JP2630423B2 - 低ナトリウム塩味料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、塩化カリウムおよび塩化カリウムに対して
重量比で５〜200％のアスコルビン酸ナトリウムを含有
する低ナトリウム塩味料、並びに塩化カリウムおよび塩
化カリウムに対して重量比で５〜200％のアスコルビン
酸ナトリウム並びに食塩を含有する低ナトリウム塩味料
に関する。

［従来の技術］ 食塩は、古来より食料の保存または調味料として利用
されているが、近年その過剰摂取が問題となっている。
食塩成分のうち、ナトリウムが過剰に摂取されると循環
器系の障害を招き、成人病の中心である高血圧、脳卒
中、動脈硬化、心臓病などさまざまな病気の原因となる
ことが明らかになっている。

一方、ナトリウムの過剰摂取による悪影響がカリウム
の摂取によって抑えられることが明らかになってから、
塩化カリウムが代用塩味料として見直されている。しか
し、塩化カリウムは、塩味と共に特有の苦味を有するた
め、種々の塩成分（特公昭60−15299号）、酸味成分
（特開昭60−153751号）、甘味成分（特開昭60−153751
号）、香辛料（特表昭61−502165号）、うまみ成分（特
開昭57−138359号）などの添加物を加えることによっ
て、味の改善がはかられている。

［発明が解決しようとする課題］ 上記した各種添加物の添加によって、塩化カリウムの
苦味は若干改善されるが、食塩と比較した場合、呈味上
の満足度の十分ではなく、さらに食塩に近い低ナトリウ
ム塩味料が望まれていた。

［課題を解決するための手段］ 本発明者らは、上記した課題に対し、鋭意研究を行っ
た結果、アスコルビン酸ナトリウムが、塩化カリウムの
苦味を特異的に減少させると同時に、塩味を増加させる
ことを見出し、本発明を完成するに至ったものである。

本発明の塩化カリウムおよび塩化カリウムに対して重
量比で５〜200％のアスコルビン酸ナトリウムを含有す
る低ナトリウム塩味料の場合、特に、塩化カリウムに対
して重量比で20％以上のアスコルビン酸ナトリウムを含
有するのが好ましい。

また、塩化カリウムおよび塩化カリウムに対して重量
比で５〜200％のアスコルビン酸ナトリウム並びに食塩
を含有する低ナトリウム塩味料の場合、特に、低ナトリ
ウム塩味料に対する食塩の最終含有量が重量比で60％以
下であるのが好ましい。

なお、食塩としては、塩化ナトリウム、天然塩などい
ずれを用いてもよい。

塩化カリウムおよび塩化カリウムに対して重量比で５
〜200％のアスコルビン酸ナトリウムを含有する塩味
料、並びに塩化カリウムおよび塩化カリウムに対して重
量比で５〜200％のアスコルビン酸ナトリウム並びに食
塩を含有する塩味料に、グルタミン酸ナトリウム、イノ
シン酸ナトリウムなどの通常の添加物を加えてもよい。
これらの添加物は２種以上を混合して加えてもよく、そ
の添加量は、たとえば、グルタミン酸ナトリウムの場
合、上記塩味料に対して重量比で５％以下が好ましく、
また、イノシン酸ナトリウムの場合、上記塩味料に対し
て重量比で１％以下が好ましい。

本発明の低ナトリウム塩味料を製造するには、たとえ
ば、配合成分を粉砕し、篩別して粒度を揃えた後混合し
てもよいし、配合成分を混合した後粉砕してもよい。

また、嗜好に応じて塩味の発現速度を調整するため、
個々の配合成分の粒度を変えて混合することもできる。
たとえば、あらかじめ塩化カリウムまたは食塩と塩化カ
リウムを結合剤を用いて造粒し、この造粒物にアスコル
ビン酸ナトリウムを混合してもよい。

使用し得る結合剤としては、デンプン、カルボキシメ
チルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの医薬・食
品分野で繁用されている非毒性の結合剤が挙げられる。

また、造粒法としては、流動層造粒、撹拌造粒などが
挙げられる。溶媒としては、水、エタノール、イソプロ
ピルアルコールなどの低毒性で揮散しやすいものを適宜
に選択することができる。溶媒、結合剤および造粒条件
を適宜組合わせることにより、配合成分を一括して造粒
することもできる。さらに、使用環境によってはアスコ
ルビン酸ナトリウムが吸湿して、外観や味を損ねること
も予想されるので、防湿性を高めるため、エチルセルロ
ースなどであらかじめアスコルビン酸ナトリウムをコー
ティングして、配合することもできる。

［発明の効果］ 1.塩化カリウムにアスコルビン酸ナトリウムを添加した
ときの味覚 味覚テストの方法 ２％塩化カリウム水溶液を基準として、塩化カリウム
に対してアスコルビン酸ナトリウムを重量比で５％から
段階的に添加して、味の変化をパネラー20名が比較試験
した。その結果を表−１に示す。

なお、表中の記号は以下の意味を有する。

−；パネラー20名中０〜４名が以下に記載の味覚を認め
た ±；パネラー20名中５〜10名が以下に記載の味覚を認め
た ＋；パネラー20名中11〜15名が以下に記載の味覚を認め
た ＋＋；パネラー20名中16〜20名は以下に記載の味覚を認
めた 2.塩化カリウム−アスコルビン酸ナトリウム組成物に食
塩を添加したときの味覚 味覚テストの方法 パネラー20名が各サンプル50mgを直嘗し、塩味、苦味
など総合的に判断して、食塩と同等の味覚であるか否か
比較試験した。その結果を表−２に示す。

なお、表−２中の記号は、以下の意味を有する。

−；パネラー20名中０〜４名が食塩と同等の味覚と感じ
た ±；パネラー20名中５〜10名が食塩と同等の味覚を感じ
た ＋；パネラー20名中11〜15名が食塩と同等の味覚を感じ
た ＋＋；パネラー20名中16〜20名は食塩と同等の味覚を感
じた また、サンプルは塩化カリウム−アスコルビン酸ナト
リウム重量配合比100:0〜100:40のそれぞれの組成物
に、最終含有量が、重量比で10〜60％になるように食塩
を添加したものである。

以上の結果から、本発明の低ナトリウム塩味料は、優
れた味覚を有し、食塩と比較しても遜色ないことが明ら
かである。

［実施例］ つぎに、本発明の代表的な低ナトリウム塩味料を実施
例で示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。

実施例１ 塩化カリウム50gおよびアスコルビン酸ナトリウム50g
を混合した後、粉砕し、低ナトリウム塩味料を得る。

実施例２ 塩化カリウム50gおよびアスコルビン酸ナトリウム20g
を混合した後、粉砕し、低ナトリウム塩味料を得る。

実施例３ 塩化カリウム45g、アスコルビン酸ナトリウム10gおよ
び食塩45gをそれぞれ粉砕し、粒度を均一化した後、混
合し、低ナトリウム塩味料を得る。

実施例４ 塩化カリウム35g、アスコルビン酸ナトリウム10g、食
塩54gおよびグルタミン酸ナトリウム1gをそれぞれ粉砕
し、粒度を均一化した後、混合し、低ナトリウム塩味料
を得る。

実施例５ 塩化カリウム48.9g、アスコルビン酸ナトリウム15g、
食塩35g、グルタミン酸ナトリウム1gおよびイノシン酸
ナトリウム0.1gを混合した後、粉砕し、低ナトリウム塩
味料を得る。

実施例６ 塩化カリウム50g、アスコルビン酸ナトリウム49gおよ
びグルタミン酸ナトリウム1gをそれぞれ粉砕し、粒度を
均一化した後、混合し、低ナトリウム塩味料を得る。

実施例７ 塩化カリウム49.9g、アスコルビン酸ナトリウム49g、
グルタミン酸ナトリウム1gおよびイノシン酸ナトリウム
0.1gを混合した後、粉砕し、低ナトリウム塩味料を得
る。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】塩化カリウムおよび塩化カリウムに対して
   重量比で５〜200％のアスコルビン酸ナトリウムを含有
   する低ナトリウム塩味料。
2. 【請求項２】塩化カリウムおよび塩化カリウムに対して
   重量比で５〜200％のアスコルビン酸ナトリウム並びに
   食塩を含有する低ナトリウム塩味料。