JP2741718B2 - ホログラムの製造方法 - Google Patents

ホログラムの製造方法

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JP2741718B2 JP18600689A JP18600689A JP2741718B2 JP 2741718 B2 JP2741718 B2 JP 2741718B2 JP 18600689 A JP18600689 A JP 18600689A JP 18600689 A JP18600689 A JP 18600689A JP 2741718 B2 JP2741718 B2 JP 2741718B2
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【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 ホログラムの製造方法に関し、 特に感度及び光透過性にすぐれたホログラムを再現性
良く得ることを可能ならしめる方法を提供することを目
的とし、 下記の工程: カルバゾール環を単位構造中に有する重合体及び有機
ハロゲン化合物を含んで構成される記録担体を光の干渉
パターンに露出してホログラム潜像を形成する工程、 前記露光後の記録担体を30分間〜1週間にわたって放
置する工程、および 放置の完了後、前記記録担体を引き続き脱色および/
または現像する工程、 を含んでなるように構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明はホログラムの製造方法に関する。本発明は、
さらに詳しく述べると、カルバゾール環を含む重合体を
ホログラム材料(以下、特に“記録担体”とも呼ぶ)と
して用いた体積位相型ホログラムの製造方法に関する。
本発明による製造方法では、特に感度及び光透過性にす
ぐれたホログラムを再現性良く得ることができるので、
ホログラムの利用範囲を大幅に拡大することができる。
〔従来の技術〕
ホログラムは複数の可干渉性の光の干渉パターンを記
録したもので、記録時の一方の光束を当てて記録時の他
の光束を再生する技術であることは周知の通りである。
ホログラムは、当初、立体写真技術として発展してきた
が、レンズやプリズム、ミラーといった従来の光学部品
の機能をホログラム膜に集約できることから、最近では
新しい光学素子としてバーコードリーダやレーザプリン
タなどのレーザ走査系や、ヘッドアップディスプレイの
コンバイナなどへ適用されつつある。
ここで、ホログラム光学素子を構成する記録材料及び
製造方法の必要条件は、 可視光レーザで記録できること、 高感度であること、 回折効率が高いこと、 無色透明で光透過率が高いこと、 耐環境性に優れていること、 膜にクラック等の欠陥の無いこと、 などである。
ホログラム記録用感光材料としては、通常の写真材料
に使用されている銀塩に漂白処理を施したものや、重ク
ロム酸ゼラチンが使用されている。これらの銀塩や重ク
ロム酸ゼラチンはほぼ可視光の全域にわたって高い感度
を有するものの、ゼラチン膜を結合剤として用いるため
に耐湿性、耐熱性、耐光性などの耐環境性が低いという
問題がある。
これらの問題を解決することを目的として、カルバゾ
ール環を含む重合体を基材樹脂として含有しかつこれに
組み合わせて光反応開始剤としての有機ハロゲン化合物
を含有する高分子ホログラム記録材料が提案されてい
る。例えば、特公昭55−31453号公報には、光散乱パタ
ーン及びレリーフパターンの形成に有用な、従来のホト
レジストの低感度を改良した新規な感光体が開示されて
いる。
カルバゾール環を含む重合体のホログラム製造プロセ
スは、従来の重クロム酸ゼラチンのそれと類似してお
り、まず干渉露光によって膜内に干渉縞に対応した分子
量分布が形成される。次に分子量分布に従ったホログラ
ム潜像を現像するのであるが、その前にホログラム露光
の乾板をカルバゾール環を含む重合体に対して適度な溶
解性を持つ溶媒で処理して増感剤や架橋剤、光反応開始
剤などを除去する(この処理を特に脱色処理と呼ぶ)。
処理工程で脱色液として使用する溶媒としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロ
ロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、1,2
−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロ
ロエチレン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルア
ルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、プロ
ピルアルコール、イソプロピルアルコールなどがあり、
これらの溶媒は単独または混合して使用できる。
現像は、2種類の特性の異なる溶液で処理して行う。
まず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレ
ン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クメン、フェ
ノール、クレゾール、ベンジルアルコール、ベンジルク
ロライド、α−メチルナフタリンまたはこれらの溶媒の
混合液等の、カルバゾール環を含む重合体を膨潤せしめ
得る溶解性を持った良溶媒である第1の溶液で処理して
膜を膨潤させる。膜の膨潤後、例えばペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルアル
コール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、アミルアルコール、ジエチルエー
テル、メチルエチルエーテル、アセトン、メチルエチル
ケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等のカルバゾール環を
含む重合体の貧溶媒である第2の溶液で処理することに
より、露光パターンに従った屈折率変化を発生させる。
このようにして、体積位相型のホログラムが形成でき
る。
また、低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒の混合液を用
いることで、一回の処理で現像を完了することもでき
る。カルバゾール環を含む重合体に対する良溶媒と貧溶
媒の混合液で、露光したカルバゾール環を含む重合体の
膜を膨潤させる。膨潤の度合は、良溶媒及び貧溶媒の種
類や組成比で調整できる。この液で膜の膨潤後、基板を
ゆっくり引き上げる。良溶媒として沸点の低いものを用
いると、先に良溶媒が気化して貧溶媒が残留し(貧溶媒
の濃度が高くなり液全体のカルバゾール環を含む重合体
に対する溶解性が低下する)、カルバゾール環を含む重
合体が析出して貧溶媒と分離する。その後、貧溶媒が気
化した跡が空隙となってホログラムが形成される。現像
液に使用する低沸点良溶媒としては、例えば、ジクロロ
メタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエ
タン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、
ベンゼン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランな
どがあり、これらの溶媒も単独または混合して使用でき
る。高沸点貧溶媒としては、ヘプタン、オクタン、ノナ
ン、デカンなどのパラフィン系炭化水素やブチルアルコ
ール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールな
どのアルコール類を単独または混合して利用できる。
先に述べた脱色処理を現像前に行うのが好ましいが、
これを省略してもホログラムは作製できる。この場合、
増感剤や架橋剤、光反応開始剤の除去は現像時に同時に
行われることになる。
しかし、以上に述べたどのプロセスでホログラムを作
製しても、もしも光反応開始剤としての有機ハロゲン化
合物として例えば沃素化合物を用いると、現像後、光照
射量が増すに従って有機ハロゲン化合物が分解し、緑色
を呈するようになり、ホログラムの透明性が低下すると
いう問題がある。この原因については、光反応開始剤の
分解生成物の沃素がカルバゾール環を含む重合体と電荷
移動錯体(CT錯体)を形成し、ホログラムが着色するた
めと考えられている。カルバゾール環を含む重合体と沃
素のCT錯体の構造についての詳細は不明であるが、カル
バゾール環の窒素が+に分極し、沃素イオン(I-)と錯
体を形成しているか、または沃素−アミロースCT錯体
Polymer Preprints,Japan Vol.36.p1799,1987を参
照)からの類推で沃素イオンが隣合うベンゼン環の間に
入った構造をとっているものと考えられる。
さらに、感度についてもばらつきが大きいという問題
があった。この原因の一つには、カルバゾール環を含む
重合体が光反応開始剤(有機ハロゲン化合物)で光反応
をする時、その反応時間により、その光反応の進み具合
にばらつきが生じるためと考えられる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、上記したような従来の技術の問題点
を解決して、特に感度及び光透過性にすぐれたホログラ
ムを再現性良く得ることを可能ならしめる方法を提供す
ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記した目的は、本発明によれば、下記の工程:カル
バゾール環を単位構造中に有する重合体及び有機ハロゲ
ン化合物を含んで構成される記録担体を光の干渉パター
ンに露出してホログラム潜像を形成する工程、 前記露光後の記録担体を30分間〜1週間にわたって放
置する工程、および 放置の完了後、前記記録担体を引き続き脱色および/
または現像する工程、 を含んでなることを特徴とするホログラムの製造方法に
よって達成することができる。
本発明の製造方法において、記録担体は、その基材樹
脂としてカルバゾール環含有重合体を含有する。カルバ
ゾール環含有重合体は、この技術分野において一般的に
用いられているもののなかから任意に選ぶことができ、
例えば、ポリビニルカルバゾール、ビニルカルバゾール
共重合体、ハロゲン置換ビニルカルバゾールなどを包含
する。記録担体はまた、このカルバゾール環含有重合体
と組み合わせて、架橋剤及び光反応開始剤として作用し
得る有機ハロゲン化合物、好ましくは有機沃素化合物、
例えばヨードホルムなどを含有する。有機ハロゲン化合
物の量は所望とする結果や使用する反応条件などに応じ
て広く変更することができる。さらにまた、記録担体
は、必要に応じて、この技術分野において一般的に用い
られている各種の添加剤、例えば、有機ハロゲン化合物
以外の架橋剤及び光反応開始剤、色素等の増感剤、その
他を任意に含有することができる。これらの添加剤の使
用量も広く変更することができる。
記録担体は、それを適当な基板上に成膜した後、ホロ
グラム潜像の形成のために例えば二光束干渉光学系など
で光の干渉パターンに露出する。ここで、例えばアルゴ
ンレーザ光などを露光源として用いることができる。
上記の干渉露光後であって現像の前、干渉露光により
開始させた光反応をある程度まで進行させるために30分
間〜1週間にわたって記録担体を放置する。所定の放置
時間の経過後に、記録担体を現像する。この工程は、従
来常用の技法を用いて、例えば先に列挙した溶媒を用い
て一液処理法あるいは二液処理法で行うことができる。
また、必要に応じて、そして好ましくは、この現像工程
に先がけて脱色処理を行う。この脱色工程も従来常用の
技法及び溶媒を用いて行うことができる。以上のような
一連の工程を経て、所望とするホログラムを得ることが
できる。
〔作 用〕
本発明では、カルバゾール環を単位構造中に含む重合
体、例えばポリビニルカルバゾールと有機ハロゲン化合
物、例えば沃素化合物とを含んで構成される記録担体を
用いて、まず干渉露光で光反応を開始した後、すぐに電
荷移動(CT)錯体を除去しようとすると、感度が低下す
るばかりでなく、このCT錯体を除去するのが困難にな
り、ホログラムの透明性が低下することがわかった。と
ころが、干渉露光した後、30分〜1週間後にCT錯体を除
去すると、感度も高くなり、再現性の良いホログラムが
得られ、さらにCT錯体を完全に除去できるため、ホログ
ラムの透明性が向上することがわかった。また、放置を
1週間以上行うと回折効率が低くなることもわかった。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例によってさらに説明する。
例 1 テトラヒドロフラン40g、モノクロロベンゼン40gおよ
びo−ジクロロベンゼン40gの混合液に基材樹脂として
のポリビニルカルバゾール(分子量800,000)10gを溶解
し、得られた溶液にさらに少量のヨードホルムおよび増
感剤を加えて感光液とした。この感光液をガラス基板上
にスピンコート法により塗布して、膜厚10μmの感光膜
を有する記録担体を形成した。この感光膜にアルゴンレ
ーザ光(波長488nm)を担体の両側から照射して、二光
束干渉露光光学系で反射型ホログラムを潜像として記録
した。
露光の完了後、引き続く脱色工程を直ちに実施しない
で、記録担体を30分間(第1例)及び1週間(第2例)
そのまゝ放置した。
所定時間の放置が完了した後、記録担体をベンゼンで
脱色処理して未反応のヨードホルム、増感剤等を除去し
た。記録担体を乾燥窒素雰囲気中でしばらく放置した
後、ジクロロメタン、n−オクタン及びブチルアルコー
ルの混合液を用いて一液処理方法で現像を行った。第1
例及び第2例とも、感度及び光透過性にすぐれたホログ
ラムが再現性良く得られた。作製したホログラムの露光
量と作製波長で再生した場合の回折効率の関係を第1図
に、そして露光後脱色までの時間を1週間とした時の波
長と分光透過率との関係(露光量を変更)を第3図に、
それぞれプロットする。
例 2 本例は比較例である。
前記例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比
較のため、干渉露光の完了後すぐに脱色処理を試みた。
例1に較べて回折効率等の特性の劣ったホログラムが得
られた。前記例1の場合と同様に、作製したホログラム
の露光量と回折効率の関係を第1図に、そして波長と分
光透過率との関係(露光量を変更)を第2図に、それぞ
れプロットする。
例 3 本例は比較例である。
前記例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比
較のため、干渉露光後脱色までの時間を2週間とし、そ
の間記録担体を放置した。前記例2の場合と同様、回折
効率等の特性の劣ったホログラムが得られた。前記例1
の場合と同様に、作製したホログラムの露光量と回折効
率の関係を第1図にプロットする。
第1図〜第3図にプロットした結果から、次のような
事実が明らかである: 露光後即脱色 作製したホログラムの露光量と作製波長で再生した場
合の回折効率の関係(第1図)から、低露光領域で回折
効率が低く感度の低いことがわかる。また、回折効率の
高くなる高露光領域では光透過率が低下していることも
わかる。第2図に示す高露光領域の分光透過率から、67
0nm付近の透過率の低下はポリビニルカルバゾールと沃
素の電荷移動錯体(CT錯体)の吸収に関与しているもの
であり、CT錯体が完全に除去されていないことがわか
る。
露光30分後、1週間後脱色 作製したホログラムの露光量と作製波長で再生した場
合の回折効率の関係(第1図)から、露光後即脱色の場
合よりも、低露光領域で回折効率が高くなり感度が高く
なっていることがわかる。露光後脱色処理まで30分間放
置したものと1週間放置したものではほぼ等しい特性を
示すこともわかる。また、第3図から、第2図に存在し
た高露光領域の670nm付近の透過率の低下は見られない
こともわかる。これは、脱色処理でCT錯体が完全に除去
されたものと考えられる。
露光2週間後脱色 作製したホログラムの露光量と作製波長で再生した場
合の回折効率の関係(第1図)から、露光30分後、1週
間後脱色の場合と較べると、高露光領域でも回折効率が
低くなっており、高い回折効率を得にくくなっているこ
とがわかる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、従来の製造方法と較べて、感度及び
光透過性にすぐれたホログラムを再現性良く得ることが
可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、回折効率に及ぼす露光量の影響をいろいろな
放置時間(露光後脱色までの時間)についてプロットし
たグラフ、 第2図は、露光後即脱色を行った場合の分光透過率の波
長による変化をプロットしたグラフ、そして 第3図は、露光後1週間で脱色を行った場合の分光透過
率の波長による変化をプロットしたグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉光 庸子 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の工程: カルバゾール環を単位構造中に有する重合体及び有機ハ
    ロゲン化合物を含んで構成される記録担体を光の干渉パ
    ターンに露出してホログラム潜像を形成する工程、 前記露光後の記録担体を30分間〜1週間にわたって放置
    する工程、および 放置の完了後、前記記録担体を引き続き脱色および/ま
    たは現像する工程、 を含んでなることを特徴とするホログラムの製造方法。
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