JP2633797B2 - マニホールド触媒コンバータ - Google Patents

マニホールド触媒コンバータ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの排気系に略
垂直に配置され、排気ガス等の浄化に使用されるマニホ
ールド触媒コンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、排気ガスを浄化するため、自動
車の排気系には、触媒コンバータが床下に配置される
が、かかる触媒コンバータ以外に、例えば実開昭59−
34012号公報に示すようにエンジンのシリンダヘッ
ドに直接装着されるマニホールド触媒コンバータが図6
ないし図8に示すように知られている。
【0003】図において、符号21はエンジンで、その
シリンダヘッド22に複数の排気ポート23が形成され
ている。このエンジン21のシリンダヘッド22に、マ
ニホールド触媒コンバータ24が装着されている。マニ
ホールド触媒コンバータ24は、フランジ25と、複数
のブランチ管26と、横断面が略楕円状に構成された
状容器27とを備えている。フランジ25には、シリン
ダヘッド22の各排気ポート23に対応する位置へそれ
ぞれ連通する取付孔25Aが設けられている。
【0004】フランジ25には、シリンダヘッド22の
各排気ポート23に対応する位置へそれぞれ連通する取
付孔25Aが設けられている。このフランジ25の各取
付孔25Aにそれぞれ各ブランチ管26の一端26Aが
固着されている。
【0005】略楕円状の筒状容器27は、その偏平部2
7Bがエンジン21に向いている。筒状容器27には図
示しない触媒担体が収容され、この略楕円状の筒状容器
27に各ブランチ管26の他端26Bがそれぞれ固着さ
れている。そして、各ブランチ管6の他端6Bが概ね前
記略楕円状の筒状容器7にその長軸上に沿って接続され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、エンジン21
は、そのピストンの移動方向である上下方向に常時振動
しており、その振幅は約0.1mmとされている。従っ
て、エンジン21と一体のマニホールド触媒コンバータ
24も、上下方向に振動することになる。
【0007】そして、実験によると、エンジン21のエ
ンジン回転数が高回転域になると、上記上下方向の振動
に加えて、マニホールド触媒コンバータ24に図面上左
右(以降、左右方向とは図面上の左右を表す)の振動を
引き起こすことが知られている。横軸にエンジン回転
数,縦軸に振動振幅の曲線では、その振幅は1500r
pm付近から徐々に立ち上がり、エンジン回転数が所定
の回転数になると、共振現象となり、エンジン21の振
動振幅の2倍を越える振幅が左右方向に発生する。
【0008】なお、シミレーション解析により、小型エ
ンジンでは、エンジン回転数が5200rpm付近に共
振点があることが判明した。この共振回転数は、通常走
行では生じないが、急傾斜の上り坂をトランスミッショ
ンのローギヤを選択して登坂する時のような特別な状況
において使用するエンジン回転数である。
【0009】しかも、このような過酷な運転状況で共振
が発生することは、運転者に不安心理を引き起こすこと
になる。ところが、このような条件下、従来のマニホー
ルド触媒コンバータ24にあっては、フランジ25のシ
リンダヘッド取付面25Aに対して、各ブランチ管26
の他端26Bを結んで形成される取付線28(一点鎖線
で示す)が平行になっているので、略楕円状の筒状容器
27の左右方向の剛性が弱く、エンジン21の上下方向
の振動が略楕円状の筒状容器27に増幅されて伝達し、
振動を低減することが困難であった。そのため、例え
ば、ブランチ管に亀裂等が生じ、耐久性に劣るという問
題があった。
【0010】本発明は、上述の問題点を解決するために
なされたもので、その目的は、略楕円状の筒状容器の左
右方向の振動を低減することができるマニホールド触媒
コンバータを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダヘッ
ドの各排気ポートに対応してそれぞれ連通する複数の取
付孔を設けたフランジと、このフランジの各取付孔にそ
れぞれ一端が固着された複数のブランチ管と、触媒担体
を収容して横断面が略楕円状に形成された筒状容器とを
有してなり、各ブランチ管の他端が概ね前記略楕円状の
筒状容器にその長軸上に沿って接続されたマニホールド
触媒コンバータにおいて、フランジのシリンダヘッド取
付面に対して各ブランチ管の他端を結んで形成される取
付線が平面矢視において斜めになるように、各ブランチ
管の他端を略楕円状の筒状容器に固着したことを特徴と
する。
【0012】
【作用】本発明においては、エンジンの上下方向の振動
が、当該マニホールド触媒コンバータに伝達し、マニホ
ールド触媒コンバータの筒状容器が左右方向に振動する
が、フランジのシリンダヘッド取付面に対して各ブラン
チ管の他端を結んで形成される取付線が斜めになるよう
に、各ブランチ管の他端を略楕円状の筒状容器に固着し
たので、略楕円状の筒状容器の左右方向の剛性が強くな
っている。
【0013】そして、当該マニホールド触媒コンバータ
略楕円状の筒状容器は、エンジンの上下振動に応じて
左右方向に振動するが、上述のように、略楕円状の筒状
容器の左右方向の剛性が強くなっているので、当該マニ
ホールド触媒コンバータの略楕円状の筒状容器の共振現
象を生じさせるエンジン回転数が、従来の共振現象を生
じさせるエンジン回転数より高くなり、高回転域に移っ
ている。従って、共振の可能性を少なくできる。
【0014】ここで、略楕円状の筒状容器の左右方向の
振動が生じる際、通常運転のエンジンの最大回転数が共
振回転数よりも低く、且つ、該最大回転数と共振周波数
が大きくずれているので、左右方向の振動振幅が低くな
っている。
【0015】また、通常運転のエンジン回転数領域で
は、エンジン振動により生じる略楕円状の筒状容器の左
右方向の振幅は、従来例の筒状容器の左右方向の振幅よ
り低くなっている。
【0016】
【実施例】以下、図面により本発明の実施例について説
明する。図1ないし図5は本発明の実施例に係わるマニ
ホールド触媒コンバータを示す。
【0017】図1ないし図3において、符号1はエンジ
ンで、そのシリンダヘッド2に複数の排気ポート3が形
成されている。このエンジン1のシリンダヘッド2の側
面に、マニホールド触媒コンバータ4が装着されてい
る。マニホールド触媒コンバータ4は、フランジ5と、
4個のブランチ管6と、横断面が略楕円状に構成された
筒状容器7とを備えている。
【0018】フランジ5には、シリンダヘッド2の各排
気ポート3に対応する位置へそれぞれ連通する取付孔5
Aが設けられている。このフランジ5の各取付孔5Aに
それぞれ各ブランチ管6の一端6Aが固着され、各ブラ
ンチ管6はフランジ5に並んで取り付けられた状態とな
っている。
【0019】略楕円状の筒状容器7は、図3の平面図に
示すように、その偏平部7Bが斜めの状態でエンジン1
に向いている。略楕円状の筒状容器7には、図示しない
触媒担体が収容され、この略楕円状の筒状容器7の上流
面を形成する集合部7Aに各ブランチ管6の他端6Bが
それぞれ固着されている。そして、各ブランチ管6の他
端6Bが概ね前記略楕円状の筒状容器7にその長軸上に
沿って接続されている。
【0020】そして、フランジ5のシリンダヘッド取付
面5Bに対して各ブランチ管6の他端6Bを結んで形成
される取付線8が平面矢視において斜めになるように、
各ブランチ管6の他端6Bが筒状容器7の集合部7Aに
固着されている。
【0021】しかして、本実施例においては、エンジン
1の上下方向の振動が、当該マニホールド触媒コンバー
タ4に伝達し、マニホールド触媒コンバータ4の略楕円
状の筒状容器7が左右方向に振動するが、フランジ5の
シリンダヘッド取付面5Aに対して各ブランチ管6の他
端6Bを結んで形成される取付線8が斜めになるよう
に、各ブランチ管6の他端6Bを筒状容器7に固着した
ので、略楕円状の筒状容器7の左右方向の振動に対し
て、略楕円状の筒状容器7の左右方向の剛性が強くな
る。
【0022】そして、略楕円状の筒状容器7は、エンジ
ン1の上下振動により左右方向に振動するが、上述のよ
うに、略楕円状の筒状容器7の左右方向の剛性が強くな
っているので、略楕円状の筒状容器7の共振現象を生じ
させるエンジン回転数が、従来の共振現象を生じさせる
エンジン回転数より高くなり、高回転域に移っている。
従って、共振の可能性を少なくできる。
【0023】ここで、略楕円状の筒状容器7の左右方向
の振動の際、通常運転のエンジン1の最大回転数が共振
回転数よりも低く、且つ、該最大回転数と共振周波数が
大きくずれているので、振動振幅が低くなっている。
【0024】また、通常運転のエンジン回転数領域で
は、エンジン振動により生じる略楕円状の筒状容器7の
左右方向の振幅は、従来例の略楕円状の筒状容器の左右
方向の振幅より低くなっている。
【0025】従って、略楕円状の筒状容器7は、エンジ
ン1により左右方向に増幅して振動しようとしても、複
数のブランチ管6を介して振動し難くなっている。ま
た、略楕円状の筒状容器7の斜置きの角度θが大きくな
る程、略楕円状の筒状容器7の共振するエンジン回転数
は高回転域にシフトする。
【0026】さらに、エンジン回転数の共振点付近の高
回転域でエンジン1を運転する確率は少ないので、可及
的に共振の可能性が少なくなっている。上記の内容が図
4,図5に示すシミレーションにより確かめられてい
る。
【0027】エンジンは排気量2000ccのものを用
い、エンジン回転数の、通常運転における最大回転数は
5000rpm程度である。なお、長い急傾斜の上り坂
等の特殊な運転時には、6000rpm程度までアップ
することがあるが、このような場合でも、しばしば使用
する範囲は、5000rpm〜5500rpmとなって
いる。また、100km定常走行でのエンジン回転数は
3000rpm程度である。
【0028】そして、このシミレーションは、エンジン
1がピストンの上下運動に呼応して上下方向に0.1m
mの幅で振動しているとう条件で行なっている。図中、
破線はマニホールド触媒コンバータの15°の斜置き
(θ=15°)の例、実線はマニホールド触媒コンバー
タの平行置き(θ=0°)の従来例を示す。
【0029】斜置きの例では、共振時のY方向の最大振
幅が0.24mmと低く、最大共振時のエンジン回転数
が高回転域にシフトし、そのエンジン回転数は5800
rpmとなっている。この値は、通常の運転では不使用
の範囲であるとともに、急傾斜登坂で使用の確率も低
く、通常は、共振による振幅が大きな振動はしない。通
常運転の最大回転数5000rpmでは、Y方向の振幅
は、0.06〜0.07mmとなっている。
【0030】一方、平行置きの例(従来例)では、Y方
向の共振時のエンジン回転数は、斜置きの場合の共振よ
り低く、共振時のエンジン回転数が5200rpm強の
時で、その振幅が0.27mmと大きくなっている。な
お、この5200rpmは、急傾斜登坂で使用されるエ
ンジン回転数で、かかるエンジン回転数では従来は共振
が起こることになる。即ち、従来の平行置きの例では、
通常運転の回転域でも振幅が大きく、その上、急傾斜登
坂では、しばしば用いる5200rpmのエンジン回転
数で共振により最大の振幅が生じる。即ち、この共振の
可能性は高くなっている。
【0031】これに対して、斜置きの例では、通常運転
でも、平行置きの例に比して、振幅が小さく、急傾斜登
坂の場合には、共振が生じる5800rpmとなること
も皆無ではないが、この5800rpmになる可能性は
極めて少なく、共振による最大振幅の生じる可能性は低
くなっている。
【0032】平行置きの例の場合、Y方向の最大共振回
転数5200rpm強は、通常運転での不使用回転数領
域(5000rpm以上)ではあるが、使用最大回転数
5000rpmに近い。このため、平行置きの場合のエ
ンジン回転数が5000rpmの時でも、Y方向の振幅
は0.2mmであり、この値は斜置きの場合に比して2
倍以上となっている。
【0033】以上の如き構成によれば、筒状容器7の横
断面が略楕円状になっている場合、フランジ5のシリン
ダヘッド取付面5Aに対して各ブランチ管6の他端6B
を結んで形成される取付線8が斜めになるように、各ブ
ランチ管6の他端6Bを略楕円状の筒状容器7に固着し
たので、略楕円状の筒状容器7の左右方向の振動に対し
て、略楕円状の筒状容器7の左右方向の剛性を強くさせ
ることができる。
【0034】そして、略楕円状の筒状容器7は、エンジ
ン回転数の上昇に伴い、エンジンの上下振動により左右
方向に振動するが、上述のように、略楕円状の筒状容器
7の左右方向の剛性が強くなっているので、略楕円状の
筒状容器7の共振現象を生じさせるエンジン回転数が、
従来の共振現象を生じさせるエンジン回転数(5200
rpm)より高くなり、高回転域に移っている(580
0rpm)。
【0035】従って、通常運転のエンジン回転数領域で
は、エンジン振動により生じる本実施の略楕円状の筒状
容器7の左右方向の振幅を、従来例の筒状容器の左右方
向の振幅より低くでき、例えば、本実施例の通常運転で
のエンジンの最大回転数(5000rpm)における最
大振幅を従来例における振幅よりも低くできる。
【0036】このようにして、略楕円状の筒状容器7の
左右方向の振動を低減することができ、そのため、例え
ば、ブランチ管6の亀裂等の発生を防止し耐久性を向上
させることができる。
【0037】なお、本実施例においては、ブランチ管の
数は4個で、各ブランチ管6はフランジ5に並んで取り
付けられた状態となっているが、少なくともブランチ管
6の他端6Bを結んで取付線が形成されれば良く、ブラ
ンチ管の他端の数が2以上の場合に成立する。例えばY
字状のブランチ管を2つ並列に配置した場合やブランチ
管を6個並列に配置した場合について適用することがで
きる。
【0038】
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
筒状容器の横断面が略楕円状になっている場合、筒状容
器にフランジのシリンダヘッド取付面に対して各ブラン
チ管の他端を結んで形成される取付線が斜めになるよう
に、各ブランチ管の他端を略楕円状の筒状容器に固着し
たので、略楕円状の筒状容器の左右方向の振動に対し
て、略楕円状の筒状容器の左右方向の剛性を強くさせる
ことができる。
【0040】そして、当該マニホールド触媒コンバータ
略楕円状の筒状容器は、エンジン回転数の上昇に伴
い、エンジンの上下振動により左右方向に振動するが、
上述のように、略楕円状の筒状容器の左右方向の剛性が
強くなっているので、当該マニホールド触媒コンバータ
略楕円状の筒状容器の共振現象を生じさせるエンジン
回転数が、従来の共振現象を生じさせるエンジン回転数
より高くなり、高回転域に移っている。
【0041】従って、通常運転のエンジン回転数領域で
は、エンジン振動により生じる本考案の略楕円状の筒状
容器の左右方向の振幅を、従来例の略楕円状の筒状容器
の左右方向の振幅より低くでき、例えば、通常運転での
本発明のエンジンの最大回転数における最大振幅を従来
例における振幅よりも低くできる。
【0042】また、急傾斜登坂において、略楕円状の
状容器の左右方向の共振が可及的に防止される。このよ
うにして、略楕円状の筒状容器の左右方向の振動を低減
することができ、そのため、例えば、ブランチ管の亀裂
等の発生を防止し耐久性を向上させることができる効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わるマニホールド触媒コン
バータを示す側面図である。
【図2】同マニホールド触媒コンバータを示す正面図で
ある。
【図3】同マニホールド触媒コンバータを示す平面図で
ある。
【図4】同マニホールド触媒コンバータのシミレーショ
ン例の説明図である。
【図5】同マニホールド触媒コンバータのシミレーショ
ン例を示すエンジン回転数と振幅との関係を示す説明図
である。
【図6】従来におけるマニホールド触媒コンバータを示
す側面図である。
【図7】同マニホールド触媒コンバータを示す正面図で
ある。
【図8】同マニホールド触媒コンバータを示す平面図で
ある。
【符号の説明】
2 シリンダヘッド 3 排気ポート 4 マニホールド触媒コンバータ 5 フランジ 5A 取付孔 5B シリンダヘッド取付面 6 ブランチ管 6A 一端 6B 他端 7 略楕円状の筒状容器 8 取付線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッド(2)の各排気ポート
    (3)に対応してそれぞれ連通する複数の取付孔(5
    A)を設けたフランジ(5)と、 このフランジ(5)の各取付孔(5A)にそれぞれ一端
    (6A)が固着された複数のブランチ管(6)と、 触媒担体を収容して横断面が略楕円状に形成された筒状
    容器(7)とを有してなり、 各ブランチ管(6)の他端(6B)が概ね前記略楕円状
    の筒状容器(7)にその長軸上に沿って接続された マニ
    ホールド触媒コンバータにおいて、 フランジ(5)のシリンダヘッド取付面(5B)に対し
    て各ブランチ管(6)の他端(6B)を結んで形成され
    る取付線(8)が平面矢視において斜めになるように、
    各ブランチ管(6)の他端(6B)を略楕円状の筒状容
    器(7)に固着したことを特徴とするマニホールド触媒
    コンバータ。
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