JP2649510B2 - 発光半導体装置 - Google Patents

発光半導体装置

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JP2649510B2 JP1779486A JP1779486A JP2649510B2 JP 2649510 B2 JP2649510 B2 JP 2649510B2 JP 1779486 A JP1779486 A JP 1779486A JP 1779486 A JP1779486 A JP 1779486A JP 2649510 B2 JP2649510 B2 JP 2649510B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は発光半導体装置、特に耐静電破壊性の優れた
通信用のダブルヘテロ接合発光ダイオードに関するもの
である。
(従来の技術) 従来、光通信用発光ダイオード(LED)に要求される
特性は、ファイバとの結合性が良く、遮断周波数が高い
ことの2点である。これらの要求を満たすために、種々
のデバイス構造が提案され、実現されている。
第2図に代表的なLED構造を示す。第2図(a)は、
バラス型構造と言われ、n型GaAs基板1上に、n型GaAl
As第1のクラッド層2、p型GaAs活性層3、p型GaAlAs
第2のクラッド層4、n型GaAlAsコンタクト層5の4層
を順次エピタキシャル成長させている。そしてn型GaAs
基板1が活性層の発光に対して透明でないため、発光領
域の真上のn型GaAs基板1を部分的に除去し、光を取り
出す構造となっている。また、n型GaAlAsコンタクト層
5の中心の直径30μmφ程度の円形部に対して、選択的
にp+型の不純物を拡散(p+拡散と記す)させることによ
りp+型拡散層6を形成し、この部分以外のn型GaAlAsコ
ンタクト層5上にはSiO2膜7を形成し、さらにその上に
p型オーミック電極8を形成することによって、電流を
p+型拡散層6に集中させるLED構造が得られている。
第2図(b)は、厚膜型と言われ、図示されていない
n型GaAs基板上に、一定の厚さのn型GaAlAs第1のクラ
ッド層2とp型GaAs活性層3とp型GaAlAs第2のクラッ
ド層4を順次成長させ、第2図(a)と同様にダブルヘ
テロ(D.H.)構造を形成し、こののち、n型GaAs基板を
完全に除去した構造として、発光した光の吸収を防いで
いる。また、p型GaAlAsによる第2のクラッド層4上の
中央部に30ないし40μmφの円形の開孔窓9を有するSi
O2膜7を形成し、さらにその上にp型オーミック電極8
を形成することによって、開孔窓9の部分だけを通じて
電流が注入されるLED構造としている。
いずれの構造も、順電流IF=100mAで、GI50/125の光
ファイバを使用して出力30ないし60μWが得られ、パル
ス駆動の応答指数である遮断周波数は30ないし50MHzを
実現することができる。
(発明が解決しようとする問題点) 従来の構造の光通信用LEDには、以下のような欠点を
有している。すなわち、第2図(a)に示したバラス型
では選択的なp+型拡散層6を形成しているため、電流狭
窄がほぼ完全であり、大電流まで発光パターンが変化せ
ず、静電破壊電圧もかなり高いが、しかしn型GaAs基板
1を部分的に除去するため、残されたエピタキシャル部
の厚さが20μm程度で極めて薄く、組立時の取扱が困難
となる。また、内部応力がn型GaAs基板1のエッチング
部の穴径によっては、活性層に集中する場合があり、出
力劣化が生じる場合もある。
一方、第2図(b)に示す厚膜型では、内部応力の活
性層への集中は生じないが、電流狭窄が不完全であり、
大電流発光時に発光パターンが変化し、かつp型GaAlAs
による第2のクラッド層4の不純物濃度が比較的小さい
ため、順電圧が高い欠点を有している。さらに、この構
造の場合には、サージ電流が生じたときにも、直接に電
流狭窄した発光領域に集中するので、静電破壊レベルが
低くなり、素子信頼性の面からも好ましくない欠点があ
った。
本発明の目的は、従来の欠点を解消し、高光ファイバ
出力およびパルス駆動の限界値としての高遮断周波数を
保ったまま、電流狭窄が完全で、順電圧が低く、かつ静
電破壊電圧が高い、信頼性に優れた発光半導体装置を提
供することである。
(問題点を解決するための手段) 本発明の発光半導体装置は、一導電型の活性層と、前
記活性層の一方の面に多層で形成された反対導電型の第
1クラッド層と、前記活性層の他方の面に単層で形成さ
れた一導電型の第2クラッド層と、前記第2クラッド層
上に形成された反対導電型のコンタクト層と、前記コン
タクト層を貫通して前記第2クラッド層に達する一導電
型の高濃度選択拡散領域とを有して、前記選択拡散領域
の側面部にサイリスタ構造部を形成したものである。
(作用) 本発明による構造のLEDに、サージ電流のような瞬間
的な大電流が流れると、活性層と同一導電型の拡散層を
通じて電流が流れるが、これ以外に前記拡散層と、活性
層とは反対導電型のコンタクト層とによって形成される
接合に逆バイアスが印加され、ブレークダウンを起こ
し、この部分がサイリスタ領域となって、このサイリス
タ構造部がオン(ON)となって導通するため、この部分
にも電流が瞬時に流れて放電する。すなわち、サージ電
流が流れた場合には、等価的に発光領域が大きくなるた
め、静電破壊レベルが高くなり、高性能で、しかも高信
頼性を有するデバイス構造を実現することができる。
(実施例) 本発明の一実施例を第1図および第3図に基づいて説
明する。
第1図は本発明の通信用LEDの断面図である。同図に
おいて、第2図に示した従来例と同一部分については同
一符号を付し、その説明を一部省略する。
本発明のLEDは、GaAsを活性層とし、GaAlAsをクラッ
ド層としたダブルヘテロ(D.H.)構造の発光波長0.88μ
mの発光半導体装置である。
第1図において、図示されていないSiドープのn型Ga
As基板上に、通常の液相成長法により、成長開始温度90
0℃から820℃の温度範囲に亘ってn型GaAlAs第1のクラ
ッド層2の第2薄膜2bを成長させる。このとき、GaAlAs
中のGaAs(1−X)とAlAs(X)との組成比、即ち、Al
As混晶比Xは、この温度範囲で、X=0.36から0.10まで
変化し、この第2薄膜層の厚さは50μmである。続い
て、820℃から800℃までの温度範囲に亘ってn型GaAlAs
第1のクラッド層2の第1薄膜2aを成長させる。このと
きAlAs混晶比Xは0.20であり、厚さは15μmである。次
に800℃でp型GaAs活性層3を成長させる。この層の膜
厚は1μmで、キャリア濃度は1〜3×1018cm-3であ
る。次にp型GaAlAs第2のクラッド層4を2μmの膜厚
に形成する。この層のAlAs混晶比Xは、X=0.35であ
る。最後に、n型GaAlAsコンタクト層5を0.8μmの膜
厚に成長させる。この層のAlAs混晶比はX=0.17であ
る。n型GaAlAsコンタクト層5上にSiO2膜7を形成し、
SiO2膜7の中心部に30ないし40μmφの窓あけを行な
う。次にこの窓を通して、選択的なp+拡散を行ないp型
GaAlAsクラッド層4の中央の深さまで届くp+型拡散6を
形成する。なお、このp+拡散には、石英封管法が適用で
き、その拡散源として、Zn3As2を用いる。
続いて、p型オーミック電極8を形成し、熱処理を行
なったのち、Auのヒートシンク圧着用層を約3μm蒸着
する。その後、n型GaAs基板を完全に除去し、n型オー
ミック電極10と光取出し窓を形成する。LEDチップの厚
さは、約70μmである。このLEDチップをSiサブマウン
トに熱圧着し、ワイヤーボンドを行ない、エポキシ樹脂
を用いて、直径が500μmの微小球レンズを発光窓の上
部に固定する。次に溶着により、フラットレンズをTO−
18ステムにキャッピングし完成品とする。
この素子の発光径は、約40μmφであり、順電流IF
100mAで、光出力Po=5mW、順電圧VF=1.6Vが得られた。
GI50/125光ファイバを用いて、順電流IF=100mAで、約5
0μWのファイバへの入力が得られた。このLEDをパルス
駆動したときに、光の出力が1/2に低下する、いわゆ
る、応答特性の限界を表わす遮断周波数は、40MHzであ
る。素子寿命は、加速通電の結果から、温室で100万時
間以上と推定され、高い信頼性を有している。
本発明のLED構造と従来構造のLEDについて、静電破壊
電圧Vsを調べた結果を第3図に示す。
発光出力が、初期発光出力の90%以下に低下した場
合、故障と判定し、このときの充電電圧を静電破壊電圧
Vsと定義すると、本発明構造のLEDの場合には、充電容
量C=100pFで、約1.8KVのVsが得られた。
一方、従来の厚膜型の3層構造LEDの場合には、静電
破壊電圧Vsは、約800Vと低い。したがって、本発明の構
造を有するLEDは2倍以上の静電破壊電圧を有している
ことがわかる。これは、本発明の場合、p+型拡散層6の
側面で、n型コンタクト層5、p型第2クラッド層4
(p型活性層2を含む)およびn型第1クラッド層3で
形成されたサイリスタ構造部がオンとなってサージ電流
を吸収する作用によるものである。静電破壊電圧Vsの値
が大きいほど、サージ電流に対する破壊レベルが高いこ
とを表している。
本発明は、上記の5層構造のGaAlAs通信用LEDに限ら
ず、InP基板を使用し、n型InPクラッド層、p形InGaAs
P活性層、p型InPクラッド層、n型InGaAsPコンタクト
層を成長させた長波長用InGaAsPLEDにも広く適用するこ
とができる。
(発明の効果) 本発明によれば、高い光ファイバ出力、高遮断周波数
を維持したまま、サージ電流に対する破壊レベルの高い
デバイス構造を実現することができ、その実用上の効果
は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例による通信用LEDの断面図、
第2図は従来型の通信用LEDの断面図、第3図は本発明
のLEDと従来型のLEDの静電破壊電圧の発光出力劣化シー
ケンスを表す図である。 1……n型GaAs基板、2……n型GaAlAs第1のクラッド
層、2a……n型GaAlAs第1薄膜、2b……n型GaAlAs第2
薄膜、3……p型GaAs活性層、4……p型GaAlAs第2の
クラッド層、5……n型GaAlAsコンタクト層、6……p+
型拡散層、7……SiO2膜、8……p型オーミック電極、
9……開孔窓、10……n型オーミック電極。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一導電型の活性層と、前記活性層の一方の
    面に多層で形成された反対導電型の第1クラッド層と、
    前記活性層の他方の面に単層で形成された一導電型の第
    2クラッド層と、前記第2クラッド層上に形成された反
    対導電型のコンタクト層と、前記コンタクト層を貫通し
    て前記第2クラッド層に達する一導電型の高濃度の選択
    拡散領域とを有して、前記選択拡散領域の側面部にサイ
    リスタ構造部を形成したことを特徴とする発光半導体装
    置。
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