JP2628184B2 - 微粉末に金属を電気めっきする方法 - Google Patents

微粉末に金属を電気めっきする方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の金
属,無機物質または有機物質の微粉末の表面に金属を電
気めっき法によって被覆する方法および装置に関する。
〔従来の技術〕
従来,数μm以上の粒径を有するセラミックやプラス
チックの粉末の表面に無電解めっき法またはCVD法など
によって,ある種の限られた金属を被覆したものは,触
媒用,装飾用,粉末冶金用,粒子分散強化複合材用およ
び電磁シールド用の導電性フイラー材などとして使用さ
れている。これらの用途に粉末が用いられる場合,一般
に粒径が小さいほど表面積が大きくなるので焼結特性や
反応性に優れることになる。
種々のコーテイング技術の中で,最もコストが安く,
かつ多種類の金属がめっき出来るのは電気めっき法であ
る。電気伝導性のある数10μm以上の粒径の金属粉末に
電気めっきが可能な方法としては,例えば特開昭56−15
6793号公報等においてすでに多くの報告例がある。しか
し,10μm以下の微粉末への電気めっき法に関しては,
本発明者らが特開昭63−18096号公報に提案した方法を
除いてほとんど報告例がない。
本発明者らの提案した特開昭63−18096号公報の方法
の要旨は,粒径が100Åから1μmの範囲のセラミック
およびプラスチックの超微粉末の周囲に電気めっきによ
って金属を被覆する方法であって,超微粉末を一次粒子
に粉砕した後,超微粉末表面のプラズマ処理,錫化合物
によるセンシタイジング処理,パラジウム化合物による
アクチベーティング処理および電気伝導性を付与するた
めの無電解めっきを行い,さらに超微粉末の懸濁水溶液
を用いた電気めっきと超音波による分散処理とを繰り返
し行うことを特徴とするものである。すなわち,電気め
っき浴中に電気伝導性表面をもつ微粉末を懸濁させてめ
っき浴中の金属イオンを該微粉末表面に析出させるので
あるが,微粉末のめっき浴中での懸濁分散状態を良好に
維持するために超音波による分散処理を行なうことが有
利であることを提案した。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者らはその後の実験研究により該特開昭63−18
096号公報で提案した超微粉末の電気めっき法でも,以
下に示すような問題があることがわかった。
(1).0.1μm以下の超微粉末では,超音波による分散
を繰り返しても電気泳動のほうが顕著に進行するために
微粉末が陰極板上に分散めっき状となって析出しやす
い。このため,超微粉末へのめっき収率は通常20%以下
と非常に悪い。
(2).粒径が0.1μmから1.0μmの範囲の微粉末の場
合,該公報記載の装置構成では陰極板と微粉末の衝突に
よる電荷の移動が必ずしも円滑にはいかない。このた
め,陰極板への電析が多く見られ,微粉末へのめっき収
率は高々50〜70%程度である。このような傾向は粉末の
粒径が1.0μmから約10μmの範囲の場合にも共通して
おり,結局10μm以下の粒径の微粉末一粒づつに密着性
の良い均一な電気めっきを高収率(例えば90%以上)で
行うことは技術的に極めて困難である。
本発明は,上述の問題点を解決し,0.1μmから10μm
の範囲の粒径の微粉末を対象とした場合に,その1粒1
粒の微粉末の表面に均一に種々の金属を高収率で被覆で
きる電気めっき法の開発を目的としたものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明によれば前記の目的は以下の方法および装置に
よって達成された。
本発明に従う微粉末の電気めっき法は,無機物質また
は有機物質の微粉末表面に電気伝導性の皮膜を形成させ
た粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の導電性微粉末若
しくは粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の金属微粉末
を陰極と陽極を配した電気めっき浴中に懸濁させながら
陰極と陽極間に通電して該微粉末の表面にめっき浴中の
金属イオンを析出させる微粉末の電気めっき法であっ
て, めっき液に該微粉末が懸濁した状態を維持しつつ所定
方向に連続して流れる微粉末懸濁流をめっき浴中に強制
的に形成させ,この微粉末懸濁流が陽極には実質上衝突
することなく陰極に循環して衝突する方向にその流れの
主方向を規制すると共に,めっき浴中に露出する陰極の
導電表面の実質上全ての面積に該微粉末懸濁流中の微粉
末が衝突する機会が生ずるようにその流れを規制し,そ
して陰極に衝突する微粉末が陰極に対する直角方向の速
度成分0.6m/分〜6.0m/分をもって繰り返し衝突する状態
が維持され且つその衝突時の微粉末の懸濁濃度が30〜55
vol.%の範囲に維持されるように微粉末懸濁流の速度と
懸濁濃度を調整することを特徴とする。
前記の方法を有利に実施することができる本発明に従
う微粉末の電気めっき装置は,めっき液を収容する軸を
縦方向にした筒状の容器と,この容器の底部に電導表面
を横にして配した陰極板と,該めっき液の液面近く配し
た陽極と,該陰極板と陽極との間に所定の電位を付与す
る電源装置と,該陰極板と陽極との間の液中に吸込用開
口を持つ吸込管と,該陰極板と陽極との間の液中に吐出
用開口を持つ吐出管と,該吸込管から吐出管に通ずる流
体の循環経路と,この循環経路に介装された流体循環用
ポンプとからなり,該吐出管の吐出用開口を陰極板の電
導表面の方向に向けて下向きに設置すると共に前記の吸
込管の吸込用開口を陽極下端よりもさらに下方に設置
し,被めっき品である粒径が0.1μmから10.0μmの範
囲の導電性微粉末をめっき液と共に前記の循環経路を循
環させつつ該陰極板に連続的に衝突させるようにしたこ
とを特徴とする。
前記の方法を有利に実施することができる本発明に従
う他の微粉末の電気めっき装置は,めっき液を収容する
軸を縦方向にした筒状の容器と,この容器の底部に電導
表面を横にして配した陰極板と,該めっき液の液面近く
配した陽極と,該陰極板と陽極との間に所定の電位を付
与する電源装置と,容器内流体に前記の陰極板に向かう
方向の下向きの推力を付与する回転翼と,容器内壁に沿
って上下方向に設置された整流板とからなり,前記の整
流板の上縁を陽極下端よりも下方に位置せしめ,被めっ
き品である粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の導電性
微粉末をめっき液と共に該陰極板に連続的に衝突させる
ようにしたことを特徴とする。
以下に本発明の内容を具体的に説明する。
〔発明の詳述〕
本発明は粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の金属,
無機物質(例えばセラミック)または有機物質(例えば
プラスチック)の微粉末の表面に各種の金属を電気めっ
きするものであり,めっき液中の金属イオンがこれらの
微粉末の表面に電析するに必要な電気伝導性をその表面
に有しなければならない。すなわち,少なくともその表
面の一部が伝導性をもつ導電性微粉末であることが必要
である。このために,電気めっきに供する前に無電解め
っきを施して導電性微粉末とするのがよい。
例えば金属微粉末の場合でも,通常は表面が酸化膜で
おおわれているので,このままでは電気めっきが良好に
はできない。そこで,酸洗処理によって酸化膜を完全に
除去して電気伝導性表面をもつ金属微粉末とするか,酸
化膜の上に無電解めっきを行って電気伝導性表面を付与
するのがよい。導電性の低い無機物質または有機物質の
場合には無電解めっきで導電性皮膜をその表面に形成さ
せることが特に必要となる。
この無電解めっき法は,先の特開昭63−18096号公報
でも述べた公知の方法を採用することができる。すなわ
ち,あらかじめ微粉末の表面に金属パラジウム等の触媒
体を付着させた後,所定の無電解めっき液に浸漬するこ
とによって無電解めっきが行える。この場合,触媒体の
付着方法としては例えば微粉末を第一錫塩の酸性溶液に
浸漬した後,パラジウム塩の酸性溶液に浸漬する方法
(いわゆるセンシタイジング−アクチベーティングプロ
セス),第一錫塩とパラジウム塩とを含むいわゆるコロ
イドパラジウム溶液に浸漬した後,酸洗する方法,パラ
ジウム塩の酸性溶液に浸漬した後,還元剤溶液に浸漬す
る方法,あるいはこれらを組み合わせて用いる方法,ま
たはγ−アミノプロピルトリエトキシシランとPdCl2
の反応を利用した方法などの適切な方法が採用し得る
が,付き回りなどの点でセンシタイジング−アクチベー
テイングプロセスが好ましく,特にこの方法を2〜3回
繰り返すことが望ましい。
無電解めっきの種類としては,銅,ニッケル,コバル
ト,錫,銀,金,白色,ニッケル合金,コバルト合金な
ど所望の金属または合金の無電解めっきが適用でき,こ
れらは最終製品微粉末の用途や機能に応じて選定する。
粉末が溶解しないものであれば,無電解めっき液は酸
性,中性,アルカリ性のいずれのめっき液でもさしつか
えない。また,めっき温度や還元剤の種類等も特に制限
されない。無電解めっき皮膜の厚さも用途によって適当
な膜厚に選定し得るが,次工程で行う電気めっき時の電
気伝導性付与効果から考えて好ましくは300〜1000Å程
度が望ましい。
このように,無電解めっきによって電気伝導性を付与
された粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の導電性微粉
末を対象としてその表面に電気めっきを施すのである
が,本発明においては,電気めっき液中にこの微粉末が
所定の懸濁濃度をもって懸濁し且つ所定の方向と速度を
もった微粉末懸濁流をめっき液中に強制的に形成させ,
この微粉末懸濁流を陽極には実質上接触させないで陰極
板にだけ所定の速度成分をもって循環衝突させるのであ
り,具体的には, .電気めっき液中の微粉末の懸濁濃度が30vol.%から
55vol.%の範囲である微粉末懸濁流の循環流を電気めっ
き中に強制的に形成させること, .この微粉末懸濁流は陽極板には接触させずに電気め
っき中に循環させること,そして, .この微粉末懸濁流を陰極板に対して垂直方向の速度
成分が0.6m/分から6.0m/分の範囲で連続的に衝突させる
こと, からなる諸条件を満たすように電気めっきするならば,
電気めっき液中の金属イオンの濃度には実質上無関係に
0.1μmから10μmの範囲の微粉末一粒づつに均一にか
つ高収率(90%以上の高収率)で電気めっきできる事実
を見出したのである。
第1図は,本発明の原理を図解的に示したものであ
り,電気めっき液1中に陰極2と陽極3を距離を開けて
対向配置し,電源4によって両極間に通電するのである
が,陰極2において液中に露出するその導電表面5の全
面積に対して,微粉末懸濁流6を投射する。本発明にお
いてこの微粉末懸濁流6は陰極の導電表面5の全面積に
対してほぼ均等に投射されることと,陽極3には触れな
いようにめっき液中を循環させることが先ず重要であ
り,そのさい,微粉末懸濁流6の微粉末懸濁濃度が30vo
l.%から55vol.%の範囲に維持されていること,そし
て,陰極に対して衝突するさいの垂直方向の速度成分が
0.6m/分から6.0m/分に維持されていることが必要であ
り,この状態を維持させつつ微粉末懸濁流6を陰極に繰
り返し衝突させるのである。
第2図は,一個の微粉末粒子に液中の金属イオンが電
析する挙動を図解的に示したものである。陰極の導電表
面5に対し,表面に伝導性皮膜7を有する微粉末粒子8
が衝突すると,その瞬間に陰極の電荷が該粒子の伝導性
皮膜7に移行する(第2図の(a)の粒子)。そして陰
極から離れた瞬間に(第2図の(b)の粒子)この粒子
の近傍に存在する金属イオン9が静電的に該粒子に接触
してその金属が粒子表面に電析する(同(C)の粒
子)。陰極の導電表面5の全体に対して微粉末が連続し
て投射され続けると,陰極の導電表面5に液中の金属イ
オンが電析しないで微粉末表面にだけ電析する状態を作
り出すことができる。この状態を維持するために必要な
条件が,本発明によって見出された微粉末懸濁流の微粉
末懸濁濃度(30vol.%から55vol.%の範囲)と,陰極に
対して衝突するさいの垂直方向の速度成分(0.6m/分か
ら6.0m/分の範囲)であると考えることができる。
後記の実施例に記述した本発明で得られた電気めっき
微粉末はX線回折で調べても,めっきされた筈の金属の
回折線が表れないことがわかった。このことから,第3
図のモデル図に示すように,微粉末粒子の伝導性皮膜7
の表面に,この表面積より極めて小さな面積をもつ電着
金属のデポジット10の集合としてめっき皮膜が形成さ
れ,このようにして形成されためっき皮膜は,微粉末粒
子の粒径が極めて小さいこととも関連してX線回折では
回折ピークが現れない非晶質に似たものとなるのではな
いかと推測される。
第4図は,本発明に従って微粉末懸濁流を陰極の導電
表面5に衝突させる場合の速度成分を説明するための図
であり,微粉末粒子8が陰極導電表面5に向かって衝突
するさい,その粒子8が有している移動方向の速度ベク
トルVは図示のように該表面5に平行な方向の速度ベク
トルVXと直角方向の速度ベクトルVYを有することになる
が,本発明においては,この直角方向の速度ベクトルVY
が0.6m/分から6.0m/分の範囲となるように微粉末懸濁流
の速度を調整するということを意味している。
さて,従来の通説によれば,0.1μmから10μm程度の
大きさの微粉末を含む電気めっき液から電析を行うと,
これらの微粉末が陰極上に析出した状態で,電析金属に
とり込まれつつ分散めっき皮膜を形成するといわれてい
る。これは,化学吸着による共析,静電的引力による共
析,機械的攪拌によるめっき皮膜中への共析,の3つの
形式が考えられるが,その反応機構に関しては必ずしも
明確ではない。粉末に電気めっきを行うためには微粉末
が分散めっき皮膜中に析出するのを防止せねばならず,
またその一方では陰極板から微粉末懸濁流に電荷の移動
をスムーズに行なわせなければならない,という矛盾す
る問題を同時に解決しなければならない。本発明による
とこのような問題が解決され,微粉末への電気めっきが
良好に行えるのであるが,その理由としては次のような
ことが考えられる。
日本金属学会会報,No.3,vol.13(1974)P.201〜P.21
5,亀谷博「金属の懸濁電解」によると,粉末を含む電気
めっき液の懸濁電気めっきが可能な理由として, (1)接触説・・陰極板表面に粉末が絶えず接触するこ
とによって粉末への電気めっきが少しづつ進行するとい
う考え方, (2)クラスター説・・多数個の粉末が同時に衝突し,
ある時間その状態に保たれることによって,このクラス
ター内を電流が流れて電気めっきが進行するという考え
方, (3)衝突説・・粉末同志の衝突の繰り返しによって電
荷移動がおこり,粉末への電気めっきが進行するという
考え方, が挙げられている。
しかし,亀谷氏の論文中には10μm以下の微細な粉末
への電気めっきに成功したという報告は見当たらず,数
10μm以上の粒子に対してのみこれらの説を適用してい
るにすぎない。10μm以下の微粉末を対象として本発明
法を実施すると,(1),(2)の現象も同時に進行す
るが,主として(3)の現象によって微粉末への電気め
っきが進行すると本発明者らは考えた。この説による
と,粒子に流れる電流(i)は次式で示される。
i=π・Dp2・ν・C・Δφm 但し, Dp:粒子径 ν:単位面積および時間当りの粒子の衝突頻度 C:粒子表面の電気二重層容量 Δφm:衝突による粒子のポテンシャルの変化 この式によると粒子径が小さくなるほど2乗効果で電
流は流れにくくなり,かつ粒子の衝突頻度が少ないほど
電流は流れにくくなる。したがって0.1μmから10μm
の範囲の極めて小さな粒径の粉末に電気めっきを行うに
は,粒子の衝突頻度を著しく増加させること,具体的に
は粒子の懸濁濃度をできるだけ高くし且つ十分な垂直方
向の速度をもって陰極に衝突させることが必要となる。
粒子の懸濁濃度については,球形粒子の最密充填モデ
ルの計算結果などから,単位体積中の粒子の濃度が74.0
5vol.%の時に六方系の最密充填となり,52.35vol.%の
時に立方系の最密充填になるといわれている。この考え
方を進めると62.0vol.%が実験的な粉末の最密充填であ
ることになる。さらに,空間的に配置された粒子群の斥
力および凝集力から算出されたAlder転移論によると,5
5.0vol.%以上で粉末は秩序状態(固体)にあり,55.0vo
l.%から50vol.%の範囲で過度状態(転移域),50vol.
%以下で無秩序状態(液体)であるといわれている。5
5.0vol.%以上では固体状であるから静止しており,粉
末の攪拌は不可能である。一方,55vol.%以下であれば
液体状であるから粉末の攪拌流動化は可能であるが,粉
末の体積濃度が小さくなるほど粉末同志の衝突頻度は減
少するので好ましくない。このことから,粉末同志の衝
突頻度をできるだけ多くしかつ攪拌流動化もあわせて実
現するためには30vol.%から55vol.%の範囲が最も望ま
しく,このことは,本発明者らの行った本発明の実験例
によっても実証された。
他方,本発明の実施にさいし,「微粉末の懸濁濃度」
と「陰極板への垂直方向の速度成分」とは互いに影響し
あう。すなわち微粉末の懸濁濃度が30vol.%以下の場合
で垂直方向の速度成分が0.6m/分以下の場合には,微粉
末への電気めっきは全く進行せずにすべて陰極板上に電
析する。又,垂直方向の速度成分が6.0m/分以上の場合
には,粉末への電気めっきも進行するが効率が悪く,陰
極板上への電析が多く見られる。これは粉末と陰極板と
の接触時間があまりにも短いと,電荷の移動がスムース
に進行しにくいためと考えられる。一方,微粉末の懸濁
濃度が55vol.%以上の場合で,垂直方向の速度成分が0.
6m/分以下の場合には微粉末への電気めっきは可能で且
つ陰極板上への電析は全く見られないが,めっき粉末が
凝集状態になるために,不めっきの粉末が多く残留し,
個々の微粉末の周囲に全面均一なめっきを行うことは難
しい上,大きな電流が流れず,無理に通電すると,正常
な電析反応が進まないで水素ガスの発生を伴うという水
の電気分解が進行して電流効率を著しく低下させる現象
がおこる。また,垂直方向の速度成分が6.0m/分以上と
いうことは極めて粘稠なスラリーを高速流動させる状態
を意味しており,技術的に実施が困難な上にそのエネル
ギーも非常に多く必要でコスト上得策とはいえない。以
上のことから,微粉末懸濁流中の微粉末の懸濁濃度を30
vol.%から55vol.%の範囲としたうえ,陰極板への垂直
方向の速度成分を0.6m/分から6.0m/分の範囲とするのが
よい。
本発明者らはこのような本発明を実施するのに好適な
装置として,第5図にその要部を示す装置および第6〜
7図にその要部を示す装置を開発した。以下にこれらの
装置について説明する。
〔本発明装置の好ましい態様〕
第5図に示す本発明の装置は,めっき液1を収容する
軸を縦方向にした筒状の容器12と,この容器12の底部に
電導表面5を横にして配した陰極板2と,めっき液の液
面近く配した陽極3と,陰極板2と陽極3との間に所定
の電位を付与する電源装置4と,陰極板2と陽極3との
間の液中に吸込用開口13を持つ吸込管14と,陰極板2と
陽極3との間の液中に吐出用開口15を持つ吐出管16と,
吸込管14から吐出管16に通ずる流体の循環経路17と,こ
の循環経路17に介装された流体循環用ポンプ18とからな
り,吐出管16の吐出用開口15を陰極板2の電導表面5の
方向に向けて下向きに設置すると共に吸込管14の吸込用
開口13を陽極下端19よりもさらに下方に設置したもので
あり,被めっき品である粒径が0.1μmから10.0μmの
範囲の導電性微粉末をめっき液と共に前記の循環経路17
を循環させつつ陰極板の電導表面5に連続的に衝突させ
るようにしたものである。
図示の例において,筒状の容器12は絶縁材料からなる
円筒体が使用され,その円筒の下端開口の全面積が円板
状の陰極板2で閉塞されている。すなわち,円筒体の下
端フランジ20に環状パッキン21を挟んで陰極板2を取付
けたものであり,陰極板2のさらに外側には底板23を配
し,この底板23からフランジ20に貫通するボルトをナッ
トで締め付けて固定したものである。吐出用開口15を下
端にもつ吐出管16は円筒容器12の軸芯に同軸的に配置さ
れ,吸込用開口13は吐出用開口15よりも上方の位置であ
って陽極下端19よりも下方の位置における容器12の中腹
に設けられている。
この構成になる装置においてめっき液中に本発明の対
象とする微粉末を所定量装入し,循環ポンプ18を稼働す
ると,当初は容器の底部に集積していた微粉末が循環流
に乗って循環経路17を循環するようになり,所定の時間
の後にはその濃度が所定の値に落ち着くようになる。こ
の場合,容器内においては,吐出用開口15から微粉末懸
濁流が陰極板2の導電表面5の全面積に向けて末拡がり
の状態となって吐出され,懸濁流中の微粉末は導電表面
5に垂直方向の速度成分をもって衝突する。そして容器
の内壁方向に移動し,内壁に沿って上向きに方向を変え
て吸込用開口13に向かって流れる。したがって定常状態
においては,吐出用開口15から吐出された微粉末懸濁流
は導電表面5の全面積にわたって衝突したあとその実質
上全てが吸込用開口13から吸込管14に吸い込まれ再び吐
出用開口15から吐出するという微粉末懸濁流の定常的な
循環路が形成される。吸込用開口13を陽極下縁19よりも
適度の距離を離して下方に設置することにより,微粉末
懸濁流の該循環路を陽極3に触れない循環路とすること
ができる。なお,非導電性繊維で編んだ布からなるアノ
ードバック24で陽極3の表面で覆っておくと,微粉末の
陽極3への接触を一層防止することができる。また,吸
込用開口13は吐出用開口15よりも上方の位置に設置する
方がよい。吐出用開口15よりも下方位置に設けると,導
電表面5に衝突する微粉末の垂直方向の速度成分が減速
されまた導電表面5に衝突する微粉末の濃度分布に偏り
が生ずるようになるからである。
微粉末懸濁流の導電表面5への衝突速度は循環ポンプ
18の回転数制御によって調節することができ,また,微
粉末懸濁流の導電表面5に衝突するさいの懸濁濃度は,
規定容量の容器を使用した場合に,そのめっき液に装入
する微粉末の量によって一次調整でき,吐出用開口15の
上下の調整並びに循環ポンプ18の回転数制御によって微
調整できる。
粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の導電性微粉末を
所定量めっき液中に装入し循環ポンプ18を駆動して所定
の時間経過後に所定の懸濁濃度(前述のように30vol.%
から55vol.%の範囲)で且つ所定の速度成分(前述のよ
うに陰極板への垂直方向の速度成分が0.6m/分から6.0m/
分の範囲)をもつ定常状態の微粉末懸濁流の循環流が形
成されたならば,電源装置4から通電を開始してめっき
を行なうと,後記の実施例に示すように,陰極板2の導
電表面5には電析を起こすことなく,微粉末にの表面に
高いめっき収率のもとで電気めっきができる。
第6〜7図に示す本発明の装置は,めっき液1を収容
する軸を縦方向にした筒状の容器25と,この容器25の底
部に電導表面5を横にして配した陰極板2と,めっき液
1の液面近く配した陽極3と,陰極板2と陽極3との間
に所定の電位を付与する電源装置4と,容器内流体に陰
極板の導電表面5に向かう方向の下向きの推力を付与す
る回転翼26と,容器内壁に沿って上下方向に設置された
整流板27とからなり,整流板27の上縁28を陽極下端19よ
りも下方に位置せしめ,被めっき品である粒径が0.1μ
mから10.0μmの範囲の導電性微粉末をめっき液と共に
陰極板に連続的に衝突させるようにした微粉末の電気め
っき装置である。
この第6〜7図の例においても筒状の容器25は第5図
の例と同様に絶縁材料からなる円筒体が使用され,その
円筒の下端開口の全面積が円板状の陰極板2で閉塞され
ている。すなわち,円筒体の下端フランジ20に環状パッ
キン21を挟んで陰極板2を取付けたものであり,陰極板
2のさらに外側には底板23を配し,この底板23からフラ
ンジ20に貫通するボルトをナットで締め付けて固定した
ものである。回転翼26は,円筒容器25の軸芯に同軸的に
配置された回転軸29に取付けられている。回転軸27は容
器25の外に設置されたモータ(図示されていない)によ
って軸回りの回転動力が付与される。回転翼26は陰極の
導電表面5より所定の距離をもって液中に存在してお
り,その回転によって導電表面5に向かう旋回推力を液
に付与する。整流板27はその幅が容器25の半径よりも小
さな幅(好ましくは半径の1/6〜1/3程度の幅)をもつ細
長い板であり,その板の一方の長辺が容器25の内壁に垂
直方向に取付けられている。第7図に見られるように,
本例では四枚の整流板27が容器25の内壁に等間隔(90゜
間隔)で配置されており,各整流板27の面の方向はいず
れも容器25の半径方向である。但しこの整流板27の枚数
および方向は容器内壁に沿う上昇流が得られるのであれ
ばどのようなものであってもよい。各整流板27の下縁30
は陰極板2の導電表面5より若干離れているのがよく,
各整流板27の上縁28は液面近くに設置される陽極の下縁
19よりも下方に位置していることが必要である。
この構成になるめっき装置は,めっき液1に微粉末を
装入して回転翼26を回転し,その回転によって導電表面
5に向かう旋回推力を液に付与すると,導電表面5に向
かう微粉末懸濁流が形成される。そして導電表面5に旋
回しながら衝突した微粉末懸濁流は容器25の内壁の方向
に流れたあと整流板27によってその旋回が抑制されなが
ら整流板27に沿って上方に向かう流れとなり,整流板27
の上縁28を越えたあたりから微粉末の自重と回転翼26に
よる背圧によって容器の中心下方に向かう方向に流れを
変え,再び回転翼26によって導電表面5に向かう流れと
なる。この場合,整流板27の上縁28が陽極3の下縁19よ
りも下方に位置させることによって,陽極3に微粉末懸
濁流が接することなく容器内を循環させることができ
る。そして回転翼26の回転を続行すれば導電表面5の全
表面に対して液中の微粉末が直角方向の速度成分をもっ
て衝突する状態が維持される。この微粉末が導電表面5
に衝突するさいの直角方向の速度成分の調整は回転翼26
の回転速度の制御によって行なうことができ,その微粉
末懸濁流の濃度はめっき液に装入する微粉末の相対容量
を調整することによって調整できる。
第6〜7図の装置は,容器の中心軸を通る面に対して
対称な装置構成とすると共に微粉末懸濁流の循環流も対
称的な挙動をとりながら循環するようにするのが好まし
い。このため,陽極3も円筒状のものを使用するのがよ
い。第8図はこの円筒状の陽極の例を示したものであ
り,取付けの便宜上,軸に沿う方向に分割された半円筒
3aと3bとを組合せて円筒を形成する。この円筒の軸心空
間に回転翼26の軸27が通ることになる。この円筒上の陽
極を使用すると,容器25内で生ずる旋回流に乱れを起こ
すことが防止できるので,装置稼働中に陽極近傍に浮動
してくる微粉末が減少する。
第9図は陽極3に被覆するアノードバックの例を示し
たものである。図示のように,少なくともめっき液中に
浸漬される陽極表面全体を非伝導性織布31で覆う。この
織布31は第5図の例と同様に非伝導性材料からなる液透
過性の布例えば合成繊維の織布を用いる。このような織
布31を陽極3に被せることによって液の導通を図りなが
ら液中の微粉末が陽極に接触するのを防止できる。
第10〜11図は,第6〜7図に示す装置の回転翼の他の
例を示したもので,多数の開口32を均等に穿孔した多孔
平板(パンチングボード)33を回転軸29に対して所定の
傾斜角θをもって固定したものである。この傾斜角θは
10〜25度の範囲,好ましくは10〜20度の範囲がよい。こ
の傾斜形のパンチングボード回転子を使用すると攪拌効
果が良好となり,均一分散した微粉末懸濁流を形成させ
ることができる。したがって,陰極の導電表面5のあら
ゆる位置においてそれほど差のない濃度と速度をもつ微
粉末懸濁流を衝突させることができる。
第6〜7図の回転翼26を用いた装置,特に傾斜形パン
チングボード回転子33を用いた装置では,微粉末の懸濁
濃度が先に説明した範囲の上限付近(50〜55vol.%)程
度で,陰極板への垂直方向の速度成分が先に説明した範
囲の下限付近(0.6m/分程度)の条件が達成しやすいと
いう特徴がある。他方,第5図で説明した装置では,微
粉末の懸濁濃度が先に説明した範囲の下限付近(30vol.
%)程度で,陰極板への垂直方向の速度成分が先に説明
した範囲の上限付近(6.0m/分程度)の条件が達成しや
すい。しかし図示のいずれの装置でも第1図に図解的に
示したような本発明の原理を実現することができる。す
なわち,微粉末懸濁流がその流速内において上下左右に
むらなく均一な流動状態に維持され,この微粉末懸濁流
の懸濁濃度が30vol.%から55vol.%の範囲できわめて粘
稠なスラリー状態を維持し,粉末同志の衝突頻度が多い
ことは勿論,電荷の移動をスムーズに進めるための陰極
板と粉末との衝突頻度も高く且つ効率的に電荷移動が進
行し,且つこの微粉末懸濁流は陽極には接触しない循環
流を形成することができる。
めっき液中に懸濁した微粉末に流動エネルギーを付与
する手段としては,第5図の装置および第6〜7図の装
置の例の他に,上下動多孔板による方式,流動床,振動
床,振盪槽,ガス吹き込み等による方式が考えられる
が,本発明者らの経験によると,これらの他の方式では
本発明で意図する微粉末懸濁流の懸濁濃度30vol.%以上
を維持したうえで陰極に対する垂直方向の速度成分を十
分に持たせることが困難であるか,本発明で意図するよ
うな垂直方向の速度成分0.6〜6.0m/分を維持させること
が難しく,このため,微粉末への電気めっきは進みにく
く,陰極板上に電析するという状態を呈するようにな
る。
本発明で対象とするような微細な粉末では,その表面
に存在する電気二重層がかなり大きな電気抵抗膜として
作用する。本発明装置では,陰極板に対する微粉末の衝
突角度を直角方向に近くすることができると共にその衝
突速度もレベル以上維持できるので,微粉末表面に電気
二重層が形成されても電荷の移動が進むと考えられ,陰
極板上に微粉末が分散めっき状に析出するのを防止しな
がら微粉末表面だけに電析するという現象が良好に維持
される。特に1ミクロン或いは0.1μmと言った超微粒
子に対してその粉末一粒つづに均一な電気めっきを行う
には,その粒径が小さくなるほど,懸濁濃度を上げかつ
陰極板に対して垂直方向に粉末を強く衝突させるという
ことが重要となるが,本発明装置では比較的単純な構成
であるにも係わらずこれが実現できる。しかし,0.1μm
よりもさらに細かい超微粉を対象とした場合には,本発
明の方法および装置でも電気めっきは極めて困難であっ
た。この理由は,このような超微粉では嵩高となって微
粉末懸濁流の懸濁濃度を上げることが難しく,粘性も増
大しやすいために,電気めっきに不可欠である粒子の衝
突頻度を向上させることが技術的に極めて難しくなるか
らである。
〔本発明で適用するめっきおよび微粉末の例〕
本発明に従って微粉末の表面に電気めっきするさい
の,めっき金属の種類としては,銅,ニッケル,コバル
ト,亜鉛,鉄,錫,鉛,銀,金,白金,パラジウム等の
金属類,或いは鉄−錫,鉄−亜鉛,錫−鉛,錫−亜鉛,
ニッケル−クロム,銅−錫,鉄−ニッケル−クロムなど
の合金類がその代表例として挙げられる。
本発明に従って電気めっきする微粉末のうち,金属微
粉末の好ましいものとしては,アトマイズ法,電解法,
粉砕法,還元法,低圧ガス中での蒸発法,活性水素−溶
融金属反応法,或いは塩化物反応法などの各種の製造法
によって作られた,鉄,銅,銀,金,錫,白金,ニッケ
ル,チタン,コバルト,クロム,アルミニウム,亜鉛,
タングステンの微粉末またはこれらの合金の微粉末が挙
げられる。
本発明に従って電気めっきする微粉末のうち,セラミ
ック微粉末の好ましいものとしては,通電加熱蒸発法,
ハイブリッドプラズマ法,揮発性金属化合物加水分解
法,高融点化合物反応法などの気相法によるもののほ
か,噴霧乾燥法,凍結乾燥法,溶媒乾燥法,アルコキシ
ド加水分解法,或いは沈澱法(湿式法)によって作られ
た,Al2O3,Cr2O3,ZnO,GeO2,TiO2,Y2O3,MoO2,SiO2,PbO,Zr
O2,WO3,Fe2O3,BaTiO3,Ta2O5,コージエライト,ゼオライ
ト,ソフトフエライト,部分安定化ジルコニア等に代表
される酸化物類:SiC,Cr3C2,WC,TiC,B2C,ZrC,MoC,Fe3C,T
aC,Co3C,Ni3C,NbC,グラフアイト,カーボンブラックな
どの炭化物類:Bi3N4,BN,TiN,AlN,ZrN,TaN,CrN,W2N,NbN
などの窒化物類:,CrB2,ZrB2,Fe2B,Ni2B,NbB,AlB2,CaB2,
Mo2Bなどのホウ化物類:CdS,Cu2S,MoS2,TaS2,SrSなどの
硫化物類:が代表例として挙げられ,更には各種金属の
リン化物,ケイ化物,炭窒化物または水酸化物の微粉末
なども適用できる他,セリサイト,マイカなどの天然鉱
物粉も適用可能である。
本発明に従って電気めっきする微粉末のうち,プラス
チックス微粉末の好ましいものとしては,乳化重合法,
懸濁重合法,ソープレス重合法または非水分散重合法な
どによって作られた,ポリオレフイン樹脂,ポリアミド
樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,アクリル樹脂,メタクリル
樹脂,三フッ化塩化エチレン樹脂,ポリアクリロニトリ
ル樹脂,シリコーン樹脂,フッ化ビニリデン樹脂,エポ
キシ樹脂,フェノール樹脂,尿素樹脂,ウレタン樹脂,
ポリエステル樹脂,またはこれらの共重合体などが挙ら
れる。
本発明に従って電気めっきする前記のような物質の微
粉末は,球状,針状,棒状,角状,板状,不定形状,ク
ラスター状,ウイスカー状,中空状または多孔質状のい
ずれの形態であってもよい。
このような物質および形態の粒径が0.1μmから10.0
μmの範囲の微粉末の表面に本発明に従って形成する電
気めっき皮膜の厚さは100Åから5μm,好ましくは0.1μ
mから3μmが適当であり,あまり薄すぎると形成させ
た皮膜の特性を発揮しにくく,またあまり厚すぎても製
造コストが高価となる割りには製品粉末の特性並びに意
図する特性が向上するわけでもない場合が多い。
本発明によってセラミックやプラスチックの微粉末に
金属めっきを施した微粉末は,次いで,更にその表面
に,無電解めっき法,イオン化傾向を利用した置換めっ
き法,またはCVD法などを適用して,他の材料で被覆す
ることもできる。またこのようにして,セラミックやプ
ラスチックの微粉末の表面に2層以上の異種金属からな
る多層被覆を行った微粉末は,これを加熱および拡散処
理を行ってその被覆層を合金皮膜とすることもできる。
その他,本発明は微粉末の材質に応じた適切な前処理
を該微粉末に施したうえで種々の金属を本発明に従って
電気めっきすることもでき,例えばアルミニウムの微粉
末に対して公知の亜鉛置換処理を行い,次いでシアン化
銅ストライクめっきを行うなどの前処理を採用したう
え,種々の金属の電気めっきを本発明で行なうこともで
きる。
〔本発明の代表的実施例〕
A.第5図にその要部を示した装置を用いて微粉末に電気
めっきを行った例 例1 市販の平均粒径が0.7μmのタングステン微粉末(添
川理化学Soekawa Chemicals(株)製)の1kgを濃度100g
/の水酸化カリウム水溶液中で25℃で10分間攪拌して
酸化膜の除去および表面調整を行った。次いで該微粉末
を良く水洗後,塩化第1錫溶液0.5(SnCl2・2H2O:158
g/,pH:2.0)を用いて,室温で2分間のセンシタイジ
ング処理を行い,再び水洗後,塩化パラジウム溶液0.2
(PbCl2:0.2g/,pH:2.0)中で40℃で3分間のアクチ
ベーション処理を行ったうえ水洗した。
その後,奥野製薬工業(株)Okuno Chemical Industr
ies Co.,Ltd.製の無電解銅めっき液「OPCカッパー」
(還元剤:ホルムアルデヒド)を用いて50℃で5分間の
無電解銅めっきを行って,該タングステン微粉末に約10
0Å厚の無電解銅めっき皮膜を形成した。
得られた無電解銅めっき薄膜付きの平均粒径が0.7μ
mの微粉末を,本発明に従う電気めっき対象微粉末とし
た。
第5図に示す装置において,円筒容器12は塩化ビニル
樹脂で構成し,陽極3は含リン銅の陽極板をテトロン製
の布からなるアノードバックで覆った状態で使用した。
陰極板2はチタンからなり,その導電表面5の内径が円
筒容器12のそれと等しい円板である。吐出管16は円筒容
器12の軸芯において吐出口15が導電表面5から所定の距
離を隔てた状態で垂直に設置された。循環ポンプ18は回
転数可変の二台のスラリーポンプが使用された。
めっき液としては,ピロリン酸銅:49g/,ピロリン
酸カリウム:254g/,クエン酸カリウム:23g/の組成
の電気銅めっき水溶液1を使用し,前記の無電解銅め
っきを行って得たタングステン微粉末全量(使用したタ
ングステン原料粉末は1kg)を使用し,該装置におい
て,吐出口15と導電表面5との距離を適正に設定したう
えで,吐出口15からの微粉末懸濁流の吐出速度が約6.0m
/分,導電表面5に衝突する時点での微粉末懸濁流の平
均濃度が約30vol.%となるように循環ポンプの回転数を
制御した。陽極3には微粉末懸濁流が触れないような循
環流が定常的に形成されていることを確認したうえで,
陰極電流密度5A/dm2,電圧12Vで通電を開始し,液温を25
℃に維持した状態で48時間の連続運転を継続した。
この稼働によって,タングステン微粉末表面に予め形
成させた無電解銅めっき皮膜の周囲に,さらに銅めっき
が施されためっき粉末を得た。電流効率は95%であり,
銅電気めっき皮膜は微粉末の重量に対し20wt.%の割合
で形成されており,このめっき粉末の収率は98%であっ
た。そして,チタン陰極板上には銅の電析は皆無であっ
た。
この銅電気めっき微粉末をX線回折したが,銅および
タングステンの回折ピークはもとより,明瞭な回折ピー
クは現れなかった。このことから,電気めっき層は微粉
末表面に均一に電着しており且つそれは非晶質に近いも
のであることが推測された。
本例で得られた,0.7μmのタングステン粉に20wt.%
の銅が電気めっきされた微粉末を,成型および焼結して
電気接点材料を製造した。そのさい,成型は410MPaの圧
力で冷間プレス成型を実施して圧粉体とし,これの焼結
は,水素ガス雰囲気中で100℃/分の昇温速度で1150℃
まで昇温し,この温度に2時間保持し,次いで炉冷する
という条件で行った。得られた焼結体は密度が15.0(g/
cm3),抗折力が110(kg/mm2),ロックウエル硬度
(B)が103,電導度が42%IACS(International Anneal
ed Copper Standerd,JIS C 3002),気孔率が0.5%であ
り,従来の粉末冶金接点材料に見られない特性を示し
た。さらに遮断器用アーキング接点としての耐アーク試
験を行った結果,耐溶着性および接触抵抗性は従来の粉
末混合法(タングステン粉末と銅粉末を混合して成形焼
結する方法)で得られた電気接点材とほぼ同等であった
が耐消耗性が著しく優れていることがわかった。
例2 例1で使用した第5図の装置を用いて,平均粒径が2.
5μmの鉄の微粉末にコバルトの電気めっきを施した。
ただし鉄微粉末に対して無電解めっきは施さず,鉄微粉
末表面を脱脂および酸洗して鉄の金属表面を露出させた
うえで,電気めっきに供した。微粉末懸濁流の懸濁濃度
および吐出速度は例1と同様に,30vol.%および6.0m/分
に設定した。その他の条件は次のとおりである。
めっき液の組成:硫酸コバルトアンモニウム: 180g/, ホウ酸:25g/ めっき液量:1 微粉末量:1kg 電流密度:2A/dm2 電圧:7V 液温:30〜40℃ めっき時間:150時間 このめっき処理によって,平均膜厚が0.7μmのコバ
ルトめっき膜が施されたコバルト被覆鉄微粉末が得られ
た。電流効率は92%で,めっき収率は95%であった。
得られためっき微粉末を例1の微粉末の場合と同様に
成形焼結したものは,磁性材料として好適である。
例3 例1で使用した第5図の装置を用いて,平均粒径が5.
0μmの鉄の微粉末に鉛の電気めっきを施した。ただし
鉄微粉末の表面に例1と同様にして銅の無電解めっき
(膜厚50Å)を施してから電気めっきに供した。微粉末
懸濁流の懸濁濃度および吐出速度は例1と同様に,30vo
l.%および6.0m/分に設定した。その他の条件は次のと
おりである。
めっき液の組成:ホウフッ化鉛:200g/ ホウフッ酸:20g/ ホウ酸:20g/ ゼラチン:0.15g/ めっき液量:1 微粉末量:1kg 電流密度:5A/dm2 電圧:6V 液温:30〜40℃ めっき時間:120時間 このめっき処理によって,平均膜厚が2.0μmの鉛め
っき膜が施された鉛被覆鉄微粉末が得られた。電流効率
は92%で,めっき収率は99%であった。
得られためっき微粉末を例1の微粉末の場合と同様に
成形焼結したものは,耐食耐摩耗性材料として有用であ
る。
例4 例1で使用した第5図の装置を用いて,平均粒径が1
0.0μmのステンレス鋼(SUS304)の微粉末にニッケル
の電気めっきを施した。ただしステンレス鋼微粉末の表
面に,無電解めっきによって膜厚が100Åのニッケル−
リンの無電解めっき皮膜をを施してから電気めっきに供
した。微粉末懸濁流の懸濁濃度および吐出速度は例1と
同様に30vol.%および6.0m/分に設定した。その他の条
件は次のとおりである。
めっき液の組成:硫酸ニッケル:150g/ 塩化アンモニウム:15g/ ホウ酸:15g/ めっき液量:1 微粉末量:1kg 電流密度:3A/dm2 電圧:8V 液温:30〜40℃ めっき時間:40時間 このめっき処理によって,平均膜厚が1.0μmのニッ
ケルめっき膜が施されたニッケル被覆ステンレス鋼微粉
末が得られた。電流効率は90%で,めっき収率は98%で
あった。
得られためっき微粉末を例1の微粉末の場合と同様に
成形焼結したものは,金属性フイルターとして有用な機
能を有する。
例5 例1で使用した第5図の装置を用いて,平均粒径が5.
0μmのクロムの微粉末に鉄の電気めっきを施した。た
だしクロム微粉末に対して無電解めっきは施さず,鉄微
粉末表面を脱脂および酸洗して鉄の金属表面を露出させ
たうえで,電気めっきに供した。微粉末懸濁流の懸濁濃
度および吐出速度は例1と同様に,30vol.%および6.0m/
分に設定した。その他の条件は次のとおりである。
めっき液の組成:塩化第一鉄:240g/ 塩化カリウム:180g/ めっき液量:1 微粉末量:1kg 電流密度:5A/dm2 電圧:8V 液温:40〜50℃ めっき時間:120時間 このめっき処理によって,平均膜厚が2.0μmの鉄め
っき膜が施された鉄被覆クロム微粉末が得られた。電流
効率は90%で,めっき収率は95%であった。
得られためっき微粉末を例1の微粉末の場合と同様に
成形焼結したものは,耐熱耐食性材料として好適であ
る。
〔比較例(a)〜(d)〕
微粉末懸濁流の懸濁濃度および吐出速度を変えた以外
は例1を繰り返した。本例で設定した微粉末懸濁流の懸
濁濃度および吐出速度を第1表に示した(4つの例)。
各比較例でのめっき粉末の収率と陰極板上への銅の電析
量の比率を同じく第1表に示した。なお,めっき粉末の
収率は,電析した銅量のうち微粉末表面に電析した量の
重量割合である(前記の本発明例1〜5も同様であ
る)。したがって陰極板に電析した量が多くなれば,め
っき粉末の収率は低下する。各比較例において,めっき
粉末の収率と陰極板への電析率との和は実質上100%と
なる。
第1表の結果から明らかなように,微粉末懸濁流の懸
濁濃度と微粉末の陰極板への衝突速度が適正範囲を外れ
た場合には,その外れ方が多くなるに従って陰極板への
電析が多くなり,微粉末に電析する割合が少なくなるこ
とがわかる。すなわち本発明で対象とするような微粉末
を高い収率で電気めっきするには微粉末懸濁流の懸濁濃
度と微粉末の陰極板への衝突速度を適正な範囲に制御す
ることが必要であることがわかる。
B.第6〜7図にその要部を示した装置を用いて微粉末に
電気めっきを行った例 例6 次にパンチングボード型回転子を用いた電気めっき装
置による本発明の実施例を示す。
第3図は本発明を実施するための装置の断面の概念図
である。
平均粒径が0.3μmの市販のα−アルミナ微粉末(住
友化学(株)製)の1kgを塩化第一錫溶液1(SnCl2
2H2O:158g/,pH:2.0)を用いて室温で2分間センシタ
イジング処理を行ったうえ,その微粉末を良く水洗後,
塩化パラジウム溶液0.5(PbCl2:0.2g/,pH:2.0)の
中で40℃で3分間アクチベーションを行ったうえ水洗し
た。その後,日本カニゼン(株)製の無電解めっき液
「シューマー−S680」を用いて60℃で10分間無電解めっ
きを行い,α−アルミナ微粉末に約1000Å厚の無電解ニ
ッケル−リン皮膜を形成した。この微粉末を,本発明に
従う電気めっき対象微粉末とした。
第6〜7図に示す装置において,円筒容器25は塩化ビ
ニル樹脂で構成し,陽極3は鉄からなる陽極板をテトロ
ン製の布からなるアノードバックで覆った状態で使用し
た。陰極板2はチタンからなり,その導電表面5の内径
が円筒容器25のそれと等しい円板である。整流板27は円
筒容器25の内壁にそって垂直に設置され,これは45度間
隔に合計4枚取付けられた。各整流板27の一枚の幅は,
円筒容器25の直径のほぼ10%であった。整流板27の上縁
28は陽極3の下縁19より下方に位置させた。回転翼とし
ては,第10〜11図のその例を示した傾斜形パンチングボ
ード回転子を使用した。この回転子の第10図に示すθの
角度は15゜であった。この回転子の回転軸29は円筒容器
25の軸芯に垂直に設置された。
めっき液としては,塩化第一鉄:240g/,塩化カリウ
ム:180g/の組成の塩化第一鉄溶液を使用し,このめっ
き液1を該装置に入れると共に前記の無電解めっきを
行ったα−アルミナ微粉末全量(使用したアルミナ原料
粉末は1kg)をこのめっき液に入れた。該装置におい
て,微粉末懸濁流が導電表面5に衝突するさいの導電表
面5に対する垂直方向の速度成分がほぼ0.6m/分となる
ように回転子の回転数を制御した。そのさいの回転数は
使用した装置において約120rpmであった。導電表面5に
衝突した微粉末懸濁流は整流板27の上縁28まで容器内壁
に沿って上昇し,陽極3には触れることなく再び回転子
によって導電表面5に向かう定常的な循環流が形成され
た。この定常状態において微粉末懸濁流の導電表面5近
傍での懸濁濃度は約50vol.%であった。
なお,回転子の孔32の存在によって微粉末の懸濁層の
全体攪拌も促進され,その結果微粉末懸濁流は濃い濃度
を保ったままで上下左右にわたってほぼ均一な流動層を
形成した状態で循環された。
この定常的な循環流が形成されていることを確認した
うえで,陰極電流密度5A/dm2,電流16Vで通電を開始し,
液温を25℃に維持した状態で500時間の連続運転を継続
した。
この稼働によって,α−アルミナ微粉末表面に予め形
成された無電解ニッケル−リンめっき皮膜の周囲に,さ
らに鉄めっきが施されためっき粉末を得た。電流効率は
90%であった。鉄電気めっき皮膜はアルミナ微粉末の重
量に対し50wt.%の割合で形成されており,このめっき
粉末の収率は98%であった。そして,チタン陰極板上に
は鉄の電析は皆無であった。
この鉄めっき微粉末をX線回折したが,鉄およびニッ
ケル回折ピークはもとより,明瞭な回折ピークは現れな
かった。このことから,電気めっき層は微粉末表面に均
一に電着しており且つそれは非晶質に近いものであるこ
とが推測された。
このα−アルミナ微粉末に鉄めっきを施した微粉末
は,これを例1で述べたように成形焼結すると,例えば
通気性金型として有用な材料を得ることができる。
例7 例6で使用した第6〜7図の装置を用いて,平均粒径
が10.0μmの塩化ビニル樹脂の微粉末に錫−鉛合金の電
気めっきを施した。電気めっきに供する前の塩化ビニル
樹脂微粉末の表面に予め厚みが300Åの銅の無電解めっ
き層を形成させておいた。電気めっきにさいし,微粉末
懸濁流の懸濁濃度および導電表面に対する垂直方向の速
度成分は例6と同様にほぼ50vol.%および0.6m/分に設
定した。その他の条件は次のとおりである。
めっき液の組成:ホウフッ化第一錫:150g/ ホウフッ化鉛:50g/ ホウフッ酸:100cc/ ホウ酸:11g/ ニカワ:5g/ めっき液量:1 微粉末量:100g 電流密度:3A/dm2 電圧:5V 液温:30〜40℃ めっき時間:30時間 このめっき処理によって,塩化ビニル微粉末の周囲に
平均膜厚が1.0μmの錫−鉛合金(錫:鉛の重量比=70:
30である)のめっき膜が施された微粉末が得られた。電
流効率は90%で,めっき収率は99%であった。
得られためっき微粉末は,軽量複合材料として有用で
ある。
例8 例6で使用した第6〜7図の装置を用いて,平均粒径
が10.0μmのチタンの微粉末にニッケルの電気めっきを
施した。ただしチタン微粉末の表面に例6と同様にして
ニッケル−リンの無電解めっきを膜厚300Åを施してか
ら電気めっきに供した。電気めっきにさいし,微粉末懸
濁流の懸濁濃度および陰極の導電表面に対する垂直方向
の速度成分は例6と同様にほぼ50vol.%および0.6m/分
に設定した。その他の条件は次のとおりである。
めっき液量:1 微粉末量:1kg 電流密度:5A/dm2 電圧:10V 液温:30〜40℃ めっき時間:100時間 このめっき処理によって,チタン微粉末の周囲に平均
膜厚が3.0μmのニッケルめっき膜が施された微粉末が
得られた。電流効率は95%で,めっき収率は97%であっ
た。
得られためっき微粉末を例1の微粉末の場合と同様に
成形焼結したものは,形状記憶合金として有用である。
例9 例6で使用した第6〜7図の装置を用いて,平均粒径
が2.0μmの炭窒化チタンの微粉末にコバルトの電気め
っきを施した。ただし炭窒化チタン微粉末の表面に例6
と同様にしてニッケル−リンの膜厚10Åの無電解めっき
を施してから電気めっきに供した。電気めっきにさい
し,微粉末懸濁流の懸濁濃度および陰極の導電表面に対
する垂直方向の速度成分は例6と同様にほぼ50vol.%お
よび0.6m/分に設定した。その他の条件は次のとおりで
ある。
めっき液量:1 微粉末量:1kg 電流密度:2A/dm2 電圧:7V 液温:30〜40℃ めっき時間:10時間 このめっき処理によって,炭窒化チタン微粉末の周囲
に平均膜厚が0.1μmのコバルトめっき膜が施された微
粉末が得られた。電流効率は98%で,めっき収率は99%
であった。
得られためっき微粉末を例1の微粉末の場合と同様に
成形焼結したものは,超硬合金として有用である。
例10 例6で使用した第6〜7図の装置を用いて,平均粒径
が5.0μmのマイカの微粉末にニッケルの電気めっきを
施した。ただしマイカ微粉末の表面に膜厚1000Åの銅の
無電解めっきを施してから電気めっきに供した。電気め
っきにさいし,微粉末懸濁流の懸濁濃度および陰極の導
電表面に対する垂直方向の速度成分は例6と同様にほぼ
50vol.%および0.6m/分に設定した。その他の条件は次
のとおりである。
めっき液量:1 微粉末量:1kg 電流密度:3A/dm2 電圧:8V 液温:30〜40℃ めっき時間:300時間 このめっき処理によって,マイカ微粉末の周囲に平均
膜厚が2.0μmのニッケルめっき膜が施された微粉末が
得られた。電流効率は90%で,めっき収率は95%であっ
た。
得られためっき微粉末を例1の微粉末の場合と同様に
成形焼結したものは,導電フイラーとして有用な材料で
ある。
〔比較例(e)〜(h)〕
微粉末懸濁流の懸濁濃度および速度成分を変えた以外
は例6を繰り返し,α−アルミナ微粉末の周囲に鉄の電
気めっきを施すことを試みた。本例で設定した微粉末懸
濁流の懸濁濃度および導電表面に対する微粉末の垂直方
向の速度成分を第2表に示した(4つの例)。各比較例
でのめっき粉末の収率と陰極板上への銅の電析量の比率
を同じく第2表に示した。めっき粉末の収率および陰極
板への電析率は前記比較例(a)〜(d)で説明したの
と同じ意味である。
第2表の結果から明らかなように,微粉末懸濁流の懸
濁濃度と微粉末の陰極板への衝突速度が適正範囲を外れ
た場合には,その外れ方が多くなるに従って陰極板への
電析が多くなり,微粉末に電析する割合が少なくなるこ
とがわかる。すなわち本発明で対象とするような微粉末
を高い収率で電気めっきするには微粉末懸濁流の懸濁濃
度と微粉末の陰極板への衝突速度を適正な範囲に制御す
ることが必要であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電気めっきの原理を説明するための微
粉末懸濁流のモデル図,第2図は陰極導電表面に衝突す
る微粉末の電荷移動を図解的に示すモデル図,第3図は
本発明によって得られためっき皮膜をもつ微粉末粒子の
表面状態を図解的に示すモデル図,第4図は微粉末が導
電表面に衝突するさいの垂直方向の速度成分を説明する
ための図,第5図は本発明に従う微粉末の電気めっき装
置の例を示す概略断面図,第6図は本発明に従う電気め
っき装置の他の例を示す概略断面図,第7図は第6図の
X−X線矢視断面図,第8図は陽極の例を示す斜視図,
第9図は陽極に被着させるアノードバックの例を示す斜
視図,第10図は第6図の装置で使用する回転子の例を示
す側面図,第11図は第10図の回転子の正面図である。 1……めっき液,2……陰極,3……陽極,5……陰極の導電
表面,6……微粉末懸濁流,7……微粉末粒子表面の伝導性
皮膜,12……筒状容器,13……吸込用開口,14……吸込管,
15……吐出用開口,16……吐出管,18……循環ポンプ,17
……循環経路,19……陽極の下縁,24……アノードバッ
ク,25……筒状容器,26……回転翼,27……整流板,29……
回転軸,32……傾斜形パンチングボード回転子の孔,33…
…傾斜形パンチングボード回転子。
フロントページの続き (72)発明者 藤井 孝浩 千葉県市川市高谷新町7番地の1 日新 製鋼株式会社新材料研究所内 (56)参考文献 特開 平1−247594(JP,A) 特開 昭56−156793(JP,A) 特開 昭63−18096(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機物質または有機物質の微粉末表面に電
    気伝導性の皮膜を形成させた粒径が0.1μmから10.0μ
    mの範囲の導電性微粉末若しくは粒径が0.1μmから10.
    0μmの範囲の金属微粉末を陰極と陽極を配した電気め
    っき浴中に懸濁させながら陰極と陽極間に通電して該微
    粉末の表面にめっき浴中の金属イオンを析出させる微粉
    末の電気めっき法において, めっき液に該微粉末が懸濁した状態を維持しつつ所定方
    向に連続して流れる微粉末懸濁流をめっき浴中に強制的
    に形成させ, この微粉末懸濁流が陽極には実質上衝突することなく陰
    極に循環して衝突する方向にその流れの主方向を規制す
    ると共に,めっき浴中に露出する陰極の導電表面の実質
    上全ての面積に該微粉末懸濁流中の微粉末が衝突する機
    会が生ずるようにその流れを規制し, 陰極に衝突する微粉末が陰極に対する直角方向の速度成
    分0.6m/分〜6.0m/分をもって繰り返し衝突する状態が維
    持され且つその衝突時の微粉末の懸濁濃度が30〜55vol.
    %の範囲に維持されるように微粉末懸濁流の速度と懸濁
    濃度を調整することを特徴とする微粉末の電気めっき
    法。
  2. 【請求項2】めっき液を収容する軸を縦方向にした筒状
    の容器と,この容器の底部に電導表面を横にして配した
    陰極板と,該めっき液の液面近く配した陽極と,該陰極
    板と陽極との間に所定の電位を付与する電源装置と,該
    陰極板と陽極との間の液中に吸込用開口を持つ吸込管
    と,該陰極板と陽極との間の液中に吐出用開口を持つ吐
    出管と,該吸込管から吐出管に通ずる流体の循環経路
    と,この循環経路に介装された流体循環用ポンプとから
    なり,該吐出管の吐出用開口を陰極板の電導表面の方向
    に向けて下向きに設置すると共に前記の吸込管の吸込用
    開口を陽極下端よりもさらに下方に設置し,被めっき品
    である粒径が0.1μmから10.0μmの範囲の導電性微粉
    末をめっき液と共に前記の循環経路を循環させつつ該陰
    極板に連続的に衝突させるようにした微粉末の電気めっ
    き装置。
  3. 【請求項3】めっき液を収容する軸を縦方向にした筒状
    の容器と,この容器の底部に電導表面を横にして配した
    陰極板と,該めっき液の液面近く配した陽極と,該陰極
    板と陽極との間に所定の電位を付与する電源装置と,容
    器内流体に前記の陰極板に向かう方向の下向きの推力を
    付与する回転翼と,容器内壁に沿って上下方向に設置さ
    れた整流板とからなり,前記の整流板の上縁を陽極下端
    よりも下方に位置せしめ,被めっき品である粒径が0.1
    μmから10.0μmの範囲の導電性微粉末をめっき液と共
    に該陰極板に連続的に衝突させるようにした微粉末の電
    気めっき装置。
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