JP2651783B2 - 無摩擦ベアリングを用いたシャーシダイナモメータ - Google Patents

無摩擦ベアリングを用いたシャーシダイナモメータ

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JP2651783B2 JP5164189A JP16418993A JP2651783B2 JP 2651783 B2 JP2651783 B2 JP 2651783B2 JP 5164189 A JP5164189 A JP 5164189A JP 16418993 A JP16418993 A JP 16418993A JP 2651783 B2 JP2651783 B2 JP 2651783B2
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    • F16C19/54Systems consisting of a plurality of bearings with rolling friction
    • F16C19/55Systems consisting of a plurality of bearings with rolling friction with intermediate floating or independently-driven rings rotating at reduced speed or with other differential ball or roller bearings
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシャーシダイナモメータ
に関し、より詳しくは、ダイナモメータの作動中にベア
リングによりもたらされる摩擦力を相殺、すなわち遮蔽
すべく作動する同心状に配置された内側ローラベアリン
グ及び外側ローラベアリングが組み込まれた無摩擦(フ
リクションレス)シャーシダイナモメータに関する。
【0002】
【従来の技術】シャーシダイナモメータは広範囲の用途
に使用されており、より詳しくは、自動車についての米
国環境保護庁(EPA)の排気ガス規制に準じた自動車
のエンジン排気ガス試験に関連して使用されている。一
般にこのようなダイナモメータは、試験車両の1つ以上
の車輪により駆動される1つ以上の「ロール」を有して
いる。一般に、ロールは、車両の作動中に通常遭遇する
道路負荷及び慣性力をシミュレートすべく、制御された
転がり抵抗をロールに付与する或る形態の動力吸収装置
又は動力変換装置の入力軸に連結されている。
【0003】動力吸収装置及び/又はロールの入力軸
は、一般に環状のローラベアリングにより支持されてお
り、該ローラベアリングは動力変換装置の入力軸とダイ
ナモメータのフレーム部分との間に介在されている。ベ
アリングは入力軸を支持し、固定フレーム部分に対する
入力軸の回転運動を可能にしている。
【0004】ベアリングにより入力軸にもたらされる摩
擦力を補償するため、一般にダイナモメータは、少なく
とも約20〜30分間ベアリングを「ウォームアップ」
運転しなければならない。この場合、ベアリングの摩擦
は、既知の摩擦対速度特性に従って速度と共に変化する
ものと予測される。これらの摩擦特性は外部コントロー
ラのメモリに記憶され、次に、既知の摩擦補償算法(ア
ルゴリズム)に従ってダイナモメータの外部コントロー
ラにより得られた測定データから数学的に減算される。
しかしながら、このアプローチの欠点は、ベアリングの
摩擦が、速度によってだけでなく、ベアリングの温度、
ベアリングに作用する荷重、及び作動時間の長さによっ
ても変化することである。これらのファクタは、補正算
法で正確に補償することは困難なことが実証されてい
る。更に、摩擦補償算法では、補償プログラム自体の実
行中に加えられる補正度合いを変えられるに過ぎず、実
際の車両シミュレーション中に加えられる補正度合いを
変えることはできない。従って、従来の摩擦補償算法で
は補償できなかった車両のシミュレーション試験中に生
じる車両の負荷又は周囲の室温の変化を考慮に入れるこ
とはできない。
【0005】より詳しくは、温度は、決定及び補償が特
別困難であることが実証されている。非常に多くの用途
では、ダイナモメータが低温の試験設備(cold testing
facility 、CTF)内で作動してEPA規制に従って
低温で測定できることが要求されている。このような
「低温室」はしばしば非常に高温で使用されるので、ダ
イナモメータの構成部品(より詳しくはベアリング)の
温度は急速には「一定化」すなわち安定しない。これ
は、大部分は、ダイナモメータの種々の構成部品のマス
に原因があり、実際に、ロール及びベアリング等の多く
の構成部品が金属で作られており、従って熱気及び冷気
を伝達する優れた通路が形成されている。従って、周囲
の室温は迅速に安定化するけれども、ダイナモメータの
構成部品(より詳しくはベアリング)は迅速には安定し
ない。従って、ベアリングの摩擦を正確に見積もり、試
験データとして考慮に入れることは不可能ではないにせ
よ非常に困難であり、安定なベアリングはこれらの温度
が安定するまで得られない。
【0006】従来のシステムは、加熱オイル循環システ
ムのようなベアリング加熱手段を設けることにより、又
はダイナモメータが設置されるテストセル(試験室)の
温度の温度を厳格に調節することにより、この問題を緩
和する試みがなされている。しかしながら、これらのシ
ステムは、幾分コストが嵩むものであり且つ急速な大気
温度変化を正確に考慮に入れるのに必要な制御度合いが
得られないことが実証されている。
【0007】シャーシダイナモメータの従来の設計で
は、ロール及び/又は入力軸を支持するベアリングは、
耐久性を大きくすることよりも、正確であることが最優
先考察事項として選択される。これは、通常、高耐久性
をもつけれども摩擦量の大きな低コストベアリングの使
用を犠牲にして、摩擦量が最少の高コストベアリングを
使用しなければならないことを意味している。一般には
精度が高く、耐久性の低いベアリングが使用されるの
で、ベアリングのメインテナンス及び故障は高耐久性ベ
アリングの場合よりも多い。また、一般に、磨耗から生
じるベアリングの摩擦変化を補償するのにキャリブレー
ションが必要になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、従来技術のもつ上記欠点を解消できるシャーシダイ
ナモメータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記及び他の欠点は、本
発明の好ましい実施例による無摩擦ベアリングシャーシ
ダイナモメータにより解決される。概略的にいえば、本
発明のダイナモメータは、車両の駆動輪と係合できる少
なくとも1つのロールを有している。ロールは、車両の
通常の作動中に車両が打ち勝つ必要のある道路負荷及び
慣性力をシミュレートする動力変換手段の入力軸に固定
連結される。
【0010】入力軸は同心状に配置された内側ベアリン
グ及び外側ベアリングにより支持されており、内側ベア
リングのインナレースが入力軸を支持し、外側ベアリン
グのアウタレースがダイナモメータのフレーム部分によ
り支持されている。内側ベアリングと外側ベアリングと
の間にはインナ/アウタレース部材が同心状に介在され
ており、該インナ/アウタレース部材は内側ベアリング
のアウタレース及び外側ベアリングのインナレースを形
成している。インナ/アウタレース部材は更に、入力軸
の変化する回転速度に応答するベアリング駆動モータに
連結されている。ベアリング駆動モータは、インナ/ア
ウタレース部材を、入力軸と同じ回転方向で、且つ好ま
しくは入力軸の速度より遅い(及び速い)交互の速度で
駆動するように制御される。インナ/アウタレース部材
をこのように駆動することにより、内側ベアリングの摩
擦力(通常、この摩擦力はロールの回転運動に抵抗す
る)が事実上無くなる。
【0011】本発明の好ましい実施例においては、ダイ
ナモメータは横方向に間隔を隔てた1対のロールを有し
ており、各ロールは車両の前輪又は後輪と係合し且つ駆
動される。両ロールの間には、良く知られた動力変換ユ
ニット(Power Exchange Unit 、PEU)の形態の動力
変換手段が配置されており、且つ該動力変換手段の両端
部が各ロールに固定されている。入力軸の各端部は、入
力軸と同心状に配置された環状の内側ベアリングと、こ
れらの各内側ベアリングの外側に同心状に配置された環
状の外側ベアリングとを有している。内側ベアリングと
外側ベアリングとの対の間にはインナ/アウタレース部
材が介在されており、該インナ/アウタレース部材は内
側ベアリングのアウタレースと、外側ベアリングのイン
ナレースとを形成している。各インナ/アウタレース部
材は、独立したベアリング駆動モータに作動連結されて
いる。
【0012】一方のベアリング駆動モータは、そのそれ
ぞれのインナ/アウタレース部材を、入力軸と同じ回転
方向に且つ入力軸より僅かに遅い回転速度で駆動する。
他方のベアリング駆動モータは、そのそれぞれのインナ
/アウタレース部材を、入力軸と同じ回転方向に且つ入
力軸より僅かに速い回転速度で駆動する。所定時間後
に、入力軸より僅かに遅い速度で駆動されていたインナ
/アウタレース部材が、次に、入力軸より僅かに速い速
度で駆動され、一方、入力軸より僅かに速い速度で駆動
されていた反対側のインナ/アウタレース部材が、次
に、入力軸より僅かに遅い速度で駆動される。この作動
は所定の時間(時間間隔)に従って交替され、1対以上
の内側ベアリング及び外側ベアリングを用いるときにベ
アリング駆動モータ組立体によりもたらされる摩擦力を
ほぼ完全に無くすことができる。
【0013】本発明の好ましい実施例によれば、慣用的
なダイナモメータ設計に比べ幾つかの優れた長所が得ら
れる。第1の長所は、ベアリングが安定化する前に通常
必要とされる「ウォームアップ」時間を事実上無くすこ
とができることである。従って、本発明のダイナモメー
タは、始動した直後に試験データが得られ、従来のダイ
ナモメータが必要とした20〜30分間の一般的なウォ
ームアップ時間が不要である。
【0014】本発明の他の長所は、ダイナモメータのベ
アリングを、精度よりも耐久性に重点をおいて選択でき
ることである。ベアリングによりもたらされる或る程度
の摩擦は摩擦量の如何に係わらず事実上相殺されるの
で、もはや、少なくとも或る程度の摩擦を生じる正確な
ベアリングを使用する必要はない。これにより、低コス
トのベアリングを使用することができる。
【0015】本発明の他の長所は、耐久性を犠牲にして
摩擦を最小にするように設計された潤滑剤ではなく、耐
久性に優れた潤滑剤を選択できることである。従って、
大きな耐久性が得られ、周期的なベアリングのメインテ
ナンス及び/又はキャリブレーションの頻度を低減でき
る低コストの潤滑剤を購入できる。
【0016】本発明のダイナモメータはまた、既存のベ
アリング構造に比べ作動上の多くの利益が得られる。作
動温度、荷重及び作動時間が変化しても、ベアリングの
摩擦損失は事実上ゼロに保たれる。ベアリングはダイナ
モメータの始動直後でも安定しており、周囲の室温又は
ダイナモメータに作用する荷重の変動に係わらず安定維
持される。本発明の実施例は、周囲の室温の頻繁な変化
がベアリングの安定性に大きな影響を及ぼし、且つその
ような温度変化の補償が不可能ではないにせよ困難な低
温の試験設備での使用に特に適している。
【0017】本発明のダイナモメータは、ベアリングの
磨耗を早めるベアリング摩擦を事実上無くすことができ
るため、ダイナモメータの全体的信頼性を高めることが
できる。従って、一方のベアリングが他方のベアリング
内に同心状に配置された2つのベアリングをダイナモメ
ータに組み込むことにより、ダイナモメータは、作動中
に一方のベアリングが焼き付くようなことがあっても依
然として作動できる。例えば、内側ベアリングが焼き付
くようなことがあっても、動力変換手段の入力軸は、外
側ベアリング上で依然として回転することができる。
【0018】本発明の種々の長所は、添付図面を参照し
て述べる以下の詳細な説明を読むことにより当業者には
一層明らかになるであろう。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の好ましい実施例による無摩
擦ロールシャーシダイナモメータの斜視図であり、該ダ
イナモメータのロールに接触している自動車等の後輪が
一点鎖線で示されている。図2は、図1のダイナモメー
タの平面図である。図3は、図2の3−3線に沿う図2
のダイナモメータの断面図である。図4は、図3中の円
で囲んだ中の内側及び外側ベアリングと、インナ/アウ
タレース部材との一部を示す拡大部分断面図である。図
5は、第2ベアリング組立体の内側ベアリング及び外側
ベアリングと、インナ/アウタレース部材とを示す一部
を破断した斜視図である。図6は、図4の6−6線に沿
う内側ベアリング及び外側ベアリングと、インナ/アウ
タレース部材とを示す拡大部分断面図である。図7は、
ウォームアップ中の従来のダイナモメータが受けるベア
リング摩擦による一般的なトルク損失と、ウォームアッ
プ中の本発明のダイナモメータが受けるトルク損失とを
示すグラフであり、本発明のダイナモメータのベアリン
グにはウォームアップ時間が事実上不要であることを示
すものである。図8は、本発明のダイナモメータを外部
コントローラに一般的に連結することにより形成した
「閉ループ」速度制御システムを示す概略図である。図
9は、本発明のダイナモメータの作動シーケンスを示す
フローチャートである。図10は、いずれの方向に方向
に始動する場合でもベアリングが打ち勝つ必要のある、
ゼロ速度の近くに存在するベアリングの「スティクショ
ン」摩擦の摩擦対速度の関係を示すグラフである。
【0020】図1には、本発明の好ましい実施例による
無摩擦(フリクションレス)ベアリングを組み込んだロ
ールシャーシダイナモメータ10が示されている。一般
に、ダイナモメータ10は、フレーム12と、同心状に
整合し且つ横方向に間隔を隔てて配置された直径48イ
ンチ(約122cm)のロール14、16と、これらの
両ロール14、16の間で、両ロール14、16の長手
方向回転軸線と同心状に整合して配置された動力変換ユ
ニット(PEU)18の形態をなす動力変換手段と、そ
れぞれの第1及び第2ベアリング駆動モータ組立体2
0、22とを有している。PEU18には、慣用的な電
気−光学エンコーダ組立体23が作動連結されている。
車両24の後端部が図示されており、車両24の車輪2
6がいかにしてロール14、16の外面と係合し、該ロ
ール14、16を駆動するかが示されている。一般にダ
イナモメータ10はピット30の床28に固定されるけ
れども、車輪26がロール14、16と係合する位置ま
で車両を移動させるように構成されたランプ(傾斜面)
等の形態の適当な構造体が設けられた地上レベルに取り
付けることもできる。
【0021】図2に示すように、PEU18は、第1端
部32aと反対側端部すなわち第2端部32bとを備え
た入力軸32を有することが理解されよう。好ましい実
施例では、PEU18は、慣用的なロードセル18a
と、磁束ベクトル動力変換技術を用いたAC誘導モータ
とを有し、リライエンス デ メキシコ社(メキシコ、
メキシコシティ SA(REMSA))から市販されて
いるものである。この形態のPEUは、慣用的なDC技
術を用いたPEUより、高速応答時間及び良好なゼロ速
度制御が得られ、且つ全体としてメインテナンスが少な
くて済む。また、PEU18を両ロール14、16の外
側ではなくこれらの間に配置したことにより、従来の設
計に係る殆どのダイナモメータよりもコンパクトな構造
が得られる。PEU18のロードセル18aは、車輪2
6が両ロール14、16を駆動するときの変動荷重をシ
ミュレートできるようにする。またロードセル18a
は、例えばロール14、16に作用するトルク(すなわ
ち「ロールトルク」)等の種々の性能パラメータを測定
できるようにする。
【0022】入力軸32の第1端部32aと同心状に第
1ベアリング駆動ハブ34が配置されており、該第1ベ
アリング駆動ハブ34は第1端部上で回転可能に支持さ
れている。ベアリング駆動ハブ34は、プーリ36及び
ベルト38を介してプーリ40に連結されている。この
プーリ40は、第1ベアリング駆動モータ組立体20の
モータ20aに連結されている。同様に、入力軸32の
第2端部32bは第2ベアリング駆動ハブ42により包
囲されており、該ハブ42もベアリング(図示せず)に
より回転可能に支持されている。第2ベアリング駆動ハ
ブ42は、駆動ベルト46が掛けられたプーリ44に連
結されており、駆動ベルト46は、第2ベアリング駆動
モータ組立体22のモータ22aにより駆動されるプー
リ48と係合している。ダイナモメータ10の全体は、
フレーム12の数カ所に貫通して配置された複数の慣用
的な整合/固定組立体によりピット30の床28に固定
されている。
【0023】ベアリング駆動モータ組立体20、22の
各々は、これ自体のモータ速度コントローラを備えてお
り、該コントローラはバルドー スウェオ ドライブ
ワシントン、レッドモンド市)から市販されてい
る。また、ベアリング駆動モータ20a、22aは、慣
用的なプーリ及び駆動ベルトを介してベアリング駆動ハ
ブ34、42に連結された構成が示されているが、この
連結構造は種々の方法で達成できることが理解されよ
う。例えば、慣用的なスプロケット及びチェーンを使用
することもできる。或いは、駆動モータ20a、22a
の出力軸を直接ベアリング駆動ハブ34、42に連結す
ることもでき、この場合には、入力軸32と同心状に配
置できる適当なモータを使用する。
【0024】図3には、入力軸32へのロール14、1
6の連結構造(カップリング)及び本発明のベアリング
がより明瞭に示されている。両ロール14、16は、一
体となって、好ましくは約3,000ポンド(約1,3
60Kg)の機械的基本慣性を与え、それぞれ部材14
a、16aを有している。部材14aは、ねじボルト5
2を介して入力軸32の第1端部32aに固定されてい
る。同様に、部材16aが、ボルト54を介して入力軸
32の第2端部32bに固定されている。入力軸32の
第1端部32aには更に、エンコーダ組立体23のエン
コーダ軸23aが固定されている。
【0025】入力軸32は、それぞれ本発明の第1及び
第2ベアリング組立体60、62を介して、フレーム1
2のフレーム部分56、58上に支持されている。ベア
リング組立体60、62は、それぞれフレーム部分5
6、58の内面56a、58a上に載置され且つそれぞ
れピローブロック64、66を介してフレーム部分5
6、58に固定されている。従って、両ロール14、1
6は、長手方向に延びた共通軸線の回りで入力軸32を
駆動すべく作動し、フレーム部分56、58と協働する
ベアリング組立体60、62によりフレーム12より高
く支持されている。
【0026】図4には、ベアリング組立体60がより詳
細に示されている。ベアリング組立体60は、入力軸3
2の第1端部32aの回りで同心状に配置された環状の
内側ローラベアリング68と、該内側ベアリング68と
同心状に且つ入力軸32上で内側ベアリング68と横方
向に整合して配置された環状の外側ローラベアリング7
0と、環状のインナ/アウタレース部材72とを有して
いる。インナ/アウタレース部材72は、内側ベアリン
グ68のアウタレース及び外側ベアリング70のインナ
レースを形成し、且つ内側ベアリング68と外側ベアリ
ング70との間において入力軸32上で両ベアリング6
8、70と横方向に整合して配置されている。インナ/
アウタレース部材72は、内側ベアリング68のアウタ
ベアリングケージ71及び外側ベアリング70のインナ
ベアリングケージ73と接触している。アウタベアリン
グケージ71は複数対の独立ベアリングロール69上に
載り、該ベアリングロール69はインナケージ75上に
載っている。外側ベアリング70は、インナベアリング
ケージ73とアウタベアリングケージ79との間に保持
された複数対の独立ベアリングロール77を有してい
る。インナ/アウタレース部材72はねじ76を介して
フランジ部分74に固定され、該フランジ部分74は溶
接等によりベアリング駆動ハブ34に固定されている。
従って、ベアリング駆動ハブ34が、これに関連する駆
動モータ組立体20により制御可能な可変速度で駆動さ
れると、インナ/アウタレース部材72もベアリング駆
動ハブ34と一緒に同じ速度で駆動される。
【0027】入力軸32上での内側ベアリング68の横
方向の整合の維持は、固定されたベアリングリング78
及び小さなベアリングリテーナ80により行われ、これ
らのベアリングリング78及びベアリングリテーナ80
は、ねじ82を介して一体に固定されていると同時に、
ねじ84を介してフレーム部材14aに固定されてい
る。ねじ88を介してインナ/アウタレース部材72に
固定された小さなベアリングクランプリング86は、入
力軸32上で内側ベアリング68を横方向に固定維持す
ることを更に補助する。
【0028】外側ベアリング70と内側ベアリング68
との整合の保持は、ねじ92を介してピローブロック6
4に固定された大きなベアリングクランプリング90に
より補助される。ねじ96を介してインナ/アウタレー
ス部材72に固定された大きなリテーナリング94は、
内側ベアリング68に対する外側ベアリング70の横方
向整合の維持を更に補助する。
【0029】図5を参照すると、第2ベアリング組立体
62に関連するピローブロック66が複数のねじ98を
介してフレーム部分58に固定されていることが理解さ
れよう。ピローブロック64も同じ方法で関連するフレ
ーム部分56に固定されている。従って、両ピローブロ
ック64、66は、各ベアリング組立体60、62の内
側ベアリング68及び外側ベアリング70を互いに横方
向に整合した状態並びに入力軸32に対して横方向に整
合して固定した状態に維持する働きをする。第2ベアリ
ング組立体62の構造は第1ベアリング組立体60の構
造と同じであり、第1ベアリング組立体60の構成部品
に使用する参照番号に添字「a」を付した参照番号で表
すものとする。
【0030】図4及び図5に示すように、本発明の主な
特徴は、インナ/アウタレース部材72、72aが、ア
ウタベアリングケージ71、71aを、インナベアリン
グケージ75、75a(従って、入力軸32)と同じ方
向に回転できるようにすることである。これは、さもな
くば入力軸32(従って、インナベアリングケージ7
5、75a)がロール14、16により駆動されるとき
に内側ベアリング68、68aによりもたらされるであ
ろう摩擦力を相殺する働きをする。ベアリング駆動ハブ
34、36(従って、インナ/アウタレース部材72、
72a)が、アウタベアリングケージ71、71aを、
入力軸32の回転速度に近い回転速度で、入力軸32と
同じ方向に回転させると、ベアリングロール69、69
aの転がり摩擦抵抗は事実上無くなる。従って、作動中
に、インナベアリングケージ75、75a及びアウタベ
アリングケージ71、71aはほぼ同じ速度で同方向に
回転し、これにより、ベアリングロール69、69a
を、これらが関連するインナベアリングケージ75、7
5a及びアウタベアリングケージ71、71aに対して
非常にゆっくりと移動(すなわち回転)させるに過ぎな
い。
【0031】ベアリングの反作用摩擦力に打ち勝つのに
要するエネルギは、(ベアリングの移動)×(ベアリン
グの反作用摩擦力)として定義されるので、ベアリング
(すなわち、ベアリングロール69、69a)の移動を
事実上ゼロに減少させれば、対応するエネルギ損失は事
実上ゼロになる。従って、ベアリングケージ71、71
a及び75、75aに対するベアリングロール69、6
9aの移動が事実上無くなれば、通常内側ベアリング6
8、68aにより引き起こされる寄生エネルギ損失は事
実上無くなる。従って、インナ/アウタレース部材7
2、72aの回転駆動により、事実上、通常これらのベ
アリング68、68aにより引き起こされる寄生摩擦力
損失に打ち勝つのに必要なエネルギが内側ベアリング6
8に「注入」される。
【0032】上記説明の移動が、図6に特に詳細に示さ
れている。入力軸32が時計回り方向に駆動されてい
て、インナ/アウタレース部材72を、入力軸32の回
転速度に近い速度で同じ方向に駆動する場合には、ベア
リングロール69が、入力軸32と殆ど同じ速度で入力
軸32と一緒に移動される。従って、ベアリングロール
69は入力軸32に対して殆ど移動せず、内側ベアリン
グ68の全体が、入力軸32と殆ど同じ速度で入力軸3
2と一緒に回転する。
【0033】従って、内側ベアリング68の精度、及び
さもなければ内側ベアリング68によりもたらされるで
あろう摩擦(この摩擦は、通常、入力軸32の回転移動
に対抗する)は、もはや補償すべき重要なファクタでは
なくなる。このため、内側ベアリング68、68a及び
外側ベアリング70、70aの両方に、低コストで耐久
性の大きなベアリングを使用でき、広い温度範囲で耐久
性に優れた潤滑油を使用すれば、両ベアリング68、7
0について、長寿命、最高の信頼性及び最小のメインテ
ナンスを確保できる。実際に蒸気を放出しない合成の
「Mobil Grease28」(登録商標)のような広温度範囲
の潤滑油を使用すれば、このダイナモメータ10が設置
される試験室への測定可能な量の炭化水素の排出を事実
上無くすことができる。
【0034】ベアリング68、68aのウォームアップ
時間を事実上省略できるため、ダイナモメータ10の実
用性も非常に高められる。本発明のダイナモメータ10
は、従来設計のダイナモメータが行っている、ベアリン
グを温度的に安定させるためのウォームアップ時間が事
実上不要である。摩擦損失が事実上無くなるため、ダイ
ナモメータ10のベアリング組立体60、62は、ダイ
ナモメータ10のパワーアップを行っても本質的に安定
している。
【0035】また、ダイナモメータ10が取り付けられ
た試験設備に大きな気温変化があると摩擦に大きな変化
をもたらし、これを測定結果を考慮に入れなくてはなら
ないけれども、ベアリング組立体60、62により、こ
れも事実上無くすことができる。従って、本発明のダイ
ナモメータ10は、通常は大気温度が例えば約30°F
(約−1℃)程度の比較的低いけれども、場合によって
は約70〜80°F(約21〜27℃)まで上昇するよ
うな、冷たい試験設備での使用に特に適している。
【0036】図7には、ダイナモメータ10のウォーム
アップ時間の短縮が、カーブ100、102でグラフと
して示されている。カーブ100は、従来設計のダイナ
モメータのベアリング摩擦によりもたらされる一般的な
トルク損失(始動後、ベアリングをウォーミングアップ
した場合)を示す。カーブ102は、本発明によるダイ
ナモメータ10の摩擦によりもたらされる始動後のトル
ク損失を示す。通常、従来技術のダイナモメータは、カ
ーブ100で示すように、ベアリングが比較的安定する
まで少なくとも20〜30分間運転しておかなくてはな
らない。しかしながら、本発明のダイナモメータ10に
はこのようなウォームアップ時間は全く不要であり、ベ
アリング組立体60、62は、始動とほぼ同時に事実上
安定している。
【0037】本発明のダイナモメータ10の他の重要な
長所は、ロール14、16に作用する種々の荷重及び速
度の大きな変化を、これらの変化についての所定の補正
に分解する必要なくして補償できることである(従来設
計のダイナモメータでは必要とされていた)。ベアリン
グロール69、69aの速度は、ロール14、16に作
用する荷重の如何に係わらず、これらのロール14、1
6の速度に「追従」するように調節されるので、ベアリ
ング組立体60、62は、実際に、ベアリングの荷重及
び速度変化(これらの変化は、従来設計のダイナモメー
タのベアリングシステムによりもたらされる摩擦力を変
化させる)を自動的に補償する。しかしながら、ロール
14、16の運動に対する風抵抗、摩擦以外により引き
起こされる他の抵抗、及びベアリング68、68aのあ
らゆる残留摩擦の考慮には、相変わらず従来の補償算法
を用いるのが好ましい。
【0038】図8には、関連するコントローラシステム
104に接続されたダイナモメータ10を、簡単な電気
−機械概略図が示されている。エンコーダ組立体23は
水晶発振器を有しており、ロール14、16(従って入
力軸32)の速度(ロール14、16の真の速度の約
0.01%の範囲内の速度)を表示する連続ビットスト
リームの形態のデジタル速度信号を与える。エンコーダ
組立体23は、コントローラ104の入力104aに接
続される出力を有している。コントローラ104(好ま
しい実施例では、コントローラ104は、80386マ
イクロプロセッサをベースとするコンピュータシステム
からなる)は、エンコーダ組立体23により発生され且
つライン23bを介して供給される連続データストリー
ムのような方形波の周波数をモニタリングすることによ
りロール14、16の速度をモニタリングする。次に、
コントローラ104が速度値を計算し、連続デジタルビ
ットストリームの形態の対応する出力速度信号を、独立
したRS−232インターフェース106、108を介
して各ベアリング駆動モータ組立体20、22に伝達す
る。従って、入力軸32の速度に応じて独立した駆動信
号が各ベアリング駆動モータ組立体20、22に伝達さ
れ、且つエンコーダ組立体23の出力信号の変化する周
波数に従って制御可能に変化される。これにより、各ベ
アリング駆動モータ組立体20、22が、ロール14、
16(従って入力軸32)の変化する速度に従って変化
する所定速度で、各ベアリング駆動モータ組立体20、
22が関連するインナ/アウタレース部材72、72a
を駆動することができる。
【0039】入力軸32の速度はコントローラ104に
より常時且つ同時的にモニタリングされるので、実時間
デジタル速度制御システムが形成される。これにより、
ロール14、16の速度変化を事実上瞬間的に考慮に入
れることが可能になり、且つ計算された速度信号を適当
に調節することにより、ベアリング駆動モータ組立体2
0、22が、厳密に入力軸32の速度に従ってベアリン
グ駆動ハブ34、42を駆動させることが可能になる。
【0040】図3に簡単に示すように、本発明の好まし
い実施例においては、各ベアリング組立体60、62の
インナ/アウタレース部材72、72aが、ロール1
4、16(従って入力軸32)の速度より僅かに遅い
(及び速い)速度で交互に駆動される。例えば、第1ベ
アリング駆動モータ組立体20がベアリング組立体60
のインナ/アウタレース部材72を入力軸32の回転速
度より僅かに遅い速度で駆動している間は、ベアリング
組立体62の第2インナ/アウタレース部材72aが、
入力軸32の回転速度より僅かに速い速度で第2ベアリ
ング駆動モータ組立体22により駆動される。所定時間
の経過後、各インナ/アウタレース部材72、72aが
駆動される速度が「交換」され、第1インナ/アウタレ
ース部材72は入力軸32より僅かに速い速度で駆動さ
れ、一方第2インナ/アウタレース部材72aは入力軸
32より僅かに遅い速度で駆動される。更に、各インナ
/アウタレース部材72、72aの速度は、エンコーダ
組立体23により表示されたように、入力軸32の変化
する速度に従って連続的に変化される。2つのインナ/
アウタレース部材72、72aのこの交互の「交換」
は、両ベアリング68、68aの温度をより均一に維持
し且つ両ベアリング68、68aを均一に磨耗させるこ
とにより、ベアリング組立体60、62の摩擦力をより
正確に補償できることが判明している。
【0041】実際には、入力軸32の速度から所定の少
量だけオフセット(ずらせた)速度でインナ/アウタレ
ース部材72、72aを意図的に駆動するのが、ゼロ速
度の近くに存在するあいまい領域を回避する上で好まし
い。より詳しくは、図10にカーブ110で示すよう
に、ベアリングの特徴的な摩擦対速度カーブは、ベアリ
ングをいずれの方向に始動する場合でも打ち勝たねばな
らない「スティクション」力によるゼロ速度の近くのあ
いまい領域を有している。従って、ベアリングの速度を
常時正確に制御することは不可能であるので、ベアリン
グの速度を入力軸32の常時変化速度に一致させること
を試みる制御計画では、ベアリングからの補償されない
小さな摩擦力がシステムに導入される結果をもたらす。
更に、ベアリングからのこれらの摩擦力が効果に累積
し、従って導入される誤差量を混合する傾向がある。
【0042】従って、入力軸32の速度から、ゼロ速度
の近くに存在するあいまい領域の外にベアリング速度を
移す所定量だけ意図的にオフセットさせる速度で各ベア
リング68、68aを駆動するのが好ましい。また、入
力軸32の速度より、同じ量だけ、一方のベアリングの
速度を僅かに遅くし且つ他方のベアリングの速度を僅か
に速く駆動することにより、両ベアリング68、68a
によりもたらされる摩擦力が相殺される。換言すれば、
僅かに速く駆動されるベアリングによりもたらされる正
の摩擦量は、僅かに遅く駆動されるベアリングによりも
たらされる同量の負の摩擦量により相殺される。
【0043】図9のフローチャートには、上記交換技術
がより詳細に示されている。先ず、ステップ112に示
すように「交換時間」を選択する。交換時間は広範囲に
変えられるけれども約1〜3秒の範囲が好ましく、より
好ましくは約1秒である。次に、ステップ114に示す
ように、第1ベアリング駆動モータ組立体20及び第2
ベアリング駆動モータ組立体22についてオフセット量
(1時間当たりのマイル(mph))を選択する。この
オフセット量は、入力軸32の速度に対して第1ベアリ
ング駆動モータ組立体20及び第2ベアリング駆動モー
タ組立体22を駆動すべき速度差(mph)を定める。
このオフセット量はまた、値が大きな範囲で変化するけ
れども、約1〜3mphの範囲内が好ましく、より好ま
しくは約2mphである。次に、ステップ116に示す
ように、第1ベアリング駆動モータ組立体20及び第2
ベアリング駆動モータ組立体22についてのゲイン(利
得)を選択する。各ゲインは、モータ20a、22aの
設計ファクタ並びにダイナモメータ10によりシミュレ
ートしなくてはならない荷重考察に基づいて決定された
定数を表す。
【0044】ダイナモメータ10が始動されると、ステ
ップ118に示すように、好ましくは約50ミリ秒(m
s)の最大時間をもつタイマがリセットされ且つスター
トされる(タイマはコントローラ104(図8)又はソ
フトウェアに設けられる)。次に、ステップ120に示
すように、「交換時間」タイマがリセットされ且つスタ
ートされて、交換時間を連続的にモニタリングするタイ
マを形成する。
【0045】次に、ステップ122に示すように、コン
トローラ104(図8)からロール14、16の速度が
得られ、第1及び第2ベアリング駆動モータ組立体2
0、22についての速度信号が、それぞれステップ12
4、126に示すように計算される。ステップ124、
126において計算された速度信号は、ステップ114
のオフセット量入力及びステップ116で選択されたゲ
インを考慮に入れ、且つベアリング駆動ハブ34、42
(図2)を、ロール14、16の速度から、選択された
オフセット量の値(前述のように、好ましくは約2mp
h)だけ異なる速度で駆動すべく作動する。
【0046】次に、第1ベアリング駆動モータ組立体2
0について計算された速度信号が、ステップ128に示
すように、第1ベアリング駆動モータ組立体20に加え
られる。次に、第2ベアリング駆動モータ組立体22に
ついて計算された速度信号が、ステップ130に示すよ
うに、第2ベアリング駆動モータ組立体22に加えられ
る。従って、第1ベアリング駆動モータ組立体20は、
ベアリング駆動ハブ34(従ってインナ/アウタレース
部材72(図4))を、入力軸32の速度より約2mp
hだけ遅い速度で且つ入力軸32と同じ方向に駆動す
る。第2ベアリング駆動モータ組立体22の速度信号
は、ベアリング組立体62(図3及び図5)のインナ/
アウタレース部材72aを、入力軸32の速度より約2
mphだけ速い速度で且つ入力軸32と同じ方向に駆動
すべく作動する。
【0047】次に、ステップ132に示すように、交換
時間タイマを読み取り、選択した交換時間が経過したか
否かを決定する。選択した交換時間が経過していない場
合には、ステップ134に示すように、50msタイマ
をチェックして、該タイマが時間経過(タイムアウト)
しているか否かを決定する。
【0048】交換時間タイマ及び50msタイマのいず
れもが時間経過していない場合には、第1及び第2ベア
リング駆動モータ組立体20、22について計算された
速度信号が、依然として、それぞれ第1及び第2ベアリ
ング駆動モータ組立体20、22に加えられ、ライン1
36により示すように交換時間タイマ及び50msタイ
マが再び読み取られる。しかしながら、50msタイマ
が時間経過している場合には、ステップ138に示すよ
うにタイマがリセットされ、第1及び第2ベアリング駆
動モータ組立体20、22の速度信号が再計算される
か、ライン140により示されるように第1及び第2ベ
アリング駆動モータ組立体20、22に加えられる前に
「更新」される。
【0049】交換時間タイマが時間経過している場合に
は、ステップ142に示すように、該交換時間タイマが
リセットされる。次に、ステップ144に示すように5
0msタイマがチェックされ、該50msタイマも時間
経過しているか否かを決定する。時間経過していない場
合には、ステップ146に示すように、第2ベアリング
駆動モータ組立体22について計算された速度信号が第
1ベアリング駆動モータ組立体20に加えられ、一方、
ステップ148により示されるように、第1ベアリング
駆動モータ組立体20について計算された速度信号が第
2ベアリング駆動モータ組立体22に加えられる。従っ
て、第1ベアリング駆動ハブ34が入力軸32の速度よ
り約2mph遅い速度で駆動されている場合には、ステ
ップ146、148により速度信号が交換され、第1ベ
アリング駆動ハブ34が入力軸32の速度より約2mp
h速い速度で駆動されると同時に、第2ベアリング駆動
ハブ42が入力軸32より約2mph遅い速度で駆動さ
れる。
【0050】速度信号が交換された後、ステップ150
に示すように、交換時間タイマが再度チェックされる。
交換時間タイマが時間経過していない場合には、ライン
152及びステップ144により示すように、50ms
タイマが再度チェックされ、該50msタイマが時間経
過しているか否かを決定する。交換時間タイマが時間経
過している場合には、ステップ154に示すようにタイ
マがリセットされ、且つライン156及びステップ12
8、130により示すように、第1ベアリング駆動モー
タ組立体20について計算された速度信号を該組立体2
0に加え且つ第2ベアリング駆動モータ組立体22につ
いて計算された速度信号を該組立体22に加えることに
より、速度信号が再度交換される。
【0051】ステップ144について簡単に説明を加え
ると、50msタイマが時間経過している場合には、ス
テップ158に示すようにタイマがリセットされ、且つ
ステップ160に示すように、再度両ロール14、16
(すなわち入力軸32)の速度が得られる。次に、ステ
ップ146、148に示すように、第1及び第2ベアリ
ング駆動モータ組立体20、22に加えられる前に、ス
テップ162、164に示すように、第1及び第2ベア
リング駆動モータ組立体20、22についての速度信号
が再計算される。従って、50msタイマが時間経過し
ていることが決定された場合には、入力軸32(従って
ロール14、16)の速度が得られ、ステップ160〜
164及び122〜126で示したように、第1及びベ
アリング駆動モータ組立体20、22の速度信号が再計
算される。しかしながら、或る用例(より詳しくは、低
速度作動が広範囲に亘る場合)では、50ms毎よりも
頻繁にロール速度を更新する必要があることは理解され
よう。
【0052】両ロール14、16の速度より僅かに速い
(及び僅かに遅い)速度でインナ/アウタレース部材7
2、72aを駆動し且つ第1及び第2ベアリング駆動モ
ータ組立体20、22の間の速度信号を連続的に交換す
ると、各インナ/アウタレース部材72、72aを両ロ
ール14、16の正確な回転速度に非常に近い速度で駆
動するよりも、一層有効に寄生摩擦損失を無くすことが
できることが判明している。
【0053】また、60〜65mph以上の回転速度に
ついてベアリングの摩擦を決定し且つ補償することの方
が幾分容易であるため、本発明は、約60〜65mph
までのロール速度の摩擦損失を最小にするようにインナ
/アウタレース部材72、72aの速度を制御すること
を意図している。60〜65mph以上のロール速度で
は、インナ/アウタレース部材72、72aの速度は簡
単に維持される。一方、ロール速度及びベアリング速度
によるベアリング68、68aの摩擦損失は、慣用的な
算法により補償される。
【0054】本発明のもう1つの長所は、ベアリング組
立体60、62の能力が、内側ベアリング68、68a
の定格最大速度以上の速度で両ロール14、16を駆動
可能にすることである。例えば、内側ベアリング68、
68a及び外側ベアリング70、70aの各々が100
mphの最大ロール外側ベアリング70に適合する定格
を有するものと仮定すれば、インナ/アウタレース部材
72、72aが、入力軸32と同じ回転方向で、且つ両
ロール14、16が約100mphの速度で駆動されて
いるときに入力軸32が駆動される速度に等しい速度で
駆動される。このとき、入力軸32及びインナ/アウタ
レース部材72、72aはほぼ同じ速度で移動するであ
ろうが、事実上、内側ベアリング68のロール69、6
9aは、入力軸32及びインナ/アウタレース部材7
2、72aのいずれに対しても移動しない。速度を考察
すると、内側ベアリング68、68aは本質的に静止し
ている。そして、内側ベアリング68、68aがインナ
/アウタレース部材72、72aに対して約100mp
hに等しい速度で回転される前に、ロール14、16
は、或る回転速度(この例では約200mphに等しい
速度)まで駆動される。従って、両ロール14、16
は、ベアリング68、68a、70、70aの定格最大
速度の約2倍の速度まで駆動され、これにより、高価な
高速定格のベアリングを使用することなく非常に高速の
試験を行うことが可能になる。
【0055】上記説明に係る技術は、事実上摩擦の無い
作動を達成するのが犠牲になるものの、前述のように、
約60mph以上の速度で摩擦を決定することはある程
度容易に行えるので、このような高速度でも、慣用的な
摩擦補償算法を用いて摩擦損失を全体的に見積もり且つ
補償することができる。
【0056】当業者であれば、以上の説明から、本発明
の広範囲の教示を種々の形態に実施できることに気付く
であろう。従って、本発明を特定の実施例に関連して説
明したけれども、本発明の正しい範囲はこの特定実施例
に限定されるものではない。なぜならば、添付図面、明
細書及び特許請求の範囲の記載を学ぶことにより、当業
者には他の変更が行えることは明らかだからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施例による無摩擦ロールシ
ャーシダイナモメータの斜視図であり、該ダイナモメー
タのロールに接触している自動車等の後輪が一点鎖線で
示されている。
【図2】図1のダイナモメータの平面図である。
【図3】図2の3−3線に沿う図2のダイナモメータの
断面図である。
【図4】図3中の円で囲んだ中の内側及び外側ベアリン
グと、インナ/アウタレース部材との一部を示す拡大部
分断面図である。
【図5】第2ベアリング組立体の内側ベアリング及び外
側ベアリングと、インナ/アウタレース部材とを示す一
部を破断した斜視図である。
【図6】図4の6−6線に沿う内側ベアリング及び外側
ベアリングと、インナ/アウタレース部材とを示す拡大
部分断面図である。
【図7】ウォームアップ中の従来のダイナモメータが受
けるベアリング摩擦による一般的なトルク損失と、ウォ
ームアップ中の本発明のダイナモメータが受けるトルク
損失とを示すグラフであり、本発明のダイナモメータの
ベアリングにはウォームアップ時間が事実上不要である
ことを示すものである。
【図8】本発明のダイナモメータを外部コントローラに
一般的に連結することにより形成した「閉ループ」速度
制御システムを示す概略図である。
【図9】本発明のダイナモメータの作動シーケンスを示
すフローチャートである。
【図10】いずれの方向に方向に始動する場合でもベア
リングが打ち勝つ必要のある、ゼロ速度の近くに存在す
るベアリングの「スティクション」摩擦の摩擦対速度の
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ロールシャーシダイナモメータ 12 フレーム 14 ロール 16 ロール 18 動力変換ユニット 18a ロードセル 20 第1ベアリング駆動モータ組立体 20a モータ(ベアリング駆動モータ) 22 第2ベアリング駆動モータ組立体 22a モータ(ベアリング駆動モータ) 23 エンコーダ組立体 24 車両 26 車輪 28 床 30 ピット 32 入力軸 34 第1ベアリング駆動ハブ 42 第2ベアリング駆動ハブ 60 第1ベアリング組立体 62 第2ベアリング組立体 64 ピローブロック 66 ピローブロック 68 内側ベアリング 69 ベアリングロール 70 外側ベアリング 71 アウタベアリングケージ 72 インナ/アウタレース部材 73 インナベアリングケージ 75 インナベアリングケージ 79 アウタベアリングケージ 104 コントローラ 106 RS−232インターフェース

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無摩擦ベアリングを用いたシャーシダイナ
    モメータ装置において、 車両の車輪の回転運動中に少なくとも1つの駆動輪と係
    合するロール手段と、 前記ダイナモメータのフレーム部分に対して前記ロール
    手段が回転運動できるように前記ロール手段と関連して
    いる内側ベアリング手段と、 前記フレーム部分に対して前記内側ベアリング手段が回
    転運動できるように前記内側ベアリング手段と前記フレ
    ーム部分との間に配置された外側ベアリング手段と、 前記内側ベアリング手段と外側ベアリング手段との間に
    配置され、前記内側ベアリング手段のアウタレースと前
    記外側ベアリングのインナレースとを形成しているレー
    ス手段であって、前記内側ベアリング手段を前記ロール
    手段と同じ回転方向に駆動できるようにするレース手段
    と、 前記内側ベアリング手段と同じ回転方向に且つ前記ロー
    ル手段の回転速度に関連する速度で前記レース手段を駆
    動する手段とを有しており、前記ロール手段の回転運動
    に抵抗する前記内側ベアリング手段の摩擦力を相殺する
    ことを特徴とするシャーシダイナモメータ装置。
  2. 【請求項2】前記ロール手段の回転速度を検出し且つこ
    れに従って速度信号を発生する手段を更に有しているこ
    とを特徴とする請求項1に記載のシャーシダイナモメー
    タ装置。
  3. 【請求項3】前記レース手段を駆動する前記手段が、前
    記速度信号に応答する駆動モータを有していることを特
    徴とする請求項2に記載のシャーシダイナモメータ装
    置。
  4. 【請求項4】前記駆動モータが、前記レース手段を、前
    記ロール手段の回転速度より遅い速度及び速い速度で交
    互に駆動することを特徴とする請求項3に記載のシャー
    シダイナモメータ装置。
  5. 【請求項5】前記ロール手段が入力軸に軸支されてお
    り、 前記内側ベアリング手段が環状の1対の内側ベアリング
    からなり、各内側ベアリングが前記入力軸の両側で該入
    力軸に配置されており、 前記外側ベアリング手段が環状の1対の外側ベアリング
    からなり、各外側ベアリングが、関連する前記内側ベア
    リングと、前記シャーシダイナモメータ装置の関連する
    フレーム部分との間で同心状に配置されており、 前記レース手段が1対のインナ/アウタレース部材から
    なり、各インナ/アウタレース部材が環状の前記内側ベ
    アリングと外側ベアリングとの間に配置されており、各
    インナ/アウタレース部材が、内側ベアリングのアウタ
    レースとして且つ外側ベアリングのインナレースとして
    機能し、 前記駆動手段が1対の駆動モータからなり、該駆動モー
    タが前記速度信号に応答し且つ前記インナ/アウタレー
    ス部材に連結されていて、該インナ/アウタレース部材
    を、前記ロール手段と同じ回転方向に且つ前記ロール手
    段の回転速度に従って変化する速度で駆動することを特
    徴とする請求項2に記載のシャーシダイナモメータ装
    置。
  6. 【請求項6】前記駆動モータが、前記インナ/アウタレ
    ース部材を、前記環状の内側ベアリングの回転速度より
    遅い速度及び速い速度で交互に駆動することを特徴とす
    る請求項5に記載のシャーシダイナモメータ装置。
  7. 【請求項7】前記各駆動モータが前記1対のインナ/ア
    ウタレース部材の1つに独立して連結されており、各イ
    ンナ/アウタレース部材を、前記ロール手段と同じ回転
    方向に互いに独立して駆動することを特徴とする請求項
    6に記載のシャーシダイナモメータ装置。
  8. 【請求項8】前記一方のインナ/アウタレース部材がそ
    のそれぞれの内側ベアリングよりも遅い速度で駆動され
    るときには、他方のインナ/アウタレース部材がその関
    連する内側ベアリングよりも速い回転速度で駆動される
    ように、且つ前記一方のインナ/アウタレース部材がそ
    のそれぞれの内側ベアリングよりも遅い回転速度で駆動
    されるときには、他方のインナ/アウタレース部材がそ
    の関連する内側ベアリングよりも速い速度で駆動される
    ように、前記駆動モータが、前記インナ/アウタレース
    部材を、それぞれの前記内側ベアリングの回転速度より
    速い速度及び遅い回転速度で交互に駆動することを特徴
    とする請求項7に記載のシャーシダイナモメータ装置。
  9. 【請求項9】試験中の車両の駆動輪によりダイナモメー
    タのローラが駆動されるとき、ローラの回転運動に抵抗
    するシャーシダイナモメータの摩擦力を相殺する方法に
    おいて、 前記ローラに固定連結された入力軸を備えた動力変換装
    置を設け、 前記入力軸上に同心状に配置された環状の内側ローラベ
    アリングを設け、 前記入力軸と同心状に且つ前記内側ローラベアリングと
    横方向に整合して配置された環状の外側ローラベアリン
    グを設け、 前記内側ローラベアリングと外側ローラベアリングとの
    間に配置され且つ前記内側ローラベアリングのアウタレ
    ース及び前記外側ローラベアリングのインナレースを形
    成するインナ/アウタレース部材を設け、 該インナ/アウタレース部材を、前記入力軸の回転速度
    に関連して変化する回転速度で駆動することを特徴とす
    る方法。
  10. 【請求項10】前記インナ/アウタレース部材を、前記
    入力軸の回転速度より遅い速度及び速い速度で交互に駆
    動し且つ所定時間に従って前記遅い回転速度と速い回転
    速度とを切り換えるステップを更に有していることを特
    徴とする請求項9に記載の方法。
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