JP2643693B2 - 基材に固定されたシリコーンゴム部品 - Google Patents

基材に固定されたシリコーンゴム部品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物用防水シ−ル材
等として有効に利用することができるシリコーンゴム部
品が基材の垂直面に施工して垂れ落ちることなく接着保
持された、高粘着性シリコーンゴム用感圧接着剤で基材
に固定化されたシリコーンゴム部品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
シリコーンゴム成形体を被着体に接着させる使用法が汎
用的に用いられるようになってきた。その具体例とし
て、特に建築業界ではシリコーンゴムガスケット材が建
築物用防水シ−ル材として使用されている。このシリコ
ーンゴムガスケットは、合成ゴム系の建築用ガスケット
と比較すると耐候性、難燃性等の特性が優れているばか
りでなく、圧縮永久歪みが小さいことから、長期信頼性
を要求される建築物の防水シ−ルとして優れた特性を有
しているため、建築用の需要が急増している。このよう
な建築用シリコーンゴムガスケットは、公知のシリコー
ンゴム組成物を成形体に押し出す等の方法で成形して製
造されており、固形状、スポンジ状の形態で建築用の外
壁として使用されているメタルカーテンウォール、コン
クリートカーテンウォール、アルミサッシュやALCパ
ネル等の防水シ−ル材として使用されている。
【0003】しかしながら、これらシリコーンゴムガス
ケットを外壁に接着させるためには、シリコーンシーラ
ントによリ接着させる必要があるが、シリコーンシーラ
ントは湿気硬化タイプであり、その硬化にはかなりの時
間を要するため、実際にはシリコーンシーラントを用い
てシリコーンゴムガスケットを外壁の防水シ−ルとして
接着させてから最低1日経過してからでないとシリコー
ンゴムガスケットがしっかりと接着しない。このため、
外壁パネルの移動がすぐにできず、工場生産性が非常に
低いという欠点があった。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、このようなシリコーンゴムガスケット等のシリコー
ンゴム部品が建築用外壁等の基材に短時間で接着性良く
固定され、この場合基材垂直面にシリコーンゴム部品が
接着してもこれが垂れ落ちることなく保持された、基材
に固定されたシリコーンゴム部品を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、R1 3Si
1/2単位(M単位、但し、R1は置換又は非置換の一価
炭化水素基である)とSiO4/2単位(Q単位)とをM
単位/Q単位=0.6〜1.0の割合で含有してなる溶
剤可溶性シリコーン樹脂コポリマーと、下記組成式
(I)で示されるオルガノポリシロキサンとを含有する
シリコーン樹脂成分に、カーボンを上記コポリマー及び
オルガノポリシロキサンの合計量100重量部に対して
0.1〜10重量部配合することにより、前記シリコー
ン樹脂成分が短時間で高い粘着性を示す上、カーボンを
特定量添加したことで接着性を損なうことなく垂直面に
施工しても垂れ落ちることがなく、しかも被接着体に圧
着させるだけで良好に接着し得ること、それ故、かかる
粘着性シリコーン組成物(感圧接着性)でシリコーンゴ
ムを基材に固定化することにより、速やかに接着して短
時間で移動可能と成り得る生産性に優れたシリコーンゴ
ム部品が得られることを知見し、本発明をなすに至った
ものである。
【0006】
【化2】 (但し、式中R2は置換又は非置換の一価炭化水素基で
あり、aは1.95〜2.05である。)
【0007】なお、オルガノポリシロキサンを含む感圧
接着剤としてR1 3SiO1/2単位(M単位)及びSiO
4/2単位(Q単位)から本質的になる溶剤可能のコポリ
マーとヒドロキシ末端オルガノポリシロキサンとの混合
物からなる組成物が米国特許第2736721,281
4601,2857356,3528940号などに記
載され、また、R1 3SiO1/2単位(M単位)及びSi
4/2単位(Q単位)からなる本質的になる溶剤可溶の
コポリマーとアルケニル基を含むオルガノポリシロキサ
ン及び珪素結合水素原子を含むオルガノポリシロキサン
を白金含有触媒を用いて硬化させるものが特公昭54−
37907号公報等に記載されているが、前記コポリマ
ー及び(I)式のオルガノポリシロキサンに加えてカー
ボンを特定量併用したシリコーンゴム用感圧接着剤を用
いてシリコーンゴム部品を基材に粘着固定化するという
試みは本発明者の新知見である。
【0008】従って、本発明は、(1)R SiO
1/2単位(M単位、但し、Rは置換又は非置換の一
価炭化水素基である)とSiO4/2単位(Q単位)と
をM単位/Q単位=0.6〜1.0の割合で含有してな
る溶剤可溶性コポリマー (2)上記組成式(I)で示されるオルガノポリシロキ
サン (3)上記(1)及び(2)成分の合計量100重量部
に対し0.1〜10重量部のカーボン粉末を含有してな
り、上記(1)成分と(2)成分とを重量比30:70
〜70:30で用いた垂直面で垂れ落ちしないシリコー
ンゴム用感圧接着剤で基材に固定されたシリコーンゴム
部品を提供する。
【0009】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明に係るシリコーンゴム部品の基材への固定に用いる感
圧接着剤の第1必須成分は、R1 3SiO1/2単位(M単
位)及びSiO4/2単位(Q単位)から本質的になる溶
剤可溶のコポリマーである。
【0010】この場合、上記M単位中のR1は、例えば
メチル基,エチル基,プロピル基,ビニル基,フェニル
基等の一価炭化水素基あるいはこれらの水素原子にハロ
ゲン原子等が置換された基などの置換又は非置換の一価
炭化水素基である。
【0011】また、上記コポリマーはM単位とQ単位と
の割合(M/Q)が0.6〜1.0、好ましくは0.7
〜0.9の範囲であることが必要で、M/Qが0.6未
満では溶剤可溶の本発明コポリマーの安定性が悪くな
り、M/Qが1.0を超えると粘着力が少なくなる。な
お、このコポリマーにはM及びQ単位以外にその他の単
位、例えばRSiO3/2単位、R2SiO2/2単位等を含
んでいてもよい。
【0012】上記コポリマーは、融点が50℃以上で、
室温では固体状であるため、トルエン、キシレン、ベン
ゼン等の溶剤に溶解した状態で使用する場合が多い。
【0013】上述した溶剤可溶性コポリマーは公知の方
法で製造することができ、具体的にはR1 3SiClとS
iCl4とを所望のM/Q比に対応するように配合した
後、共加水分解縮合させることにより容易に合成するこ
とができる。
【0014】次に、第2必須成分は下記組成式(I)で
示されるオルガノポリシロキサンである。
【0015】
【化3】
【0016】上記(I)式中、R2は例えばメチル基,
エチル基,プロピル基等のアルキル基、ビニル基,アリ
ル基,ブタニエル基等のアルケニル基、フェニル基,ト
リル基等のアリール基や、これらの基の炭素原子に結合
した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子,シアノ基
等で置換したクロロメチル基,クロロプロピル基,3,
3,3−トルフロロプロピル基,2−シアノエチル基な
どから選択される同種又は異種の非置換又は置換1価炭
化水素基である。また、aは1.95〜2.05であ
る。
【0017】更に、(I)式のオルガノポリシロキサン
の分子構造は直鎖状のものが好ましいが、分子中に一部
分枝状の構造を含んでいてもよい。また、このものは分
子鎖末端がトリオルガノシリル基又は水酸基で封鎖され
ていてもよく、トリオルガノシリル基としては、具体的
にトリメチルシリル基,ジメチルビニルシリル基,メチ
ルフェニルビニルシリル基,ジメチルフェニルシリル
基,メチルジビニルシリル基,トリビニルシリル基等が
例示される。なおまた、上記オルガノポリシロキサンと
しては重合度100以上であり、25℃における粘度が
10,000cs以上〜シリコーンガム状であることが
好適である。
【0018】上記第1必須成分のコポリマーと第2必須
成分のオルガノポリシロキサンとの配合割合は、重量比
で30:70〜70:30、特に40:60〜60:4
0とすることが好ましく、上記範囲外では粘着性が不足
する場合がある。
【0019】本発明では、上述したシリコーン樹脂成分
(第1成分のコポリマー及び第2成分のオルガノポリシ
ロキサン)に加えてカーボンを配合する。このカーボン
は上記シリコーン樹脂成分の粘着性を阻害することな
く、しかもシリコーン組成物の垂直面に塗布時の垂れ落
ちを防止するために必須な成分である。
【0020】ここで、カーボンとしては、通常シリコー
ンゴム組成物に常用されるものを使用することができ、
例えばアセチレンブラック,コンダクチブファーネスブ
ラック(CF),スーパーコンダクチブファーネスブラ
ック(SCF),エクストラコンダクチブファーネスブ
ラック(XCF),コンダクチブファーネスブラック
(CC)や、1500℃程度の高温で熱処理されたファ
ーネスブラック,チャンネルブラック等を挙げることが
できる。アセチレンブラックの具体例としては、電化ア
セチレンブラック(電気化学(株)製),シャウニガン
アセチレンブラック(シャウニガンケミカル(株)
製)、コンダクチブファーネスブラックの具体例として
は、コンチネックCF(コンチネンタルカーボン(株)
製),バルカンC(キャボット(株)製)等、スーパー
コンダクチブファーネスブラックの具体例としては、コ
ンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン(株)
製),バルカンSC(キャボット(株)製)等、エクス
トラコンダクチブファーネスブラックの具体例として
は、旭HS−500(旭カーボン(株)製),バルカン
XC−72(キャボット(株)製)等、コンダクチブチ
ャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ
(株)製)等が例示される。また、ファーネスブラック
の1種であるケッチェンブラックEC及びケッチェンブ
ラックEC−600JD(ケッチェンブラックインター
ナショナル(株)製)を用いることもできる。なお、導
電性を必要とする場合は導電性カーボンを用いればよい
が、特に好ましいカーボンブラックはファーネスブラッ
ク、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、アセチ
レンブラックである。
【0021】また、カーボンの添加量は第1必須成分の
コポリマーと第2必須成分のオルガノポリシロキサンと
の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部、特
に3〜8重量部とする。添加量が0.1重量部に満たな
いと垂直面に塗布時に垂れ落ちが生じ、10重量部を越
えるとシリコーン樹脂成分の初期の粘着性を阻害する。
【0022】本発明のシリコーン組成物には、補強又は
増量等を目的とし、粘着性を阻害しない範囲で必要に応
じ上記カーボン以外の充填剤を配合してもよい。その他
の充填剤としては公知のものが使用され、例えば微粉末
シリカ,フュムドシリカ,沈降シリカ,ケイソウ土,酸
化鉄,酸化亜鉛,酸化チタン等の金属酸化物、あるいは
これらの表面をシラン等で疎水化処理をしたもの,炭酸
カルシウム,炭酸マグネシウム,炭酸亜鉛等の金属炭酸
塩、アスベスト,ガラス繊維,微粉マイカ,溶融シリカ
粉末等が例示される。更に、必要に応じてポリエチレン
グリコール及びその誘導体等のチクソトロピー性付与
剤,顔料,染料,老化防止剤,酸化防止剤,帯電防止
剤,酸化アンチモン,塩化パラフィン等の難燃剤、窒化
ホウ素,酸化アルミニウム等の熱導電性改良剤、接着剤
付与剤として、例えばアミノ基,エポキシ基,メルカプ
ト基等の反応性有機基を有する有機珪素化合物、所謂シ
ランカップリング剤、更には、可塑剤,タレ防止剤,公
知の防汚剤,防腐剤,殺菌剤,防黴剤等の従来公知の各
種添加剤を配合することは何ら差し支えない。
【0023】更にまた、上記シリコーン組成物は基体に
塗布する際の便宜性の点からトルエン,キシレン,石油
エーテル等の炭化水素系溶剤、ケトン類,エステル類等
の溶剤を添加して希釈してもよい。なお、溶剤の添加量
が第1成分,第2成分,第3成分の合計量100重量部
に対して10〜100重量部の範囲で添加することがで
きるが、勿論溶剤の使用量は適宜選定され、その使用量
は上記量に制限されるものではない。
【0024】本発明に係る感圧接着剤は、その製造法と
しては、まず上述した第1成分のコポリマーと第2成分
のオルガノポリシロキサンとを混合して室温〜200℃
で1〜10時間加熱することにより得ることができ、更
にこれに第3成分のカーボンを添加、混合して均一化す
ることが望ましい。
【0025】本発明のシリコーンゴム部品は、上記感圧
接着剤で基材に固定化したものである。
【0026】この場合、使用するシリコーンゴム部品及
びそれを固定化する基材に特に制限はなく、通常のもの
を使用し得、具体的には押出成型法で成型加工したシリ
コーンゴムガスケット類,シリコーンゴムスポンジガス
ケット類などを挙げることができる。
【0027】なお、上記感圧接着剤は、その使用に際し
0.1〜10mmの厚さに塗布し、室温で10〜60分
間放置した後、シリコーンゴム成形体を0.5〜5kg
f/cm2で圧着させることが好ましい。
【0028】
【発明の効果】本発明のシリコーンゴム部品は、各種基
材の垂直面に対して施工しても垂れ落ちさせることもな
い優れた接着性を有すると共に、速やかに接着して短時
間で移動可能とするものである。
【0029】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。
【0030】[実施例1、比較例1,2]ジメチルシロ
キサン単位98.975モル%,メチルビニルシロキサ
ン単位1.0モル%とからなり、分子末端がジメチルビ
ニルシリル基0.025モル%で封鎖され、粘度が25
℃で10,000,000csのオルガノポリシロキサ
ン100重量部に対してトルエンを50重量部加えて溶
解させた後、溶剤可溶シリコーン樹脂ポリマーA[Me
3SiO1/2単位(Meはメチル基)とSiO4/2単位と
からなり、M/Qが0.75であり、25℃における粘
度が850csで、不揮発分70.5%のトルエン溶
液]を150重量部加えて150℃にて2時間加熱し、
25℃における粘度が30,000cs、不揮発分が6
8.7%である均一な液体(A)を得た。この液体
(A)100重量部にアセチレンブラック(電気化学
(株)製)を表1に示す量で加え、3本ロールで均一に
混合した。得られた粘着性シリコーン組成物をアルミテ
ストパネルの上に0.5mm厚さに均一に塗布して室温
で15分放置した後、2mm厚さに成形加硫されたシリ
コーンゴムシートを約1kgf/cm2の圧力で圧着し
て図1に示すような試験体を作成し、接着力の経時変化
を測定した。なお、図中、1はアルミテストパネル、2
はシリコーンゴムシート、3は粘着性シリコーン組成物
である。結果を表1に併記する。
【0031】
【表1】
【0032】[実施例2,3、比較例3,4]両末端が
シラノールであり、25℃における粘度が10,000
csであるジメチルシロキサン100重量部に対してト
ルエンを50重量部加えて溶解させた後、溶剤可溶シリ
コーン樹脂ポリマーB[ViMe2SiO1/2単位(Vi
はビニル基、Meはメチル基)とSiO4/2単位とから
なり、M/Qが0.75であり、25℃における粘度が
850csで、不揮発分69.5%のトルエン溶液]を
150重量部加えて150℃にて2時間加熱し、25℃
における粘度が1,000cs、不揮発分が68.7%
である均一な液体(B)を得た。この液体(B)100
重量部にアセチレンブラック(電気化学(株)製)を表
2に示す量で加え、3本ロールで均一に混合した。得ら
れた組成物をアルミテストパネルの上に0.5mm厚さ
に均一に塗布して室温で15分放置した後、2mm厚さ
に成形加硫されたシリコーンゴムシートを約1kgf/
cm2の圧力で圧着して図1に示すような試験体を作成
し、接着力の経時変化を測定した。結果を表2に併記す
る。
【0033】
【表2】
【0034】表1,2の結果より、本発明のシリコーン
ゴム部品は速やかに接着して短時間で移動可能となり得
るものであることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で作成した試験体の概略図で
ある。
【符号の説明】
1 アルミテストパネル 2 シリコーンゴム 3 粘着性シリコーン組成物

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)R SiO1/2単位(M単
    位、但し、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基であ
    る)とSiO4/2単位(Q単位)とをM単位/Q単位
    =0.6〜1.0の割合で含有してなる溶剤可溶性コポ
    リマー (2)下記組成式(I)で示されるオルガノポリシロキ
    サン 【化1】 (但し、式中Rは置換又は非置換の一価炭化水素基で
    あり、aは1.95〜2.05である。) (3)上記(1)及び(2)成分の合計量100重量部
    に対し0.1〜10重量部のカーボン粉末を含有してな
    り、上記(1)成分と(2)成分とを重量比30:70
    〜70:30で用いた垂直面で垂れ落ちしないシリコー
    ンゴム用感圧接着剤で基材に固定されたシリコーンゴム
    部品。
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