JP2654969B2 - 嵩高織物とその製造法 - Google Patents

嵩高織物とその製造法

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JP2654969B2 JP63184839A JP18483988A JP2654969B2 JP 2654969 B2 JP2654969 B2 JP 2654969B2 JP 63184839 A JP63184839 A JP 63184839A JP 18483988 A JP18483988 A JP 18483988A JP 2654969 B2 JP2654969 B2 JP 2654969B2
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D02YARNS; MECHANICAL FINISHING OF YARNS OR ROPES; WARPING OR BEAMING
    • D02GCRIMPING OR CURLING FIBRES, FILAMENTS, THREADS, OR YARNS; YARNS OR THREADS
    • D02G3/00Yarns or threads, e.g. fancy yarns; Processes or apparatus for the production thereof, not otherwise provided for
    • D02G3/22Yarns or threads characterised by constructional features, e.g. blending, filament/fibre
    • D02G3/34Yarns or threads having slubs, knops, spirals, loops, tufts, or other irregular or decorative effects, i.e. effect yarns

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は合成繊維マルチフイラメント糸を用いた嵩高
織物およびその製造法に関する。さらに詳しくは合成繊
維マルチフイラメント糸を用いた高密度嵩高織物および
その製造法に関する。
[従来の技術] 古くはスキーウエアや登山ウエア等の防寒衣料の分野
には綿の高密度織物が使用されて来た。綿の高密度織物
は木綿の細番手糸を経、緯糸に用い、高密度に製織しな
ければならないから、他の織物の製織にくらべ経糸切れ
が多発し、製織能率が低下することから極めて高価とな
り、一般への普及も妨げられるという欠点があった。
そこで合成繊維は、マルチフイラメント糸を用いて高
密度織物の開発が行なわれたが、高密度下、製品の風合
のいずれにおいても満足なものは得られていない。
合成繊維マルチフイラメント糸は紡績糸にくらべて極
めて均斉な太さをもった糸条であるが、嵩高性に欠ける
という欠点がある。したがって合成繊維マルチフイラメ
ント糸のもつ均斉な太さを損なうことなく、嵩高化する
技術が種々提案されている。これらの手段としては仮撚
捲縮加工、押込捲縮加工、賦型捲縮加工、擦過捲縮加
工、流体捲縮加工などがあげられる。中でも流体捲縮加
工によって得られた糸条は他の捲縮加工によって得られ
た糸条とは異なり、非伸縮性で嵩高であるという特徴を
もっており、この糸条を用いた織物は他の捲縮加工糸を
用いたものに比べ、形態安定性に優れている。したがっ
て、この糸を用いて製織した織物は糸むらのない均一な
外観をもち、かつ嵩高性に優れたものが得られる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、流体捲縮加工により嵩高糸はその表面
に微細な開ループと閉ループとが混在して突出した形態
をもっていることから、嵩高性に優れてはいるものの、
高次加工通過性は余りよくない。特に織物とする場合、
経糸に使用すると、前記した微細な突起をもっているた
めに、綜絖や筬の通過性が悪く、糸切の原因となるばか
りでなく、隣接する経糸同志がフアスナー効果により絡
み合って開口不良を起す原因となり、製織能率を著しく
低下させるれ結果、高密度織物の経糸には利用できない
という致命的な欠陥を有していた。
本発明の目的は、上記した従来技術の欠陥を改善し、
表面に開ループと閉ループとが混在して突出している流
体捲縮加工によって得られた嵩高糸を経糸もしくは緯糸
に用い、従来では得られなかった高密度でしかも優れた
風合を有する新規な嵩高織物と、その織物を能率よく製
造するための新規な製造法を提供せんとするものであ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記の目的を達成するために次の構成から
なるものである。
先ず本発明に係る嵩高織物は、経糸または緯糸の一方
の糸が糸の表面に開ループと閉ループとが混在して突出
している合成繊維マルチフイラメント嵩高糸からなり、
他方の糸が織物の単位長さ当りのフイラメント長が異な
るものの集合された合成繊維マルチフイラメント混繊糸
からなっていることを基本としている。
次に本発明に係る嵩高織の製造法は、少なくとも2種
の合成繊維マルチフイラメント糸をオーバフィード率を
異にして流体乱流域を通過させて得た糸の表面に開ルー
プと閉ループとが混在して突出している嵩高糸を、織物
の経糸または緯糸の一方の糸条とし、収縮率の異なる合
成繊維マルチフイラメント糸が集合されてなる混繊糸を
他方の糸条として織物を織成したのち、該織物を熱処理
により前記混繊糸を該糸の長さ方向に収縮せしめること
を基本とするものである。
本発明を更に詳しく説明する。
本発明に係る嵩高織物の特徴は、合成繊維マルチフイ
ラメント糸を用いた織物でありながら、嵩高で、かつ高
密度であることである。
嵩高であるのは糸の表面に開ループと閉ループとが混
在して突出している外観の嵩高加工糸を織物の経糸また
は緯糸の一方の糸に使用したこと、更に加えて他方の糸
として、織物の単位長さ当りのフイラメント長さが異な
るものの集合された混繊糸を用いていることに起因して
いる。
また高密度であるのは、前記したように織物の一方の
糸に織物の単繊維長さ当りのフイラメント長さが異なる
もの集合された混繊糸を用いていること、すなわち、収
縮率の異なるフイラメント糸を混繊せしめた異収縮混繊
糸を用いて製織し、得られた織物の状態において、少な
くとも前記異収縮混繊糸を収縮させることにより、織物
の密度を緻密にするからである。織物を製織後に高密度
化するためには異収縮混繊糸でなくとも、同じ収縮率を
示すフイラメント糸の集合させられた高収縮マルチフイ
ラメント糸を用いても事足りる。しかしこのように同じ
収縮率を示すフイラメント糸の集合させられた高収縮フ
イラメント糸を用いた場合、高密度にはなり得ても糸条
にふくらみがなく、緻密化するので織物の触感が粗硬と
なり、ソフト感を失うことになり、風合的に好ましくな
い。
前記した織物において、他方の糸に用いる嵩高加工糸
も高収縮性のものを用うれば更に織物の密度を緻密にで
きるので極めて好ましい。
本発明に用いる糸の表面に開ループと閉ループとが混
在して突出している嵩高加工糸について説明する。
一般に、本発明に用いる嵩高加工糸は、合成繊維マル
チフイラメント糸をオーバフィード下に流体乱流域を通
過させることによって得られるものである。したがっ
て、オーバフィード量の大小によってマルチフイラメン
トを構成している個々のフイラメント糸が乱流域で交絡
せしめられると共に、オーバフィードされて長くなった
個々のフイラメント糸はΩ字状またはl字状の閉ループ
と、高さの割に開口部の長さが長い弓状部をなした開ル
ープ(たるみともいわれている)の混在したループを糸
条の表面に突出した状態で交絡されているので嵩高糸が
得られる。
1本の合成繊維マルチフイラメント糸をオーバフィー
ド下に流体乱流域に供給さして重られる嵩高糸は、本発
明においても使用することは可能であるが、この嵩高糸
は織物の緯糸には使用できるものの、織物の経糸に使用
することはむつかしい。すなわち、糸の表面には開ルー
プ、閉ループが混在して突出している。したがって経糸
に用いた場合、他の糸条とは異なり、隣接する糸同志が
ファスナ作用を呈して絡み合う度合が大きいために、綜
絖の上下運動によりもたらされる開口運動において開口
不良を生じやすく、緯糸の挿入が満足に行えず、また綜
絖や筬羽との摩擦により、粗大ループやたるみなどが移
動してネップを生じ、遂には経糸切れを発生させ、製織
能率を著しく低下させるという欠陥がある。
しかしながら、次に述べる方法により製造された芯鞘
型複合糸において、嵩高の潜在化処理を施したものは外
観上の前記した閉ループ、開ループは極めて少なく、嵩
高糸とは思えない表面の平滑な糸条を用いると、前記し
たような現象はなく、織物の経糸に使用しても効率よく
製織することができる。更に嵩高性の潜在化処理を施し
た複合糸は芯糸に高収縮率のものが使用されている。こ
のために織物にしたのち熱処理などの手段により織物を
経方向および緯方向さらには経、緯方向のいずれか一方
に収縮させることに高密度化できるという利点がある。
前記した芯鞘型複合糸で潜在嵩高性のものは比較的芯
側に位置するマルチフイラメント糸(以下単に芯糸とい
う)は高収縮糸からなり、比較的鞘側に位置するマルチ
フイラメント糸(以下単に鞘糸という)は普通または低
収縮糸からなっている。そこで潜在嵩高糸の中に存在す
る開ループ、閉ループの数も少なく、大きさも小さく、
嵩高度も比較的小さい。特に粗大な開ループ(たるみと
もいう)はほとんどない。特に糸表面から0.6mm以上突
出した開ループ、閉ループは10個/m以下でほとんどない
に等しい程度のものである。
第1図は本発明に使用する潜在嵩高複合糸の製造方法
の一例を示す概略図である。
第1図に示したように、パッケージ1より解舒された
芯糸2は、第1の供給ローラ3を介して流体乱流等(実
際には圧空)を形成する加工装置4に供給される。一方
パッケージ5より解舒された鞘糸6は第2の供給ローラ
7を介して加工装置4に供給される。これらの芯糸2お
よび鞘糸6は適当なガイド8、9を介して同時に加工装
置4に供給される。これらの芯糸2および鞘糸6は適当
なガイド8、9を介して同時に加工装置4に供給され
る。
ガイド9を介さず鞘糸6をガイド8から直接加工装置
4に供給することもできる。
加工装置4の流体乱流域を通過した芯糸と鞘糸はその
表面に開ループと閉ループとが混在して突出した状態で
交絡一体の複合糸10に形成され、引取ローラ11を通過
し、続いて設けられた緊張ローラ12により複合糸10は引
取ローラ11と緊張ローラ12の間で適当な緊張率で引張ら
れ然るのち巻取装置13により複合糸10はパッケージ14に
捲上げられる。
パッケージ14に巻上げられた複合糸10は引取ローラ11
と緊張ローラ12の間で引張られることにより、加工装置
4を通過した直後において複合糸はその表面に大小様々
の閉ループ、閉ループが混在して突出し、嵩高糸となっ
ているが、大きなループが緊張により消滅する。しかし
加工装置4を通過しているので、複合糸を構成する個々
のフイラメント間の交絡は消滅しない。したがって複合
糸の嵩高は一時的に潜在化し、外観上の開ループ、閉ル
ープは少なくなり嵩高糸とは思えない表面の平滑な潜在
嵩高複合糸となる。この緊張処理を複合糸の潜在化処理
と呼ぶこととする。
潜在嵩高複合糸の製造方法は、次のような条件でなさ
れることが好ましい。
芯糸に沸騰水収縮率が10%以上で、単繊維繊度が1〜
15dのマルチフイラメント糸を用い、鞘糸に芯糸との沸
騰水収縮率の差が少なくとも5%ある単繊維繊度0.05〜
1.3dのマルチフイラメント糸を用いる。
これらの糸を個々の供給ローラから異なったオーバフ
イード率で圧空乱流域を形成している加工装置(圧空供
給量80〜120N/min)に供給し、加工装置より排出さ
れ、交絡、混繊処理を施された潜在ループヤーンを同一
の引取ローラによって引取る。
ここでいうオーバフイード率とは、供給ローラな表面
速度をV1とし、引取ローラの表面速度をV2としたとき、
フイード率をF(%)とすると、F(%)={(V1−V
2)/V2}×100の値が(+)となった場合にオーバフイ
ード率という。
そして、芯糸のオーバフイード率αを2〜15%、鞘糸
のオーバフイード率βを5〜30%となるように条件を定
めるとよい。
更に好ましい条件としては、引取ローラから引き出さ
れた糸を緊張ローラにより、前記芯糸のオーバフイード
率αに対し、0.4α〜0.8αのアンダーフイード率で連続
的に緊張せしめつつ巻き取ることである。
供給する芯糸の単繊維繊度は1〜15dのものを用いる
ことが好ましい。単繊維繊度が1dよりも細くなると熱処
理されても収縮力が小さいから実質的な収縮率が低下
し、目標とする糸収縮率は得にくくなる。また、15dよ
りも太くなると糸自身の剛性が大きくなり、編織物が粗
硬となり、風合を損ねるので好ましくない。
また芯糸自身の収縮率も大きいのが好ましいものの、
収縮率が大きい糸は寸法安定性や、経時変化を持ち、製
品の品質安定上問題がある。通常10〜30%のものが好ま
しい。
また、鞘糸は単繊維繊度が0.05〜1.3dのものが良い。
単繊維繊度が0.05d以下のものも好ましいが、細くなる
と、毛羽などの発生で糸の取扱いが困難となる。また、
1.3dよりも太くなると、細かいループができにくいし、
布帛とした場合、触感が粗硬となるので好ましくない。
また、鞘糸の収縮率は低い方が良い。しかし、特殊な
糸は糸加工性や、染色の問題も有り、普通収縮糸(△s
=7.5%程度)を用いるのが良い。要はループ、タルミ
の顕在化は芯糸と鞘糸の収縮率差に依存するもので、こ
の値が少なくとも5%あることが好ましい。また、潜在
ループヤーンを製造する過程においては芯糸のオーバフ
イード率αを2〜15%、鞘糸のオーバフイード率βを5
〜30%とし、両者の差β−αを3〜15%とするのが良
い。
この条件は小さなループ、タルミを圧空乱流域で多く
作るのに適した領域である。
得られる潜在嵩高複合糸は、糸の表面に微細なルー
プ、タルミを有する異収縮交絡混繊合成繊維マルチフイ
ラメント複合糸であり、無緊張下での熱処理により、前
記微細なループの数、および大きさを増大させることが
できるものである。
上記の微細なループは、下記に定義するループAが30
0個/m以上、ループBが50個/m以上、ループCが10個以
下程度有しているものである。また、98℃の熱水中で10
分間自由収縮させて熱処理したときには、乾燥後のルー
プBの熱が熱処理前の1.5倍以上、ループCが50個/m以
上となる。
ここでいうループA、ループB、ループCとは走行中
の糸のループ数や毛羽数を計測する光電型毛羽測定機
(TORAY FRAY COUNTER)を用い、糸速度50m/min、走
行張力0.1g/dの条件で測定し、糸表面より0.15mm以上突
出したループ個数/mをループA、0.35mm以上突出したル
ープ個数/mをループB、および0.6mm以上突出したルー
プ個数/mをループCとしたものである。
上記の潜在嵩高複合糸は、糸表面から0.6mm以上突出
したループ、タルミが10個/m以下と極めて少なく、ほと
んどないに等しい程度のものである点に特徴を有する。
すなわち、糸が圧空乱流域を通過し、交絡混繊複合糸
として加工された直後の状態においては嵩高糸としての
外観はほとんど見られない。
しかしこの潜在嵩高複合糸を98℃の熱水中で10分間無
緊張下で熱処理を行なうと、芯糸は高収縮糸であり、鞘
糸は低収縮水または普通収縮糸であるから、潜在嵩高複
合糸自体が収縮する。
潜在嵩高複合糸自体が収縮すると、この糸を構成して
いる芯糸個々のフイラメントと鞘糸のフイラメントとは
互いに交絡によって縺れあっており、しかも鞘糸は普通
収縮糸もしくは低収縮糸であるから、個々のフイラメン
トの収縮は少なく、芯糸の収縮にともなってループ、タ
ルミとなって糸表面に突出した嵩高な潜在ループヤーン
となる。
熱処理によりループ、タルミを顕在化させた顕在ルー
プヤーンは糸表面0.35mm以上突出したループBは処理前
のそれに比べて1.5倍以上、糸表面から突出したループ
Cは50個/m以上に増加し、嵩高性を著しく増加させる。
複合糸の潜在化処理は前記した緊張処理のほかも緊張
下での低温熱処理、加撚、擦過などの手段も利用でき
る。
このように潜在嵩高複合糸は前記したようにその糸表
面は平滑であるから、普通の合成繊維マルチフイラメン
ト糸と同様に扱うことができ、織物の経糸に用いても製
織能率を低下させることもない。
本発明に用いるもう一つの混繊糸について説明する。
この混繊糸は収縮率の異なる単繊維が集合されてなる
ものである。収縮率の異なる単繊維が集合されていると
いうことは次に説明するような状態を含むものである。
例えば延伸倍率の異なる糸条を複数本引揃えて一本のマ
ルチフラメント糸としたものがあげられる。また熱処理
の度合の異なる糸条を複数本引揃えて一本のマルチフイ
ラメント糸としたものもある。更にはマルチフイラメン
トを構成する個々のマルチフイラメントがその長手方向
に周期的あるいはランダムに収縮率が変化して分布をも
つているが、マルチフイラメント糸の同一部分における
個々のフイラメントは各々異った収縮率をもたないよう
なマルチフイラメント糸もある。或は収縮率の異なる異
種のポリマー、たとえばポリエステル糸とポリアミド糸
の混繊糸、ホモポリマからなる糸とコポリマーからなる
糸の混繊糸もある。
上記したような態様の混繊糸は個々のマルチフイラメ
ント糸を複数本単に引揃えたものでもよく、また引揃え
た複数本のマルチフイラメントに交絡を付与するか、撚
を付与して集束性をもたせたものであってもよい。
本発明に用いる嵩高糸および混繊糸において、これら
の糸条は低収縮率をもつフイラメント群と高収縮率をも
つフイラメント群から構成されていることについて既に
述べた。高収縮率のフイラメント群は織物の組織抵抗に
打勝って糸条を収縮させる作用を奏し、低収縮率のもの
は糸の収縮に伴なって糸軸とは直角方向に膨らむので織
物全体としては高密度でかつ嵩高となるのである。した
がって、高収縮率のフイラメント群は織物の組織抵抗に
打勝つて糸条が収縮するだけの機能を示さなければなら
ないからそれ相当の収縮率をもつと共に、少なくとも糸
条全体の少なくとも1/3の太さを有し、必要な収縮力を
示すものでなければならず、糸条全体として少なくとも
7%の沸騰水収縮率をもつものであることが好ましい。
この値が7%以下では、高密度の織物を得ることができ
にくい。一方低縮率のフイラメント群は高収縮率の繊維
群の収縮に伴なって、高収縮率の単繊維群との収縮率の
差分の長さに相当するものが糸軸とは直角方向に膨出す
る。したがって両者の収縮率の差は少なくとも5%はな
いと嵩高性を発揮しにくいし、低収縮率の単繊維群の量
が少ないとこれまた嵩高性を発揮し得ないから糸条全体
の1/3の太さは必要となる。
前記した嵩高糸および混繊糸を用いて製織するのであ
るが、製織に際しては通常のマルチフイラメント糸を製
織する要領で実施し得る。嵩高糸の説明で述べたように
本発明において嵩高糸を経糸に用いる場合には潜在化処
理がなされている。
製織された織物を熱処理の手段によって経、緯方向に
収縮させることにより嵩高織物が得られる。
本発明に係る織物は分解したとき一方の糸は糸の表面
に開ループと閉ループとが混在して突出している嵩高糸
であり、他方の糸は織物の単位長さ当りのフイラメント
長さが異なるものの集合された混繊糸からなっている。
ここにその特徴がある。
嵩高糸は潜在化処理が施されたものが用いられている
が、織物を熱処理することにより開ループや閉ループが
芯糸の収縮により強調されて発現する結果、上記の如き
性状を示すものである。
一方混繊糸は製織に供する際、混繊糸を構成するフイ
ラメント糸相互に長さの不同はないが、この糸は元来個
々のフイラメントは収縮率は異なるものが混在している
のであるから、織物とし、該織物を熱処理して得たもの
を分解すると織物の単位長さ当りのフイラメント長は異
なったものとなっているのである。
本発明に係る織物は糸使いを適当に選ぶことにより、
薄地織物にも厚地織物にも適用可能である。
実施例1 経糸に用いる異収縮混繊糸は次のようにして得た。先
ず、ポリエステルマルチフイラメント糸50デニール、36
フイラメントで沸騰水収縮率8%のものをオーバフィー
ド率7%、ヒータ温度250℃で沸騰水収縮率が2%とな
るように糸速を調整して処理した。
この収縮率調整を実施した糸条とポリエステルマルチ
フイラメント糸で30デニール6フイラメントの糸条を引
揃えて圧空流量59N/minの条件下でインタレース処理
を行ない異収縮混繊糸を得た。得られた糸条と沸騰水収
縮率は7%であった。
緯糸には沸騰水収縮率が20%のポリエステルマルチフ
イラメント糸75デニール36フイラメントと沸騰水収縮率
が8%のポリエステルマルチフイラメント糸75デニール
72フイラメントを用い前者のオーバフィード率を9%、
後者のオーバフィード率を50%として圧空供給量90N/
minの流体乱流ノズルに導き嵩高糸を得た。この糸の沸
騰水収縮率は19%であった。
これらの経糸および緯糸を用いて経密度146本/25.4m
m、緯密度68本/25.4mm製織した。
このようにして得られた織物をリラックス処理、染色
加工を施して仕上げたところ、緯糸密度178本/25.4mm、
緯糸密度79本/24.5mmであった。
触感はこれまでにないスパンライクでしかもシルキー
調で経糸はふくらみをもち、組織上では鼓形を呈するこ
とからやわらかい風合の織物が得られた。得られた織物
の表面拡大写真を第2図に示す。なお、第2図におい
て、経糸は図の縦方向に配列されたものと一致する。
実施例2 経糸にポリエステルマルチフイラメント糸として、そ
の構成が30D−12Fの沸水収縮率20%と、8.5%からなる
異収縮混繊糸50D−24F三角断面ブライト糸に200T/Mの撚
糸を与え、通常の製織工程による経糸準備を行ない、ウ
オータージェットルームに仕掛けた。
緯糸として、ポリエステルマルチフイラメント糸とし
て比較的芯側を構成する原糸に、沸騰水収縮率20%を有
する30D−12F丸断面ブライト糸と比較的鞘側を構成する
原糸に沸水収縮率8%を有する30D48F丸断面ブライト糸
を用い、前者のオーバーフイード率を9%とし、後者の
オーバーフイード率を1%とし、圧空供給量90N/min
の流体乱流ノズルで交絡混繊後、−5.4%のアンダフイ
ード率で巻取り、潜在ループヤーンを得た。
これらの経糸と緯糸を用い、ウオータージェットルー
ムで経糸密度137本/25.4mm、ヨコ糸密度92本/25.4mmで
平織を製織した。このようにして得られた織物を98℃で
リラックス処理、180℃の中間セット、5%のN減量130
℃液流染色仕上げを行ない、経糸密度169本/25.4mm、緯
糸密度113本/25.4mmを得た。
該織物は表面に緯糸の潜在ループヤーンが発現した閉
ループと開ループおよび経糸の異収縮混繊糸が発現した
鼓形状の単繊維のタルミが混在し、ソフトでスパンライ
クなこれまでにない風合のシルキー調織物が得られた。
また、同一の生機を加工する際、染色加工工程にシワ
加工工程を入れることによって、さらに変化のある風合
が得られ、また撥水処理をすることによってコート用途
に適する織物が得られることがわかった。
[発明の効果] 本発明上記した構成とすることにより、次のような優
れた作用効果を奏するものである。
イ)本発明に係る嵩高織物は嵩高糸によってマルチフイ
ラメント糸でありながら紡績糸風の触感と風合をもち、
一方混繊糸によってマルチフイラメント糸の均斉さを保
持した独特の外観と風合をもつ織物が得られる。
ロ)経、緯いずれも高密度でありながら、嵩高である。
したがって防水性でかつ透水性に優れた織物が得られ
る。
ハ)本発明に係る嵩高織物は糸表面に開ループ、閉ルー
プが混在して突出している嵩高糸を用いながら製織性は
普通糸を用いた場合と同様、極めて高能率である。この
ことは嵩高糸を潜在化処理することにより初めて可能と
なったものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明に使用する潜在嵩高複合糸の製造方法の
一例を示す概略図である。第2図は、実施例1で得られ
た本発明に係る嵩高織物の表面拡大写真を示す。 1:パッケージ、2:芯糸 3:供給ローラ、4:加工装置 5:パッケージ、6:鞘糸 7:供給ローラ、8,9:ガイド 10:複合糸、11:引取ローラ 12:緊張ローラ、13:巻取装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍋島 敬太郎 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番3号 東レ株式会社大阪本社内 (72)発明者 藤原 昇 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番3号 東レ株式会社大阪本社内 (56)参考文献 特開 平1−306645(JP,A) 特開 昭62−15353(JP,A) 特開 昭60−199945(JP,A) 実開 昭63−73377(JP,U)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】経糸または緯糸の一方の糸が糸の表面に開
    ループと閉ループとが混在して突出している合成繊維マ
    ルチフイラメント嵩高糸からなり、他方の糸が織物の単
    位長さ当りのフイラメント長が異なるものの集合された
    合成繊維マルチフイラメント混繊糸からなっていること
    を特徴とする嵩高織物。
  2. 【請求項2】糸の表面に開ループと閉ループとが混在し
    て突出している合成繊維マルチフイラメント嵩高糸が芯
    鞘構造を有していることを特徴とする請求項1記載の嵩
    高織物。
  3. 【請求項3】少なくとも2種の合成繊維マルチフイラメ
    ント糸をオーバーフィード率を異にして流体乱流域を通
    過させて得た糸の表面に開ループと閉ループとが混在し
    て突出している嵩高糸を、織物の経糸または緯糸の一方
    の糸条とし、収縮率の異なる合成繊維マルチフイラメン
    ト糸が集合されてなる混繊糸を他方の糸条として織物を
    織成したのち、該織物を熱処理により前記混繊糸を該糸
    の長さ方向に収縮せしめることを特徴とする嵩高織物の
    製造法。
  4. 【請求項4】嵩高糸の芯糸に高収縮合成繊維マルチフイ
    ラメント糸を用いることを特徴とする請求項3記載の嵩
    高織物の製造法。
  5. 【請求項5】嵩高糸および混繊糸はそれぞれ沸騰水収縮
    率が7%以上であり、かつそれぞれの糸を構成するマル
    チフイラメント糸は沸騰水収縮率の差が5%以上有して
    いるものからなっていることを特徴とする請求項4記載
    の嵩高織物の製造法。
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