JPH0535834Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は筒状をした被縫製布を支持するための
ミシンの被縫製布支持具に関する。

従来技術とその問題点 Ｔシヤツやズボン等の筒状布の裾にテープやゴ
ム編地を縫い付ける場合、ミシンのシリンダベツ
ドに該筒状布を被せ、縫製しているが、該筒状布
が捩れて折り幅が変化したり、縫い外れ等の縫製
中の支障が生じないように、従来被縫製布送り機
構と同調して左手で上記筒状布を回動操作し、筒
状布とゴム編地等を縫合していた。

しかし、この方法は人手に頼つて縫合作業を行
つているため、能率が悪いという問題点があつ
た。

このような問題点を解消しようとしたミシンと
しては、例えば実開昭61−61974号公報に開示さ
れたものや、特公昭52−44261号公報に開示され
たものがある。しかし、前者のミシンは被縫製布
支持装置を別途設けているため、ミシンの大型化
を招来し、広い設置面積を要するという問題点が
ある。また後者のミシンは所定の篭状円筒部に被
縫製布を被せ、該篭状円筒部を回転させて縫合し
ているため、該篭状円筒部の筒径によつて被縫製
布が限定され、しかも該篭状円筒部に被縫製布を
被せたり、該被縫製布を上記篭状円筒部から取外
したりするのに手間がかかるという問題点があ
る。

本考案は従来のこのような問題点を解決して、
簡易な構造でもつてミシンテーブル又はミシンに
取りつけることのできるミシンの被縫製布支持具
を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本考案筒状の被縫製
布の全周にわたつて環状に縫い目を形成するため
のミシンテーブルに載置されるシリンダベツド型
ミシンに付設されてその筒状の被縫製布を支持す
る被縫製布支持具であつて、 ミシンと同期して回転するモータと、基端が該
モータに連結されると共に先端に拘持部が設けら
れて該モータにより拘持部と一体的に回転するよ
うにした線状の可撓性部材と、該可撓性部材を外
嵌支持する略Ｊ字状の支持体と、からなり、 上記モータおよび支持体を上記ミシンテーブル
またはミシン本体に取付けると共に、上記拘持部
をシリンダベツドから隔置して対向状となるよう
に支持体の自由端側から突出させ、 上記筒状の被縫製布の一端を上記シリンダベツ
ドに被せかつ該被縫製布の他端を外側から拘持部
に拘持させて、ミシンを駆動させた状態において
ミシンの布送り速度に対応して拘持部を回転さ
せ、筒状の被縫製布の全周にわたつて環状に縫い
目を形成するまでに拘持部が略一回転するように
したことを特徴とするものである。

作 用 上記構成によれば、筒状を呈する被縫製布の全
周にわたつて環状に縫製する場合、筒状の筒径に
関係なく被縫製布の縫製側端をミシンに載設した
シリンダベツドに被冠させ、他端を支持体に支持
された拘持部に外方から拘持させるだけの簡単な
操作で行える。

又、拘持部が、前記シリンダベツドから隔置し
て対向していることで該拘持部が縫製作業を邪魔
することもない。

しかもミシンの布送り速度に対応して拘持部を
回転させるように成していることで、被縫製布を
環状に縫製するのと略同等に他端を追従回転させ
られるので、縫製する筒状の被縫製布が捩れた状
態で縫製されるのを確実に解消でき、縫い外れ等
のない良好な縫製状態を得られて、結果的には不
良品の発生を防止できる。

更に、前記拘持部を線状の可撓部材を外嵌する
支持体のみで支持していることで、被縫製布支持
具を至極簡単な構成と成すことができる。

実施例 以下、図示の実施例に基づき本考案を詳説す
る。

第１図において、１は本考案の一実施例として
示すミシンの被縫製布支持具であつて、略Ｊ字状
に形成されて矢印Ａ方向に回転する可撓性部材２
と、該可撓性部材２の基端に連結されて矢印Ｂ方
向に回転するモータ３と、該可撓性部材２の先端
に設けられる拘持部４と、該可撓性部材２に外嵌
される略Ｊ字状の管状の支持体５とからなる。

上記可撓性部材２としては、具体的にはフレキ
シブルワイヤ、スチールワイヤ等が使用される。

また、上記モータ３としては誘導モータ、ステ
ツプモータ、或いはギヤモータ等使用目的に応じ
た適宜なものが使用され、被縫製布、特に筒状物
の全周にわたつて環状に施される縫製動作が一巡
して終了するまでに拘持部４が略一回転するよう
に上記モータ３の回転数が設定される。

さらに、上記拘持部４は、上記可撓性部材２に
外嵌されかつ上記支持体５に連結されて該可撓性
部材２と同伴して回転する継手部材６と、先端が
逆Ｌ字状に形成されて該継手部材６に枢着される
拘持部本体７と、矢印Ｃ方向に拘持部本体７を弾
発付勢するコイルスプリング等の弾発部材８とか
らなる。

上記支持体５は、可撓性部材２が円滑に回転で
きると共に、拘持部４を所定位置に支持するもの
で、金属や合性樹脂等により形成される。

しかして、第２図は上述の如く構成された被縫
製布支持具１を備え付けたシリンダベツド型ミシ
ンの斜視図を示したものである。

９はテーブル１０に載設されたミシン本体であ
つて、筒状をした被縫製布１１が被せられるシリ
ンダベツド１２と、該被縫製布１１を矢印Ｄ方向
に回転させる被縫製布送り機構（不図示）と、上
記シリンダベツド１２上の被縫製布１１を押さえ
る押え金１４と、先端に針１５が垂設されて矢印
Ｅ方向に上下運動する針棒１６と、ガイドローラ
１７等を備えてなる。

上記被縫製布支持具１は、そのモータ３が上記
ミシン本体９の背後に位置するように配され、そ
の先端に拘持部４を、上記シリンダベツド１２か
ら隔置して対向状となるように支持体５の自由端
側から突出させて保持される。１８は該被縫製布
支持具１を支持する支持部材であつて、円柱体か
らなる支柱１８ａを回動自在に係合挟持すると共
に、上記支持体５を挿嵌保持する保持体１８ｂ
と、固着具１８ｃとからなり、上記支持体５の取
り付け角度、位置を調整できるようにしている。

さらに、上記シリンダベツド１２の近傍には被
縫製布１１の縫合が完了したことを検知するセン
サ（不図示）が備えられ、該センサが動作する
と、ミシン本体９のモータ（不図示）が停止し、
縫合糸が切断するように構成されている。

次に筒状をした被縫製布１１にゴム編地を縫合
する場合について、該ミシンの動作を説明する。
まず、この被縫製布１１とゴム編地とを重合して
シリンダベツド１２及びガイドローラ１７に被せ
る。そして拘持部本体７の基部１９を矢印Ｆ方向
に押圧し、上記被縫製布１１の他端を可撓性部材
２と拘持部本体７との間に挟持する。次いでミシ
ン本体９に内有されたモータ（不図示）を駆動さ
せると、針棒１６は矢印Ｅ方向に上下運動して縫
製動作を行なうと共に、被縫製布送り機構の作用
により被縫製布１１は矢印Ｄ方向に回転する。こ
の場合上記被縫製布送り機構は、縫製目的に応じ
て差動自在に駆動すると共に、上記被縫製布支持
具１を構成する可撓性部材２及び拘持部４は上記
被縫製布送り機構の送り速度に対応して回転す
る。このようにして被縫製布１１に所定の縫製作
業が施される間中、被縫製布送り機構の送り速度
に応じて被縫製布支持具１の可撓性部材２及び拘
持部４が回転し、被縫製布１１を環状に縫合する
のと略同等に前記縫合部の他端を追従回転させら
れるので筒状の被縫製布１１が捩れた状態で縫製
されるのを確実に解消できて縫い外れ等のない良
好なる縫製をすることができる。そして縫製が終
了すると、前述のセンサが作動してミシン本体９
に内有されたモータ（不図示）が停止し、縫合糸
が切断されると共に、被縫製布支持具１のモータ
３も駆動が停止する。その後上記被縫製布支持具
１の拘持部４を開放させることにより、縫製物た
る被縫製布１１を容易に縫製装置から取外すこと
ができる。

このように本考案の被縫製布支持具を備えたミ
シンにおいては、人手を要するのは被縫製布の一
端をシリンダベツド１２に被せかつその他端を拘
持部に拘持させるときだけであるので、近接した
位置に２台以上のミシンを配設させることによ
り、１人で２台以上のミシンを容易に取り扱うこ
とができ省人化に大きく寄与する。

尚、本考案は上記実施例に限定されるものでは
なく、要旨を逸脱しない範囲において設計変更可
能なことは勿論である。例えば拘持部にセンサを
設け、かつ該拘持部の開閉をエアーシリンダやソ
レノイド等で作動するように構成し、被縫製布を
近接させると拘持部が自動的に開閉動作を行なう
ようにすることもできる。また縫合終了から被縫
製布支持具を回動し拘持部を開放してその後元の
位置に復帰するまでの一連の動作を自動制御にて
行なうこともできる。上記被縫製布支持具のモー
タの取り付け箇所についても被縫製布の縫合作業
を妨げない位置であればよくミシン本体の適所に
設けてもよい。さらにギヤ、Ｖベルト等の伝導部
材を介して被縫製布支持具のモータと可撓性部材
とを連結してもよく、またミシン本体内のモータ
と被縫製布支持具のモータとを兼用するように構
成するもまた、支持体としては管状部材だけでな
く、屈曲して任意の姿勢を保持するリンク連結体
に可撓性保持具を付設したものとしてもよい。

考案の効果 以上詳述したように、本考案に係るミシンの被
縫製布支持具には下記のような顕著な効果があ
る。

本考案の被縫製布支持具はテーブル又はミシ
ン本体に取り付けたので、ミシン全体の設置面
積も少なくて済み、構造も簡素なものとなる。

被縫製布の一端をシリンダベツドに被せると
共に他端を被縫製布支持具の拘持部に拘持させ
るように構成したので、被縫製布が筒径の制限
を受けることがなく、また被縫製布セツトや取
外しも簡単であり、しかも拘持部が縫製の邪魔
にならないと共に、ミシンの布送り速度に対応
して拘持部を回転させ、筒状被縫製布の全周に
わたつて環状に縫い目を形成するまでに拘持部
が略一回転するようにしていることで、被縫製
布が捩れた状態で縫製するのを解消して良好な
る縫製が行なえ、結果的には不良品の発生を防
止することができる。

作業者は単に被縫製布を所定位置にセツト
し、他端を拘持部に挟持するだけでよく、１人
で２台以上のミシンを同時に扱うことが可能と
なり、高効率化が達成されると共に故障の早期
発見にも対処することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すミシンの被縫
製布支持具の斜視図、第２図は本考案の被縫製布
支持具が備え付けられたミシンの斜視図である。 ２……可撓性部材、３……モータ、４……拘持
部、５……支持体、９……ミシン本体、１０……
ミシンテーブル、１１……被縫製布、１２……シ
リンダベツド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 筒状の被縫製布の全周にわたつて環状に縫い目
   を形成するためのミシンテーブルに載設されるシ
   リンダベツド型ミシンに付設されてその筒状の被
   縫製布を支持する被縫製布支持具であつて、 ミシンと同期して回転するモータと、基端が該
   モータに連結されると共に先端に拘持部が設けら
   れて該モータにより拘持部と一体的に回転するよ
   うにした線状の可撓性部材と、該可撓性部材を外
   嵌支持する略Ｊ字状の支持体と、からなり、 上記モータおよび支持体を上記ミシンテーブル
   またはミシン本体に取付けると共に、上記拘持部
   をシリンダベツドから隔置して対向状となるよう
   に支持体の自由端側から突出させ、 上記筒状の被縫製布の一端を上記シリンダベツ
   ドに被せかつ該被縫製布の他端を外側から拘持部
   に拘持させて、ミシンを駆動させた状態において
   ミシンの布送り速度に対応して拘持部を回転さ
   せ、筒状の被縫製布の全周にわたつて環状に縫い
   目を形成するまでに拘持部が略一回転するように
   したことを特徴とするミシンの被縫製布支持具。