JP2638137B2 - アポリポタンパク質bの診断試薬および測定法 - Google Patents

アポリポタンパク質bの診断試薬および測定法

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Description

【発明の詳細な説明】 アポリポタンパク質B(以下アポBと略記する)に対
する抗体が結合された粒子の分散液を含有する診断試薬
およびこの診断試薬を使用するアポリポタンパク質Bの
測定法の記載は存在する。
ヒトの代謝において本来水不溶性である脂質の輸送は
いわゆるリポタンパク質の形で行われる。これらはタン
パク質および脂質からなる複合物であり、そして近年低
密度リポタンパク質(LDL)と呼ばれる密度の低い種類
が冠疾患の指標として認識されてきている。
LDLのクラスが他のリポタンパク質と対照的にタンパ
ク成分としてアポリポタンパク質Bのみしか含有してい
ないという事実は(比濁測定による)混濁反応の形で免
疫化学的測定に、およびLDLを他のリポタンパク質から
免疫吸着により分離そして次に脂質の適当な成分を測定
することの組み合せにおいて利用されている(西ドイツ
特許第3,215,310号)。しかしながらこの方法は適当な
装置を備えた設備が必要である。
それゆえアポリポタンパク質Bを測定するための簡単
な方法が必要とされていた。
今、驚くべきことに、煩雑な装置を使用することなく
アポリポタンパク質Bを迅速に測定でき、そして脂血性
検体に対してならびに血漿または血清を得るための処理
を行う必要なく全血に対して好都合に使用されうるもの
である、アポリポタンパク質Bを免疫学的に測定するた
めの凝集試薬が調製されうることが見出された。
本発明はアポリポタンパク質B(アポB)に対する抗
体が結合された粒子の分散液を含有することからなる、
凝集法によって血液、血漿または血清中のアポBを測定
するための試薬に関する。
アポBに対する抗体は吸着によるかまたは共有により
粒子に結合されうるし、あるいはまた例えば最初に粒子
上に施されたスタフイロコツカス・オーレウス(Staphl
ococcus aureus)タンパク質Aによる生物親和性結合を
介して粒子に結合されることもできる。抗体を負荷され
た粒子は分散液として調製されそして自然発生的な凝集
を阻止するために場合によりタンパク質または界面活性
剤のような添加物が加えられる。
かかる試薬は水性媒体中にベントナイトのような鉱物
性質の粒子を含有するか、あるいは直径40〜1200nmを有
するラテツクスのような合成小球体からなる粒子、架橋
された多糖類からなる粒子、または赤血球の表面を化学
的に処理してそれを包囲する溶液中の浸透圧条件の相異
に対して非感受性となしたものである赤血球からなる粒
子を含有することができる。
抗体の量はアポBの濃度が臨床的に見て高い場合の凝
集が、濃度がより低い場合の凝集よりも遅い時点で起こ
るように選択されるのが好ましい。
本発明はさらに、血液、血漿または血清検体中のアポ
B濃度を測定するに当たり、該検体をアポBに対する抗
体が結合された粒子の分散液と混合し、凝集が起るまで
の時間を測定しそしてアポBの濃度を標準曲線から測定
することからなる方法にも関する。
第1図は代表的な標準曲線を示す。垂直軸にはアポB
の量をとり、そして水平軸には測定された凝集時間をと
った。曲線上に引かれている伸長線は測定された時間の
変動巾を示す。
粒子の負荷および分散液と検体との混合比は、その検
体が100ml中に170mgのアポBを含有する場合に混合物が
約2分後に凝集するように選択されるのが好都合であ
る。粒子が2分後(あるいはそれ以内)に凝集するなら
ばそれはアポBの濃度が170mg/100mlより小さく、従っ
て臨床的に正常範囲内であることを意味し、一方2分経
過後も何ら凝集が起らない場合は高いアポB濃度すなわ
ち臨床的に正常な範囲を越えるアポB濃度が存在するこ
とを示す。
適当な抗体は適当な動物種をヒトのアポBで免疫する
ことにより形成されそしてそれぞれの動物の血清から知
られた方法に従い例えば沈澱、イオン交換クロマトグラ
フイーまたはゲル過によるあるいはかかる方法を組み
合せることにより取得されうる。モノクローナル抗体が
使用される場合は、アポBの空間的に相互に離れた2種
のエピトープに対する抗体を分泌する少くとも2種のク
ローンが選択されることが必要で、これらモノクローナ
ル抗体は例えば実験的に判定される適当な量比で粒子に
結合される。
所定量の粒子に結合された特定の力価を有する抗体の
量は凝集が起る時間にとって決定的に重要である。これ
は例えば標準物により予め定められたアポB濃度におい
て抗体が少い場合に凝集が早い時点で起こり、そしてよ
り多い抗体が粒子に結合されている場合にはより遅い時
点で凝集が起こるように選択される。
好ましい診断試薬は粒子寸法200〜800好ましくは500
〜700nmを有する分散されたポリスチレンラテツクス5
〜15好ましくは8〜10mg/ml、および力価単位4〜6好
ましくは5を有する2.2〜3.3好ましくは2.5〜2.7mg/ml
濃度の抗体を含有する。放射免疫拡散法に関してアポB1
mg/抗血清1mlなる力価単位の定義はImmunochemistry6、
539〜546(1969)、特に第540頁の等式(3)に記載さ
れている。
特に好ましい診断試薬は粒子寸法600nmを有するポリ
スチレンラテツクス9mg/mlおよび力価5単位/mlを有す
る2.6mg/ml濃度のウサギIgG抗体を含有する。
粒子への抗体の負荷は、好都合にはアポB濃度150mg/
100mlで凝集が75秒後に起るように選択される。診断試
薬をそのように調整するには、粒子の一部ずつに異なる
量の抗体を結合させそしてそれから調製された試薬をア
ポB150mg/100mlの標準物と反応せしめる。標準物と70〜
80秒後に凝集する試薬から75秒後に凝集するようにする
ために粒子に結合させるのに必要な抗体の量についての
指標が与えられる。試薬の調製についてここに記載され
る指標となる実験は、同じ動物種から取得されて力価が
相異する場合、あるいは力価が同じで異なる動物種から
取得された場合、あるいは両方の状況が異なる場合はあ
らゆる他の抗体調製物で反復されねばならない。
ここに記載される方法で調製された診断試薬はアポB
の他の標準物、すなわち150mg/100mlより低い濃度およ
びそれより高い濃度の標準物を用いて付加的に試験し、
そしてそこから濃度に対する凝集時間の依存性を調べ
る。かかる方法で得られた標準曲線の例を第1図に示
す。かかる標準曲線を用いてアポBをこの曲線で予め測
定された濃度範囲内で定量的に測定することができる。
以下の実施例により本発明を証明するが、本発明はそ
れらに限定されるものではない。
1. 診断試薬 1.1アポBに対する抗体 超遠心分離によりヒトの血清から密度クラス1.019〜
1.063のリポタンパク質を得た(Havel、R.J.氏他の(19
55)J.Clin.Invest.34、1345)。
かくして得られたLDLを用いてこのタンパク成分アポ
リポタンパク質Bに対する抗体をウサギに生成させた。
試料を採取してこの動物の血清中に19単位/mlの平均力
価が測定されるまで動物の免疫化を継続した。
数匹の動物から得られた血清プールをpH7.0の30ミリ
モル/隣接ナトリウム緩衝液で透析した。次に、同じ
緩衝液で平衡となしたDEAEセルロースDE32(Whatman
製)でクロマトグラフイーすることによりガンマグロブ
リンフラクシヨンを得た。この目的にはガンマグロブリ
ンを含有するカラム溶出液に固形硫酸アンモニウムを50
%飽和となるまで加える。沈澱中に含有されるガンマグ
ロブリンからゲル過により硫酸アンモニウムを除去し
そしてその際同時に50ミリモル/のNaCl、100ミリモ
ル/のグリシンおよび15ミリモル/のナトリウムア
ジドを含有する溶液に変換しそしてそのpH値をNaOHを用
いて8.2に調製した。次にこの溶液のタンパク質の濃度
を限外過により50mg/mlとなした。これと平行してヒ
トアルブミン溶液をゲル過により同じNaCl/グリシン
溶液に変換した。その後ではこのものはタンパク質含量
120mg/mlを有していた。
1.2ラテツクス凝集試薬 ガンマグロブリン溶液2.0mlおよびアルブミン溶液4.1
mlを混合しそしてNaCl/グリシン溶液を用いて20.4mlと
なした。次にこの溶液を56℃で30分間加温した。
次にかくして予備処理された溶液に攪拌下にNaCl/グ
リシン溶液中の直径600nmの20mg/mlポリスチレンラテツ
クス粒子分散液を加えた。合計17.5mlのラテツクス分散
液が毎時1mlの速度で添加された。
2. アポリポタンパク質Bの測定法 2.1標準曲線の作成 自然発生的な凝固により新しく得られたヒト血清を50
0,000×gで30分間遠心分離した。そこで浮遊するキロ
ミクロンを吸引して捨てた。かくして清澄化させた血清
に密度1.063となるまで塩化ナトリウムを加えそして次
に500,000×gで30分間遠心分離した。遠心分離管の内
容物を上部のLDLに富んだフラクシヨンと下部のLDLの乏
しいフラクシヨンに分けた。この両フラクシヨン中のア
ポB含量を免疫化明的に測定した。
上部フラクシヨン:234mg/100ml 下部フラクシヨン:38mg/100ml この2つの溶液を計算により判定された所定量ずつ混
合することにより、標準曲線の作成に必要な段階的なア
ポB含量を有する溶液が得られた。
150mg/100mlのアポBを有するヒト血清20μをラテ
ツクス試薬20μと反応させると75秒後に凝集が生じ
た。
2.2同じ供血者からの全血、血漿および血清中における
アポBの比較測定 健康な男性提供者の血液をクエン酸ナトリウムを含有
する受器中に集めた。血液の1/3を全血として残した。
残りの2/3は形成された血液成分を分離するために遠心
分離した。上澄み液として得られる血漿を2等分した。
この血漿の片半分に血漿1ml当り2IUのトロンビンを加え
そして凝固の過程で完結したのち遠心分離することによ
り析出したフイブリンを分離した。遠心分離上澄み液と
して得られる血清をデカンテーシヨンして分離しそして
次に全血および血漿と比較して検査した。全血について
予め測定されたヘマトクリツト43を顧慮して全血35μ
、血漿20μおよび血清20μをそれぞれ20μずつ
のラテツクス試薬と反応させた。下記凝集時間が見出さ
れた。
全血63秒、アポB140mg/100mlに相当 血漿59秒、アポB136mg/100mlに相当 血清55秒、アポB132mg/100mlに相当 これと比較してアポB含量をベーリング(Behring)
比濁計アナライザーを用いて測定した。この比濁測定で
血清100ml当り137mgのアポBが見出された。
2.3同じ供血者からの脂血性および非脂血性血清検体中
のアポBの比較測定 2IU/mlのトロンビンを用いて凝固を起させることによ
り脂血性血漿から得た血清を504,000×gで30分間遠心
分離した(Beckman遠心管、Rotor 70 TI)上部の混濁し
たゾーンを吸い出すことによりキロミクロンを除去した
のち、遠心分離管の内容物を再び混合しそして遠心分離
されてない脂血性血清検体と比較してラテツクスアツセ
イにかけた。どちらの検体も同じ時点すなわち95秒後に
凝集し、これは標準曲線から読みとれるようにアポB162
mg/100mlに当たる。
【図面の簡単な説明】 第1図は凝集時間とアポB量との関係を示す代表的な標
準曲線を示す。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アポリポタンパク質Bに対する抗体が結合
    された粒子の分散液および場合により安定化添加物を含
    有することからなる、凝集法によって血液、血漿または
    血清中のアポリポタンパク質Bを測定するための試薬で
    あって、アポリポタンパク質Bの濃度が臨床的に正常な
    範囲より高い場合の凝集が、濃度が臨床的に正常な範囲
    にある場合の凝集よりも遅い時点で起こるように抗体量
    が選択されることからなる試薬。
  2. 【請求項2】タンパク質または界面活性剤を付加的に含
    有することからなる請求項1記載の試薬。
  3. 【請求項3】粒子寸法200〜800nmを有する分散されたポ
    リスチレンラテックス5〜15mg/mlおよび力価単位4〜
    6を有する2.2〜3.3mg/ml濃度の抗体を含有することか
    らなる請求項1記載の試薬。
  4. 【請求項4】粒子寸法500〜700nmを有するポリスチレン
    −ラテックス8〜10mg/mlおよび5力価単位/mlを有する
    2.5〜2.7mg/ml濃度のウサギIgG抗体を含有することから
    なる請求項1記載の試薬。
  5. 【請求項5】血液、血漿または血清検体中のアポリポタ
    ンパク質B濃度を測定するに当たり、該検体をアポリポ
    タンパク質Bに対する抗体が結合された粒子の分散液と
    混合し、凝集までの時間を測定しそして該当するアポリ
    ポタンパク質Bの濃度を標準曲線から測定することから
    なる方法であって、アポリポタンパク質Bの濃度が臨床
    的に正常な範囲より高い場合の凝集が、濃度が臨床的に
    正常な範囲にある場合の凝集よりも遅い時点で起こるよ
    うに抗体量が選択されることからなる方法。
  6. 【請求項6】粒子に結合される抗体の量、および分散液
    と検体との混合比が、その検体が100ml中に170mgのアポ
    リポタンパク質Bを含有する場合に混合物が約2分後に
    凝集しそしてその検体がそれ以上のアポリポタンパク質
    Bを含有する場合は凝集しないように選択されることか
    らなる請求項5記載の方法。
JP63252201A 1987-10-08 1988-10-07 アポリポタンパク質bの診断試薬および測定法 Expired - Lifetime JP2638137B2 (ja)

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