JP2613289B2 - 防汚原着糸およびその製造方法 - Google Patents

防汚原着糸およびその製造方法

Info

Publication number
JP2613289B2
JP2613289B2 JP1041759A JP4175989A JP2613289B2 JP 2613289 B2 JP2613289 B2 JP 2613289B2 JP 1041759 A JP1041759 A JP 1041759A JP 4175989 A JP4175989 A JP 4175989A JP 2613289 B2 JP2613289 B2 JP 2613289B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
weight
yarn
higher fatty
fatty acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1041759A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02221461A (ja
Inventor
浩二 田尻
照彦 足立
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP1041759A priority Critical patent/JP2613289B2/ja
Publication of JPH02221461A publication Critical patent/JPH02221461A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2613289B2 publication Critical patent/JP2613289B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、防汚原着糸に関し、更に詳細には織編物、
特にカーペットの汚れを防止することを可能にした防汚
原着糸に関する。
[従来の技術] 従来より、無機顔料,有機顔料あるいは有機染料など
を、ポリアミド,ポリプロピレンなどのポリオレフィ
ン,ポリエステルなどの熱可塑性合成繊維中にブレンド
した原着糸は、カーペット,マット類,カーシート地,
人工芝,ユニホームなどの産業資材あるいは一般衣料な
どに広く使用されている。その理由は、原着糸が、耐候
堅牢度,洗濯堅牢度などに優れているため、染上り同様
の色調を長期間に亘って保つことによる。
しかしながら、一方では、原着糸によるカーペットな
どの製品は、ごみが付きやすく、汚れが早く進行して黒
ずんでくるという欠点があることが、この度判明した。
更に、一旦、黒ずんで汚れた製品は、洗濯してもなか
なかその汚れがしみ込んで落ちにくく、実質的に色調が
変わることから、耐候堅牢度や洗濯堅牢度が良く色調が
変化しにくいという原着糸のメリットそのものが半減し
ていた。従来、これらの原因については、充分な解明が
なされていなかった。
本発明者らは、この原因を究明するため種々検討した
結果、繊維製品に付着している油剤が、ごみ,油分,あ
るいは水性汚れを吸着して汚れを促進させ、その結果繊
維中にしみ込み黒ずみとして色調の変化をきたしている
ことを究きとめた。このような原因は、原着糸を用いた
製品の場合、一般に染色工程がないため、油剤の油分が
洗い落とされず、製品中に残っており、この油分が原着
糸による製品特有の欠点となっていることが判明したの
である。
しかしながら、この原因を解決するために、原着糸に
よる製品を、別途、水洗すると、コストが高くなり、現
実的ではない。また、熱可塑性合成繊維の紡糸延伸工程
は、高速で行われるために、繊維に油剤が付与されてい
ないと繊維が毛羽だって延伸できず、従って原着糸とい
えども油剤を付与することを除外することはできず、油
剤付与は製糸工程において必須の要件である。
一方、近年、耐候堅牢度,洗濯堅牢度などの原着糸の
機能性を充分に発揮させるために、耐久性のある撥水,
撥油性(いわゆる耐汚染性)を併せ持つことが要求され
るようになった。
従来より、耐汚染性を付与する手段としては、カーペ
ット,マット類,布帛などに後加工において付与する方
法と、原糸段階において付与する方法とがあったが、耐
久性という観点からは原糸に付与する方法が優れている
(特開昭55−90677号公報,特開昭57−171760号公報,
特開昭57−171761号公報,特開昭171762号公報)。ま
た、原着糸のメリットの一つに染色工程が省略できるこ
とが挙げられるが、前記各特許出願公開公報などに開示
されている耐久性に優れた原糸付与汚性剤は、別途に、
洗浄,湿潤加熱工程あるいは染色工程を経ることがその
防汚性を発現させるための必須条件となっていた。これ
は、水洗工程を経ないで原着糸のままで製品にすると、
前述したような理由から、親水性あるいは親油性の油分
が汚れを吸着し、かつその親水性,親油性に起因し、フ
ッ素化合物による撥水,撥油機能の発現を大きく阻害す
るためである。
上記問題点に対して、本発明者は先に特願昭63−2988
41号,同63−298842号で原着糸の油分を0.3%以下に制
御することを提案した。
これによって確かに油分による汚れの問題およびフッ
素化合物との組合せ時の撥水,発油性の発現の阻害の問
題は大巾に改善された。
しかしながら、これらの低油分の原着糸は、付着油分
が少ないために平滑性に欠け、後工程であるコーミング
ル加工時、編機での編立て時あるいはタフト機によるタ
フティング時に摩擦係数が高くなり、操業性が悪くなる
という欠点も併せ持っていることが判った。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、上記の相反する矛盾を解決し、優れた防汚
性と加工性とを兼備する防汚性原着糸を提供することに
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、 (1)原着顔料および/または原着染料を含有する熱可
塑性合成繊維からなる原着糸において、その繊維表面
に、炭素数が18以上の高級脂肪酸と同じく炭素数が18以
上の高級アルコールとからなる、常温で固状の疎水性高
級脂肪酸エステルを主成分とする油分が、対繊維重量で
0.3重量%〜0.1重量%付着されていることを特徴とする
防汚原着糸。
(2)繊維表面が、更にフッ素化合物で被覆されている
請求項1記載の防汚原着糸。
(3)原着顔料および/または原着染料を含有する熱可
塑性合成繊維形成ポリマーを溶融紡糸し、油剤を付与
し、加熱延伸および/または延伸・捲縮加工を行い原着
糸を製造するに際し、該油剤成分として炭素数が18以上
の高級脂肪酸と同じく炭素数が18以上の高級アルコール
とからなる、常温で固状の疎水性高級脂肪酸エステルを
含む油剤を付与し、前記加熱延伸および/または延伸・
捲縮加工時の熱により油剤を揮発・分解させるかおよび
/または巻き取り前に水を付与することにより該疎水性
高級脂肪酸エステル以外の油剤成分を選択的に脱落させ
ることにより、該疎水性高級脂肪酸エステルを主とする
油分を、対繊維重量で0.3重量%〜0.1重量%の量で残存
させることを特徴とする防汚原着糸の製造方法、 および (4)原着顔料および/または原着染料を含有する熱可
塑性合成繊維形成ポリマーを溶融紡糸し、油剤を付与
し、加熱延伸および/または延伸・捲縮加工を行い原着
糸を製造するに際し、フッ素化合物と、炭素数が18以上
の高級脂肪酸と同じく炭素数が18以上の高級アルコール
とからなる、常温で固状の疎水性高級脂肪酸エステルと
を含む油剤を付与し、前記加熱延伸および/または延伸
・捲縮加工時の熱により油剤中のフッ素化合物と該疎水
性高級脂肪酸エステルを除く油分成分を揮発・分解させ
るかおよび/または巻き取り前に水を付与することによ
り油剤中のフッ素化合物と該疎水性高級脂肪酸エステル
以外の油分成分を選択的に脱落させることにより、繊維
表面に該疎水性高級脂肪酸エステルを主成分とする油分
(但しフッ素化合物は含まない)を対繊維重量で0.3重
量%〜0.1重量%の量で残存させるとともに繊維表面に
フッ素化合物を被覆させることを特徴とする防汚原着糸
の製造方法。
を提供するものである。
本発明の原着糸に使用される原着顔料および/または
原着染料としては、例えばカーボンブラック,二酸化チ
タン,ベンガラなどの無機系顔料;銅フタロシアニング
リーン,ペリレン系レッド,ポリアゾレッド,アジン系
イエロー等の有機系顔料;アゾ系染料,アンスラキノン
系染料,ペリノン系染料などの有機染料を挙げることが
できる。
これらの原着顔料および/または原着染料の原着糸中
の含有量は、特に限定されないが、通常は実用上充分な
色の濃度が得られる程度の量、例えば0.01〜3.0重量
%、好ましくは0.05〜2.0重量%程度である。
なお、原着糸の構成繊維自体あるいは原着顔料および
/または原着染料の耐候性を向上させるために、前記原
着成分以外にさらにヨウ化銅などの銅化合物を50ppm以
上、好ましくは100〜1,000ppm程度添加するのが好まし
い。
また、原着糸を構成する熱可塑性合成繊維としては、
ナイロン6,ナイロン6,6,ナイロン12,ナイロン4,6などの
ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレ
ンテレフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン,
ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル,
ポリアクリロニトリルなどのビニル系ポリマー;さらに
はこれらの共重合体、あるいはブレンド物からなるもの
を挙げることができる。
本発明の防汚性原着糸は、このような原着顔料および
/または原着染料を含有する熱可塑性合成繊維からなる
原着糸の繊維表面に付着している油分として、炭素数が
18以上の高級脂肪酸と同じく炭素数が18以上の高級アル
コールとからなる、常温で固状の疎水性高級脂肪酸エス
テル(例えばステアリルステアレート)[以下、単に疎
水性平滑剤と称する]を主成分とする油分の付着量が0.
3〜0.1重量%であること、さらには該フッ素化合物によ
り繊維表面を被覆されていることに大きな特徴がある。
一般に、ポリアミド,ポリエステル,ポリプロピレン
などの熱可塑性合成繊維に、紡糸工程で付与される油剤
は、通常、延伸性を良くするために鉱物油,植物油,動
物油,脂肪族炭化水素,脂肪酸エステルなどの疎水性油
分と、親水性のエチレンオキサイドを付加したり、極性
のある末端基を有する界面活性剤(乳化成分)と、帯電
防止機能を有する界面活性剤とからなっている。
これらの油剤は、延伸時の平滑性を保ち、毛羽の発生
を抑えるために必要であり、その付着量は繊維重量に対
して少なくとも0.3重量%を超える量、好ましくは0.5重
量%以上を要する。
そして、これらの油剤の大部分は、加熱延伸や捲縮加
工時の熱で分解・揮発されずに繊維表面に油分として固
着されて残存している。従って、この残存油分は、少な
くとも0.3重量%を超え、通常、0.5〜1.0重量%、多い
場合には1〜2重量%にも達するものである。これらの
油剤成分のうちでも、親水性の界面活性剤は、水性の汚
れ,油性の汚れを吸着し、かつそれらがほこりと一緒に
なって極めて悪質な汚れとなることが判明した。また、
エチレンオキサイド基が長く結合したりして分子量が大
きくなった界面活性剤は、繊維中に残存し易く、かつ残
存していると該成分が水分を吸着しほこり汚れを吸着
し、特に汚れを助長し易いことも判明した。また、疎水
性の平滑剤の場合は、油性の汚れを吸着したり、その結
果、ほこりを吸着して汚れ易いことも判明した。
しかしながら、さらに詳しく検討を進めていくと、平
滑剤の中で、特に常温(室温)で固状を示すような所謂
疎水性平滑剤は製品の上でも固状を示すことから液状を
示す平滑剤に比べて比較的に汚れを吸着しにくいという
事実が判明した。
即ち性状が液状の平滑剤は、周囲のほこりを吸着し、
繊維上でベトベトに固着するのに対して、固状の平滑剤
はサラットしているためにほこりが脱落し固着しにくい
ものと推察される。
疎水性平滑剤を固状にするためには、一般にエチレン
鎖を長くしたり、ベンゼン環を導入したりして、その分
子量を例えば少なくとも500以上と大きくしたらよい
が、単に分子量を大きくしたのでは意味がなく、疎水基
でもって分子量を大きくすることが肝要である。
すなわちエチレングリコールなどの親水基を付加して
分子量を大きくしたものでは、かえって汚れを吸着し易
くて所期の目的を満足しなくなる。
こうして疎水性平滑剤を少量繊維表面に残しておく
と、平滑性がよくなり後加工での操業性(断糸や毛羽)
がよくなり、従来の欠点が大巾に改良される。
さらに、帯電防止剤は、使用量を少なく、かつそれ自
身静電気によるほこりの吸着を防止する作用があるた
め、若干混入されている方が好ましく、また後加工にお
ける加工性の面からも必要最小限、すなわちOPUで約0.1
%以下程度最終製品に残存していてもよいことも判明し
た。
以上の知見より、前記原着糸に用いる油剤としては、
延伸まではその機能を有しているが、延伸・捲縮加工終
了後は平滑剤の一部を残して熱によって分解・揮発した
り、あるいは水洗によって容易に流出してしまうような
成分の組合せを必要とする。
例えば、一般に熱可塑性合成繊維の熱処理温度は、例
えばナイロン6の場合は180〜190℃,ナイロン6,6の場
合は200〜220℃,ポリエチレンテレフタレートの場合は
200〜220℃,ポリプロピレンの場合は110〜135℃である
ので、疎水性平滑剤以外の油剤は、それぞれの熱処理温
度で分解・揮発するような油剤成分を選択する必要があ
る。
このような油剤の中で親水性界面活性剤としては、例
えば適用される繊維がナイロン6の場合、カプリルアル
コールエーテルのエチレンオキサイド付加物,ラウリル
アルコールのエチレンオキサイド付加物が好ましく、ア
ルコールの炭素数が10〜12の比較的低分子量,低沸点の
ものが適している。この場合、アルコールの炭素数が9
以下では、乳化能力が著しく低くなり、一方13を超える
とナイロン6繊維の表面に延伸・捲縮加工後も揮発せず
に残存し好ましくない。
また、常温で固状の疎水性平滑剤以外の親油性の平滑
剤は、熱により揮発させることから比較的低分子量のも
のが好ましく、例えばナイロン6の場合、レッドウッド
粘度計で60秒以下の鉱物油、好ましくは30〜50秒の鉱物
油が適している。
また、脂肪酸エステルからなる平滑剤の場合にも、そ
の分子量や二重結合の導入などで、ナイロン6の場合、
熱処理温度が180〜190℃で分解・揮発するような成分を
選択すればよい。
この脂肪酸エステルとしては、例えばナイロン6の場
合には、ブチルステアレート,イソプロピルパルミテー
トなどの分子量が500以下、好ましくは250〜350程度の
ものがよい。
すなわち、分子量の高い疎水性平滑剤と比較的分子量
の低い加工中に揮発し易い平滑剤とを組合せて、延伸ま
では油剤の高付着量による平滑性を保ち、加工後は製品
になってから影響の少ない常温で固状の平滑剤を主に残
存させ、その他の油剤は揮発させかつその残留の程度を
0.3%以下にコントロールすることによって、製品の汚
れを防止でき、しかも後加工での平滑性も維持できるの
である。しかしながら、たとえ常温で固状の疎水性の平
滑剤であっても製品中に0.3%を越えて付着していると
汚れの点で好ましくないことは言うまでもない。
以上、ナイロン6の場合について具体例を挙げて説明
したが、ナイロン6,6,ポリエステル,ポリプロピレンな
どについても、前記加工温度を目安に、界面活性剤及び
平滑剤の種類および分子量などを適宜選択すればよい。
また、油剤を除去する他の手段としては、加熱延伸,
あるいは延伸・捲縮加工後の糸条に水を付与し、(例え
ば水中に浸漬し、あるいは水を吹きつけて)冷却し、そ
の際に紡糸工程で付与した油剤を水で洗浄して脱落させ
てもよく、あるいは前記熱による分解・揮発と組合せて
油分を除去してもよい。
熱可塑性合成繊維がナイロン6の場合の水の付与条件
の一例を挙げると、該繊維と約半分からなる量の水を捲
縮加工であるジェット押し込み加工中の座屈体積状態に
ある繊維糸条に吹きつけることにより達成することがで
きる。
疎水性の平滑剤あるいは疎水性で常温の固状の平滑剤
は親水性の油剤に比べて水洗浄で比較的,選択的に残留
し易い傾向があるので、水洗浄は疏水性油分をコントロ
ールするのにより適している。
かくして、本発明の防汚性原着糸は、常温で固状の疎
水性平滑剤を主成分とする最終的な仕上げ油剤の油分を
繊維重量に対して0.3重量%から0.1重量%程度にコント
ロールする必要がある。原着糸に、油剤の油分が0.3重
量%を超えて残存していると、カーペットなどの最終製
品の汚れが著しく増大する。この油分は、汚れ防止の面
からは全く残存していない方がよいが、静電気防止およ
び後加工において平滑性が必要な点から、若干の油分が
残っている方がよい。
従って、若干量の界面活性剤(帯電防止剤)と常温が
固状の疎水性平滑剤が、原着糸の繊維表面に残るように
設定することが必要であり、前記油分の残存量は、好ま
しくは0.1〜0.3重量%である。
本発明では、さらに好ましくは、繊維表面がフッ素化
合物により被覆されている方が好ましいが、このフッ素
化合物としては、例えば下記一般式(I)あるいは(I
I)で表わされるトリメリット酸系のフッ素化合物を挙
げることができる。その他はアクリレート系のフッ素化
合物など、撥水,撥油性を示すものならいずれでもよ
い。
一般式(I)あるいは(II)において、Xはフッ素原
子または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、mは
2〜26の整数、nは0または1、WとYはアルキレン
基,シクロアルキレン基またはアルキレンオキシ基で、
その合計鎖長は炭素数2〜26の炭素原子よりなり、(CF
2)mとYは各々主鎖中に少なくとも2個の炭素原子を
含み、Zは酸素原子または窒素原子で、Zが酸素原子の
場合pは1、Zが窒素原子の場合pは2であり、BはCH
2R′,CH2OH,またはCHOHCH2 R′で、ここでR′は、水素
原子またはメチル基、あるいはBはCH2CH(OH)CH2Qで
あり、ここで、Qはハロゲン原子,水酸基またはニトリ
ル基、さらにはBはCH2CH(OH)CH2OCH2CH(OH)CH2Qで
あり(ここでQは前記に同じである)、Rは炭素数1〜
14の炭化水素基、アリール基またはアラルキル基、qお
よびrは少なくとも1の整数で、その合計量は3であ
り、X(CF2)m,WおよびYは直鎖状,分岐状または環状
であり、前記式中の置換基は同一または異なる。
前記一般式(I)あるいは(II)で表わされるフッ素
化合物のうち、トリメリット酸エステル,ピロメリット
酸エステルおよびトリメリット酸および/またはピロメ
リット酸のビス(ジアミド)/エステルの群から選ば
れ、X(CF2)mW(CONH)n Y基のフッ素化合物基の主鎖
は炭素数6以上で、かつ基中に4個以上のパーフルオロ
化炭素原子を含有したものが好ましい。
前記フッ素化合物の繊維への付与手段としては、通
常、フッ素化合物以外の油剤生物とともに紡糸油剤中に
配合することが好ましいが、アセトンなどの有機溶剤に
溶解して紡糸油剤として単独で使用することもでき、さ
らには延伸糸条あるいは延伸・捲縮加工糸条の巻き取り
前に、別途、オイリングローラなどで付与してもよい。
紡糸油剤中にフッ素化合物を含む場合には、該紡糸油剤
は水性エマルジョンでも、あるいは非水系溶剤でもよ
い。
また、本発明のさらに好ましい例として、繊維表面に
フッ素化合物が被覆されている付着量は、通常、繊維自
体に対して0.05〜2.0重量%、好ましくは0.1〜0.6重量
%程度であり、フッ素原子換算で50〜2,000ppm、好まし
くは200〜1,200ppm程度である。
さらに好ましい態様としてのフッ素化合物が繊維表面
に付着しているのが好ましいとする理由は、フッ素化合
物が、水や油分をはじき、汚れを寄せ付けないため、さ
らに製品の汚れ防止の点で好ましいためである。しかし
ながら、たとえフッ素化合物が付着されていても前記し
た油分の条件を満足していないと、フッ素化合物の撥
水,撥油の特性が著しく阻害されて、汚れ防止の効果が
発現できないのはいうまでもない。
[作用・効果] 本発明によれば、原着糸に残存させる油剤として常温
で固状の疎水性成分を選択付着させるので、油分による
汚れの吸着の懸念が大巾に低下すると同時に後工程での
平滑性も充分に確保されるので優れた操業性の下に良好
な品質の製品を得ることができる。
[実施例] 以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明す
る。
なお、原着糸の繊維表面に付着している油分およびフ
ッ素化合物の付着量、ならびに撥水・発油性の評価およ
び汚れ評価は、下記のようにして測定した。
油分およびフッ素化合物の付着量 原着嵩高フィラメント糸(Bulked Continuous Filame
nt、以下「BCF」という)を製造する際に、まず油剤お
よび/またはフッ素化合物を付与しないで、水だけを付
与して10分間正確に巻き取り、真空乾燥して水分率を0
%にし、そのBCFの重量をW0とする。次いで、油剤およ
び/またはフッ素化合物を付着させて、延伸・捲縮加工
前の未延伸糸の段階と、延伸・捲縮加工したBCFとでそ
れぞれ10分間正確に巻き取り、それぞれ真空乾燥して水
分を0%にした後、それぞれの重量W1,W2を測定した値
から、延伸・捲縮加工前の未延伸糸のOPU1とOPU2を下記
式より計算する。
次に、油剤および/またはフッ素化合物の付着した糸
(BCF)を一定量W3とり、純水中で30分間撹拌して油分
を熱水(80℃)抽出する。
この熱水中に、ポリマー中のモノマー,オリゴマーな
ども一緒に抽出されるため、この抽出液を蒸発,乾燥し
た後、残分をシクロヘキサンに溶解し、可溶分(油剤)
と不溶分(モノマー,オリゴマーなど)に分離し、シク
ロヘキサン溶液のシクロヘキサンを揮発させて残った油
分W4を計量し、油分OPU3を下記式より計算する。
なお、熱水中には、実質的にフッ素化合物は溶解せ
ず、繊維表面に固着しているため、油分と分離でき、ま
た繊維に固着していないフッ素化合物は実質的にフッ素
化合物としての性能を発揮しないため、その量は無視す
るものとする。
また、油分の簡便法としては、シクロヘキサン/イソ
プロパノール=50/50(中量化)溶剤を用いて、ソック
スレー抽出器で繊維より油分を抽出して同様に算出して
もよい。
撥水性 イソプロピルアルコール20体積(V)%水溶液を用
い、試料の上に一滴滴下し、水滴が消滅するまでの時間
(秒)を測定した。
撥油性 AATCC 118−1972に準じ、水平に広げた試料の表面
に、下記試薬を一滴静かに滴下し、3分後の浸透状態に
より判定した。
判定 試薬 表面張力(ダイン/cm) 1級 ホワイトミネラルオイル 32.8 (ヌジョール) 2級 55v%/35V%ヌジョール/ 29.5 n−ヘキサン 3級 n−ヘキサデカン 27.7 4級 n−テトラデカン 26.5 5級 n−ドデカン 25.4 6級 n−デカン 23.9 7級 n−オクタン 21.7 8級 n−ヘプタン 20.0 汚れ評価 汚れ評価は、毎日1回バキュームによる清掃を行いつ
つ、歩行回数が5,000回毎の汚れの程度で新品に対比し
た汚れ方を、JIS汚染用グレースケールを目安に下記の
5段階の判定基準に別けて測定した。
5級;汚れなし(差なし) 4級;汚れ極めて小 3級;汚れ中位 2級;汚れ大 1級;汚れ極めて大 コーミングル加工性の評価 2〜3本の原着BCFを合わせてインターレースノズル
でそれらの糸を混合混色してコーミングル加工する際の
加工性を次の等級で評価した。
×;断糸多発で加工しにくい。完巻率は85%以下 △;極端な断糸にはいたらないが単糸割れ,毛羽の発生
が見られる。完巻率は85〜95%と悪い。
○;毛羽もほとんど見られず、完巻率も96%以上と良
好。
◎;完捲き率99%以上。
加工速度;500m/min コーミングルノズル;特開昭63−152435号公報の第1図
のもの。糸導案内孔は2.0mmφ,液体噴射孔径は5.2mm
φ,糸導孔は楕長軸=9.3mn,短軸=4.1mn コーミングル圧力;5.0Kg/cm2G [実施例] 以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1〜2,比較例1〜3 極限粘度[η]=1.34のナイロン6ポリマーに、下記
に示す原着顔料を混合し、通常の溶融紡糸−加熱延伸−
ジェット押し込みによる捲縮加工(特公昭57−6045号公
報参照)を行って、ポリアミドマルチフィラメントから
なる原着嵩高フィラメント糸(Bulked Continuous Fila
ment、以下「BCF」という)を得た。
原着顔料A(白色);酸化チタン=0.5重量%(糸中濃
度),ヨウ化銅=500ppm,ヨウ化カリウム=2,000ppm 原着顔料B(ブラウン);ベンガラ=0.4重量%(糸中
濃度)、銅フタロシアニングリーン=0.1重量%(糸中
濃度)、カーボンブラック=0.2重量%(糸中濃度)、
ヨウ化銅=500ppm、ヨウ化カリウム=2,000ppm ここで、紡糸に用いた口金は、トライローバル断面で
68ホールからなり、この口金より最終の延伸BCFのデニ
ールが1,250デニールになるように吐出量を調整した、
その吐出量は300g/minであった。吐出時のポリマーの温
度は245℃で、延伸前に2段のオイリングローラによっ
て第1表に示す種々の紡糸油剤を付与した後、3.5倍に
延伸し、190℃のホットローラで0.1秒間加熱した後、ジ
ェット押し込み加工ノズルに導入して捲縮加工を行っ
た。
その際、ジェット用流体には、210℃に加熱した6.0kg
/cm2の圧力の加熱スチームを用いた。また、ジェット押
し込み加工中の堆積糸条に、場合によっては、繊維吐出
重量に対して約半分〜等量を重量の水を吹きつけて冷却
と同時に油剤の脱落を行い、巻き取ってBCFを得た。
このようにして得られた1,250デニール/68フィラメン
トからなる白色とブラウンの2本の原着BCFを、インタ
ーレースノズルを用いて混合・混繊加工を行い、2,500
デニール/136フィラメントのコーミングル糸とし、この
糸を用いて1/10ゲージのタフティングマシーンで目付量
が600g/m2のタフテッドカーペットを作成し、水洗,染
色などの洗浄をせずに床に敷いて歩行による汚れの程度
を評価した。
実施例3〜4,比較例4〜6 実施例1にさらにフッ素化合物を付与してその効果を
見た。フッ素化合物としては、下記に示すピロメリット
酸エステル(III)(IV)(V)の混合物を用いた。 1) 下記のピロメリット酸エステル(III),(I
V),(V)の混合物 以上の第1表,第2表の結果より、実施例1〜2に常
温で固状の平滑剤ステアリルステアレートを用いたもの
は、後加工であるコーミングルの加工で平滑性があり、
静電気の発生もまずまずであり、摩擦による毛羽の発生
も少なくまずまずの加工安定性を示した。
また、汚れなどの品質も固状の平滑剤のため、液状の
平滑剤に比べて少なかった。
一方、同じ油剤でも、捲縮加工時に水洗等を行わず油
剤を多量に付けた比較例1は、汚れが良くなかった。ま
た、ブチルステアレートという常温で液状で分子量の小
さいものを用いた比較例2,3は、捲縮加工中に油剤が揮
発し、かつ水洗で脱落して低い油分となり、しかも油剤
自身の被膜強度も弱いためコーミングル加工時の平滑性
が悪く、摩擦により毛羽が発生し易く加工安定性が向上
しなかった。
一方、表−2に示すように、さらにフッ素化合物を付
与すると撥水,撥油性能が付加され、より汚れが付きに
くくなり好ましい方向であったが、やはり第1表と同じ
く、常温で固状の平滑剤ステアリルステアレートと用い
たものだけが、コーミングル加工で安定に加工でき、常
温液状のブチルステアレートを用いたものはコーミング
ル加工性が不良があった。また、ステアリルステアレー
トを用いても0.4%以上と多く油分を付与すると、撥水
・撥油性の低下が生じ、せっかくのフッ素剤の効果が発
揮できず、同時に汚れも多かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−132118(JP,A) 特開 昭54−77799(JP,A) 「フイラメント加工技術マニュアル (下巻)P.83〜89 昭和57年 日本繊 維機械学会

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原着顔料および/または原着染料を含有す
    る熱可塑性合成繊維からなる原着糸において、その繊維
    表面に、炭素数が18以上の高級脂肪酸と同じく炭素数が
    18以上の高級アルコールとからなる、常温で固状の疎水
    性高級脂肪酸エステルを主成分とする油分が、対繊維重
    量で0.3重量%〜0.1重量%付着されていることを特徴と
    する防汚原着糸。
  2. 【請求項2】繊維表面が、更にフッ素化合物で被覆され
    ている請求項1記載の防汚原着糸。
  3. 【請求項3】原着顔料および/または原着染料を含有す
    る熱可塑性合成繊維形成ポリマーを溶融紡糸し、油剤を
    付与し、加熱延伸および/または延伸・捲縮加工を行い
    原着糸を製造するに際し、該油剤成分として炭素数が18
    以上の高級脂肪酸と同じく炭素数が18以上の高級アルコ
    ールとからなる、常温で固状の疎水性高級脂肪酸エステ
    ルを含む油剤を付与し、前記加熱延伸および/または延
    伸・捲縮加工時の熱により油剤を揮発・分解させるかお
    よび/または巻き取り前に水を付与することにより該疎
    水性高級脂肪酸エステル以外の油剤成分を選択的に脱落
    させることにより、該疎水性高級脂肪酸エステルを主と
    する油分を、対繊維重量で0.3重量%〜0.1重量%の量で
    残存させることを特徴とする防汚原着糸の製造方法。
  4. 【請求項4】原着顔料および/または原着染料を含有す
    る熱可塑性合成繊維形成ポリマーを溶融紡糸し、油剤を
    付与し、加熱延伸および/または延伸・捲縮加工を行い
    原着糸を製造するに際し、フッ素化合物と、炭素数が18
    以上の高級脂肪酸と同じく炭素数が18以上の高級アルコ
    ールとからなる、常温で固状の疎水性高級脂肪酸エステ
    ルとを含む油剤を付与し、前記加熱延伸および/または
    延伸・捲縮加工時の熱により油剤中のフッ素化合物と該
    疎水性高級脂肪酸エステルを除く油分成分を揮発・分解
    させるかおよび/または巻き取り前に水を付与すること
    により油剤中のフッ素化合物と該疎水性高級脂肪酸エス
    テル以外の油分成分を選択的に脱落させることにより、
    繊維表面に該疎水性高級脂肪酸エステルを主成分とする
    油分(但しフッ素化合物は含まない)を対繊維重量で0.
    3重量%〜0.1重量%の量で残存させるとともに繊維表面
    にフッ素化合物を被覆させることを特徴とする防汚原着
    糸の製造方法。
JP1041759A 1989-02-23 1989-02-23 防汚原着糸およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2613289B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1041759A JP2613289B2 (ja) 1989-02-23 1989-02-23 防汚原着糸およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1041759A JP2613289B2 (ja) 1989-02-23 1989-02-23 防汚原着糸およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02221461A JPH02221461A (ja) 1990-09-04
JP2613289B2 true JP2613289B2 (ja) 1997-05-21

Family

ID=12617335

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1041759A Expired - Fee Related JP2613289B2 (ja) 1989-02-23 1989-02-23 防汚原着糸およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2613289B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5920644B1 (ja) * 2015-02-26 2016-05-18 東洋紡株式会社 防護衣材料

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6030369B2 (ja) * 1977-12-02 1985-07-16 ユニチカ株式会社 ウオ−タ−ジエツトル−ム製織用糸条の製造法
JPS58132118A (ja) * 1982-01-29 1983-08-06 Unitika Ltd 黒色ポリエステル繊維の製造法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
「フイラメント加工技術マニュアル(下巻)P.83〜89 昭和57年 日本繊維機械学会

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02221461A (ja) 1990-09-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20080059111A (ko) 내구성 오염 방지 및 오염 제거 피니쉬로 처리된 직물 및피니쉬의 내구성을 유지하기 위한 산업용 세탁 방법
AU4075099A (en) Soil-resistant spin finish compositions
DE2011316B2 (de) Verfahren zur herstellung von oel und wasserabweisend machendenmischpolymerisaten
JP2613289B2 (ja) 防汚原着糸およびその製造方法
JPS5994621A (ja) 防汚性繊維の製造法
JP4872215B2 (ja) 高強度ポリエステル繊維
WO1997033019A1 (en) Carpet yarn having high soil resistance
JP3852156B2 (ja) 防汚性合成繊維布帛およびその製造方法
JPH04272218A (ja) 防汚性ポリエステル系繊維
US3952128A (en) Durable antistatic agent, hydrophobic fibers and fibrous structures having durable antistatic property and method of making same
JPH02145815A (ja) 防汚性原着糸およびその製造方法
JP4114443B2 (ja) 耐摩耗性に優れたポリ乳酸繊維およびその製造方法
JPH02145816A (ja) 防汚性原着糸およびその製造方法
JP4419669B2 (ja) 皮革様シート状物ならびにその製造方法
JPH04202850A (ja) 繊維処理剤およびポリエステル繊維の製造法
JPH09279480A (ja) 平滑性ポリエステル繊維及びその製造方法
JPS6244070B2 (ja)
JPH069528B2 (ja) 原着カーペットの製造方法
Schmolka Block polymer nonionic surfactants in textiles
JPH0440473B2 (ja)
JP3132271B2 (ja) 合成繊維の処理方法
JPH01148877A (ja) 防汚性合成繊維の製造法
JP2948022B2 (ja) 産業資材織物用合成繊維
JPS5930919A (ja) 合成繊維の撥水、撥油、防汚処理方法
JPH0370013B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees