JP2643647B2 - 導電性エポキシフィルム - Google Patents

導電性エポキシフィルム

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JP2643647B2
JP2643647B2 JP3111862A JP11186291A JP2643647B2 JP 2643647 B2 JP2643647 B2 JP 2643647B2 JP 3111862 A JP3111862 A JP 3111862A JP 11186291 A JP11186291 A JP 11186291A JP 2643647 B2 JP2643647 B2 JP 2643647B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐薬品性、接
着性などの特性に優れた導電性エポキシフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】導電性フィルムは、一般に熱可塑性樹脂
であるポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアミド、シリコーンなどのフィルムベース材料
に、金属粉末、カーボンなどの導電性粉末を配合して製
造される。エピハロヒドリンと二官能フェノ−ル類を重
合させて得た高分子量エポキシ重合体、または低分子量
エポキシ樹脂と二官能フェノ−ル類を重合させて得た高
分子量エポキシ重合体のいずれかを用いた導電性エポキ
シ接着フィルムについて記載された文献は見当らない。
【0003】直鎖状高分子量エポキシ重合体を用いて、
エポキシ樹脂シートを製造する方法については、特開昭
51−87560号公報に記載がある。この方法は、直
鎖状高分子量エポキシ重合体と低分子量エポキシ樹脂を
加熱溶融させ、有機カルボン酸塩を混合して、厚さが
0.3〜0.5mmのシートを得るものである。得られ
たシートの特性は、引張り強度が約10MPa、伸びが
350〜870%とされる。ここで用いられる直鎖状高
分子量エポキシ重合体の分子量は30,000〜25
0,000とされるが、分子量測定方法については記載
されていない。一般にゲル浸透クロマトグラフィーによ
って測定された平均分子量は、測定条件によって大きく
異なることが知られている。作できるシ−トの厚みに
関する記載はないが、シートの引張強度から推定して、
300μm以下のシートはできないと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において
は、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの特徴に優れたエポ
キシ樹脂あるいはエポキシ重合体をベースフィルムとし
た導電性フィルムは作製することができなかった。さら
に従来の技術において、エポキシフィルムまたはエポキ
シシートについても、一般にフィルムあるいは薄膜とい
われるような100μm以下のフィルムは作製すること
ができなかった。本発明は、エポキシベースフィルムが
高強度であることから100μm以下の薄膜化が可能で
あり、しかも耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れた導電性
エポキシ接着フィルムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、二官能エポキ
シ樹脂と二官能フェノ−ル類を、二官能エポキシ樹脂と
二官能フェノ−ル類の配合当量比を、エポキシ基/フェ
ノ−ル水酸基=1:0.9〜1.1とし、触媒の存在
下、沸点が、130℃以上のアミド系またはケトン系溶
媒中、反応固形分濃度50重量%以下で、加熱して重合
させて得た還元粘度が0.70dl/g以上で直鎖状の
高分子量エポキシ重合体に、導電性を有する粉末または
繊維を配合してなる導電性エポキシフィルムに関するも
のである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明における二官能エポキシ樹脂は、分
子内に二個のエポキシ基をもつ化合物であればどのよう
なものでもよく、例えば、ビスフェノ−ルA型エポキシ
樹脂、ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂、ビスフェノ−
ルS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状
エポキシ樹脂、その他、二官能フェノ−ル類のジグリシ
ジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジル
エーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加
物などがある。これらの化合物の分子量はどのようなも
のでもよい。これらの化合物は何種類かを併用すること
ができる。また二官能エポキシ樹脂以外の成分が、不純
物として含まれていても構わない。
【0007】本発明における二官能フェノ−ル類も、二
個のフェノ−ル性水酸基をもつ化合物であればどのよう
なものでもよく、例えば、単環二官能フェノ−ルである
ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官
能フェノ−ルであるビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ル
F、ナフタレンジオール類、ビスフェノ−ル類およびこ
れらのハロゲン化物、アルキル基置換体などがある。こ
れらの化合物の分子量はどのようなものでもよい。これ
らの化合物は何種類かを併用することができる。また二
官能フェノ−ル類以外の成分が、不純物として含まれて
いても構わない。
【0008】本発明で用いられる触媒は、エポキシ基と
フェノ−ル性水酸基のエーテル化反応を促進させるよう
な触媒能をもつ化合物であればどのようなものでもよ
く、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、イミダゾール類、有機りん化合物、第二級アミン、
第三級アミン、第四級アンモニウム塩などがある。なか
でもアルカリ金属化合物が最も好ましい触媒であり、ア
ルカリ金属化合物の例としては、ナトリウム、リチウ
ム、カリウムの水酸化物有機酸塩、アルコラート、フ
ェノラート、水素化物、ホウ水素化物、アミドなどがあ
る。これらの触媒は併用することができる。
【0009】本発明で用いるアミド系溶媒は、沸点が1
30℃以上で、原料となるエポキシ樹脂とフェノ−ル類
を溶解すれば、特に制限はないが、例えばホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テト
ラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチルピロリド
ン、カルバミド酸エステルなどがある。これらの溶媒は
併用することができる。またケトン系溶媒、エーテル系
溶媒などに代表されるその他の溶媒と併用しても構わな
い。またケトン系溶媒としては、特に制限はないがシク
ロヘキサノン、アセチルアセトン、ジイソブチルケト
ン、ホロン、イソホロン、メチルシクロヘキサノン、ア
セトフェノンなどがある。
【0010】本発明に係る重合体の合成条件としては、
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノ−ル類の配合当量比
は、エポキシ基/フェノ−ル性水酸基=1:0.9〜
1.1である0.9当量より少ないと、直鎖状に高分
子量化せずに、副反応が起きて架橋し、溶媒に不溶にな
る。1.1当量より多いと、高分子量化が進まない。触
媒の配合量は特に制限はないが、一般にはエポキシ樹脂
1モルに対して触媒は0.0001〜0.2モル程度で
ある。この範囲より少ないと高分子量化反応が著しく遅
く、この範囲より多いと副反応が多くなり直鎖状に高分
子量化しない。 重合反応温度は、60〜150℃であ
ることが望ましい。60℃より低いと高分子量化反応が
著しく遅く、150℃より高いと副反応が多くなり直鎖
状に高分子量化しない。溶媒を用いた重合反応の際の固
形分濃度は50%以下であればよいが、好ましくは40
%以下がよい。さらに好ましくは30%以下にすること
が望ましい。高濃度になるにしたがい副反応が多くな
り、直鎖状に高分子量化しにくくなる。したがって、比
較的高濃度で重合反応を行い、しかも直鎖状の高分子量
エポキシ樹脂を得ようとする場合には、反応温度を低く
し、触媒量を少なくする必要がある。
【0011】導電性を有する粉末または繊維としては、
導電性を有するものであれば何でも良いが、電気伝導度
が比較的高く、耐蝕性が比較的高いものが好ましい。例
えば、金属では、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、
鉄、クロム、タングステン、白金、亜鉛などの遷移金属
のほか、アルミニウム、錫、インジウム、マグネシウム
などがある。またそれ以外の例としては、カーボン、グ
ラファイト、酸化亜鉛、酸化錫などがある。これらの導
電性を有する粉末の平均粒径は50μm以下であればよ
いが、好ましくは10μm以下である。また、これらの
導電性を有する繊維の平均繊維長は100μm以下であ
ればよいが、好ましくは20μm以下である。上記の導
電性を有する粉末または繊維は幾つかを併用することが
できる。配合量は導電性エポキシ接着フィルム中の含有
量として、10%以上であればよいが、十分な導電性を
付与するためには、20%以上配合する必要がある。以
上の導電性フイルム材料の他に、必要に応じて多官能性
エポキシ樹脂、架橋剤、難燃剤その他の添加剤を配合す
ることは可能である。フィルムを作る方法としては、加
熱乾燥あるいは減圧乾燥により溶媒を蒸発させる。乾燥
温度は、高分子量エポキシ重合体の分解温度(約380
℃)以下であれば何度でもよい。乾燥時の雰囲気は、窒
素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスか、空気が好
ましい。減圧乾燥における圧力は、大気圧未満であれば
どの程度であってもよいが、20kPa以下であること
が好ましい。また合成反応溶媒をその他の溶媒に交換し
た後に、上記の方法による溶媒除去を行ってもよい。こ
れらの溶媒除去方法は、併用することが可能である。
【0012】本発明の導電性エポキシフィルムは、枝分
かれの少ない高分子量エポキシ重合体を用いているの
で、従来のエポキシフィルムまたはシートに比較して、
著しく高い機械的強度を有するため、従来のエポキシフ
ィルムに比較して著しく薄く成形することが可能であ
る。さらに熱可塑性樹脂をベースフィルム材料として用
いている導電性フィルムに比較して、エポキシ樹脂の長
所である耐熱性、耐薬品性、接着性に優れた導電性エポ
キシフィルムを得ることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】実施例1 二官能エポキシ樹脂としてビスフェノ−ルA型エポキシ
樹脂(エポキシ当量:177.5)177.5g、二官
能フェノ−ル類としてビスフェノ−ルA(水酸基当量:
115.5)115.5g、エーテル化触媒として水酸
化ナトリウム1.77gをアミド系溶媒であるN,N−
ジメチルアセトアミド547.9gに溶解させ、反応系
中の固形分濃度を3%とした。これを機械的に攪拌し
ながら、オイルバス中で反応系中の温度を120℃に保
ち、そのまま4h保持した。その結果、粘度が19,7
00mPa・sで飽和し、反応が終了した。得られた高
分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透ク
ロマトグラフィーによって測定した結果では133,0
00、光散乱法によって測定した結果では129,00
0であった。また稀薄溶液の還元粘度は1.08dl/
gであった。
【0015】この高分子量エポキシ重合体溶液に、導電
性粒子として平均粒径0.5μmのカーボンブラック
を、重合体70gに対して30g配合して、希釈溶媒と
して、N,N−ジメチルアセトアミドを加えて固形分濃
度を20%とした後、機械的に1h攪拌した。。得られ
たワニスをガラス板上に塗布し、乾燥器中で170℃/
1h加熱乾燥して、厚さ30μmの導電性エポキシフィ
ルムを得た。フィルムの体積抵抗は12Ω・cm、引張
強さは、48MPa、引張弾性率は1500MPa、伸
びは12%、Tgは102℃、熱分解温度は378℃で
あった。
【0016】実施例2 実施例1における平均粒径0.5μmのカーボンブラッ
クを配合する代わりに、平均粒径2.5μmの銀粉を重
合体20gに対して80g配合した以外は、実施例1と
同様にして厚さ40μmの導電性エポキシフィルムを得
た。フィルムの体積抵抗は2.3×10-3Ω・cm、引
張強さは31MPa、引張弾性率は1800MPa、伸
びは6%、Tgは98℃、熱分解温度は、365℃であ
った。 実施例3 実施例1におけるカーボンブラックを配合する代わり
に、平均粒径2.0μmのニッケル粉を重合体20gに
対して80g配合した以外は、実施例1と同様にして、
厚さ36μmの導電性エポキシフィルムを得た。フィル
ムの体積抵抗は8.7×10-3Ω・cm、引張強さは3
5MPa、引張弾性率は1600MPa、伸びは5%、
Tgは100℃、熱分解温度は369℃であった。
【0017】実施例4 実施例1におけるカーボンブラックを配合する代わり
に、平均粒径4.0μmの酸化錫粉を重合体20gに対
して80g配合した以外は、実施例1と同様にして、厚
さ42μmの導電性エポキシ接着フィルムを得た。フィ
ルムの体積抵抗は5.5×106Ω・cm、引張強さは
28MPa、引張弾性率は1500MPa、伸びは9
%、Tgは100℃、熱分解温度は381℃であった。
【0018】実施例5 実施例1におけるビスフェノ−ルAをレゾルシノール5
5.2gに代え、N,N−ジメチルアセトアミドを91
4.9gに代えた以外は、実施例1と同様に高分子量エ
ポキシ重合体の合成を行った。その結果、粘度が2,8
00mPa・sで飽和し、反応が終了した。得られた高
分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透ク
ロマトグラフィーによって測定した結果では、452,
000、光散乱法によって測定した結果では233,0
00であった。また稀薄溶液の還元粘度は1.21dl
/gであった。この高分子量エポキシ重合体溶液に、導
電性粒子として平均粒径0.5μmのカ−ボンブラック
を、重合体70gに対して30g配合し、希釈溶媒とし
てN,N−ジメチルアセトアミドを加えて固形分濃度を
20%とした後、機械的に1時間撹拌した。得られたワ
ニスをガラス板上に塗布し、真空乾燥器中で170℃/
1h加熱乾燥して、厚さ15μmの導電性エポキシフィ
ルムを得た。フィルムの体積抵抗は4.0Ω・cm、引
張強さは36MPa、引張弾性率は1400MPa、伸
びは18%、Tgは82℃、熱分解温度は375℃であ
った。
【0019】実施例6 実施例5における平均粒径0.5μmのカーボンブラッ
クを配合する代わりに、平均粒径2.5μmの銀粉を重
合体20gに対して80g配合した以外は、実施例1と
同様にして厚さ18μmの導電性エポキシフィルムを得
た。フィルムの体積抵抗は5.1×10-4Ω・cm、引
張強さは30MPa、引張弾性率は1700MPa、伸
びは11%、Tgは82℃、熱分解温度は、360℃で
あった。
【0020】実施例7 実施例1におけるN,N−ジメチルアセトアミドをシク
ロヘキサノンに代えた以外は、実施例1と同様に高分子
量エポキシ重合体の合成を行った。その結果、粘度が
8,500mPa.sで飽和し、反応が終了した。得ら
れた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル
浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では8
9,000、光散乱法によって測定した結果では84,
000であった。また稀薄溶液の還元粘度は0.91d
l/gであった。この高分子量エポキシ重合体溶液に、
導電性粒子として平均粒径0.5μmのカ−ボンブラッ
クを、重合体70gに対して30g配合し、希釈溶媒と
してN,N−ジメチルアセトアミドを加えて固形分濃度
を20%とした後、機械的に1時間撹拌した。得られた
ワニスをガラス板上に塗布し、真空乾燥器中で170℃
/1h加熱乾燥して、厚さ28μmの導電性エポキシフ
ィルムを得た。フィルムの体積抵抗は22Ω・cm、引
張強さは57MPa、引張弾性率は1500MPa、伸
びは8%、Tgは99℃、熱分解温度は380℃であっ
た。
【0021】実施例8 実施例7におけるカーボンブラックを配合する代わり
に、平均粒径2.5μmの銀粉を重合体20gに対して
80g配合した以外は、実施例1と同様にして、厚さ4
2μmの導電性エポキシフィルムを得た。フィルムの体
積抵抗は1.9×10-4Ω・cm、引張強さは49MP
a、引張弾性率は1700MPa、伸びは5%、熱分解
温度は360℃であった
【0022】実施例9 実施例7におけるカーボンブラックを配合する代わり
に、平均粒径2.5μmの銀粉を重合体20gに対して
80g配合し、さらにテトラブロモビスフェノ−ルAを
5g加えた以外は、実施例7と同様にして、厚さ42μ
mの導電性エポキシフィルムを得た。フィルムの体積抵
抗は6.4×10-3Ω・cm、引張強さは45MPa、
引張弾性率は1700MPa、伸びは4%、Tgは97
℃、熱分解温度は342℃であった。
【0023】参考例 実施例1におけるカーボンブラックを配合しなかった以
外は、実施例1と同様にして、厚さ28μmのエポキ
ィルムを得た。フィルムの体積抵抗は2.0×1 15
Ω・cm、引張強さは68MPa、引張弾性率は160
0MPa、伸びは18%、Tgは101℃、熱分解温度
は382℃であった。
【0024】比較例1 高分子量エポキシ重合体であるフェノキシ樹脂YP50
P(東都化成)の平均分子量を測定した。ゲル浸透クロ
マトグラフィーによるスチレン換算重量平均分子量は、
68,000、光拡散による平均分子量は、58,00
0であった。また稀薄溶液の還元粘度は0.48dl/
gであった。この樹脂はメチルエチルケトンに容易に溶
解した。またN,N−ジメチルアセトアミド20%溶液
の粘度は200mPa.sであった。
【0025】この高分子量エポキシ重合体溶液に、導電
性粒子として平均粒径0.5μmのカ−ボンブラック
を、重合体70gに対して30g配合し、希釈溶媒とし
てN,N−ジメチルアセトアミドを加えて固形分濃度を
20%とした後、機械的に1時間撹拌した。得られたワ
ニスをガラス板上に塗布し、乾燥器中で170℃/1h
加熱乾燥することによって溶媒を除去したが厚さ100
μm以下で引張り強度が10MPa以上のフイルムは得
られなかった。
【0026】 較例 高分子量エポキシ重合体であるフェノキシ樹脂Epon
o155L32(シェル)の平均分子量を測定した。ゲ
ル浸透クロマトグラフィーによるスチレン換算重量平均
分子量は、62,000、光散乱法による平均分子量
は、51,000であった。また稀薄溶液の還元粘度は
0.44dl/gであった。この樹脂はメチルエチルケ
トンに容易に溶解した。またN,N−ジメチルアセトア
ミド20%溶液の粘度は180mPa.sであった。こ
の高分子量エポキシ重合体を用いた以外は比較例1と同
様にしたが、厚さ100μm以下の引張強度10MPa
以上の導電性エポキシフィルムは得られなかった。
【0027】 以上の実施例および比較例における実験方
法の詳細を以下に示す。粘度はEMD型粘度計(東京計
器)を用いて測定した。ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)に使用したカラムは、TSKgelG600
0+G5000+G4000+G3000+G2000
である。溶離液にはN,N−ジメチルアセトアミドを使
用し、試料濃度は2%とした。様々な分子量のスチレン
を用いて分子量と溶出時間の関係を求めた後、溶出時間
から分子量を算出し、スチレン換算重量平均分子量とし
た。光散乱光度計は、大塚電子(株)製DLS−700
を用いた。稀薄溶液の還元粘度は、ウベローデ粘度計を
用いて測定した。引張強度、伸び、引張弾性率は、東洋
ボールドウィン製テンシロンを用いた。フィルム試料サ
イズは50×10mm、引張り速度は5mm/minと
した。ガラス転移温度(Tg)は、デュポン社製910
示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。熱分解温
度は、真空理工製の示差熱天秤TGD−3000を用い
て、空気中での減量開始温度を熱分解温度とした。ま
た、比較例1および2に示すように、市販の高分子量エ
ポキシ重合体であるフェノキシ樹脂を用いた場合には、
100μm以下の導電性エポキシフィルムは成形できな
かった。
【0028】
【発明の効果】本発明に係るエポキシフィルムは、10
0μmといった薄いフイルムでも十分な強度、導電性、
耐熱性、耐薬品性を有する導電性エポキシフィルムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 63:00 (72)発明者 清水 浩 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化 成工業株式会社 下館研究所内 (72)発明者 新井 正美 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化 成工業株式会社 下館研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−149914(JP,A) 特開 昭60−262819(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二官能エポキシ樹脂と二官能フェノ−ル
    類を、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノ−ル類の配合
    当量比をエポキシ基/フェノ−ル水酸基=1:0.9〜
    1.1とし、触媒の存在下、沸点が130℃以上のアミ
    ド系またはケトン系溶媒中、反応固形分濃度50重量%
    以下で、加熱して重合させて得た還元粘度が0.70d
    l/g以上で直鎖状の高分子量エポキシ重合体に、導電
    性を有する粉末または繊維を配合してなる導電性エポキ
    シフィルム。
  2. 【請求項2】 高分子量エポキシ重合体のゲル浸透クロ
    マトグラフィーによるスチレン換算重量平均分子量が7
    0,000以上である請求項1に記載の導電性エポキシ
    フィルム。
  3. 【請求項3】 高分子量エポキシ重合体の光散乱法によ
    る平均分子量が70,000以上である請求項1に記載
    の導電性エポキシフィルム。
  4. 【請求項4】 得られた100μm以下の導電性エポキ
    シフィルムの引張り強さが10MPa以上である請求項
    1乃至に記載の導電性エポキシフィルム。
  5. 【請求項5】 得られた100μm以下の導電性エポキ
    シフィルムのガラス転移温度が80℃以上である請求項
    1乃至のいずれかに記載の導電性エポキシフィルム。
  6. 【請求項6】 得られた導電性エポキシフィルムの厚さ
    が50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至
    のいずれかに記載の導電性エポキシフィルム。
  7. 【請求項7】 導電性を有する粉末または繊維が金属、
    カ−ボン、グラファイト、酸化亜鉛または酸化錫の群れ
    から選ばれたものである請求項1乃至のいずれかに記
    載の導電性エポキシフィルム。
JP3111862A 1991-05-16 1991-05-16 導電性エポキシフィルム Expired - Lifetime JP2643647B2 (ja)

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JPS58149914A (ja) * 1982-03-03 1983-09-06 Sumitomo Chem Co Ltd ポリヒドロキシポリエ−テルの製造法
JPS60262819A (ja) * 1984-06-11 1985-12-26 Mitsubishi Petrochem Co Ltd ポリエポキシ化合物の製造方法

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