JP2798882B2 - 繊維−バクテリアセルロース複合体の製造方法及び該方法によって得られ得る複合体 - Google Patents
繊維−バクテリアセルロース複合体の製造方法及び該方法によって得られ得る複合体Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維−バクテリアセル
ロース複合体及びその製造方法に係わり、特に、該複合
体をパルプ原料とした非木材紙を提供する。
ロース複合体及びその製造方法に係わり、特に、該複合
体をパルプ原料とした非木材紙を提供する。
【0002】
【従来の技術】森林資源は伐採量の拡大、酸性雨及び環
境汚染などの要因から減少の一途をたどっている。伐採
された森林資源、即ち木材の消費量の約1/6はパルプ
工業(製紙業)によるものであり、環境及び資源保護の
目的から再生紙や非木材紙(木材以外の植物繊維から得
たセルロースをパルプ原料とする紙)の製造技術の確立
及び進歩が求められている。
境汚染などの要因から減少の一途をたどっている。伐採
された森林資源、即ち木材の消費量の約1/6はパルプ
工業(製紙業)によるものであり、環境及び資源保護の
目的から再生紙や非木材紙(木材以外の植物繊維から得
たセルロースをパルプ原料とする紙)の製造技術の確立
及び進歩が求められている。
【0003】非木材紙としては、農業廃棄物(例えばサ
トウキビ、タケ、アサ、ムギ、イネ、及びトウモロコシ
などの農作物において、実の収穫後に留置される藁状繊
維等)を利用しパルプ原料を得る方法が公知であり、中
でも、バガス紙については現在あらゆるグレードの紙
(例えば、グラシン紙、ダンボール中芯、ライナー、白
板紙、袋、包装紙、筆記用紙、印刷用紙、トイレット、
ティシュ、タオル及び塗工用原紙等)が実用化されてい
る。
トウキビ、タケ、アサ、ムギ、イネ、及びトウモロコシ
などの農作物において、実の収穫後に留置される藁状繊
維等)を利用しパルプ原料を得る方法が公知であり、中
でも、バガス紙については現在あらゆるグレードの紙
(例えば、グラシン紙、ダンボール中芯、ライナー、白
板紙、袋、包装紙、筆記用紙、印刷用紙、トイレット、
ティシュ、タオル及び塗工用原紙等)が実用化されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】バガスとは一般に、甘
蔗茎(サトウキビ)から砂糖原料を抽出した後の搾りカ
スの総称であり、東南アジア地方では古くから重要なパ
ルプ資源である。
蔗茎(サトウキビ)から砂糖原料を抽出した後の搾りカ
スの総称であり、東南アジア地方では古くから重要なパ
ルプ資源である。
【0005】しかしながら、バガス紙は木材由来の紙に
くらべて脆弱であるという欠点を有しているため、現在
実用化されているバガス紙にあっても、通常30−70
%程度の木材パルプが混合されているか又は補強材など
が利用されている。
くらべて脆弱であるという欠点を有しているため、現在
実用化されているバガス紙にあっても、通常30−70
%程度の木材パルプが混合されているか又は補強材など
が利用されている。
【0006】また、バガスには通常約20%の糖分が含
有されているため、これらの洗浄・抽出廃液中のBOD
(生物学的酸素要求量)及びCOD(化学的酸素要求
量)は膨大なものとなり、廃液処理工程に大きな負荷を
与える。
有されているため、これらの洗浄・抽出廃液中のBOD
(生物学的酸素要求量)及びCOD(化学的酸素要求
量)は膨大なものとなり、廃液処理工程に大きな負荷を
与える。
【0007】従って、農業廃棄物を利用した非木材紙
(バガス紙)にあっては、より一層の改良が望まれてい
る。
(バガス紙)にあっては、より一層の改良が望まれてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、バガスが
含有する炭素源及び窒素源に着目し、セルロース生産性
微生物を接種し、培養することで該微生物にバクテリア
セルロースを産生させることができ、且つバガス中の粗
荒な繊維を架橋する様にバクテリアセルロースの微細な
繊維が形成され、バガスの繊維状態を改善でき製紙後の
強度が増強されることを見い出し、本発明を完成させ
た。
含有する炭素源及び窒素源に着目し、セルロース生産性
微生物を接種し、培養することで該微生物にバクテリア
セルロースを産生させることができ、且つバガス中の粗
荒な繊維を架橋する様にバクテリアセルロースの微細な
繊維が形成され、バガスの繊維状態を改善でき製紙後の
強度が増強されることを見い出し、本発明を完成させ
た。
【0009】即ち本発明は、繊維とセルロース生産性微
生物が資化可能な炭素源及び/又は窒素源とを含有す
る、植物由来のセルロース主体組成物中にセルロース生
産性微生物を接種し、培養することを特徴とする繊維−
バクテリアセルロース複合体の製造方法である。
生物が資化可能な炭素源及び/又は窒素源とを含有す
る、植物由来のセルロース主体組成物中にセルロース生
産性微生物を接種し、培養することを特徴とする繊維−
バクテリアセルロース複合体の製造方法である。
【0010】本発明で使用される植物由来のセルロース
主体組成物は、繊維並びに炭素源及び/又は窒素源を含
有するものである。
主体組成物は、繊維並びに炭素源及び/又は窒素源を含
有するものである。
【0011】ここでいう繊維とは、実質的に、セルロー
ス及びセルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの並
びにβ−1,3、β−1,2等のグルカンを含むもので
あり、ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分
は、マンノース、フルクトース、ガラクトース、キシロ
ース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六
炭糖五炭糖及び有機酸等である。
ス及びセルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの並
びにβ−1,3、β−1,2等のグルカンを含むもので
あり、ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分
は、マンノース、フルクトース、ガラクトース、キシロ
ース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六
炭糖五炭糖及び有機酸等である。
【0012】尚、これらの多糖は単一物質である場合も
あるし、2種以上の多糖が水素結合等により混在しても
良い。
あるし、2種以上の多糖が水素結合等により混在しても
良い。
【0013】これら繊維並びに炭素源及び/又は窒素源
を含有する、植物由来のセルロース主体組成物の具体的
な例としては、サトウキビ搾りかす(バガス)、小麦ふ
すま、大豆搾りかす、オカラ、籾がら、茶がら、麦芽搾
りかす、コーヒー豆搾りかす、ビート(砂糖大根)搾り
かす、果実搾りかす、果実皮及びセルラーゼ処理で一部
糖化したオガクズ、古紙等が挙げられる。
を含有する、植物由来のセルロース主体組成物の具体的
な例としては、サトウキビ搾りかす(バガス)、小麦ふ
すま、大豆搾りかす、オカラ、籾がら、茶がら、麦芽搾
りかす、コーヒー豆搾りかす、ビート(砂糖大根)搾り
かす、果実搾りかす、果実皮及びセルラーゼ処理で一部
糖化したオガクズ、古紙等が挙げられる。
【0014】尚、セルロース主体組成物を常法によりパ
ルプ化した後、酢酸菌等を接種して培養することも可能
である。
ルプ化した後、酢酸菌等を接種して培養することも可能
である。
【0015】セルロース主体組成物中の炭素源及び窒素
源の濃度は様々な値を取り得るので、セルロース生産性
微生物がセルロースを生産するのに十分なレベルに満た
ない場合は、当業者によって適宜炭素源、窒素源及び各
種栄養素が添加されよう。
源の濃度は様々な値を取り得るので、セルロース生産性
微生物がセルロースを生産するのに十分なレベルに満た
ない場合は、当業者によって適宜炭素源、窒素源及び各
種栄養素が添加されよう。
【0016】炭素源としてはシュクロース、グルコー
ス、グルコン酸、フルクトース、マンニトール、ソルビ
トール、ガラクトース、マルトース、エリスリット、カ
ドニット、グリセリン、エテレングリコール、プロピレ
ングリコール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、酢酸、酪酸及び吉草酸等が挙げられる。
ス、グルコン酸、フルクトース、マンニトール、ソルビ
トール、ガラクトース、マルトース、エリスリット、カ
ドニット、グリセリン、エテレングリコール、プロピレ
ングリコール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、酢酸、酪酸及び吉草酸等が挙げられる。
【0017】窒素源としては硫酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、
硝酸塩、尿素及びペプトン等の有機又は無機の窒素化合
物が挙げられる。
ンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、
硝酸塩、尿素及びペプトン等の有機又は無機の窒素化合
物が挙げられる。
【0018】これら組成物には、天然の炭素源及び/又
は窒素源が含有されているが、培養に際して更に天然及
び/又は人工のものを添加することが可能である。
は窒素源が含有されているが、培養に際して更に天然及
び/又は人工のものを添加することが可能である。
【0019】更に、添加する栄養素として、アミノ酸、
ビタミン、脂肪酸、核酸、更にこれらのものを含有する
ペプトン、カザミノ酸、酵母エキス及び豆濃等を添加す
ることも可能であり、この他に2,7,9−トリカルボ
キシ−1Hピロロ[2,3−S]−キノリン−4,5−
ジオン、ピロロキノリンキノン(PQQ)、イノシトー
ル及び/又はフィチン酸もセルロース生成促進因子とし
て添加するとバクテリアセルロースの生産性向上に効果
がある。
ビタミン、脂肪酸、核酸、更にこれらのものを含有する
ペプトン、カザミノ酸、酵母エキス及び豆濃等を添加す
ることも可能であり、この他に2,7,9−トリカルボ
キシ−1Hピロロ[2,3−S]−キノリン−4,5−
ジオン、ピロロキノリンキノン(PQQ)、イノシトー
ル及び/又はフィチン酸もセルロース生成促進因子とし
て添加するとバクテリアセルロースの生産性向上に効果
がある。
【0020】本発明で使用される『セルロース生産性微
生物』とは、糖類を代謝しセルロース性物質を産生する
能力を有する微生物であり、この微生物によって生産さ
れるセルロース性物質を『バクテリアセルロース』とい
う。
生物』とは、糖類を代謝しセルロース性物質を産生する
能力を有する微生物であり、この微生物によって生産さ
れるセルロース性物質を『バクテリアセルロース』とい
う。
【0021】より具体的には、Acetobacter
属、Agrobacterium属、Rhizobiu
m属、Sarcina属、Pseudomonas属、
Achromobacter属、Alcaligene
s属、Aerobacter属、Azotobacte
r属、Zooglea属に属する細菌及び藻類等が挙げ
られる。
属、Agrobacterium属、Rhizobiu
m属、Sarcina属、Pseudomonas属、
Achromobacter属、Alcaligene
s属、Aerobacter属、Azotobacte
r属、Zooglea属に属する細菌及び藻類等が挙げ
られる。
【0022】これらの中でもAcetobacter属
に属する酢酸菌(例えば、BPR2001株、ATCC
23768株、ATCC23769株、ATCC148
51株、ATCC10245株、ATCC11142株
及びATCC10821株)を用いることが好ましく、
より好ましくはBPR2001株である。
に属する酢酸菌(例えば、BPR2001株、ATCC
23768株、ATCC23769株、ATCC148
51株、ATCC10245株、ATCC11142株
及びATCC10821株)を用いることが好ましく、
より好ましくはBPR2001株である。
【0023】ここでいうBPR2001株の微生物は、
平成5年2月24日付で通産省工業技術院生命工学工業
技術研究所に寄託されている(FERM P−1346
6)。更に、該微生物は平成6年2月7日付でブダペス
ト条約に基づく寄託へ移管されている(FERM BP
−4545)。
平成5年2月24日付で通産省工業技術院生命工学工業
技術研究所に寄託されている(FERM P−1346
6)。更に、該微生物は平成6年2月7日付でブダペス
ト条約に基づく寄託へ移管されている(FERM BP
−4545)。
【0024】これらセルロース生産性微生物を植物由来
のセルロース主体組成物に接種し、培養する際には、雰
囲気中の酸素濃度、pH及び温度等の培養条件を適宜、
設定する必要がある。
のセルロース主体組成物に接種し、培養する際には、雰
囲気中の酸素濃度、pH及び温度等の培養条件を適宜、
設定する必要がある。
【0025】培養中のpHとしては、3−7の範囲内が
使用可能であり、好ましくは4−6、より好ましくは5
付近のpHである。
使用可能であり、好ましくは4−6、より好ましくは5
付近のpHである。
【0026】pHを調整する際には、あらゆるアルカリ
及び酸を用いることが可能である。例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、及び炭酸ナトリウム等のアル
カリ、並びに酢酸、クエン酸、塩酸、硫酸及び硝酸等の
酸が使用可能である。
及び酸を用いることが可能である。例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、及び炭酸ナトリウム等のアル
カリ、並びに酢酸、クエン酸、塩酸、硫酸及び硝酸等の
酸が使用可能である。
【0027】培養中の温度としては、10−50℃の範
囲内で行うことが可能であり、好ましくは10−40
℃、より好ましくは20−40℃、さらに好ましくは2
5−35℃で行うことが可能である。
囲内で行うことが可能であり、好ましくは10−40
℃、より好ましくは20−40℃、さらに好ましくは2
5−35℃で行うことが可能である。
【0028】また、培養方法としては、通気攪拌、振
盪、静置培養のいずれでも良く、培養槽に供給する酸素
濃度は1−100%、好ましくは20−80%、より好
ましくは25−75%であれば良い。
盪、静置培養のいずれでも良く、培養槽に供給する酸素
濃度は1−100%、好ましくは20−80%、より好
ましくは25−75%であれば良い。
【0029】このような培養方法については、特開昭6
2−265990号公報及び特開昭61−221201
号公報等の他に、本出願人名義の特願平5−46844
号明細書及び特願平5−331491号明細書に具体例
が記載されている。
2−265990号公報及び特開昭61−221201
号公報等の他に、本出願人名義の特願平5−46844
号明細書及び特願平5−331491号明細書に具体例
が記載されている。
【0030】また本発明は、前記製造方法によって得ら
れ得る繊維−バクテリアセルロース複合体にも係わる。
れ得る繊維−バクテリアセルロース複合体にも係わる。
【0031】前記製造方法より得た複合体を、その培養
液中から精製するには、例えば、水洗、加圧脱水、希酸
洗浄、アルカリ洗浄、有機溶媒による処理、次亜塩素酸
ソーダー及び過酸化水素等の漂白剤による処理、リゾチ
ーム等の菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸ソーダ
ー、デオキシコール酸等の界面活性剤による処理、並び
に常温から200℃の範囲の加熱洗浄等の単独及び併用
して施すことにより行える。
液中から精製するには、例えば、水洗、加圧脱水、希酸
洗浄、アルカリ洗浄、有機溶媒による処理、次亜塩素酸
ソーダー及び過酸化水素等の漂白剤による処理、リゾチ
ーム等の菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸ソーダ
ー、デオキシコール酸等の界面活性剤による処理、並び
に常温から200℃の範囲の加熱洗浄等の単独及び併用
して施すことにより行える。
【0032】更に本発明は、繊維−バクテリアセルロー
ス複合体の成形物、例えば紙、建材、セロハン、アスフ
ァルト及び壁材なども提供する。特に、該複合体による
紙は本発明の好ましい実施態様の一つである。
ス複合体の成形物、例えば紙、建材、セロハン、アスフ
ァルト及び壁材なども提供する。特に、該複合体による
紙は本発明の好ましい実施態様の一つである。
【0033】該複合体を成形し、紙とする際には、通常
の製紙方法で行うことができる。パルプ化工程ではメカ
ニカルパルプ化法、サーモメカニカルパルプ化法、化学
メカニカルパルプ化法、半化学パルプ化法、化学パルプ
化法及び可溶化パルプ化法等を採る事ができるが、バク
テリアセルロースの変性・変化を抑制するためにメカニ
カルパルプ又はサーモメカニカルパルプ化法によること
が好ましい。
の製紙方法で行うことができる。パルプ化工程ではメカ
ニカルパルプ化法、サーモメカニカルパルプ化法、化学
メカニカルパルプ化法、半化学パルプ化法、化学パルプ
化法及び可溶化パルプ化法等を採る事ができるが、バク
テリアセルロースの変性・変化を抑制するためにメカニ
カルパルプ又はサーモメカニカルパルプ化法によること
が好ましい。
【0034】以下、実施例によって本発明を詳細に説明
するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)植付1年後のサトウキビを、砂糖の生産で
通常用いられている方法に従って圧搾して糖液を搾り出
し、サトウキビ搾りカス(バガス)を得た。
通常用いられている方法に従って圧搾して糖液を搾り出
し、サトウキビ搾りカス(バガス)を得た。
【0036】このようにして得たバガスをハサミで約5
mm角に切削し、その100部に水25部を加えて混合
し、酢酸を用いてpH=5.5に調整した後、酢酸菌A
cetobacter sp. BPR2001を10
4 cell/gとなるように接種した。
mm角に切削し、その100部に水25部を加えて混合
し、酢酸を用いてpH=5.5に調整した後、酢酸菌A
cetobacter sp. BPR2001を10
4 cell/gとなるように接種した。
【0037】これを28℃に保温しながら時々全体をか
き混ぜ、あるいはそのまま静置し、培養した。1週間
後、バガスの繊維部分を光学顕微鏡で観察すると、酢酸
菌が繁殖していた。さらにこれらを走査型電子顕微鏡で
観察するとバクテリアセルロースの繊維が、バガスの表
面にその繊維を架橋するように付着していた(バガス繊
維−バクテリアセルロース複合体が形成された)。
き混ぜ、あるいはそのまま静置し、培養した。1週間
後、バガスの繊維部分を光学顕微鏡で観察すると、酢酸
菌が繁殖していた。さらにこれらを走査型電子顕微鏡で
観察するとバクテリアセルロースの繊維が、バガスの表
面にその繊維を架橋するように付着していた(バガス繊
維−バクテリアセルロース複合体が形成された)。
【0038】(実施例2)実施例1で調製したバガス繊
維−バクテリアセルロース複合体を製紙用ダブルディス
クリファイナーでパルプ化し、常法に従って洗浄・漂白
した後、紙を作成した。この紙をA紙とした。
維−バクテリアセルロース複合体を製紙用ダブルディス
クリファイナーでパルプ化し、常法に従って洗浄・漂白
した後、紙を作成した。この紙をA紙とした。
【0039】(実施例3)実施例1で5mm角に切削し
たバガスを、そのまま実施例2と同様の手順でパルプ化
した。これに酢酸菌BPR2001株を接種して実施例
1と同様に培養した。1週間後、バガスの繊維部分を走
査型電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同じようにバ
ガス繊維−バクテリアセルロース複合体が形成されてい
た。
たバガスを、そのまま実施例2と同様の手順でパルプ化
した。これに酢酸菌BPR2001株を接種して実施例
1と同様に培養した。1週間後、バガスの繊維部分を走
査型電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同じようにバ
ガス繊維−バクテリアセルロース複合体が形成されてい
た。
【0040】このようにして得たバガス繊維−バクテリ
アセルロース複合体を、実施例2と同様の手順で製紙し
た。この紙をB紙とした。
アセルロース複合体を、実施例2と同様の手順で製紙し
た。この紙をB紙とした。
【0041】(実施例4)実施例1で5mm角に切削し
たバガスを、そのまま実施例2と同様の手順でパルプ化
し、バガス繊維のみからなる紙を作成した。これをバガ
ス紙とした。このバガス紙は脆弱であり、引張りにより
容易に切断することができた。
たバガスを、そのまま実施例2と同様の手順でパルプ化
し、バガス繊維のみからなる紙を作成した。これをバガ
ス紙とした。このバガス紙は脆弱であり、引張りにより
容易に切断することができた。
【0042】次に、A紙、B紙及びバガス紙の引張強度
をJIS P8113(1976)に従い測定した。
をJIS P8113(1976)に従い測定した。
【0043】原料バガスからの繊維の収率を測定した。
それぞれの値をA紙/バガス紙の相対値及びB紙/バガ
ス紙の相対値として表1に示した。
それぞれの値をA紙/バガス紙の相対値及びB紙/バガ
ス紙の相対値として表1に示した。
【0044】
【表1】 表1 引張強度(裂断長)の比 収率の比 A紙/バガス紙 1.92 1.05 B紙/バガス紙 2.15 1.10 これらの値から本発明のバガス繊維−バクテリアセルロ
ース複合体から得た紙は、バガス紙と比較して引張強度
が顕著に増強されており、繊維収率も優れていた。
ース複合体から得た紙は、バガス紙と比較して引張強度
が顕著に増強されており、繊維収率も優れていた。
【0045】また、本発明により得られたバガス繊維−
バクテリアセルロース複合から得た紙の色調、インク印
刷特性及び手触りなどの紙質については、通常の木材由
来の紙と比して何の遜色もなかった。
バクテリアセルロース複合から得た紙の色調、インク印
刷特性及び手触りなどの紙質については、通常の木材由
来の紙と比して何の遜色もなかった。
【0046】
【発明の効果】非木材繊維を原料として高強度の紙を収
率良く得られる。
率良く得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 19/04 C12R 1:41) (C12P 19/04 C12R 1:38) (C12P 19/04 C12R 1:025) (C12P 19/04 C12R 1:05) (C12P 19/04 C12R 1:065) (C12P 19/04 C12R 1:01) (C12P 19/04 C12R 1:89)
Claims (8)
- 【請求項1】 繊維とセルロース生産性微生物が資化可
能な炭素源及び/又は窒素源を含有する植物由来のセル
ロース主体組成物中にセルロース生産性微生物を接種
し、培養することを特徴とする繊維−バクテリアセルロ
ース複合体の製造方法。 - 【請求項2】 セルロース生産性微生物がAcetob
acter属、Agrobacterium属、Rhi
zobium属、Sarcina属、Pseudomo
nas属、Achromobacter属、Alcal
igenes属、Aerobacter属、Azoto
bacter属もしくはZooglea属に属する細菌
又は藻類から選択される一種又はそれ以上の微生物であ
る請求項1の方法。 - 【請求項3】 セルロース生産性微生物がAcetob
acter属に属する細菌である請求項2の方法。 - 【請求項4】 セルロース生産性微生物がBPR200
1株(FERM BP−4545)である請求項3の方
法。 - 【請求項5】 繊維がセルロース及びヘミセルロースの
混合物である請求項1〜4のいずれかの方法。 - 【請求項6】 植物由来のセルロース主体組成物がサト
ウキビ搾りかす(バガス)、小麦ふすま、大豆搾りか
す、オカラ、籾がら、茶がら、麦芽搾りかす、コーヒー
豆搾りかす、ビート(サトウダイコン)搾りかす、果実
搾りかす、野菜皮、果実皮、及びセルラーゼ処理で一部
糖化したオガクズ、古紙から成る群から選択された少な
くとも1種である請求項1〜5のいずれかの方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの方法によって
得られ得る繊維−バクテリアセルロース複合体。 - 【請求項8】 請求項7の複合体を含む紙料よりなる
紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2672894A JP2798882B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | 繊維−バクテリアセルロース複合体の製造方法及び該方法によって得られ得る複合体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2672894A JP2798882B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | 繊維−バクテリアセルロース複合体の製造方法及び該方法によって得られ得る複合体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07238488A JPH07238488A (ja) | 1995-09-12 |
JP2798882B2 true JP2798882B2 (ja) | 1998-09-17 |
Family
ID=12201388
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-
1994
- 1994-02-24 JP JP2672894A patent/JP2798882B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
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US10968567B2 (en) | 2018-12-27 | 2021-04-06 | Industrial Technology Research Institute | Method for preparing α-cellulose, spinning composition, and fiber material |
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