JP2004136781A - 推進性能向上装置付き船舶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船尾部の船底下面1が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型の船舶において、船尾部の後部から水中へ垂下した推進装置としてのポッドプロペラ2を備え、水平な船底下面3から傾斜した船底下面1へ移行する部分で、航行時に水の流れが剥離を起こさずにプロペラ2aへ流入しうるように、傾斜した船底下面1の前端部にフィン4が装着されており、入渠時には、フィン4はガイドレール6に沿い移動して、水平な船底下面3よりも上方へ格納される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶に関し、特に、その推進性能向上のための装置を付設された船舶に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポッドプロペラなどの推進装置を船尾端に備える場合に用いられるバトック船型では、航行時に船底下面に沿う水の流れを船尾へ円滑に流すために、図13に示すように、船尾部の船底下面が船尾端へ向かって上昇する傾斜角βを10数度以下に小さくすることが望ましいとされているが、機関配置や貨物倉配置の制約から、この角度βを図中の角度α程度に大きくせざるを得ないという問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、バトック船型における船尾部船底下面の傾斜角をかなり大きく設定しても、航行時に同船底下面に沿う水の流れを円滑に導けるようにして、そのプロペラへの流入に支障を来たさないようにした推進性能向上装置付き船舶を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備え、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを上記船尾部の傾斜した船底下面へ沿わせるように導いて上記推進装置へ流入させるべく、上記船尾部の傾斜した船底下面の前端部付近に、同船底下面から離隔するようにして取付け部材を介し装着されたフィンが設けられていることを特徴としている。
【0005】
また、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、上記フィンの前縁部と上記船尾部の船底下面との間隔が、上記フィンの後縁部と上記船尾部の船底下面との間隔よりも大きく形成されたことを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、上記フィンが上記水の流れを円滑に導くための流線形断面を有するとともに、上記取付け部材も流線形断面を有していることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、入渠時に上記フィンを上記取付け部材と共に船体付きガイドレールに沿い移動させて前記のほぼ水平な船底下面よりも上方に格納するためのガイドレール付きフィン格納手段が設けられたことを特徴としている。
【0008】
上述の本発明の推進性能向上装置付き船舶では、船尾部において船尾端へ向け緩やかに上昇するように傾斜した船底下面の前端部付近に、フィンが船底下面から離隔するようにして取付け部材を介し装着されるので、バトック船型において船尾船底下面の傾斜角がかなり大きく設定されても、航行時には船体中央部の船底下面に沿う水の流れが船尾部の船底下面へ剥離を生じることなく円滑に流れてゆき、船尾部の後部から水中へ垂設された推進装置のプロペラへ適切に導入されて、推進性能が向上するようになる。そして、船尾船底下面の傾斜角を大きく設定できるため、船内スペースが広くなり、機関配置や貨物倉配置が容易になる利点が得られるようになる。
【0009】
また、上記フィンの前縁部と上記船尾部の船底下面との間隔が、上記フィンの後縁部と上記船尾部の船底下面との間隔よりも大きく形成されると、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを船尾部の傾斜した船底下面へ沿うように移行させる作用がさらに的確に行われるようになる。
【0010】
そして、上記フィンおよび同フィンの取付け部材がいずれも流線形断面を有している場合は、航行時において、これらのフィンおよび取付け部材による抵抗の増加が低減されるようになる。
【0011】
また、上記フィンを上記取付け部材と共にガイドレールに沿い移動させて前記のほぼ水平な船底下面よりも上方に格納しうるガイドレール付きフィン格納手段が設けられていると、その格納作用により上記のフィンおよびその取付け部材が入渠時に邪魔にならない利点が得られる。
【0012】
また、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備え、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを上記船尾部の傾斜した船底下面へ沿わせるように導いて上記推進装置へ流入させるべく、少なくとも上記船尾部よりやや前方のほぼ水平な船底下面に、航行時に乱流境界層を発生させるための凹凸面が形成されていることを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、上記凹凸面を下側に有する可動部材が船底凹部に嵌め込まれるとともに、入渠時に上記可動部材を駆動して同可動部材の凹凸面を上記船底凹部内へ引き込ませるための可動部材駆動手段が設けられたことを特徴としている。
【0014】
上述のように、バトック船型を有する船舶において、船尾部よりやや前方のほぼ水平な船底下面に凹凸面を形成することにより、航行時に乱流境界層が形成されるようになっていると、水平な船底下面に沿う水の流れが、剥離を生じることなく船尾部の傾斜した船底下面に沿うようになり、このようにして船尾部の後部から水中へ垂下されたポッドプロペラのごとき推進装置のプロペラへの水の流入が適切に行われるようになって、推進性能の向上がもたらされる。
【0015】
一方、船内スペースについては、バトック船型における船尾船底下面の傾斜角をかなり大きく設定できるため、余裕を生じて、機関配置や貨物倉の配置が容易になる利点が得られる。
【0016】
また、上記凹凸面を下側に有する可動部材が船底凹部に嵌め込まれて、入渠時には上記可動部材の駆動により、その凹凸面を上記船底凹部内へ引き込ませるための可動部材駆動手段が設けられている場合は、入渠作業に際して、上記凹凸面を持たない在来の船舶と同様に支障なく取り扱える利点が得られるようになる。
【0017】
また、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備えるとともに、同推進装置よりも前方の船尾部分に船体中心線に沿うスケグを備え、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを上記船尾部の傾斜した船底下面へ沿わせるように導いて上記推進装置へ流入させるべく、上記船尾部の傾斜した船底下面の前端部付近に、同船底下面から離隔するようにして上記スケグから両側方へ突出したフィンが設けられていることを特徴としている。
【0018】
さらに、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、上記フィンが、上記スケグに支軸を介し回動可能に支持されて、同支軸の回転駆動により上記フィンの迎角を調整するための駆動機構が上記スケグの内部に設けられ、上記フィンの水平状態では同フィンを上記スケグの下縁よりも下方へ突出させないように上記支軸の位置が設定されていることを特徴としている。
【0019】
上述の本発明の推進性能向上装置付き船舶では、船尾部のスケグを利用して推進性能向上用のフィンが装着されるので、同フィンのための取付け部材を特設する必要が無くなり、しかも上記フィンの装着が容易になる利点が得られるようになる。そして、上記スケグによる船舶の保針性能と上記フィンによる推進性能の向上と相まって、バトック船型の利点が一層高められるようになる。
【0020】
また、上記フィンの迎角が上記駆動機構により調節できるので、同フィンの迎角を船速に応じて適切に調整できるようになり、これにより船舶の推進性能を常に十分に向上させることができる。そして、入渠時には上記フィンを水平に保持してスケグ下縁よりも下方へ突出させないように同フィンの支軸の位置が設定されているので、入渠作業に支障をきたさない利点も得られるようになる。
【0021】
さらに、本発明の推進性能向上装置付き船舶は、船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備えるとともに、同推進装置よりも前方の船尾部分に船体中心線に沿うスケグを備え、航行時に上記スケグに沿う水の流れを上記推進装置へ流入させるべく、上記スケグの後部下端から両側方へ突出したフィンが、上記推進装置へ向けて斜め上方へ傾斜するように設けられていることを特徴としている。
【0022】
上述の本発明の推進性能向上装置付き船舶では、バトック船型の船尾部に設けられたスケグの後部下端において、航行時にスケグ前方の船底下面から同スケグへ流入してきた水の流れを案内できるように同スケグから両側方へ突出したフィンが、スケグ後方の推進装置へ向けて斜め上方へ傾斜するように設けられているので、同フィンにより案内された水の流れが上記推進装置へ適切に流入するようになり、これにより推進性能の大幅な向上が期待される。そして、上記スケグによる船体の保針性能が、上記フィンの装着による旋回抵抗の増大によって高められるようになる利点も得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施形態について説明すると、図1〜6は本発明の第1実施形態としての推進性能向上装置付き船舶を示すもので、図1はその船体後部を示す側面図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3は図2のB−B断面図、図4は図2のC−C断面図、図5はそのガイドレール付きフィン格納手段を示す縦断面図、図6は図5のD−D矢視断面図であり、図7は本発明の第2実施形態としての推進性能向上装置付き船舶の船体後部側面図、図8は図7の船舶における推進性能向上装置の格納状態を示す縦断面図、図9は図8の推進性能向上装置の作動状態を示す縦断面図であり、図10は本発明の第3実施形態としての推進性能向上装置付き船舶の船体後部側面図、図11は図10のE−E矢視部分について一部を破断して示す拡大図であり、図12は本発明の第4実施形態としての推進性能向上装置付き船舶の船体後部側面図である。
【0024】
まず本発明の第1実施形態について説明すると、図1,2に示すように、船尾部の船底下面1が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、船尾部の後部から水中へ垂下するように装着された推進装置としてのポッドプロペラ2が装備されている。
【0025】
また、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面3に沿う水の流れを船尾部の傾斜した船底下面1へ沿わせるように導いてポッドプロペラ2のプロペラ2aへ流入させうるように、船尾部の傾斜した船底下面1の前端部付近に、同船底下面1から離隔するようにしてフィン4が取付け部材5を介し装着されている。
そして、取付け部材5およびフィン4は、それぞれ図3および図4に示すように、水の流れを円滑に導くための流線形断面を有している。
【0026】
船尾部の船底下面1は、船内のスペースに余裕をもたせるためバトック船型としてはかなり大きい傾斜角αを有しているが、フィン4は、船尾部船底下面1の傾斜角αよりも大きい迎え角を有するように、フィン4の前縁部と船尾部船底下面1との間隔が、フィン4の後縁部と船尾部船底下面1との間隔よりも大きく形成されている。
なお、フィン4は、左右端に、それぞれ斜め上方へ反り上がった安定翼4aを有している。
【0027】
本実施形態では、この船舶の入渠時にフィン4を取付け部材5と共に船体付きガイドレール6に沿い移動させて、ほぼ水平な船底下面3よりも上方へ格納できるように、ガイドレール付きフィン格納手段が設けられている。
【0028】
図5および図6はガイドレール付きフィン格納手段の一例を示しており、モーター7によりシーブ9〜12を介して駆動されるエンドレスワイヤ8に、フィン4の取付け部材5が固着されていて、フィン4の停止位置では液圧式ストッパー13によりフィン4の固定が行われるようになっている。
【0029】
上述の第1実施形態の推進性能向上装置付き船舶では、船尾部において船尾端へ向け緩やかに上昇するように傾斜した船底下面1の前端部付近に、フィン4が船底下面1から離隔するようにして取付け部材5を介し装着されるので、バトック船型において船尾船底下面1の傾斜角αがかなり大きく設定されても、航行時には船体中央部の船底下面3に沿う水の流れが船尾部の船底下面1へ剥離を生じることなく円滑に流れてゆき、船尾部の後部から水中へ垂設されたポッドプロペラ2のプロペラ2aへ適切に導入されて、推進性能が向上するようになる。そして、船尾船底下面1の傾斜角αを大きく設定できるため、船内スペースが広くなり、機関配置や貨物倉配置が容易になる利点が得られるようになる。
【0030】
また、フィン4の前縁部と船尾部の船底下面1との間隔が、フィン4の後縁部と船尾部の船底下面1との間隔よりも大きく形成されるので、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面3に沿う水の流れを船尾部の傾斜した船底下面1へ沿うように移行させる作用がさらに的確に行われるようになる。
【0031】
そして、フィン4および同フィン4の取付け部材5がいずれも流線形断面を有しているので、航行時において、これらのフィン4および取付け部材5による抵抗の増加が低減されるようになる。
【0032】
また、フィン4を取付け部材5と共にガイドレール6に沿い移動させて前記のほぼ水平な船底下面3よりも上方に格納しうるガイドレール付きフィン格納手段が設けられているので、その格納作用によりフィン4およびその取付け部材5が入渠時に邪魔にならない利点が得られる。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態について説明すると、図7に示すように、この実施形態の場合も、船尾部の船底下面1が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、船尾部の後部から水中へ垂下するように推進装置としてのポッドプロペラ2が設けられている。
【0034】
そして、航行時に、船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面3に沿う水の流れを、船尾部の傾斜した船底下面1へ沿わせるように導くため、少なくとも船尾部よりやや前方のほぼ水平な船底下面3に、航行の際、乱流境界層を発生させる凹凸面20が形成されている。
【0035】
この凹凸面20は、固定式のものでもよいが、本実施形態では、図8および図9に示すように、凹凸面20を下側に有する可動部材21が船底凹部22内に上下摺動可能に嵌め込まれるとともに、入渠時に可動部材21を駆動して同可動部材21の下側の凹凸面20を船底凹部22内へ引き込ませるための可動部材駆動手段が設けられている。
【0036】
すなわち、可動部材21と船底凹部22との間の空間23にタンク24内の水をポンプ25によりバルブ26を介して導くことにより、その水圧で可動部材21を下方へ押圧し、その凹凸面20を船底下面より下方へ突出させることができるようになっている。
また、可動部材21の下方への脱落を防止できるように、ストッパー機構27が設けられている。
【0037】
上述の第2実施形態では、バトック船型を有する船舶において、船尾部よりやや前方のほぼ水平な船底下面3に凹凸面20を形成することにより、航行時に乱流境界層が形成されるようになっているので、水平な船底下面3に沿う水の流れが、剥離を生じることなく船尾部の傾斜した船底下面1に沿うようになり、このようにして船尾部の後部から水中へ垂下されたポッドプロペラ2のプロペラ2aへの水の流入が適切に行われるようになって、推進性能の向上がもたらされる。
【0038】
一方、船内スペースについては、バトック船型における船尾船底下面の傾斜角αをかなり大きく設定できるため、余裕を生じて、機関配置や貨物倉の配置が容易になる利点が得られる。
【0039】
また、凹凸面20を下側に有する可動部材21が船底凹部22に嵌め込まれて、入渠時には同可動部材21の駆動により、その凹凸面20を船底凹部22内へ引き込ませるための可動部材駆動手段が設けられているので、入渠作業に際して、凹凸面20を持たない在来の船舶と同様に支障なく取り扱える利点が得られるようになる。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態について説明すると、図10に示すように、この第3実施形態では、船尾部の船底下面1が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、船尾部の後部から水中へ垂下するように推進装置としてのポッドプロペラ2が設けられるとともに、同ポッドプロペラ2よりも前方の船尾部分に船体中心線に沿うスケグ28が設けられている。
【0041】
そして、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面3に沿う水の流れを船尾部の傾斜した船底下面1へ沿わせるように導いてポッドプロペラ2のプロペラ2aへ流入させうるように、傾斜した船底下面1の前端部付近でスケグ28から両側方へ突出したフィン4が、同船底下面1から離隔するようにして設けられている。
【0042】
フィン4は、図11に示すように、スケグ28に支軸4bを介し回転可能に支持されており、フィン4の迎角を調整するための支軸4bの回転駆動は、スケグ28の内部の油圧式または電動式の駆動機構29により行われるようになっている。
また、支軸4bの位置は、図10に示すように、フィン4の水平状態で同フィン4をスケグ28の下縁よりも下方へ突出させないように設定されている。
【0043】
上述の第3実施形態の推進性能向上装置付き船舶では、船尾部のスケグ28を利用して推進性能向上用のフィン4が装着されるので、同フィン4のための取付け部材を特設する必要が無くなり、しかもフィン4の装着が容易になる利点が得られるようになる。そして、スケグ28による船舶の保針性能とフィン4による推進性能の向上と相まって、バトック船型の利点が一層高められるようになる。
【0044】
また、フィン4の迎角が上記駆動機構29により調節できるので、同フィン4の迎角を船速に応じて適切に調整できるようになり、これにより船舶の推進性能を常に十分に向上させることができる。そして、入渠時にはフィン4を水平に保持してスケグ28の下縁よりも下方へ突出させないように同フィン4の支軸4bの位置が設定されているので、入渠作業に支障をきたさない利点も得られるようになる。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態としての推進性能向上装置付き船舶について説明すると、図12に示すように、本実施形態の場合も、船尾部の船底下面1が船尾端へ向かって緩やかな角度αで上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、船尾部の後部から水中へ垂下するように推進装置としてのポッドプロペラ2が設けられるとともに、同ポッドプロペラ2よりも前方の船尾部分に船体中心線に沿うスケグ28が設けられている。
【0046】
この第4実施形態では、特に、航行時におけるスケグ28に沿う水の流れをポッドプロペラ2へ積極的に導くためのフィン30が、スケグ28の後部下端から両側方へ突出するように設けられており、同フィン30はポッドプロペラ2へ向けて斜め上方へ傾斜するように配置されている。そして、フィン30の下方にはスケグ28が存在しないように、同スケグ28の後部下端縁も後方へ向けて斜め上方に切り上げられている。
【0047】
上述の第4実施形態の推進性能向上装置付き船舶では、バトック船型の船尾部に設けられたスケグ28の後部下端において、航行時にスケグ前方の船底下面から同スケグ28へ流入した水の流れを案内できるように同スケグ28から両側方へ突出したフィン30が、スケグ後方のポッドプロペラ2へ向けて斜め上方へ傾斜するように設けられているので、同フィン30により案内された水の流れがポッドプロペラ2へ適切に流入するようになり、これにより推進性能の大幅な向上が期待される。そして、スケグ28による船体の保針性能が、フィン30の装着による旋回抵抗の増大によって高められるようになる利点も得られる。
【0048】
このようにして、本発明の推進性能向上装置付き船舶によれば、バトック船型における船尾部船底下面の傾斜角αをかなり大きく設定しても、航行時に同船底下面に沿う水の流れを円滑に導けるようにして、そのプロペラへの流入に支障を来たさないようにすることが可能になる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の推進性能向上装置付き船舶によれば次のような効果が得られる。
(1) 船尾部において船尾端へ向け緩やかに上昇するように傾斜した船底下面の前端部付近に、フィンが船底下面から離隔するようにして取付け部材を介し装着されるので、バトック船型において船尾船底下面の傾斜角がかなり大きく設定されても、航行時には船体中央部の船底下面に沿う水の流れが船尾部の船底下面へ剥離を生じることなく円滑に流れてゆき、船尾部の後部から水中へ垂設された推進装置のプロペラへ適切に導入されて、推進性能が向上するようになる。そして、船尾船底下面の傾斜角を大きく設定できるため、船内スペースが広くなり、機関配置や貨物倉配置が容易になる利点が得られるようになる。
(2) 上記フィンの前縁部と上記船尾部の船底下面との間隔が、上記フィンの後縁部と上記船尾部の船底下面との間隔よりも大きく形成されると、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを船尾部の傾斜した船底下面へ沿うように移行させる作用がさらに的確に行われるようになる。
(3) 上記フィンおよび同フィンの取付け部材がいずれも流線形断面を有している場合は、航行時において、これらのフィンおよび取付け部材による抵抗の増加が低減されるようになる。
(4) 上記フィンを上記取付け部材と共にガイドレールに沿い移動させて前記のほぼ水平な船底下面よりも上方に格納しうるガイドレール付きフィン格納手段が設けられていると、その格納作用により上記のフィンおよびその取付け部材が入渠時に邪魔にならない利点が得られる。
(5) バトック船型を有する船舶において、船尾部よりやや前方のほぼ水平な船底下面に凹凸面を形成することにより、航行時に乱流境界層が形成されるようになっていると、水平な船底下面に沿う水の流れが、剥離を生じることなく船尾部の傾斜した船底下面に沿うようになり、このようにして船尾部の後部から水中へ垂下されたポッドプロペラのごとき推進装置のプロペラへの水の流入が適切に行われるようになって、推進性能の向上がもたらされる。一方、船内スペースについては、バトック船型における船尾船底下面の傾斜角をかなり大きく設定できるため、余裕を生じて、機関配置や貨物倉の配置が容易になる利点が得られる。
(6) 上記凹凸面を下側に有する可動部材が船底凹部に嵌め込まれて、入渠時には上記可動部材の駆動により、その凹凸面を上記船底凹部内へ引き込ませるための可動部材駆動手段が設けられている場合は、入渠作業に際して、上記凹凸面を持たない在来の船舶と同様に支障なく取り扱える利点が得られるようになる。
(7) 船尾部のスケグを利用して推進性能向上用のフィンが装着されると、同フィンのための取付け部材を特設する必要が無くなり、しかも上記フィンの装着が容易になる利点が得られるようになる。そして、上記スケグによる船舶の保針性能と上記フィンによる推進性能の向上と相まって、バトック船型の利点が一層高められるようになる。
(8) 上記フィンの迎角が上記駆動機構により調節できるので、同フィンの迎角を船速に応じて適切に調整できるようになり、これにより船舶の推進性能を常に十分に向上させることができる。そして、入渠時には上記フィンを水平に保持してスケグ下縁よりも下方へ突出させないように同フィンの支軸の位置が設定されているので、入渠作業に支障をきたさない利点も得られるようになる。
(9) バトック船型の船尾部に設けられたスケグの後部下端において、航行時にスケグ前方の船底下面から同スケグへ流入してきた水の流れを案内できるように同スケグから両側方へ突出したフィンが、スケグ後方の推進装置へ向けて斜め上方へ傾斜するように設けられていると、同フィンにより案内された水の流れが上記推進装置へ適切に流入するようになり、これにより推進性能の大幅な向上が期待される。そして、上記スケグによる船体の保針性能が、上記フィンの装着による旋回抵抗の増大によって高められるようになる利点も得られる。
(10) 上記各項により、本発明の推進性能向上装置付き船舶によれば、バトック船型における船尾部船底下面の傾斜角をかなり大きく設定しても、航行時に同船底下面に沿う水の流れを円滑に導けるようにして、そのプロペラへの流入に支障を来たさないようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての推進性能向上装置付き船舶の船体後部を示す側面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】図2のC−C断面図である。
【図5】図1の推進性能向上装置付き船舶におけるガイドレール付きフィン格納手段を示す縦断面図である。
【図6】図5のD−D矢視断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態としての推進性能向上装置付き船舶の船体後部側面図である。
【図8】図7の船舶における推進性能向上装置の格納状態を示す縦断面図である。
【図9】図8の推進性能向上装置の作動状態を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態としての推進性能向上装置付き船舶の船体後部を示す側面図である。
【図11】図10のE−E矢視一部破断拡大図である。
【図12】本発明の第4実施形態としての推進性能向上装置付き船舶の船体後部を示す側面図である。
【図13】従来のバトック船型を有する船舶の船体後部側面図である。
【符号の説明】
1 船尾部船底下面
2 ポッドプロペラ
2a プロペラ
3 船尾部より前方の水平な船底下面
4 フィン
4a 安定翼
4b 支軸
5 取付け部材
6 ガイドレール
7 モーター
8 エンドレスワイヤ
9〜12 シーブ
13 液圧式ストッパ
20 凹凸面
21 可動部材
22 船底凹部
23 空間
24 タンク
25 ポンプ
26 バルブ
27 ストッパー機構
28 スケグ
29 駆動機構
30 フィン
Claims (9)
- 船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備え、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを上記船尾部の傾斜した船底下面へ沿わせるように導いて上記推進装置へ流入させるべく、上記船尾部の傾斜した船底下面の前端部付近に、同船底下面から離隔するようにして取付け部材を介し装着されたフィンが設けられていることを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 請求項1に記載の推進性能向上装置付き船舶において、上記フィンの前縁部と上記船尾部の船底下面との間隔が、上記フィンの後縁部と上記船尾部の船底下面との間隔よりも大きく形成されたことを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 請求項1または2に記載の推進性能向上装置付き船舶において、上記フィンが上記水の流れを円滑に導くための流線形断面を有するとともに、上記取付け部材も流線形断面を有していることを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の推進性能向上装置付き船舶において、入渠時に上記フィンを上記取付け部材と共に船体付きガイドレールに沿い移動させて前記のほぼ水平な船底下面よりも上方に格納するためのガイドレール付きフィン格納手段が設けられたことを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備え、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを上記船尾部の傾斜した船底下面へ沿わせるように導いて上記推進装置へ流入させるべく、少なくとも上記船尾部よりやや前方のほぼ水平な船底下面に、航行時に乱流境界層を発生させるための凹凸面が形成されていることを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 請求項5に記載の推進性能向上装置付き船舶において、上記凹凸面を下側に有する可動部材が船底凹部に嵌め込まれるとともに、入渠時に上記可動部材を駆動して同可動部材の凹凸面を上記船底凹部内へ引き込ませるための可動部材駆動手段が設けられたことを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備えるとともに、同推進装置よりも前方の船尾部分に船体中心線に沿うスケグを備え、航行時に船尾部よりも前方のほぼ水平な船底下面に沿う水の流れを上記船尾部の傾斜した船底下面へ沿わせるように導いて上記推進装置へ流入させるべく、上記船尾部の傾斜した船底下面の前端部付近に、同船底下面から離隔するようにして上記スケグから両側方へ突出したフィンが設けられていることを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 請求項7に記載の推進性能向上装置付き船舶において、上記フィンが、上記スケグに支軸を介し回動可能に支持されて、同支軸の回転駆動により上記フィンの迎角を調整するための駆動機構が上記スケグの内部に設けられ、上記フィンの水平状態では同フィンを上記スケグの下縁よりも下方へ突出させないように上記支軸の位置が設定されていることを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
- 船尾部の船底下面が船尾端へ向かって緩やかに上昇するように傾斜したバトック船型を有する船舶において、上記船尾部の後部から水中へ垂下するように設けられた推進装置を備えるとともに、同推進装置よりも前方の船尾部分に船体中心線に沿うスケグを備え、航行時に上記スケグに沿う水の流れを上記推進装置へ流入させるべく、上記スケグの後部下端から両側方へ突出したフィンが、上記推進装置へ向けて斜め上方へ傾斜するように設けられていることを特徴とする、推進性能向上装置付き船舶。
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