JP2629017B2 - 新規な酢酸ビニル系エマルジヨン - Google Patents

新規な酢酸ビニル系エマルジヨン

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JP2629017B2
JP2629017B2 JP7046888A JP7046888A JP2629017B2 JP 2629017 B2 JP2629017 B2 JP 2629017B2 JP 7046888 A JP7046888 A JP 7046888A JP 7046888 A JP7046888 A JP 7046888A JP 2629017 B2 JP2629017 B2 JP 2629017B2
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淳之介 山内
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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は新規な酢酸ビニル系エマルジヨンに関し、さ
らに詳しくは特定のポリビニルアルコール(以下PVAと
略称する。)系ブロツク共重合体を保護コロイドとする
新規な酢酸ビニル系エマルジヨンに関するものである。
B.従来技術およびその課題 PVAを保護コロイドとする酢ビ系エマルジヨンは、接
着性が良好であるとか、エマルジヨンの安定性が優れて
いる等の理由により、接着剤、塗料、モルタル混和剤等
の広汎な用途で賞用されている。しかし近年、各用途そ
れぞれにおいてより高いレベルの品質が要求されるよう
になり、それに対応するためエマルジヨンの各種の変性
や改質の工夫が加えられて来ている。
例えば、接着剤用途においては、耐水性や耐熱性やさ
らには初期接着性の向上要求があり、これを実現する一
つの方法として架橋を導入することが行なわれている。
この架橋導入の方法としては、エマルジヨンにカルボ
キシル基等の官能基を導入して、エポキシ化合物やアジ
リジン化合物を組合せる方法が知られている。しかしな
がらPVAを保護コロイドとする酢ビ系エマルジヨンにカ
ルボキシル基を導入した場合、エマルジヨンの安定性を
確保することが難しく、特に貯蔵安定性が不良となり実
用上問題があつた。
C.課題を解決するための手段 上記課題を解決するため、本発明者らは、PVA保護コ
ロイド系エマルジヨンの特徴を損なわず、カルボキシル
基やアミド基等の官能基をエマルジヨンに導入する方法
について鋭意検討した結果、一般式(I)で示されるビ
ニル化合物の重合体とポリビニルアルコール系重合体と
のブロツク共重合体の存在下で、酢酸ビニルを主体とす
るビニルモノマーを乳化(共)重合してなることを特徴
とする新規な酢酸ビニル系エマルジヨンが放置安定性等
も優れ、エポキシ化合物やアジリジン化合物との反応性
も良好であることを見出し、本発明を完成するに至つ
た。
更にまた、該ブロツク共重合体が、メルカプト基を有
するポリビニルアルコール系重合体の存在下で、上記一
般式(I)のビニル化合物を重合して得られるブロツク
共重合体である場合、特に効果が著しいことを見出し本
発明を完成するに至つた。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメルカプト基を有するPVAはPVAの側鎖にメル
カプト基を有するものでも良いが、PVAの末端にメルカ
プト基を有するものが好ましい。該PVAはチオール酸の
存在下に、酢酸ビニル等のビニルエステル類モノマーを
主体とするビニルモノマーを重合して得たポリビニルエ
ステル系重合体を常法によりけん化して得られる。
該PVAのPVA部分の制約は特にはないが、重合度として
50〜5000、好ましくは100〜3000、けん化度として60モ
ル%〜99.9モル%のものが好適に用いられる。
本発明は上記メルカプト基を有するPVA存在下に一般
式(I)のビニルモノマーをラジカル重合してPVAと一
般式(I)のポリマーとのブロツクポリマーを形成さ
せ、該ブロツクポリマー存在下で、酢酸ビニルを主体と
するビニル系モノマーを乳化(共)重合するものであ
る。
一般式(I)のビニルモノマーの中、アミド基、カル
ボキシル基を有するビニルモノマーを用いるのが好まし
く、特にアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸が
そのモノマーの重合の容易さや経済性の点でより好まし
いものである。
該ブロツクポリマーはメルカプト基を有するPVAを溶
解する媒体中で一般式(I)のビニルモノマーをラジカ
ル重合して得ることが必要である。好適な媒体としては
水、ジメチルスルホキシド等があるが後の乳化重合の工
程を考慮すると、一度脱溶剤し単離する工程が省ける水
媒体が最も好ましい。
メルカプト基を有するPVAと一般式(I)のビニルモ
ノマーの比の選択はとりもなおさずブロツクポリマーの
構造そのものの設計に関連するので重要である。メルカ
プト基を有するPVAと一般式(I)のビニルモノマーの
比はPVAの割合が低すぎると、得られるエマルジヨンに
はPVA保護コロイドエマルジヨンとしての特徴が損なわ
れる。また一般式(I)のビニルモノマーの割合が低す
ぎると官能基が利用できにくくなる。また該ブロツクポ
リマーの構造は、該ブロツクポリマーの存在下での、酢
酸ビニルを主体とするモノマーの乳化重合処方にもよる
が、エマルジヨンの安定性に大きな影響を及ぼす。
したがつて、該乳化重合におけるモノマー組成や最終
的なエマルジヨンの目的に合わして、PVAと一般式
(I)のビニルモノマーの比を選ぶ必要があるが、一般
的には重量基準で、〔PVA/一般式(I)のビニルモノマ
ー〕=20/80〜95/5、好ましくは30/70〜90/10の範囲か
ら選択する必要がある。
一般式(I)のビニルモノマーは単一のモノマーでも
良いが1、2種類のモノマーを組合わせて用いてもよ
い。また一般式(I)のビニルモノマーと共重合可能な
他のビニルモノマーを本発明の目的を損なわない範囲
で、少量併用しても良い。
かかる共重合可能な他のビニルモノマーとしては、例
えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル、トリメチ
ル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−
アンモニウムクロリド、エチルビニルエーテル、ブチル
ビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メ
チル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビ
ニル等のビニルエステル等が挙げられる。
本発明のブロツクポリマーを得るためのラジカル重合
開始剤としては、たとえば2,2′−アゾビスブチロニト
リル、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシ
ド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム、過酸素水素の中から重合
系に適したものを使用すれば良いが、既述の如く水系で
の重合が好ましく、この場合、PVA末端のメルカプト基
と臭素酸カリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、過酸化水素等の酸化剤によるレドツクス開始も可能
であり、この中でも臭素酸カリウムは、通常の重合条件
下では単独ではラジカルを発生せず、PVA末端のメルカ
プト基とのレドツクス反応によつてのみ分解、ラジカル
を発生することから、本発明のブロツク共重合体を合成
する上で特に好ましい開始剤である。
本発明のブロツクポリマーを得る重合を行なうに際
し、重合系が酸性であることが重要であり、望ましい。
これはメルカプト基が塩基性下においては、モノマーの
二重結合へイオン的に付加、消失する速度が大きく、重
合効率が著しく低下するためであり、水系の重合であれ
ば、全ての重合操作をpH4以下で実施することが望まし
い。
本発明の酢酸ビニル系エマルジヨンは上述のような方
法で得たブロツクポリマーの存在下、酢酸ビニルを主体
とするモノマーを乳化(共)重合して得られるものであ
る。
酢酸ビニル以外のビニルモノマーとして酢酸ビニルと
共重合可能なモノマーを1、2種併用しても良く、その
ようなモノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソ
ブチレン等のオレフイン、塩化ビニル、フツ化ビニル、
ビニルデンクロリド、ビニリデンフルオライドなどのハ
ロゲン化オレフイン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、バーサチツク酸ビニル等のビニルエステ
ル、アクリル酸、メタクリル酸のエステルであるアクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル
酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタク
リル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミ
ノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこ
れらの四級化物、アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸およびそのナトリウム塩のアクリルアミド系
モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレ
ンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等のス
チレン系モノマー、その他N−ビニルピロリドン等があ
げられる。
本発明においてブロツクポリマーと酢酸ビニルを主体
とするモノマーの比の選択は、安定なエマルジヨンを得
るという観点とそのエマルジヨンの官能基を利用すると
いう観点から特に重要である。
まず安定なエマルジヨンを得るためには、ブロツクポ
リマーの構造により多少異なるが、該ブロツクポリマー
の使用量は酢酸ビニルを主体とするモノマー100部に対
して0.5部以上、好ましくは2部以上使用されるべきで
ある。ブロツクポリマー使用量が0.5部未満では実用的
な高固形分濃度のエマルジヨンを安定に得ることが難し
いからである。
他方エマルジヨン中の官能基を利用するという観点か
らはブロツクポリマーを多く使用することが好ましい
が、あまり多過ぎるとたとえ官能基と反応する硬化剤を
後添加しても、耐水性が低下するという問題を生じる。
以上のことよりブロツクポリマーの使用量は酢酸ビニ
ルを主体とするモノマー100部に対して0.5部〜300部、
好ましくは2部〜200部の範囲である。
乳化重合反応は水系媒体中、ラジカル重合開始剤の存
在下で実施される。重合開始剤としてベンゾイルパーオ
キシド、ジクミルパーオキシド、キユメンハイドロパー
オキシド、アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸塩、過
酸化水素水などを単独であるいは過硫酸ナトリウム、ト
リエタノールアミン、ロンガリツト、L−アスコルビン
酸、酒石酸などとのレドツクス系を形成させて用いられ
る。
重合方法は水、ブロツクポリマー、酢酸ビニルを主体
とするモノマーを一括仕込みで重合する方法、酢酸ビニ
ルを主体とするモノマーの一部を仕込んで重合を開始
し、次いで残りを重合系に逐次添加する方法や、水、ブ
ロツクポリマー、酢酸ビニルを主体とするモノマーを予
め混合しておき、この一部を仕込んで重合を開始し、残
りを重合系に逐次添加する方法も可能である。
以上のようにして得られる酢ビ系エマルジヨンは放置
安定性が良好であり、機械的安定性も優れ、ウエツトタ
ツクの大きい等のPVA保護コロイドエマルジヨンの特徴
を保持しており、かつ官能基を保有している。このよう
なアミド基やカルボキシル基やスルホン酸基等の官能基
を有するエマルジヨンは他の基材に対しての接着性が良
好であり、それ単独でも接着剤等の用途に有効はもので
あるが、該官能基と反応し得る基を2個以上有する化合
物、いわゆる架橋剤を添加することにより架橋体の形成
が可能であり、これによりさらに耐水性、耐熱性や初期
接着性の向上が可能となるのである。
本発明のもう一つの目的は、上記のエマルジヨンを主
成分とした高性能な接着剤組成物を提供することにあ
る。
すなわちPVAと前記一般式(I)のビニル化合物との
ブロツク共重合体を保護コロイドとする酢酸ビニル系エ
マルジヨンに、一般式(I)のビニル化合物の官能基と
反応し得る2個以上の反応基を有する化合物を添加して
なる接着剤組成物である。
一般式(I)のビニル化合物の官能基と反応し得る2
個以上の反応基を有する化合物としては、エポキシ化合
物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物、メラミ
ン樹脂、フエノールホルマリン樹脂、尿素ホルマリン樹
脂等のアミノプラスト樹脂が挙げられるが、比較的低温
で反応し得るエポキシ化合物およびアジリジン化合物が
とくに好ましい。
エポキシ化合物としては例えばビスフエノールAジグ
リシジルエーテル、テトラヒドロキシフエニルメタンテ
トラグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジル
エーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、グリセリントリグリシジルエーテル、フタル酸ジグ
リシジルエステル、グリシジルアニリン、エポキシ化ポ
リブタジエン等が挙げられる。
アジリジン化合物としては2,4,6−トリス(1′−ア
ジリジニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス−
(2−メチル−1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジ
ン、4,4′−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)
ジフエニルメタン、ビス−(2−メチル−1−アジリジ
ル)ベンゼン−1,3−ジカルボン酸アミド、ω−アジリ
ジニルプロピオン酸−2,2−ジヒドロキシメチル−ブタ
ノール−トリエステル等が挙げられる。
D.作用及び発明の効果 本発明は、メルカプト基を有するPVAの存在下、カル
ボキシル基やアミド基等の官能基を有するビニルモノマ
ーを重合することにより、PVAと官能基含有ポリマーと
のブロツクポリマーを形成させ、これを保護コロイドに
用いて酢酸ビニルモノマーを主体とするビニルモノマー
を乳化重合した酢酸ビニル系エマルジヨンである。
PVA存在下、官能基を導入する目的で酢酸ビニルと官
能性モノマーを共重合する方法ではエマルジヨンの安定
性が確保出来ないのに対して、上記ブロツクポリマーを
用いた場合は安定なエマルジヨンが得られるのである。
恐らくPVAのOH基とカルボキシル基等の官能基との相互
作用が、ブロツクポリマーの方が前記共重合した場合よ
り弱いことに起因するものと思われる。
また本発明のブロツクポリマーを保護コロイドとする
酢酸ビニル系エマルジヨンに前記架橋剤を添加したとき
に得られる架橋効果は、当該ブロツクポリマーを用いな
いで重合して得られたエマルジヨンに、前記一般式
(I)のビニルモノマーのホモポリマーまたはコポリマ
ーを後添加し、これに架橋剤を添加して得られる架橋効
果よりも格段に大きいことが見出された。
この理由として、以下のようなことが考えられる。
すなわち、水溶性高分子とエマルジヨンから成る接着
剤層はエマルジヨン粒子が島、水溶性高分子が海の連続
相を形成することが知られている。官能基を有するホモ
ポリマーまたはコポリマーを後添加した場合に形成され
る架橋体は、単にエマルジヨン粒子を囲むマトリツクス
を形成するに過ぎないが、本発明の場合の架橋剤を添加
して形成される架橋体は単なるエマルジヨン粒子を囲む
いわゆる「マトリツクス」を形成するのではなく、該架
橋体とエマルジヨン粒子が強固に結びついた構造体とな
つているため、前述のような顕著な架橋効果が発現する
ものと思われる。つまり、酢酸ビニルのようなラジカル
反応性の高い重合系においてはPVAへのグラフト反応が
生じ易いため、エマルジヨン粒子表面とPVAとは強固に
結びついていると言われており、本発明のPVAを一成分
とするブロツクポリマーを保護コロイドとする酢酸ビニ
ル系エマルジヨンも同様に粒子表面にはPVA部分が単な
る吸着ではなく、化学的に結合していることが考えられ
るからである。
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、
本発明はこれらによつて何等限定されるものではない。
なお実施例中、部および%はいづれも重量基準を意味す
る。
〔末端にメルカプト基を有するPVA系重合体の合成〕
(No.1) 酢酸ビニル(以下VAcと略記)2400部、メタノール580
部およびチオール酢酸0.93部を反応容器にとり、内部を
充分に窒素置換した後外温を65℃にあげ、内温が60℃に
達したところで、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル
0.868部を含むメタノール20部を加えた。直ちにチオー
ル酢酸17.4部を含むメタノール溶液60部を5時間にわた
つて均一に加えた。5時間後の重合率は50.4%であつ
た。5時間後に容器を冷却し、減圧下に残留するVAcを
メタノールとともに系外へ追出す操作をメタノールを追
出しながら行ない、PVAcのメタノール溶液を得た。(濃
度64.5%)このメタノール溶液の一部をとり、PVAc濃度
50%、〔NaOH〕/〔VAc〕=0.05(モル比)となるよう
にNaOHのメタノール溶液を加え、40℃でけん化してPVA
とした。このPVAをメタノールによるソツクスレー洗浄
によつて精製した後水中30℃で〔η〕を測定し、〔η〕
=7.51×10-3×()0.64で重合度を計算したところ13
0であり、けん化度を測定すると98.6%であつた。
次にこの精製PVAを用いて、PVA中に含まれるメルカプ
ト基量をヨウ素酸化による方法で求めたところ、1.87×
10-4当量/g−PVAのメルカプト基の存在が確認された。
(No.2)、(No.3) No.1と同様の方法でチオール酢酸の量を変えて重合
し、けん化して末端にメルカプト基を有するPVA系重合
体を得た。結果をまとめて表1に示す。
実施例1 No.1のPVA10部に蒸留水110部を加え、95℃でPVAを溶
解し、窒素気流下に30℃まで冷却し、あらかじめ窒素置
換したアクリル酸10部を加えた。次に臭素酸カリウム0.
32部を窒素置換した蒸留水10部に溶解した水溶液を全量
添加し、30℃で重合を開始させた。2時間で重合は完了
し、重合率は100.1%、固形分濃度は14.4%のPVA−ポリ
アクリル酸のブロツク共重合体(I)水溶液が得られ
た。
次いで別の反応器に該ブロツク共重合体(I)水溶液
62.5部を移し、水45部と100部の酢酸ビニルを添加し、
窒素置換後、過硫酸アンモニウム0.5部を水6部に溶解
させた水溶液を添加し70℃で重合を開始させた。2時間
で重合は終了し、残存酢酸ビニル濃度は0.2%、固形分
濃度50.8%、粘度4500cpの安定なエマルジヨンを得た。
得られたエマルジヨンを60℃に放置し、7日後の変化
の有無調べたところ外観変化もなく粘度も4300cpとほと
んど変化なく安定であつた。
実施例2 No.2のPVA10部に蒸留水108部を加え、95℃でPVAを溶
解し、室温まで冷却した。N/2−H2SO4を加えてpH=3に
調整し、アクリルアミド10部を加え、溶解させたのち、
窒素置換をして60℃に昇温した。そこで臭素酸カリウム
0.217gを窒素置換した蒸留水に溶解した水溶液の添加を
開始し、重合をはじめた。臭素酸カリウム水溶液の添加
は2ml/5分の速度で、30分間均一に実施した。90分で重
合は完了し、重合率101.7%、固形分濃度14.5%のPVA−
ポリアクリルアミドのブロツク共重合体(II)水溶液が
得られた。
次いで耐圧オートクレーブに該ブロツク共重合体(I
I)水溶液34.5部と、水60部、酢酸ビニル82部を添加し
窒素置換後、エチレンを40kg/cm2まで圧入した。次いで
内温を50℃に上げ、ロンガリツト5%水溶液4部と1%
過酸化水素水3部を逐次添加して重合した。重合は3時
間で終了し、残存酢酸ビニル濃度は0.4%、固形分濃度5
0.7%、エチレン含量17.9%、粘度3200cpの安定なエマ
ルジヨンを得た。このエマルジヨンの60℃、7日放置後
の粘度は3400cpであり、良好な放置安定性を有すること
が分つた。
実施例3 No.3のPVA10部に蒸留水110部を加え、95℃でPVAを溶
解し、室温まで冷却した。アクリル酸9部とアクリルア
ミド1部を加え溶解させたのち、窒素置換をして60℃に
昇温した。次いで過硫酸カリウム0.05部を蒸留水に溶解
した水溶液を全量添加し、重合をはじめた。重合は2時
間で終了し、重合率99.7%、固形分濃度14.3%のPVAと
ポリ(アクリル酸−アクリルアミド)のブロツク共重合
体(III)水溶液が得られた。該ブロツク共重合体(II
I)水溶液の49部を別の反応器に移し、水56部と酢酸ビ
ニル17部とn−ブチルアクリレート3部を加え、窒素置
換後70℃に昇温し、5%過硫酸アンモニウム2部を添加
し重合を開始した。次いで3時間かけて酢酸ビニル68部
とn−ブチルアクリレート12部の混合物を逐次添加し、
添加終了後内温を75℃に30分間保持した。
得られたエマルジヨンは固形分濃度51.3%、粘度6800
cpの安定なものであり、60℃、7日放置後の粘度も6700
cpとほとんど変化がなかつた。
実施例4 No.2のPVA10部に蒸留水110部を加え、95℃でPVAを溶
解後、室温まで冷却した。アクリル酸7.5部とN−メチ
ロールアクリルアミド1.5部を加え溶解させたのち、窒
素置換後60℃に昇温した。次いで過硫酸カリウム0.05部
を蒸留水1部に溶解した水溶液を全量添加し重合をはじ
めた。重合は2時間で終了し重合率99.8%、固形分濃度
14.6%のPVAを一成分とするブロツク共重合体(IV)水
溶液を得た。
次いで該ブロツク共重合体(IV)水溶液55部を別の反
応器に移し、水63部と酢酸ビニル10部を加え、窒素置換
後、70℃に昇温し5%過硫酸カリウム水溶液2部を添加
し、重合を開始した。次いで3時間かけて酢酸ビニル90
部を逐次添加し、添加終了後、内温を75℃に30分保持し
た。
得られたエマルジヨンは固形分濃度49.8%、粘度7500
cpの安定なものであつた。このエマルジヨンの60℃、7
日放置後の粘度は7600cpであり、外観変化もなく安定で
あつた。
比較例1 平均重合度1300、けん化度88モル%のPVA8部を水109
部に溶解後、酢酸ビニル10部とアクリル酸0.2部を添加
する。窒素置換後内温70℃に昇温し過硫酸カリウム0.10
部を蒸留水2倍に溶解した水溶液を全量添加し重合を開
始した。次いで3時間かけて90部の酢酸ビニルと1.8部
のアクリル酸を添加し、添加終了後、内温を75℃に30分
保持した。
得られたエマルジヨンは固形分濃度50.1%、粘度9200
cpであつたが、60℃、7日放置後には全体がゲル化し
た。
実施例5 実施例3で得られたブロツク共重合体(III)水溶液5
5.9部に水62部、酢酸ビニル10部を添加し、窒素置換後6
5℃で過硫酸カリウム3%溶液3部を添加し重合を開始
した。次いで酢酸ビニルを90部3時間かけて連続添加し
たのち、75℃に内温を保持した。固形分濃度48.7%、粘
度8600cpの安定なエマルジヨンであり60℃、7日放置後
も安定であつた。
次いで実施例5のエマルジヨンにエポキシ化合物を組
合せた系で下記の接着試験を実施した。結果を表−2に
示す。
1.合板接着試験 エマルジヨン100部にタルク50部を配合し、次の条件
で合板を作製した。
単板構成;フエースおよびバツク ……赤ラワン1.2mm コア ……赤ラワン2.5mm 3プライ 接着条件;接着剤塗布量(両面) 260g/m2 冷圧(室温) ……10kg/cm2×20分 熱圧(115℃) ……10kg/cm2×1.5分 比較例2 比較例1でアクリル酸を添加しない以外は比較例1と
全く同じ条件でポリ酢酸ビニルエマルジヨンを得た。固
形分濃度49.7%、粘度11000cpであつた。
該エマルジヨンにエポキシ化合物を添加した糸で実施
例5と同様に接着試験を実施した。結果を表−2に示
す。
実施例6 実施例2および3で得られたエマルジヨンとアジリジ
ン化合物との組合せの系について下記の塩化ビニル化粧
板の接着試験を実施した。結果を表−3に示す。
2.塩化ビニル化粧板接着試験 エマルジヨン100部にアジリジン化合物 の水分散液、固形分25%)3部添加し次の条件で塩化ビ
ニル化粧板を作製した。
試験片 塩化ビニルシート:厚さ0.2mm半硬質シート 台板:厚さ5.5mm、3プライ、タイプIラワン合板 接着条件 接着剤塗布量:120g/m2 圧締:20℃×0.5kg/cm2×16Hr 養生:7日 試験方法 耐水強度:20℃の水に24Hr浸漬後、湿潤状態での剥離強
度を求める。(180゜剥離) 耐熱クリープ:60℃で90゜剥離で500g/25mm巾静荷重を与
え1時間後のクリープ長さで評価。
比較例3 耐圧オートクレーブに重合度1300、けん化度87モル%
のPVA5部を水96部に溶解し、酢酸ビニル82部を添加し窒
素置換後、エチレンを40kg/cm2まで圧入した。次いで内
温を50℃に上げ、ロンガリツト5%水溶液4部と1%過
酸化水素水3部を逐次添加して重合し、固形分濃度50.2
%、エチレン含量18.0%のエマルジヨンを得た。このエ
マルジヨンとアジリジン化合物との組合せで実施例6と
同様塩化ビニル化粧板の接着試験を実施した。結果を表
−3に示す。
比較例4 平均重合度1300、けん化度88モル%のPVA6部のポリア
クリル酸(平均重合度3000)2部を水109部に溶解後、
酢酸ビニル10部を添加する。窒素置換後、内温70℃に昇
温し過硫酸カリウム0.1部を蒸留水2部に溶解した水溶
液を全量添加し、重合を開始した。次いで3時間かけて
90部の酢酸ビニルを添加したところ、添加終了直後、重
合系が増粘しブロツク(凝固物)が生成した。
比較例5 メタノール溶媒で酢酸ビニルとイタコン酸とをアゾイ
ソブチロニトリルを開始剤とし共重合を行なつた。得ら
れた酢酸ビニル−イタコン酸共重合体を常法によりアル
カリけん化し、イタコン酸が20モル%含むイタコン酸変
性PVAを得た。(イタコン酸の重量分率=39.9%)PVA部
分のけん化度はNMR分析より88モル%であつた。
該イタコン酸変性PVA8部を水109部に溶解後、酢酸ビ
ニル10部を添加する。窒素置換後、内温70℃に昇温し過
硫酸カリウム0.1部を蒸留水2倍に溶解した水溶液を全
量添加し重合開始した。次いで3時間かけて90部の酢酸
ビニルを添加するところ、60部添加終了後に重合系が増
粘し、凝固物が生成した。
比較例6 比較例2で得られたエマルジヨン100部にポリアクリ
ル酸(日本純薬(株)製ジユリマーAC10H、固形分濃度2
0%)5部添加した。次いで該組成物100部にタルク50部
を配合し実施例5と同様の合成接着試験を実施した。
JAS2類の接着力は7.8kg/cm2で木破率0%、JAS I類の
接着力は2.5kg/cm2で木破率0%であつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−187003(JP,A) 特開 昭60−245651(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I)で示されるビニル化合物の重
    合体とポリビニルアルコール系重合体とのブロツク共重
    合体の存在下で、酢酸ビニルを主体とするビニルモノマ
    ーを乳化(共)重合してなることを特徴とする新規な酢
    酸ビニル系エマルジヨン。
  2. 【請求項2】ブロツク共重合体がメルカプト基を有する
    ポリビニルアルコール系重合体の存在下で、一般式
    (I)のビニル化合物を重合して得られるブロツク共重
    合体である請求項(1)に記載のエマルジヨン。
  3. 【請求項3】一般式(I)のビニル化合物の重合体とポ
    リビニルアルコール系重合体とのブロツク共重合体の存
    在下で、酢酸ビニルを主体とするビニルモノマーを乳化
    (共)重合してなるエマルジヨンとエポキシ化合物また
    はアジリジン化合物を主成分とする接着剤組成物。
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