JPH0849188A - バクテリアセルロース含有高力学強度シート - Google Patents

バクテリアセルロース含有高力学強度シート

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JPH0849188A
JPH0849188A JP9854195A JP9854195A JPH0849188A JP H0849188 A JPH0849188 A JP H0849188A JP 9854195 A JP9854195 A JP 9854195A JP 9854195 A JP9854195 A JP 9854195A JP H0849188 A JPH0849188 A JP H0849188A
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Otohiko Watabe
乙比古 渡部
Mio Nishi
美緒 西
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 引張り強さ、耐伸縮性にすぐれた高弾性及び
高強度のシートを提供する。 【構成】 リボン状ミクロフィブリルよりなり離解され
たバクテリアセルロースを含有していることを特徴とす
る高力学強度シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバクテリアの産生する特
定のセルロースを含有せしめることにより得られる引張
り強さ、耐伸縮性にすぐれた高弾性及び高強度の成形材
料に関するものである。
【0002】この成形材料は紙その他各種シートとして
利用しうるほか、糸状あるいは各種立体成形物として利
用することもできる。
【0003】
【従来の技術】従来、バクテリアの産生するセルロース
としては、アセトバクター・キシリナム(Acetob
acter xylinum)ATCC 23769が産
生するシート状のものを医療用パッドに利用することが
知られている(特開昭59−120159号公報)。
【0004】一方、従来の成形材料には種々のものが知
られており、セルロースについても繊維を糸状、シート
状、各種立体成形物に利用したもののほかセルロース誘
導体を一旦溶解して加工したセロファン、セルロイドな
どがある。また、合成高分子材料も各種開発されてお
り、そのなかには分子鎖を一定方向に配列してその方向
の力学強度を特に高めたものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の各種植物由来の
セルロース及びセルロース誘導体の力学的強度はさほど
大きくなく、例えばシート状のセルロイドやセロファン
の弾性率はせいぜい2〜3GPa程度であった。
【0006】また、合成高分子材料のうち分子鎖が一定
方向に配列したものには、一方向については金属や無機
物と同等の弾性率を持つものもあるが、他の方向の弾性
率が低いために高強度素材として用いるには自から用途
が限定されていた。そのため、分子の配列に異方性がな
く構造素材として強度的に秀れているものが求められて
いるが、分子がランダムに配列しているような高分子物
質では弾性率が低かった。合成高分子からなる成形材料
で高性能のものとしては、ポリエステルフィルム、アラ
ミドシート、ポリイミドフィルム等が知られているが、
弾性率はたかだか4〜7GPa程度であった。
【0007】バクテリアの産生するセルロースを利用し
たものとしては前述の例があるが、その利用は医療用パ
ッドに限られており、高力学強度分野における素材とし
て利用価値が高いことについては全く知られていなかっ
た。
【0008】本発明の目的は、従来の成形材料を越え
た、引張り強さ、耐伸縮性にすぐれた高弾性及び高強度
の成形材料を提供することにある。
【0009】本発明の別の目的は、この高力学強度に加
えて親水性にすぐれかつ毒性上問題のない成形材料を提
供することにある。
【0010】本発明のまたさらに別の目的は強度の向
上、粘着の防止、菌体等の漏出防止機能を有する酵素、
微生物等の固定化担体に用いうる高強度成形材料を提供
することにある。
【0011】本発明のさらに別の目的は、高力学強度に
加えて導電性、磁性、高絶縁性、熱伝導性、耐候性、耐
薬品性などを付与することにより各種利用分野において
すぐれた高力学強度素材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの目
的を達成するべく種々研究を行ない、微生物の産生する
リボン状のミクロフィブリルよりなるセルロースが引張
り強さ等の力学強度が極めて大きく、このバクテリアセ
ルロースを含有せしめた素材を成形材料に用いることに
よって前記目的を達成しうることを見出し、この知見に
基いて本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、リボン状ミクロフィ
ブリルよりなるバクテリアセルロースを含有してなる高
力学強度成形材料に関するものである。
【0014】バクテリアセルロースは、第1図にその電
子顕微鏡写真を示すように、幅100〜500Å、厚さ
10〜200Å程度のリボン状ミクロフィブリルからな
っている。一般にはゲルの形で得られ、その含水率は9
5%(w/v)以上である。
【0015】このセルロースはセルラーゼによって容易
に分解され、グルコースを生成する。すなわち、本セル
ロースの0.1%(w/v)懸濁液にセルラーゼ(EC
3,2,1,4)(天野製薬製)を0.5%(w/v)にな
るように溶かし、0.1M酢酸緩衝液中で30℃で24
時間反応させた。その結果、本物質の一部が分解される
ことが観察され、上澄液をペーパークロマトグラフィー
で展開したところグルコースのほかに少量のセロビオー
ス、セロトリオース及びその他のセロオリゴ糖が検出さ
れた。このほかに少量のフラクトース、マンノース等が
検出される場合もあった。
【0016】すなわち、本発明のバクテリアセルロース
はセルロース及びセルロースを主鎖としたヘテロ多糖を
含むもの及びβ−1,3,β−1,2等のグルカンを含む
ものである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成
成分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシ
ロース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の
六炭糖、五炭糖及び有機酸等である。なお、これ等の多
糖が単一物質である場合もあるし、2種以上の多糖が水
素結合等により混在していてもよい。
【0017】バクテリアセルロースは上記のようなもの
であればいかなるものであっても使用可能である。
【0018】このようなバクテリアセルロースを産生す
る微生物は特に限定されないが、アセトバクター・アセ
チ・サブスピーシス・キシリナム(Acetobact
eraceti subsp・xylinum)ATCC
10821あるいは同パストウリアヌス(A・pas
teurianus)、同ランセンス(A・rance
ns)、サルシナ・ベントリクリ(Sarcina ve
ntriculi)、バクテリウム・キシロイデス(B
acterium xyloides)、シュードモナ
ス属細菌、アグロバクテリウム属細菌等でバクテリアセ
ルロースを産生するものを利用することができる。
【0019】これらの微生物を培養してバクテリアセル
ロースを生成蓄積させる方法は細菌を培養する一般的方
法に従えばよい。すなわち、炭素源、窒素源、無機塩
類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微
量栄養素を含有する通常の栄養培地に微生物を接種し、
静置又はゆるやかに通気攪拌を行なう。炭素源として
は、グルコース、シュクロース、マルトース、澱粉加水
分解物、糖密等が利用されるが、エタノール、酢酸、ク
エン酸等も単独あるいは上記の糖と併用して利用するこ
とができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化
アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム
塩、硝酸塩、尿素、ペプトン等の有機あるいは無機の窒
素源が利用される。無機塩類としては、リン酸塩、マグ
ネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が利用
される。有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミ
ン、脂肪酸、核酸、さらにはこれらの栄養素を含むペプ
トン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白加水分解物等
が利用され、生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を用いる場合には要求される栄養素をさらに補添す
る必要がある。
【0020】培養条件も通常でよく、pHを5ないし9
そして温度を20ないし40℃に制御しつつ1ないし3
0日間培養すれば表層にバクテリアセルロースがゲル状
に蓄積される。
【0021】本発明で使用するバクテリアセルロースは
微生物の培養物から単離された精製品のほか、用途に応
じある程度不純物を含むものであっても良い。例えば培
養液中の残糖,塩類,酵母エキス等が微生物セルロース
に残留していてもさしつかえない。また、菌体がある程
度含まれていても良い。
【0022】このゲルを取り出して必要により、水洗す
る。この水洗水には目的に応じて殺菌剤、前処理剤など
の薬剤を添加することができる。
【0023】水洗後は乾燥しあるいは他の混練物等と混
練後乾燥して使用に供する。乾燥の方法は、どのような
方法でもよいが、通常セルロースが分解しない温度範囲
で行なうことが必要なのは言うまでもない。又、該セル
ロース性物質は表面に多数の水酸基を有する微細な繊維
より成っているので、乾燥中に繊維が相互膠着すること
により繊維状の形態が失なわれることがある。したがっ
て、これを防止して微細な繊維状の形態を生かして使用
したい時は、凍結乾燥や臨界点乾燥等の方法を用いた方
が望ましい。
【0024】バクテリアセルロースは引張り強度等の力
学的強度を高めるためにミクロフィブリルがからみ合っ
た構造にするのがよく、そのために例えば培養物から取
り出したゲルを直角方向から加圧して圧搾することによ
り自由水の大部分を除去してから乾燥する方法は有効で
ある。圧搾圧力は1〜10kg/cm2程度が適当であ
る。この圧搾によって乾燥後のセルロースは圧搾方向に
応じて配向したものになる。また、圧力を加えながら一
方向に延ばす操作、すなわち圧延操作を行なうことによ
って乾燥後のセルロースは圧搾方向に加えて圧延方向に
対しても配向性を有するに至る。圧搾装置は市販の機種
のなかから適宜選択して利用することができる。
【0025】一方、バクテリアセルロースを一旦離解す
ることも力学的強度を高めるうえで有効である。離解は
機械的な剪断力を利用して行なえばよく、例えば回転式
の離解機あるいはミキサー等で容易に離解できる。離解
後に前記の圧搾を行なうことも有効である。
【0026】本発明の高力学強度成形材料は、シート
状、糸状、布状、立体状など各種形状に成形することが
できる。
【0027】シート状にする場合には、バクテリアセル
ロースを必要により離解してから層状にし、これを必要
により圧搾して乾燥すればよい。圧搾によって面配向し
たものが得られるほか、圧延を加えることによって面配
向するとともにさらに一軸配向したシートを得ることが
できる。
【0028】離解及び/又は圧搾を終了したシートの乾
燥は適当な支持体に固定して行なうことが望ましい。こ
の支持体へ固定することによって面配向度がさらに高ま
り、力学的強度の大きなシートを得ることができる。支
持体には例えば網状構造をもった板、ガラス板、金属板
などを利用できる。乾燥温度はセルロースが分解されな
い範囲であればよく加熱乾燥法のほか凍結乾燥法も利用
できる。
【0029】このようにして得られたシートは、第1図
に示すように、ミクロフィブリルがランダムにからみ合
った構造をしている。そして、X線回折像によると圧搾
したものは面配向しており、圧延も加えたものは面配向
と同時に一軸配向もしている。シートの弾性率は通常1
0〜20GPa程度である。
【0030】シートの厚さは用途に応じて定められる
が、通常1〜500μm程度である。
【0031】シートには各種の添加剤を加えることがで
きる。例えば、各種の高分子材料の溶液(水性又は非水
性)、エマルジョン、ディスパージョン、粉体、溶融物
等を加えることにより、その添加物の特性に応じて、強
度、耐候性、耐薬品性、耐水性、撥水性、静電防止性等
の幾つかを付与することができる。アルミニウム、銅、
鉄、亜鉛などの金属又はカーボンを粉末状あるいは糸状
で加えれば導電性及び熱伝導性を高めることができる。
また、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、カオリ
ン、ベントナイト、ゼオライト、雲母、アルミナ等の無
機質材料を加えればその種類に応じて耐熱性、絶縁性な
どを改善し、あるいは表面に平滑性を付与することがで
きる。低分子有機質あるいは接着剤を加えることによっ
て強度をさらに増すことができる。フタロシアニン、ア
ゾ化合物、アイ、ベニハナなどの色素で着色してもよ
い。着色にはそのほか各種の塗料、染料、顔料を利用す
ることができる。医薬品、殺菌剤を加えることによって
メディカルシートとして利用することもできる。
【0032】これらの混練物、添加剤は97%以下で目
的の物性が得られる適当な量が加えられる。これらの添
加時期は問うところではなく、バクテリアセルロースゲ
ルあるいはその離解物に加えてもよく、圧搾後に加えて
もよく、また乾燥後に加えてもよい。さらに、培地中あ
るいは培養物に加えてもよい場合もある。添加方法も混
合のほか含浸によってもよい。
【0033】このようなシートには他の物質の層を積層
することもできる。積層物はシートの使用目的に応じて
適宜選択される。前述の混練物あるいは添加物のなかか
ら選択することもでき、例えば耐水性の付与のために各
種高分子材料をコーティングすることができる。
【0034】紙として利用する場合には、バクテリアセ
ルロースゲルを離解後抄紙して乾燥すればよく、それに
よって引張強度、耐伸縮性等にすぐれるとともに化学的
に安定で吸水性、通気性にすぐれた高弾性及び高強度の
紙を得ることができる。この場合、製紙に使用される通
常の添加剤、処理剤等を利用することができ、また、前
述の混練物、添加剤のなかから選択して加えることもで
きる。
【0035】近年、電気絶縁紙、耐熱紙、難燃紙等の要
求が高まり、非セルロース繊維を使用した合成紙、無機
紙等が作られるようになった。これらを湿式法で作ろう
とする場合には、非セルロース繊維が水素結合を行なわ
ないため、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリ
コニトリル、芳香族ポリアミド等の繊維の如くパルプ化
された繊維が得られる場合を除いて、セルロースパルプ
を添加して抄紙を行なう必要がある。この場合には出来
る限りパルプ量を少なくして絶縁性、耐熱性、難燃性を
向上させることが要求される。しかし、一般に使用され
ている木材パルプを混抄する場合には、添加量は20〜
50%に達し、目的が充分に達せられない。しかるに、
木材パルプの代りにバクテリアセルロースを用いること
にセルロース量を大幅に減少させることができ、絶縁
性、耐熱性、難燃性にすぐれた紙を得ることができた。
従って本発明の高力学強度成形材料はこれらにも有効で
ある。
【0036】また、光架橋性ポリビニルアルコールは従
来の光架橋性樹脂と比較して生物に対する親和性がよい
といわれており、酵素、微生物等の固定化剤の用途がこ
れによりさらに向上すると考えられている。また、印刷
の原板を製作するときに使用されるフォトレジストは、
基板上に樹脂を塗り、これに印刷すべき図案等を投影し
て光架橋を起こさせて樹脂を硬化させ、未硬化樹脂を洗
い流して印刷原板を製作するものであるが、水溶性であ
るこの光架橋性ポリビニルアルコールはフォトレジスト
にも従来の油溶性のものに比べて安価で洗浄が容易とい
う利点を有しており、応用が期待されている。しかし、
これらの場合に水によって光架橋性ポリビニルアルコー
ルが膨潤し架橋構造が破壊されてしまうという問題があ
った。しかるにバクテリアセルロースを加えることによ
ってこの膨潤を阻止することができる。
【0037】糸とする場合には、例えばバクテリアセル
ロースゲル又はその離解物を洗浄、乾燥した後、ジメチ
ルアセトアミド/塩化リチウム系溶媒等に溶解し、溶解
物を水又はアルコール類、ケトン類、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等のセルロースが不溶でセルロースの溶
媒が可溶な凝固液を用いて紡糸すればよい。
【0038】布とする場合には、この糸を用いて常法に
より織り上げればよい。
【0039】立体物にする場合には、バクテリアセルロ
ースに各種プラスチックを混練し、あるいはさらに積層
することによって目的の成形品とする。これは例えば各
種FRP製品あるいは炭素繊維製品などに代替しうるも
のである。
【0040】固定化担体としては従来、寒天、カラギー
ナンアルギン酸、ゼラチン、コラーゲン、ポリアミノ
酸、光架橋性樹脂、ポリアクリルアミド及び各種樹脂等
が用いられ、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル等の
網、繊維を補強材としてこれらの担体に混合することに
より、強度の向上とか粘着の紡糸がはかられてきた。と
ころがこの固定化物においては、補強材により担体が大
きくなって単位面積当たりの表面積が減少し、担体内の
基質拡散が阻害されたり、担体に固定化される酵素、生
体由来物質、触媒、その他の反応性物質(以下「活性成
分」という)の濃度が相対的に減少したりして反応速度
や反応収率が低下するという問題があった。又、活性成
分が固定化担体から漏出するために長期間あるいは繰り
返し使用すると、次第に活性が低下していくという問題
があり、従来のポリ塩化ビニリデン、ポリエステル等の
補強材を加えても、活性成分の担体からの漏出を防ぐこ
とは困難であった。従来の固定化担体の内、非常に弱い
ゲル、一例を挙げると光架橋性ポリビニルアルコールの
6%水溶液を架橋させたものを固定化担体として用いる
場合には、水によって膨潤が引き起こされる為に固定化
担体が破壊されるという問題もあった。
【0041】これまでの固定化担体補強材に代えて、バ
クテリアセルロースをそのままの状態や、離解し、ある
いはこれらの物をさらして乾燥して用いることにより、
上記の問題点を解決して従来にない高強度な固定化担体
を得ることができる。
【0042】このような固定化担体を製造するには、次
のような方法がある。基本的には、該バクテリアセルロ
ースと、下記の固定化担体素材を混合してからゲル化、
重合又は成形させればよい。又、必要に応じて、この混
合時に固定化目的の活性成分を一緒に加えて固定化して
もよいし、固定化担体を製造後活性成分を固定化しても
よい。
【0043】担体素材としては、該バクテリアセルロー
スと混合可能なものであれば特に限定されないが、例え
ば以下のようなものを利用できる。アガロース、デキス
トラン、セルロース、セルロース誘導体、アルギン酸、
アルギン酸塩、キチン、キトサン、コラーゲン、アルブ
ミン、アミノ酸ポリマー、ポリスチレン、ポリアクリル
アミド、タンニン、シリコンゴム、カゼイン、寒天、カ
ラギーナン、ポリウレタン、ポリ−2−ヒドロキシエチ
ルメタクリル酸、ポリビニルクロリド、γ−メチルポリ
グルタミン酸、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルア
クリルアミド、光架橋性樹脂、ポリエチレングリコール
誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブタジ
エン誘導体、コロジオン、ナイロン、ポリウレア、シリ
カゲル、シリコン誘導体、フェニルシロキサン、フィブ
リン、硝酸セルロース、炭化水素、リン脂質、リン酸カ
ルシウムゲル、フェノキシアセチル化物、グルコマンナ
ン等。
【0044】固定化担体の製造方法について述べると、
該バクテリアセルロースが微生物によって産生されたま
まのゲル状である場合、このゲル状のものを乾燥させる
ことによって得られる乾燥物である場合、あるいはゲル
状のものを離解後乾燥させることによって得られる乾燥
物の内繊維状の形態を保っていないものである場合に
は、担体素材を適当な溶媒で溶液としあるいは溶融状態
とすることによって流動性を持たせてから、該バクテリ
アセルロースに含浸し、これをゲル化させれば固定化担
体が得られる。ゲル化の方法は、担体素材によって千差
万別であるが、例えば、アルギン酸ナトリウムの場合は
混合後塩化カルシウム溶液に入れればよいし、寒天の場
合は温度を下げればよい。
【0045】該バクテリアセルロースが離解された状
態、あるいはこれを凍結乾燥や臨界点乾燥等の方法によ
って得られる繊維状の形態を残したままの乾燥状態の場
合には、これら該バクテリアセルロースと担体素材と
を、前記のような含浸とはことなり、通常の方法で混合
を行なってからゲル化、重合又は成形することにより固
定化担体が得られる。
【0046】固定化担体中の該バクテリアセルロースの
濃度は0.01%〜99%、好ましくは0.1〜2%程
度がよい。
【0047】以上のような方法で得られた固定化担体の
形状は、反応の種類や方法に従って自由に選択可能であ
る。例えば、カラムにつめたり、攪拌槽に入れたりする
場合はじゅず玉状に加工すればよいし、必要に応じて棒
状や膜状にしてもよい。離解した該バクテリアセルロー
スを担体素材と混合させてからゲル化、重合又は成形さ
せることにより固定化担体を製造する場合には、従来と
同様の方法で固定化担体を加工成形すればよい。
【0048】一方、微生物によって産生されたままのゲ
ル状から直接固定化担体を製造する場合には、担体素材
をゲル状該バクテリアセルロースに含浸させてからゲル
化させればよい。所定の形に加工するには、ゲル状バク
テリアセルロースを必要な形状に加工してから担体素材
を含浸させても良いし、一方、固定化担体を製造してか
ら必要な形状に加工しても良い。
【0049】本発明の固定化担体に固定化される活性成
分は酵素、微生物、生体由来物質、触媒、その他の反応
性物質であり、一般に用いられるものであればよい。活
性成分の酵素例としては、アスパルターゼ、L−アスパ
ルテートβ−デカルボキシラーゼ、L−ロイシンデヒド
ロゲナーゼ、ヒダントイナーゼ、DL−2−アミノ−Δ
2−チアゾリン−4−カルボン酸水解酵素、ジヒドロピ
リミジナーゼ、アシルアミノ酸に作用するアシラーゼ、
トリプトファナーゼ、トリプトファンシンセターゼ、チ
ロシナーゼ、フマラーゼ、ヒスチジンアンモニアリアー
ゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、α−アミラーゼ、β−
アミラーゼ、インベルターゼ、グルコースイソメラー
ゼ、ペニシリンアシラーゼ、セファロスポリンアシラー
ゼ、5’−AMPデアミナーゼ、アルギニンデイミナー
ゼ、アルドラーゼ、システインデスルフヒドラーゼ、メ
チオニナーゼ、ホスホジエステラーゼ、キモトリプシ
ン、トリプシン、パパイン、ナリンギナーゼ、ラクター
ゼ、グルコアミラーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、
ペプシン、アミノラクタムヒドロラーゼ、アミロラクタ
ムラセマーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アスパ
ラギン酸デカルボキシラーゼ、プルラナーゼ、ヒアルロ
ニダーゼ、1,4−α−グルカンホスホリラーゼ、シク
ロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デキス
トランシュクラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコ
シダーゼ、ヘキソキナーゼ、Δ1−脱水素酵素、11β
−水酸化酵素、20β−脱水素酵素、3β−脱水素酵
素、Δ1−水酸化酵素、ステロイドのエステラーゼ、
5’ホスホジエステラーゼ、ATPデアミナーゼ、酢酸
キナーゼ、アデニル酸キナーゼ、アデノシンキナーゼ、
カルバミルホスホキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、解糖
系酵素キモシン、アルカリプロテアーゼ、レンニン、プ
ロナーゼ、プロテアーゼ、カタラーゼ、リゾチーム、D
−オキシニトラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グ
ルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、硝酸レダクタ
ーゼ、亜硝酸レダクターゼ、ロダネーズ、グルタミナー
ゼ、ウリカーゼ、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、コレス
テロールオキシダーゼ、ペニシリナーゼ、アルカリホス
ファターゼ、酸性ホスファターゼ、アセチルコリンエス
テラーゼ、等が挙げられる。活性成分の微生物例として
は、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス、エシェリ
ヒア・コリ、エルビヘルビコーラ、ストレプトコッカス
・フェカーリス、シュードモナス・プチダ、セラチア・
マセランス、バチルス・ズブチルス、アセトバクター・
アセチ、ラクトバチルス・デルブレッチィ、シュードモ
ナス・フルオレッセンス、ミクロコッカス・ルテウス、
バチルス・メガテリウム、ペニシリウム・クロリゲナ
ム、カンジダ・トロピカリス、サッカロマイセス・セル
ビシエ等が挙げられる。そのほか、必要に応じて動物細
胞、植物細胞等を固定化してもよい。
【0050】このようにして得られた固定化物は微生物
や酵素を用いた医薬、食品等の有用物質の生産に利用で
きる。又、分析及び工業生産工程におけるバイオリアク
ターとしても利用できる。
【0051】又、触媒及びその他の反応性物質は該バク
テリアセルロースと共存できかつ通常の化学反応等に用
いられる有機及び無機物質であればよい。これらのもの
はカラムに充填し、反応床として使用することもできる
し、各種クロマトグラフィにも利用できる。一方、粒
径、サイズを選択することにより、物理的に目的物質を
分離選択又は精製することに固定化担体を用いることも
できる。
【0052】
【作用】バクテリアセルロースはリボン状ミクロフィブ
リルからなっており、引張り強度、耐伸縮性、弾性など
の力学強度が大きい。この力学強度は各ミクロフィブリ
ルがからみ合うことによって高まり、配向性を付与する
ことによって当該方向への強度がさらに高まる。バクテ
リアセルロースはプレスによって配向しやすいという性
質をもっている。
【0053】
【実施例】
実施例1 シュクロース5g/dl、酵母エキス(Difco)0.
5g/dl、硫安0.5g/dl、KH2PO4 0.3g
/dl、MgSO4・7H2O 0.05g/dl(pH
5.0)の組成の培地50mlを200ml容三角フラ
スコに張込み、120℃で20分間蒸気殺菌した。これ
に酵母エキス0.5g/dl、ペプトン0.3g/dl、
マンニトール2.5g/dl(pH6.0)の組成の試
験管斜面寒天培地で生育させた(30℃、3日間)アセト
バクター、アセチ、サブスピーシス、キシリナムATC
C 10821を1白金耳づつ接種し30℃で培養した。
30日後、培養液の上層に白色のバクテリアセルロース
性多糖を含むゲル状の膜が形成された。
【0054】こうして得られたゲル状膜を水洗して約1
cmの厚さに広げ、テストプレス機(テスター産業
(株))を用いて10kg/cm2程度の圧力でプレス
して水分を絞り出した。これをガラス板に貼り付けて1
05℃で2時間乾燥し、厚さ約10μmのシートを得
た。
【0055】得られたシートのX線回折図を第1図に示
す。この図は、シート面に対して平行の回転軸をとり、
シートを回転させつつX線を回転軸に対して直角に入射
させて撮影した回折像である。同図に示すように、
(イ)101面、(ロ)10面及び(ハ)002面の
いずれも配向しており、このシートは極めて高度の面配
向をしているものであった。
【0056】このシート及び既存のセルロース性シート
さらには各種高分子2次元材料について、弾性率を引張
試験機を用いて測定した結果を下表に示す。
【0057】
【表1】 *1 ポリメタフェニレンイソフタールアミドのシート *2 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート
【0058】実施例2 実施例1で使用したものと同じゲル状のバクテリアセル
ロースをロールプレス機(吉田工業(株))を用いて一方
向に圧延しつつ圧搾した。このものをやはりガラス板に
貼り付けて105℃で2時間乾燥し、シートを得た。
【0059】得られたシートのX線回折図を第2図に示
す。この図は、シートを固定し、フィルム面に対してX
線を垂直に入射させて撮影した回折像である。図中、矢
印は圧延方向を示している。同図に示すように、(イ)
101面、(ロ)10面及び002面の全てに配向が
見出され、一軸配向性が明瞭である。また、面配向につ
いても第1図とほぼ同様の配向性が認められた。
【0060】このシートの弾性率を実施例1と同様にし
て測定したところ圧延方向で20GPaであった。
【0061】実施例3 ノボロイド繊維(郡栄化学工業製・商品名カイノール繊
維KF0203,φ14μm,3mm長)に対しバクテ
リアセルロースを添加し、坪量60g/m2のシートを
TAPPI法により抄紙した(TAPPI stand
ard T205m−58)。
【0062】また、比較のため通常の木材パルプ(N.
.SP)を高度に叩解したもの(CSF245ml)
とカイノール繊維との混抄紙も作製した。
【0063】これらのシートの裂断長を自記記録式引張
試験機で測定した。結果は次表の如くになった。
【0064】
【表2】
【0065】バクテリアセルロースの使用により、少量
の添加で抄紙が可能となり、また強度も大となった。通
常のパルプ使用の場合には、10部以下の使用では抄紙
不能であった。
【0066】実施例4 種々の無機繊維を使用し、B.C.との混抄紙を作製し裂
断長を測定した。結果は次表の通りであった。
【0067】
【表3】
【0068】いずれの場合にも5〜10%の添加で抄紙
が可能であった。
【0069】実施例5 ゲル状のバクテリアセルロースをプレス、乾燥しシート
を得た。振動リード法により測定したヤング率Eは次の
如くであった。 E=13.6GPa
【0070】この値は木材パルプのみで作られた紙の通
常のヤング率の5〜10倍である。
【0071】実施例6 ゲル状のバクテリアセルロースをホモジナイザーにより
離解し、TAPPI法により抄紙した、このものの振動
リード法で測定したヤング率Eは、 E=7.4GPa
【0072】また、濾水性を向上させ、微細粒子の歩留
りを向上させる目的でポリアミドエピクロルヒドリン樹
脂(ディック・ハーキュレス社製カイメン557H)5%
(固形分比)を添加し、抄紙した。この紙のEは次の通
りであった。 E=8.1GPa
【0073】いずれの場合も高強度の紙が得られた。
【0074】実施例7 木材パルプ(N.U.KP)(CSF540ml)に対し
バクテリアセルロース(B.C.)を加え、さらに硫酸バ
ン±5%(固形分比)を添加して抄紙した紙の特性は次
の通りであった。
【0075】
【表4】
【0076】B.C.の添加により紙強度が向上した。
【0077】実施例8 所定の培養で得られたゲル状のバクテリアセルロースを
標準パルプ離解機で離解した後125meshのふるい
で濾過して固型分含量約8.8%のペースト状の離解物
を得た。これを以下の実験に使用した。
【0078】光架橋性ポリビニルアルコール(PVA)−
SbQ(GH−17SbQ 10.5wt% 1.2mo
l% 東洋合成工業(株))と上記の離解物と水を暗室中
で下表の割合で混合した。
【0079】
【表5】 (a) PVA−SbQ(GH17SbQ 10.5wt
% 1.2mol%) (b) バクテリアセルロース離解物(乾燥重量換算) (c) H2
【0080】上の表の混合物をアクリル板上にガラス棒
で厚さ約0.7mmに流延した。これを一晩風乾後さら
に40℃、30min風乾した。ここまでの操作は暗室
中で行なった。これを30分間日光下で露光し架橋し
て、シートを得た。
【0081】上記のものを3×1cmのリボン状に切断
し水中に入れ2hr膨潤試験を行なった。結果を下表に
示す。
【0082】
【表6】
【0083】バクテリアセルロースを入れることによ
り、膨潤を阻止できた。
【0084】次はこのシートの引張試験を行なった。
【0085】
【表7】
【0086】バクテリアセルロースを入れることによ
り、弾性率を1.3〜1.6倍に改善することが出来
た。
【0087】実施例9 実施例8の表の組成の混合物を厚さ1mmのスライドガ
ラスをスペーサーとして2枚のガラス板の間にサンドイ
ッチ状にはさんだ。これをそのまま日光で30分間露光
して架橋させ、湿潤状態のコンニャク状のゲルを得た。
これを蒸留水中に入れ実施例8と同様に膨潤試験を行な
った。結果を下表に示す。
【0088】
【表8】 *試料3,4は膨潤することにより破壊された。
【0089】バクテリアセルロースを混入することによ
り、ゲルの膨潤と破壊が阻止された。
【0090】実施例10 乾燥したバクテリアセルロース3.5部にジメチルアセ
トアミド100部を加え、60分間還流攪拌した。次
に、100℃に冷却して塩化リチウム10部を徐々に添
加した後、室温で1昼夜攪拌してバクテリアセルロース
を溶解した。この紡糸原液をテトラヒドロフラン凝固
液、紡糸ドラフト1.5浴長80cmで紡糸し紡糸浴か
ら出た糸条を50℃の水中で50%延伸してから乾燥し
た。得られた繊維の性質は下表に示したとおりである。
また、比較のために木材パルプ(L..KP)について
も同様に紡糸した。
【0091】
【表9】
【0092】実施例11 銅粉(福田金属箔粉工業製φ10μm)と木材パルプ
(N..KP)(CSF540ml)との混合物に離解
したバクテリアセルロースを加え、TAPPI法により
抄紙した。また、比較のために銅粉と木材パルプとの混
抄紙も作成した。これらのシートについて自動記録式引
張り試験機で物性を測定した。結果を次表に示す。
【0093】
【表10】
【0094】バクテリアセルロースの使用により、銅粉
の洩れがなく、また強度も大巾に向上した。通常のパル
プの場合は銅粉の60%以上が洩れて流出した。
【0095】実施例12 木材パルプ(N.U.KP)(CSF540ml)に対し
て離解したバクテリアセルロース(BC)を加え、TA
PPI法により抄紙した。この紙にフェノール樹脂を含
浸させて風乾し熱プレス加工によりフェノール積層板を
作製した。
【0096】また、比較のために木材パルプのみによる
フェノール積層板も同様に作製した。これらのフェノー
ル積層板をダンベル1号型(JIS K−7113)に成
型し、自動記録式引張り試験機により物性を測定した。
結果を次表に示す。
【0097】
【表11】
【0098】バクテリアセルロースの使用によりフェノ
ール積層板の強度が大巾に向上した。
【0099】実施例13 実施例1で使用したものと同じゲル状のバクテリアセル
ロースを150℃、5kg/cm2で5分間熱プレス(吉
田工業(株))し、シートを得た。得られたシートにポリ
エチレンイミン処理したポリエチレンフィルムを320
℃でラミネートしラミネートフィルムを作製した。この
ラミネートフィルムを自動記録式引張り試験機により物
性を測定した。その結果、弾性率が16.2GPaと通
常のセロハン−ポリエチレンラミネートフィルムの弾性
率1.7GPaより大巾に向上したラミネートフィルム
を得た。
【0100】実施例14 窒化ケイ素及び炭化ケイ素(タテホ化学製10μm長)
に対して離解したバクテリアセルロース(BC)を加
え、TAPPI法により抄紙した。また、比較のため
に、木材パルプ(N.U.KP)及びミクロフィブリルセ
ルロース(MFC:ダイセル化学製)との混抄について
も同様に行った。得られたシートを自動試録式引張り試
験機により物性を測定した。その結果を次表に示す。
【0101】
【表12】
【0102】バクテリアセルロースの使用により、窒化
ケイ素及び炭化ケイ素の洩れがなくまた弾性率も大巾に
向上した。通常のパルプの場合は窒化ケイ素及び炭化ケ
イ素の60%以上が洩れて流出しMFCの場合はその殆
んどが洩れて流出した。
【0103】実施例15 フマル酸2g/dl、リン酸二水素カリウム0.2g/
dl、硫酸マンガン4水塩1mg/dl、硫酸マグネシ
ウム7水塩1mg/dl、塩化カルシウム0.05g/
dl、酵母エキス(Difco)1.0g/dl、ペプト
ン(Difco)1.0g/dlの組成の液体培地をアン
モニアを用いてpH7.0に調整した。この培地を50
0ccの坂口フラスコに50mlずつ分注し、E.co
li ATCC 11775を一白金耳ずつ接種して3
0℃で24時間培養した。菌体を常法に従い遠心分離に
より回収した。さらに生理食塩水を用いて2回洗浄後、
湿重量と同量の生理食塩水に懸濁した。
【0104】この菌体を以下の方法によりゼラチン+本
セルロースで作った担体に固定化を試みた。固定化法と
しては、特開昭59−66886号公報に記載されてい
るトランスグルタミナーゼによる固定化法を用いた。ゼ
ラチン(宮城化学)、該バクテリアセルロースを離解し
た物を下記の表に示した組成にて混合した。この混合液
にさらに菌体を濃度3.5%となるように混合してか
ら、特開昭59−66886号公報に記載されている方
法に従い、トランスグルタミナーゼをゼラチン1mgに
対して0.1ユニット加え25℃に1時間放置してゲル
化させた。このゲルを5mm角のサイの目状に切断して
反応液に添加してアスパルターゼの活性を調べた。反応
液は、フマル酸20g/dl、1mM・MgSO4・7
2Oを含有する溶液をアンモニアを用いてpH8.5
に調整して用いた。反応液全量に対して菌体濃度が0.
5%となるように菌体固定化ゼラチンゲルを反応液に入
れた。反応は1時間行ない、5分おきにアスパラギン酸
濃度をニンヒドリンによる比色で定量して反応初速度を
求めた。反応液中への漏出菌数は、反応開始後30分間
経過した後にコロニーカウントにより求めた。結果を次
表に示す。
【0105】
【表13】
【0106】酵素活性は、反応初速度より求めた。な
お、酵素活性は、バクテリアセルロースを添加しない場
合の1回目を100とし相対値で表わした。又、反応
は、10回くりかえした。結果を次に示す。
【0107】
【表14】
【0108】バクテリアセルロースを添加することによ
り菌体の漏出が防止された為、繰り返し使用後の活性の
維持が可能となった。
【0109】また、前記の表に示したものと同様のゼラ
チン及び補強材を添加したゼラチンの破壊強度を測定し
た。測定は、前述のゼラチン溶液を直径22cmの円筒
形のプラスチック容器の中でゲル化させた後に、レオメ
ーター(不動工業社,NRM2002J)にセットし5
mmφのアダプターを直接ゲルに侵入させたときの最大
荷重を破壊強度として表わすことにより行なった。結果
を次表に示す。
【0110】
【表15】
【0111】バクテリアセルロースは、従来の補強材よ
りも優れた補強効果が認められた。
【0112】実施例16 アルギン酸ゲルへの固定化は、アルギン酸ナトリウムと
バクテリアセルロースを下記の表に従い混合した。次に
常法に従い、0.1M CaCl2溶液に滴下してじゅず
玉状のゲルを得た。
【0113】反応条件等については実施例15の通りとし
て、アスパルターゼの反応を行なった。漏出菌数につい
ては、反応液を取り変えずに30分たったところでコロ
ニー数により求めた。結果を次表に示す。
【0114】
【表16】
【0115】上記の反応液を15分ごとにとりかえて合
計4回の固定化担体のくりかえし反応を行なった。酵素
活性は、3分おきにアスパラギン酸の濃度を測定して初
速度から求めた。結果を次表に示す。アスパルターゼ活
性は該セルロース性物質を添加しない場合の1回目を1
00とした時の相対値で示した。
【0116】
【表17】
【0117】バクテリアセルロースを補強材として添加
した結果、菌体の漏出が防止されたために従来の固定化
担体よりも本発明の高強度固定化担体の方がくり返し使
用することが可能となった。
【0118】実施例17 光架橋性樹脂に以下に述べる方法でインベルターゼを固
定化した。インベルターゼ1部とリン酸緩衝液(pH
6.0)2部を混合したものに光架橋性樹脂溶液(pH
60)20部を混合した。この混合液をガラス板上に流
延してから1日間風乾後光照射を1時間行ない架橋硬化
させた。補強材は、最終濃度が5%となるように添加し
た。
【0119】この固定化膜を5×5mmの大きさに細断
し、ショ糖4gの溶液50ml中で、40℃24hr攪
拌反応してショ糖の分解率をしらべた。反応は10回く
りかえした。また破断応力,弾性率についても調べた。
結果を次表に示す。
【0120】
【表18】
【0121】バクテリアセルロースの添加によって固定
化酵素膜の強度である膜の破断応力,弾性率等の膜の物
理特性が大きく改善された。このため酵素の固定化のた
めの操作が容易となり該セルロース性物質を添加しない
場合に比べて添加した場合は、操作に要する時間は3/
4に短縮された。
【0122】
【発明の効果】本発明の高力学強度成形材料は引張強
度、耐伸縮性、弾性等にすぐれている。特に圧搾後乾燥
して得られたシートは弾性率が極めて高く、実施例品に
おいては、現在知られている2次元材料のなかでは最も
弾性率の高いポリメタフェニレンイソフタールアミドの
シートの弾性率の2倍以上であった。
【0123】従ってこの材料は高い強度が要求される複
合プラスチックス用の強化材として、例えば船、航空
機、自動車などのボディ材料として、配線基盤等とし
て、あるいは記録紙などの高級紙、打楽器の振動板等と
して使用できる。
【0124】加えて、この材料は天然物であって人の皮
膚に対して炎症を生じさせなく、かつ通気性に優れてい
るのでバンリコー基材として優れている。
【0125】また、物理的な応力による破壊や変形に対
して優れている上に溶液等によって引きおこされる膨潤
による破壊や変形にも強い。したがって、固定化担体と
して使用した場合に激しい攪拌や、非常に長いカラムへ
の充填が可能となるばかりか、従来強度的に弱すぎて使
用不可能であるような担体も固定化担体として新たに使
用可能となる。この固定化担体を製造する際には、従来
の固定化担体の製造過程において度々生じた活性成分の
凝集がなく従って、固定化担体内に活性成分を均一に分
散させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アセトバクターアセティーサブスピーシスキ
シリナムの生産するセルロース性物質の電子顕微鏡写真
である。
【図2】 本発明品のX線回折図形を示すものである。
【図3】 本発明品のX線回折図形を示すものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 バクテリアセルロース含有高力学強
度シート
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバクテリアの産生する特
定のセルロースを含有せしめることにより得られる高力
学強度シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バクテリアの産生するセルロース
としては、アセトバクター・キシリナム(Acetob
acter xylinum)ATCC 23769が産
生するシート状のものを医療用パッドに利用することが
知られている(特開昭59−120159号公報)。
【0003】一方、従来のシートには種々のものが知ら
れており、セルロースについても繊維をシート状に利用
したもののほかセルロース誘導体を一旦溶解して加工し
たセロファン、セルロイドなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の各種植物由来の
セルロース及びセルロース誘導体の力学的強度はさほど
大きくなく、例えばシート状のセルロイドやセロファン
の弾性率はせいぜい2〜3GPa程度であった。
【0005】バクテリアの産生するセルロースを利用し
たものとしては前述の例があるが、その利用は医療用パ
ッドに限られており、高力学強度分野における素材とし
て利用価値が高いことについては全く知られていなかっ
た。
【0006】本発明の目的は、従来のシートを越えた、
引張り強さ、耐伸縮性にすぐれた高弾性及び高強度のシ
ートを提供することにある。
【0007】本発明の別の目的は、この高力学強度に加
えて親水性にすぐれかつ毒性上問題のないシートを提供
することにある。
【0008】本発明のさらに別の目的は、高力学強度に
加えて導電性、磁性、高絶縁性、熱伝導性、耐候性、耐
薬品性などを付与することにより各種利用分野において
すぐれた高力学強度シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの目
的を達成するべく種々研究を行ない、微生物の産生する
リボン状のミクロフィブリルよりなるセルロースが引張
り強さ等の力学強度が極めて大きく、このバクテリアセ
ルロースを含有せしめた素材をシートに用いることによ
って前記目的を達成しうることを見出し、この知見に基
いて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、リボン状ミクロフィ
ブリルよりなり離解されたバクテリアセルロースを含有
していることを特徴とする高力学強度シートに関するも
のである。
【0011】バクテリアセルロースは、第1図にその電
子顕微鏡写真を示すように、幅100〜500Å、厚さ
10〜200Å程度のリボン状ミクロフィブリルからな
っている。一般にはゲルの形で得られ、その含水率は9
5%(w/v)以上である。
【0012】このセルロースはセルラーゼによって容易
に分解され、グルコースを生成する。すなわち、本セル
ロースの0.1%(w/v)懸濁液にセルラーゼ(EC
3,2,1,4)(天野製薬製)を0.5%(w/v)にな
るように溶かし、0.1M酢酸緩衝液中で30℃で24
時間反応させた。その結果、本物質の一部が分解される
ことが観察され、上澄液をペーパークロマトグラフィー
で展開したところグルコースのほかに少量のセロビオー
ス、セロトリオース及びその他のセロオリゴ糖が検出さ
れた。このほかに少量のフラクトース、マンノース等が
検出される場合もあった。
【0013】すなわち、本発明のバクテリアセルロース
はセルロース及びセルロースを主鎖としたヘテロ多糖を
含むもの及びβ−1,3,β−1,2等のグルカンを含む
ものである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成
成分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシ
ロース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の
六炭糖、五炭糖及び有機酸等である。なお、これ等の多
糖が単一物質である場合もあるし、2種以上の多糖が水
素結合等により混在していてもよい。
【0014】バクテリアセルロースは上記のようなもの
であればいかなるものであっても使用可能である。
【0015】このようなバクテリアセルロースを産生す
る微生物は特に限定されないが、アセトバクター・アセ
チ・サブスピーシス・キシリナム(Acetobact
eraceti subsp・xylinum)ATCC
10821あるいは同パストウリアヌス(A・pas
teurianus)、同ランセンス(A・rance
ns)、サルシナ・ベントリクリ(Sarcina ve
ntriculi)、バクテリウム・キシロイデス(B
acterium xyloides)、シュードモナ
ス属細菌、アグロバクテリウム属細菌等でバクテリアセ
ルロースを産生するものを利用することができる。
【0016】これらの微生物を培養してバクテリアセル
ロースを生成蓄積させる方法は細菌を培養する一般的方
法に従えばよい。すなわち、炭素源、窒素源、無機塩
類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微
量栄養素を含有する通常の栄養培地に微生物を接種し、
静置又はゆるやかに通気攪拌を行なう。炭素源として
は、グルコース、シュクロース、マルトース、澱粉加水
分解物、糖密等が利用されるが、エタノール、酢酸、ク
エン酸等も単独あるいは上記の糖と併用して利用するこ
とができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化
アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム
塩、硝酸塩、尿素、ペプトン等の有機あるいは無機の窒
素源が利用される。無機塩類としては、リン酸塩、マグ
ネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が利用
される。有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミ
ン、脂肪酸、核酸、さらにはこれらの栄養素を含むペプ
トン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白加水分解物等
が利用され、生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を用いる場合には要求される栄養素をさらに補添す
る必要がある。
【0017】培養条件も通常でよく、pHを5ないし9
そして温度を20ないし40℃に制御しつつ1ないし3
0日間培養すれば表層にバクテリアセルロースがゲル状
に蓄積される。
【0018】本発明で使用するバクテリアセルロースは
微生物の培養物から単離された精製品のほか、用途に応
じある程度不純物を含むものであっても良い。例えば培
養液中の残糖,塩類,酵母エキス等が微生物セルロース
に残留していてもさしつかえない。また、菌体がある程
度含まれていても良い。
【0019】このゲルを取り出して必要により、水洗す
る。この水洗水には目的に応じて殺菌剤、前処理剤など
の薬剤を添加することができる。
【0020】離解は機械的な剪断力を利用して行なえば
よく、例えば回転式の離解機あるいはミキサー等で容易
に離解できる。
【0021】シート状にするには、離解したバクテリア
セルロースを層状にし、これを必要により圧搾して乾燥
すればよい。圧搾によって面配向したものが得られるほ
か、圧延を加えることによって面配向するとともにさら
に一軸配向したシートを得ることができる。
【0022】バクテリアセルロースは引張り強度等の力
学的強度を高めるためにミクロフィブリルがからみ合っ
た構造にするのがよく、そのために直角方向から加圧し
て圧搾することにより自由水の大部分を除去してから乾
燥する方法は有効である。圧搾圧力は1〜10kg/c
2程度が適当である。この圧搾によって乾燥後のセル
ロースは圧搾方向に応じて配向したものになる。また、
圧力を加えながら一方向に延ばす操作、すなわち圧延操
作を行なうことによって乾燥後のセルロースは圧搾方向
に加えて圧延方向に対しても配向性を有するに至る。圧
搾装置は市販の機種のなかから適宜選択して利用するこ
とができる。
【0023】シートの乾燥は適当な支持体に固定して行
なうことが望ましい。この支持体へ固定することによっ
て面配向度がさらに高まり、力学的強度の大きなシート
を得ることができる。支持体には例えば網状構造をもっ
た板、ガラス板、金属板などを利用できる。乾燥温度は
セルロースが分解されない範囲であればよく加熱乾燥法
のほか凍結乾燥法も利用できる。
【0024】シートの厚さは用途に応じて定められる
が、通常1〜500μm程度である。
【0025】シートには各種の添加剤を加えることがで
きる。例えば、各種の高分子材料の溶液(水性又は非水
性)、エマルジョン、ディスパージョン、粉体、溶融物
等を加えることにより、その添加物の特性に応じて、強
度、耐候性、耐薬品性、耐水性、撥水性、静電防止性等
の幾つかを付与することができる。アルミニウム、銅、
鉄、亜鉛などの金属又はカーボンを粉末状あるいは糸状
で加えれば導電性及び熱伝導性を高めることができる。
また、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、カオリ
ン、ベントナイト、ゼオライト、雲母、アルミナ等の無
機質材料を加えればその種類に応じて耐熱性、絶縁性な
どを改善し、あるいは表面に平滑性を付与することがで
きる。低分子有機質あるいは接着剤を加えることによっ
て強度をさらに増すことができる。フタロシアニン、ア
ゾ化合物、アイ、ベニハナなどの色素で着色してもよ
い。着色にはそのほか各種の塗料、染料、顔料を利用す
ることができる。医薬品、殺菌剤を加えることによって
メディカルシートとして利用することもできる。
【0026】これらの混練物、添加剤は97%以下で目
的の物性が得られる適当な量が加えられる。これらの添
加時期は問うところではなく、バクテリアセルロースゲ
ルあるいはその離解物に加えてもよく、圧搾後に加えて
もよく、また乾燥後に加えてもよい。さらに、培地中あ
るいは培養物に加えてもよい場合もある。添加方法も混
合のほか含浸によってもよい。
【0027】このようなシートには他の物質の層を積層
することもできる。積層物はシートの使用目的に応じて
適宜選択される。前述の混練物あるいは添加物のなかか
ら選択することもでき、例えば耐水性の付与のために各
種高分子材料をコーティングすることができる。
【0028】紙として利用する場合には、バクテリアセ
ルロースゲルを離解後抄紙して乾燥すればよく、それに
よって引張強度、耐伸縮性等にすぐれるとともに化学的
に安定で吸水性、通気性にすぐれた高弾性及び高強度の
紙を得ることができる。この場合、製紙に使用される通
常の添加剤、処理剤等を利用することができ、また、前
述の混練物、添加剤のなかから選択して加えることもで
きる。
【0029】近年、電気絶縁紙、耐熱紙、難燃紙等の要
求が高まり、非セルロース繊維を使用した合成紙、無機
紙等が作られるようになった。これらを湿式法で作ろう
とする場合には、非セルロース繊維が水素結合を行なわ
ないため、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリ
コニトリル、芳香族ポリアミド等の繊維の如くパルプ化
された繊維が得られる場合を除いて、セルロースパルプ
を添加して抄紙を行なう必要がある。この場合には出来
る限りパルプ量を少なくして絶縁性、耐熱性、難燃性を
向上させることが要求される。しかし、一般に使用され
ている木材パルプを混抄する場合には、添加量は20〜
50%に達し、目的が充分に達せられない。しかるに、
木材パルプの代りにバクテリアセルロースを用いること
にセルロース量を大幅に減少させることができ、絶縁
性、耐熱性、難燃性にすぐれた紙を得ることができた。
従って本発明の高力学強度シートはこれらにも有効であ
る。
【0030】また、光架橋性ポリビニルアルコールは従
来の光架橋性樹脂と比較して生物に対する親和性がよい
といわれており、酵素、微生物等の固定化剤の用途がこ
れによりさらに向上すると考えられている。また、印刷
の原板を製作するときに使用されるフォトレジストは、
基板上に樹脂を塗り、これに印刷すべき図案等を投影し
て光架橋を起こさせて樹脂を硬化させ、未硬化樹脂を洗
い流して印刷原板を製作するものであるが、水溶性であ
るこの光架橋性ポリビニルアルコールはフォトレジスト
にも従来の油溶性のものに比べて安価で洗浄が容易とい
う利点を有しており、応用が期待されている。しかし、
これらの場合に水によって光架橋性ポリビニルアルコー
ルが膨潤し架橋構造が破壊されてしまうという問題があ
った。しかるにバクテリアセルロースを加えることによ
ってこの膨潤を阻止することができる。
【0031】
【実施例】 実施例1 シュクロース5g/dl、酵母エキス(Difco)0.
5g/dl、硫安0.5g/dl、KH2PO4 0.3g
/dl、MgSO4・7H2O 0.05g/dl(pH
5.0)の組成の培地50mlを200ml容三角フラ
スコに張込み、120℃で20分間蒸気殺菌した。これ
に酵母エキス0.5g/dl、ペプトン0.3g/dl、
マンニトール2.5g/dl(pH6.0)の組成の試
験管斜面寒天培地で生育させた(30℃、3日間)アセト
バクター、アセチ、サブスピーシス、キシリナムATC
C 10821を1白金耳づつ接種し30℃で培養し
た。30日後、培養液の上層に白色のバクテリアセルロ
ース性多糖を含むゲル状の膜が形成された。
【0032】このゲル状のバクテリアセルロースをホモ
ジナイザーにより離解し、TAPPI法により抄紙し
た、このものの振動リード法で測定したヤング率Eは、 E=7.4GPa
【0033】また、濾水性を向上させ、微細粒子の歩留
りを向上させる目的でポリアミドエピクロルヒドリン樹
脂(ディック・ハーキュレス社製カイメン557H)5%
(固形分比)を添加し、抄紙した。この紙のEは次の通
りであった。 E=8.1GPa
【0034】いずれの場合も高強度の紙が得られた。
【0035】実施例2 ノボロイド繊維(郡栄化学工業製・商品名カイノール繊
維KF0203,φ14μm,3mm長)に対し離解し
たバクテリアセルロースを添加し、坪量60g/m2
シートをTAPPI法により抄紙した(TAPPI s
tandardT205m−58)。
【0036】また、比較のため通常の木材パルプ(N.
U.SP)を高度に叩解したもの(CSF245ml)
とカイノール繊維との混抄紙も作製した。
【0037】これらのシートの裂断長を自記記録式引張
試験機で測定した。結果は次表の如くになった。
【0038】
【表1】
【0039】バクテリアセルロースの使用により、少量
の添加で抄紙が可能となり、また強度も大となった。通
常のパルプ使用の場合には、10部以下の使用では抄紙
不能であった。
【0040】実施例3 種々の無機繊維を使用し、B.C.との混抄紙を作製し裂
断長を測定した。結果は次表の通りであった。
【0041】
【表2】
【0042】いずれの場合にも5〜10%の添加で抄紙
が可能であった。
【0043】実施例4 木材パルプ(N.U.KP)(CSF540ml)に対し
離解したバクテリアセルロース(B.C.)を加え、さら
に硫酸バン±5%(固形分比)を添加して抄紙した紙の
特性は次の通りであった。
【0044】
【表3】
【0045】B.C.の添加により紙強度が向上した。
【0046】実施例5 所定の培養で得られたゲル状のバクテリアセルロースを
標準パルプ離解機で離解した後125meshのふるい
で濾過して固型分含量約8.8%のペースト状の離解物
を得た。これを以下の実験に使用した。
【0047】光架橋性ポリビニルアルコール(PVA)−
SbQ(GH−17SbQ 10.5wt% 1.2mo
l% 東洋合成工業(株))と上記の離解物と水を暗室中
で下表の割合で混合した。
【0048】
【表4】 (a) PVA−SbQ(GH17SbQ 10.5wt
% 1.2mol%) (b) バクテリアセルロース離解物(乾燥重量換算) (c) H2
【0049】上の表の混合物をアクリル板上にガラス棒
で厚さ約0.7mmに流延した。これを一晩風乾後さら
に40℃、30min風乾した。ここまでの操作は暗室
中で行なった。これを30分間日光下で露光し架橋し
て、シートを得た。
【0050】上記のものを3×1cmのリボン状に切断
し水中に入れ2hr膨潤試験を行なった。結果を下表に
示す。
【0051】
【表5】
【0052】バクテリアセルロースを入れることによ
り、膨潤を阻止できた。
【0053】次はこのシートの引張試験を行なった。
【0054】
【表6】
【0055】バクテリアセルロースを入れることによ
り、弾性率を1.3〜1.6倍に改善することが出来
た。
【0056】実施例6 実施例2の表の組成の混合物を厚さ1mmのスライドガ
ラスをスペーサーとして2枚のガラス板の間にサンドイ
ッチ状にはさんだ。これをそのまま日光で30分間露光
して架橋させ、湿潤状態のコンニャク状のゲルを得た。
これを蒸留水中に入れ実施例8と同様に膨潤試験を行な
った。結果を下表に示す。
【0057】
【表7】 *試料3,4は膨潤することにより破壊された。
【0058】バクテリアセルロースを混入することによ
り、ゲルの膨潤と破壊が阻止された。
【0059】実施例7 銅粉(福田金属箔粉工業製φ10μm)と木材パルプ
(N..KP)(CSF540ml)との混合物に離解
したバクテリアセルロースを加え、TAPPI法により
抄紙した。また、比較のために銅粉と木材パルプとの混
抄紙も作成した。これらのシートについて自動記録式引
張り試験機で物性を測定した。結果を次表に示す。
【0060】
【表8】
【0061】バクテリアセルロースの使用により、銅粉
の洩れがなく、また強度も大巾に向上した。通常のパル
プの場合は銅粉の60%以上が洩れて流出した。
【0062】実施例8 木材パルプ(N.U.KP)(CSF540ml)に対し
て離解したバクテリアセルロース(BC)を加え、TA
PPI法により抄紙した。この紙にフェノール樹脂を含
浸させて風乾し熱プレス加工によりフェノール積層板を
作製した。
【0063】また、比較のために木材パルプのみによる
フェノール積層板も同様に作製した。これらのフェノー
ル積層板をダンベル1号型(JIS K−7113)に
成型し、自動記録式引張り試験機により物性を測定し
た。結果を次表に示す。
【0064】
【表9】
【0065】バクテリアセルロースの使用によりフェノ
ール積層板の強度が大巾に向上した。
【0066】実施例9 窒化ケイ素及び炭化ケイ素(タテホ化学製10μm長)
に対して離解したバクテリアセルロース(BC)を加
え、TAPPI法により抄紙した。また、比較のため
に、木材パルプ(N.U.KP)及びミクロフィブリルセ
ルロース(MFC:ダイセル化学製)との混抄について
も同様に行った。得られたシートを自動試録式引張り試
験機により物性を測定した。その結果を次表に示す。
【0067】
【表10】
【0068】バクテリアセルロースの使用により、窒化
ケイ素及び炭化ケイ素の洩れがなくまた弾性率も大巾に
向上した。通常のパルプの場合は窒化ケイ素及び炭化ケ
イ素の60%以上が洩れて流出しMFCの場合はその殆
んどが洩れて流出した。
【0069】
【発明の効果】本発明の高力学強度シートは引張強度、
耐伸縮性、弾性等にすぐれている。
【0070】従ってこのシートは高い強度が要求される
複合プラスチックス用の強化材として、例えば船、航空
機、自動車などのボディ材料として、配線基盤等とし
て、あるいは記録紙などの高級紙、打楽器の振動板等と
して使用できる。
【0071】加えて、この材料は天然物であって人の皮
膚に対して炎症を生じさせなく、かつ通気性に優れてい
るので絆創膏基材として優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アセトバクターアセティーサブスピーシスキ
シリナムの生産するセルロース性物質の電子顕微鏡写真
である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 3/48 (72)発明者 三橋 重信 茨城県新治郡桜村吾妻2丁目709棟 (72)発明者 市村 国宏 茨城県筑波郡谷田部町松代5丁目630棟 (72)発明者 山中 茂 神奈川県横浜市南区大岡3−40−13 (72)発明者 渡部 乙比古 神奈川県川崎市川崎区観音2−20−8 (72)発明者 西 美緒 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 瓜生 勝 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リボン状ミクロフィブリルよりなり離解
    されたバクテリアセルロースを含有していることを特徴
    とする高力学強度シート
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