JP2631430B2 - パン生地の製造法 - Google Patents

パン生地の製造法

Info

Publication number
JP2631430B2
JP2631430B2 JP32132291A JP32132291A JP2631430B2 JP 2631430 B2 JP2631430 B2 JP 2631430B2 JP 32132291 A JP32132291 A JP 32132291A JP 32132291 A JP32132291 A JP 32132291A JP 2631430 B2 JP2631430 B2 JP 2631430B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dough
mortar
kneading
raw materials
flour
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP32132291A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05123096A (ja
Inventor
昭夫 中井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NAKAI JUGEN
Original Assignee
NAKAI JUGEN
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NAKAI JUGEN filed Critical NAKAI JUGEN
Priority to JP32132291A priority Critical patent/JP2631430B2/ja
Publication of JPH05123096A publication Critical patent/JPH05123096A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2631430B2 publication Critical patent/JP2631430B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパン生地の製造法に係
り、殊更肌理が細かく、体積の期待通りに大きい、しか
も良味の早期に低下しないパン生地を効率良く量産でき
るように改良したものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、小麦粉に水が添加されると、タ
ンパク質は水を吸収して水和する。水和・溶解したタン
パク質は小麦粉粒子から抽出され、その2種のグリアジ
ンとグルテニンが互いに反応して、粘弾性を持つグルテ
ンの薄膜(S−S結合の架橋による網状組織)を形成す
ることになる。このことはうどんや中華麺でも同様であ
り、そのグルテンの形成を促進するために、生地の混練
・捏和作用が行なわれている。
【0003】パン生地のグルテンは上記うどんや中華麺
と異なり、イーストによって発生する炭酸ガスの気泡を
支え、その各方向への均一な膨張作用を営なまなければ
ならない。つまり、効果的な体積に膨張した良質のパン
ができるためには、グルテンを主体とする小胞に封じ込
められた炭酸ガスの体積が増大するに連れて、その炭酸
ガスを包む薄膜が、あたかもゴム風船のように伸展拡大
しなければならない。
【0004】仮りに、グルテンの薄膜が硬く伸展性に乏
しいと、上記炭酸ガスの内圧に耐えきれず、その気泡が
充分大きくなる前に破裂し、隣り合う気泡同志が合体し
てしまう。逆に、グルテンの薄膜が柔らかく伸展性に富
み過ぎると、炭酸ガスを封じ込み維持することが困難に
なる。何れにしても、パンが焼き上がり、デンプン粒子
が糊化してパン組織の固定する前に、炭酸ガスが抜け出
ると、パン体積は期待通りに大きくならず、パンの内相
の肌理も荒いものになり、良質な製品を得ることができ
ない。
【0005】この点、従来ベーカリーにおいては、上記
パン生地の混練・捏和作用をミキサーによって実行して
いる。そのミキサーとしては、竪型や横型などの各種が
公知であるが、その典型例を図10〜15に示す通り、
要すれば回転運動するバーやピン、羽根などのアジテー
ター(1)により、小麦粉や水、食塩、イースト、その
他の混合物(原料)から成る生地(A)を掻き廻し、そ
のアジテーター(1)と容器(2)の壁面との相互間に
おいて、生地(A)に圧縮や引き伸ばし、叩き、その他
の塑性変形作用を反復的に付与し、パン生地に仕上げて
いる。
【0006】ところが、このよう方法では、第1に小麦
粉に加水してから、生地(A)が1個の大塊として団子
化するまでの初期過程において、グルテンの強力な結合
が形成されてしまうと、却って原料の均一な分散状態を
得られないので、アジテーター(1)を低速回転させる
必要がある。アジテーター(1)が生地(A)の水和・
混練作用と、引続く捏和作用に区別なく兼用されている
からであり、その結果長時間を要することになる。
【0007】第2に、1個の大塊として団子化した後に
は、アジテーター(1)が生地(A)に捏和作用を加え
ることになるが、その少量の生地(A)では捏和作用が
効果的に働かない。又、その捏和作用中にアジテーター
(1)のバーやピンなどが生地(A)中に喰い込み、こ
れを引っ掻き廻す関係上、折角形成されたグルテンの網
状組織をその後切断してしまうことになりやすい。そし
て、その切断されたS−S結合は再架橋の困難になるた
め、パン生地の強度が低下し、所謂オーバーオキシデー
シヨン状態を結果する。
【0008】第3に、生地(A)がアジテーター(1)
と一緒に連れ廻るため、その全体をすばやく且つ均一に
捏和作用させ難く、それだからと言ってアジテーター
(1)を高速回転させると、やはりグルテンの網状組織
を破壊してしまったり、パン生地のブレークダウンを生
じたり、更には生地の高温化に起因して、イーストの熱
失活を招いたりしやすい問題もある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
の改良を企図しており、そのために役立つパン生地の製
造法として、第1に小麦粉やイースト、食塩、その他の
必要な原料を臼に収容させた上、先づその原料を水の添
加により、一旦ソボロ状の小塊群に粘結固形化すべく、
臼の回転によって混練作用し、次いで上記原料の小塊群
から全体的な1個の大塊に団子化すべく、その小塊群を
臼の回転中において、昇降運動する杵で搗くことにより
捏和作用することを特徴とし、
【0010】又、第2に小麦粉やイースト、食塩、その
他の必要な原料を臼に収容させた上、臼の回転中に水を
添加し乍ら、その原料を昇降運動する杵で徐々に搗くこ
とにより、そのソボロ状の小塊群から全体的な1個の大
塊に順次粘結変化させるべく、混練作用と捏和作用とを
連続一工程で行なうことを特徴とし、
【0011】更に、第3に小麦粉やイースト、食塩、そ
の他の必要な原料を水と混練作用することにより、予じ
めソボロ状に調製した小塊群又は1個の団子状に調製し
た大塊を、臼に収容させた上、その小塊群又は大塊を臼
の回転中において、昇降運動する杵で搗くことにより捏
和作用することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】上記第1〜3発明の構成によれば、その何れに
あっても臼(31)に収容された原料(M)を、その臼
(31)の回転中において、昇降運動する杵(30)で
搗くことにより、捏和作用するようになっているため、
冒頭に述べたミキサーの回転運動するアジテーターと異
なって、グルテンの網状組織を破壊するおそれが一切な
く、その全体を頗る効率良く且つ均一に捏和作用できる
のであり、肌理の細かい充分な体積の優れたパン生地を
得られる。
【0013】
【実施例】以下、図面に基いて本発明の詳細を説明する
と、図1、2はその実施に用いるパン生地搗き機の全体
を表わしており、(10)は作業床への据付機筐、(1
1)はその下部に内蔵設置された杵駆動モーター、(1
2)(13)はその駆動出力軸(図示符号省略)との平
行状態として、機筐(10)内の上段位置と中段位置に
架設された従動軸並びに中間軸であり、その何れもピロ
ーブロツク(14)(15)によって、回転自在に支持
されている。
【0014】(16)(17)は上記中間軸(13)上
へ一体回転し得るように並列設置された径大な第1中間
プーリーと径小な第2中間プーリーであり、その第1中
間プーリー(16)が上記駆動出力軸上の駆動プーリー
(18)と、第1伝動ベルト(19)を介して伝動連結
されている。(20)は上記従動軸(12)上へやはり
一体回転し得るように設置された径大な従動プーリーで
あり、これと上記中間軸(13)上の第2中間プーリー
(17)との相互間には、第2伝動ベルト(21)が捲
き掛けられている。(22)はその第2伝動ベルト(2
1)のテンシヨンプーリーを示している。
【0015】又、(23)は上記従動軸(12)の端部
へ一体回転し得るように嵌め付けられたフライホイール
であり、その円周面の一部にはウエイト(24)が付属
設置されている。(25)は同じくフライホイール(2
3)の円周面において、そのウエイト(24)と180
度に向かい合う位置へ、枢軸(26)によって連結され
たクランクアームであり、フライホイール(23)の回
転作用に連れて一定ストロークだけ昇降運動する。
【0016】(27)は上記クランクアーム(25)と
一体的に昇降運動するように、その上端部へ連結軸(2
8)を介して組み付けられた杵昇降軸であり、軸受(2
9)によって機筐(10)に支承されている。そして、
その昇降軸(27)の下端部に固定設置された杵(3
0)が、機筐(10)の外部に露出している。上記の説
明から明白なように、杵(30)はフライホイール(2
3)の1回転毎に1回づつ昇降運動するようになってい
るのである。
【0017】(31)は杵(30)の直下位置に正しく
臨む臼の総称であって、図3に抽出拡大するように、底
無し円形輪切り体の上部固定環(31a)と、これに合
致連通する下部の回転受け椀(31b)とから成り、そ
の固定環(31a)が機筐(10)のテーブル面(T)
から一体的に起立する脚柱(32)によって、安定な固
定状態に据付けられている。
【0018】他方、回転受け椀(31b)は機筐(1
0)の内部に設置された臼駆動モーター(33)によっ
て、垂直軸線廻りに回転駆動されるようになっている。
つまり、(34)は杵昇降軸(27)との同一垂直線上
に位置しつつ、機筐(10)内の下部に立設された臼回
転軸であり、その上端部から一体的に張り出す座盤(3
5)が、上記回転受け椀(31b)の下面へ一体回転し
得るように組み付けられている。そのため、回転受け椀
(31b)の下面には臼回転軸(34)との組み付け
上、少しも間隙がなく、原料である小麦粉や水などの漏
出するおそれがない。
【0019】(36)はその座盤(35)と臼回転軸
(34)との固定ボルト、(37)(38)は臼回転軸
(34)を支持する上下一対の軸受、(39)はその臼
回転軸(34)上へ一体回転し得るよう嵌め付けられた
従動プーリーであり、上記臼駆動モーター(33)にお
ける駆動出力軸(40)上の駆動プーリー(41)と、
伝動ベルト(42)を介して伝動連結されている。
【0020】又、(L)は上記固定環(31a)と回転
受け椀(31b)とのパーテイングラインであるが、こ
れは図3から示唆されるように、外上がりの傾斜勾配面
として形成されることにより、やはり小麦粉や水などの
漏出を防いでいる。しかも、そのパーテイングライン
(L)の周囲は、回転受け椀(31b)から一体的に張
り出すカバーフランジ(43)によって、被覆されても
いる。(44)は回転受け椀(31b)の内底面中央部
に敷設一体化されたフッソ樹脂板であり、その回転受け
椀(31b)に表面処理されたテフロンの剥げ落ち防止
を図っている。
【0021】(45)は上記臼(31)の内部に臨まさ
れた生地返し羽根であり、その基端部が上部の固定環
(31a)へボルト(46)などによって固定されてい
ると共に、同じく先端部が上記パーテイングライン
(L)を越えて、下部の回転受け椀(31b)内に至る
まで延長されている。そして、これにより臼(31)に
おける就中回転受け椀(31b)の回転中に、パン生地
を表裏の反転状に返し起して、上記杵(30)により生
地全体を万遍なく搗けるようになっている。
【0022】上記回転受け椀(31b)を回転させるこ
とによって、その内部に投入されたパン生地も回転さ
せ、その作用中に羽根(45)によって、これを返し起
せるようになっているわけであるが、このような作用を
付与し得る限りでは、図3に対応する図4の変形例から
示唆されるように、臼(31)自身の全体を機筐(1
0)のテーブル面(T)上に固定し、その臼回転軸(3
4)の上端部へ一体回転し得るように組み付け固定した
受け皿(47)を、臼(31)の内部に臨ませると共
に、その受け皿(47)の円周面から生地返し羽根(4
5)を一体的に張り出しても良い。
【0023】このような構成の臼(31)によるも、パ
ン生地はその受け皿(47)によって回転されることに
なるからである。又、図示省略してあるが、臼(31)
自身の全体を回転させると共に、その内部へ上方から臨
ませた別個な生地返し羽根を、臼(31)との逆方向へ
回転させるように定めることもできる。
【0024】(48)は上記回転受け椀(31b)の開
口上縁部に嵌め付け一体化されたフッソ樹脂環であり、
その回転受け椀(31b)に表面処理されたテフロン
が、上記生地返し羽根(45)との摺擦によって剥げ落
ちることを防ぐ。(49)は臼(31)内への給水ノズ
ルであって、機筐(10)のテーブル面(T)から立設
されており、ここからパン生地に適量の冷却水が投入さ
れるようになっている。夏期や温暖地での作業に際して
は、その給水ノズル(49)からチルド水を投与するこ
とが好適である。
【0025】(50)は同じくパン生地の冷却用送風器
であり、パン生地が過度に高温化して、そのイーストの
熱失活してしまうことを防止する。その温度としては、
高くとも約30度に維持することが好ましい。
【0026】何れにしても、上記杵(30)の昇降運動
や臼(31)の回転運動が停止しないように、その杵
(30)の下降時における下面と、臼(31)の就中上
記フッソ樹脂板(44)や受け皿(47)の上面との相
互間には、一定の間隔距離(H)が確保されているが、
これは本発明において約10〜15mmに設定されてい
る。
【0027】その間隔距離(H)が約10mmよりも小
さいと、杵(30)によるパン生地の加圧力が過大とな
り、グルテンの網状組織を破壊してしまうと共に、同じ
回数だけ搗いたとしても、パン生地のブレークダウンを
生じやすくなる。つまり、過度な捏和作用によって弾力
性を失ない、湿った粘着性の強い状態と化し、メイクア
ツプ操作を行ない難くなる。
【0028】又、上記間隔距離(H)が逆に約15mm
よりも大きいと、杵(30)による搗き回数や時間を増
したとしても、その加圧力がパン生地の捏和作用として
効果的に働かないからである。
【0029】本発明では上記のような生地搗き機を用い
て、パン生地を製造するに当り、先づその原料(M)で
ある小麦粉やイースト、食塩、砂糖、その他の必要な混
合物を、図5のように臼(31)内へ収容させて、その
臼(31)を回転し乍ら、適当な比率の水を添加するこ
とにより、上記原料(M)を混練作用する。
【0030】つまり、一定単位量の小麦粉に対して、好
ましくは約50〜70重量パーセントの水を、上記給水
ノズル(49)から臼(31)内に投与しつつ、その臼
(31)を一定速度で回転させるのである。そうすれ
ば、生地返し羽根(45)の働きとも相俟って、小麦粉
の水和作用が促進され、その小麦粉粒子の表面には万遍
なく水が付着し、やがて図6のようなソボロ状の小塊群
(M1)に粘結固形化されることとなる。
【0031】その場合、上記水和・混練作用の効率を昂
めるため、臼(31)を適宜間歇的に逆回転させたり、
又上記生地返し羽根(45)をその臼(31)との逆方
向へ回転させたりしても良い。作業者が臼(31)内へ
手を差し入れて、上記作用の補助を行なってもさしつか
えない。尚、その水和・混練作用中には小麦粉の飛散を
防ぐ意味から、上記送風器(50)を作動させぬこと勿
論である。
【0032】小麦粉粒子に悉く水が付着し、その原料
(M)がソボロ状の小塊群(M1)として、完全に粘結
一体化したならば、次に臼(31)の回転をそのまま続
行し乍ら、その小塊群(M1)を図6の鎖線で示唆する
如く、昇降運動する杵(30)で搗くことにより、捏和
作用を施すのである。その際には、上記送風器(50)
を作動させて、生地の過度に高温化することを防ぐ。
又、夏期や温暖地での作業に当っては、上記給水ノズル
(49)から冷却水又はチルド水を臼(31)内に投入
し乍ら、搗くことが好適である。
【0033】そうすれば、上記小塊群(M1)はやはり
回転中の臼(31)内において、生地返し羽根(45)
の表裏反転作用を受け乍ら、杵(30)により上方から
万遍なく加圧され、事前工程において表面に付着済みの
水も内部へ押し込め浸透されるので、小麦粉の持つ強い
粘弾性が自づと効率良く引き出され、やがて図7のよう
に1個の大塊(M2)として、強靱なグルテンの網状組
織を備えた団子状態に粘結一体化されることとなる。
【0034】特に、臼(31)として、図3のような下
部回転受け椀(31b)のみが回転するものを用いるな
らば、その図4の変形例に比し、生地に一層効果的な捏
和作用を付与することができる。
【0035】蓋し、図3の臼(31)内において、小塊
群(M1)を杵(30)により搗くと、図8、9から示
唆されるように、その小塊群(M1)の下段層が回転受
け椀(31b)と連れ廻るに反し、上段層は連れ廻らず
に上下動作のみを行なうこととなり、その上下相互間に
は臼(31)のパーテイングライン(L)を境界とし
て、言わば地盤のズレ込む如き変動作用が自然に起ると
共に、杵(30)により陥没された中央の凹所(S)内
へ、生地の上段層が崩れ落ち混入されることになり、そ
の生地の全体に著しく効率良く且つ均一な捏和作用を付
与し得るからである。
【0036】そして、上記捏和作用が終了するデイベロ
プメントの段階に達すると、上記大塊(M2)の表面が
今にも弾力的に膨張し始める如く、生地にふくらみや照
りさえ出るのであり、引続く一次醗酵への移行が円滑な
生地の流動性も与えられることになる。
【0037】何れにしても、杵(30)は冒頭に述べた
ミキサーのアジテーターと異なって回転運動せず、その
単純な昇降運動のみを行ない、又生地の内部に至るまで
喰い込んだり、或いは引っ掻き廻したりせず、その大き
な表面積の下面が生地の表面を言わばソフトタツチの関
係状態として、繰り返し叩打するに過ぎないので、その
生地の捏和作用中、一旦形成されたグルテンの網状組織
を事後的に切断してしまったり、タンパク質とデンプン
質とを遊離させてしまったりするおそれがない。
【0038】それにも拘らず、臼(31)の回転や生地
返し羽根(45)の働きとも相俟って、その杵(30)
による捏和作用を生地の全体に対して、効率良く且つ均
等に付与し得るわけである。
【0039】又、冒頭に述べた回転運動するアジテータ
ーと比較した場合、その高効率であることからも、生地
に与える摩擦熱も少ないと言えるが、これに加えて上記
送風器(50)の作動により、その捏和作用中にも生地
が冷却されるようになっているため、イーストの熱失活
によるパン生地の膨張不足を招くおそれもない。その意
味からも、期待通りのパン体積を容易に得られるのであ
る。
【0040】更に、臼(31)は終始開放状態にあり、
杵(30)はこれをその臼(31)との別個に上昇させ
ることができるため、冒頭に述べたミキサーと異なっ
て、その内部の清掃も簡便に行なえ、食品衛生上も有益
であると言える。尚、上記のように形成された大塊(M
2)は、その後醗酵や成形、焼上げなどの過程を経て、
製品−パンに仕上げられること言うまでもない。
【0041】先には、第1工程として原料(M)の水和
・混練作用を行ない、一旦ソボロ状の小塊群(M1)に
仕上げた後、第2工程として杵(30)による搗き上げ
の捏和作用を施す製造法につき説明したが、その水和・
混練作用の当初から原料(M)を杵(30)で徐々に搗
くことにより、捏和作用と連続する一工程のもとに製造
することも可能である。
【0042】蓋し、臼(31)は終始一定速度の回転中
にあり、生地には返し羽根(45)の返し起し反転作用
も加えられるため、その臼(31)内へ水を添加し乍
ら、杵(30)で徐々に搗いたとしても、上記混練作用
が杵(30)の障害を受けることなく、適正に達成され
ることになるからである。
【0043】更に、原料(M)の水和・混練作用を臼
(31)の回転と別個に行なって、予じめソボロ状の小
塊群(M1)又は1個の団子状大塊(M2)を調製して
おき、これを臼(31)に収容させた上、その臼(3
1)の回転中に杵(30)で搗くことにより、上記捏和
作用のみを生地搗き機で自動省力的に施すことも可能で
ある。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明ではパン生地の製
造法として、小麦粉やイースト、食塩、その他の必要な
原料(M)を臼(31)に収容させた上、先づその原料
(M)を水の添加により、一旦ソボロ状の小塊群(M
1)に粘結固形化すべく、臼(31)の回転によって混
練作用し、次いで上記原料(M)の小塊群(M1)から
全体的な1個の大塊(M2)に団子化すべく、その小塊
群(M1)を臼(31)の回転中において、昇降運動す
る杵(30)で搗くことにより捏和作用するようになっ
ているため、冒頭に述べた従来技術の課題を確実に解決
でき、肌理が細かく、体積の大きい且つ良味の早期に低
下しない優れたパン生地を効率良く量産し得る効果があ
る。
【0045】つまり、臼(31)の回転によって、小麦
粉を主成分とする原料(M)の水和・混練作用が効率良
く達成され、すばやくソボロ状の小塊群(M1)に粘結
固形化できると共に、その臼(31)の回転続行中にお
いて、その小塊群(M1)から全体的な1個の大塊(M
2)に団子化すべく、昇降運動する杵(30)で搗くこ
とにより、捏和作用を与える方法であるため、従来の回
転運動するアジテーターと異なって、グルテンの網状組
織を破壊してしまうおそれがなく、その結果炭酸ガスの
体積が増大するに連れて、あかたもゴム風船のように伸
展拡大する最適な薄膜を形成できるのであり、所期する
優れたパン生地を得られることになる。
【0046】そして、このような効果は請求項2、3の
構成を採用するも、全く同様に達成できる。蓋し、昇降
運動する杵(30)によって捏和作用が施されることに
変りないからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いるパン生地搗き機の正面図
である。
【図2】同じく生地搗き機の側断面図である。
【図3】臼を抽出して示す拡大断面図である。
【図4】図3に対応する臼の変形例を示す断面図であ
る。
【図5】臼に対する原料の収容状態を示す説明図であ
る。
【図6】原料の水和・混練作用により形成された小塊群
を示す説明図である。
【図7】小塊群の捏和作用により形成された大塊(パン
生地)を示す説明図である。
【図8】図3の臼による捏和作用状況を示す断面模式図
である。
【図9】図8の平面模式図である。
【図10〜15】従来のミキサーによる捏和作用過程を
示す説明図である。
【符号の説明】
(M)・・原料 (M1)・小塊群 (M2)・大塊 (L)・・パーテイングライン (S)・・凹所 (T)・・テーブル面 (30)・杵 (31)・臼

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】小麦粉やイースト、食塩、その他の必要な
    原料(M)を臼(31)に収容させた上、 先づ、その原料(M)を水の添加により、一旦ソボロ状
    の小塊群(M1)に粘結固形化すべく、臼(31)の回
    転によって混練作用し、 次いで、上記原料(M)の小塊群(M1)から全体的な
    1個の大塊(M2)に団子化すべく、その小塊群(M
    1)を臼(31)の回転中において、昇降運動する杵
    (30)で搗くことにより捏和作用することを特徴とす
    るパン生地の製造法。
  2. 【請求項2】小麦粉やイースト、食塩、その他の必要な
    原料(M)を臼(31)に収容させた上、 臼(31)の回転中に水を添加し乍ら、その原料(M)
    を昇降運動する杵(30)で徐々に搗くことにより、そ
    のソボロ状の小塊群(M1)から全体的な1個の大塊
    (M2)に順次粘結変化させるべく、混練作用と捏和作
    用とを連続一工程で行なうことを特徴とするパン生地の
    製造法。
  3. 【請求項3】小麦粉やイースト、食塩、その他の必要な
    原料(M)を水と混練作用することにより、予じめソボ
    ロ状に調製した小塊群(M1)又は1個の団子状に調製
    した大塊(M2)を、臼(31)に収容させた上、 その小塊群(M1)又は大塊(M2)を臼(31)の回
    転中において、昇降運動する杵(30)で搗くことによ
    り捏和作用することを特徴とするパン生地の製造法。
JP32132291A 1991-11-07 1991-11-07 パン生地の製造法 Expired - Lifetime JP2631430B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32132291A JP2631430B2 (ja) 1991-11-07 1991-11-07 パン生地の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32132291A JP2631430B2 (ja) 1991-11-07 1991-11-07 パン生地の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05123096A JPH05123096A (ja) 1993-05-21
JP2631430B2 true JP2631430B2 (ja) 1997-07-16

Family

ID=18131300

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32132291A Expired - Lifetime JP2631430B2 (ja) 1991-11-07 1991-11-07 パン生地の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2631430B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2950498B2 (ja) * 1997-04-30 1999-09-20 有限会社ナカイ パン生地の製造法とその装置
CN110915854A (zh) * 2019-12-06 2020-03-27 四川英美达琪食品有限公司 一种面包烘烤工艺
CN113115855B (zh) * 2021-04-25 2024-01-09 宿州市皖神面制品有限公司 一种湿面筋的生产方法及其打筋、缠绕一体机

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05123096A (ja) 1993-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4406653B2 (ja) 湯種製パン方法とそのための生地加熱攪拌機
JP5449795B2 (ja) 自動製パン機
JP5810280B2 (ja) 自動製パン器
JP2950498B2 (ja) パン生地の製造法とその装置
JP2631430B2 (ja) パン生地の製造法
CN104585264B (zh) 一种一体化擀面机及其制面方法
CN207322521U (zh) 一种和面机
CN102753067A (zh) 自动制面包机
CN208258885U (zh) 一种高速型揉压面机
JP2011050576A (ja) 自動製パン機
KR20200102296A (ko) 압출 제면기와 그에 의해 제조된 면
CN207322608U (zh) 过滤搅拌一体式面食蒸煮装置
JP5810278B2 (ja) 自動製パン器
CN208242708U (zh) 一种立式和面机
JP2003000440A (ja) 製パン機
JPH0742311Y2 (ja) 食品のドウ打ち機
Cheng FOOD MACHINERY CL
JPH06233647A (ja) うどん生地の捏和加工法
CN218428526U (zh) 一种面包加工用均匀切块装置
JP2013192587A (ja) パン生地生成機及びそのパン生地を用いた製パン機
CN213549336U (zh) 自动压面机
JP2592770B2 (ja) 手打ち風うどん生地の製造法
JPH0526454B2 (ja)
JPH0524B2 (ja)
JPH0526455B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090425

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100425

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100425

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110425

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110425

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120425

Year of fee payment: 15

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120425

Year of fee payment: 15