JP2620555B2 - 体積位相ホログラムの製造方法 - Google Patents
体積位相ホログラムの製造方法Info
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- JP2620555B2 JP2620555B2 JP63132633A JP13263388A JP2620555B2 JP 2620555 B2 JP2620555 B2 JP 2620555B2 JP 63132633 A JP63132633 A JP 63132633A JP 13263388 A JP13263388 A JP 13263388A JP 2620555 B2 JP2620555 B2 JP 2620555B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 ポリビニルカルバゾールとベースポリマーとし、少な
くとも多沃素化合物を光反応開始剤として含む感光体を
用いて体積位相ホログラムを形成する方法に関し、 クラックがなく、回折効率が高く、かつ着色度の低い
ホログラムを得ることを目的とし、 露光後、ポリマーに対する膨潤性と光反応開始剤に対
する溶解性とを有し、双極子モーメントが1.0D以上であ
る溶剤を10重量%以上含む第1の溶剤に浸漬する工程
と、次いで第2の溶剤でポリマーを膨潤処理した後、ポ
リマーに対して非溶媒であり、第2の溶剤を溶解できる
第3の溶剤に浸漬する工程とを有する方法により構成す
る。
くとも多沃素化合物を光反応開始剤として含む感光体を
用いて体積位相ホログラムを形成する方法に関し、 クラックがなく、回折効率が高く、かつ着色度の低い
ホログラムを得ることを目的とし、 露光後、ポリマーに対する膨潤性と光反応開始剤に対
する溶解性とを有し、双極子モーメントが1.0D以上であ
る溶剤を10重量%以上含む第1の溶剤に浸漬する工程
と、次いで第2の溶剤でポリマーを膨潤処理した後、ポ
リマーに対して非溶媒であり、第2の溶剤を溶解できる
第3の溶剤に浸漬する工程とを有する方法により構成す
る。
本発明は、ポリビニルカルバゾールをベースポリマー
とし、光反応開始剤として少なくとも沃素化合物を含む
感光体を用いる体積位相ホログラムの製造法に関する。
とし、光反応開始剤として少なくとも沃素化合物を含む
感光体を用いる体積位相ホログラムの製造法に関する。
ホログラムは複数の可干渉性の光を干渉パターンを記
録したもので、記録時の一方の光束を当てて記録時の他
の光束を再生する技術である。ホログラムは、当初、立
体写真技術として発展してきたが、レンズやプリズム、
ミラーといった従来の光学部品の機能をホログラム膜に
集約できることから、最近では新しい光学素子としてバ
ーコードリーダやレーザプリンタなどのレーザ走査系
や、ヘッドアップディスプレイのコンバイナなどに適用
されつつある。
録したもので、記録時の一方の光束を当てて記録時の他
の光束を再生する技術である。ホログラムは、当初、立
体写真技術として発展してきたが、レンズやプリズム、
ミラーといった従来の光学部品の機能をホログラム膜に
集約できることから、最近では新しい光学素子としてバ
ーコードリーダやレーザプリンタなどのレーザ走査系
や、ヘッドアップディスプレイのコンバイナなどに適用
されつつある。
ホログラムには屈折率変調型(位相型)と濃度変調型
(振幅型)とがあるが、光学素子などに対しては回折効
率が高い位相型が専ら利用されている。なかでも、ポリ
ビニルカルバゾール(PVCz)をベースポリマーとするホ
ログラムは、耐湿熱性に優れていることから、銀塩乳剤
や重クロム酸ゼラチン(DG)に代わる新しいホログラム
材料として注目されている。PVCzホログラムの製造プロ
セスは、従来のDGのプロセスと類似しており、まず干渉
露光によって膜内に干渉縞に対応した分子量分布が形成
される。つぎに、現像が2段階で行われ、まずトルエン
やキシレンなどのPVCzに対して適度な溶解性を持つ第1
の溶剤で膨潤させるとともに、感光性を付与するための
開始剤を除去し、ついでペンタンやヘキサンなどの第1
の溶剤とは混合するが、PVCzに対しては非溶媒である第
2の溶剤に浸漬することで現像される(特公昭62−1483
1)。DGプロセスとの比較で言えば、第1の溶剤が水に
相当し、第2の溶剤がイソプロピルアルコールに相当す
る(Applied Optics,Vol.7,No.10,p.2101,1968)。
(振幅型)とがあるが、光学素子などに対しては回折効
率が高い位相型が専ら利用されている。なかでも、ポリ
ビニルカルバゾール(PVCz)をベースポリマーとするホ
ログラムは、耐湿熱性に優れていることから、銀塩乳剤
や重クロム酸ゼラチン(DG)に代わる新しいホログラム
材料として注目されている。PVCzホログラムの製造プロ
セスは、従来のDGのプロセスと類似しており、まず干渉
露光によって膜内に干渉縞に対応した分子量分布が形成
される。つぎに、現像が2段階で行われ、まずトルエン
やキシレンなどのPVCzに対して適度な溶解性を持つ第1
の溶剤で膨潤させるとともに、感光性を付与するための
開始剤を除去し、ついでペンタンやヘキサンなどの第1
の溶剤とは混合するが、PVCzに対しては非溶媒である第
2の溶剤に浸漬することで現像される(特公昭62−1483
1)。DGプロセスとの比較で言えば、第1の溶剤が水に
相当し、第2の溶剤がイソプロピルアルコールに相当す
る(Applied Optics,Vol.7,No.10,p.2101,1968)。
ここで、PVCz自体は実用上感光性を持たないため、適
切な開始剤によって光に対して活性とされるが、開始剤
としては、ポリハロゲン化合物(特公昭56−1620および
62−14831)や、フォトレジストで使用されるアジド化
合物を適用することができる。また、本発明者らは、有
機過酸化物も適用可能であることを見出している(特願
昭62−173858)。また、いずれも、光吸収帯は紫〜近紫
外にあるため、可視レーザで記録する場合には、各々の
開始剤に合った増感色素を併用する必要がある。
切な開始剤によって光に対して活性とされるが、開始剤
としては、ポリハロゲン化合物(特公昭56−1620および
62−14831)や、フォトレジストで使用されるアジド化
合物を適用することができる。また、本発明者らは、有
機過酸化物も適用可能であることを見出している(特願
昭62−173858)。また、いずれも、光吸収帯は紫〜近紫
外にあるため、可視レーザで記録する場合には、各々の
開始剤に合った増感色素を併用する必要がある。
上記の開始剤のなかでも、ヨードホルムや四沃化炭素
等の多沃素化合物は、それ自体活性が高く、またいろい
ろな増感色素を用いることができるので好適な開始剤の
1つである。しかし、従来の方法(特公昭62−14831)
でホログラムを作製した場合、次の2つの問題があるこ
とがわかった。
等の多沃素化合物は、それ自体活性が高く、またいろい
ろな増感色素を用いることができるので好適な開始剤の
1つである。しかし、従来の方法(特公昭62−14831)
でホログラムを作製した場合、次の2つの問題があるこ
とがわかった。
1つはクラックの発生である。開始剤の添加量が極め
て少ない場合(例えば、PVzに対し0.5重量%以下)や、
膜厚が薄い場合(約2μm以下)には、さほど問題とは
ならないが、高い感度を得るには沃素化合物や増感色素
を5〜15%程度添加する必要があり、また透明で高い回
折効率のホログラムを得るには膜厚を4μm以上とする
必要がある。このように、添加量が多く、膜厚も比較的
厚い場合には、膨潤時に著しいクラックが発生し、第2,
第3の溶剤による処理でクラックが固定される。クラッ
クが発生する理由は不明であるが、PVCzに対して適度な
膨潤性を有すると同時に開始剤や色素に対する溶解度が
極めて大きい溶剤で膨潤させるとクラックが少ないこと
から、結晶性の高いポリマであるPVCzが開始剤などのミ
クロは偏析により結晶性のドメインを作るためと考えら
れる。従って、開始剤等に対する溶解性が大きい溶剤を
用いればクラックは低減され、もしくは解消することが
できる。しかし、一方で、第1の溶剤によるPVCz膨潤の
程度によって現像の強さが決まるため、PVCzに対する第
1の溶媒の膨潤性は厳密に制御されなければならない。
例えば、同一組成の溶媒であっても温度が1℃異なれ
ば、ホログラムの特性が大きく変化してしまう。このた
め、一般に、現像に適する溶媒の種類や温度とクラック
の発生しないそれとは異なってしまい、クラックがな
く、回折効率も高いホログラムを作製することは困難で
ある。
て少ない場合(例えば、PVzに対し0.5重量%以下)や、
膜厚が薄い場合(約2μm以下)には、さほど問題とは
ならないが、高い感度を得るには沃素化合物や増感色素
を5〜15%程度添加する必要があり、また透明で高い回
折効率のホログラムを得るには膜厚を4μm以上とする
必要がある。このように、添加量が多く、膜厚も比較的
厚い場合には、膨潤時に著しいクラックが発生し、第2,
第3の溶剤による処理でクラックが固定される。クラッ
クが発生する理由は不明であるが、PVCzに対して適度な
膨潤性を有すると同時に開始剤や色素に対する溶解度が
極めて大きい溶剤で膨潤させるとクラックが少ないこと
から、結晶性の高いポリマであるPVCzが開始剤などのミ
クロは偏析により結晶性のドメインを作るためと考えら
れる。従って、開始剤等に対する溶解性が大きい溶剤を
用いればクラックは低減され、もしくは解消することが
できる。しかし、一方で、第1の溶剤によるPVCz膨潤の
程度によって現像の強さが決まるため、PVCzに対する第
1の溶媒の膨潤性は厳密に制御されなければならない。
例えば、同一組成の溶媒であっても温度が1℃異なれ
ば、ホログラムの特性が大きく変化してしまう。このた
め、一般に、現像に適する溶媒の種類や温度とクラック
の発生しないそれとは異なってしまい、クラックがな
く、回折効率も高いホログラムを作製することは困難で
ある。
もう1つは、沃素化合物を開始剤とした場合、分解生
成物の沃素がPVCzと電荷移動錯体(CT錯体)を形成し、
ホログラムが着色するという問題である。第1図に、ヨ
ードホルムを開始剤とするPVCz膜の分光吸収を示す(詳
細な条件は実施例1に示す)。第1図から、露光前には
存在しない、660nm付近にピーウを持つ吸収帯が露光後
発生することがわかる。また、溶剤処理により、未反応
の色素やヨードホルムは殆ど除去できるが、670nmの吸
収帯は残留することがわかる。この吸収帯は、青や緑の
光でホログラムを再生する場合にはそれほど問題になら
ない。しかし、前記のレーザ走査系などに用いる場合、
再生光源にはHe−Neレーザ(633nm)や、最近では波長7
00nm付近の可視半導体レーザが用いられており、CT錯体
による吸収帯と再生波長が重なって光使用効率が低下す
る。また、航空機等で利用されているヘッドアップディ
スプレイのコンバイナなどの、人間が直接見るような用
途に適用する場合、CT錯体の吸収による着色は使用者に
不快感を与える。
成物の沃素がPVCzと電荷移動錯体(CT錯体)を形成し、
ホログラムが着色するという問題である。第1図に、ヨ
ードホルムを開始剤とするPVCz膜の分光吸収を示す(詳
細な条件は実施例1に示す)。第1図から、露光前には
存在しない、660nm付近にピーウを持つ吸収帯が露光後
発生することがわかる。また、溶剤処理により、未反応
の色素やヨードホルムは殆ど除去できるが、670nmの吸
収帯は残留することがわかる。この吸収帯は、青や緑の
光でホログラムを再生する場合にはそれほど問題になら
ない。しかし、前記のレーザ走査系などに用いる場合、
再生光源にはHe−Neレーザ(633nm)や、最近では波長7
00nm付近の可視半導体レーザが用いられており、CT錯体
による吸収帯と再生波長が重なって光使用効率が低下す
る。また、航空機等で利用されているヘッドアップディ
スプレイのコンバイナなどの、人間が直接見るような用
途に適用する場合、CT錯体の吸収による着色は使用者に
不快感を与える。
従来の製造方法における前述の問題点は、多沃化化合
物を含む光反応開始剤の除去と現像とを別のプロセスと
し、開始剤の除去を双極子モーメントが1.0D以上の極性
溶剤を含む混合溶剤で行うことにより解決される。
物を含む光反応開始剤の除去と現像とを別のプロセスと
し、開始剤の除去を双極子モーメントが1.0D以上の極性
溶剤を含む混合溶剤で行うことにより解決される。
従って、本発明は、繰り返し単位としてビニルカルバ
ゾールを有する重合体と、少なくとも多沃素化合物を光
反応開始剤として含む感光体を光の干渉パターンで露光
して体積位相ホログラムを形成する方法において、露光
後、キシレンまたはトルエン50〜90重量%と前記重合体
を無限大膨潤させない程度の膨潤性と前記光反応開始剤
に対する溶解性を有し、かつ双極子モーメントが1.0D以
上である極性溶剤50〜10重量%との混合物からなる第1
の溶剤に浸漬する工程と、次いで第2の溶剤で前記重合
体を膨潤処理した後、前記重合体に対しては非溶媒であ
るが、前記第2の溶剤を溶解することのできる第3の溶
剤に浸漬する工程とを有することを特徴とする体積位相
ホログラムの製造方法を提供する。
ゾールを有する重合体と、少なくとも多沃素化合物を光
反応開始剤として含む感光体を光の干渉パターンで露光
して体積位相ホログラムを形成する方法において、露光
後、キシレンまたはトルエン50〜90重量%と前記重合体
を無限大膨潤させない程度の膨潤性と前記光反応開始剤
に対する溶解性を有し、かつ双極子モーメントが1.0D以
上である極性溶剤50〜10重量%との混合物からなる第1
の溶剤に浸漬する工程と、次いで第2の溶剤で前記重合
体を膨潤処理した後、前記重合体に対しては非溶媒であ
るが、前記第2の溶剤を溶解することのできる第3の溶
剤に浸漬する工程とを有することを特徴とする体積位相
ホログラムの製造方法を提供する。
開始剤除去プロセスにおいて使用される溶剤には次の
ような性質が要求される。
ような性質が要求される。
(1)膜中に膨潤し、開始剤や色素を溶解した溶剤が、
膜の外へ拡散できる程度にPVCz(またはその共重合体)
を膨潤させること。
膜の外へ拡散できる程度にPVCz(またはその共重合体)
を膨潤させること。
(2)開始剤や色素に対する溶解度が高く、未反応の開
始剤等を良く溶かすこと。
始剤等を良く溶かすこと。
(3)PVCzと光反応により生じた沃素とのCT錯体を分断
し、沃素イオンを溶解すること。
し、沃素イオンを溶解すること。
PVCzと沃素とのCT錯体の構造についての詳細は不明で
あるが、カルバゾール環の窒素が+に分極し、沃素イオ
ン(I-)と錯体を形成しているか、または沃素−アミロ
ースCT錯体(Polymer Preprints,Japan Vol.36.p1799,1
987)からの類推で沃素イオン(I2−I2 -のような構造と
考えられる。以下I-も含めて沃素イオンという)が隣合
うベンゼン環の間に入った構造をとっているものと考え
られる。この沃素イオンは、カルバゾール環よりも沃素
イオンに対して親和性の強い物質が近傍にくるとそちら
と新たに結合するので、PVCzが溶剤で膨潤した状態にお
いて溶剤中に極性の強い溶剤が含まれていると、この極
性溶剤と結び付きPVCz膜中から除去されるものと考えら
れる。極性溶媒としては、双極子モーメントが1.0D以上
であるものが、概ね良好な結果を与える。主な溶剤とし
ては、1,2−ジクロルエタン、トリクロロエタン、1,1,
2,2−テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、o−
ジクロロベンゼン、クロロトルエン、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブ
タノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、
アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−
ペンタノル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ピリジン、N,N−
ジメチルホルムアミド、テトラヒドロチオフェンなどが
ある。
あるが、カルバゾール環の窒素が+に分極し、沃素イオ
ン(I-)と錯体を形成しているか、または沃素−アミロ
ースCT錯体(Polymer Preprints,Japan Vol.36.p1799,1
987)からの類推で沃素イオン(I2−I2 -のような構造と
考えられる。以下I-も含めて沃素イオンという)が隣合
うベンゼン環の間に入った構造をとっているものと考え
られる。この沃素イオンは、カルバゾール環よりも沃素
イオンに対して親和性の強い物質が近傍にくるとそちら
と新たに結合するので、PVCzが溶剤で膨潤した状態にお
いて溶剤中に極性の強い溶剤が含まれていると、この極
性溶剤と結び付きPVCz膜中から除去されるものと考えら
れる。極性溶媒としては、双極子モーメントが1.0D以上
であるものが、概ね良好な結果を与える。主な溶剤とし
ては、1,2−ジクロルエタン、トリクロロエタン、1,1,
2,2−テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、o−
ジクロロベンゼン、クロロトルエン、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブ
タノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、
アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−
ペンタノル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ピリジン、N,N−
ジメチルホルムアミド、テトラヒドロチオフェンなどが
ある。
これらの溶剤は、通常、単独ではPVCzに対する膨潤性
が弱すぎて開始剤の除去が不十分であったり(エタノー
ルや2−プロパノールなど)、膨潤性が強すぎて膜を溶
かしてしまう(テトラヒドロフランやクロロベンゼンな
ど)。また、増感色素が極性溶剤に溶解しにくい場合も
ある。開始剤の除去で求められる前記3条件を満足する
には、キシレンまたはトルエン適宜混合する必要があ
る。この際、混合溶剤中に極性溶剤が10〜50重量%含ま
れていれば、沃素イオンを溶解でき、CT錯体による光吸
収を低減できる。なお、溶剤中に含まれる微量の水はク
ラックの原因となるので、水を含みやすい溶剤を用いる
ときには、溶剤中の水を除去するとともに乾燥雰囲気中
で処理することが望ましい。
が弱すぎて開始剤の除去が不十分であったり(エタノー
ルや2−プロパノールなど)、膨潤性が強すぎて膜を溶
かしてしまう(テトラヒドロフランやクロロベンゼンな
ど)。また、増感色素が極性溶剤に溶解しにくい場合も
ある。開始剤の除去で求められる前記3条件を満足する
には、キシレンまたはトルエン適宜混合する必要があ
る。この際、混合溶剤中に極性溶剤が10〜50重量%含ま
れていれば、沃素イオンを溶解でき、CT錯体による光吸
収を低減できる。なお、溶剤中に含まれる微量の水はク
ラックの原因となるので、水を含みやすい溶剤を用いる
ときには、溶剤中の水を除去するとともに乾燥雰囲気中
で処理することが望ましい。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。
実施例1 重量平均分子量(w)75万のPVCz20g、ポリカーボ
ネート0.2g、ヨードホルム2.0gおよびルブレン0.4gをモ
ノクロロベンゼン250gに溶解し、2μmのテフロンフィ
ルタで濾過後、暗所にてガラス基板上にスピンコート
し、60℃で30分間乾燥して、膜厚6μmの感光板を得
た。この感光板を、Arレーザ(波長488nm)で2光束干
渉露光し、空間周波数2200本/mmのホログラムの潜像を
記録した。次に、下記に示す本発明の方法(a)と、比
較のため従来方法(b)で各々処理し、ホログラムを作
製した。
ネート0.2g、ヨードホルム2.0gおよびルブレン0.4gをモ
ノクロロベンゼン250gに溶解し、2μmのテフロンフィ
ルタで濾過後、暗所にてガラス基板上にスピンコート
し、60℃で30分間乾燥して、膜厚6μmの感光板を得
た。この感光板を、Arレーザ(波長488nm)で2光束干
渉露光し、空間周波数2200本/mmのホログラムの潜像を
記録した。次に、下記に示す本発明の方法(a)と、比
較のため従来方法(b)で各々処理し、ホログラムを作
製した。
(a)混合キシレン80重量%、テトラヒドロフラン10重
量%および2−プロパノール10重量%の混合液を27℃に
温度調節し、露光済感光板を5分感浸漬して、未反応の
ヨードホルムとルブレンおよび沃素イオンを除去した
(脱色処理)。次に、感光板を取り出して風乾してか
ら、混合キシレン80重量%およびトルエン20重量%の混
合液(21℃)に60秒浸漬してから、取り出し、直ちにn
−ペンタンに浸漬し、引き上げてホログラムを得た。
量%および2−プロパノール10重量%の混合液を27℃に
温度調節し、露光済感光板を5分感浸漬して、未反応の
ヨードホルムとルブレンおよび沃素イオンを除去した
(脱色処理)。次に、感光板を取り出して風乾してか
ら、混合キシレン80重量%およびトルエン20重量%の混
合液(21℃)に60秒浸漬してから、取り出し、直ちにn
−ペンタンに浸漬し、引き上げてホログラムを得た。
(b)混合キシレン80重量%およびトルエン20重量%の
混合液(21℃)に6分感浸漬して脱色するとともにPVCz
を膨潤させ、取り出したのち直ちにn−ペンタンに浸漬
し、引き上げてホログラムを得た。
混合液(21℃)に6分感浸漬して脱色するとともにPVCz
を膨潤させ、取り出したのち直ちにn−ペンタンに浸漬
し、引き上げてホログラムを得た。
第1図に、露光前の感光板と上記方法(a)および
(b)で処理したホログラム(露光量120mJ/cm2)のそ
れぞれの分光吸収特性を示す。第1図から、(b)の脱
色処理で作製したホログラムには、露光前にはなかった
660nm付近の吸収があるが、(a)で脱色処理したホロ
グラムにはこの吸収がないことがわかる。また、第2図
にHe−Neレーザ(633nm)で測定したときの膜の光量損
失率(約1%の散乱を含む)と露光量との関係を示す。
(b)の処理では、露光量の増加とともに吸収による光
量損失率が増加するが、(a)では光量損失が極めて小
さいことがわかる。ここで、光量損失率を{入射光量−
(反射光量+透過光量+透過回折光量+反射回折光
量)}/入射光量×100%で定義する。このため、第3
図に示すように、(a)の処理では、露光量が大きい領
域でも高い回折効率が得られた。ここで、回折効率は1
次回折光/入射光×100%で定義し、偏光面が干渉縞に
垂直な633nmの直線偏光で測定した。また、(b)の処
理ではホログラム膜に顕著なクラックが見られたが、
(a)処理ではクラックのない良好なホログラムが得ら
れた。
(b)で処理したホログラム(露光量120mJ/cm2)のそ
れぞれの分光吸収特性を示す。第1図から、(b)の脱
色処理で作製したホログラムには、露光前にはなかった
660nm付近の吸収があるが、(a)で脱色処理したホロ
グラムにはこの吸収がないことがわかる。また、第2図
にHe−Neレーザ(633nm)で測定したときの膜の光量損
失率(約1%の散乱を含む)と露光量との関係を示す。
(b)の処理では、露光量の増加とともに吸収による光
量損失率が増加するが、(a)では光量損失が極めて小
さいことがわかる。ここで、光量損失率を{入射光量−
(反射光量+透過光量+透過回折光量+反射回折光
量)}/入射光量×100%で定義する。このため、第3
図に示すように、(a)の処理では、露光量が大きい領
域でも高い回折効率が得られた。ここで、回折効率は1
次回折光/入射光×100%で定義し、偏光面が干渉縞に
垂直な633nmの直線偏光で測定した。また、(b)の処
理ではホログラム膜に顕著なクラックが見られたが、
(a)処理ではクラックのない良好なホログラムが得ら
れた。
実施例2および3 実施例1と同じ感光板を、120mJ/cm2で露光し、以下
の溶剤で脱色した後、実施例1(a)の方法で現像した
ところ、クラックがなく、He−Neレーザ光に対する吸収
の少ないホログラムが得られた。
の溶剤で脱色した後、実施例1(a)の方法で現像した
ところ、クラックがなく、He−Neレーザ光に対する吸収
の少ないホログラムが得られた。
実施例4 ビニルカルバゾールに対してスチレンを1モル%含む
共重合体(w=70万)20gと四沃化炭素2.0gをモノク
ロロベンゼン250gに溶解し、実施例1と同様にして感光
板の作製および露光を行った。露光後、p−シキレン80
重量%、テトラヒドロフラン10重量%およびアセトニト
リル10重量%の混合液(27℃)に5分感浸漬して開始剤
等を除去し、風乾後、20℃のp−シキレンに1分間浸漬
してからペンタンに浸漬した。作製したホログラムは回
折効率が85%で、クラックがなく、また実施例1と同様
にCT錯体の吸収が見られなかった。
共重合体(w=70万)20gと四沃化炭素2.0gをモノク
ロロベンゼン250gに溶解し、実施例1と同様にして感光
板の作製および露光を行った。露光後、p−シキレン80
重量%、テトラヒドロフラン10重量%およびアセトニト
リル10重量%の混合液(27℃)に5分感浸漬して開始剤
等を除去し、風乾後、20℃のp−シキレンに1分間浸漬
してからペンタンに浸漬した。作製したホログラムは回
折効率が85%で、クラックがなく、また実施例1と同様
にCT錯体の吸収が見られなかった。
本発明によれば、ビニルカルバゾールを含む重合体と
沃素複合イオンとの電荷移動錯体によると考えられる赤
色領域における光吸収を低減できるとともに、膜厚の厚
いホログラムにおいてもクラックの発生を防止できるの
で、回折効率が高く、クラックのない、良好なホログラ
ムを作製できるという効果がある。
沃素複合イオンとの電荷移動錯体によると考えられる赤
色領域における光吸収を低減できるとともに、膜厚の厚
いホログラムにおいてもクラックの発生を防止できるの
で、回折効率が高く、クラックのない、良好なホログラ
ムを作製できるという効果がある。
第1図は、実施例における、露光前の感光板と、(a)
脱色処理および(b)脱色処理したホログラムの分光吸
収特性を示すグラフである。第2図は、前記(a)脱色
処理および(b)脱色処理ホログラムのHe−Neレーザ測
定時の光量損失率と露光量との関係を示すグラフであ
る。第3図は、前記(a)脱色処理および(b)脱色処
理ホログラムの回折光量と露光量との関係を示すグラフ
である。
脱色処理および(b)脱色処理したホログラムの分光吸
収特性を示すグラフである。第2図は、前記(a)脱色
処理および(b)脱色処理ホログラムのHe−Neレーザ測
定時の光量損失率と露光量との関係を示すグラフであ
る。第3図は、前記(a)脱色処理および(b)脱色処
理ホログラムの回折光量と露光量との関係を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 元昭 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−102140(JP,A) 特開 昭62−275283(JP,A) 特開 昭63−259675(JP,A) 特開 平1−200385(JP,A) 特開 昭60−258579(JP,A) 特開 昭62−123489(JP,A) 特開 昭63−254485(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】繰り返し単位としてビニルカルバゾールを
有する重合体と、少なくとも多沃素化合物を光反応開始
剤として含む感光体を光の干渉パターンで露光して体積
位相ホログラムを形成する方法において、露光後、キシ
レンまたはトルエン50〜90重量%と前記重合体を無限大
膨潤させない程度の膨潤性と前記光反応開始剤に対する
溶解性を有し、かつ双極子モーメントが1.0D以上である
極性溶剤50〜10重量%との混合物からなる第1の溶剤に
浸漬する工程と、次いで第2の溶剤で前記重合体を膨潤
処理した後、前記重合体に対しては非溶媒であるが、前
記第2の溶剤を溶解することのできる第3の溶剤に浸漬
する工程とを有することを特徴とする体積位相ホログラ
ムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63132633A JP2620555B2 (ja) | 1988-06-01 | 1988-06-01 | 体積位相ホログラムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63132633A JP2620555B2 (ja) | 1988-06-01 | 1988-06-01 | 体積位相ホログラムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01303481A JPH01303481A (ja) | 1989-12-07 |
JP2620555B2 true JP2620555B2 (ja) | 1997-06-18 |
Family
ID=15085892
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63132633A Expired - Lifetime JP2620555B2 (ja) | 1988-06-01 | 1988-06-01 | 体積位相ホログラムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2620555B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54102140A (en) * | 1978-01-27 | 1979-08-11 | Canon Inc | Production of hologram |
-
1988
- 1988-06-01 JP JP63132633A patent/JP2620555B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01303481A (ja) | 1989-12-07 |
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