JP2623239B2 - ししゅう縫いミシン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ししゅう縫ミシンに関し、特に被縫製物の
ミシンへの取付けとその送り機構に関するものである。

（従来の技術とその問題点） 縫い目により自動的にししゅう縫するミシンは、一般
に、被縫製布をししゅう枠に保持して、布をＸ−Ｙ座標
の平面で動かして制御する方法がとられているが、特に
シャツの腕など筒状部にししゅうする際は、ししゅう枠
に布を保持すると、ししゅう部以外の部分が縫製の邪魔
になるという問題があった。

（問題点を解決するための手段とその作用） 上記の問題点を解決するために、本発明によるミシン
は筒状の布を嵌め込むようにした筒形ベッドを備えてい
て、ししゅう枠は針落ち位置近傍において筒形ベッドの
周囲方向に往復回動可能であり、且つ該回動の軸方向に
移動可能に取付けられていて、これに布を保持して動力
によって回動及び軸方向移動させると、布が針落ち位置
において筒形ベッドの周囲に沿って回動され且つ軸方向
に移動させて、針の往復運動と伴ってししゅう縫される
ようにしたものである。

（実施例） 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図において、ミシン本体１のベッド1aには、端部
を延長させてベッド1bが取付けられていて、これらは第
２図に示すように円筒形構造をなしている。回動駆動部
２は、第１図〜第３図に示す如く、回動駆動リング３と
取付けリング４を含み、これらリングはベッド1a,1bに
それぞれ所定の間隔をもって回動自在に取付けられ、ベ
ッド1a,1bに平行な連結軸5,6により相互に連結されてい
る。そしてこの回動駆動部２は、第１図に示す如く、ベ
ッド1aにて回転駆動リング３に接触して固定されたスラ
ストリング７により軸方向の移動が禁止されている。

ししゅう枠８は、第５図、第６図等に示すように、そ
の内径部が円弧面をなしていて、ししゅう枠８の円弧面
の中心軸は、円筒形をなす筒形ベッド1a、1bの中心軸と
同心をなし、回転駆動部２と共にベッド1a、1bの周囲に
沿って往復回動できるように回転駆動腕５、６が貫通し
ており、また後記するようにベッド1a、1bの中心軸方向
に移動可能である。

押え枠９は、被縫製布（図示せず）の取り付け時にし
しゅう枠８に取り付けられ、被縫製布をこの押え枠９と
ししゅう枠８との間に挟圧保持するためのものであり、
押え枠９のししゅう枠８への取り付け状態において、前
記したように被縫製布のうち押え枠９とししゅう枠８と
で挟圧保持された部分の被縫製布が、ベッド1aまたは1b
の周囲に沿って滑らかに往復回動できるように、第５図
に示すように押え枠９の内径部はししゅう枠８の内径部
の円弧面と同様な曲率の円弧面をなしている。

パルスモータ10は回転駆動リング３を回動するための
ものである。第４図に示す如く、回転駆動リング３はそ
の内縁に歯部11が形成されており、該歯部には歯車14が
係合している。該歯車14は、第１図に示す如く、パルス
モータ10の駆動軸に設けられた歯車12と、中間歯車13を
介して回動されて回動駆動リング３を回動する。

また、第４図、第６図及び第７図に示す如く、ベッド
1aはその外面に軸方向のコマ溝15が形成されており、一
方、第１図及び第６図に示す如く、ししゅう枠８はその
内側に輪状溝16が形成されており、該輪状溝16と前記コ
マ溝15にはそれぞれ駆動コマ17が部分的に滑合してお
り、従って、ししゅう枠８はベッド1a、1bの周囲で回動
可能であり、前記ベッドの軸方向への移動は駆動コマ17
を移動することで可能な構成となっている。

パルスモータ18は駆動コマ17をコマ溝15に沿って直線
運動させるためのものである。第１図、第４図〜第７図
に示す如く、駆動ワイヤ19がパルスモータ18の駆動軸に
設けられたモータプーリ20に数回巻き付けられた後ガイ
ドプーリ21、22及び23に案内されたベッド1a、1bの内部
と外部で延長してモータプーリ20に戻されている。そし
て駆動コマ17は駆動ワイヤ19に関して位置調節された上
で止めねじ24により駆動ワイヤ19に固定されている。

これらパルスモータ10、18によるししゅう枠８の移動
範囲は、ししゅう枠８内の被縫製布がその全領域にわた
って針25の針落位置に対向し得るようにしている。パル
スモータ10、18は別途パルスモータ駆動装置によって、
針25の上下運動と同期して駆動されて縫目制御される。

（発明の効果） 以上のように本発明によれば、ししゅう枠を、その内
径部が円弧面をなし、その円弧面の中心軸が円筒形をな
す筒形ベッドの中心軸と同心をなすように構成したの
で、第１にししゅう縫ミシンのししゅう枠および押え枠
を含むししゅう縫部分を細く、小型に構成でき、１種類
のししゅう枠で、筒状をなす被縫製布で比較的太いもの
はもとより比較的細いものまで対応が可能で、この１種
類のししゅう枠を使用したししゅう縫部分に被縫製布を
容易に装着することが可能になる。

また押え枠を、ししゅう枠への取り付け時に前記しし
ゅう枠と共に被縫製布を挟圧保持するように構成したの
で、第２に筒状をなす被縫製布を、押え枠とししゅう枠
とにより容易かつ確実に保持することが可能で、比較柔
らかい材質の被縫製布であっても装着のために被縫製布
を無理に引き伸ばしてししゅう縫部分に弾性的に装着す
る必要がないので、被縫製縫のししゅう面にゆがみのな
い原寸大のししゅう縫いを確実に形成することが可能に
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示すミシンの正面断面図、第
２図は第１図のII方向矢視図、第３図は第１図の要部正
面図、第４図は第３図のIV−IV断面図、第５図は第３図
のＶ−Ｖ断面図、第６図は第３図のVI−VI断面図、第７
図は第２図のVII−VII方向矢視図である。 図中、1a、1bは筒形ベッド、回転駆動部２は回動機構の
主たる要素、８はししゅう枠、９は押え枠、パルスモー
タ10、18は動力源、駆動コマ17、駆動ワイヤ19は移動機
構の主たる要素である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】所定のタイミングで縦往復動するミシン針
   と、ミシン機枠の一部に一体的に形成されて内部に前記
   ミシン針と協働して縫い目を形成する糸捕捉部材を保持
   した円筒状のベッドとを備えたししゅう縫いミシンにお
   いて、内面が円弧状でその中心軸が前記円筒状のベッド
   の中心軸と同心をなすししゅう枠であって、前記円筒状
   のベッド上にてこれを相対的に回動及び軸方向移動が可
   能で前記ミシン針の針落ち位置との相対位置が制御され
   るししゅう枠と、内面が前記ししゅう枠の内面と同様の
   円弧状をなして前記ししゅう枠に取付けられてこれと共
   に被縫製布を挟圧保持する押え枠と、前記ししゅう枠を
   回動あるいは軸方向移動させる動力源と、該動力源によ
   り駆動されて前記ししゅう枠を回動させる回動機構と、
   前記動力源により駆動されて前記ししゅう枠を軸方向移
   動させる移動機構と、から成ることを特徴とするししゅ
   う縫いミシン。