JP2010004784A - バクテリアセルロースの生産方法、複合構造体及びバクテリアセルロース離解物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロース産生菌を含有する培養液を用いてセルロース産生菌を培養するに当たり、当該培養液の中に繊維材料が存在する状態で、セルロース産生菌を培養する。
【選択図】図1
Description
(第1実施形態)
本第1実施形態は、繊維材料として天然繊維、再生繊維及び合成繊維からなるカットファイバーが存在する培養液を用いてセルロース産生菌を培養するバクテリアセルロースの生産方法に関するものである。
1.培養液の準備工程
(1)繊維材料の準備
本第1実施形態に使用する繊維材料として、綿繊維、ビスコースレーヨン繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維の各カットファイバーを準備した。
(2)培地の準備
培地としてSH培地(Schramm-Hestrin medium)を使用した。SH培地は、グルコース20g、酵母エキス5g、ポリペプトン5g、クエン酸1.15g及びリン酸水素二ナトリウム2.7gを1000mlの蒸留水に溶解して調整した後、120℃のオートクレーブ中で15分間、滅菌処理して使用した。
(3)菌体の準備
酢酸菌 Gluconacetobacter xylinus (American Type Culture Collection No.53582)を試験管で4日間、前々培養し、産生されたゲル状のセルロース(バクテリアセルロースぺリクル)の一部を三角フラスコ中の上記SH培地40mlに移して酢酸菌を植菌し、115rpmの回転式振盪機にて25℃で3日間、前培養した。上記前培養中に産生したセルロースを溶解して菌体の増殖を活発にするために、上記培養液には膜滅菌したセルラーゼ原液(セルクラスト、ノボザイムズ社製)の5倍希釈液を0.4ml加えた。培養後の上記培養液を遠心分離し、増殖した菌体を得た。
(4)培養液の準備
上記増殖した菌体を集めて上記SH培地200mlに加え、本第1実施形態に使用するセルロース産生菌の培養液を得た。当該培養液中の菌体量は、波長660nmにおける濁度測定により、OD=0.13であった。
2.バクテリアセルロースの生産工程
(1)培養工程
上記培養液の準備工程で得られた実施例−1〜実施例−4、及び比較例−1のセルロース産生菌の各培養液の入った各ガラスシャーレを水平に静置した状態で、室温25℃の条件で3日間培養した。
(2)失活・洗浄工程
上記培養後の各バクテリアセルロース膜を各繊維材料と共にガラスシャーレに入れたまま、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液中において80℃で30分間、セルロース産生菌の失活操作を行った。その後、上記バクテリアセルロース膜を各繊維材料と共にガラスシャーレに入れたまま十分に洗浄して当該バクテリアセルロース膜からセルロース産生菌を除去した。
(3)乾燥工程
失活・洗浄工程後のバクテリアセルロース膜を各繊維材料と共にガラスシャーレに入れたまま、乾燥機を用いて55℃で乾燥した。このとき、上記バクテリアセルロース膜は、各繊維材料を取り込んだまま、水分を放出して乾燥した状態の乾燥膜となる。
(第2実施形態)
本第2実施形態は、繊維材料として天然繊維である羊毛繊維又は絹繊維からなるカットファイバーが存在する培養液を用いてセルロース産生菌を培養するバクテリアセルロースの生産方法に関するものである。
1.培養液の準備工程
(1)繊維材料の準備
本第2実施形態においても上記第1実施形態と同様に上記各繊維からなる織物(JIS-L-0803 染色堅牢度試験用標準白布)から糸を解し、当該糸を約5mmの長さに切断したものを120℃のオートクレーブ中で15分間、滅菌処理して使用した。
2.バクテリアセルロースの生産工程
上述の第1実施形態と同様の操作にて、室温25℃の条件で3日間培養、失活・洗浄、乾燥の各工程を経て、本第2実施形態に係る実施例−5及び実施例−6のバクテリアセルロースと繊維材料との複合構造体を得た。一方、比較例−2では、バクテリアセルロースのみの膜を得た。
(第3実施形態)
本第3実施形態は、繊維材料としてビスコースレーヨン繊維からなる不織布が存在する培養液を用いてセルロース産生菌を培養するバクテリアセルロースの生産方法に関するものである。
1.培養液の準備工程
(1)繊維材料の準備
本第3実施形態に使用する繊維材料として、ビスコースレーヨン不織布(4枚重ね、目付け;400g/m2)を100mm×100mmにカットし、120℃のオートクレーブ中で15分間、滅菌処理して使用した。このビスコースレーヨン不織布の重量は4gであり、その厚みは1.6mmであった。
(2)培養液の準備
本第3実施形態に使用するセルロース産生菌の培養液は、上記第1実施形態と同様の工程(培地の準備及び菌体の準備)を再度実施して得たものを使用した。当該培養液中の菌体量は、波長660nmにおける濁度測定により、OD=0.13であった。
2.バクテリアセルロースの生産工程
上述の第1実施形態と同様の操作にて、室温25℃の条件で3日間培養、失活・洗浄、乾燥の各工程を経て、本第3実施形態に係る実施例−7のバクテリアセルロースと繊維材料との複合構造体を得た。一方、比較例−3では、バクテリアセルロースのみの膜を得た。
(第4実施形態)
本第4実施形態は、繊維材料としてビスコースレーヨン繊維からなるカットファイバーが存在する培養液を用いてセルロース産生菌を培養するバクテリアセルロースの生産方法に関するものである。なお、本第4実施形態においては、培養液中に存在する繊維材料の量を変化させてセルロース産生菌を培養するものである。具体的には、繊維材料の量を一定にして、これに添加するセルロース産生菌の培養液の量を変化させて行った。
1.培養液の準備工程
(1)繊維材料の準備
本第4実施形態においても上記第1実施形態に係る実施例−2と同様にビスコースレーヨン繊維からなる織物(JIS-L-0803 染色堅牢度試験用標準白布)から糸を解し、当該糸を約5mmの長さに切断したものを120℃のオートクレーブ中で15分間、滅菌処理して使用した。
(2)培養液の準備
本第4実施形態に使用するセルロース産生菌の培養液は、上記第1実施形態と同様の工程(培地の準備及び菌体の準備)を再度実施して得たものを使用した。当該培養液中の菌体量は、波長660nmにおける濁度測定により、OD=0.13であった。
2.バクテリアセルロースの生産工程
上述の第1実施形態と同様の操作にて、室温25℃の条件で3日間培養、失活・洗浄の各工程を行った。ここで、乾燥工程は、角シャーレから取り出した状態で105℃の乾燥機中で行った。これらの工程を経て、本第4実施形態に係る実施例−8〜実施例−12のバクテリアセルロースと繊維材料との複合構造体を得た。一方、比較例−4〜比較例−8においては、バクテリアセルロースのみの膜を得た。
(第5実施形態)
本第5実施形態は、繊維材料としてビスコースレーヨン繊維からなるカットファイバーが存在する培養液を用いてセルロース産生菌を培養するバクテリアセルロースの生産方法に関するものである。なお、本第5実施形態は、上記第4実施形態と同様に培養液中に存在する繊維材料の量を変化させてセルロース産生菌を培養するものである。具体的には、上記第4実施形態とは逆にセルロース産生菌の培養液の量を一定にして、この中に存在する繊維材料の量を変化させて行った。
1.培養液の準備工程
(1)繊維材料の準備
本第5実施形態においても上記第1実施形態に係る実施例−2と同様にビスコースレーヨン繊維からなる織物(JIS-L-0803 染色堅牢度試験用標準白布)から糸を解し、当該糸を約5mmの長さに切断したものを120℃のオートクレーブ中で15分間、滅菌処理して使用した。
(2)培養液の準備
本第5実施形態に使用するセルロース産生菌の培養液は、上記第1実施形態と同様の工程(培地の準備及び菌体の準備)を再度実施して得たものを使用した。当該培養液中の菌体量は、波長660nmにおける濁度測定により、OD=0.13であった。
2.バクテリアセルロースの生産工程
上述の第1実施形態の操作に準拠するが、本第5実施形態においては、室温25℃の条件で2日間培養した。以下、失活・洗浄、乾燥の各工程は、上記第4実施形態と同様にして行った。これらの工程を経て、本第5実施形態に係る実施例−13〜実施例−15のバクテリアセルロースと繊維材料との複合構造体を得た。一方、比較例−9においては、バクテリアセルロースのみの膜を得た。
(第6実施形態)
本第6実施形態は、繊維材料としてビスコースレーヨン繊維からなるカットファイバーが存在する培養液を用いてセルロース産生菌を培養した後に、得られたバクテリアセルロースから繊維材料を分離し、分離後のバクテリアセルロースを離解することにより得られるバクテリアセルロース離解物に関するものである。
(1)上記各実施形態は、繊維材料として各種繊維のカットファイバー又は不織布を使用するものであるが、本発明に係るバクテリアセルロースの生産方法は、これに限るものではなく、その他の繊維材料、例えば、織物、編物、繊維ウェブ、糸、繊維束、繊維塊などの繊維の集合体やバラ毛などの繊維の非集合体を使用してもよい。
(2)上記各実施形態は、各種繊維のカットファイバー又は不織布を使用する際に、単一種類の繊維からなる繊維材料を使用するものであるが、本発明に係るバクテリアセルロースの生産方法は、これに限るものではなく、複数種類の繊維からなる繊維材料を使用してもよい。
(3)上記各実施形態は、セルロース産生菌として酢酸菌のうち、Gluconacetobacter xylinus(American Type Culture Collection No.53582)を使用するものであるが、本発明に係るセルロース産生菌は、これに限るものではなく、他の菌種、他の酢酸菌、例えば、Acetobacter xylinum、Acetobacter aceti、Acetobacter subsp.、Asaia bogorensisなどに属する他の菌株を使用してもよい。
(4)上記各実施形態は、SH培地(Schramm-Hestrin medium)を使用してセルロース産生菌を培養するものであるが、本発明に使用する培地は、これに限るものではなく、他の培地、例えば、CSL培地(Corn Steep Liquor-Sucrose medium)などを使用してもよい。
(5)上記各実施形態は、セルロース産生菌の培養条件として、室温25℃で3日間又は2日間を採用するものであるが、本発明に係る培養条件は、これに限るものではなく、使用する菌種、使用する培地、又は、使用する繊維材料の種類と使用量などによって適宜選定すればよい。
(6)上記各実施形態は、静置培養法によりセルロース産生菌を培養するものであるが、本発明に採用する培養法は、これに限るものではなく、他の培養法、例えば、振盪培養法、通気撹拌培養法などを適宜選定すればよい。
Claims (6)
- セルロース産生菌を含有する培養液の中に繊維材料が存在する状態で、前記セルロース産生菌を培養するバクテリアセルロースの生産方法。
- 前記培養液の中に存在する前記繊維材料の量は、前記培養液に対して0.1重量%〜15重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のバクテリアセルロースの生産方法。
- 前記繊維材料は、天然繊維又は再生繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のバクテリアセルロースの生産方法。
- 前記繊維材料は、セルロース系繊維からなることを特徴とする請求項3に記載のバクテリアセルロースの生産方法。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載のバクテリアセルロースの生産方法によって生産された前記バクテリアセルロースと前記生産方法に使用された繊維材料とからなる複合構造体。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載のバクテリアセルロースの生産方法によって生産された前記バクテリアセルロースを前記生産方法に使用された繊維材料から分離した後に離解して得られるバクテリアセルロース離解物。
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JP2017222966A (ja) * | 2016-04-27 | 2017-12-21 | サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエスSanko Tekstil Isletmeleri San. Ve Tic. A.S. | 細菌バイオポリマーを含み、特有の外観を有する染色布帛を製造する方法 |
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2008
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