フロントページの続き (72)発明者 芦澤 公一 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−216586(JP,A) 実開 平4−81968(JP,U) 特公 昭48−43014(JP,B1)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液に浸漬されているアノード体とカ
    ソード体の間に通電して電解反応を起こし、前記電解反
    応により前記カソード体の表面に金属を電析して金属薄
    層を形成したのちに、前記金属薄層を前記カソード体の
    表面から剥離して連続的に金属箔を製造する際に、前記
    金属薄層の剥離後に露出している前記カソード体の表面
    を連続的または間欠的に電解酸化して当該露出表面に陽
    極酸化皮膜を形成することを特徴とする金属箔の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記金属箔が銅箔である請求項1の金属
    箔の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電解酸化が、電解電圧0.1〜10V
    の定電圧法で行われる請求項1の金属箔の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記陽極酸化皮膜の厚みが、1.4〜14
    0Åである請求項1の金属箔の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電解酸化時に用いる電解処理液が、
    金属箔製造用の電解液またはそれと同一成分で成分比が
    異なる請求項1の金属箔の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記電解処理液の温度が、前記電解処理
    液に溶解している電解質の析出温度よりも高い温度にな
    っている請求項5の金属箔の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記電解酸化時に用いる電解処理液が、
    カソード体の表面に電析する金属のイオンを含まない電
    解液である請求項1の金属箔の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記金属箔が銅箔であり、前記電解酸化
    時に用いる電解処理液が、濃度10g/l以下の硫酸水
    溶液である請求項1の金属箔の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記カソード体は、少なくとも表面がチ
    タンまたはチタン合金から成る請求項1の金属箔の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記カソード体がドラム形状をしてい
    る請求項1または9の金属箔の製造方法。
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