JP2630587B2 - グラウト注入方法 - Google Patents

グラウト注入方法

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JP2630587B2
JP2630587B2 JP61280524A JP28052486A JP2630587B2 JP 2630587 B2 JP2630587 B2 JP 2630587B2 JP 61280524 A JP61280524 A JP 61280524A JP 28052486 A JP28052486 A JP 28052486A JP 2630587 B2 JP2630587 B2 JP 2630587B2
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、2材料が反応して硬化するグラウト、例え
ば水ガラスと炭酸水または炭酸とのガス混合グラウト
を、注入管を地盤中に設置した状態でこの注入管を通し
て地盤に注入して安定化を図る方法に関する。
〔発明の背景〕
この種のグラウト注入方法としては、古くは1液のグ
ラウトを注入していたが、その後、改良されて、2液硬
貨性グラウトの各液を、注入管の基端に設けたY字管に
て合流させる方法の代わり、その後、現在では、注入管
部において両液を合流させて、混合した後、周辺地盤に
注入するものが主流となっている。
この2液硬化性グラウトの種類としては、種々のもの
が知られっているが、地盤を汚さない点で、現在は水ガ
ラス(ケイ酸ソーダ)系のものが主流である。この水ガ
ラスに対して、反応剤としては、酸や酸塩等がある。
これに対して、水ガラスに対する反応剤として炭酸水
を用いこれらの混合液を地盤に注入して安定化を図る方
法は、例えば特開昭53ー74709号公報等により公知であ
る。
炭酸ガスは安価で無害であるなどの本質的な利点があ
るが、炭酸ガスを水に吸収させて炭酸水を製造し、この
炭酸水を水ガラスと反応させる場合、後述するような問
題点があるため実用化さておらず、その方法の確立が急
務となっている。この反応は、次式で示される。
2H++CO3 2-+Na2O・nSiO2→Na2CO3+H2O+nSiO2↓ したがって、炭酸水と水ガラスとを混合して地盤中に
注入することによって、シリカと炭酸ソーダとを地盤中
に生成させ、地盤中の弱い部分を強化できる。
一方で、2液硬化性グラウトを注入する場合、各液を
均一に混合するためには、従来一般的に等量・等圧で混
合するそとが必要であるとされ、実際そのような施行が
行われてきた。
これに対して、炭酸水を製造し、これをそのまま、炭
酸水の製造圧力より低い圧力注入管内に供給すると、圧
送ホースおよび注入管内において水と炭酸ガスとに分離
されてしまい、炭酸水と水ガラスとが充分に反応しなく
なる。また、炭酸水を製造する場合、密閉状態で高い圧
力の下で水と炭酸ガスとを接触させないと高濃度の炭酸
水を得られないので、どうしても注入管に高い圧力で炭
酸水を導かざるを得ない。さらに、第10図のように、ゲ
ルタイムが短いグラウドを得るためには、炭酸水製造の
ための溶解設備(吸収設備)の内の圧力を高くする必要
がある。
しかるに、高い圧力に保持しながら炭酸水を注入管に
供給するとき、水ガラスを低い圧力で注入管内に供給す
ると、炭酸水の流れが支配的になり両液の反応が十分に
なされない。
ところで、両液の混合部以降に弁を設けた例は知られ
ているが、これはグラウト注入後、地盤中の土粒子等が
注入管の内部に逆流することを防止するための逆止弁で
あり、混合部に到るまでの圧力を保持するためのもので
はない。また、混合部の上流側に本発明に係る保圧用の
弁を設けることは従来行われていない。
〔目的〕
本発明の主たる目的は、確実かつ十分に硬化性グラウ
トの各材料相互が接触・混合し、十分に反応し、もって
十分な強度発現をもたらすグラウドを得ることができる
グラウト注入方法を提供することにある。
他の目的は、2液硬化性グラウトとして、炭酸水また
は炭酸ガスと水ガラスとを用いる場合などのように、一
方の材料については高い圧力で他の材料については低い
圧力で供給する場合において、両材料の混合を十分に行
い得る方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記問題点を解決し、前記目的を達成するための本発
明は、注入管を用いると共に、独立して供給する異種材
料を接触・混合させた後、注入管先端部の注入口から地
盤に注入する方法において、 高い圧力で供給される一方の材料と低い圧力で供給さ
れる他方の材料とをそれらの圧力で接触・混合させるに
あたり、 前記高い圧力で供給される一方の材料の供給路の途中
に共ポンプを設け、さらにこの供給ポンプの出側に第1
保圧弁を設け、この第1保圧弁より下流側の第1保圧弁
と2m以内の近い位置に前記圧力で供給される他方の材料
と接触・混合させる混合部を構成し、この混合部より下
流側に第2保圧弁を設け、 前記第1保圧弁は、前記一方材料の供給路の下流側か
ら上流側に向けてバネで付勢した設定圧力で供給路の流
路を開放する逆止弁であり、前記一方の材料の供給路に
おける前記第1保圧対する圧力が前記設定圧力を超える
圧力となったとき前記バネの付勢力に抗して前記供給路
の流路を開放し、 この第1保圧弁を抜けた後に前記第1保圧弁と前記第
2保圧弁との間に位置する前記混合部において前記一方
の材料と他方の材料とを実質的に同一の圧力で接触混合
を図るとともに、 その混合部の圧力を大気圧を超える圧力となるように
第2保圧弁にて保圧し、 前記第2保圧弁を通過させた混合済グラウトは前記注
入口から注入することを特徴とするグラウト注入方法で
ある。
〔発明の具体的構成とその作用〕
本発明者らは、水ガラスと炭酸水若しくは炭酸ガスと
による前記方法を完成させるべく種々の研究室的実験及
び実機試験を繰り返したところ次のような問題点がある
ことが判明した。すなわち、炭酸水は混合部に到るまで
に高い圧力下に保持する必要があり、しかも、炭酸水と
水ガラスとは十分な反応時間を確保しないと、未反応の
まま地盤中に注入されてしまい、十分な地盤安定化効果
が得られない点である。
付言すると、十分に混合され、しかもある程度の反応
時間がないと、炭酸水と水ガラスとが十分に反応せず分
離されたまま注入されてしまい、特に炭酸水についてCO
2ガスと水とに分離してしまう。実際、反応が十分でな
いと、所望のグラウトが得られず、炭酸ガスが突弗的に
ボコボコ音を立てながら注入管の注入口から出ることを
確認している。
この理由を考察すると、一方の材料、例えば炭酸水を
高い圧力で送給しているとき、他の材料、例えば水ガラ
スを送給する場合、本発明に従って、適切な圧力を行う
べく保圧弁を設けないと、高い圧力の炭酸水が優勢にな
って、ほとんど炭酸水が主体となって流れてしまい、水
ガラスと十分に接触混合反応しないまま、炭酸水が注入
口から流出されるためであり、水ガラスと反応しない炭
酸水が水と炭酸ガスとに分離しながら、炭酸ガスが注入
口から噴出するためであると考えられる。
実際、たとえば特開昭58ー141283号に示されている設
備を用いて、水ガラスについては低圧で、炭酸水につい
ては高圧で混合器で混合した後、注入を行う場合にかか
る現像を生じることを確認している。
これに対して、本発明に従って、高い圧力の材料の混
合部への供給部に第1保圧弁を設けると、この第1保圧
弁の入側においては、炭酸水を良好に製造できる高い圧
力に保持できるとともに、第1保圧弁出側の圧力(混合
部の圧力)は十分に低くできる。したがって、この低い
圧力の下で、低い圧力で混合部へ導かれる他の材料と、
ほぼ同じ圧力、並びにほぼ同じ流量で接触・混合でき、
もって十分かつ均質に両材料を混合できる。
また、混合部と注入口との間に第2保圧弁を設ける
と、その作動圧力とほぼ同一の圧力に混合部の圧力を維
持できる。そして、もし第2保圧弁が存在しないと、混
合部の圧力はほぼ大気圧であり、この条件下では、グラ
ウトの各材料の混合を十分に行い得ないが、混合部(以
下、混合室、反応室または合流室ともいう)の圧力を1k
g/cm2G(ここにGはゲージ圧であることを意味する)以
上、望ましくは3kg/cm2G以上、特に好ましくは5kg/cm2G
以上に維持しておくと、高い圧力の混合室の中で各材料
の接触・混合が行われるため、均質な混合が行われる。
また、前述なように、高濃度の炭酸水を得たり、ゲル
タイムが短いグラウトを得るためには、炭酸水の製造に
当って、溶解設備(充填式吸収設備)を操作圧力を高く
する必要があるが、このために吸収設備の操作圧力を高
くし、得られた炭酸水を注入管へ送る経路に減圧弁を設
け、減圧を図った後、その減圧個所から遠く離れた個所
に混合部を設け、水ガラスとの接触混合を図ることも本
発明者らは考えたが、やはり均質なグラウトを得ること
はできなかった。
これに対して、本発明に従って、第1保圧弁の近く、
すなわち2m以内、特には1m以内、さらに好適には0.5m以
内に混合部を設けると、両材料の混合が十分に行われ
る。この理由は定かではないが、高い圧力で供給された
炭酸水が第1保圧弁を抜けるとき、一気に圧力の低下が
起こり、水ガラスの流れに対して炭酸水が拡散するため
ではないかと考えられる。
他方で、本発明者らは、炭酸水または炭酸ガスと反応
させるためには、それらを単に接触混合させるだけでは
充分に反応せず分離状態のまま地盤中に注入されてしま
うのに対して、接触・混合材料を第1保圧弁と第2保圧
弁とで拘束された空間に長時間保持しておけば反応が充
分に成されることを見出した。しからば、接触・混合ゾ
ーンを長くすればよいのではないかと考えたが、他方
で、周知のように、注入管は継ぎ足しながら用いるもの
であるため、注入管の先端装置長に制限がある。
そこで、本発明の好ましい実施態様に従って、注入管
内に混合促進部を形成し、ここにおいて炭酸水または炭
酸ガラスの接触混合材料が、注入先端側へ向った後、周
回して、つまり同一路を経るのではなく流れの延長で基
端側に戻る流れの往復を1回以上行わせると、注入管の
ある長さ範囲内において、長距離の混合促進路長を確保
できる。その結果、十分な反応時間を得ることができる
と共に、注入管の先端装置として、特別に長いものは不
要であり、したがって清掃やメンテナンス上からも有利
となる。
なお、従来技術には、接触混合材料を注入管内でその
軸長方向に往復させるという考えは一切無かった。
本発明は、2材料硬化性グラウトの各材料の送給圧が
異なる、特に低圧側供給圧力に対する高圧側供給圧力の
比が1.2以上である場合に好適に用いられる。
また、第1保圧弁の作動圧力は、これを通る材料の供
給圧力に対する比が0.5以上、1.5以下であることが望ま
れる。比が0.5未満であると、第1保圧弁を通る高い圧
力の材料が、低い圧力の材料より優勢に流れてしまうか
らである。
等量注入を目的とする場合には、各材料の供給流量と
しては、ほぼ等量であることが望まれる。異なるとして
も、高圧側の流量と低圧側の流量比は0.7〜1.3、特に0.
85〜1.15にすることが、均一な混合のために望まれる。
勿論、等量注入でなく、等量比を上記の範囲外としても
よい。
本発明は、炭酸水と水ガラスとの反応以外に、炭酸ガ
スと水ガラスとを反応させる場合、あるいはセメントと
水ガラスとの反応また、水ガラスと鉱酸またはその塩、
有機酸またはその塩、アルデヒド類、エステル類、アル
コール類、アミド類などとの反応など公知の2材料反応
系の全てに適用可能である。
また、ゲルタイムが短いグラウトの場合、第1保圧
弁、混合部、第2保圧弁は注入管の先端部に設けるの
が、グラウトの固化に伴う流路の閉塞を防止するために
望まれるが、ゲルタイムを長く設定する場合には、グラ
ウトの固化に伴う閉塞の虞れがないので、上記弁類及び
混合部は注入管の手前に設けることもできる。
本発明の保圧弁としては、スプリングにより付勢する
弁のほか、ニードル弁を用いてもよいし、さらにオリフ
ィス等でもよく、要は第1保圧弁については高圧側材料
の供給ラインの保圧機能を、第2保圧弁は混合室内の圧
力を所望圧に保持できかつ好ましくは逆止機能をも有す
るものであればよく、しがって「保圧弁」の用語は広義
に解釈されるべきである 〔実施例〕 以下本発明を図面を参照しながらさらに詳説する。
まず、第4図によって、地盤安定化設備の全体につい
て説明する。
1は注入管で、地盤Eに挿入設備され、ここからグラ
ウトGが地盤に注入される。これに対して、基本的に炭
酸ガスCO2源例えば炭酸ガスボンベ2、吸収塔3、水源
4、水ガラスNSの貯槽5、注入ポンプ6を主要素とした
設備が用意される。ガスボンベ2からの炭酸ガスCO
2は、特に冬場における気化性を増すための気化器7及
ガス流量調整弁8を通って吸収塔3内の好ましくは下部
側に供給される。吸収塔3内には、サドルやラシヒリン
グ塔の充填材9が充填されており、その上部に取り付け
られたスプレーノズル10からは、ポンプ11によって水流
量調整弁12を通った水4が噴霧されるようになってい
る。
かくして、吸収塔3内では、炭酸ガスと水とが接触
し、炭酸水が製造される。この場合、充填材9の存在に
よって気液接触が促進される。製造された炭酸水は、吸
収塔3の下部から2連複動ポンプ6によって注入管1の
例えば内流路へ導かれる。
ところで、炭酸水の製造量とポンプ6による供給量
(換言すれば消費量)とをバランスさせることは重要で
ある。そこで、本実施例では、吸収塔3の下部に上下限
レベル検出器13U,13Lを設け、それらの間のレベルに炭
酸水の液位が保たれるべく液位調節計14によって水流量
調整弁12を操作して水流量を制御している。また、液位
のみが制御されても、その炭酸水の炭酸ガス溶解濃度が
変化しては、水ガラスとの反応性も変ってしまう。そこ
で、吸収塔3に圧力検出器15を設け、圧力調節計16によ
りガス流量調整弁8を操作してガス流量を制御すること
によって炭酸水濃度を制御している。
一方、水ガラスNSは送液ポンプ17により貯槽5から汲
み上げられた後、ポンプ6により注入管1の例えば外流
路に導かれる。
さて、注入管1の詳細構造例を示した第1図〜第3図
をも参照すると、前述の炭酸水CW及び水ガラスNSは、ス
イベル(図示せず)を介して、公知の2重管構造の連結
要注入管を通って、第1図に示す注入管先端装置部分に
至る。
この部分には、外管要素20A〜20E内に、次述する種々
の部材が内装されている。
すなわち、基端側には突子30、中間子31、連結子32、
尾子33が螺合連結された状態で内装されている。炭酸水
CWは、まず、突子30の中央部の第1路a1に入り、その終
端から斜め放射方向に複数形成された第2路a2を抜け、
突子30の外周と外管要素20A内面との間隙の第3路a3を
通り、その終端から斜め中心方向に向う複数の第4路a4
を抜けて中間子31の中央部の第5路a5に入り込み、尾子
33を座とするバネ34によって付勢された第1保圧弁41を
圧し下げながら、尾子33内の第6路a6に至る。
他方で、水ガラスNSは、突子30の外周と外管要素20A
との間隙の第1路b1から、突子30を軸心と平行的に貫く
複数の第2路b2を抜けて突子30の先端側中央の第3路b3
に至り、さらに中間子31を座とするバネ35によって付勢
された逆止弁43を押し下げながら、中間子31の内部の第
4路b4から、中間子31の肉厚部分を軸心と平行的に貫く
複数の第5路b5を通って、中間子31、連結子32及び尾子
33の外周と、外管要素20A,20Bの内面との間隙たる第6
路b6に至る。
尚、36はロックナットで、第1保圧弁41の作動圧力を
決めるために尾子33を中心軸回りに回転させてバネ34の
付勢力を決めた後、尾子33を連結子32に対して固定する
ものである。37はバネ35に対するガイド座である。
一方、尾子33の先端側には、混合促進体50が内装さ
れ、それより先端側には、第2保圧弁42の弁座61が配さ
れている。第2保圧弁42は、外管要素20Cに対して、ロ
ックナット62を介してロック固定されたバネ座63を座と
するバネ64によって弁座61側に付勢されている。
混合促進体50は、外管要素20B内にほぼ密着状態で配
され、例えば25cm程度のほぼ円柱状のものである。この
混合促進体50の外周面には溝が形成され、基端側から先
端側に向った後、逆流するように基端側に戻る経路が1
回以上、実施例では5往復程度の混合促進路51が形成さ
れている。尚、最終的には、注入管の先端に向わせるた
めに、往路溝が1本追加されている。したがって、材料
は(25×5×2+25)、合計約275cm長の溝内を通る。
一般に混合促進路長は0.5m,特に1m以上であるのが好
ましい。
さて、前述のように、炭酸水CWの第1路a1〜第6路a6
と、水ガラスNSの第1路b1〜第6路b6とは、尾子33の先
端まで独立的に形成されているが、炭酸水CW及び水ガラ
スNSは、尾子33の先端面を抜けると、混合促進体50基端
の入口凹部52Aから混合促進路51に入り込もうとすると
き、始めて合流接触する。その後、これら混合材料は、
長い混合促進路51を流速をもって通る過程で、十分な反
応時間と共に混合時間をもって、混合が十分になされ、
混合済グラウトとなって、最終的な出口凹部52Bから、
弁座61内に入り込み、グラウト路g1〜g5を通って、注入
管1先端の注入口70から地盤に注入される。
尚、第1図及び第2図中において、混合促進体50の横
断面形状として、図面の簡素化のために、2往復路+1
往路のみの形状として図示した。
上記のように、往復する混合促進路51をもった混合促
進体50を内装すると、その長さ当りの何倍もの滞留時間
を取ることができ、したがって混合反応が十分になされ
る。その結果、炭酸水CWと水ガラスNSとが分離したまま
地盤に注入されることがない。この種以外の2液硬化性
グラウトの場合、合流させればさほど混合に注意を払わ
なくともよいのであるが、炭酸水または炭酸ガスと水ガ
ラスとの混合性が悪い点に鑑みれば、本発明に係る上記
手段の採用が有効性を示す。
一方、混合性が悪い炭酸水または炭酸ガスと水ガラス
を取り扱う場合、単に反応時間の増大を図るのみなら
ず、混合部(反応室)内の圧力を比較的高い圧力すなわ
ち1kg/cm2G以上、望ましくは3kg/cm2G、より好ましくは
5kg/cm2G以上に維持して混合し反応させることが重要で
ある。
このために、本実施例では混合促進体50の基端側及び
先端側に第1保圧弁41及び第2保圧弁42を設けている。
すなわち、混合促進路51内を比較的高圧力に保持するた
めに、第1保圧弁41へ5kg/cm2G以上、望ましくは10kg/c
m2G以上、特に15kg/cm2G以上で40kg/cm2G以下程度で炭
酸水を供給すると共に、第2保圧弁42の作動圧力は1kg/
cm2G以上、望ましくは3kg/cm2G以上、特に5kg/cm2G以上
とされている。
これによって、混合部内の圧力は、第2保圧弁の作動
圧に維持される。なお、水ガラスNSについては、その動
圧が作用すれば逆止弁43が作動するようにしてある。水
ガラスの供給圧力は、1.5〜10kg/cm2G、好ましくは3〜
7kg/cm2Gとされる。
一般的な逆止弁は、動圧さえ作用すれば、作動するのに
対して、本実施例のように、保圧弁41、42間の混合促進
部を高圧に保持するために、保圧弁41、42を設けること
は、グラウト注入において嚆矢であると考えられる。
尚、上記実施例における混合促進体50に代えて、第5
図のような螺旋状の混合促進路51′をもった混合促進体
50′であってもよい。同例は、一条おきの螺旋溝を通っ
て先端へ向い、反転部53′から他の一条おきの螺旋溝を
通って基端側に向い、基端側で中心路54′に入り込み、
先端55から抜けるようにしたものである。
また、水ガラスと炭酸水との合流接触部は、第6図の
ように混合促進体50から離間した近くの上流側にあって
もよい。この例では、水ガラスNSは、連結子32の壁の第
7路b7を抜けて、第1保圧弁41近くの下流側において、
炭酸水CWと合流する。
さらに、上記例では、混合促進体として、1つの例で
あるが、軸長方向に複数連設してもよいことは勿論であ
る。ところで、注入口70は、注入管先端より若干基端側
に形成してもよい。また、注入管を3以上の流路管とし
てもよい。この場合、2流路をグラウトの供給に、他の
流路を削孔時の清水供給用等に用いることができる。
上記例は、注入管に第1及び第2保圧弁、ならびに混
合部を設けたものであるが、第7図のように、注入管外
に設けてもよい。第7図例において、ポンプからホース
を介して供給された水ガラスNSは逆止弁101を押し下げ
て交差部の混合室102に入る。他方、ポンプによりホー
スを介して供給された炭酸水CWは逆止弁103を押し下げ
た後、第1保圧弁104の円錐部と弁座105との間を抜けて
混合室102内に入り、水ガラスとの接触混合を開始す
る。第1保圧弁104の炭酸水の供給圧力の変更に対する
圧力保持は、調整ハンドル106を回転させ、第1保圧弁1
04の円錐部と弁座105とのギャップ調整によって行うこ
とができる。混合室102に連って、極めて長い管路107に
より反応室108が形成され、この反応室108を通る過程で
十分な反応を終了する。反応室108の下流部には、第2
保圧弁109が設けられ、グラウトは第2保圧弁109を通っ
た後、出口110から供給ホース111を通って、注入管1Aへ
と供給される。第2保圧弁109の作動圧力は、調整ハン
ドル112によって調整可能である。
第8図は第7図例と基本的に同一であるが、第1保圧
弁104Aをスプリング113により付勢し、このスプリング1
13の付勢力を調整ハンドル106により調整するようにし
たものである。この場合、スプリング座104Bが移動させ
られる。
第9図はT字状ケース114内に、第1保圧弁115及び逆
止弁116を設けた例である。炭酸水CWは、第1保圧弁115
の連通孔115aを抜けた後、スプリング117の付勢力に打
勝って第1保圧弁115を押し下げながら、細くて長い流
路118を抜けて合流室119に至る。水ガラスNSは連通孔11
6aを通り、逆止弁116を押し下げた後合流室119において
炭酸水CWと合流し、図示しない混合促進路を通りなが
ら、第2保圧弁(図示せず)に至る。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明によれば、送給圧力が異なるグラ
ウトを確実に混合反応させて地盤に注入できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は注入管先端部の中央半縦断面図、第2図はその
要部中央半縦断面図、第3図は混合促進体の正面図、第
4図は注入設備全体の概要図、第5図は他の混合促進体
例の斜視図、第6図は態様を異にする注入管先端部の中
央半縦断面図、第7図、第8図及び第9図は保圧弁の他
の構造例の断面図、第10図は炭酸水製造時の溶解塔圧力
とグラウトのゲルタイムとの相関図である。 1……注入管、2……炭酸ガスボンベ、3……吸収塔、
41……第1保圧弁、42……第2保圧弁、NS……水ガラ
ス、CW……炭酸水。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀場 明良 東京都杉並区阿佐ケ谷北1−18−17 (72)発明者 石田 光治 神奈川県横浜市保土ヶ谷区藤塚町234− 15 (72)発明者 鹿島 昭一 神奈川県相模原市淵野辺1083−17 (72)発明者 村田 峰雄 東京都目黒区上目黒5丁目30番2号 山 口機械工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−141283(JP,A)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】注入管を用いると共に、独立して供給する
    異種材料を接触・混合さた後、注入管先端部の注入口か
    ら地盤に注入する方法において、 高い圧力で供給される一方の材料と低い圧力で供給され
    る他方の材料とをそれらの圧力で接触・混合させるにあ
    たり、 前記高い圧力で供給される一方の材料の供給路の途中に
    供給ポンプを設け、さらにこの供給ポンプの出側に第1
    保圧弁を設け、この第1保圧弁より下流側の第1保圧弁
    と2m以内の近い位置に前記低い圧力で供給される他方の
    材料と接触・混合させる混合部を構成し、この混合部よ
    り下流側に第2保圧弁を設け、 前記第1保圧弁は、前記一方の材料の供給路の下流側か
    ら上流側に向けてバネで付勢した設定圧力で供給路の流
    路を開放する逆止弁であり、前記一方の材料の供給路に
    おける前記第1保圧弁に対する圧力が前記設定圧力を超
    える圧力となったとき前記バネの付勢力に抗して前記供
    給路の流路を開放し、 この第1保圧弁を抜けた後に前記第1保圧弁と前記第2
    保圧弁との間に位置する前記混合部において前記一方の
    材料と他方の材料とを実質的に同一の圧力で接触混合を
    図るとともに、 その混合部の圧力を大気圧を超える圧力となるように第
    2保圧弁にて保圧し、 前記第2保圧弁を通過させた混合剤グラウトは前記注入
    口から注入することを特徴とするグラウト注入方式。
  2. 【請求項2】第1保圧弁、混合部及び第2保圧弁は共に
    注入管内に設置する第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】第1保圧弁、混合部及び第2保圧弁は共に
    注入管の外に設ける第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】第1保圧弁を通す材料の供給圧力の、他の
    材料の供給圧力に対する比が1.2以上である第1項記載
    の方法。
  5. 【請求項5】第1保圧弁を通る材料の供給圧力に対する
    第1保圧弁の作動圧力の比が0.5以上、1.5以下である第
    1項記載の方法。
  6. 【請求項6】第2保圧弁の作動圧力は5kg/cm2G以上とす
    ることによって混合部の圧力を5kg/cm2G以上とする第1
    項記載の方法。
  7. 【請求項7】前記一方の材料は炭酸水、他方の材料は水
    ガラスである第1項記載の方法。
  8. 【請求項8】前記一方の材料は炭酸ガス、他方の材料は
    水ガラスである第1項記載の方法。
  9. 【請求項9】第1保圧弁及び第2保圧弁の作動圧力はそ
    れらを注入管の基部側に付勢するバネの付勢力によって
    定める第1項記載の方法。
  10. 【請求項10】混合部において、両材料の接触を行わせ
    ると共に、この接触後、それらの混合材料を注入管先端
    側に向った後、周回して基端側に戻る流れの往復を1回
    以上行わせ、最終的に混合された混合グラウトを注入口
    からその周辺地盤に注入する第1項記載の方法。
  11. 【請求項11】注入管内に混合促進体を内装し、この混
    合促進体には前記各材料が注入管先端側へ向った後、周
    回して基端側に戻る流れの往復を1回以上行わせるべき
    混合促進剤を形成し、前記混合促進路は注入管先端部の
    注入口と連通させる第1項記載の方法。
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