JP2607122B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、キャリア発生物質とキャリア輸送物質とを
含有する感光層を有する電子写真感光体に関するもので
ある。
[従来の技術] 従来から知られている電子写真感光体によれば、可視
光を吸収して荷電キャリア(以下、単に「キャリア」と
いう。)を発生するキャリア発生物質(以下、「CGM」
ということがある。)を含有して成るキャリア発生層
(以下、「CGL」ということがある。)と、このCGLにお
いて発生した正又は負のキャリアの何れか一方又は両方
を輸送するキャリア輸送物質(以下、「CTM」というこ
とがある。)を含有して成るキャリア輸送層(以下、
「CTL」ということがある。)とを組合せることにより
感光層を構成せしめたものがある。このように、キャリ
アの発生と、その輸送という必要な2つの基礎的機能
を、感光層を構成する別個の層に夫々分担せしめること
により、感光層の構成に用い得る物質の選択範囲が広範
となる上、各機能を最適に果す物質又は物質系を独立に
選定することが可能となる。
又、これにより、電子写真プロセスにおいて要求され
る諸特性、例えば帯電せしめたときの表面電位が高く、
電荷保持能が大きく、光感度が高く、しかも反復使用に
おける安定性が大きい等の優れた特性を有する電子写真
感光体を得ることが可能となる。
上記のような感光層としては、例えば次のようなもの
が知られている。
(1)無定形セレン又は硫化カドミウムより成るCGL
と、ポリ−N−ビニルカルバゾールより成るCTLとを積
層せしめた構成。
(2)無定形セレン又は硫化カドミウムより成るCGL
と、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンを含有するC
TLとを積層せしめた構成。
(3)ペリレン誘導体より成るCGLと、オキサジアゾー
ル誘導体を含有するCTLとを積層せしめた構成(米国特
許第3,871,882号明細書参照)。
(4)クロルダイヤンブルー又はメチルスカリリウムよ
り成るCGLと、ピラゾリン誘導体を含有するCTLとを積層
せしめた構成(特開昭51−90827号公報参照)。
(5)ビスアゾ化合物より成るCGLと、芳香族アミノ化
合物を含有するCTLとからなる構成(特開昭60−24549号
公報参照)。
(6)ペリレン誘導体を含有するCGLと、ポリアリール
アルカン系芳香族アミノ化合物を含有するCTLとを積層
せしめた構成(特願昭53−19907号明細書)。
このように機能分離型の感光層としては多くのものが
知られてはいるが、そうした感光層を有する従来の電子
写真感光体においては、反復して電子写真プロセスに供
したときの感光層の電気的疲労が激しくて使用寿命が非
常に短い欠点を有する。例えば、繰り返して電子写真プ
ロセスに供したときに、電子写真感光体の電位の履歴状
態が安定に維持されず、安定した画像形成特性を得るこ
とができない。
また、特定のビスアゾ化合物をCGMとして用いること
が例えば特開昭55−117151号公報、特開昭54−145142号
公報等に開示されているが、このCGMと組合せ得るとさ
れているCTMとの組合せにおいても、なお上述の欠点が
相当に大きい。このことからも理解されるように、ある
特定のキャリア発生物質に対して有効なキャリア輸送物
質が、他のキャリア発生物質に対しても有効であるとは
限らず、又、特定のキャリア輸送物質に対して有効なキ
ャリア発生物質が、他のキャリア輸送物質に対しても有
効であるとも言うことはできない。両物質の組合せが不
適当な場合には電子写真感度が低くなるばかりでなく、
特に低電界時の放電効率が悪いため、いわゆる残留電位
が大きくなり、最悪の場合には反復して使用する度に電
位が蓄積し、実用上電子写真の用途に供し得なくなる。
このように、キャリア発生相の構成物質とキャリア輸
送層の構成物質との好適な組合せについては法則的な選
択手段はないと考えられ、多くの物質群の中から有利な
組合せを実践的に決定する必要がある。
さらに近年感光体の光源としてArレーザー、He−Neレ
ーザー等の気体レーザーや半導体レーザーが使用され始
めている。中でも半導体レーザーはその性質上音響工学
素子等の電気信号/光信号の変換素子が不要であること
や小型・軽量化が可能であることなどから注目を集めて
いる。しかしこの半導体レーザーは気体レーザーに比較
して低出力であり、また発振波長も長波長(約780nm以
上)であることから従来の感光体では分光感度が短波長
側によっているものが多く、感度特性において、実用的
に満足できるものがなかった。
[発明の目的] 従って本発明の目的は、高感度でかつ残留電位が小さ
く、また繰り返し使用してもそれらの特性の変化が小さ
い耐久性の優れた電子写真感光体を提供することにあ
る。
本発明の他の目的は、半導体レーザー等の長波長光源
に対しても十分な実用感度を有する電子写真感光体を提
供することにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明者等は、以上の目的を達成すべく鋭意研究を重
ねた結果、導電性支持体上に、特定のキャリア発生物質
と特定のキャリア輸送物質をそれぞれ含有してなる感光
層を有する電子写真感光体を用いると、前記目的のすべ
てを達成することができることを見い出し本発明を完成
するに至った。
すなわち、本発明の前記目的は、導電性支持体上に、
下記一般式〔I〕で表される化合物及び下記一般式〔I
I〕で表される化合物を含有してなる感光層を有するこ
とを特徴とする電子写真感光体によって達成される。
一般式〔I〕 [式中、X1およびX2は、それぞれ、水素原子、ハロゲン
原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、置換若しく
は未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキ
シ基、置換若しくは未置換のアミノ基を表し、X1および
X2のうち少なくとも1つはハロゲン原子である。
p及びqはそれぞれ1又は2の整数を表し、p及びq
が2のときはX1およびX2はそれぞれ、同一又は異なる基
であってもよい。Aは下記一般式で表される基を表す。
一般式 (式中、Arはフッ素化炭化水素基を有する芳香族炭素環
基又はフッ素化炭化水素基を有する芳香族複素環を表
す。Zは置換若しくは未置換の芳香族炭素環又は置換若
しくは未置換の芳香族複素環を形成するのに必要な非金
属原子群を表す。)m及びnは、1を表す。] 一般式〔II〕 [式中、R1、R2、R3およびR4は、水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル
基、又は置換アミノ基を表す。R5及びR6は、それぞれ、
水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原
子を表す。] [発明の具体的構成] 一般式[I]のX1及びX2により表わされるハロゲン原
子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原
子を挙げることができる。
本発明のビスアゾ化合物はX1及びX2のうち、少なくと
も一方がハロゲン原子を有している。
X1及びX2で表わされるアルキル基としては炭素原子数
1ないし4個の置換若しくは未置換のアルキル基が好ま
しく、このようなアルキル基の例としては、例えばメチ
ル基、エチル基、β−シアノエチル基、iso−プロピル
基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等が挙げられ
る。
またX1およびX2で表わされるアルコキシ基は、炭素原
子数が1ないし4個の置換若しくは未置換のアルコキシ
基が好ましく、このようなアルコキシ基の例としては、
メトキシ基、エトキシ基、β−クロルエトキシ基、sec
−ブトキシ基等が挙げられる。
さらにまた、X1及びX2で表わされる置換若しくは未置
換のアミノ基としては、例えばアルキル基、アリール基
(好ましくはフェニル基)等で置換されたもの、例えば
N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメ
チルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル
アミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基や、さらにはアシ
ル基で置換されたアセチルアミノ基、p−クロルベンゾ
イルアミノ基等が挙げられる。
前記一般式[I]においてp及びqは、それぞれ、
0、1又は2を表わすが、pおよびqは同時に0となる
ことはなく、好ましくはp=1、q=0又はp=1、q
=1の場合である。
さらにまたp及びqが2のときは、X1およびX2は、そ
れぞれ同一又は異なる基をとることができる。
また、前記一般式[I]において、Aは下記一般式で
表わされる。
一般式 式中、Arはフッ素化炭化水素基を少なくとも1個有す
る芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を表わすが、前記
フッ素化炭化水素基の炭素原子数1ないし4のフッ素化
炭化水素基が好ましく、例えば、トリフルオロメチル
基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロエチル
基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。このう
ちさらに好ましいフッ素化炭化水素基はトリフルオロメ
チル基である。また、前記芳香族炭素環基の例としては
フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、
好ましくはフェニル基である。さらに前記芳香族複素環
基としては、例えば、カルバゾリル基、ジベンゾフリル
基等が挙げられる。さらにまた前記芳香族炭素環基及び
芳香族複素環基において前記フッ素化炭化水素基以外の
置換基としては、例えば、炭素原子数1ないし4個の置
換及び未置換のアルキル基、例えばメチル基、エチル
基、イソプロピル基、t−ブチル基、トリフルオロメチ
ル基等;置換及び未置換のアラルキル基、例えばベンジ
ル基、フェネチル基等;ハロゲン原子、例えば塩素原
子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子;炭素原子数1〜
4個の置換若しくは未置換のアルコキシ基、例えばメト
キシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ
基、2−クロルエトキシ基等;ヒドロキシ基;置換若し
くは未置換のアリールオキシ基、例えばp−クロルフェ
ノキシ基、1−ナフトキシ基等;アシルオキシ基、例え
ばアセチルオキシ基、p−シアノベンゾイルオキシ基
等;カルボキシル基、そのエステル基、例えばエトキシ
カルボニル基、m−ブロモフェノキシカルボニル基;カ
ルバモイル基、例えばアミノカルボニル基、t−ブチル
アミノカルボニル基、アニリノカルボニル基等;アシル
基、例えばアセチル基、o−ニトロベンゾイル基等;ス
ルホ基、スルファモイル基、例えばアミノスルホニル
基、t−ブチルアミノスルホニル基、p−トリルアミノ
スルホニル基等;アミノ基、アシルアミノ基、例えばア
セチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等;スルホンアミ
ド基、例えばメタンスルホンアミド基、p−トルエンス
ルホンアミド基等;シアノ基;ニトロ基等が挙げられ
る。これらの置換基のうち、好ましいものは炭素原子数
1ないし4個の置換・未置換のアルキル基、例えばメチ
ル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、トリ
フルオロメチル基等;ハロゲン原子、例えば塩素原子、
臭素原子、フッ素原子、沃素原子;炭素原子数1ないし
4個の置換・未置換のアルコキシ基、例えばメトキシ
基、エトキシ基、t−ブトキシ基、2−クロルエトキシ
基等;ニトロ基;シアノ基等である。
前記一般式において、Zは置換・未置換の芳香族炭素
環、または置換・未置換の芳香族複素環を形成するに必
要な原子群であって、具体的には例えば置換・未置換の
ベンゼン環、置換・未置換のナフタレン環、置換・未置
換のインドール環、置換・未置換のカルバゾール環等を
形成するのに必要な原子群を表わす。
これらの環を形成するのに必要な原子群の置換基とし
ては、例えばArの置換基として挙げたような一連の置換
基が列挙されるが、好ましくはハロゲン原子(塩素原
子、臭素原子、弗素原子、沃素原子)、スルホ基、スル
ファモイル基(例えばアミノスルホニル基、p−トリル
アミノスルホニル基等)である。
本発明の前記一般式[I]で表わされるビスアゾ化合
物は、好ましくは下記一般式[III]、[IV]、
[V]、[VI]で表わされる。
一般式[III] 一般式[IV] 一般式[V] 一般式[VI] 式中、X1a,X1b,X2aおよびX2bは、それぞれ水素原子、
ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換
若しくは未置換のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、
ヒドロキシ基又は置換若しくは未置換のアミノ基を表わ
し、X1a,X1b,X2aおよびX2bのうち、少なくとも1つはハ
ロゲン原子である。X1aおよびX1b、並びにX2aおよびにX
2bは、それぞれ互いに同一又は異なる基であってもよ
い。
Ar′は前記一般式[I]におけるArと同義である。
Yは前記一般式[I]におけるZの置換基と同義であ
る。
下記に本発明の前記一般式[I]で示されるビスアゾ
化合物の具体例について述べるがこれによって本発明の
ビスアゾ化合物が限定されるものではない。
本発明の前記一般式[I]で表わされるビスアゾ化合
物は、公知の方法により容易に合成することができる。
合成例1(例示化合物No.71の合成) 2,7−ジアミノ−4−ブロム−9−フルオレノン2.89g
(0.01モル)を塩酸10ml、水20mlに分散し、5℃以下に
保ちつつ亜硝酸ナトリウム1.40g(0.02モル)を水5mlに
溶した溶液を滴下した。同温度でさらに1時間攪拌をつ
づけた後、不溶物を濾過除去し、濾液に六弗化燐酸アン
モニウム4.6gを水50mlに溶かした溶液を加えた。析出し
たテトラゾニウム塩を濾取し、N,N−ジメチルホルムア
ミド(DMF)100mlに溶解した。5℃以下に保ちながら、
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−3′−トリフルオロ
メチルアニリド6.62g(0.02モル)をDMF200mlに溶かし
た溶液を滴下した。
ひきつづき5℃以下に保ちながらトリエタノールアミ
ン6g(0.04モル)をDMF30mlに溶解したものを滴下し、
5℃以下で1時間、室温で4時間撹拌した。反応後析出
晶を濾取し、DMF洗浄、水洗浄して乾燥し、目的物8.71
を得た。
理論値 C=60.5%、H=2.77%、N=8.63% 実測値 C=60.1%、H=2.95%、N=8.72% 合成例2(例示化合物No.219の合成) 2,7−ジアミノ−4−ブロム−9−フルオレノン2.89g
(0.01モル)を塩酸10ml、水20mlに分散し、5℃以下に
保ちつつ亜硝酸ナトリウム1.40g(0.02モル)を水5mlに
溶した溶液を滴下した。同温度でさらに1時間攪拌をつ
づけた後、不溶物を濾過除去し、濾液に六弗化燐酸アン
モニウム4.6gを水50mlに溶かした溶液を加えた。析出し
たテトラゾニウム塩を濾取し、N,N−ジメチルホルムア
ミド(DMF)100mlに溶解した。5℃以下に保ちながら、
2−ヒドロキシ−3−(3′−トリフルオロメチルフェ
ニルカルバモイル)ベンゾ[a]カルバゾール8.40g
(0.02モル)をDMF200mlに溶かした溶液を滴下した。
ひきつづき5℃以下に保ちながらトリエタノールアミ
ン6g(0.04モル)をDMF30mlに溶解したものを滴下し、
5℃以下で1時間、室温で4時間撹拌した。反応後析出
晶を濾取し、DMF洗浄、水洗浄して乾燥し、目的物5.2g
を得た。
理論値 C=63.6%、H=2.87%、N=9.73% 実測値 C=63.4%、H=2.97%、N=10.01% 本発明の他の化合物も前記合成例1と同様にそれぞれ
対応するアミノ化合物を用いてジアゾニウム塩を作り、
次いで2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−置換アニリド
又は2−ヒドロキシ−3−(置換フェニルカルバモイ
ル)ベンゾ[a]−置換・未置換カルバゾールと反応さ
せて作ることができる。
次に本発明の一般式[II]で表される化合物(以下本
発明のキャリア輸送物質という。)の具体例を下記に示
すが本発明はこれらに限定されない。
(25)N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(2−メチルフ
ェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン (26)N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフ
ェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン (27)N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(4−メチルフ
ェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン (28)N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−クロロフ
ェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン (29)N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(4−クロロフ
ェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン (30)N,N,N′,N′−テトラ(アルキルフェニル)−
[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(アルキルは
例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル等)、 (31)N,N,N′,N′−テトラ(クロロフェニル)−[1,
1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン これらの化合物の合成法は公知であり、例えば特開昭
62−267749号、及び同62−242950号、並びに特公昭58−
32372号及び同63−6864号等に記載されており、これら
の記載に従って合成することができる。
本発明のビスアゾ化合物は優れた光導電性を有し、こ
れをバインダー中に分散した感光層を導電性支持体上に
設けることにより本発明の電子写真感光体を製造するこ
とができる。本発明のビスアゾ化合物は、その優れたキ
ャリア発生能を利用して、これをキャリア発生物質とし
て用い、これと組合せて有効に作用し得る本発明のキャ
リア輸送物質を共に用いることにより、いわゆる機能分
離型の感光体とすることができる。前記機能分離型感光
体は前記両物質の混合分散型のものであってもよいが、
本発明のビスアゾ化合物からなるキャリア発生物質を含
むキャリア発生層と、本発明のキャリア輸送物質を含む
キャリア輸送層とを積層した積層型感光体とすることが
より好ましい。
本発明の電子写真感光体は、例えば、第1図に示すよ
うに支持体1(導電性支持体またはシート上に導電層を
設けたもの)上に、本発明のビスアゾ化合物からなるキ
ャリア発生物質と必要に応じてバインダ樹脂を含有する
キャリア発生層2を下層とし、本発明のキャリア輸送物
質とバインダ樹脂を含有するキャリア輸送層3を上層と
する機能分離型の積層構成の感光層4を設けたもの、第
2図に示すように支持体1上に本発明のキャリア輸送層
3を下層とし、本発明のビスアゾ化合物を含有するキャ
リア発生層2を上層とする積層構成の感光層4を設けた
もの、および第3図に示すように支持体1上に本発明の
ビスアゾ化合物からなるキャリア発生物質、本発明のキ
ャリア輸送物質およびバインダ樹脂を含有する単層構成
の感光層4を設けたもの、等が挙げられる。
また、キャリア発生層に本発明のビスアゾ化合物から
なるキャリア発生物質と本発明のキャリア輸送物質の一
部の両方が含有されてもよい。いずれの層構成において
も、第7図乃至第9図で示されるように感光層の上に保
護層を設けてもよく、さらには第4図乃至第6図に示す
ように支持体と感光層の間にバリア機能と接着性をもつ
下引層(中間層)を設けてもよい。
二層構成の感光層を形成する場合におけるキャリア発
生層は、次の如き方法によって設けることができる。
(イ)本発明のビスアゾ化合物からなるキャリア発生物
質を適当な溶剤に溶解した溶液あるいはこれをバインダ
ーを加えて混合溶解した溶液を塗布する方法。
(ロ)本発明のビスアゾ化合物からなるキャリア発生物
質をボールミル、ホモミキサー等によって分散媒中で微
細粒子とし、必要に応じてバインダーを加えて混合分散
して得られる分散液を塗布する方法。
これらの方法において超音波の作用下に粒子を分散さ
せると、均一分散が可能になる。
キャリア発生層の形成に使用される溶剤あるいは分散
媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチ
レンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノー
ルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホル
ムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホル
ム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルス
ルホキシド等を挙げることができる。
キャリア発生層若しくはキャリア輸送層の形成にバイ
ンダーを用いる場合に、このバインダーとしては任意の
ものを用いることができるが、特に疎水性でかつ誘電率
が高い電気絶縁性のフィルム形成能を有する高分子重合
体が好ましい。こうした重合体としては、例えば次のも
のを挙げることができるが、勿論これらに限定されるも
のではない。
a)ポリカーボネート b)ポリエステル c)メタクリル樹脂 d)アクリル樹脂 e)ポリ塩化ビニル f)ポリ塩化ビニリデン g)ポリスチレン h)ポリビニルアセテート i)スチレン−ブタジエン共重合体 j)塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体 k)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 l)塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体 m)シリコン樹脂 n)シリコン−アルキッド樹脂 o)フェノール−ホルムアルデヒド樹脂 p)スチレン−アルキッド樹脂 q)ポリ−N−ビニルカルバゾール r)ポリビニルブチラール 本発明の電子写真感光体においては、帯電性能、繰り
返し特性、耐刷性等の特性をさらに向上せしめるため
に、感光層の少なくとも最上層のバインダーとして下記
一般式(A)で表されるポリカーボネートを用いるのが
好ましい。
一般式(A) 式中、R13,R14,R15,R16,R17,R18,R19,R20は、それぞ
れ、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換の脂
肪族基又は置換若しくは未置換の炭素環基を表し、nは
10〜1000である。
Zは置換若しくは未置換の炭素環又は置換若しくは未
置換の複素環を形成するのに必要な原子群を表す。
ここでいう最上層というのは、例えば、感光層がキャ
リア発生層とキャリア輸送層の2層から構成されている
ときは、この2層のうち、上層に位置するキャリア発生
層又はキャリア輸送層である。また例えば第3図に示す
ようにキャリア発生物質とキャリア輸送物質を含有する
単層構成の感光層のときは、この感光層が最上層であ
る。最上層に用いられる上記ポリカーボネートは好まし
くはこの層におけるバインダー主成分として少なくとも
50wt%含まれる。また本発明の前記一般式(A)で表さ
れるポリカーボネートは任意の層で保護層に用いても差
しつかえない。
上記一般式(A)で表わされるポリカーボネートの具
体例としては下記のものを挙げることができる。
又、本発明においては、耐環境性、特に電子写真プロ
セスにおけるコロナ放電による帯電時のオゾン等の活性
物質の発生に伴う帯電特性、感度の低下、残留電位の上
昇を防止するために、感光層に酸化防止剤を添加するの
が好ましい。このような酸化防止剤としてはヒンダード
フェノール構造単位を有する化合物が好ましく用いられ
る。
本発明に謂うヒンダードフェノール構造単位とは、フ
ェノール性水酸基のオルト位に嵩高の原子団が存在する
ことで特徴づけられるフェノール系構造単位である。
嵩高の原子団として一般に分岐状のアルキル基が好都
合である。
その作用効果の機構は定かではないが嵩高原子団の作
る立体的障害によってフェノール性水酸基またはアルコ
キシ基の熱振動を抑制したり外部活性物質の影響を阻止
するためと思われる。
本発明において、ヒンダードフェノール構造単位を有
する化合物としては下記一般式[VII]又は一般式[VII
I]で表されるものが好ましい。
一般式[VII] 式中、R21およびR22は、それぞれ、置換若しくは未置
換のアルキル基であって、少なくとも一方は分岐アルキ
ル基である。
R23,R24及びR25は、それぞれ、水素原子、ヒドロキシ
基、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは
未置換のアリール基を表し、R23とR24又はR24とR25は、
2つが相互に連結して環を形成してもよい。
前記R21及びR22の少なくとも一方は炭素数3〜40のte
rt−もしくはsec−アルキル基が好ましい。
R21,R22,R23,R24及びR25の置換若しくは未置換のアル
キル基としては、炭素数1〜40のものが好ましく、置換
若しくは未置換のアリール基としてはフェニル基、ナフ
チル基、ピリジル基等が挙げられる。
R23とR24又はR24とR25とが相互に連結して形成される
環の例としてはクロマン環が挙げられる。
一般式[VIII] 式中、R31およびR32は各々、置換若しくは未置換のア
ルキル基を表し、Aは酸素原子またはイミノ基を表す。
Xは炭素原子、硫黄原子、オクタデシル基または−OCH2
CH2O−基を表す。lは1または2の整数、mは0,1,2ま
たは3の整数、nは1,2または4の整数を表す。
次に本発明に用いられるヒンダードフェノール構造単
位を有する化合物(以下、本発明のHP化合物と称する)
の代表的具体例を示すが、これらに限定するものではな
い。
ヒンダードフェノール構造単位を有する例示化合物 一般式[VII]で示される化合物 一般式[VIII]で示される化合物の例示 これらの化合物は、プラスチック、合成繊維、エラス
トマー、ワックス、油脂類などの酸化防止剤として入手
できる市販品(例えばチバガイギー社製イルガノック
ス)を含み、また3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t
−ブチルフェニル)プロピオン酸もしくは4−ヒドロキ
シ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル酢酸とポリオールも
しくはポリアミンから合成することができる。
本発明において、前記ヒンダードフェノール構造単位
を有する化合物の他に用いることのできる酸化防止剤と
しては下記のものを挙げることができる。
パラフェニレンジアミン類 N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレン
ジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジ
アミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニ
レンジアミン、N,N′−ジイソプロピル−p−フェニレ
ンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル
−p−フェニレンジアミンなど。
ハイドロキノン類 2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデ
シルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2
−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オク
チル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデ
セニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
有機硫黄化合物類 ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステ
アリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシ
ル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
有機燐化合物類 トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホ
スフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリ
クレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキ
シ)ホスフィンなど。
これらの化合物はゴム、プラスチック、油脂類等の酸
化防止剤として知られており、市販品を容易に入手でき
る。
これらの酸化防止剤はキャリア発生層、キャリア輸送
層、又は保護層のいずれに添加されてもよいが、好まし
くはキャリア輸送層に添加される。その場合の酸化防止
剤の添加量はキャリア輸送物質100重量部に対して0.1〜
100重量部、好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは
5〜25重量部である。
次に前記感光層を支持する導電性支持体としては、ア
ルミニウム、ニッケルなどの金属板、金属ドラム又は金
属箔、アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどを
蒸着したプラスチックフィルムあるいは導電性物質を塗
布した紙、プラスチックなどのフィルム又はドラムを使
用することができる。
本発明において、キャリア発生層は代表的には前述の
本発明のビスアゾ化合物を適当な分散媒又は溶媒に単独
もしくは適当なバインダ樹脂と共に分散せしめた分散液
を例えばディップ塗布、スプレー塗布、ブレード塗布、
ロール塗布等によって支持体若しくは下引層上又はキャ
リア輸送層上に塗布して乾燥させる方法により設けるこ
とができる。
本発明のビスアゾ化合物はこれを例えばボールミル、
サンドミル等を用いて適当な粒径の微細粒子にしたの
ち、分散媒中に分散することができる。
本発明のビスアゾ化合物の分散には、ボールミル、ホ
モミキサ、サンドミル、超音波分散機、アトライタ等が
用いられる。
本発明の感光体が積層型構成の場合、キャリア発生層
中のバインダー:本発明のビスアゾ化合物からなるキャ
リア発生物質:本発明のキャリア輸送物質の重量比は0
〜100:1〜500:0〜500である。
キャリア発生物質の含有割合がこれより少ないと光感
度が低く、残留電位の増加を招き、またこれより多いと
暗減衰及び受容電位が低下する。
以上のようにして形成されるキャリア発生層の膜厚
は、好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.1〜5
μmである。
また、キャリア輸送層は、本発明のキャリア輸送物質
を適用な溶媒又は分散媒に単独であるいは上述のバイン
ダ樹脂と共に溶解、分散せしめたものを塗布、乾燥して
形成することができる。用いられる分散媒としては前記
キャリア発生物質の分散において用いた分散媒を用いる
ことができる。
本発明のキャリア輸送物質は、単独又は2種以上併用
することができる。また、本発明の目的に反しない限
り、他のキャリア輸送物質と併用してもよい。
本発明において使用可能なキャリア輸送物質として
は、特に制限はないが、例えばオキサゾール誘導体、オ
キサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾ
ール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導
体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビス
イミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化
合物、ピラゾリン誘導体、アミン誘導体、オキサゾロン
誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール
誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アク
リジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘
導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニ
ルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン等である。
キャリア輸送層中のバインダ樹脂100重量部当りの本
発明のキャリア輸送物質は20〜200重量部が好ましく、
特に好ましくは30〜150重量部である。
形成されるキャリア輸送層の膜厚は、好ましくは5〜
50μm、特に好ましくは5〜30μmである。
また、本発明のビスアゾ化合物と本発明のキャリア輸
送物質を含有る単層機能分離型の電子写真感光体の場合
のバインダー:本発明のビスアゾ化合物:本発明のキャ
リア輸送物質の割合は0〜100:1〜500:0〜500が好まし
く、形成される感光層の膜厚は5〜50μmが好ましく、
特に好ましくは5〜30μmである。
本発明においてキャリア発生層には感度の向上、残留
電位乃至反復使用時の疲労低減等を目的として、一種又
は二種以上の電子受容性物質を含有せしめることができ
る。
ここに用いることのできる電子受容性物質としては、
例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水
マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロル無水フタル
酸、テトラブロム無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル
酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無
水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキ
ノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベン
ゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、パラニトロベンゾ
ニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、
クロラニル、ブルマニル、ジクロロジシアノパラベンゾ
キノン、アントラキノン、ジニトロアントラキノン、2,
7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレ
ノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フル
オレニリデン[ジシアノメチレンマロノジニトリル]、
ポリニトロ−9−フルオレニリデン−[ジシアノメチレ
ンマロノジニトリル]、ピクリン酸、o−ニトロ安息香
酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペ
ンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−
ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸、その他の
電子親和力の大きい化合物を挙げることができる。ま
た、電子受容性物質の添加割合は、重量比で本発明のビ
スアゾ化合物:電子受容性物質=100:0.01〜200、好ま
しくは100:0.1〜100である。
この電子受容性物質はキャリア輸送層に添加してもよ
い。かかる層への電子受容性物質の添加割合は重量比で
本発明のキャリア輸送物質を含む全キャリア輸送物質:
電子受容性物質=100:0.01〜100、好ましくは100:0.1〜
50である。
また本発明の感光体には、その他、必要により感光層
を保護する目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含有し
てもよく、また感色性補正の染料を含有してもよい。
本発明の電子写真感光体は可視光線、近赤外線の光線
に良好に感応することができる。
このような波長を有する光源としてはハロゲンラン
プ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンレーザー、
ヘリウム−ネオンレーザー等の気体レーザーや半導体レ
ーザー等が用いられる。
本発明によれば前記一般式[I]で表されるビスアゾ
化合物をCGMとして用いると共に、前記一般式[II]で
示される化合物をCTMとして用いて、これらを巧みに組
み合せることにより、極めて感度の高い電子写真感光体
が得られる。
また、本発明の感光体は、電荷の保持力も大きく、し
かも残留電位が極めて低いため反復使用においても安定
な性能が発揮され、電荷の蓄積も生じない。さらにま
た、長波長光やレーザー光に対しても良好な感度を示す
ため、高信頼性の期待される半導体レーザー光源を用い
るレーザープリンタ等にも使用しうるものである。
[実施例] 以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、
これにより本発明の実施態様が限定されるものではな
い。
実施例1 ポリエステルフィルム上にアルミニウム箔をラミネー
トして成る導電性支持体上に、塩化ビニル−酢酸ビニル
−無水マレイン酸共重合体「エスレックMF−10」(積水
化学社製)よりなる厚さ0.05μmの中間層を設け、その
上に例示化合物No.71の2gとポリカーボネート樹脂「パ
ンライトL−1250」(帝人化成社製)2gとを1,2−ジク
ロロエタン110mlに加え、ボールミルで12時間分散し
た。この分散液を乾燥時の膜厚が0.5μmになるように
塗布し、キャリア発生層とし、更にその上にキャリア輸
送物質として例示化合物(1)6gをポリカーボネート樹
脂「ユーピロンZ−200」(例示化合物(A−2))
(三菱ガス化学株式会社製)10gとを1,2−ジクロロエタ
ン80mlに溶解した液を乾燥後の膜厚が15μmになるよう
に塗布してキャリア輸送層を形成し本発明の感光体を作
成した。これを「試料1」とする。
実施例2〜5 CTLの形成において、例示化合物(3)、(5)、
(7)、及び(9)を夫々使用した以外は実施例1と全
く同様にして4種類の本発明の感光体を作成した。これ
らをそれぞれ、「試料2」、「試料3」、「試料4」及
び「試料5」とする。
実施例6及び7 CGLの形成において、CGMとして例示化合物37及び72を
夫々用い、またCTLの形成においてバインダーとしてポ
リカーボネート樹脂「パンライトL−1250」(帝人化成
社製)を用いた他は実施例1と同様にして2種の本発明
の電子写真感光体を作成した。これを「試料6」及び
「試料7」とする。
実施例8 実施例1におけると同様にして導電性支持体上に中間
層を設け、CGMとして例示化合物71を2gと一般式(A)
で示されるポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ−20
0」(例示化合物(A−2))(三菱ガス化学株式会社
製)1gとを1,2−ジクロルエタン100mlに加えて12時間ボ
ールミルにより分散し、得られた分散液を前記中間層上
にドクターブレードを用いて塗布し、十分乾燥して厚さ
約0.5μmのCGLを形成した。
このCGL上に、CTMとして例示化合物(15)を6g及び酸
化防止剤として例示化合物(HP−9)0.6gを一般式
(A)で示されるポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ
−200」(例示化合物(A−2))(三菱ガス化学株式
会社製)10gとを1,2−ジクロロエタン80mlに溶解した液
を乾燥後の膜厚が15μmになるように塗布してCTLを形
成し、本発明の感光体を作成した。これを試料8とす
る。
実施例9〜11 実施例1のCGLの形成において、例示化合物No.71の代
りに、例示化合物No.219、220及び211を夫々用い、また
CTLの形成において例示化合物(1)の代りに、例示化
合物(17)を用いた他は実施例1と同様にして本発明の
3種の電子写真感光体をそれぞれ作成した。これらの感
光体を「試料9、10及び11」とする。
実施例12 ポリエステルフィルム上にアルミニウム箔をラミネー
トして成る導電性支持体上に、塩化ビニル−酢酸ビニル
−無水マレイン酸共重合体「エスレックMF−10」(積水
化学社製)より成る厚さ0.05μmの中間層を設け、その
上にキャリア輸送物質として例示化合物(24)のもの6g
と一般式(A)で示されるポリカーボネート樹脂「ユー
ピロンZ−200」(例示化合物(A−2))10gとを1,2
−ジクロロエタン80mlに溶解した液を乾燥後の膜厚が15
μmになるように塗布して、キャリア輸送層を形成し
た。
更にその上に例示化合物No.71 2g、酸化防止剤HP−
6を0.2g、ポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ−20
0」(例示化合物(A−2))2gとを1,2−ジクロロエタ
ン70mlと1,1,2−トリクロロエタン30mlに加えて、24時
間ボールミルで分散した液を塗布し、乾燥後の膜厚が4
μmであるキャリア発生層を設け、本発明の感光体をそ
れぞれ作成した。この感光体を試料12とする。
比較例1 実施例1のCGLの形成において、一般式[I]で示さ
れるビスアゾ化合物の代りに次の構造を有する化合物
(CG−1)を用いたほかは、実施例1と同様にして比較
用電子写真感光体を製造した。これを「比較試料1」と
する。
比較例2 実施例1のCGLの形成において、一般式[I]で示さ
れるビスアゾ化合物の代りに次の構造を有する化合物
(CG−2)を用いたほかは、実施例1と同様にして比較
用電子写真感光体を製造した。これを「比較試料2」と
する。
比較例3 実施例1のCGLの形成において、本発明のCGMの代にに
N,N′−ジメチル−ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボ
ン酸ジイミド(CG−3)を用い、CTLの形成において本
発明の例示化合物(24)をそれぞれ用いた他は、実施例
1と同様にして比較用電子写真感光体を作成した。これ
を「比較試料3」とする。
比較例4 実施例1のCGLの形成において、本発明のCGMの代りに
下記構造を有する本発明外の化合物(CG−4)を用い、
またCTLの形成において本発明の例示化合物(5)をそ
れぞれ用いた以外は実施例1と同様にして比較用電子写
真感光体を作成した。これを「比較試料4」とする。
以上のようにして得られた電子写真感光体(試料1〜
試料12並びに比較試料1〜比較試料4)の各々につい
て、「エレクトロメーターEPA−8100型」(川口電機製
作所製)を用いて、その電子写真特性を調べた。即ち、
感光体表面を帯電電位−6KVで5秒間帯電させた時の受
容電位VA(V)と、5秒間暗減衰させた後の電位(初期
電位)V1を照度が35luxになるようにハロゲンランプ光
を照射して表面電位を1/2に減衰させるために必要な露
光量E 1/2(lux・秒)とを調べた。結果は下記表−1に
示す通りであった。但し、試料12については帯電電位+
6KVで5秒間帯電させた。
また試料1〜試料12並びに比較試料1〜比較試料4の
各々を乾式電子複写機「U−Bix1550MR」の改造機(コ
ニカ株式会社製)に装着して連続複写を行ない、露光絞
り値2.5における黒紙電位Vb(V)及び白紙電位Vw
(V)を「エレクトロスタチックボルトメーター144D−
1D型」(モンローエレクトロニクスインコーポレーテッ
ド製)を用い、現像する直前において測定した。結果は
第1表に示す通りである。
尚ここでいう黒紙電位とは反射濃度1.3の黒紙を原稿
とし、上述の複写サイクルを実施したときの感光体の表
面電位を表わし、白紙電位とは白紙を原稿としたときの
感光体の表面電位を表わす。
但し、表中ΔVb(V)及びΔVw(V)はそれぞれ黒紙
電位Vb(V)及び白紙電位Vw(V)の変動量を示し、変
動量の+は増加を−は減少を表わす。
さらにまた、本発明の試料1についてはこれをレーザ
ープリンタ−LP−3010(コニカ社製)の改造機に装着
し、初期の未露光部電位(VH)、露光部電位(VL)及び
2万コピー後のVH、VLの初期値とのそれぞれの差Δ|V
H|、Δ|VL|を測定した。
また、帯電電位±600Vを±300Vとするのに必要な光量
をIo(erg/cm2)とした時に、 なお、光源としてはHe/Neレーザー(発振波長632nm)
を用いた。これらの結果を下記に示す。
VH(V) −665 VL(V) − 30 Sλ(V・cm2/erg) − 83 Δ|VH|(V) 25 Δ|VL|(V) 5
【図面の簡単な説明】
第1図〜第9図はそれぞれ本発明の感光体の構成例につ
いて示す断面図であって図中の1〜6はそれぞれ以下の
事を表わす。 1……導電性支持体、2……キャリア発生層 3……キャリア輸送層、4……感光層 5……中間層、6……保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/06 367 G03G 5/06 367 (72)発明者 鈴木 眞一 東京都八王子市石川町2970番地 コニカ 株式会社内 (72)発明者 佐々木 収 東京都八王子市石川町2970番地 コニカ 株式会社内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に、下記一般式〔I〕で表
    される化合物及び下記一般式〔II〕で表される化合物を
    含有してなる感光層を有することを特徴とする電子写真
    感光体。 一般式〔I〕 [式中、X1およびX2は、それぞれ、水素原子、ハロゲン
    原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、置換若しく
    は未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキ
    シ基、置換若しくは未置換のアミノ基を表し、X1および
    X2のうち少なくとも1つはハロゲン原子である。 p及びqはそれぞれ1又は2の整数を表し、p及びqが
    2のときはX1およびX2はそれぞれ同一又は異なる基であ
    ってもよい。Aは下記一般式で表される基を表す。 一般式 (式中、Arはフッ素化炭化水素基を有する芳香族炭素環
    基又はフッ素化炭化水素基を有する芳香族複素環を表
    す。Zは置換若しくは未置換の芳香族炭素環又は置換若
    しくは未置換の芳香族複素環を形成するのに必要な非金
    属原子群を表す。)m及びnは、1を表す。] 一般式〔II〕 [式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシ
    カルボニル基、又は置換アミノ基を表す。R5及びR6は、
    それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又は
    ハロゲン原子を表す。]
  2. 【請求項2】前記感光層はキャリア発生層及びキャリア
    輸送層の積層構成からなり、前記一般式〔I〕で表され
    る化合物は該キャリア発生層に含有され、前記一般式
    〔II〕で表される化合物は該キャリア輸送層に含有され
    ることを特徴とする請求項(1)記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】前記感光層がさらにヒンダードフェノール
    構造単位を有する化合物の少なくとも1種を含有するこ
    とを特徴とする請求項(1)又は(2)記載の電子写真
    感光体。
  4. 【請求項4】前記感光層の少なくとも最上層が下記一般
    式[A]で表されるポリカーボネートをバインダーの主
    成分として含有することを特徴とする請求項(1)、
    (2)又は(3)記載の電子写真感光体。 一般式[A] [式中、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20は、
    それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置
    換の脂肪族基又は置換若しくは未置換の炭素環基を表
    し、nは10〜1000である。 Zは置換若しくは未置換の炭素環又は置換若しくは未置
    換の複素環を形成するのに必要な原子群を表す。]
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