JP2644945B2 - ダクト用換気扇 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、おもに天井裏に取付け
られ、屋外と連通しているダクトと接続することで、室
内空気を入れ替えるダクト用換気扇に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、天井裏に本体を取付け、ダク
トを接続して使用されるダクト用換気扇は、室内側のイ
ンテリア性が向上することや、壁面が室外に面していな
い空間にも、換気扇が設置できるという理由から需要は
増加傾向にある。

【０００３】このようなことから、従来のこの種のダク
ト用換気扇は、一般に図５に示す構成であった。すなわ
ち、天井裏に設置され、下面に吸込口１０１と一側面に
吐出口１０２とを有した箱状で、その天面１０３の内側
に電動機支持部１０６を設けた外枠１０７の内部には、
羽根１０４を固着した電動機１０５が前記電動機支持部
１０６に固定されている。また外枠１０７内部には、前
記羽根１０４の外周を囲む帯状のケーシング側部１０８
を、前記外枠１０７の天面１０３の内側と前記羽根１０
４に空気を導くオリフィス板１０９とで狭持して形成し
たケーシング部１１０が配設されている。そして前記外
枠１０７の下面の吸込口１０１には化粧枠１１１が取付
けられ、さらに前記外枠１０７の吐出口１０２には室外
に連通するダクト１１２を接続するダクト接続部１１３
が固定されている。なお、図中、１１４は天井壁、１１
５はこの天井壁１１４の開口の周縁に設けられた野縁で
ある。

【０００４】上記構成において、室内空間の空気は、電
動機１０５にて羽根１０４を回転することにより、化粧
枠１１１から吸込口１０１を経て外枠１０７内に吸込ま
れ、そして通風ケーシング１１０に導かれ、外枠１０７
の吐出口１０２からダクト接続部１１３，ダクト１１２
を経て屋外へ排出されるものであった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ダクト用換
気扇は連続運転することが多く、そのため入力を低く
し、ランニングコストを低くすることが従来より望まれ
たいた。

【０００６】そこで従来のダクト用換気扇では、羽根１
０４の負荷を低減し、入力を低減するために羽根幅１０
４ｈを薄くして対応することが多かったが、この場合、
外枠１０７を、風量を多くすることを目的とした外枠と
共用すると羽根１０４と外枠１０７の天面１０３との間
の空間１１６が大きくなるため、その部分に乱流層が発
生し、静圧が低下したり、騒音が増大するという問題が
あった。

【０００７】本発明は上記課題を解決するもので、羽根
幅の薄い羽根を用いて入力を低減させてもケーシング部
に乱流が発生するのを抑え、静圧の低下および騒音増大
を防止することのできるダクト用換気扇を提供すること
を第１の目的とする。

【０００８】第２の目的は、上記第１の目的を達成する
ケーシング部を容易に、かつ安価に製作することにあ
る。

【０００９】第３の目的は、上記第１の目的を達成する
ケーシング部を採用しても、電動機に悪影響がなく電動
機の寿命を向上させることにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の目的を達
成するための第１の手段は、天井裏に設置され、下面に
吸込口と一側面に吐出口とを有した箱状で、その内部上
方に電動機支持部を設けた外枠と、前記電動機支持部に
固定され、下部に羽根を固着した電動機と、前記外枠内
部に設けられ、前記羽根の上方を覆うケーシング上部，
前記羽根の外周を囲み、舌部を有したケーシング側部、
このケーシング側部の下端部に当接して設けられ、前記
羽根に空気を導くオリフィス板からなるケーシング部と
を備え、前記ケーシング部はそのケーシング上部を、前
記羽根の上端面と外枠の天面との間の空間を前記羽根が
接触しない程度の隙間を残して埋める厚みとするととも
に、ケーシング上部を、ケーシング部の容積がその中心
部側から外周部へ向かうにしたがって羽根回転軸方向に
連続的に増大する形状としたダクト用換気扇の構成とし
たものである。

【００１１】また、第１の目的を達成するための第２の
手段は、ケーシング上部を、ケーシング部の容積がケー
シング側部の舌部に対応する位置から吐出口に向かうに
したがって羽根回転軸方向に連続的に増大する形状とし
たダクト用換気扇の構成としたものである。

【００１２】また、第１の目的を達成するための第３の
手段は、ケーシング上部を吸音材にて形成したダクト用
換気扇の構成としたものである。

【００１３】また、第２の目的を達成するための第４の
手段は、ケーシング部はケーシング上部とケーシング側
板とを分割自在とし、前記ケーシング側部を帯状の板材
で形成したダクト用換気扇の構成としたものである。

【００１４】また、第２の目的を達成するための第５の
手段は、ケーシング上部はその下端部に帯状の板材の上
端外側部を当接させてケーシング側部を形成する凸部を
有したダクト用換気扇の構成としたものである。

【００１５】また、第２の目的を達成するための第６の
手段は、ケーシング上部は電動機支持部の外形寸法に合
致する係合部を有したダクト用換気扇の構成としたもの
である。

【００１６】また、第３の目的を達成するための第７の
手段は、ケーシング上部は電動機の少なくとも一部を収
納する電動機収納部を有し、この電動機収納部を介して
ケーシング部内部の前方と後方とを結ぶ通気孔を備えた
ダクト用換気扇の構成としたものである。

【００１７】

【作用】本発明は上記した第１の手段の構成により、入
力低減ため、羽根幅の薄い羽根を用いても、乱流の発生
原因である外枠内部の天面と羽根の上端部との間の空間
は、ケーシング上部によって埋められ、静圧の低減およ
び騒音の増大を防止することができ、ケーシング部内の
容積が風速の速い通風ケーシング外周部へ移行するほど
に増大するため、この部分の風速が減衰し、流体音が低
減されることとなる。

【００１８】また、第２の手段の構成により、ケーシン
グ部内の容積が風速の速いケーシング部の吐出口へ移行
するほどに増大するため、この部分の風速が減衰し、流
体音が低減されることとなる。

【００１９】また、第３の手段の構成により、ケーシン
グ部内で発生する流体音は、吸音材によって形成された
ケーシング上部に吸音されることとなる。

【００２０】また、第４の手段の構成により、ケーシン
グ上部とケーシング側部とが、それぞれ形状が単純にな
るとともに、ケーシング側部を安価な板金等で形成する
ことが可能となり部品コストを低減することができるこ
ととなる。

【００２１】また、第５の手段の構成により、帯状の板
材を羽根を囲む形状のケーシング側部に形成する時点に
おいて、板材に外周側方向に広がる力が働き、ケーシン
グ上部の下端部に設けられた凸部の内側面にそって簡単
に位置決めされ、ケーシング部の形成を容易にすること
ができることとなる。

【００２２】また、第６の手段の構成により、ケーシン
グ上部に設けられた係合部に電動機支持部を係合させる
だけでケーシング部と電動機との位置関係を正確に、か
つ容易に決めることができる。

【００２３】また、第７の手段の構成によりケーシング
部の内部を流れる空気の動圧によってケーシング部の内
部を流れる空気の一部が通気孔の前方から電動機収納部
を通過して後方へ流れ、電動機の温度が上昇するのを抑
え、電動機の寿命を向上させることとなる。

【００２４】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図１〜図４
を参照しながら説明する。

【００２５】図に示すように、天井裏１に設置され、下
面に吸込口２と一側面に吐出口３とを有した箱体状で、
その内部上方である天面４に電動機支持部５を設けた外
枠６の内部には、下部に羽根７を固着した電動機８が、
電動機支持部６に固定されている。また、外枠６の内部
には、羽根７の上方を覆うケーシング上部９と帯状の板
金で羽根７の外周を囲み、舌部１０を形成したケーシン
グ側部１１とを積層し、これらを外枠６の天面４と羽根
７に空気を導くオリフィス板１２とで狭持して形成した
ケーシング部１３が配設されている。

【００２６】このケーシング部１３のケーシング上部９
は吸音材で羽根７の上端面と外枠６の天面４との間の空
間を羽根７が接触しない程度の隙間１４を残して埋める
厚みに形成され、その中心側に位置する羽根７の外径投
影部１５から外周部１６へ向かうにしたがって羽根７の
回転軸方向に連続的にケーシング部１３の容量が増大す
る傾斜部１７が設けられるとともに、ケーシング側部１
１の舌部１０付近から外枠１３の吐出口３側に位置する
ケーシング吐出部１８へ向かうにしたがって羽根７の回
転軸方向に連続的にケーシング部１３の容量が増大する
傾斜部１９が設けられている。

【００２７】また、ケーシング上部９の下端部には、帯
状の板金の上端外側部を当接させてケーシング側部１１
を形成する凸部２０が設けられている。

【００２８】さらに、ケーシング上部１１には、電動機
支持部５の外形寸法に合致する係合部２１が設けられる
とともに、この係合部２１内部に電動機８の上部を収納
して電動機収納部１２としている。この電動機収納部２
２はケーシング部１３の内部の前方と後方とを結ぶ通気
孔２３によってケーシング部１３内部に連通されてい
る。一方、前記外枠６の下面の吸込口２には化粧枠２４
が取付けられ、さらに前記外枠６の吐出口３には室外に
連通するダクト２５を接続するダクト接続部２６が固定
されている。

【００２９】なお、図中、２７は天井壁、２８はこの天
井壁２７の開口の周縁に設けられた野縁である。

【００３０】上記構成により、ダクト用換気扇の入力低
減のため、羽根幅Ａの薄い羽根７を用いても、乱流の発
生原因である外枠６の天面４と羽根７の上端部との空間
は、ケーシング上部９によって埋められ、乱流の発生を
防止することができる。

【００３１】このように、本実施例のダクト用換気扇に
よれば、羽根７の上端部と外枠６の天面４との空間を縮
めることにより、乱流層の発生を抑え、静圧の低減を防
止するとともに、騒音を増加させることなく入力を低減
できる羽根幅の薄い羽根７を採用することができる。

【００３２】また、ケーシング上部９はケーシング部１
３の容積が羽根７の外径投影部１５からケーシング部１
３の外周部１６へ向かうにしたがって連続的に増大する
傾斜部１７を設けているので、ケーシング部１３内部を
流れる空気の風速が減衰されることとなる。

【００３３】このように、本実施例のダクト用換気扇に
よれば、ケーシング部１３の内部を流れる空気の風速が
減衰し、流体音を低減させることができる。

【００３４】また、ケーシング上部９はケーシング部１
３の容積をケーシング側部１１の舌部１０付近からケー
シング吐出部１８へ向かうにしたがって連続的に増大す
る傾斜部１９を設けているので、ケーシング部１３内部
を流れる空気の風速が減衰されることとなる。

【００３５】このように本実施例のダクト用換気扇によ
れば、ケーシング部１３の内部を流れる空気の風速が減
衰し、流体音をさらに低減させることができる。

【００３６】また、ケーシング部１３の内部で発生した
流体音は吸音材によって形成されたケーシング上部９に
吸音されることとなる。

【００３７】このように本実施例のダクト用換気扇によ
れば、ケーシング部１３の内部で発生する流体音をケー
シング上部９で吸音することによって本体から発生する
騒音を低下させることができる。

【００３８】また、ケーシング部１３をケーシング上部
９とケーシング側部１１とに分割する分割構造にするこ
とにより、それぞれの形状が単純となるとともに、それ
ぞれを異質材料で構成可能となって、ケーシング側部１
１に安価な板金を使用でき、部品コストを低減すること
ができる。

【００３９】また、ケーシング部１３の内部を流れる空
気の動圧によって、ケーシング部１３の内部を流れる空
気の一部がケーシング上部９に設けられた通気孔２３の
前方から導かれ、電動機収納部２２を通過して電動機８
を冷却したのち、通気孔２３の後方からふたたびケーシ
ング部１３の内部へ導かれることとなる。

【００４０】このように本実施例のダクト用換気扇によ
れば、ケーシング部１３の内部を流れる空気の一部で電
動機８を冷却し、電動機８の温度が上昇するのを抑え、
電動機８の寿命を向上させることができる。

【００４１】また、帯状の板金を羽根７の外周を囲む形
状のケーシング側部１１に形成する時点において、板金
に外周側方向に力が働き、板金はケーシング上部９の下
端部に設けられた凸部２０の内側面にそって簡単に位置
決めすることができる。

【００４２】このように、本実施例のダクト用換気扇に
よれば、ケーシング部１３の形成を容易にすることがで
きる。

【００４３】また、ケーシング上部９に設けた係合部２
１に外枠６の電動機支持部５を合致するだけで電動機８
とケーシング部１３の位置関係を正確に、かつ容易に決
めることができる。

【００４４】このように、本実施例のダクト用換気扇に
よれば電動機８とケーシング部１３の位置関係を正確
に、かつ容易に決めることができ、この部分の組立てを
さらに容易にすることができる。

【００４５】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明
によれば、ダクト用換気扇の入力低減のため、羽根幅の
薄い羽根を用いても、乱流の発生原因である羽根の上端
部と外枠の天面との間の空間を、ケーシング上部で埋め
ることによって、乱流の発生を抑え、静圧の低減を防止
するとともに、騒音を防止することができ、しかも、ケ
ーシング上部をケーシング部の容積がその中心から外周
部へ向かうにしたがって羽根回転軸方向に連続的に増大
するように形成することによって流体音が低減され、外
枠から発生する騒音を低下させることができる。

【００４６】また、ケーシング上部をケーシング側部の
舌部に対応する位置から吐出口に向かうにしたがってケ
ーシング部の容積が羽根回転軸方向に増大するように形
成することによって流体音が低減され、本体から発生す
る騒音をさらに低下させることができる。

【００４７】また、ケーシング内で発生した流体音は、
吸音材にて形成されたケーシング上部によって吸音さ
れ、本体から発生する騒音を低下させることができる。

【００４８】また、ケーシング部をケーシング上部とケ
ーシング側部とに分割することによって、それぞれの形
状が単純となるとともに、それぞれを異質材料で構成可
能となって、ケーシング側部に安価な板金等を使用で
き、部品コストを低減することができる。

【００４９】また、帯状の板材を羽根を囲むケーシング
側部に形成する時点において、板金に外周側方向に力が
働き、板金は、ケーシング上部の下端部に設けられた凸
部の内側面にそって簡単に位置決めすることができ、ケ
ーシング部の形成を容易にすることができる。

【００５０】また、ケーシング上部に設けた係合部に電
動機支持部を合致するだけで電動機とケーシング部の位
置関係を正確に、かつ容易に決めることができ、この部
分の組立てをさらに容易にすることができる。

【００５１】また、ケーシング部の内部を流れる空気の
一部を電動機収納部に導き、電動機を冷却することによ
って、電動機の温度が上昇するのを抑え、電動機の寿命
を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のダクト用換気扇の分解斜視
図

【図２】同一実施例の同断面図

【図３】同一実施例のケーシング底部の正面図

【図４】同一実施例のケーシング底部の縦断面図

【図５】従来のダクト用換気扇の断面図

【符号の説明】

１ 天井裏 ２ 吸込口 ３ 吐出口 ４ 天面 ５ 電動機支持部 ６ 外枠 ７ 羽根 ８ 電動機 ９ ケーシング上部 １０ 舌部 １１ ケーシング側部 １２ オリフィス部 １３ ケーシング部 １４ 隙間 ２０ 凸部 ２１ 係合部 ２２ 電動機収納部 ２３ 通気孔

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 天井裏に配置され、下面に吸込口と一側
   面に吐出口とを有した箱体で、その内部上方に電動機支
   持部を設けた外枠と、前記電動機支持部に固定され、下
   部に羽根を固着した電動機と、前記外枠内部に設けら
   れ、前記羽根の上方を覆うケーシング上部，前記羽根の
   外周を囲み、舌部を有したケーシング側部、このケーシ
   ング側部の下端部に当接して設けられ、前記羽根に空気
   を導くオリフィス板からなるケーシング部とを備え、前
   記ケーシング部はそのケーシング上部を、前記羽根の上
   端面と外枠の天面との間の空間を前記羽根が接触しない
   程度の隙間を残して埋める厚みとするとともに、ケーシ
   ング上部を、ケーシング部の容積がその中心部側から外
   周部へ向かうにしたがって羽根回転軸方向に連続的に増
   大する形状としたダクト用換気扇。
2. 【請求項２】 天井裏に配置され、下面に吸込口と一側
   面に吐出口とを有した箱体で、その内部上方に電動機支
   持部を設けた外枠と、前記電動機支持部に固定され、下
   部に羽根を固着した電動機と、前記外枠内部に設けら
   れ、前記羽根の上方を覆うケーシング上部，前記羽根の
   外周を囲み、舌部を有したケーシング側部、このケーシ
   ング側部の下端部に当接して設けられ、前記羽根に空気
   を導くオリフィス板からなるケーシング部とを備え、前
   記ケーシング部はそのケーシング上部を、前記羽根の上
   端面と外枠の天面との間の空間を前記羽根が接触しない
   程度の隙間を残して埋める厚みとするとともに、ケーシ
   ング上部を、ケーシング部の容積がケーシング側部の舌
   部に対応する位置から吐出口に向かうにしたがって羽根
   回転軸方向に連続的に増大する形状としたダクト用換気
   扇。
3. 【請求項３】 ケーシング上部を吸音材にて形成した請
   求項１または２記載のダクト用換気扇。
4. 【請求項４】 ケーシング部は、ケーシング上部とケー
   シング側部とを分割自在とし、前記ケーシング側部を帯
   状の板材で形成した請求項１，２または３記載のダクト
   用換気扇。
5. 【請求項５】 ケーシング上部はその下端部に帯状の板
   材の上端外側部を当接 させてケーシング側部を形成する
   凸部を有した請求項４記載のダクト用換気扇。
6. 【請求項６】 ケーシング上部は電動機支持部の外形寸
   法に合致する係合部を有した請求項１，２，３，４また
   は５記載のダクト用換気扇。
7. 【請求項７】 ケーシング上部は電動機の少なくとも一
   部を収納する電動機収納部を有し、この電動機収納部を
   介してケーシング部内部の前方と後方とを結ぶ通気孔を
   備えた請求項１，２，３，４，５または６記載のダクト
   用換気扇。