JP2635525B2 - ウオータジェット推進機の後進装置 - Google Patents

ウオータジェット推進機の後進装置

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JP2635525B2
JP2635525B2 JP6325001A JP32500194A JP2635525B2 JP 2635525 B2 JP2635525 B2 JP 2635525B2 JP 6325001 A JP6325001 A JP 6325001A JP 32500194 A JP32500194 A JP 32500194A JP 2635525 B2 JP2635525 B2 JP 2635525B2
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満伸 日野
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願に係る発明は、操舵筒上
壁に開口窓を設けて、これよりレバー突出させ、その上
下端をそれぞれ油圧装置と作動軸に連結してフラップの
駆動機構を構成することにより、装置の信頼性向上とと
もに、部品点数の減少と装置の小型・軽量化を図ったウ
オータジェット推進器の後進装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、海上輸送の高速化のニーズに対応
して、船尾に配備したウオータジェット推進機のポンプ
で昇圧したジェット流を噴出ノズルから30〜50m/
sの流速で噴出して、その反力を推進力として航走する
形式のウオータジェット推進船が脚光を浴びている。か
かるウオータジェット推進船では、高速で航走するため
にウオータジェット推進機の小型・軽量化を強く要求さ
れる。
【0003】ウオータジェット推進機の後進装置の一例
としては、図3に示す特開平5−278683号公報に
記載のものがある。これによれば、船尾に設けられたウ
オータジェット推進機の噴出ノズル31の後方に、噴出
ノズル31からのジェット流を導入するよう垂直軸32
の回りに旋回自在な操舵筒33を有し、操舵筒33の底
部後端に、油圧装置34によってレバー35を介して回
動制御される水平な作動軸36が横方向に設けられてい
る。そして、この作動軸36と操舵筒33の底部前端付
近との間に形成された操舵筒底部開口37に、ジェット
流を前方に転流させうる複数の転流板38が設けられ、
この転流板38相互間に形成された流路をほぼ水平な倒
伏状態で閉塞しうるとともに、傾斜した起立状態で操舵
筒33の後部開口39を閉塞しうるフラップ40が作動
軸36に装着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例をはじめ一
般的なウオータジェット推進機では、図4(操舵筒の正
面図)に示す如く作動軸36と油圧装置34の間に設け
られたレバー35は、操舵筒33の外側に位置するとと
もに、油圧装置34も操舵筒側面33aの外側中央付近
に配置されている。レバー35の下端部は作動軸36と
固着されて一体になっている。そのため、レバー35a
の動きを作動軸36を介してフラップ40に伝達するた
めに、キー41あるいはスプラインのような伝達手段が
必要となる。これは、作動軸36とフラップ40を一体
にするとフラップ40は操舵筒33への組込み取り外し
が不可能となるからである。また、作動軸36は、フラ
ップ40に作用する半径方向の力を受けるだけでなく、
フラップ40の作動トルクを伝達するキー41やキー溝
あるいはスプラインがあるためその寸法が大きくなるだ
けでなく、重量増加の原因となっている。
【0005】さらに、従来のものは操舵筒33両側にレ
バー35および油圧装置34を配設するのが一般的であ
るから、各2組が必要となりそれに付随する部品点数が
増加するとともに、重量増加の原因となっている。
【0006】また、油圧装置34等が操舵筒33外側中
央付近に配置されていると、船の低速時ないし停船時に
は吃水が深くなって(この時の水面WLは通常操舵筒3
3の上部にある)油圧装置34、作動軸36、レバー3
5と油圧装置の連結部35a等が海中に没するか、或い
は海水面に晒されることになり、油圧装置34等の腐食
や海洋生成物の付着等によりこれが損傷し、機能が損な
われ、装置の信頼性に欠けるという問題がある。
【0007】さらに、作動軸36を操舵筒33底部後端
に配置する構成では、操舵筒33が必然的に長くならざ
るを得ず、その分操舵筒33重量が増大する。
【0008】また、噴出ノズル31から出たジェット流
は、流れにしたがい多少拡散する傾向にあるから操舵筒
33が長くなればなるほど後端位置ではこれを防止する
ため前進時には図3の如くフラップ40を倒伏状態にし
て転流板38上に位置せしめて後進流路38aを遮断す
る必要がある。また、操舵筒33底部に作動軸36があ
るため、この位置では充分な長さの転流板38を設ける
のが困難となる。そのため、後進時のジェット流を円滑
に前方方向に転向させるためには、フラップ板40a下
面に転流板38の曲面と(作動軸を間に挟んで)連続す
るような湾曲板40bを別に設ける必要がある。
【0009】また、フラップ板40aの上面には剛性確
保のため補強リブ40cを設けているため、フラップ4
0を転流板38上に倒伏した状態では補強リブ40cに
ジェット流が当たり、流れが乱されて推進力に悪影響を
与える。
【0010】この出願に係る発明は、かかる従来技術の
課題に鑑み、装置の信頼性を確保しつつ、その小型・軽
量化を図ったウオータジェット推進機の後進装置に提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1の手段は、ウオータジェット推進機の噴出ノズル
の後方に左右揺動自在な操舵筒を装着するとともに、傾
斜した倒れ状態ではこの操舵筒の後部開口を閉塞して操
舵筒底部に列設した湾曲型整流板とで後進流路を形成し
且つ略水平に起き上がった状態では該操舵筒の後部開口
を開く一つのフラップを備え、上記操舵筒の上壁上方に
油圧装置を配置する一方、上記フラップを一体に装着し
た作動軸を該操舵筒上壁のすぐ下方に設け、該操舵筒上
壁の中央1箇所に開口窓を設け、この開口窓からレバー
を上方へ突出させ、該レバーの上端を前記油圧装置、下
端を前記作動軸にそれぞれ連結すると共に、上記フラッ
プ板をゆるやかな弓状に形成し、該フラップが傾斜した
倒れ状態で該フラップ板が最後部に位置した湾曲型整流
板と係合して連続した湾曲状の後進流路を形成するよう
にしたウオータジェット推進機の後進装置である。
【0012】請求項2の手段は、請求項1の構成におい
てフラップが略水平に起き上がった状態では、フラップ
板が噴出ノズル口径より上方に位置するようにしたウオ
ータジェット推進機の後進装置である。
【0013】請求項3の手段は、請求項1又は2の構成
において操舵筒の幅方向全域にわたって遮蔽板を作動軸
に突設したウオータジェット推進機の後進装置である。
【0014】
【作用】請求項1の手段では、フラップ駆動機構の構成
部品たる油圧装置、レバー、作動軸、油圧装置とレバー
の連結部が装置の上方に位置しているので、停船中また
は低速中でも海水に没したり、海水面に晒されたりする
ことはなく、腐食や海洋生物の付着等が回避される。フ
ラップ駆動機構の構成部品たるレバーや油圧装置が操舵
筒中央1箇所に配設される構成であるのでフラップ駆動
機構の構成部品点数が減少し、装置が簡素化される。ま
た、弓状に形成された(つまり、反りを有する)フラッ
プ板と湾曲型整流板とで連続した湾曲状の流路が形成さ
れ、噴流がスムーズに前方に吐出される。
【0015】特に、請求項2の手段では、フラップ自身
およびフラップの補強リブがジェット流の直進を妨げる
ことなく、前進推力に悪影響を与えない。
【0016】また、請求項3の手段では、後進時のジェ
ット流が開口窓から上方に逃げるのが防止される。
【0017】
【実施例】以下、この出願に係る発明の実施例を図面を
参照しながら説明する。図1はウオータジェット推進機
の縦断面図で、油圧装置を作動させジェット流を傾斜し
た倒れ状態のフラップ(実線)で垂直下方に転向させ、
更にそれを操舵筒底部に設置した複数の湾曲型整流板
で、ジェット流を船首方向(前方)に噴出させた、船の
後進状態を示す。図2(a) はその平面図、(b) は図1に
おけるA−A断面図である。
【0018】図1、図2に示すように、船尾部に設けら
れたウオータジェット推進機を構成しているポンプ1の
後端部には円形の噴出ノズル2が設けられ、これに矩形
の操舵筒5が連接されている。即ち、噴出ノズル2から
後方へ突出したブラケット3に設けた上下の垂直ピン4
によって操舵筒5の前端部が枢着されて、操舵筒5は垂
直ピン4回りに水平に揺動自在になっており、この動作
によって、船の回頭運動を生起するようになっている。
【0019】操舵筒5の上壁5Aの、好ましくは中央1
箇所に矩形の開口窓6が開設されている。開口窓6の周
縁部は鍔6aが形成されて開口周縁を補強している。こ
の開口窓6を臨むように開口窓6近傍、即ち、操舵筒上
壁5Aのすぐ下方に作動軸7が操舵筒5の横方向に水平
に設けられ、さらに作動軸7の中心にはフラップ軸11
Aが挿通しており、その両端が操舵筒側壁5Bに軸支さ
れている。一方、作動軸7の内側には、フラップ軸11
Aとの間に軸受11Bが配設されており、作動軸7は回
転自由になっている。また作動軸7と操舵筒側壁5Bの
間にはライナ11Cがあり、作動軸7が横方向に動くの
を止めている。作動軸7の中央位置にはレバー8の下端
が一体に装着される一方、レバー8は開口窓6から上方
へ突出し、操舵筒上壁5A上方まで延びている。開口窓
6の大きさはレバー8の動作範囲より大きめに開設され
ている。そして、このレバー8の上端に油圧装置を構成
する油圧シリンダ9のロッド端9aが枢着されている。
油圧シリンダ9は操舵筒5の前端部に設けた取付台10
に枢着されている。
【0020】上述したような構成では、作動軸7、フラ
ップ軸11A、軸受11B、ライナ11Cや油圧シリン
ダ9やレバー8と油圧シリンダロッド端9aとの連結部
9bは、操舵筒上壁5A上部に位置しており、停船中、
低速航走中であっても(この時の水面WL1 はほぼ操舵
筒5の上部付近にある)海中に没したり、海水面に晒さ
れたりすることはないようになっている。なお、WL2
は高速航走時の水面を示す。
【0021】また、作動軸7を操舵筒底部に配置せず
に、上方に配置してあるので、操舵筒5の全体の長さ、
つまり、噴出ノズル端2aから操舵筒後端5aまでの距
離が短くでき、結果的に操舵筒5のコンパクト化により
重量軽減に寄与する。
【0022】上記作動軸7に操舵筒5の幅方向全域にわ
たって遮蔽板7aが装着されており、垂直ピン4に枢着
された受板7bと係合して、レバー8のストッパ機能を
果たすと共に、図1のような倒れた状態のフラップ11
にジェット流が当たって跳ね返ってきた水流が開口窓6
から上方に逃げるのを遮蔽する役割も果たす。
【0023】また、上記作動軸7に一体にフラップ11
が装着されている。フラップ11は、フラップ板11a
とこれに立設された補強リブ11bからなっており、補
強リブ11bに作動軸7が貫通している。フラップ板1
1aはゆるやかな弓状に形成されている。つまり、フラ
ップ板11aはゆるやかな反りを有する。
【0024】一方、図1に示す如く操舵筒5の底部開口
5Cには複数の湾曲型整流板12が列設されており、こ
れらの間にジェット流を前方へ転向させる後進流路13
が形成されている。これらの湾曲型整流板12はジェッ
ト流を転向、整流させるに充分な長さを有している。な
お、14は、操舵筒底部の前端部において湾曲型整流板
12との間に流路を形成するための円管であり、操舵筒
側壁5B間に架設されている。この円管14に上下一対
の支持材15が装着されこれが垂直ピン4に支承されて
いる。一方、円管14は船の回頭のため操舵筒5を水平
に揺動し際、ジェット流が操舵筒側壁に当たり、横方向
に歪もうとするがそれを押さえる剛性部材の役割ももっ
ている。
【0025】船の前進時、つまり、図1に示す如く油圧
シリンダ9を仮想線のように短縮した状態では、フラッ
プ11は仮想線で示す略水平位置まで起き上がり操舵筒
5の後端部開口5Dを全開し、ジェット流は真っ直ぐ後
方に噴出されて、前進推力を発生するようになってい
る。この時、フラップ板11aは噴出ノズル2口径の上
方に位置するように設定されているので、ジェット流の
噴出を妨げることはない。この前進状態では、湾曲型整
流板12相互の間の流路13は開放された状態になって
いるが、前述の如く噴出ノズル端2aより操舵筒後端5
aまでの距離が短く形成されているので、この間のジェ
ット流の拡散は殆どないため開放された後進流路13か
らジェット流が逃げることは殆どなく(換言すれば、操
舵筒5の長さはジェット流の拡散が始まらない範囲にコ
ンパクト化されているため)推進力に悪影響を与えるこ
とはない。
【0026】また、後進時には、図1のように油圧シリ
ンダ9を伸長してレバー8を後方に倒すことによって、
フラップ11を傾斜した倒れ状態(実線で示す)にして
ジェット流を前方に噴出するのを遮断し、フラップ11
に当たったジェット流を下方に転向させて、湾曲型整流
板12によって、船の前方方向に噴出し、その反力で船
は後進推力を得るようになっている。この場合、弓状の
フラップ板11aが最後部に位置した湾曲型整流板12
aと係合して連続した湾曲状の後進流路13を形成して
おり、これによりジェット流の前方方向への円滑な転向
を促している。図1では、湾曲型整流板12の下端を操
舵筒5の底面より突出しているが、高速航走時の水面W
2 がこの下方にあるので、水面をかいて抵抗を生ずる
ことはない。水面WL2 の位置によっては湾曲型整流板
12の下端を操舵筒5の底面より突出させない(操舵筒
下面位置に止める)ようにすればよい。
【0027】
【発明の効果】請求項1では、油圧装置、作動軸(フラ
ップ軸)、油圧装置とレバーの連結部等のフラップ駆動
機構が装置の上方に位置しているので、停船中または低
速中でも海水に没したり、海水面に晒されたりすること
はなく、腐食や海洋生物の付着等が回避され、装置の信
頼性を向上させることができる。また、操舵筒の上壁中
央に開口窓を設けることでフラップ駆動機構の構成部品
たるレバーや油圧装置が操舵筒中央1箇所に配設したの
で、フラップ駆動機構の構成部品点数を減少でき、装置
を簡素化できると共に、装置の重量軽減を図ることがで
きる。また、弓状のフラップ板を湾曲型整流板に連続さ
せて円滑な後進の流路を形成することにより、後進推力
を強めることができる。
【0028】請求項2では、フラップがジェット流の直
進を妨げることなく、かつ、フラップの補強リブが流れ
を乱すことがないから、前進推力に悪影響を与えず、前
進推力を強めることができる。
【0029】また、請求項3では、後進時のジェット流
の上方への放散を遮断し得ることから、後進推力への悪
影響を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この出願に係るウオータジェット推進機にお
ける、噴出ノズルを含む操舵筒の縦断面図である。
【図2】 (a)は同平面図、(b) は図1のA−A断面図で
ある。
【図3】 従来のウオータジェット推進機のフラップと
作動軸とレバーを含む操舵筒の縦断面図である。
【図4】 従来のフラップと作動軸とレバーを含む操舵
筒の正面図である。
【符号の説明】
1…ポンプ 2…噴出ノズル 5…操舵筒 5A…操舵筒上壁 5B…操舵筒側壁 5C…操舵筒底部開口 5D…操舵筒後部開口 6…開口窓 7…作動軸 8…レバー 9…油圧シリンダ(油圧装置) 11…フラップ 11a…フラップ板 11b…補強リブ 12…湾曲型整流板 13…後進流路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウオータジェット推進機の噴出ノズルの
    後方に左右揺動自在な操舵筒を装着するとともに、傾斜
    した倒れ状態ではこの操舵筒の後部開口を閉塞して操舵
    筒底部に列設した湾曲型整流板とで後進流路を形成し且
    つ略水平に起き上がった状態では該操舵筒の後部開口を
    開く一つのフラップを備え、上記操舵筒の上壁上方に油
    圧装置を配置する一方、上記フラップを一体に装着した
    作動軸を該操舵筒上壁のすぐ下方に設け、該操舵筒上壁
    の中央1箇所に開口窓を設け、この開口窓からレバーを
    上方へ突出させ、該レバーの上端を前記油圧装置、下端
    を前記作動軸にそれぞれ連結すると共に、上記フラップ
    板をゆるやかな弓状に形成し、該フラップが傾斜した倒
    れ状態で該フラップ板が最後部に位置した湾曲型整流板
    と係合して連続した湾曲状の後進流路を形成するように
    したことを特徴とするウオータジェット推進機の後進装
    置。
  2. 【請求項2】 フラップが略水平に起き上がった状態で
    は、該フラップ板が噴出ノズル口径より上方に位置する
    ようにしたことを特徴とする請求項1に記載のウオータ
    ジェット推進機の後進装置。
  3. 【請求項3】 操舵筒の幅方向全域にわたって遮蔽板を
    作動軸に突設したことを特徴とする請求項1又は2に記
    載のウオータジェット推進機の後進装置。
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