JP2617431B2 - バクテリアセルロース含有高力学強度シート - Google Patents

バクテリアセルロース含有高力学強度シート

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JP2617431B2 JP7098541A JP9854195A JP2617431B2 JP 2617431 B2 JP2617431 B2 JP 2617431B2 JP 7098541 A JP7098541 A JP 7098541A JP 9854195 A JP9854195 A JP 9854195A JP 2617431 B2 JP2617431 B2 JP 2617431B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバクテリアの産生する特
定のセルロースを含有せしめることにより得られる高力
学強度シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バクテリアの産生するセルロース
としては、アセトバクター・キシリナム(Acetob
acter xylinum)ATCC 23769が産
生するシート状のものを医療用パッドに利用することが
知られている(特開昭59−120159号公報)。
【0003】一方、従来のシートには種々のものが知ら
れており、セルロースについても繊維をシート状に利用
したもののほかセルロース誘導体を一旦溶解して加工し
たセロファン、セルロイドなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の各種植物由来の
セルロース及びセルロース誘導体の力学的強度はさほど
大きくなく、例えばシート状のセルロイドやセロファン
の弾性率はせいぜい2〜3GPa程度であった。
【0005】バクテリアの産生するセルロースを利用し
たものとしては前述の例があるが、その利用は医療用パ
ッドに限られており、高力学強度分野における素材とし
て利用価値が高いことについては全く知られていなかっ
た。
【0006】本発明の目的は、従来のシートを越えた、
引張り強さ、耐伸縮性にすぐれた高弾性及び高強度のシ
ートを提供することにある。
【0007】本発明の別の目的は、この高力学強度に加
えて親水性にすぐれかつ毒性上問題のないシートを提供
することにある。
【0008】本発明のさらに別の目的は、高力学強度に
加えて導電性、磁性、高絶縁性、熱伝導性、耐候性、耐
薬品性などを付与することにより各種利用分野において
すぐれた高力学強度シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの目
的を達成するべく種々研究を行ない、微生物の産生する
リボン状のミクロフィブリルよりなるセルロースが引張
り強さ等の力学強度が極めて大きく、このバクテリアセ
ルロースを含有せしめた素材をシートに用いることによ
って前記目的を達成しうることを見出し、この知見に基
いて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、アセトバクター属微
生物が産生する、幅100〜500Å、厚さ10〜20
0Åのリボン状ミクロフィブリルよりなり機械的なせん
断力で離解されたバクテリアセルロースを含有している
ことを特徴とする高力学強度シートに関するものであ
る。
【0011】バクテリアセルロースは、第1図にその電
子顕微鏡写真を示すように、幅100〜500Å、厚さ
10〜200Å程度のリボン状ミクロフィブリルからな
っている。一般にはゲルの形で得られ、その含水率は9
5%(w/v)以上である。
【0012】このセルロースはセルラーゼによって容易
に分解され、グルコースを生成する。すなわち、本セル
ロースの0.1%(w/v)懸濁液にセルラーゼ(EC
3,2,1,4)(天野製薬製)を0.5%(w/v)にな
るように溶かし、0.1M酢酸緩衝液中で30℃で24
時間反応させた。その結果、本物質の一部が分解される
ことが観察され、上澄液をペーパークロマトグラフィー
で展開したところグルコースのほかに少量のセロビオー
ス、セロトリオース及びその他のセロオリゴ糖が検出さ
れた。このほかに少量のフラクトース、マンノース等が
検出される場合もあった。
【0013】すなわち、本発明のバクテリアセルロース
はセルロース及びセルロースを主鎖としたヘテロ多糖を
含むもの及びβ−1,3,β−1,2等のグルカンを含む
ものである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成
成分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシ
ロース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の
六炭糖、五炭糖及び有機酸等である。なお、これ等の多
糖が単一物質である場合もあるし、2種以上の多糖が水
素結合等により混在していてもよい。
【0014】バクテリアセルロースは上記のようなもの
であればいかなるものであっても使用可能である。
【0015】このようなバクテリアセルロースを産生す
る微生物はアセトバクター属細菌であり、アセトバクタ
ー・アセチ・サブスピーシス・キシリナム(Aceto
bacter aceti subsp.xylinu
m)ATCC 10821あるいは同パストウリアヌス
(A・pasteurianus)、同ランセンス(A
・rancens)等でバクテリアセルロースを産生す
るものを利用することができる。
【0016】これらの微生物を培養してバクテリアセル
ロースを生成蓄積させる方法は細菌を培養する一般的方
法に従えばよい。すなわち、炭素源、窒素源、無機塩
類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微
量栄養素を含有する通常の栄養培地に微生物を接種し、
静置又はゆるやかに通気攪拌を行なう。炭素源として
は、グルコース、シュクロース、マルトース、澱粉加水
分解物、糖密等が利用されるが、エタノール、酢酸、ク
エン酸等も単独あるいは上記の糖と併用して利用するこ
とができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化
アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム
塩、硝酸塩、尿素、ペプトン等の有機あるいは無機の窒
素源が利用される。無機塩類としては、リン酸塩、マグ
ネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が利用
される。有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミ
ン、脂肪酸、核酸、さらにはこれらの栄養素を含むペプ
トン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白加水分解物等
が利用され、生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を用いる場合には要求される栄養素をさらに補添す
る必要がある。
【0017】培養条件も通常でよく、pHを5ないし9
そして温度を20ないし40℃に制御しつつ1ないし3
0日間培養すれば表層にバクテリアセルロースがゲル状
に蓄積される。
【0018】本発明で使用するバクテリアセルロースは
微生物の培養物から単離された精製品のほか、用途に応
じある程度不純物を含むものであっても良い。例えば培
養液中の残糖,塩類,酵母エキス等が微生物セルロース
に残留していてもさしつかえない。また、菌体がある程
度含まれていても良い。
【0019】このゲルを取り出して必要により、水洗す
る。この水洗水には目的に応じて殺菌剤、前処理剤など
の薬剤を添加することができる。
【0020】離解は機械的な剪断力を利用して行なえば
よく、例えば回転式の離解機あるいはミキサー等で容易
に離解できる。
【0021】シート状にするには、離解したバクテリア
セルロースを層状にし、これを必要により圧搾して乾燥
すればよい。圧搾によって面配向したものが得られるほ
か、圧延を加えることによって面配向するとともにさら
に一軸配向したシートを得ることができる。
【0022】バクテリアセルロースは引張り強度等の力
学的強度を高めるためにミクロフィブリルがからみ合っ
た構造にするのがよく、そのために直角方向から加圧し
て圧搾することにより自由水の大部分を除去してから乾
燥する方法は有効である。圧搾圧力は1〜10kg/c
2程度が適当である。この圧搾によって乾燥後のセル
ロースは圧搾方向に応じて配向したものになる。また、
圧力を加えながら一方向に延ばす操作、すなわち圧延操
作を行なうことによって乾燥後のセルロースは圧搾方向
に加えて圧延方向に対しても配向性を有するに至る。圧
搾装置は市販の機種のなかから適宜選択して利用するこ
とができる。
【0023】シートの乾燥は適当な支持体に固定して行
なうことが望ましい。この支持体へ固定することによっ
て面配向度がさらに高まり、力学的強度の大きなシート
を得ることができる。支持体には例えば網状構造をもっ
た板、ガラス板、金属板などを利用できる。乾燥温度は
セルロースが分解されない範囲であればよく加熱乾燥法
のほか凍結乾燥法も利用できる。
【0024】シートの厚さは用途に応じて定められる
が、通常1〜500μm程度である。
【0025】シートには各種の添加剤を加えることがで
きる。例えば、各種の高分子材料の溶液(水性又は非水
性)、エマルジョン、ディスパージョン、粉体、溶融物
等を加えることにより、その添加物の特性に応じて、強
度、耐候性、耐薬品性、耐水性、撥水性、静電防止性等
の幾つかを付与することができる。アルミニウム、銅、
鉄、亜鉛などの金属又はカーボンを粉末状あるいは糸状
で加えれば導電性及び熱伝導性を高めることができる。
また、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、カオリ
ン、ベントナイト、ゼオライト、雲母、アルミナ等の無
機質材料を加えればその種類に応じて耐熱性、絶縁性な
どを改善し、あるいは表面に平滑性を付与することがで
きる。低分子有機質あるいは接着剤を加えることによっ
て強度をさらに増すことができる。フタロシアニン、ア
ゾ化合物、アイ、ベニハナなどの色素で着色してもよ
い。着色にはそのほか各種の塗料、染料、顔料を利用す
ることができる。医薬品、殺菌剤を加えることによって
メディカルシートとして利用することもできる。
【0026】これらの混練物、添加剤は97%以下で目
的の物性が得られる適当な量が加えられる。これらの添
加時期は問うところではなく、バクテリアセルロースゲ
ルあるいはその離解物に加えてもよく、圧搾後に加えて
もよく、また乾燥後に加えてもよい。さらに、培地中あ
るいは培養物に加えてもよい場合もある。添加方法も混
合のほか含浸によってもよい。
【0027】このようなシートには他の物質の層を積層
することもできる。積層物はシートの使用目的に応じて
適宜選択される。前述の混練物あるいは添加物のなかか
ら選択することもでき、例えば耐水性の付与のために各
種高分子材料をコーティングすることができる。
【0028】紙として利用する場合には、バクテリアセ
ルロースゲルを離解後抄紙して乾燥すればよく、それに
よって引張強度、耐伸縮性等にすぐれるとともに化学的
に安定で吸水性、通気性にすぐれた高弾性及び高強度の
紙を得ることができる。この場合、製紙に使用される通
常の添加剤、処理剤等を利用することができ、また、前
述の混練物、添加剤のなかから選択して加えることもで
きる。
【0029】近年、電気絶縁紙、耐熱紙、難燃紙等の要
求が高まり、非セルロース繊維を使用した合成紙、無機
紙等が作られるようになった。これらを湿式法で作ろう
とする場合には、非セルロース繊維が水素結合を行なわ
ないため、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリ
コニトリル、芳香族ポリアミド等の繊維の如くパルプ化
された繊維が得られる場合を除いて、セルロースパルプ
を添加して抄紙を行なう必要がある。この場合には出来
る限りパルプ量を少なくして絶縁性、耐熱性、難燃性を
向上させることが要求される。しかし、一般に使用され
ている木材パルプを混抄する場合には、添加量は20〜
50%に達し、目的が充分に達せられない。しかるに、
木材パルプの代りにバクテリアセルロースを用いること
にセルロース量を大幅に減少させることができ、絶縁
性、耐熱性、難燃性にすぐれた紙を得ることができた。
従って本発明の高力学強度シートはこれらにも有効であ
る。
【0030】また、光架橋性ポリビニルアルコールは従
来の光架橋性樹脂と比較して生物に対する親和性がよい
といわれており、酵素、微生物等の固定化剤の用途がこ
れによりさらに向上すると考えられている。また、印刷
の原板を製作するときに使用されるフォトレジストは、
基板上に樹脂を塗り、これに印刷すべき図案等を投影し
て光架橋を起こさせて樹脂を硬化させ、未硬化樹脂を洗
い流して印刷原板を製作するものであるが、水溶性であ
るこの光架橋性ポリビニルアルコールはフォトレジスト
にも従来の油溶性のものに比べて安価で洗浄が容易とい
う利点を有しており、応用が期待されている。しかし、
これらの場合に水によって光架橋性ポリビニルアルコー
ルが膨潤し架橋構造が破壊されてしまうという問題があ
った。しかるにバクテリアセルロースを加えることによ
ってこの膨潤を阻止することができる。
【0031】
【実施例】実施例1 シュクロース5g/dl、酵母エキス(Difco)0.
5g/dl、硫安0.5g/dl、KH2PO4 0.3g
/dl、MgSO4・7H2O 0.05g/dl(pH
5.0)の組成の培地50mlを200ml容三角フラ
スコに張込み、120℃で20分間蒸気殺菌した。これ
に酵母エキス0.5g/dl、ペプトン0.3g/dl、
マンニトール2.5g/dl(pH6.0)の組成の試
験管斜面寒天培地で生育させた(30℃、3日間)アセト
バクター、アセチ、サブスピーシス、キシリナムATC
C 10821を1白金耳づつ接種し30℃で培養し
た。30日後、培養液の上層に白色のバクテリアセルロ
ース性多糖を含むゲル状の膜が形成された。
【0032】このゲル状のバクテリアセルロースをホモ
ジナイザーにより離解し、TAPPI法により抄紙し
た、このものの振動リード法で測定したヤング率Eは、 E=7.4GPa
【0033】また、濾水性を向上させ、微細粒子の歩留
りを向上させる目的で上述の離解したバクテリアセルロ
ースにポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(ディック・
ハーキュレス社製カイメン557H)5%(固形分比)
を添加し、抄紙した。この紙のEは次の通りであった。 E=8.1GPa
【0034】いずれの場合も高強度の紙が得られた。
【0035】実施例2 ノボロイド繊維(郡栄化学工業製・商品名カイノール繊
維KF0203,φ14μm,3mm長)に対し離解し
たバクテリアセルロースを添加し、坪量60g/m2
シートをTAPPI法により抄紙した(TAPPI s
tandardT205m−58)。
【0036】また、比較のため通常の木材パルプ(N.
U.SP)を高度に叩解したもの(CSF245ml)
とカイノール繊維との混抄紙も作製した。
【0037】これらのシートの裂断長を自記記録式引張
試験機で測定した。結果は次表の如くになった。
【0038】
【表1】
【0039】バクテリアセルロースの使用により、少量
の添加で抄紙が可能となり、また強度も大となった。通
常のパルプ使用の場合には、10部以下の使用では抄紙
不能であった。
【0040】実施例3 種々の無機繊維を使用し、離解したバクテリアセルロー
スとの混抄紙を作製し裂断長を測定した。結果は次表の
通りであった。
【0041】
【表2】
【0042】いずれの場合にも5〜10%の添加で抄紙
が可能であった。
【0043】実施例4 木材パルプ(N.U.KP)(CSF540ml)に対し
離解したバクテリアセルロース(B.C.)を加え、さら
に硫酸バン±5%(固形分比)を添加して抄紙した紙の
特性は次の通りであった。
【0044】
【表3】
【0045】バクテリアセルロースの添加により紙強度
が向上した。
【0046】実施例5 所定の培養で得られたゲル状のバクテリアセルロースを
標準パルプ離解機で離解した後125meshのふるい
で濾過して固型分含量約8.8%のペースト状の離解物
を得た。これを以下の実験に使用した。
【0047】光架橋性ポリビニルアルコール(PVA)−
SbQ(GH−17SbQ 10.5wt% 1.2mo
l% 東洋合成工業(株))と上記の離解物と水を暗室中
で下表の割合で混合した。
【0048】
【表4】 (a) PVA−SbQ(GH17SbQ 10.5wt
% 1.2mol%) (b) バクテリアセルロース離解物(乾燥重量換算) (c) H2
【0049】上の表の混合物をアクリル板上にガラス棒
で厚さ約0.7mmに流延した。これを一晩風乾後さら
に40℃、30min風乾した。ここまでの操作は暗室
中で行なった。これを30分間日光下で露光し架橋し
て、シートを得た。
【0050】上記のものを3×1cmのリボン状に切断
し水中に入れ2hr膨潤試験を行なった。結果を下表に
示す。
【0051】
【表5】
【0052】バクテリアセルロースを入れることによ
り、膨潤を阻止できた。
【0053】次はこのシートの引張試験を行なった。
【0054】
【表6】
【0055】バクテリアセルロースを入れることによ
り、弾性率を1.3〜1.6倍に改善することが出来
た。
【0056】実施例6 実施例5の表4の組成の混合物を厚さ1mmのスライド
ガラスをスペーサーとして2枚のガラス板の間にサンド
イッチ状にはさんだ。これをそのまま日光で30分間露
光して架橋させ、湿潤状態のコンニャク状のゲルを得
た。これを蒸留水中に入れ実施例5と同様に膨潤試験を
行なった。結果を下表に示す。
【0057】
【表7】 *試料3,4は膨潤することにより破壊された。
【0058】バクテリアセルロースを混入することによ
り、ゲルの膨潤と破壊が阻止された。
【0059】実施例7 銅粉(福田金属箔粉工業製φ10μm)と木材パルプ
(N..KP)(CSF540ml)との混合物に離解
したバクテリアセルロースを加え、TAPPI法により
抄紙した。また、比較のために銅粉と木材パルプとの混
抄紙も作成した。これらのシートについて自動記録式引
張り試験機で物性を測定した。結果を次表に示す。
【0060】
【表8】
【0061】バクテリアセルロースの使用により、銅粉
の洩れがなく、また強度も大巾に向上した。通常のパル
プの場合は銅粉の60%以上が洩れて流出した。
【0062】実施例8 木材パルプ(N.U.KP)(CSF540ml)に対
して離解したバクテリアセルロースを加え、TAPPI
法により抄紙した。この紙にフェノール樹脂を含浸させ
て風乾し熱プレス加工によりフェノール積層板を作製し
た。
【0063】また、比較のために木材パルプのみによる
フェノール積層板も同様に作製した。これらのフェノー
ル積層板をダンベル1号型(JIS K−7113)に
成型し、自動記録式引張り試験機により物性を測定し
た。結果を次表に示す。
【0064】
【表9】
【0065】バクテリアセルロースの使用によりフェノ
ール積層板の強度が大巾に向上した。
【0066】実施例9 窒化ケイ素及び炭化ケイ素(タテホ化学製10μm長)
に対して離解したバクテリアセルロースを加え、TAP
PI法により抄紙した。また、比較のために、木材パル
プ(N.U.KP)及びミクロフィブリルセルロース
(MFC:ダイセル化学製)との混抄についても同様に
行った。得られたシートを自動試録式引張り試験機によ
り物性を測定した。その結果を次表に示す。
【0067】
【表10】
【0068】バクテリアセルロースの使用により、窒化
ケイ素及び炭化ケイ素の洩れがなくまた弾性率も大巾に
向上した。通常のパルプの場合は窒化ケイ素及び炭化ケ
イ素の60%以上が洩れて流出しMFCの場合はその殆
んどが洩れて流出した。
【0069】
【発明の効果】本発明の高力学強度シートは引張強度、
耐伸縮性、弾性等にすぐれている。
【0070】従ってこのシートは高い強度が要求される
複合プラスチックス用の強化材として、例えば船、航空
機、自動車などのボディ材料として、配線基盤等とし
て、あるいは記録紙などの高級紙、打楽器の振動板等と
して使用できる。
【0071】加えて、この材料は天然物であって人の皮
膚に対して炎症を生じさせなく、かつ通気性に優れてい
るので絆創膏基材として優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アセトバクターアセティーサブスピーシスキ
シリナムの生産するセルロース性物質の電子顕微鏡写真
である。
フロントページの続き (72)発明者 市村 国宏 茨城県筑波郡谷田部町松代5丁目630棟 (72)発明者 山中 茂 神奈川県横浜市南区大岡3−40−13 (72)発明者 渡部 乙比古 神奈川県川崎市川崎区観音2−20−8 (72)発明者 西 美緒 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 瓜生 勝 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭51−11902(JP,A) 米国特許4320198(US,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセトバクター属微生物が産生する、幅
    100〜500Å、厚さ10〜200Åのリボン状ミク
    ロフィブリルよりなり機械的なせん断力で離解されたバ
    クテリアセルロースを含有していることを特徴とする高
    力学強度シート
JP7098541A 1995-04-24 1995-04-24 バクテリアセルロース含有高力学強度シート Expired - Lifetime JP2617431B2 (ja)

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