JP5528248B2 - ウォータージェット推進船 - Google Patents
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Description
推進装置は始動時に、「呼び水」の関係で、少なくとも推進装置の軸芯の高さ程度は水没している必要があるため、停船時および始動時には、船外部の一部または全部は水没している。
そして、推進装置が、船尾後方に向けて水を噴出してウォータージェット推進船が前進すると、船底に沿って流れた水流は、船尾において船底から離れて船尾後方斜め上方向に向かうため、船尾後方の水面が下方に凹むことになる。やがて、船速が増すと、かかる凹みの領域は船尾後方に拡大するため、高速時には、船外部は水面上に現れて水流に晒されなくなる。
(あ)ノズルから噴き出される噴流が、船外部船尾後方の水の抵抗によって減速されるため、推力が減少する。
(い)また、ノズルから噴き出される噴流によって、船外部付近の水も船尾後方に引っ張られる(エジェクタ効果に相当する)ため、船尾壁の圧力が低下し、船体抵抗が増加する(船尾後方に向かう力が増す)。
(う)ノズルから噴き出される噴流が、船外部に浸入した水(リバーサルゲートを経由して浸入した水)によって乱され、推力が減少する。また、船外部そのものが船尾部斜め上方への水流で抵抗を受ける。
(え)後進時に、ノズルから噴き出される噴流は、舵取り装置によって前方斜め下方に向かう水流れに方向変換されるため、かかる前方斜め下方に向かう水流れは船尾壁に衝突し、後進のための推力が大幅に減少する。
そこで、船尾部の船尾後方への突き出し量を大きくすることなく、後進時における前方斜め下方に向かう水流れの船尾壁への衝突を回避することができる発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このため、前進時に十分高速になる前に、船外部を水面上に露出させることができると共に、後進時に、前方斜め下方に向かう水流れを傾動したフラップ支持材に沿って流すことによって、前方斜め下方に向かう水流れの船尾壁への衝突を回避することを可能にしている。
しかしながら、前進の開始時および比較的船速が遅いタイミングでは、船外部の一部または全部が水中にあるため、前記(あ)〜(う)の問題は解消されなかった。
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船外部の下方の位置で船尾壁に設置され、船底に平行で、前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に接続された一対の側板と、
平面視において前記底板の前記船尾壁寄りの位置に形成された底板開口部と、
前記底板に沿って移動自在であって、前記底板開口部を開閉する蓋板と、
該蓋板を移動させる蓋板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板開口部が前記蓋板によって閉塞され、
後進時には、前記蓋板が前記底板開口部から移動して、前記底板開口部が開口していることを特徴とする。
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船外部の下方の位置で船尾壁に設置され、船底に平行で、前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に接続された一対の側板と、
平面視において前記底板の前記船尾壁寄りの位置に形成された底板開口部と、
前記底板開口部よりも前記船尾壁から離れた位置を支点にして、前記底板に傾動自在に設置され、前記底板開口部を開閉する蓋板と、
該蓋板を傾動させる蓋板傾動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板開口部が前記蓋板によって閉塞され、
後進時には、前記蓋板の船首側の端縁が低くなるように傾斜して、前記底板開口部が開口していることを特徴とする。
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船尾壁よりも船尾方向の位置で船尾方向または船首方向に移動自在で、船底に平行かつ前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に当接する一対の側板と、
前記底板を移動させる底板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板が前記船尾壁に向かって進出して前記船尾壁に当接し、前記側板の下縁によって挟まれた範囲が前記底板によって閉塞され、
後進時には、前記底板が船尾方向に移動して前記船尾壁から離れ、前記側板の下縁によって挟まれた少なくとも前記船尾壁寄りの範囲が開口することを特徴とする。
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、前記船外部よりも船尾後方に突出した一対の側板と、
該一対の側板に両側縁が設置され、前記船尾壁寄りの位置に形成された開口部を具備する底板と、
前記底板に沿って移動自在で、船体内に収納自在な蓋板と、
前記蓋板を移動させる蓋板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記蓋板が前記船尾壁よりも船尾方向に移動されて、前記開口部が閉塞され、
後進時には、前記蓋板が船体内に収納されて、前記開口部が開かれることを特徴とする。
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船外部の下方の位置で前記船尾壁よりも船尾後方に進出すると共に、一部が船体内に収納自在な、船底に平行で、前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
該底板の平面視において船首寄りの位置に形成された底板開口部と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に当接する一対の側板と、
前記底板を移動させる底板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板が船首方向に移動して、前記底板開口部が船体内に収納されることによって、前記側板の下縁によって挟まれた範囲が前記底板によって閉塞され、
後進時には、前記底板が前記船尾壁よりも船尾後方に進出し、前記底板開口部が前記船尾壁よりも船尾側に位置することを特徴とする。
該船尾切欠壁の途中から甲板側に所定幅の船尾凹部が形成され、
前記船外部が船尾壁に替えて、前記船尾凹部の凹部端面から船尾後方に向かって突出し、
前記一対の側板が船尾壁に設置される替わりに、前記船尾壁と前記船尾切欠壁とに跨って設置、または前記船尾切欠壁のみに設置されることを特徴とする。
(i)前進時には、ウォータージェット推進装置の船外部は、その下方および側方が平面視において略U字(コ字)状に、底板(底板開口部が閉塞している)および一対の側板とによって包囲されている。したがって、ウォータージェット推進船が前進を開始した速度が比較的遅いタイミングにおいて、船外部の一部または全部が水面(ウォータージェット推進船から離れた位置における水面)より下に位置している場合であっても、船外部は水中から露出する。
すなわち、船尾後方に向けて噴出する噴流によって、船外部付近の水や空気も船尾後方に引っ張られる(エジェクタ効果に相当する)ものの、船外部の下方および側方が包囲されているため、船外部に向けて水が吸い込まれる(流れ込む)ことがなく、上方から空気が流れ込むから、船外部の周囲に水がなくなる。そうすると、前記(あ)〜(う)の問題が解消するから、推力の減少を抑えて、中速ないし高速航行に移行することができる。
一方、後進時には、船外部の直下に位置する底板開口部が開口しているから、前方斜め下方に噴き出される噴流は底板開口部を通過するから、底板が後進の障害になることはない。
さらに、蓋板が底板に沿って移動するから、案内手段(例えば、一方が他方に陥入して摺動するレール等)や移動手段(油圧シリンダによる直接駆動あるいはリンク機構を介しての間接駆動等)が簡素になる。
さらに、側板の上縁の位置は、ウォータージェット推進装置の軸芯と同程度の高さ以上であることが望ましいが、船外部に向けて水が吸い込まれる(流れ込む)ことを抑制ないし防止することができる限り、その高さを限定するものではない。
さらに、前記「蓋板が底板開口部を閉塞する」とは、厳密に密閉することを意味するもではなく、また、前記「船外部の周囲に水がなくなる」とは、完全に水が消滅することを意味するものではなく、何れも前記(あ)〜(う)の問題を解消ないし抑える程度に水漏れや浸水があってもよい。
なお、前記「当接」とは、厳密に水密であることを意味するものではなく、前記(あ)〜(う)の問題を解消ないし抑える限り、部材間に隙間があってもよい。
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係るウォータージェット推進船を模式的に説明するものであって、図1の(a)は前進時を示す平面図、図1の(b)は前進時を示す船底壁に近い位置の平面視の断面図、図1の(c)は前進時を示す背面図、図2は前進時を示す一部の側面視の断面図、図3の(a)は後進時を示す船底壁に近い位置の平面視の断面図、図3の(b)は後進時を示す一部の側面視の断面図である。なお、各図は、板厚等を誇張して模式的に描いたものであって、本発明は図示する形態に限定されるものではない。
図1および図2において、ウォータージェット推進船100は、甲板11、左舷壁12L、右舷壁12R、船底壁13および船尾壁14を具備する船体10と、船体10に搭載されたウォータージェット推進装置(以下、「推進装置」と称す)20と、推進装置20に設置された舵取り装置30と、船尾壁14に設置されたフラップ装置50と、を有している。そして、船体10には、船底壁13の船尾壁14に近い位置に取水口15が形成されている。
なお、以下は、2基の推進装置20a、20bを搭載する場合であって、同様に、舵取り装置30およびフラップ装置50も推進装置20a、20bに付随してそれぞれ2基設置されているものについて説明しているが、本発明はその数量を限定するものではない。また、共通する内容については以下の説明および図において、符号の添え字「L、R」、「a、b」の記載を省略する。
推進装置20は、取水口15に連通した吸水管21と、吸水管21に連通したノズル22と、ノズル(インペラケースに同じ)22内に回転自在に配置されたインペラ23と、インペラ23を回転駆動する駆動軸24と、駆動軸24に接続された図示しない駆動手段と、ノズル22の船尾側を包囲して船尾壁14から船尾後方に突出するフード26と、を有している。
このとき、推進装置20は始動時に、「呼び水」の関係で、少なくとも推進装置20の軸芯25(一点鎖線にて示す)の高さ程度は水没している必要があるため、停船時および始動時における図示しない喫水16は、軸芯25よりも甲板11寄りに位置している。
舵取り装置30は、上面31および側面32からなるコ字状の旋回門型部35と、旋回門型部35の後面(後縁によって囲まれた範囲に同じ)を開閉するリバースゲート34と、旋回門型部35の開口した底面に設置された(両側面32L、32Rの下縁に設置されたに同じ)複数の傾斜桟33と、を有している。
そして、旋回門型部35は、その一部がフード26内に侵入し、フード26に水平方向で(上下方向の旋回軸を中心にして)所定範囲を旋回自在に設置されている。したがって、図示しない旋回駆動手段によって旋回門型部35の後面が左舷壁12L側になるように旋回すると、噴射流は当該方向に噴射され、船体10は左方向に進み、反対に、旋回門型部35の後面が右舷壁12R側になるように旋回すると、噴射流は当該方向に噴射され、船体10は右方向に進むことになる。
なお、直進時における旋回門型部35の後縁(上面31の後縁に同じ)と船尾壁14との距離を船外部長さD40とし、旋回門型部35の上縁(上面31に同じ)と船底壁13との距離を船外部高さH40とする。また、船尾壁14から突出した部分(フード26の船尾壁14から突出した部分と舵取り装置30のフード26から突出した部分とを合わせた部分)を「船外部40」と称す。
フラップ装置50は、船尾壁14に設置されるフラップ側板52L、52Rと、船尾壁14に設置され、フラップ開口部54(底板開口部に相当する)が形成されたフラップ底板53(左下がりの斜面にて示す)とからなる略U字(コ字)状の固定門型部55と、フラップ底板53に沿って移動し、フラップ開口部54を開閉するスライドフラップ56(蓋板に相当する。右下がりの斜面にて示す)と、スライドフラップ56を移動させる図示しないフラップ移動手段と、スライドフラップ56の移動を案内する図示しないスライドフラップガイドと、を有している。
フラップ側板52L、52Rはそれぞれ左舷壁12L、右舷壁12Rに平行で、両者の間に2基の舵取り装置30が位置し、フラップ底板53は船底壁13に平行で、船底壁13と略同一面に位置している。
前進時、スライドフラップ56はフラップ開口部54を閉塞し、リバースゲート34は舵取り部の旋回門型部35の後面を開放している。したがって、噴射流は船尾後方に向かって噴射され、ウォータージェット推進船100は前進する。
このとき、ウォータージェット推進船100が前進を開始した直後で、速度が比較的遅いタイミングにおいて、船外部40(舵取り装置30およびノズル22の一部であって、船外部長さD40の範囲に相当する)の一部または全部が水中(ウォータージェット推進船100の船尾後方に形成される水面より下)に位置している場合、すなわち、フラップ装置50のフラップ底板53およびフラップ側板52L、52Rの一部が水中に位置する場合であっても、略U字(コ字)状の固定門型部55内に水が侵入しない。
そうすると、前記(あ)〜(う)の問題が解消するから、推力の減少が抑えられた状態で、中速ないし高速航行に移行することができる。
図3において、後進時、スライドフラップ56はフラップ開口部54を開放し、リバースゲート34は舵取り部の旋回門型部35の後面を閉塞している。したがって、噴射流は前方斜め下方に向かって噴射され、ウォータージェット推進船100は後進する。
すなわち、船外部の直下に位置するフラップ開口部が開口しているから、噴射流は、傾斜桟に案内されて前方斜め下方に噴き出され、船尾壁14や船底壁13に衝突することがない。
また、スライドフラップ56の移動手段は限定するものではなく、例えば、甲板11の船尾近くに支点を有するリンク機構を設け、該リンク機構の先端をスライドフラップ56に接続したり、船体10内に油圧シリンダを設置して、該油圧シリンダのロッドをスライドフラップ56に接続したり、フラップ底板53にピニオンを設置すると共に、スライドフラップ56にラックを設置して、ピニオンを回転させたりしてもよい。
さらに、以上は、舵取り装置30はフラップ装置50に側方および下方が完全に包囲されているが、フラップ側板52L、52Rの高さをもっと低くしてもよく、少なくとも推進装置20の軸芯25(一点鎖線にて示す)の高さ以上の位置にすることができる。
図4は本発明の実施の形態2に係るウォータージェット推進船を模式的に説明するものであって、(a)は前進時を示す側面視、(b)は前進時を示す側面視の断面図、(c)は前進時を示す背面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。なお、各図は、板厚等を誇張して模式的に描いたものであって、本発明は図示する形態に限定されるものではない。
図4において、ウォータージェット推進船200は、船尾壁14と船底壁13との間に、船底壁13に近づく程船首側に傾斜する船尾切欠壁17が形成され、船尾切欠壁17の途中から甲板11側に船尾凹部18が形成されている。船尾凹部18は、甲板11に略平行な凹部天面18Aと、船尾壁14と平行な凹部端面18Bと、左舷壁12Lに平行な凹部左側面18Lと、右舷壁12Rに平行な凹部右側面18Rと、を有している。
フラップ装置50は、凹部左側面18Lおよび凹部右側面18Rに略連続するように、船尾切欠壁17に設置された三角形状のフラップ側板52L、52Rと、船尾切欠壁17に設置され、フラップ開口部54(底板開口部に相当する)が形成されたフラップ底板53(左下がりの斜面にて示す)とからなる略U字(コ字)状の固定門型部55と、フラップ底板53に沿って移動し、フラップ開口部54を開閉するスライドフラップ56(蓋板に相当する。右下がりの斜面にて示す)と、スライドフラップ56を移動させる図示しないフラップ移動手段と、スライドフラップ56の移動を案内する図示しないスライドフラップガイドと、を有している。
さらに、ウォータージェット推進船200は、船尾切欠壁17が形成されているから、喫水16が深い船型であるにもかかわらず、後進時の噴射流が船尾壁14に衝突することがない。
すなわち、同じ速度で比較して、ウォータージェット推進船200は、フラップ装置50を装備しない小型船の場合の約71%のエンジン出力である。また、同じエンジン出力で比較すると、フラップ装置50を装備した場合は、装備しない場合より約13%早い船速が得られることが確認されている。
図6は本発明の実施の形態3に係るウォータージェット推進船を模式的に説明する船底壁に近い位置の平面視の断面図であって、それぞれ(a)は前進時、(b)は後進時である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図6の(a)および(b)において、実施の形態3に係るウォータージェット推進船300は、前進時に、スライドフラップ56a、56bを船体10内に引き込み自在にしたものである。
したがって、前進時には、スライドフラップ56a、56bを船体10から船尾後方に押し出し( 図6の(a)参照)、一方、後進時には、スライドフラップ56a、56bを船体10内に引き込んでいる(図6の(b)参照)。したがって、ウォータージェット推進船100(実施の形態1)と同様の作用効果が得られる。
図7は本発明の実施の形態4に係るウォータージェット推進船を模式的に説明する船底壁に近い位置の平面視の断面図であって、それぞれ(a)は前進時、(b)は後進時である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図7の(a)および(b)において、ウォータージェット推進船400は、ウォータージェット推進船100におけるフラップ底板53を移動自在にして、スライドフラップ56を撤去したものである。すなわち、船尾壁14に設置されるフラップ側板52L、52Rと、フラップ側板52L、52Rの下縁に設けられた底板ガイド(図示しない)と、該底板ガイドによって移動自在に案内されたフラップ底板53(左下がりの斜面にて示す)と、フラップ底板53を移動させる図示しない底板移動手段と、を有している。
なお、以上は、フラップ底板53が1枚であるが、本発明はこれに限定するものではなく、2枚以上であってもよい。このとき、フラップ側板52L、52Rと平行に支持梁を設け、該梁にフラップ底板53を案内する底板ガイドを設けてもよい。
図8は本発明の実施の形態5に係るウォータージェット推進船を模式的に説明する船底壁に近い位置の平面視の断面図であって、それぞれ(a)は前進時、(b)は後進時である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図8の(a)および(b)において、ウォータージェット推進船500は、ウォータージェット推進船400(実施の形態4)におけるフラップ底板53にフラップ開口部54を形成すると共に、フラップ底板53の一部を船体10内に収納自在にしたものである。
したがって、前進時には、フラップ底板53を船首側に移動させて、フラップ開口部54を船体10内に完全に収納し( 図8の(a)参照)、一方、後進時には、フラップ底板53を船尾後方に移動させて、フラップ開口部54を船体10の外に出している(図8の(b)参照)。したがって、ウォータージェット推進船100(実施の形態1)と同様の作用効果が得られる。
なお、以上は、フラップ底板53が1枚であるが、本発明はこれに限定するものではなく、2枚以上であってもよい。このとき、フラップ側板52L、52Rと平行に支持梁を設け、該梁にフラップ底板53を案内する底板ガイドを設けてもよい。
図9および図10は本発明の実施の形態6に係るウォータージェット推進船を模式的に説明するものであって、図9の(a)は前進時を示す平面図、図9の(b)は前進時を示す背面図、図10の(a)は前進時を示す一部の側面視の断面図、図10の(b)は後進時を示す一部の側面視の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。なお、各図は、板厚等を誇張して模式的に描いたものであって、本発明は図示する形態に限定されるものではない。
回転フラップ57はフラップ底板53に形成されたフラップ開口部54を閉塞自在な大きさであって、回転フラップ57の船尾後方寄りの縁58に回転機構(図示しない)が設けられている。
したがって、前進時は、回転フラップ57がフラップ底板53と平行に回転され、フラップ底板53の船首側の縁59が船尾壁14に当接し、フラップ開口部54が閉塞されている(図10の(a)参照)。一方、後進時は、回転フラップ57が船首側の縁59が下方になるように回転され、フラップ開口部54が開放されると共に、フラップ開口部54の下方に、噴射流を前方斜め下方に案内する案内板が形成されたことになる(図10の(b)参照)。
よって、ウォータージェット推進船600は、ウォータージェット推進船100と同様の作用効果が得られると共に、前進時に、噴射流を、より確実に前方斜め下方に向かわせることが可能になる。
なお、回転フラップ57の回転機構は限定するものではなく、船尾後方寄りの縁58に回転軸を設置して、該回転軸を回転してもよいし、回転フラップ57が船首側の縁59にリンクないしワイヤーを接続して、縁59を昇降させてもよい。
また、2枚の回転フラップ57a、57bを1枚にしてもよい。このとき、2箇所のフラップ開口部54a、54bを1つにまとめてもよい。
図11および図12は本発明の実施の形態7に係るウォータージェット推進船を模式的に説明するものであって、図11の(a)は前進時を示す平面図、図11の(b)は前進時を示す背面図、図12の(a)は前進時を示す一部の側面視の断面図、図12の(b)は後進時を示す一部の側面視の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。なお、各図は、板厚等を誇張して模式的に描いたものであって、本発明は図示する形態に限定されるものではない。
回転フラップ57はフラップ底板53に形成されたフラップ開口部54を閉塞自在な大きさであって、回転フラップ57の船尾後方寄りの縁58に回転機構(図示しない)が設けられている。したがって、ウォータージェット推進船700は、ウォータージェット推進船100と同様の作用効果が得られる。
なお、フラップ底板53は回転フラップ57を支持するものであるから、所定の剛性を有する前船尾後方向の梁(例えば、断面L字状は断面H字状)にしたり、前船尾後方向の梁を左右方向に配置した部材によって補強したりすることが望ましい。
11 甲板
12L 左舷壁
12R 右舷壁
13 船底壁
14 船尾壁
15 取水口
16 喫水
17 船尾切欠壁
18 船尾凹部
18A 凹部天面
18B 凹部端面
18L 凹部左側面
18R 凹部右側面
20 推進装置
21 吸水管
22 ノズル
23 インペラ
24 駆動軸
25 軸芯
26 フード
30 舵取り装置
31 上面
32 側面
33 傾斜桟
34 リバースゲート
35 旋回門型部
40 船外部
50 フラップ装置
52 フラップ側板
53 フラップ底板
53a 船首側縁
54 フラップ開口部
55 固定門型部
56 スライドフラップ
57 回転フラップ
58 船尾後方寄りの縁
59 船首側の縁
100 ウォータージェット推進船(実施の形態1)
200 ウォータージェット推進船(実施の形態2)
300 ウォータージェット推進船(実施の形態3)
400 ウォータージェット推進船(実施の形態4)
500 ウォータージェット推進船(実施の形態5)
600 ウォータージェット推進船(実施の形態6)
700 ウォータージェット推進船(実施の形態7)
D40 船外部長さ
D50 フラップ長さ
H40 船外部高さ
H50 フラップ高さ
Claims (6)
- 船底に形成された取水口から取水した水を船尾後方の所定の方向に向けて噴出するウォータージェット推進装置と、
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船外部の下方の位置で船尾壁に設置され、船底に平行で、前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に接続された一対の側板と、
平面視において前記底板の前記船尾壁寄りの位置に形成された底板開口部と、
前記底板に沿って移動自在であって、前記底板開口部を開閉する蓋板と、
該蓋板を移動させる蓋板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板開口部が前記蓋板によって閉塞され、
後進時には、前記蓋板が前記底板開口部から移動して、前記底板開口部が開口していることを特徴とするウォータージェット推進船。 - 船底に形成された取水口から取水した水を船尾後方の所定の方向に向けて噴出するウォータージェット推進装置と、
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船外部の下方の位置で船尾壁に設置され、船底に平行で、前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に接続された一対の側板と、
平面視において前記底板の前記船尾壁寄りの位置に形成された底板開口部と、
前記底板開口部よりも前記船尾壁から離れた位置を支点にして、前記底板に傾動自在に設置され、前記底板開口部を開閉する蓋板と、
該蓋板を傾動させる蓋板傾動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板開口部が前記蓋板によって閉塞され、
後進時には、前記蓋板の船首側の端縁が低くなるように傾斜して、前記底板開口部が開口していることを特徴とするウォータージェット推進船。 - 船底に形成された取水口から取水した水を船尾後方の所定の方向に向けて噴出するウォータージェット推進装置と、
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船尾壁よりも船尾方向の位置で船尾方向または船首方向に移動自在で、船底に平行かつ前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に当接する一対の側板と、
前記底板を移動させる底板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板が前記船尾壁に向かって進出して前記船尾壁に当接し、前記側板の下縁によって挟まれた範囲が前記底板によって閉塞され、
後進時には、前記底板が船尾方向に移動して前記船尾壁から離れ、前記側板の下縁によって挟まれた少なくとも前記船尾壁寄りの範囲が開口することを特徴とするウォータージェット推進船。 - 船底に形成された取水口から取水した水を船尾後方の所定の方向に向けて噴出するウォータージェット推進装置と、
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、前記船外部よりも船尾後方に突出した一対の側板と、
該一対の側板に両側縁が設置され、前記船尾壁寄りの位置に形成された開口部を具備する底板と、
前記底板に沿って移動自在で、船体内に収納自在な蓋板と、
前記蓋板を移動させる蓋板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記蓋板が前記船尾壁よりも船尾方向に移動されて、前記開口部が閉塞され、
後進時には、前記蓋板が船体内に収納されて、前記開口部が開かれることを特徴とするウォータージェット推進船。 - 船底に形成された取水口から取水した水を船尾後方の所定の方向に向けて噴出するウォータージェット推進装置と、
前記ウォータージェット推進装置の一部であって、船尾壁から船尾後方に向かって突出する船外部と、
側面視における前記船外部の下方の位置で前記船尾壁よりも船尾後方に進出すると共に、一部が船体内に収納自在な、船底に平行で、前記船外部よりも船尾後方に突出した底板と、
該底板の平面視において船首寄りの位置に形成された底板開口部と、
背面視において前記船外部を挟む位置で船尾壁に設置され、下縁が前記底板の側縁に当接する一対の側板と、
前記底板を移動させる底板移動手段と、
を有し、
前進時には、前記底板が船首方向に移動して、前記底板開口部が船体内に収納されることによって、前記側板の下縁によって挟まれた範囲が前記底板によって閉塞され、
後進時には、前記底板が前記船尾壁よりも船尾後方に進出し、前記底板開口部が前記船尾壁よりも船尾側に位置することを特徴とするウォータージェット推進船。 - 船尾壁と船底壁との間に、船底壁に近づく程船首側に傾斜する船尾切欠壁が形成され、
該船尾切欠壁の途中から甲板側に所定幅の船尾凹部が形成され、
前記船外部が船尾壁に替えて、前記船尾凹部の凹部端面から船尾後方に向かって突出し、
前記一対の側板が船尾壁に設置される替わりに、前記船尾壁と前記船尾切欠壁とに跨って設置、または前記船尾切欠壁のみに設置されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のウォータージェット推進船。
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