JP2644845B2 - セラミツク多層回路基板及びその用途 - Google Patents

セラミツク多層回路基板及びその用途

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JP2644845B2 JP63234995A JP23499588A JP2644845B2 JP 2644845 B2 JP2644845 B2 JP 2644845B2 JP 63234995 A JP63234995 A JP 63234995A JP 23499588 A JP23499588 A JP 23499588A JP 2644845 B2 JP2644845 B2 JP 2644845B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、セラミツク多層回路基板に係り、特に、電
気信号の入出力のためのピンを取り付けたり半導体部品
を取り付けて機能モジユールを構成するのに好適なセラ
ミツク多層回路基板、及び、その製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の技術は、主に、断熱性,保温性,軽量化,防音
などの目的で、特開昭57−89212号公報に記載されてい
るように、空孔をもつ材料Aの粒が材料B中に多数独立
して分散した構造をもつ軽量化セラミツク電子材料は得
られている。また、特開昭59−111345号公報に記載され
ているように、絶縁材料の誘電率を下げる目的で、セラ
ミツクの原料マトリツクス中に、中空球状の粉末を分散
させた回路基板が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
近年、大型電子計算機では、演算速度の高速化のため
に、誘電率の小さな絶縁材料を用いたセラミツク多層回
路基板が要求されるようになつてきている。また、基板
用絶縁材料には、低誘電率の特性の他に、高強度,高熱
伝導などの特性も同時に要求される。この従来技従のよ
うに、絶縁材料に気孔を含ませたものは、誘電率を下げ
るということに関しては、有効な技術である。しかし、
従来技従では気孔を含ませることによって、機械的強
度、または、熱伝導率などの特性も劣化してしまい基板
としての信頼性を損なつてしまうという問題点があつ
た。
本発明の目的は、機械的強度、または、熱伝導率特性
を損なうことがなく信号伝播速度の速いセラミツク多層
回路基板を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、導体配線、または、導体層が絶縁層を介し
て積層され、導体配線は導体層間に形成されたセラミツ
ク多層回路基板において、導体層と導体層の間の絶縁層
は、気孔率の異なる二つの領域から構成され、気孔率の
大きい方の領域が、導体配線と導体層の間に存在するこ
とを特徴としたセラミツク多層回路基板に関する。
従来の技術で、基板の機械的強度、または、熱伝導率
が劣化してしまうのは、気孔を基板全体に含むためであ
る。気孔が焼結体中に存在すると焼結体のヤング率の低
下、または、破壊の起点となり、強度を低下させる。ま
た、焼結体中の気孔の存在は、放熱部の断面積が小さく
なったことと等価なように作用するため、熱伝導率も劣
化してしまう。
機械的な信頼性に関しては、例えば、気孔を含んだ層
の表面に緻密な層を設けることにより、ピン付などの時
に発生する応力を緩和することもできる。しかし、焼結
体全体または比較的広い範囲に応力が加わるような場合
には十分とはいえなかつた。そこで、いろいろと検討し
た結果、機械的強度、または、熱伝導率の低下をできる
だけ少なくするには、焼結体全体としての気孔量をでき
るだけ少なくする必要があることがわかつた。
また、導体配線を伝播する電気信号の速度νは、 (L:単位長さ当りのインダクタンス,C:単位長さ当りの
キヤパシタンス)で表わされる。そこで、信号伝播速度
を高速化するために、気孔を用いて単位長さ当りのキヤ
パシタンスCをできるだけ小さくすることを考えた。な
お、セラミツク多層回路基板は、ある導体配線を伝わる
電気信号に他の導体配線を伝わる電気信号が影響を及ぼ
さないように、または、電磁波障害の影響をなくすため
に、導体配線をはさむように、導体層が形成されてい
る。
検討の結果、導体配線と導体層の間に気孔が存在する
とキヤパシタンスを有効に下げられることを見い出し
た。つまり、単位長さ当りのインダクタンスLを変えず
に、単位長さ当りのキヤパシタンスCを下げることによ
つて導体配線を伝播する電気信号の高速化は達成でき
る。
また、気孔は局部的に集中しているが、焼結体全体と
しての気孔量は比較的少なく、機械的強度の低下、また
は、熱伝導率特性を損わない基板が得られる。また、気
孔率は、微視的に見れば各部で異なるが、気孔率の異な
る領域とは、20〜100μm程度の範囲の平均について考
える。また、5%程度以内の差は同じとみなす。
〔作用〕
導体配線と導体層の間に気孔が存在することにより、
導体配線の単位長さ当りのキヤパシタンスを下げること
ができる。インダクタンスは、変化せずにキヤパシタン
スが下がつたことで、信号伝播速度の高速化ができる。
また、気孔は焼結体全体から見れば、比較的少ないた
め、機械的強度、及び、熱伝導率の低下は少なく、高信
頼性のセラミツク多層回路基板が得られる。
〔実施例〕
〈実施例1〉 セラミツク多層回路基板の製造方法は、まず、グリー
ンシートを作製する。グリーンシートを作製するには、
セラミツク原料として、平均粒径5μmのガラス粉を60
重量%,平均粒径1μmのα石英を40重量%用意する。
ガラス粉末の組成は、酸化物に換算してMgO15〜25mol
%,CaO0.5〜3mol%,Al2O325〜35mol%,B2O320〜55mol
%,SiO20〜25mol%として総量100%となるように選んだ
ものである。次に、上記のガラス粉末及びα石英を混合
した粉末を用いてスラリを作製した。スラリは、ガラス
粉末とα石英の混合粉末100重量部とメタクリル酸系の
バインダを20重量部、トリクロロエチレン99重量部、テ
トラクロロエチレン26重量部、nブチルアルコール35重
量部、フタル酸ジnブチルを1重量部加えボールミルで
24h湿式混合して作製した。次に、真空脱気処理により
適当な粘度に調整した。次に、このスラリをドクターブ
レードを用いてシリコーンコートしたポリエステルフイ
ルム上に0.3mm厚さに塗布し、その後、乾燥してグリー
ンシートを作製した。グリーンシートの厚さは、約100
μmであつた。
同様に、このスラリを用いて厚さ約50μmのグリーン
シートを作製した。さらに、このグリーンシートにパン
チ、または、フオトリソグラフイなどの技術を用いて、
このシート上に形成する導体配線と同じパターンにシー
トを打抜いた。次にこの50μmのグリーンシートと100
μmのシートを貼り合わせて圧着し溝を形成した。溝の
幅は約100〜150μmであつた。
次に、グリーンシートに使用したガラス粉末と中空Si
O2微小球とメタクリル酸系のバインダをグリーンシート
と同じ重量比で配合した。そして、その混合物を上記の
溝に埋め込んだ。さらに熱間プレスにより平坦化した。
ここで使用した中空SiO2微小球は平均粒径約10μmのも
のである。
次に、ビアホールに充填する導体ペーストを作製し
た。導体ペーストの作製は、平均粒径5μmのガラス粉
末を10〜30重量%、銅粉末を90〜70重量%で配合し、こ
の混合粉末100重量部にメタクリル酸系バインダ30重量
部、ブチルカルビトールアセテート100重量部を加えた
ものを30分らいかい機で混合し適当な粘度に調整した。
このペーストに使われたガラス粉末の組成は、SiO2を70
〜80mol%,Al2O3を10〜15mol%,Cu2Oを10〜15mol%で総
量100%となるように選んだものを基本組成とする。
次に上記で作製したグリーンシートの所定の位置に10
0μmφ中の穴あけをし、上記で作製したペーストを埋
め込んでビアホールを形成した。さらに、このグリーン
シートに銅ペーストで導体配線を印刷した。導体配線に
使用した銅ペーストは、有機物を除いた成分の90重量%
以上が銅である一般の銅ペーストである。次に、グリー
ンシートの導体配線を印刷した面と反対の面に導体層を
印刷した。
次に上記で作製した厚さ100μmのグリーンシートの
所定の位置に孔あけをし、上記で作製したビアホール用
導体ペーストを充填した。さらに、第6図に示すよう
に、中空SiO2微小球13を埋め込んだグリーンシート10と
ビアホール5のみのグリーンシート10を三枚一組とし
て、全体として十組積層した。さらに、表面、及び、裏
面に相当するグリーンシート10に穴あけ、導体充填、及
び、表裏面パターンを印刷し、計32層を積層した。そし
て、熱間プレスにより圧着した。圧着条件は、温度100
℃、圧力は50kgf/cm2である。このようにして作製した
積層板を、バインダ抜きのため100℃/h以下の昇温速度
で昇温し950〜1000℃で1h焼成した。雰囲気は、10〜50v
ol%の水蒸気を含む窒素中である。作製したセラミツク
多層回路基板には、導体配線、及び、ビアホールの回り
にクラツク、及び、はがれ等は認められなかつた。絶縁
材を構成している主結晶はα石英,2Al2O3・B2O3であつ
た。更に、焼成品にピン付け、及び、LSIチツプを装着
した。焼成品にピン付けした部分の周辺には、クラツク
等は認められなかつた。また、基板にそり、変形などは
認められなかつた。導体配線6の幅は、50〜150μmで
あり、気孔の多い領域の厚さは約40μmであつた。信号
伝播速度は、気孔を設けない場合に比べ12%高速化し
た。セラミツク多層回路基板内部の信号伝播速度は1.51
×108m/sであつた。基板全体での曲げ強さの低下は、約
20%程度であつた。作製したセラミツク多層回路基板の
概要を第1図に示す。
〈実施例2〉 酸化物に換算してSiO265〜85重量%、B2O310〜30重量
%、アルカリ土類金属酸化物(CaO+MgO+BaO)0.1〜1
重量%、アルカリ金属酸化物(Li2O+Na2O+K2O)0.1〜
5重量%、Al2O30.1〜5重量%、ZnO0〜1重量%とし、
総量100%となるように選んだ組成である平均粒径5μ
mの硼珪酸ガラス粉とフイラとしてSiO2ガラスを、さら
に、SiO2ガラスの安定化剤としてAl2O3または、Al2O3
含んだ化合物(ムライト:3Al2O3・2SiO2,スピンネル:Mg
O・Al2O3,コージエライト:2MgO・2Al2O3・5SiO2等)
を、硼珪酸ガラス90〜40重量%、SiO2ガラス10〜60重量
%、Al2O3及びAl2O3を含んだ化合物を5〜10重量%で総
量100%になるように配合し、この粉末にメタクリル酸
系のバインダ20重量部、トリクロロエチレン99重量部、
テトラクロロエチレン26重量部、nブチルアルコール35
重量部、フタル酸ジnブチルを1重量部加えボールミル
で24h湿式混合してスラリを作る。更に、実施例1と同
様にしてセラミツク多層回路基板を作製した。焼成条件
は900〜1000℃で1hである。作製したセラミツク多層回
路基板には、導体配線6、及び、ビアホール5の回りに
クラツク、及び、はがれ等は認められなかつた。更に、
焼成品にピン付け、及び、LSIチツプ1の装着をした。
焼成品にピン付けした部分の周辺には、クラツク等は認
められなかつた。また、基板にそり、変形などは認めら
れなかつた。信号伝播速度は、気孔を設けない場合に比
べ約6〜8%高速化した、セラミツク多層回路基板内部
の信号伝播速度は約1.6×108m/sであつた。基板全体で
の曲げ強さの低下は、約20%程度であつた。
〈実施例3〉 実施例2で使用した硼珪酸ガラスとα石英を硼珪酸ガ
ラス40〜70重量%、α石英60〜30重量%の混合比で配合
し実施例1と同様にセラミツク多層回路基板を作製し
た。焼成条件は、900〜1000℃で1hである。作製したセ
ラミツク多層回路基板には、導体配線6、及び、ビアホ
ール5の回りにクラツク、及び、はがれ等は認められな
かつた。更に、焼成品にピン付け、及び、GaAsのLSIチ
ツプ1を装着した。焼成品にピン付けした部分の周辺に
は、クラツク等は認められなかつた。また、基板にそ
り、変形などは認められなかつた。信号伝播速度は、気
孔を設けない場合に比べ約8〜10%高速化した。セラミ
ツク多層回路基板内部の信号伝播速度は、約1.6×108m/
sであつた。基板全体での曲げ強さの低下は、約20%で
あつた。
〈実施例4〉 実施例1〜3のグリーンシート10を使用し、導体配線
6、及び、導体層3、ビアホール5用導体としてAu、ま
たは、Pd含有量5〜30重量%のAg−pd、または、Agから
なる導体ペースト14を適用し、実施例1と同様にセラミ
ツク多層回路基板を作製した。焼成雰囲気は、大気中で
ある。基板にそり、変形などは認められなかつた。信号
伝播速度は、Cuを配線導体6として適用した場合とほぼ
同じであり、気孔を含まない場合に比べ約6〜12%高速
化した。セラミツク多層回路基板内部の信号伝播速度は
約1.5〜1.6×108m/sであつた。基板全体での曲げ強さの
低下は、約20%程度であつた。
〈実施例5〉 表1に示したセラミツクスを原料として、実施例1及
び実施例4と同様にしてセラミツク多層回路基板を作製
した。
なお、緻密な方のセラミツク絶縁材料の組成は、多孔
質領域と同じである。作製したセラミツク多層回路基板
には、導体配線6、及び、ビアホール5の回りにクラツ
ク、及び、はがれ等は認められなかつた。更に、焼成品
にピン付け、及び、LSIチツプ1の装着をした。焼成品
にピン付けした部分の周辺には、クラツク等は認められ
なかつた。また、基板にそり、変形などは認められなか
つた。表1で高速化率とは、気孔を設けない場合に比べ
どれだけ高速化したかを示している。信号伝播速度は、
気孔を設けない場合に比べ5〜25%高速化した。基板全
体での曲げ強さの低下は約20〜40%であつた。
〈実施例6〉 実施例1〜3及び5で作製した中空微小球を埋め込ん
だグリーンシート10を、第2図に示すように配置し、積
層して、実施例1〜3及び5と同様にセラミツク多層回
路基板を作製した。作製したセラミツク多層回路基板に
は、導体配線6、及び、ビアホール5の回りにクラツ
ク、及び、はがれ等は認められなかつた。更に、焼成品
にピン付け、及び、LSIチツプの装着をした。焼成品に
ピン付けした部分の周辺には、クラツク等は認められな
かつた。また、基板18にそり、変形などは認められなか
つた。信号伝播速度は、気孔を設けない場合に比べ10〜
16%高速化した。基板全体での曲げ強さの低下は、約30
%であつた。
〈実施例7〉 実施例1〜3及び5と同様に、厚さ100μmのグリー
ンシート10を作製した。さらに、配線パターンと同じパ
ターンにグリーンシート10を打抜いた。さらに、このグ
リーンシート10に、実施例1〜3及び5と同様に中空微
小球13とセラミツクス粉末とバインダを埋め込んだ。さ
らに、導体ペースト14を印刷しビアホール5に導体ペー
スト14を充填した。さらに第3図、または、第4図に示
すように、導体配線の片面及び両面に、気孔を含む領域
7が接するように積層した。さらに、実施例1〜3及び
5と同様に、セラミツク多層回路基板を作製した。作製
したセラミツク多層回路基板には、導体配線6、及び、
ビアホール5の回りにクラツク、及び、はがれ等は認め
られなかつた。更に、焼成品にピン付け、及び、LSIチ
ツプ1の装着をした。焼成品にピン付けした部分の周辺
には、クラツク等は認められなかつた。また、基板18に
そり、変形などは認められなかつた。導体配線6の片面
のみに気孔を含む領域を配置した場合、信号伝播速度
は、気孔を設けない場合に比べ約20〜30%高速化した。
基板全体での曲げ強さの低下は、約30%であつた。ま
た、導体配線6の両面に気孔を含む領域7を配置した場
合、信号伝播速度は、気孔を設けない場合に比べ約25〜
35%高速化した。基板18全体での曲げ強さの低下は、約
50%であつた。
〈実施例8〉 実施例1〜3及び5で作製した中空微小球13を埋め込
んだグリーンシート10に実施例1と同様に導体ペースト
14を印刷し、ビアホール5に導体ペースト14を充填し
た。さらに、中空SiO2微小球13を含まないグリーンシー
ト10のビアホール5にも導体ペースト14を充填した。さ
らに、実施例1〜3及び5で作製した中空微小球13を埋
め込む前のグリーンシート10を、第5図に示すように、
積層して、導体の片面に空洞9をもつように積層した。
次に実施例1〜3及び5と同様にセラミツク多層回路基
板を作製した。作製したセラミツク多層回路基板には、
導体配線6、及び、ビアホール5の回りにクラツク、及
び、はがれ等は認められなかつた。更に、焼成品にピン
付け、及び、LSIチツプ1の装着をした。焼成品にピン
付けした部分の周辺には、クラツク等は認められなかつ
た。また、基板18にそり、変形などは認められなかつ
た。信号伝播速度は、気孔を設けない場合に比べ約40%
高速化した。基板全体での曲げ強さの低下は、約50%で
あつた。
〈実施例9〉 セラミツクス原料としてAlN95〜99重量%、希土類元
素酸化物(この場合Y2O3)を1〜5重量%とし、実施例
1と同様に、導体配線と同じパターンに溝を形成した。
次に、AlNを90〜95重量%、BNを5〜10重量%の混合比
で配合した粉末100重量部にメタクリル酸系バインダ10
〜20重量部を添加した粉末を上述の溝に埋め込んだ。更
に、実施例1と同様に、セラミツク多層回路基板を作製
した。なお、導体配線6、導体層3,ビアホール5の導体
はW(タングステン)であり、焼成温度は1850〜1950
℃、N2中である。AlNとBNを混合したものは、焼結しに
くいため導体配線近くに気孔が多い領域7が形成でき
る。作製したセラミツク多層回路基板には、導体配線
6、及び、ビアホール5の回りにクラツク、及び、はが
れ等は認められなかつた。更に、焼成品にピン付け、及
び、LSIチツプ1の装着をした。焼成品にピン付けした
部分の周辺には、クラツク等は認められなかつた。ま
た、基板にそり、変形などは認められなかつた。信号伝
播速度は、気孔を設けない場合に比べ約15%増した。ま
た、気孔を設けない場合に比べ熱伝導率の低下は約20%
であつた。
〈実施例10〉 セラミツク原料粉末とバインダを実施例1〜3で作製
したグリーンシート10と同じ混合比で混合したものを10
0重量部に対して、窒化物(Si3N4,AlNなど)1〜10重量
部を配合したものを、実施例4で作製した溝つきのグリ
ーンシート10に埋込んだ。さらに実施例4と同様にして
セラミツク多層回路基板を作製した。窒化物は、ガラス
などと大気中で焼成すると分解してガスを発生する。こ
のガスによつて導体配線6のまわりに気孔を含んだ領域
が形成される。本実施例では、発泡剤として窒化物を用
いたが、その他の発泡剤でも適用可能である。作製した
セラミツク多層回路基板には、導体配線6、及び、ビア
ホール5の回りにクラツク、及び、はがれ等は認められ
なかつた。更に、焼成品にピン付け、及び、LSIチツプ
1の装着をした。ピン付けした部分の周辺には、クラツ
ク等は認められなかつた。また、基板にそり、変形など
は認められなかつた。信号伝播速度は、気孔を設けない
場合に比べ、約10〜20%高速化した。基板全体でその曲
げ強さの低下は、約10%であつた。
〈実施例11〉 実施例1〜3でグリーンシートに使用したセラミツク
原料について、ガラス粉末の配合量を全体の10〜40重量
%とした原料粉末を用意する。さらに、この粉末にグリ
ーンシート10に使用したバインダを同じ重量部で混合す
る。次に、この粉末を実施例1〜3で作製した溝つきの
グリーンシート10に埋め込んだ。さらに、実施例1〜3
と同様にして、セラミツク多層回路基板を作製した。溝
の中に埋め込んだセラミツク粉末に含まれるガラスの量
は、グリーンシート10に含まれるガラスの量より少ない
ため、溝の内部は焼結が不十分となり気孔が残る。作製
したセラミツク多層回路基板には、導体配線6、及び、
ビアホール5の回りにクラツク、及び、はがれ等は認め
られなかつた。更に、焼結品にピン付け、及び、LSIチ
ツプ1の装着をした。ピン付けした部分の周辺には、ク
ラツク等は認められなかつた。また、基板18にそり、変
形などは認められなかつた。信号伝播速度は、気孔を設
けない場合に比べ、約5〜10%高速化した。基板18全体
での曲げ強さの低下は、約10%であつた。
〈実施例12〉 厚さ50μmのSiO2ガラスクロスの両面に実施例1〜3
で使用したスラリをぬるか、またはスラリ中にSiO2ガラ
スフアイバを、実施例1〜3で使用したセラミツク原料
粉末中のSiO2粉末の一部を置換する形でセラミツク原料
の5〜20重量%添加して、繊維複合グリーンシートを作
製した。さらに、SiO2ガラスフアイバを使用した場合に
は、キヤステイング方向を90゜ずらして二枚積層して一
枚のグリーンシート10にした。
次に有機物シート24上に厚さ5〜30μmのCuの金属膜
を形成した。ここで使用する有機物シートは、金属膜を
保持できる程度の接着強度をもつが、容易に金属が剥離
できるものならよい。例えば、弗素樹脂を含んだものや
ポリエチレンを含んだものなどが適用可能である。次
に、フオトリソ技術を用いて配線パターンに金属膜をエ
ツチングした。配線幅は10〜150μmである。次に、実
施例1〜3と同様にして、中空SiO2微小球を埋め込んだ
グリーンシート10を作製した。気孔を含む領域の幅は10
〜150μmである。
次に、このグリーンシート10に作製した導体配線6を
位置合わせして圧着した。さらに、金属を保持していた
有機物シート24をはがしてとり除いた。さらに実施例1
〜3のようにビアホール5を形成し、上記で作製した繊
維複合グリーンシートを表裏面近くに積層し、実施例1
と同様にしてセラミツク多層回路基板を作製した。繊維
質を含んだグリーンシート10は、平面方向の焼成収縮率
が小さいために、内部の金属配線が粉末でなくても適用
可能である。つまり、すでに緻密になつている金属膜で
も適用可能である。また、中空SiO2微小球13が配線導体
6のまわりに存在すると、中空SiO2微小球13の平均粒径
が10μm程度であるため、金属粉が焼結する時に配線が
曲つたりする。しかし、金属膜を使用すると配線の曲が
りが少なくなり、また、断線などに対する信頼性も向上
する。また、電気抵抗率は気孔を含まないため、約1.8
μΩ・cmである。なお、実施例4〜11の材料、及び、構
造についても、本技術は適用可能である。作製したセラ
ミツク多層回路基板には、導体配線6、及び、ビアホー
ル5の回りにクラツク、及び、はがれ等は認められなか
つた。更に、焼成品にピン8付け、及び、LSIチツプ1
の装着をした。ピン8付けした部分の周辺には、クラツ
ク等は認められなかつた。また、基板18にそり、変形な
どは認められなかつた。信号伝播速度は、気孔を設けな
い場合に比べ約6〜12%高速化した。基板18全体での曲
げ強さの低下は、約20%であつた。作製した繊維複合セ
ラミツク多層回路基板の概要を第7図に示す。
〈実施例13〉 実施例1〜12で作製したセラミツク多層回路基板の上
にLSIチツプ1との高精度の接続を可能にするためにポ
リイミドを絶縁材料とし、Cu21を配線導体とした薄膜多
層配線を形成した。さらに、この基板18の上にキヤリア
基板18を介してLSIチツプ1を装着した。更に、キヤリ
ア基板18にAlNのキヤツプ17をかぶせ、電源基板22、及
び、冷却系16にセラミツク多層回路基板を接続して大型
電子計算機のモジユールを作製した。作製したモジユー
ルの概要を第8図に示す。このモジユールを適用した大
型電子計算機はマシンサイクル時間1〜10msである。
なお、図中2ははんだ、4はセラミツク絶縁材料、11
は打抜き部分、12は孔、15は繊維、19はスルーホール、
20は薄膜多層配線、23は銅である。
〔発明の効果〕
本発明によれば、導体配線と導体層の間のキヤパシタ
ンスは小さくなり、信号伝播速度の高速化が可能とな
り、セラミツク多層回路基板全体としてみた場合の気孔
率が少ないため、機械的強度、及び、熱伝導率の劣化は
少ない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例のセラミツク多層回路基板
の断面図、第2図は、導体層と導体層の間の断面図、第
3図ないし第5図は、導体配線と導体層の間の構成を示
す断面図、第6図は、本発明のセラミツク多層回路基板
の製造方法の工程図、第7図は、繊維を複合化し、か
つ、絶縁層に気孔率の異なる二つの領域が存在するセラ
ミツク多層回路基板の概要を示す断面図、第8図は、本
発明のセラミツク多層回路基板上に薄膜多層配線を形成
し、キヤリア基板を介してLSIチツプを接続したモジュ
ールの概要を示す断面図である。 1……LSIチツプ、2……はんだ、3……導体層、4…
…セラミツク絶縁材料、5……ビアホール、6……導体
配線、7……多孔質領域、8……電気信号入出力用ピ
ン、9……空洞、10……グリーンシート、11……打抜き
部分、12……穴、13……中空微小球、14……導体ペース
ト、15……繊維、16……冷却系、17……AlNキヤツプ、1
8……キヤリア基板、19……スルーホール、20……薄膜
多層配線、21……Cu配線、22……電源基板、23……銅、
24……有機板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−67879(JP,A) 特開 昭60−89995(JP,A) 特開 昭62−206861(JP,A) 特開 昭62−188399(JP,A) 特開 昭63−5594(JP,A) 特開 昭63−202994(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導体配線と導体層とが絶縁層を介して積層
    され、前記導体配線は前記導体層間に形成されたセラミ
    ック多層回路基板において、前記導体層の相互間の絶縁
    層は、内部に気孔が多く存在する領域と少なく存在する
    領域とを有し、前記気孔が多く存在する領域を前記導体
    配線の側に設けたことを特徴とするセラミック多層回路
    基板。
  2. 【請求項2】前記気孔が多く存在する領域が、前記導体
    層と前記導体配線層との間に連続して存在していないこ
    とを特徴とする請求項1記載のセラミック多層回路基
    板。
  3. 【請求項3】前記気孔が少なく存在する領域が、前記導
    体層と前記導体配線層との間に連続して存在することを
    特徴とする請求項1記載のセラミック多層回路基板。
  4. 【請求項4】前記気孔が多く存在する領域の厚さが、前
    記導体層と前記導体配線層との間隔の50%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のセラミック多層回路基
    板。
  5. 【請求項5】前記気孔が多く存在する領域の幅が、前記
    導体配線の幅の50%以上で150%以下であることを特徴
    とする請求項1記載のセラミック多層回路基板。
  6. 【請求項6】前記気孔が多く存在する領域には、気孔が
    10vol%以上存在し、前記気孔の少ない領域には、気孔
    が10vol%より少なく存在することを特徴とする請求項
    1記載のセラミック多層回路基板。
  7. 【請求項7】前記気孔の大きさが直径100μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のセラミック多層回路
    基板。
  8. 【請求項8】前記導体配線および前記導体層は、Cu,Au,
    Ag,Ag−Pd,W,Moまたは、これらの合金の中の少なくとも
    一つを含むことを特徴とする請求項1記載のセラミック
    多層回路基板。
  9. 【請求項9】請求項1記載のセラミック多層回路基板を
    適用したことを特徴とする電子計算機。
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