JP2656119B2 - 成人t細胞白血病ウイルス感染診断薬 - Google Patents

成人t細胞白血病ウイルス感染診断薬

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、成人T細胞白血病(Adult Tcell leukemi
a;以下ATLと略記する)の病因である成人T細胞白血病
ウイルス(Human Tcell leukemia virus−I;以下HTLV−
Iと略記する)の、表存蛋白gp46の抗体に対して抗原性
を有するポリペプチドを抗原として用いる新規なHTLV−
I感染診断薬に関する。
〔従来の技術〕
ATLは、成人が罹病する悪性の疾患であり、その病因
はHTLV−Iの感染によるもので、感染者のうち0.1%前
後の頻度で発病することが知られている。このHTLV−I
の感染経路としては、輸血感染、母子感染、性的感染等
が知られており、HTLV−I感染者を早期発見し、こうし
た感染の防止に努めることが望まれている。
従来、こうしたHTLV−I感染診断薬としては、HTLV−
Iに感染した場合に血漿又は血清中に生ずる成人T細胞
白血病関連抗原に対する抗体の検出を、成人T細胞白血
病関連抗原産生細胞の可溶性細胞質蛋白及びHTLV−Iの
可溶化処理蛋白から選ばれた少なくとも1種(特開昭58
−187861号公報)、或いは該細胞を界面活性剤により処
理して得た抗原蛋白及びHTLV−Iウイルス粒子を利用し
て行うもの(特開昭59−62527号公報)が知られてい
る。
しかしながら、該診断薬は、T細胞膜、核等、成人T
細胞白血病関連抗原以外の非特異的な反応を示す抗原を
も含んでおり、かかる抗原の非特異的免疫反応によりい
わゆる偽陽性の検体が生じ、HTLV−I感染の診断精度が
低下するという問題があった。
また、HTLV−Iに対して抗原性を有するポリペプチド
を生産するために、HTLV−Iの外皮蛋白(envelope pro
tein;以下env蛋白と略記する)の遺伝子で組換えられた
大腸菌を増殖させ、産生するポリペプチドを回収する方
法が試みられている。
しかしながら、上記方法によって得られるポリペプチ
ドは、HTLV−Iの抗体に対する抗原性が低いものであっ
た。これは大腸菌等の細菌類内では産生するポリペプチ
ドに対して、糖鎖付加反応等の修飾がないことによるも
のと推定される。
一方、診断薬として有用な蛋白の構造遺伝子をカイコ
核多角体病ウイルスDNAの多角体蛋白構造遺伝子部分に
組み換えた組換えウイルスを、カイコ樹立培養細胞又は
カイコ生体中で増殖させるポリペプチドの製造方法が、
特開昭62−208276号公報及び特開昭61−6288号公報にお
いて知られている。
ところが、これらの公報には、前記したHTLV−Iの抗
原蛋白であるポリペプチドの製造に対して上記の方法を
適用することに関しては何の具体的な記載もない。かか
る方法によるHTLV−Iの抗原蛋白であるポリペプチドを
製造するには、HTLV−Iの構造遺伝子のいかなる部分に
よってカイコ核多角体病ウイルスDNAの多角体蛋白構造
遺伝子を組換えるか、また、これによりポリペプチドの
産生が可能であるか、更にはポリペプチドが得られた場
合、該ポリペプチドがHTLV−Iの抗体に対して抗原性を
有するかどうかについては、更に数多くの研究が必要で
あった。
また、本発明者等は、既にBmNPVの多角体蛋白構造遺
伝子の一部が、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来するDNAの
うち、p21をコードするDNAを含み且つ該DNAの5′末端
から上流の17塩基対以内で切断された断片で組換えられ
た組換えウイルスをカイコ樹立培養細胞又はカイコ幼虫
に感染させ、該組換えウイルスを増殖させることを特徴
とするポリペプチドの製造方法を提案した。該製造方法
で得られるポリペプチドは、HTLV−Iの膜中及び膜の内
側に位置し、抗原性の高い蛋白であるp21を含むため、A
TL診断薬の抗原として有用である。しかしながら、ATL
の診断は該抗原を用いた診断薬と検定血清との反応性を
判定しただけでは十分ではない。なぜならば、HTLV−I
のenv蛋白は、上記p21の他に表存蛋白であるgp46により
構成されている。そして、該gp46は、蛋白自体の抗原性
はp21に比して低いものである。しかしながら、ATL患者
の血清の中には、いかなる理由からか4〜10%の割合で
gp46を抗原として反応させた場合しか陽性を示さないも
のが存在する。従って、ATLの診断をより完全に行うた
めには、診断薬の抗原としてはp21だけでなくgp46も補
足して用い、HTLV−I抗体陽性および陰性を総合的に判
定しなければならない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を克服して、
上記gp46に対する抗体に対して高い抗原性を有するポリ
ペプチドを開発し、該ポリペプチドを抗原として用いた
HTLV−I感染の診断において極めて高感度で精度良く診
断できる診断薬を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上記gp46の抗体に対して抗原性を有す
るポリペプチドを抗原とした診断薬を開発すべく研究を
重ねた。その結果、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来するD
NAを、該DNAの5′末端から下流のある特定の範囲内で
切断して得られる断片で、カイコ核多角体病ウイルス
(Bombyx Nuclear Polyhedrosis Virls;以下、BmNPVと
略記する)の多角体蛋白構造遺伝子の一部を組換えた組
換えウイルスを、カイコ樹立培養細胞又はカイコ幼虫に
感染することによって発現させたポリペプチドを抗原と
して用いることで、かかる目的を達成し得ることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来するD
NAのうち、該DNAの5′末端から下流73塩基対以上493塩
基対以下の範囲内で切断した、該切断部位から前記DNA
の3′末端までの断片(以下、HTLV−I 5′−3′断片
と略す)により、BmNPVの多角体蛋白構造遺伝子の一部
の組換えを行い、次いで該組換えウイルスをカイコ樹立
培養細胞又はカイコ幼虫に感染させて発現されたポリペ
プチド抗原とするHTLV−I感染診断薬である。
本発明の診断薬において、抗原して用いるポリペプチ
ドは、上記HTLV−I 5′−3′断片により、BmNPVの多角
体蛋白遺伝子の一部の組換えを行い、次いで該組換えウ
イルスをカイコ樹立培養細胞又はカイコ幼虫に感染させ
て発現されたものである。以下、該ポリペプチドの製法
について詳細に説明する。
I.組換えウイルスの製法 本発明において、上記ポリペプチドの製法に用いる組
換えウイルスの製法は特に制限されるものではない。代
表的な製法として、ATL患者末梢血からリンパ球を分離
し、該リンパ球から抽出したDNAよりHTLV−I 5′−3′
断片断片を切り出し、これをカイコ発現系ベクター(pB
Fベクター)のクローニング部位に挿入して、組換えベ
クターとし、次いで該ベクターを用いてHTLV−I 5′−
3′断片をBmNPVの多角体蛋白構造遺伝子の一部と組換
えることにより製造する方法が挙げられる。
I−1 BmNPV 本発明において、HTLV−I 5′−3′断片によって組
換えられるBmNPVは、養蚕業者に広く知られているもの
であり、前田,古沢らが単離した代表的な株としてT3株
があり、この株のウイルスDNAは、米国のATCC(America
n Type Culture Collection)にATCC No.40188として寄
託されており、容易に入手し得る。又、BmNPVに感染し
たカイコより公知の方法によって単離することもでき
る。
上記BmNPVのDNAは、第1図の制限酵素地図で表わすこ
とができる。
このBmNPV DNAのうち本発明において、HTLV−I 5′
−3′断片によって組換えられる部分は、第1図に示さ
れる多角体蛋白遺伝子のうちプロモーター部分を除いた
多角体蛋白構造遺伝子の一部分である。
I−2 HTLV−I 5′−3′断片の取得方法 HTLV−Iは遺伝子としてRNAを持つレトロウイルスで
あり、感染細胞内でこの遺伝子RNAに由来して合成され
るDNAのenv遺伝子を中心とする塩基配列としては、seik
iらが“Proc.Natl.Acad.Sci.USA80"(1983)第3621頁で
発表したものが知られている。
上記塩基配列のうち、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来
するDNAとは、第3図に示す通り5180番目から6643番目
の配列をいう。即ち、この配列部分は、HTLT−Iの表存
蛋白であるgp46をコードする5180番目から6115番目まで
の配列と、HTLV−Iの膜中及び膜の内側に位置する蛋白
であるp21をコードする6116番目から6643番目までの配
列によって構成されている。
本発明において、HTLV−I 5′−3′断片の取得方法
は特に制限されない。代表的な方法にはATL患者末梢血
中のリンパ球に所在するDNAから該HTLV−I 5′−3′断
片の取得する方法が挙げられる。
代表的な方法を例示すれば、まず、ATL患者末梢血か
らリンパ球を分離し、該リンパ球からDNAを抽出し、次
いで制限酵素EcoR Iで切断し、約20キロ塩基対断片を含
むDNAを得、該DNAをシャロン(charon)4AベクターのEc
oR I制限酵素切断部位に接続した後、HTLV−Iのプロウ
イルスを含むファージをスクリーニングで単離し、該プ
ロウイルスからpUCベクターに代表される大腸菌のベク
ター系を使用したサブ・クローニング及び制限酵素によ
る切断によりHTLV−I 5′−3′断片を得る方法であ
る。
HTLV−I 5′−3′断片は、HTLV−I env蛋白遺伝子に
由来するDNAのうち、該DNAの5′末端から下流73塩基対
以上493塩基対以下の範囲内で切断した、該切断部位か
ら前記DNAの3′末端までの断片であればすべて適用で
きる。該HTLV−I 5′−3′断片を、前記seikiらが発表
しているHTLV−I env蛋白遺伝子配列で説明すると5253
番目から5673番目以内で切断され、該切断部位から6643
番目までの断片に相当する。即ち、HTLV−I 5′−3′
断片は、HTLV−I env蛋白遺伝子のうち、gp46をコード
するDNA配列部分の特定の一部とp21をコードするDNA配
列部分より構成されている。
上記切断部位の好適なる部位を示せば、HTLV−I env
蛋白遺伝子に由来するDNAの5′末端から下流へ494塩基
対隔てた位置よりCGと配列しているAcc I制限酵素切断
部位、或いは上記DNAの5′末端から下流へ74塩基対隔
てた位置にCと配列しているPvu II制限酵素切断部位等
が挙げられる。
また、該HTLV−I 5′−3′断片は、後述するカイコ
発現系ベクターに挿入可能な大きさである限り、上記切
断部位、及びHTLV−I遺伝子に由来するDNAのうちenv蛋
白遺伝子の3′末端より下流に存在する任意の制限酵素
切断部位で切断した断片に含まれた形で採取して用いる
のが好適である。代表的なenv蛋白遺伝子の3′末端よ
り下流に存在する制限酵素切断部位としては、該3′末
端から下流へ87塩基対隔てた位置よりTGCAと配列してい
るPst I制限酵素切断部位等が挙げられる。
但し、本発明者等の知見によれば、組換えに用いる断
片は、上記HTLV−I 5′−3′断片を含んでいても、HTL
V−I env蛋白遺伝子に由来するDNAの5′末端の下流73
塩基対より、上流の塩基配列を含んでいる場合、後記す
る方法によりこの断片を用いて得られたBmNPVの組換え
ウイルスをカイコ樹立培養細胞又はカイコ幼虫に感染し
てポリペプチドを産生しようとしても、生産量が極度に
低下してしまう。例えばHTLV−I env蛋白遺伝子に由来
するDNAの全配列を用いた場合、ポリペプチドの合成は
ほとんど進行しない。
また、組換えに用いる断片が、HTLV−I env蛋白遺伝
子に由来するDNAの5′末端の下流493塩基対より、更に
下流で切断したものである場合、得られるポリペプチド
は、gp46の抗体に対して抗原生を有しなくなる。
従って、本願発明のHTLV−I 5′−3′断片はHTLV−I
env蛋白遺伝子に由来するDNAのうち、該DNAの5′末端
から下流73塩基対以上493塩基対以下の範囲内で切断し
たものであることが極めて重要である。
本発明において、前記HTLV−I 5′−3′断片は、カ
イコ発現系ベクターに組換えられた後、該組換えベクタ
ーによりBmNPVの多角体蛋白構造遺伝子の一部と組換え
て組換えウイルスとされる。組換えウイルス取得のため
に使用するカイコ発現系ベクターとしては、pBFベクタ
ーが挙げられる。pBFベクターは、第2図の制限酵素地
図により特徴づけられるものである。即ちpBFベクター
は、BmNPV DNAの多角体蛋白遺伝子のプロモーター領域
と多角体蛋白構造遺伝子前後付近及び大腸菌のベクター
であるpUCベクターの遺伝子とを含むベクターである。
上記pBFベクターは、Xba I,EcoR I,Stu I制限酵素切
断部位のクローニング部位がある。
かかるpBFベクターは、そのクローニング部位の上流
に塩基配列ATGから始まる多角体蛋白構造遺伝子をどの
部位まで含んでいるかで種類があり、第4図に示すよう
なpBF〜pBF133が存在している。
組換えベクターの製造においては、上記ベクターのう
ち挿入するHTLV−I 5′−3′断片部分とpBFベクター上
流部分とのリーディング・フレームが合うものであれ
ば、どのベクターを使用してもよい。しかし、5′−
3′断片をカイコ樹立培養細胞及びカイコ幼虫で効率よ
く発現できる組換えウイルスを作成するためには、塩基
配列ATGから開始されるBmNPV DNA由来の多角体蛋白構造
遺伝子の一部をコードした遺伝子部分を多く含んでいる
pBFベクター、例えばpBF124,pBF129,pBF133等のpBFベク
ターを使用するのが望ましい。
I−3−(1) pBFベクターへのHTLV−I 5′−3′断
片の導入方法 上記pBFベクターへのHTLV−I 5′−3′断片の挿入
は、pBFベクターのクローニング部位に存在するEcoR I,
Xba I,Stu I制限酵素切断部位を利用して行なえばよ
い。pBFベクタークローニング部位にHTLV−I 5′−3′
断片を挿入するには、DNA合成又は大腸菌のベクター系
であるpUCベクターへの挿入,切断等の公知の手段によ
り、該断片の両端にEcoR I,Xba I或いはStu I制限酵素
切断部位を接続するか、該断片の5′端にEcoR I、3′
端にStu I制限酵素切断部位を接続するか、更には該断
片の5′端にXba I、3′端にStu I制限酵素切断部位を
接続するかのいずれかの操作が一般に行われる。以上の
うちでも、HTLV−I 5′−3′断片の両端にEcoR I或い
はXba I制限酵素切断部位を接続する方法が好ましい。
そして5′−3′断片の両端にEcoR I制限酵素切断部
位を接続する場合、該断片はpBFベクターをEcoR I制限
酵素で切断したものと接続する。又、HTLV−I 5′−
3′断片の両端にXba I制限酵素切断部位を接続した場
合も同様に、該断片はpBFベクターをXba Iで切断したも
のと接続する。この場合接続に際しては、予め制限酵素
で切断したpBFベクターに対し、アルカリフォスファタ
ーゼ処理を行ない、pBFベクターのセルフライゲーショ
ン(selfligation)を避けることが好ましい。
又、HTLV−I 5′−3′断片の5′端にEcoR I、3′
端にStu I制限酵素切断部位を接続する場合、該断片
は、pBFベクターをEcoR I,Stu Iで切断したものと接続
し、HTLV−I 5′−3′断片の5′端にXba I、3′端に
Stu I制限酵素切断部位を接続する場合、該断片は、pBF
ベクターをXba I,Stu Iで切断したものと接続すればよ
い。
かかる接続方法は、リガーゼを用いて公知の方法によ
り行うことができる。例えば制限酵素で切断されたpBF
ベクターのDNAの量に対して、挿入すべき5′−3′断
片のDNA量が3〜8倍量になるように調整し、例えばTDN
Aリガーゼを用いて接続する方法である。
上記のHTLV−I 5′−3′断片を挿入したpBFベクター
の分離及び確認は、下記の方法により行うことができ
る。
即ち、分離は前記の接続反応液をJM109株(宝酒造
(株)No.9052)、MV1184株(高酒造(株)製)で代表
される大腸菌のコンピテントセルに加え、公知の方法で
大腸菌の形質転換を行ない、pBFベクターがアンピシリ
ン耐性遺伝子を含んでいることから、形質転換後の液を
アンピシリンを含んだLB寒天培地に接種し、室温以上の
適当な温度、例えば37℃で12時間〜20時間培養して出現
するシングル・コロニーを形質転換株として取得するこ
とによって行うことができる。
また、HTLV−I 5′−3′断片を挿入したpBFベクター
の確認は、軽質転換株に存在する組換えベクターボイリ
ング法(boiling法)或いはアルカリ・リシス法(alkal
i lysis法)を用いてミニ・プレパレーション(mini pr
eparation)し、組換えベクター懸濁液を取得し、この
ようにして調製した組換えベクター懸濁液をHTLV−I
5′−3′断片が挿入されていることが確認できる任意
の制限酵素、例えばEcoR I,Xba Iで切断し、切断物をア
ガロースゲル電気泳動し、エチジウム・ブロマイドによ
る染色後、予想できる位置にバンドが存在するか否かを
確認することによって行うことができる。尚、5′−
3′断片の両端をEcoR I或いはXba I制限酵素切断部位
にしたものをpBFベクターのEcoR I,Xba I制限酵素切断
部位に挿入した組換えベクターの場合は、pBFベクター
の上流部分と挿入する5′−3′断片が正しい方向に結
合しているかどうか確認できる制限酵素、例えば、BamH
I,Xho I等で切断し、その切断物を同様にアガロースゲ
ル電気泳動し、エチジウム・ブロマイドによる染色後、
予想できる位置にバンドが存在するか否かも同時に確認
するとよい。
上記方法で形質転換株として分離した組換えベクター
は、該形質転換株を増殖させることにより、その量を増
加させて使用することが好ましい。例えば該組換えベク
ターを所有する形質転換株をアンピシリンを含んだLB液
体培地に接種し、室温以上の適当な温度、例えば37℃で
12時間〜20時間振盪培養し、該培養物からアルカリ・リ
シス法(alkali lysis法)を用いてミディアム・プレパ
レーション(midiurm preparation)し、組換えベクタ
ー懸濁液を取得することによって行うことができる。
取得した組換えベクターも前記した方法と同様な方法
で再度目的の組換えベクターであるか否かを確認するこ
とが好ましい。
得られた組換えベクター懸濁液は、アールエヌエース
処理(RNase処理)して組換えウイルス取得用の組換え
ベクター懸濁液として使用することが好ましい。
I−3−(2) 組換えウイルスの取得 本発明において、HTLV−I 5′−3′断片によって、
多角体蛋白構造遺伝子の一部が組換えられた組換えBmNP
Vは、BmNPV DNAと前記組換えベクターとカイコ樹立培養
細胞にカルシウム沈澱法を用いて、同時にトランスフェ
クション(コ・トランスフェクション)し、組換えベク
ターとBmNPV DNA間の対立遺伝子を置き換えることによ
り取得することができる。
上記のコ・トランスフェクションは、具体的には0.25
M塩化カルシウム及びキャリヤDNAの存在下でBmNPV DNA
と組換えベクターDNAをモル比1:100になる様に混ぜ、そ
の後、該混合液に、0.28M塩化ナトリウムを含むHEPES緩
衝液(pH7.1)とリン酸緩衝液の混合液を添加し、混和
後、該混和液をBm培養細胞中に添加するという前田,古
沢らの方法(特公昭61−9297号)に従って行なうことが
望ましい。
コ・トランスフェクションした後、組換えウイルスを
含む反応液は室温付近の温度、例えば27℃で5〜6日間
培養し、培養後、培地を回収、遠心後、上清を組換えウ
イルスのクローニングに使用する。コ・トランスフェク
ションで得られた反応液の上清からの組換えウイルスの
クローニングは、プラークアッセイ法〔J.Seric Sci.Jp
n.53 547(1984)〕やリミッティング・ダイリューショ
ン法により組換えウイルスを単離することによって行え
ばよい。どちらの方法を使用しても良いが、操作法の容
易さ、分離回数の少なくて済む点から、リミッティング
・ダイリューション法を使用する法が良好である。
上記リミッティング・ダイリューション法を使用して
の組換えウイルスのクローニングは、コ・トランスフェ
クションで得られたウイルス液を希釈し、該ウイルス希
釈液と1×105〜1×106カイコ細胞数/mlカイコ培養培
地、好ましくはTC−10培地(第2表参照)の濃度で調整
してあるカイコ培養細胞液とを1:1で混合することによ
り感染させ、この混合液をマイクロタイタートレー中の
ウェルへ注入し、室温付近の温度、例えば27摂氏で培養
し、培養2〜7日後、マイクロタイタートレー中のウェ
ルを検鏡し、ウェル中で見られるカイコ細胞の形状、形
態で組換えウイルス存在の有無を判定する。検鏡するこ
とで見い出されるカイコ細胞の形態には、第5図に示す
ように3種類確認できる。
第5図におけるウイルスが感染した形態を示している
カイコ細胞で且つ該細胞内に多角体蛋白が検出されない
細胞のみが存在しているウェル中の培地を回収、遠心
し、その上清を回収することにより組換えウイルス液が
得られる。ウェル中に野生株であるBmNPVと組換えウイ
ルスとが混在している場合は、該ウェル中の培地を回収
し、リミッテイング・ダイリューションを繰り返し行な
い、組換えウイルスを分離することが好ましい。
II.ポリペプチドの製造 II−1 カイコ樹立培養細胞 本発明において組換えウイルスを感染させるカイコ樹
立培養細胞としては、BmNPVが増殖できるカイコ樹立培
養細胞であれば、どの細胞でも良い。
BmNPVが増殖可能なカイコ樹立培養細胞には、Volkma
n.L.E.,and Goldsmith,P.A.(1982):Appl.Environ.Mic
robiol.,44,227−233に示されているBm・N,(ATCC No.C
RL−8910)および前田らがBm・Nよりクローニングした
Bm・N2,Bm・N4のようなセルラインが知られている。BmN
PVの増殖の良さ、扱いやすさの点で、Bm・N4カイコ樹立
培養細胞を使用するのが適当である。又、感染に用いる
カイコ樹立培養細胞は、公知の培養条件、例えば、10%
小牛胎児血清を含むTC−10培地で27℃,4日間の条件で、
培養したものを使用するのが適当である。
II−2 組換えウイルスを上記細胞及びカイコ幼虫に感
染させる方法及び増殖方法 本発明において、目的とするポリペプチドは、前記組
換えウイルスをカイコ樹立培養細胞又はカイコ幼虫に感
染させ、増殖させることによって発現される。該組換え
ウイルスのカイコ樹立培養細胞への感染方法は、公知の
方法が特に制限なく使用される。例えば、準備したカイ
コ樹立培養細胞の培養液を容器に入れ、該細胞を容器の
底面に沈着させた後、該容器の底面に付着しているカイ
コ樹立培養細胞がはがれないように古い培養液を抜き取
り、安定剤としての牛胎児血清をカイコ培養培地を添加
し、該培養物に組換えウイルスを滴下する方法を用いる
のが一般的である。組換えウイルスの増殖は、組換えウ
イルスを感染させた後、室温付近の温度、例えば、27℃
で数日間培養することによって行うことができる。
培養後、感染したカイコ樹立培養細胞培養物は、遠心
分離した後、沈澱した細胞は、HTLV−I env蛋白の発現
確認及びHTLV−I env蛋白の精製に使用し、また、上清
はカイコ幼虫に感染させる組換えウイルス液として使用
してもよい。
また、組換えウイルスをカイコ幼虫に感染させる方法
も特に制限されない。一般に、感染させるカイコ幼虫
は、カイコ5令幼虫を使用するのが好ましい。カイコ幼
虫への感染は、前記のカイコ樹立培養細胞への感染で上
清として得られるウイルス力価を高めた組換えウイルス
液又は該操作を行なわない組換えウイルス液を経皮的に
10〜100μ程注入することで行なうことができる。組
換えウイルスを感染させた後、感染カイコを飼育するこ
とで、組換えウイルスを増殖させ、多角体蛋白とHTLV−
I env蛋白の特定部の融合蛋白がカイコ幼虫の脂肪体内
に蓄積される。
カイコの飼育方法は、特に制限されないが、桑の葉或
いは桑の葉をホモジェネートし、滅菌後凍結乾燥したペ
ースト様試料(協同試料(株)社製等)に蒸留水を浸し
たものいずれかを与え、室温付近の温度、例えば、27℃
で培養する一般的な方法を採用すればよい。
飼育期間は、カイコ幼虫が死亡する直前まで行なうこ
とが好ましい。感染させる組換えウイルス液のウイルス
の力価で飼育期間は多少異なるが、感染して3日〜5日
後を飼育期間の目安とすることができる。
上記のカイコ幼虫から、脂肪体を取り出し、該脂肪体
を特定のHTLV−I env蛋白発現の確認および該HTLV−I e
nv蛋白の精製に用いる。
上記脂肪の取得方法は、組換えウイルスを感染したカ
イコ幼虫を中腸を切らないように注意深く表皮を切るこ
とで解剖し、中腸等の器官を除去後、スパチュラ等で下
腹部に蓄積している脂肪体をかき取ることにより取得す
る方法が推奨される。
本発明において、前記方法で得られた組換えウイルス
感染カイコ樹立培養細胞及び組換えウイルス感染カイコ
幼虫の脂肪体からポリペプチドを分離する方法は特に制
限されないが、例えば、PBS緩衝液等の中性緩衝液に該
カイコ樹立培養細胞又は脂肪体を顕濁し、ソニケーショ
ンによる分散後、尿素水溶液を添加して再度ソニケーシ
ョンした後、遠心分離し、沈澱物を回収する方法が好適
である。
また、上記のポリペプチドはpBFベクターの有す多角
体蛋白遺伝子部分の発現による多角体蛋白の一部とHTLV
−I 5′−3′断片部分の発現によるHTLV−I env蛋白の
特定部の融合蛋白である。そして、HTLV−I 5′−3′
断片は、前述した通りgp46の特定の一部をコードするDN
A配列部分とp21をコードするDNA配列部分により構成さ
れている。しかしながら、上記ポリペプチドの分子量
は、15〜35kdであり、上記DNA配列から予測されるもの
よりp21の分子量だけ小さいものである。そして、後述
する実施例から明らかな様に、本発明で得られるポリペ
プチドは、抗多角体蛋白抗体及びHTLV−I患者血清とは
良好に抗原−抗体反応をおこすが、正常人血清及びp21
に対するモノクローナル抗体とは抗原−抗体反応をおこ
さない。即ち、該ポリペプチドにおいて含有されるHTLV
−I env蛋白は、HTLV−I 5′−3′断片のうち、上記gp
46に関するDNA配列部分のみの発言物で、gp46の抗体に
対して良好な抗原性を有するものである。
尚、得られた該ポリペプチドはそのまま或いは必要に
応じて、化学的あるいは酵素的方法を組合わせて多角体
蛋白部分を除くことにより、皿に精製して本発明の診断
薬の抗原として使用される。
多角体蛋白を除く方法を具体的に示せば、多角体蛋白
とHTLV−I env蛋白部分の接合部付近のアミノ酸配列を
認識する蛋白質分解酵素を使用してその部分を切断後、
ゲル濾過等の分子量の違いを利用した精製手段で精製す
るのが良好である。
次に、以上の製法により得られたポリペプチドを抗原
に用いたHTLV−I感染者の診断薬について説明する。
即ち、本発明の診断薬は、上記ポリペプチドを抗原と
し、被検液中から該抗原と抗原−抗体反応を生じるgp46
に対する抗体を、検出することでHTLV−1への感染を診
断するものである。従って、本発明の診断薬は、ATL患
者だけでなくて、HTLV−Iに感染した結果、該gp46に対
する抗体を保有している未発病者をも診断するものであ
る。また、上記被検液には、例えばHTLV−Iへの感染の
診断を所望する検体者より常法に従い採血した血液から
分離された血漿又は血清、或いはこれを適当な緩衝液で
希釈したものが使用される。本発明において、上記gp46
に対する抗体の検出は、上記ポリペプチドを抗原として
利用する限り特に制限されることなく公知の免疫学的試
験法が採用できる。好適に採用される方法を例示する
と、不溶性担体粒子に上記ポリペプチドを感作し、抗原
−抗体反応によって生じる該担体粒子の凝集反応を検出
する方法多びエンザイムイムノアッセイ法等が挙げられ
る。また、製造した上記ポリペプチドが微量であった
り、精製不十分である場合には、ウェスタンプロット法
により検出することが好ましい。以下、上記した各検出
法について説明する。
まず、上記凝集反応を検出する方法において、該凝集
反応は、マイクロタイタープレートのウェル中での粒子
の凝集状態を観察するマイクロタイター法、或いは凝集
反応の進行に伴い減少する測定系の透過率を測定する方
法等の公知の担体粒子凝集物の観察、定量方法により検
出できる。また、用いられる不溶性担体粒子は、抗原−
抗体反応に使用される公知のものが特に限定されること
なく使用される。好適に使用されるものを例示すると、
ヒト,ヒツジ,ニワトリ等の動物赤血球、ポリスチレ
ン,スチレン−ブタジエン共重合体,ポリグリシジルメ
タクリレート,アクロレイン−エチレングリコールジメ
タクリレート,ポリカーボネート等の乳化重合により得
られる有機高分子ラテックス,無機化合物粒子が重合体
層で被覆された複合重合体粒子、ガラスビーズ,シラス
ポーラスガラス,シリカ,アルミナ等の無機有機粒子が
挙げられる。このうち、マイクロタイター法の実施に際
しては、特開昭62−286533号公報に記載される複合重合
体粒子が、高い単粒子性を有し、非特異的な反応も少な
い為好ましい。上記不溶性担体粒子の平均粒子径は、0.
5〜3.0μm、好ましくは1.0〜2.0μmのものが用いられ
る。上記不溶性担体粒子にポリペプチドを感作する方法
は、特に限定されることなく公知の抗原感作方法が実施
できる。好適な方法を例示すると、タンニン酸,グルタ
ールアルデヒド,ビスジアゾベンジジン,トリレンジイ
ソシアネート,ジクロロニトロベンゼン,カルボジイミ
ド類,キノン類,塩化クロム等のカップリング剤を用い
た化学的結合法、又は物理的吸着法等が挙げられる。ま
た、不溶性担体粒子一粒子当りに感作されるポリペプチ
ド量は、ポリペプチド(mg)/不溶性担体粒子の表面積
(m2)の比が0.1〜10mg/m2の範囲にあることが好まし
い。
次に、エンザイムイムノアッセイ法は、固相に感作さ
せた上記ポリペプチドと反応した被検液中のgp46に対す
る抗体を、酵素を抗体に化学的に結合させた酵素標識抗
体を用いた直接法,間接法等により検出することで実施
できる。使用される固相は、ポリスチレン,ポリカーボ
ネート,ポリプロピレンおよびポリビニール製等のマイ
クロタイタープレート,ビーズ,スティック,試験管等
の物理的吸着に供される公知の固相が何ら制限されるこ
となく使用され、このうち特に市販されるエンザイムイ
ムノアッセイ用マイクロタイタープレートを用いること
が好ましい。該固相へのポリペプチドの感作は、ポリペ
プチドを0.01〜0.1Mのリン酸緩衝液に懸濁し、4〜37℃
で1時間以上放置することで実施できる。また、固相に
感作させるポリペプチド量は、ポリペプチド(mg)/固
相の表面積(m2)の比が0.5〜50mg/m2の範囲にあること
が好ましい。使用する酵素標識抗体は、ヒト抗体と反応
性を有し、標識酵素が化学結合したものであれば特に限
定されず、例えば市販されるアルカリホスファターゼ,
ペルオキシダーゼ,グルコースオキシダーゼ等の酵素で
標識されたヤギ抗ヒトIgG抗体,マウス抗ヒトIgG抗体,
ヤギ抗ヒトIgM抗体,マウス抗ヒトIgM抗体等が使用でき
る。検出に用いられる基質は、上記酵素標識抗体に標識
された酵素に応じて適宜使用すれば良く、例えば該酵素
としてアルカリフォスファクターゼを選択した場合にお
いては、p−ニトロフェニルフォスフェート等を使用す
れば良い。尚、測定に際し、被検液である血漿又は血清
は、原液のまま加えても良いが、好ましくはPBS緩衝
液、正常ヤギ血清等で10〜1000倍希釈して用いるのが良
い。
また、ウェスタンブロット法は、例えば、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA76,4350(1979)においてTobin等が提案す
る公知の方法に準じて実施することができる。前記ポリ
ペプチドと被検液中のgp46に対する抗体との抗原−抗体
反応の検出は、上記文献に記載されるラジオオートグラ
フィー、蛍光免疫法及びエンザイムイムノアッセイが特
に限定されることなく実施できる。しかしながら、簡便
さと保存性の面から上記エンザイムイムノアッセイの直
接法又は間接法を実施することが好ましい。転写に用い
る膜は、ウェスタンブロットに使用される公知のものが
特に限定されることなく使用できる。好適に使用される
ものを例示すれば、ニトロセルロース膜,ナイロン膜,
ポリビニデンジフルオライド膜,ジアゾ化アミノベンジ
ルオキシメチル膜,ジアゾ化アミノフェニルチオエーテ
ル膜,ジエチルアミノエチル膜等が挙げられ、このうち
ニトロセルロース膜を用いるのが好ましい。
〔発明の効果〕
本発明の診断薬において、抗原として使用するポリペ
プチドは、HTLV−I env蛋白のgp46に対する抗体に対し
て良好な抗原性を有するものである。従って、本発明の
診断薬は、HTLV−I感染の診断を高感度で行うことがで
きる。また、HTLV−I感染者の血漿又は血清の中には、
5〜10%の割合でgp46を抗原として反応させた場合しか
陽性を示さないものが存在するから、上記結果をp21の
抗体に対して抗原性を有するポリペプチドを抗原に用い
た場合の判定結果に補足させることにより、より確実な
HTLV−Iへの感染の診断を行うことが可能である。
また、他の非特異的免疫反応を生ずる抗原を含んでい
ないため、HTLV−Iに感染していないにもかかわらず陽
性としての結果となる偽陽性の被検体を生ずることな
く、HTLV−I感染者の診断を行うことができる。従っ
て、本発明の診断薬は、例えば輸血における供血者を被
検液として診断すること等により、HTLV−I感染者を発
見しHTLI−Iへの感染の防止を行うことができ、産業上
の利用価値は極めて大きいものである。
〔実施例〕
製造例1 (HTLV−I env蛋白遺伝子由来のDNAの取得) ATL患者末梢血10mlから公知の方法に従いリンパ球を
分離り、該リンパ球をプロテインナーゼK(シグマ社製
P0390)で処理した後、フェノール・クロロホルム抽出
エタノール沈澱を行いATL患者由来のリンパ球のDNA1mg
を得た。
該DNA10μgを第4表No.1に示す組成の溶液中でEcoR
I制限酵素(宝酒造(株)製No.1040)により切断し、エ
タノール沈澱後、TE緩衝液200μに溶解した。
そして該溶液を、ショ糖密度勾配遠心(ショ糖10〜40
%wt/vol,26000rpm,18時間)にかけ、アガロースゲル電
気泳動による確認で20キロ塩基対に相当するDNA断片を
得た。次にこのDNA断片1.0μgをシャロン4Aベクター
(ベクターDNA、榊佳之 講談社 1986参照)のEcoR I
切断部位に該DNA断片を挿入した。
この接続は、T4DNAリガーゼ(宝酒造(株)製No.2011)
を用い、接続反応は、第5表に示すような組成の溶液中
で、15℃,12時間行なった。次いで、得られたDNAについ
てイン・ビトロ・パッケージングを行なった後、処理液
を遠心分離(7000rpm,2時間)し、上清をプラークハイ
ブリダイゼーション用の組換えファージ液とした。該組
換えファージ液を指示菌LE392(宝酒造(株)製)に感
染し、プラークを形成した後、32PでラペルしたHTLV−
I pol DNA含有断片をプローブにプラークハイブリダ
イゼーションを行ない、HTLV−I遺伝子由来のDNAを含
むファージを単離した。得られた組換えファージを、第
4表No.1に示す組成の溶液中で、Hind III(宝酒造
(株)製)、EcoR I(宝酒造(株)製No.1040)制限酵
素により切断し、HTLV−I遺伝子由来のDNAのうちenv−
px−LTR領域に相当し、かつHTLV−I env蛋白をコードす
るDNAを含む約3.9キロ塩基対のDNA断片を400μg得た。
そして、大腸菌ベクターpUC19(宝酒造(株)製No.321
9)を同様な条件下でHind III,EcoR I制限酵素により切
断し、切断部位への上記DNA断片の接続反応を行なっ
た。得られた接続反応液は、後述する、HTLV−I5′−
3′断片を含むAcc I−Xba I断片DNAと、puC18の接続反
応液と同様に、大腸菌JM109(宝酒造(株)製No.9052)
の形質転換、ミニ・プレパレーション、そしてミディア
ム・プレパレーションへと続く一連の操作に使用した。
以上の操作の結果、HTLV−I env−px−LTR領域遺伝子に
由来するDNA断片がpUC19に正しい方向で挿入している組
換えベクターPHT3.9kb/pUC19を400μg得た。
上記組換えベクターPHT3.9kb/pUC19 200μgを、第4
表No.3に示す組成の溶液中で、Pst I(宝酒造(株)製N
o.1073),Hind III(宝酒造(株)製No.1060)を使用し
て、切断し、Hind III−Pst I断片(約1700塩基対)を
得る。
一方、大腸菌ベクターpUC19を第4表No.1に示す組成
の溶液中でSal I(宝酒造(株)製No.1080)を使用して
切断し、マングビーン・ヌクレアーゼ(宝酒造(株)製
No.2420)処理後、接続し、Acc I,Sal I,Hinc II制限酵
素切断部位のないpUC19を得た。次に、該pUC19を第4表
No.2に示す組成溶液中でHind III,Pst Iを使用して切断
し、該ベクターのHind III,Pst I切断部位に上記Hind I
II,Pst I断片を切続した。
次いで、接続反応液を大腸菌JM109の形質転換、ミニ
プレパレーションと続く一連の操作に使用し、Hind II
I,Pst I断片が上記pUC19ベクターに正しい方向に挿入し
ている組換えpUC19ベクターを400μg得た。更に、第4
表No.2に示す組成の溶液中で、組換えpUC19ベクターをA
cc I(宝酒造(株)製No.1001),Xba I(宝酒造(株)
製No.1093)を使用して切断し、HTLV−I env蛋白遺伝子
に由来するDNAのうち後半分に相当するAcc I−Xba I断
片(約1060塩基対)取得した。
一方、組換えベクターPHT3.9Kb/pUC19、200μgを、
第4表No.5に示す組成の溶液中でNco I制限酵素(宝酒
造(株)製No.1160)を使用して切断し、Nco I−Nco I
断片(約610塩基対)を得た。一方、大腸菌ベクターpUC
18(宝酒造(株)製No.3218)を第4表No.3に示す組成
の溶液中でHinc II制限酵素(宝酒造(株)製No.1059)
で切断し、該ベクターのHinc II制限酵素部位に上記Nco
I−Nco I断片をフィルイン・ライゲーションによっ
て、接続した。次いで、接続反応液を、大腸菌JM109の
形質転換、ミニ・プレパレーション、そしてミディアム
・プレパレーションと続く一連の操作に使用し、Nco I
−Nco I断片が上記pUC18ベクターに正しい方向で挿入し
ている組換えpUC18ベクターを400μm得た。該ベクター
を第4表No.6に示す組成の溶液中で、Xba I,Acc I制限
酵素で切断し、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来するDNAの
前半分に相当するXba I−Acc I断片(約500塩基対)を
得た。
次いで、大腸菌ベクターであるpUC18(宝酒造(株)
製No.3319)を第4表No.6に示した組成の溶液中でXba I
制限酵素(宝酒造(株)製No.1093)により切断し、得
られたベクターと上記Acc I−Xba I断片及びXba I−Acc
I断片との接続を行なった。そして、接続反応液を大腸
菌JM109の形質転換、ミニ・プレパレーション、そして
ミディアム・プレパレーションと続く一連の操作に使用
し、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来するDNAがpUC18ベク
ターに正しい方向で挿入している組換えベクターenv/pC
U119,200μgを得た。以上の行程を第6図に示す。
(組換えベクターの製造) 前記の方法で得られた組換えベクターenv/pCU119、20
0μgを第4表No.6に示す組成の溶液に溶解し、次いでX
ba I制限酵素を断続的に9時間添加していき、切断反応
を行なった。アガロースゲル電気泳動により該切断反応
の終了を確認後、更にこの反応液にAcc I制限酵素を断
続的に4時間添加していき、切断反応を行なった。
切断後、フェノール抽出、エタノール沈澱を順次行な
った後、沈澱したDNAをTE緩衝液(pH8.0)に溶解し、該
DNA溶解液をアガロースゲル電気泳動した。そしてHTLV
−I 5′−3′断片を含むAcc I−Xba I断片に相当する
バンド部分の寒天片を取り出し、電気泳動による溶出に
よって該断片を抽出した。次いで、抽出液を更にフェノ
ール抽出し、エタノール沈澱してHTLV−I 5′−3′断
片を含むAcc I−Xba I断片を得た。
ここで、該Acc I−Xba I断片に含有されるHTLV−I
5′−3′断片は、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来するDN
Aのうち、該DNAの5′末端から下流493塩化対で切断し
た、該切断部位から前記のDNAの3′末端までのもので
ある。
一方、大腸菌用ベクターpUC118(宝酒造(株)製No.3
318)10μgを第4表No.1に示す組成の溶液に溶解し、
次いでEcoR I制限酵素を断続的に9時間添加していき、
切断反応を行なった。
次いで得られた反応液をアルカリフォスファターゼ懸
濁液(宝酒造(株)製No.2120)1μにより、60℃で3
0分間反応させた。アルカリフォスファターゼ反応停止
後、該反応液をフェノール抽出、エタノール沈澱し、Ec
oR I制限酵素で切断されたpUC18を得た。
そして、該ベクター0.2μgと前記HTLV−I 5′−3′
断片を含むAcc I−Xba I断片0.2μgを、第5表に示す
溶液中で混合し、T4DNAリガーゼを用いて、16℃,3時間
以上、フィルインライゲーションを行なった。
そして該操作により得られた接続反応液25μを大腸
菌JM109のコンピテントセル懸濁液200μに添加し、氷
上で30分間放置した。その後、42℃で2分間ヒート・シ
ョックし、更に、室温に戻した後、LB液体培地800μ
を添加し、37℃で1時間おだやかに振盪培養した。
該液体培地100μを、アンピシリン100μg/mlを含む
LB寒天培地15ml/プレートに接種後、37℃で12時間培養
した。培養後出現したシングルコロニー20個を取り出
し、それぞれをアンピシリン30μg/ml含むLB液体培地15
mlに接種し、37℃で8時間培養した。それぞれの液体培
地から1mlずつ採取し、各採取培地中の大腸菌内に所在
するプラスミドをミニ・プレパレーション法により抽出
した。得られた各プラスミドのそれぞれを、EcoR I制限
酵素及びBamH I制限酵素(宝酒造(株)製No.1010)に
より切断反応を行った。反応後、各反応液をアガロース
ゲル電気泳動し、HTLV−I 5′−3′断片を含むAcc I−
Xba I断片はpUC18に正しい方向に挿入しているプラスミ
ドを確認した。
この確認したプラスミドを所有している大腸菌が存在
する前記液体培地から0.2mlを採取し、アンピシリン100
μg/mlを含むLB液体培地50mlに接種後、37℃で12時間培
養した。
得られた液体培地中の大腸菌内に所在するプラスミド
をミディアム・プレパレーション法により抽出し、組換
えベクターAcc I Env(1000)/pUC118 400μgを得
た。
該組換えベクターAcc I Env(1000)/pUC118 200μ
gをEcoR I制限酵素により、前記と同様の切断条件で切
断した。得られた切断物を前記アガロースゲル電気泳動
することで、HTLV−I 5′−3′断片を含むEcoR I−Eco
R I断片(約1000bp)0.15μgを得た。
又、カイコの発現系ベクターpBF124、10μgをEcoR I
制限酵素により、前記と同様の切断条件で切断し、次い
でアルカリフォスファターゼ処理した。
上記HTLV−I 5′−3′断片を含むEcoR I−EcoR I DN
A断片1.25μgとEcoR I制限酵素で切断されたpBF124
0.2μgを混合し、T4DNAリガーゼにより前述と同様な方
法で接続反応を行なった。
そして、前記と同様な方法により、この接続反応液を
用いた大腸菌JM109の形質転換及び、該形質転換菌の分
離を行なった。強いで、分離された各培養物ごとで一連
のミニ・プレパレーション操作を実施し、それぞれの液
体培地の一部からプラスミドを抽出した。
次いで、各プラスミドに対して、EcoR I制限酵素及び
BamH I制限酵素による切断反応を行い、アガロースゲル
電気泳動により、HTLV−I 5′−3′断片を含むEcoR I
−EcoR I DNAがpBF124に正しい方向に挿入されているプ
ラスミドを確認した。
この確認したプラスミドを所有している大腸菌が存在
する液体培地から0.2mlを採取し、アンピシリン30μg/m
lを含むLB液体培地50mlに接種後、37℃で12時間培養し
た。
該液体培地中の大腸菌内に存在するプラスミドをミデ
ィアム・プレパレーション法により抽出し、組換えベク
ターAcc I Env(1000)/pUC118 200μgを得た。この
組換えベクターAcc I Env(1000)/pBF124はE.coliに
導入し、得られる微生物をE.coli Acc I Env(1000)
/pBF124として工業技術院微生物工業技術研究所に寄託
した。寄託番号は微工研菌寄第1092号(FERM−p10292)
である。以上の工程を第7図に示す。
(組換えウイルスの製造) BmNPV T3株のウイルスDNAと前記組換えベクターAcc I
Env(1000)/pBF124とが1:100のモル比に調合された
第1表の組成液I 245μを、第1表の組成液II 255
μと混合した。
生じた懸濁液0.5mlをTC−10(第2表)の培地のカイ
コ樹立培養細胞BmN4液(4×105Bmcells/ml)5mlに加
え、27℃,20時間の培養により、Acc I Env(1000)/pB
F124とBmNPV DNAのカイコ樹立細胞への導入を行った。
得られた培養物は、更にTC−10培地の交換を行った後、
27℃で6日間培養した。次いでこの培養物を遠心分離
(1500rpm,10分間)し、得られた上清を組換えウイルス
のクローニング用反応液とした。
該クローニング用反応液をTC−10培地で10-6,10-7,10
-8に希釈し、それぞれ10mlの希釈反応液とした。該希釈
反応液に対して、それぞれカイコ樹立培養細胞BmN4液
(105Bmcells/ml)10mlを混合し、該混合液を200μず
つ96穴のマイクロタイター・トレーの中に分注し、27℃
で4日間培養した。4日間培養後、マイクロタイター・
トレーを検鏡し、細胞表面が粗く変形しウイルスが感染
した形態を示しているカイコ樹脂培養細胞で且つ該細胞
内に多角体蛋白が検出されないウェルを見いだし、そこ
から培養物を回収した。得られた。培養物を遠心分離
(1500rpm,10分)し、上清150μを組換えウイルスの
ポリペプチド発現用反応液とした。該ポリペプチド発現
用反応液は、プラーク検定で1×107PFU/mlの力価を示
す組換えウイルス液であった。
尚、上記TC−10の培地は第2表の培地900mlをpH6.30
〜6.35に調整し、濾過減菌後、牛胎児血清100mlを添加
することにより調製される。
第 2 表 培 地 組 成 NaCl 0.5 g KCl 2.87g CaCl2・2H2O 1.32g MgCl2・6H2O 2.28g MgCl2・7H2O 2.78g Tryptose 2.0 g デキストロース(glucose) 1.1 g L−glutamine 0.3 gSoln A 100mlSoln B** 100mlSoln C*** 1ml NaH2PO4・2H2O(0.891g/100ml) 100ml NaHCO3(0.35g/100ml) 100ml H2Oで全量900mlとする soln Aの組成 L−Arginme 5.79g L−Aspatic acid 3.5 g L−Asparagine・H2O 3.98g L−Alanine 2.25g β−Alanine 2.0 g L−Glutamic acid 6.0 g L−Glutamine 3.0 g Glycine 6.5 g L−Histidne 25.0 g L−Isoleucine 0.5 g L−Leucine 0.75g L−Lysine・HCl 6.25g L−Methiouine 0.5 g L−Proline 3.5 g L−Phenyla anine 1.5 g DL−Serune 11.0 g L−Threonme 1.75gL−Valine 1.0 g H2Oで全量1000mlとする** soln Bの組成 L−Cystine 0.25g L−Tryptophane 1.0 gL−Tyrosine 0.5 g H2Oで全量1000mlとする*** soln Cの組成 Thiamine・HCl 2.0mg Riboflavine 2.0mg D−Ca pantothenate 2.0mg Prydoxine・HCl 2.0mg Para−aminobenzoic acid 2.0mg Folic acid 2.0mg Nicotinic acid 2.0mg Iso−Iuositol 2.0mg Biotin 1.0mgCholive CL 20.0mg H2Oで全量1000mlとする (ポリペプチドの製造) 上記ポリペプチド発現用反応液100μをカイコ樹立
培養細胞BmN4液(105Bmcells/ml)30mlに添加し、27℃,
5日間培養した。5日間培養後、培養物を回収し、遠心
分離(1500rpm,15分)した。
沈澱物(ウイルス成熟細胞)をPBS緩衝液で洗浄し50m
M Tris−HCl(pH7.4)400μに懸濁、ソニケーション
後、遠心分離(8000rpm,20分)した。沈澱物として得ら
れたポリペプチド90μにレムリ緩衝液200μを添
加、懸濁したものを、煮沸し、遠心した上清をSDSゲル
電気泳動の試料とした。
SDSゲル電気泳動の結果、この試料は、約20kdの位置
にバンドが検出された。(第8図に図示)この分子量
は、予測される、pBF124の有する多角体蛋白遺伝子部分
がコードする多角体蛋白部分(約4.5kd)とHTLV−I 5′
−3′断片がコードするHTLV−I env蛋白部分(約35.5k
d)の合計分子量よりも、p21の分子量分(約20kd)だけ
小さいものである。なお、第8図は、Bm細胞内でのHTLV
−I env蛋白部分発現をSDSゲル電気泳動で確認したもの
である。第8図においてlane1はサイズマーカー、lane2
は非感染カイコ細胞の蛋白、lane3はAcc I Env(100
0)/pBF124を使用した組換えウイルスを感染したカイコ
細胞の蛋白を電気泳動したものである。
一次抗体として、正常人血清、抗多角体蛋白抗体、HT
LV−I p21に対するモノクロナール抗体、及び患者血清
を使用したウエスタン・ブロット実験の経過、核20kdの
ポリペチドが抗多角体蛋白抗体、患者血清に対しては陽
性で、正常人血清、HTLV−I p21に対するモノクロナー
ル抗体に対しては陰性であることを確認した(第9図に
図示)。この結果は該ポリペチドが、多角体蛋白部分
と、HTLV−I gp46の抗体に対して抗原性を有する部分の
融合蛋白であることを示している。尚、第9図はBm細胞
内でのHTLV−I env蛋白発現をウエスタン・ブロット法
で確認したものである。lane1はサイズマーカー、lane2
〜lane5は抗原としてAcc I Env(1000)/pBF124を使用
した組換えウイルスを感染したカイコ細胞の蛋白を電気
泳動したものである。
ウエスタン・ブロッティングは、第3表に示した一次
抗体及び二次抗体を使用して、アビジン、ビオチンを基
質としたペルオキシダーゼによる呈色反応で行なった。
製造例2 製造例1で得たポリペプチド発現用反応液100μを
カイコ樹立培養細胞液(105Bmcells/ml)30mlに添加
し、27℃、5日間培養した。5日間培養後、培養物を回
収し遠心分離(1500rpm,15分)した。上清を0.1mlずつ
5令1日目のカイコ100匹にそれぞれ経皮的に注入し、2
5℃で5日間、桑葉のペースト片を与えて飼育後、解剖
し、脂肪体を集めた。該脂肪体にPBS緩衝液10mlを加え
懸濁し、ソニケーション後、遠心分離(8000rpm,20分)
し、沈澱物5mlを取得した。該沈澱物を再度ソニケーシ
ョンし、Bio−RADプロティン・アッセイにより、ポリペ
プチド量を測定した結果7.5mgであった。
ポリペプチド量測定後、50μをレムリ緩衝液50μ
に懸濁し、煮沸し、遠心した上清をSDSゲル電気泳動の
試料とした。
SDS電気泳動の結果、分子量約20kdの位置にバンドが
検出された。製造例1と同じウエスタン・ブロット実験
を行い、この20kdのポリペプチドが多角体蛋白部分とHT
LV−I gp46の抗体に対して抗原性を有する部分とを含む
融合蛋白であることを確認した。
製造例3 製造例1の(組換えベクターの製造)において、組換
えベクターenv/pUC119のXba I制限酵素による切断後の
更なる切断をPvu II制限酵素(宝酒造(株)製No.1076
B)により行ないHTLV−I 5′−3′断片を含むPvu II−
Xba I断片を得た以外は、製造例1と同様の方法を実施
した。ここで、該Pvu II−Xba I断片に含有されるHTLV
−I 5′−3′断片は、HTLV−I env蛋白遺伝子に由来す
るDNAのうち、該DNAの5′末端から下流73塩基対で切断
され、該切断部位から上記DNAの3′末端までのもので
ある。尚、Pvu II制限酵素の切断反応は、第4表No.4に
示す組成の溶液中で行なった。また、上記操作で得られ
るカイコの発現系ベクターpBF124にHTLV−I 5′−3′
断片が挿入された組換えベクターPvu II Env(1500)/
pBF124は、該ベクターをE.coliに導入し、得られる微生
物をE.coli Pvu II Env(1500)/pBF124として工業技
術院微生物工業技術研究所に寄託した。寄託番号は、微
工研菌寄第10293合(FERM−P10293)である。
上記操作の結果、1μgのポリペプチドを得た。SDS
電気泳同の結果、このポリペプチドは、分子量約32.5kd
の位置にバンドが検出された。また、実施例1と同じウ
エスタン・ブロット実験を行いこのポリペプチドが、多
角体蛋白部分とHTLV−I gp46の抗体に対して抗原性を有
する部分の融合蛋白であることを確認した(第10図に図
示)。
製造例4 製造例3に於いて得られるポリペプチド発現用反応液
を用い、製造例1と同様な方法によりポリペプチドを取
得した。得られたポリペプチドは75μgで、SDS電気泳
動の結果、このポリペプチドは、分子量約32.5kdの位置
にバンドが検出された。また、製造例1と同じウエスタ
ン・ブロット実験を行い、このポリペプチドが、多核体
蛋白部分とHTLV−I gp46の抗体に対して抗原性を有する
部分の融合蛋白であることを確認した。
第 5 表 50mM Tris−HCl(pH7.4) 10mM MgCl2 10mM dithiothreitol(DTT) 1mM ATP 実施例1 特開昭62−286533号公報実施例1の方法に従って、複
合重合体粒子を製造した。即ち、撹拌機付きガラス製フ
ラスコ中にメタノール2800cc、アンモニア水(25重量
%)616cc,水酸化ナトリウム水溶機(5モル/)21cc
を加え10℃に保った後に、テトラエチルシリケートのメ
タノール溶液(22%)1428ccを撹拌しながら25.5cc/hr
の滴下速度で添加して反応した。その後シリカ粒子を大
量のメタノール中でデカンテーションを繰り返して精製
した。
得られたシリカ粒子を沈降させ、上澄をのぞき、蒸留
水を加え、分散させ、さらに沈降させる操作を2回繰り
返し、粒子洗浄した後、分散濃度10wt%になるように蒸
留水を添加し、シリカ分散液を得た。
撹拌機付きガラス製フラスコを窒素置換した後に、上
記で得られたシリカ分散液100mlを加えて40℃に保ち、
窒素雰囲気下、撹拌下に67ミリモルのグリセロールメタ
クリレートと過硫酸カリウムを2.9ミリモル/となる
ように添加した。次いで40℃に保温し撹拌下4時間重合
を行なった。重合後、遠心分離で上澄を捨て、沈澱した
複合重合体粒子を蒸留水に再分散させた。この操作を6
回繰り返し、沈澱を洗浄し、精製した複合重合体粒子を
得た。
次いで、該複合重合体粒子の0.02M PBS緩衝液(pH7.
2)への5%分散液を、前記製造例2に従って得たポリ
ペプチドが10μg/mlの濃度で1%SDS含有1M Tris−HCl
(pH7.4)緩衝液に研濁している研濁液と等量混合し
た。室温下で1時間の放置後、0.02M PBS緩衝液(pH7.
2)を用いた遠心分離により粒子の洗浄を行い、得られ
たポリペプチド感作粒子が5%濃度で分散した溶液を調
合した。
ATL患者血清、正常ヒト血清、全身性エリテマトーデ
ス患者血清、原発性胆汁性肝硬変疾患者血清、リウマチ
患者血清のそれぞれの被検液につき、2倍希釈液を原液
とし倍数希釈法に従ってリン酸緩衝液(pH7.2)を用い
た希釈を行い、各希釈液をマイクロタイタープレートの
ウェル中に25μずつ加えた。次いで、前記調合した感
作粒子溶液を、該ウェル中に25μずつ加えていき、3
分間の撹拌の後室温下で放置した。30分後、粒子の凝集
状態を観察し各被検液ごとで、粒子リングが明らかに大
きく、リング内に凝集粒子が膜状に広がっているものが
認められるウェルにおける希釈液の最高希釈倍数をもと
め、鋭敏性を評価した。そして、抗体価が8以上になる
被検液を陽性であると診断した。以上の結果を第6表に
示す。
実施例2 製造例2に従って得たポリペプチドの代わりに製造例
4に従って得たポリペプチドを用いる以外は、実施例1
と同様な方法で、各被検液のHTLV−I感染の診断を行な
った。診断結果は、実施例1と同一のものが得られた。
比較例1 MT−2細胞(Gann72巻989頁1981年参照)を10%仔ウ
シ血清を含むRPMI 1640倍地(MAB社製 No.530−0589
1)で37℃にて3日間培養した。その後、該培養上清を1
0000rpm、30分間遠心分離し、上清を回収し、該回収し
た上清を100,000gで2時間超遠心分離し、沈渣を得た。
該沈渣を、0.01M Tris−HCl緩衝液(pH7.4)(100mM Na
Cl 10mM EDTAを含む)で溶解した後、30,000rpm1時間
遠心分離し、該上清を回収した、20〜65%のショ糖密度
勾配液を作成し、それに上記上清を層積し、30,000rpm
で18時間超遠心処理し、MT−2細胞の可溶性細胞質蛋白
液を得た。次いで、製造例2で得たポリペプチドに変え
て、上記変溶性細胞質蛋白を用いる以外は、実施例1と
同様な方法で、各被検液のHTLV−I感染の診断を行なっ
た。結果を第7表に示す。
実施例3 製造例2に従って得たポリペプチドを、OD280値が0.4
となるように1%SDS含有1M Tris−HCl(pH7.4)緩衝液
に希釈し、エンザイムイムノアッセイ用マイクロタイタ
ーのカップに150μ加えた。4℃で1夜間放置し、そ
の後排液し、脱イオン水にてカップを洗浄した。こうし
て得られたポリペプチドが感作したエンザイムイムノア
ッセイ用マイクロタイターのカップに、実施例1で使用
した各種被検液のPBS緩衝液による100倍希釈液を100μ
加えた。37℃で1時間放置した後、脱イオン水にてカ
ップを洗浄し、抗ヒトIgG抗体−アルカリホスファター
ゼコンジュゲートのリン酸緩衝液溶液100μを加え
た。37℃で1時間放置後、脱イオン水にてカップを洗浄
し、基質(p−ニトロフェニルフォスフェートを4mg/ml
となるように4mM MgCl2含有炭酸緩衝液(pH9.5)に溶解
したもの)100μを加えた。37℃で1時間放置後、1N
NaOH 100μを加えて反応を停止し、OD405値を求め
た。該OD405値が0.07以上となるものを、陽性の被検波
であると診断したところ、実施例1と同一の診断結果が
得られた。
実施例4 製造例1に従って得たポリペプチドのSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動を行った後、実施例1で用いた
各種被検液の3%牛アルブミン合有リン酸緩衝液(pH7.
2)による10倍希釈液を一次抗体として、エンザイムイ
ムノアッセイによるウェスタン・ブロット実験を行なっ
た。尚、転写用膜には、ニトロセルロース膜を使用し、
二次抵抗体には、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG
(Vector社製、No.50−0410−06)とペルオキシダーゼ
標識ヤギ抗ヒトIgM(Vector社製、No.50−0410−03)の
1:1混合液を使用した。また、呈色液には、0.05mol Tr
is−HCl(pH7.2)20ml,3,3′−ジアミノベンジジン4塩
酸塩10mg,30%過酸化水素水10μの組成のペルオキシ
ダーゼ用呈色液を使用した。呈色してバンドが認められ
たものの、一次抗体に使用した被検液を、陽性と診断し
たところ、実施例1と同一の診断結果が得られた。
実施例5 製造例1に従って得たポリペプチドの代わりに、製造
例3に従って得たポリペプチドを用いる以外は、実施例
4と同様なウェスタン・ブロット法を実施して、各被検
液のHTLV−I感染の診断を行なった。診断結果は、実施
例1と同一のものが得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図はカイコ核多角体病ウイルスのDNAの制限酵素地
図、第2図はpBFベクターの制限酵素地図、第3図はHTL
V−I env蛋白の遺伝子およびアミノ酸配列図、第4図は
pBFベクターの種類、第5図はカイコ核多角体病ウイル
スおよび組変えウイルスが感染したカイコ細胞、第6図
はHTLV−I env蛋白遺伝子由来のDNAの調整法、第7図は
組変えベクターの調整法、第8図はカイコ樹立培養細胞
内で発現したポリペプチドをSDSゲル電気泳動で確認し
た写真、第9図および第10図はカイコ樹立培養細胞内で
のHTLV−I env蛋白発現をウェスタン・ブロット法で確
認した写真をそれぞれ示す。 Hd III……Hind III、N……Nco I、Ac……Acc I、Ec…
…EccR I、Sp……Sph I、Sa……Sal I、Hi II……Hinc
II、B……BamH I、X……Xba I、Pv……Pvu II

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成人T細胞白血病ウイルス外皮蛋白遺伝子
    に由来するDNAのうち、該DNAの5′末端から下流73塩基
    対以上493塩基対以下の範囲内で切断した、該切断部位
    から前記DNAの3′末端までの断片により、カイコ核多
    角体病ウイルスの多角体蛋白構造遺伝子の一部の組換え
    を行い、次いで該組換えウイルスをカイコ樹立培養細胞
    またはカイコ幼虫に感染させて発現されたポリペプチド
    を抗原とする成人T細胞白血病ウイルス感染診断薬。
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