JP2616534B2 - ワーク姿勢変更装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ワークの姿勢を変化さ
せて、ワークの加工面を変化させるワーク姿勢変更装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術として、実開平２−１０７４
４３号公報に開示された技術が知られている。この技術
は、ワークを保持する旋回テーブルと、この旋回テーブ
ルを回転駆動してワークを旋回させる旋回駆動手段と、
旋回テーブルの回転方向に対して、垂直方向に旋回駆動
手段を回転駆動する俯仰駆動手段とからなる。そして、
旋回駆動手段および俯仰駆動手段を作動させることによ
り、ワークの保持面を除く全ての面を、一方向に向ける
ことが可能となる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術では、旋回テーブルを旋回駆動手段とともに回転駆
動していたため、ワークの回動範囲が大変大きく、大き
な設備を必要とする不具合を有していた。

【０００４】

【発明の目的】本発明の目的は、ワークの回動範囲を小
さくして、設備を小さくすることが可能なワーク姿勢変
更装置の提供にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のワーク姿勢変更
装置は、ワークを保持するアームと、前記ワークの保持
位置から所定距離離れた位置で前記アームを保持し、前
記アームに保持される前記ワークを内側に傾斜して回転
駆動するアーム回転機と、前記アームに保持された前記
ワークを回転駆動させるワーク回転機とを具備する。そ
して、前記アーム回転機は、 （ａ−１）前記ワークを搬送するパレットとして用いら
れる搬送用のベースプレートと、 （ａ−２）前記アームの一端が固定されたアーム回転用
シャフトと、 （ａ−３）前記ベースプレートに設けられ、前記アーム
回転用シャフトを前記ベースプレートに対して傾斜させ
た状態で前記アーム回転用シャフトを回転自在に支持す
るアーム支持部と、 （ａ−４）前記アーム回転用シャフトと接続および離脱
が可能に設けられたアーム回転用駆動体と、を具備す
る。また、前記ワーク回転機は、 （ｂ−１）前記ワークが固定される回転部と、 （ｂ−２）この回転部が固定されるとともに、前記アー
ムの他端側において前記アームに回転自在に支持される
ワーク回転用シャフトと、 （ｂ−３）このワーク回転用シャフトと接続および離脱
が可能に設けられたワーク回転用駆動体と、を具備す
る。

【０００６】

【発明の作用】例えば、アーム回転機の回転軸が水平方
向に対して４５°傾斜し、かつアームに保持されるワー
クの保持方向がアーム回転機の回転軸に対して４５°傾
斜している場合で、アームがワークの下方に位置する状
態から、アーム回転機を例えば１８０°回転させる場合
は、アーム回転用駆動体をアーム回転用シャフトに接続
し、アーム回転用シャフトを１８０°回転させ、その後
アーム回転用駆動体をアーム回転用シャフトから離脱さ
せる。この動作によって、ワークは、ほぼ同じ位置で９
０°反転する。つまり、ワーク６面の内の上面および下
面（アームに保持される保持面）が側面に変化し、対向
する一組の側面が上面および下面に変化し、他の対向す
る一組の側面は反転した側面に変化する。さらに、この
状態で、ワーク回転用駆動体をワーク回転用シャフトに
接続し、ワーク回転用シャフトを９０°回転させ、その
後アーム回転用駆動体をアーム回転用シャフトから離脱
させる。このように、アーム回転用駆動体によってアー
ム回転用シャフトを９０°ずつ回転させることにより、
アームの回転前は側面であった４面を、全て上面に向け
ることができる。つまり、上記の動作によって、パレッ
トとして用いられるベースプレート上において、アーム
に保持される保持面以外のワーク面を全て一方向へ向か
せることができる。

【０００７】

【発明の効果】本発明のワーク姿勢変更装置は、上記の
作用で示したように、ワークを内側に傾斜させてアーム
を回転することにより、ワークはほぼ同じ位置で回転す
るなど、ワークの移動軌跡が小さくすむ。このため、従
来に比較してワークに加工を施す設備や、ワークの移動
軌跡がしめるスペースを小さくできる。

【０００８】

【実施例】次に、本発明のワーク姿勢変更装置を、図に
示す一実施例に基づき説明する。 〔実施例の構成〕図１ないし図３は本発明の実施例を示
すもので、図１はワーク姿勢変更装置の側面断面図であ
る。本実施例のワーク姿勢変更装置１は、ワーク２を搬
送するパレットとしても用いられるもので、搬送される
ベースプレート３を備える。本実施例のワーク姿勢変更
装置１は、ワーク２の上方向からワーク２に加工を施す
加工機（図示しない）に使用されるもので、ベースプレ
ート３は、水平方向に配置される。このベースプレート
３には、アーム４の一端が固定されたアーム回転用シャ
フト５を回転自在に保持するアーム支持部６が固着され
ている。アーム支持部６のアーム４を回転支持する面６
ａは、ベースプレート３の上面に対して１３５°の角度
で傾斜して設けられ、アーム回転用シャフト５は、アー
ム支持部６のアーム４を回転支持する面６ａに対して垂
直方向に貫通して設けられている。つまり、アーム回転
用シャフト５の軸方向は、ベースプレート３に対して４
５°傾斜して設けられている。

【０００９】アーム４は、略く字形に設けられている。
このアーム４は、アーム回転用シャフト５とは異なった
側でワーク回転用シャフト７と回転部８を介してワーク
２を保持する。ワーク回転用シャフト７は、アーム４を
貫通し、アーム４に対して回転自在に設けられたもの
で、ワーク回転用シャフト７の軸線は、ワーク２を保持
する側がアーム回転用シャフト５の軸方向に対して４５
°傾斜した状態に設けられている。これによって、アー
ム回転用シャフト５を回転させると、アーム４に保持さ
れるワーク２が内側に傾斜して回転する。また、回転部
８は、ワーク２が固定されるもので、ワーク回転用シャ
フト７に固定されて、アーム４に対し回転自在に支持さ
れる。なお、ワーク回転用シャフト７の軸心上にワーク
２の中心（重量中心、形状中心、あるいは両方を加味し
た中心）が位置するように、回転部８とワーク２との位
置決めが行われる。また、アーム回転用シャフト５の軸
心上にワーク２の中心が位置するように、アーム４の長
さ（本発明の所定距離）が設けられている。

【００１０】アーム回転用シャフト５は、アーム４を回
転させるアーム回転機９の一部で、アーム回転機９は、
アーム回転用シャフト５の他に、アーム回転用シャフト
５と接続、離脱が可能に設けられたアーム回転用駆動体
１０を備える。そして、アーム回転用駆動体１０がアー
ム回転用シャフト５に接続され、アーム回転用駆動体１
０が１８０°回転作動すると、アーム４に支持される回
転部８が、例えばベースプレート３と水平な状態から振
り上がって、ベースプレート３に対して垂直な状態に変
化する。この時、アーム４の回転部８にワーク２を保持
した状態では、アーム回転機９によってアーム４を１８
０°回転させると、ワーク２は中心位置を変えずに９０
°姿勢を変化する。

【００１１】ワーク回転用シャフト７および回転部８
は、ワーク２をアーム４上で回転させるワーク回転機１
１の一部で、ワーク回転機１１は、ワーク回転用シャフ
ト７および回転部８の他に、アーム４がベースプレート
３と水平状態の時に、ワーク回転用シャフト７と接続、
離脱が可能に設けられてワーク２を水平方向へ回転させ
るワーク水平回転用駆動体１２（本発明のワーク回転用
駆動体に相当する）と、アーム４がベースプレート３に
対して垂直状態の時に、ワーク回転用シャフト７と接
続、離脱が可能に設けられてワーク２を垂直方向へ回転
させるワーク垂直回転用駆動体１３（本発明のワーク回
転用駆動体に相当する）とを備える。

【００１２】〔実施例の作動〕次に、上記実施例の作動
を図１の他に、図２および図３を用いて説明する。アー
ム４とベースプレート３とが水平の状態、つまりアーム
４を下側に下ろした状態で（図２参照）、ベースプレー
ト３の下方よりワーク水平回転用駆動体１２を突き上
げ、ワーク水平回転用駆動体１２とワーク回転用シャフ
ト７とを接続する。すると、ワーク水平回転用駆動体１
２の作動により、ワーク２を図２の状態で水平回転が可
能になる。この状態ではワーク２の上面が、上方の加工
機からの加工を受ける。また、ワーク水平回転用駆動体
１２とワーク回転用シャフト７との接続を外した状態
で、アーム支持部６の斜め下方よりアーム回転用駆動体
１０を突き出し、アーム回転用駆動体１０とアーム回転
用シャフト５とを接続する。そして、アーム回転用駆動
体１０を１８０°回転させることにより、アーム４が振
り上がってアーム４がベースプレート３に対して垂直に
なる。すると、アーム４に保持されているワーク２が、
中心位置を変えずに横倒し状態へと姿勢が変化する（図
３参照）。この状態で、アーム４の側方よりワーク水平
回転用駆動体１２をワーク２側に移動し、ワーク垂直回
転用駆動体１３とワーク回転用シャフト７とを接続す
る。すると、ワーク垂直回転用駆動体１３の作動によ
り、ワーク２を図３の状態で垂直回転が可能になり、図
２の状態で側面であった面を、ワーク垂直回転用駆動体
１３を９０°ずつ回転させることにより、全て上方に向
けることができる。これにより、図２の状態で側面であ
った面を順次上方に向け、上方から加工を受けることが
できる。

【００１３】〔実施例の効果〕本実施例では、上記の作
用で示したように、ワーク２を水平方向に回転しても、
アーム４を振り上げて横倒ししても、ワーク２を垂直方
向に回転しても、ワーク２の重心が変化しない。つま
り、ワーク２の姿勢を変える際、ワーク２はほぼ同じ位
置で回転して姿勢を換えるため、ワーク２の移動軌跡が
小さくすむ。このため、従来に比較してワーク２の移動
軌跡のしめるスペースを小さくでき、ワーク２の移動軌
跡のしめる設備を小さくできる。また、ワーク２の姿勢
を変更する際、ワーク２の重心が変化しないため、ワー
ク２の姿勢を変更する駆動トルクを小さくできる。ワー
ク２が保持された面以外の５面を上方からの作業によっ
て加工が施せるため、ワーク２に加工を施す設備を簡素
化できる。ワーク２の姿勢変更は、ワーク２をアーム４
に保持させたまま行うことができるため、姿勢を変更す
る毎にワーク２の脱着を行う必要がない。また、ワーク
２を回転部８に保持させるのは一度で良く、ワーク２の
位置決め部もワーク２の一面のみに設ければ良く、ワー
ク２の制約が少なくてすむ。ワーク２を保持するアーム
４を４５°傾斜して回転する簡単な構造で、ワーク２を
横倒しにできるため、ワーク２の姿勢変更のための機構
が簡単かつ小型化できる。また、これによって、ワーク
姿勢変更装置１自体の回動によるスペースが小さくで
き、ワーク２に加工を施す設備を小型化できる。

【００１４】〔変形例〕上記の実施例では、アーム回転
機によってアームを１８０°回転させた例を示したが、
アームを中間角に停止させても良い。同様に、垂直回転
用駆動体によってワークの回転位置を９０°ずつ回転さ
せた例を示したが、ワークを中間角に停止させても良
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】ワーク姿勢変更装置の側面断面図である。

【図２】アームがベースプレートと水平の状態のワーク
姿勢変更装置の斜視図である。

【図３】アームがベースプレートと垂直の状態のワーク
姿勢変更装置の斜視図である。

【符号の説明】

１ ワーク姿勢変更装置 ２ ワーク ３ ベースプレート ４ アーム ５ アーム回転用シャフト ６ アーム支持部 ７ ワーク回転用シャフト ８ 回転部 ９ アーム回転機 １０ アーム回転用駆動体 １１ ワーク回転機 １２ ワーク水平回転用駆動体（ワーク回転用駆動体） １３ ワーク垂直回転用駆動体（ワーク回転用駆動体）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ワークを保持するアームと、 前記ワークの保持位置から所定距離離れた位置で前記ア
   ームを保持し、前記アームに保持される前記ワークを内
   側に傾斜して回転駆動するアーム回転機と、 前記アームに保持された前記ワークを回転駆動させるワ
   ーク回転機とを具備するワーク姿勢変更装置において、 （ａ）前記アーム回転機は、 （ａ−１）前記ワークを搬送するパレットとして用いら
   れる搬送用のベースプレートと、 （ａ−２）前記アームの一端が固定されたアーム回転用
   シャフトと、 （ａ−３）前記ベースプレートに設けられ、前記アーム
   回転用シャフトを前記ベースプレートに対して傾斜させ
   た状態で前記アーム回転用シャフトを回転自在に支持す
   るアーム支持部と、 （ａ−４）前記アーム回転用シャフトと接続および離脱
   が可能に設けられたアーム回転用駆動体と、を具備し、 （ｂ）前記ワーク回転機は、 （ｂ−１）前記ワークが固定される回転部と、 （ｂ−２）この回転部が固定されるとともに、前記アー
   ムの他端側において前記アームに回転自在に支持される
   ワーク回転用シャフトと、 （ｂ−３）このワーク回転用シャフトと接続および離脱
   が可能に設けられたワーク回転用駆動体と、を具備する
   ことを特徴とするワーク姿勢変更装置。