JP2633951B2 - 噴霧乾燥粉末ポリマーの製造法 - Google Patents

噴霧乾燥粉末ポリマーの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ポリマーの水性分散液または水溶液を熱風
気流中で噴霧しかつ粉末ポリマーを熱風気流から分離す
ることにより噴霧乾燥された粉末ポリマーを製造する方
法に関する。
従来の技術 水性のポリマー分散液を噴霧乾燥することにより粉末
状の乳化重合体を製造することは公知である。この場
合、低い最低皮膜形成温度(MFT)の分散液からガラス
化せざる粉末ポリマーまたは粉末を得るため、噴霧塔中
で慎重に温度制御するのが有利であると判明した。
西ドイツ国特許明細書第2512238号には、大きいカル
ボキシル基含有率を有する粉末状アクリル樹脂の、水性
分散液の噴霧乾燥による製造が記載されている。この明
細書には、噴霧乾燥の工程においてMFTを上廻らないこ
とが重要である旨記載されている。
大きい固体含有率、例えば40〜60重量%を有する水性
のポリマー分散液は不安定な混合物であり、このものは
高められた温度でまたは剪断力の作用下に付着物または
凝結物を形成する傾向がある。このことが顕著に該当す
るのが、低いMFT、例えば60℃以下を有する分散液、お
よび低い動的ガラス転移温度T(λmax)を有する乳化
重合体の分散液である。この不安定性により、水性のポ
リマー分散液を噴霧乾燥する際にしばしば大きい難点が
生じる。この分散液は、高速回転形の噴霧デイスク上へ
注いだ際に摩擦力により加熱されかつ大きい剪断力が加
えられる。その結果生じるのが、噴霧乾燥装置の液体分
配装置中の、および噴霧デイスク上の付着物である。
類似の難点が、ポリマー水溶液を噴霧乾燥する際にも
生じる。
発明が解決しようとする課題 本発明の根底をなす課題は、水性の分散液および溶液
を噴霧する際、とくにMFT60℃以下および、乳化重合体
の動的ガラス転移温度150℃以下を有する温度−および
剪断感受性の分散液を噴霧乾燥する際の前記難点を回避
することである。
課題を解決するための手段 前述の課題は、分散液または溶液と一緒に水を噴霧す
ることにより解決されると判明した。これによれば、液
体分配装置および噴霧装置中のポリマー付着が阻止され
る。このことは、分散液または溶液に対する水の添加自
体が相応する効果を有しないので、希釈効果により惹起
されるのではない。むしろ、水が冷却的に作用しかつ温
度に起因する凝結−および付着工程を阻止するものと推
測される。但しわずかな量の付着物が生じた場合、この
付着は、これが付加的な水の不在において生じたかのよ
うに容易に再び除去されることができる。
分散液ないしは溶液が、工業用の噴霧乾燥装置中で有
利に高速回転形デイスクを使用し噴霧される。デイスク
の有利な回転数が少くとも5000〜25000rpmの範囲内であ
る。有利なのが、分散液または溶液および水を同時に、
但し別々に相互に高速回転デイスク上へ注ぐことであ
る。この目的で、噴霧装置には1つまたはそれ以上の付
加的導管が取付けられ、その結果液体分配装置の1つま
たはそれ以上の流出口が噴霧デイスクの直上に配置さ
れ、かつ水が直接に、但し分散液または溶液と別個に噴
霧デイスク上へ注ぐことができる。
一般に、単位時間当り添加される水の量は、同じ単位
時間で噴霧される分散液−ないしは溶液量よりもわずか
で、例えば1〜20重量%である。有利に、それぞれ分散
液または溶液の重量に対し水2.5〜7.5%が使用される。
一般に水の効果は、水が溶解または分散せる制限量の含
有成分を含有しても、これら含有成分が明白に粘度増大
を生じないかまたは分散液または溶液と不利な相互作用
を惹起しない限り損なわれない。可能な含有成分は、例
えば表面活性剤および、粉末ポリマーの変性に役立つ不
揮発性の添加剤である。
気流が、乾燥塔中で、一般に噴霧混入された分散液ま
たは溶液と順流で、上方から下方へ乾燥塔を通して導か
れる。乾燥塔の出口から、気流が1つまたはそれ以上の
サイクロン分離装置中へ導かれ、そこで乾燥粉末ポリマ
ーが分離される。大ていこのものは、残存水分1〜5重
量%を含有する。
一般に、乾燥塔中へ導入された空気は、50〜200℃、
有利に60〜120℃の範囲内の温度を有する。この空気温
度が、水の蒸発にエネルギが消費されることにより上方
から下方へ向けて低減し、かつ30〜100℃、有利に30〜5
0℃で流出する。入口および出口温度間の差(T−E/T−
A)が、空気対噴霧分散液の比に依存しかつこの比によ
り制御可能である。
本発明の有利な実施例によれば、分散液が、動的ガラ
ス転移温度を下廻るが、但しMFTを上廻る入口温度T−
E、および65℃を下廻るが、但しMFTを上廻る出口温度
T−Aで噴霧乾燥することにより乾燥される。さらに有
利なのが、噴霧乾燥の際に導入される乾燥空気対噴霧混
入される分散液の量比を、入口−および出口温度間で生
じる差(T−E−T−A)が65℃を越えないように調節
することである。
本発明の方法において分散液が使用される場合、有利
にこのものはできるだけ大きい固体含有率を有する。こ
の含有率は、10〜60重量%、有利に20〜50重量であるこ
とができる。分散液を微細な液滴に噴霧しうるため、そ
の粘度が4000mPasを上廻つてはならない。有利に粘度
が、1000mPas以下、とくに100mPasである。
一般に分散液は、陰イオン性の乳化剤を、例えば水相
の重量に対する濃度0.03〜3%で含有する。それととも
に、非イオン性の乳化剤が例えば5重量%にまで含有さ
れてもよく、これはまた場合により単独の乳化剤として
存在してもよい。
噴霧乾燥に使用される分散液は、公知の方法により製
造されることができる。また本発明が全ての噴霧乾燥可
能な乳化重合体の分散液を噴霧乾燥する際に有利に使用
されることができるとしても、実際に本発明は、水添加
量に相応して高められたエネルギ消費のため、水添加が
なければ分散液を噴霧乾燥することが極めて困難である
かまたは全く不可能である場合にだけ使用される。
本発明の方法により殊に有利に加工される難噴霧性の
分散液に属するのは、最低皮膜形成温度(MFT)が動的
ガラス転移温度を下廻り最低50℃であるもの;とくにMF
Tが60℃以下のものである。有利に動的ガラス転移温度
T(λmax)は150℃以下である。
前記特性が一般に該当する分散液の群に包含されるの
が、アクリル−および/またはメタクリル酸の単位20〜
70重量%、アクリル−および/またはメタクリル酸の低
級アルキルエステルまたはそのスチレンとの混合物の単
位40〜80重量%、並びに場合により他のラジカル重合性
不飽和コモノマーの単位10重量%にまでより成る乳化重
合体である。
同じく有利に、水溶性ポリマーの水溶液が本発明の方
法により噴霧乾燥されることができる。この種の代表的
ポリマーは、最低50重量%がアクリル酸またはメタクリ
ル酸またはその水溶性塩より成り、かつ場合により残り
の分量が前記モノマーと共重合可能な他のモノマー、例
えば、アクリル−またはメタクリルアミド、アクリル−
またはメタクリルニトリル、アクリル−またはメタクリ
ル酸のアルキルエステルまたはヒドロキシアルキルエス
テルから形成される。アクリル−またはメタクリル酸含
有率の下限は水溶性により定められるにすぎない。
ポリマー水溶液は、その粘度が2000mPasを上廻らずか
つ有利に500mPasを下廻る場合に噴霧可能である。溶液
粘度は、分子量および固体含有率に依存し、高分子電解
質の場合は塩含有率にも依存する。分子量2000以下を有
するポリアクリル酸の溶液は固体含有率50重量%にまで
の場合でも噴霧されることができるとともに、分子量50
000の場合は濃度30重量%にまで加工可能であるにすぎ
ない。
一般に、噴霧乾燥された粉末ポリマーは平均粒径約50
ミクロンの粉末粒子より成る。顕微鏡写真において、粒
子は倍率100倍で鮮明な輪郭を有しかつ混濁ないしは透
明に見える、このことはラテツクス粒子が程度の差こそ
あれ著るしくガラス化または溶融されていることを推測
させる。
粉末ポリマーは、例えば医薬用被覆の製造に、または
アルカリ性の水性媒体用の濃稠化剤として適当である。
実施例 以下に、本発明を実施例につき詳説する。
例 1 エチルアクリレート50重量%およびメタクリル酸50重
量%より成る、平均粒径100nmを有する分散せるコポリ
マー、および陰イオン性乳化剤〔ヘキスト社(HoechstA
G)の商標名に相応するホスタパル(Hostapal)BV濃縮
物〕2.4重量%を含有する、固体含有率30重量%を有す
る水性のプラスチツク分散液を噴霧乾燥に使用した。こ
の分散液は、粘度6mPas、最低皮膜形成温度28℃、およ
び白化点17℃を有した。この分散されたコポリマーは、
動的ガラス転移温度(Tλmax)134℃および剪断弾性率
1650N/mm2(20℃)を有した。
噴霧乾燥のため、頂部に10000rpmで回転する噴霧デイ
スクを包含し、かつ80〜90℃の熱風18000cbm/hが噴霧物
と順流で上方から下方へ貫流する噴霧塔を使用した。
噴霧塔の頂部の導管を経て、水性分散液190kg/hを噴
霧デイスクへ導いた。同時に第2の導管を経て、水8〜
10kg/hを噴霧デイスクへ導いた。噴霧塔の底部で、気流
から温度40〜50℃で乾燥コポリマーを微粉末の形で分離
した。
分散液を同じ量の水で希釈するかまたは水を完全に省
いた場合、短かい作動時間後に噴霧デイスクに付着物が
生じ、このものが噴霧装置の相応する部分で摩擦される
ことにより加熱および炭化され、その結果生成物が炭化
粒子で汚染された。
例 2 アクリル酸85重量%およびエチルアクリレート15重量
%より成る分子量(重量平均)1700〜2000を有するコポ
リマーの、固体含有率49重量%、pH価1.5および粘度210
mPasを有する水溶液を噴霧乾燥に使用した。
20000rpmで回転する噴霧デイスクを包含し、かつ65〜
70℃の熱風1000cbm/hが噴霧物と順流で上方から下方へ
貫流する噴霧乾燥装置を使用した。出口空気温度が40〜
45℃であつた。
別々の導管を経て、1時間当り溶液120kg並びに水3
〜4kgを噴霧デイスク上へ注いだ。装置の底部で、白色
の微粉末ポリマーが得られた。溶液を同じ水量で希釈す
るかまたは水添加を全く省いた場合、短時間後に、例1
に記載せる種類の障害が生じた。
例 3 例2におけるように操作するが、但しナトリウムポリ
アクリレート(分子量1700〜2000)の、pH価7.5および
粘度133mPasを有する水溶液100kg/hを、その他は同じ操
作条件下に使用した。その結果が前記例の結果に相応し
た。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリマーの水性分散液または水溶液を熱風
    気流中で噴霧しかつ粉末ポリマーを熱風気流から分離す
    ることにより噴霧乾燥された粉末ポリマーを製造するに
    当り、分散液または溶液と一緒に水が噴霧されること特
    徴とする噴霧乾燥粉末ポリマーの製造法。
  2. 【請求項2】分散液または溶液および水が高速回転デイ
    スクを使用し噴霧される請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】分散液または溶液および水が同時に、但し
    別々に相互に高速回転デイスク上へ注がれる請求項2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】単位時間当り噴霧される水量が、分散液ま
    たは溶液の量よりもわずかである請求項1から3までの
    いずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】最低皮膜形成温度(MFT)60℃以下を有す
    る皮膜形成性分散液が使用される請求項1から4までの
    いずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】動的ガラス転移温度T(λmax)150℃以下
    を有する乳化重合体の分散液が使用される請求項5記載
    の方法。
  7. 【請求項7】アクリル−および/またはメタクリル酸な
    いしはその水溶性塩の単位20〜70重量%、アクリル−お
    よび/またはメタクリル酸の低級アルキルエステルまた
    はそのスチレンとの混合物の単位40〜80重量%、並びに
    場合により他のラジカル重合性不飽和コモノマーの単位
    10重量%にまでより成る重合体の水性分散液が使用され
    る請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】最低皮膜形成温度(MFT)が動的ガラス転
    移温度を下廻り最低50℃であるプラスチツク分散液が使
    用される請求項1から7までのいずれか1項に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】分散液が、重合体の動的ガラス転移温度を
    下廻るがMFTを上廻る入口温度(T−E)、および65℃
    を下廻るがMFTを上廻る出口温度(T−A)で噴霧乾燥
    することにより乾燥される請求項5から7までのいずれ
    か1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】アクリル−またはメタクリル酸またはそ
    の水溶性塩最低50重量%、および場合により残りの分量
    が前記モノマーと共重合可能な他のモノマーより成る重
    合体の水溶性を使用する請求項1から6までのいずれか
    1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】噴霧乾燥に際し導入される乾燥用空気対
    噴霧混入される分散液または溶液の量比が、入口温度お
    よび出口温度間の差(T−E−T−A)65℃以下が得ら
    れるように調節される請求項1から10までのいずれか1
    項に記載の方法。
JP1053973A 1988-03-08 1989-03-08 噴霧乾燥粉末ポリマーの製造法 Expired - Lifetime JP2633951B2 (ja)

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