JP2606851B2 - ガラスセラミックスの製造方法 - Google Patents

ガラスセラミックスの製造方法

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JP2606851B2 JP62262591A JP26259187A JP2606851B2 JP 2606851 B2 JP2606851 B2 JP 2606851B2 JP 62262591 A JP62262591 A JP 62262591A JP 26259187 A JP26259187 A JP 26259187A JP 2606851 B2 JP2606851 B2 JP 2606851B2
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C10/00Devitrified glass ceramics, i.e. glass ceramics having a crystalline phase dispersed in a glassy phase and constituting at least 50% by weight of the total composition
    • C03C10/16Halogen containing crystalline phase

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はガラス質マトリックス中に雲母微結晶とLi2O
−Al2O3−SiO2系の微結晶を分散含有するガラスセラミ
ックスの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
ガラス質マトリックス中に雲母微結晶を分散含有する
ガラスセラミックスは優れた誘電的性質、良好な機械加
工性を有し、ファインセラミッスの用途を拡大できる素
材として有望視されており、特にフッ素金雲母微結晶を
分散含有するガラスセラミックスは、さらに高温安定性
も優れており特に良好な素材である。しかし、このよう
なフッ素金雲母含有ガラスセラミックスは熱膨張係数が
大きいため、急激な温度変化により大きな熱応力が発生
しやすく、強い熱衝撃を受けると、材料強度が著しく低
下するという欠点を有していた。
かかる欠点を解消し耐熱衝撃性を向上せしめる方法と
して、強烈な熱衝撃による熱応力を発生せしめないとい
う観点から、低熱膨張性結晶との複合化が注目されてい
る。
米国特許第3,997,352には、フッ素金雲母結晶に加え
て低膨張性結晶としてβ−スポジュウメンあるいはβ−
スポジュウメンとシリカの間で生成するβ−スポジュウ
メン固溶体を同時に析出させたガラスセラミックスに関
する開示がなされている。
それによると、かかるガラスセラミックスの製造方法
は、最終製品が必要量のフッ素金雲母結晶およびβ−ス
ポジュウメンあるいはβ−スポジュウメン固溶体の結晶
を形成含有するに適した組成となるように原料成分の粉
末混合物を調製し、これを少なくとも1350〜1500℃付近
の高温に加熱して溶融して、ガラス質マトリックスを形
成し、一旦これを冷却すると同時に最終製品の所望形状
に固化成形し、次いでその成形品を再度750〜1200℃の
高温で長時間熱処理を行なって所望の製品を得るという
方法である。この方法では、溶融して均一な非晶質マト
リックスを得るために少なくとも1350〜1500℃付近の高
温に加熱する必要があるが、そのためにフッ素を多量に
含有している材料自身の反応性が大きくなり、炉材や容
器等の損耗が顕著であると同時に、ガラスの汚染が起こ
りやすい。また、溶融ガラスの表面からのLi2O等の揮発
によって表面ガラス層の組成が変化しやすく、また溶融
物を所望の型に流し込んで固化させる際に寸法の大きい
成形体を得ようとする場合その表面と内部の温度差が大
きくなり、結晶の析出状態が異なってくるためフッ素金
雲母およびβ−スポジュウメン等の結晶が均一に分散し
たガラスセラミックスを得るのが難しく、最終製品が非
均質化しやすいという欠点がある。
また特願昭60−215751には、フッ素金雲母結晶粉末を
ZnO,B2O3,SiO2からなる組成物を結合材として用いて燒
結する方法が開示されている。
それによると、ZnO粉末9.71〜89.67重量%、B2O3粉末
8.89〜50.15重量%およびSiO2粉末0〜40.14重量%から
なる混合粉末を900〜1100℃で加熱焼成後粉砕して得ら
れるZnO−B2O3−SiO2系の合成粉末50〜95重量%と平均
粒径44μm以下の合成フッ素金雲母粉末5〜50重量%を
ボールミルなどで混合し、さらにこれに有機系バインダ
ーを添加した後所望の形状に成形し、900〜1100℃で燒
結することにより、低膨張結晶であるZn2SiO4(ウィレ
マイト)とフッ素金雲母を複合させた、耐熱衝撃性に優
れた機械加工性セラミックスの製造が可能である。
この方法では、前記方法の欠点の一つである熱エネル
ギーコストの高いことは解消できるが、材料自身の耐熱
性がマトリックスとしての結合材に支配されて低くな
る。またフッ素金雲母結晶の含有率は任意に選べるが、
結晶どうしのからみ合いは無く、しかも結晶の配列には
異方性が生じやすいため、得られる燒結体の機械加工性
は低いものとなる。また用いるフッ素金雲母結晶が非常
に被粉砕性に劣るため、10μm以下の微細なフッ素金雲
母結晶を分散させた緻密質の燒結体が得られにくいとい
う欠点がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
近年、ガラスセラミックス製品の用途範囲が拡大する
につれて、その機械加工性、抗折強度および耐熱性を損
なうことなく、従来よりさらに優れた耐熱衝撃性を有す
るガラスセラミックス製品の、より簡易かつ経済的に安
価な製造方法の出現が強く望まれていた。
本発明はこの要望にこたえたもので、前記従来法の欠
点を解消し、熱膨張系数が50×10-7/℃(0〜800℃)以
下で耐熱衝撃性に優れ、抗折強度1600kgf/cm2以上、耐
熱温度約1000℃で、かつ優れた誘電的性質、良好な機械
加工性を有するガラスセラミックス製品の製造方法を提
供するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、極性溶媒を主成分とする溶媒中に、燒結体
とした時点の重量比でSiO2成分24〜60%、Al2O3成分7
〜26%、MgO成分7〜25%、K2O成分2〜12%およびLi2O
成分1〜5%となるような割合で上記金属成分の主とし
てアルコキシド化合物よりなる化合物およびF成分1.5
〜15%となるような割合でフッ素化合物を混合溶解した
溶液(以下これを「アルコキシド混合溶液」と称す)を
出発原料とし、これに水を加えて加水分解反応を行なわ
しめた後脱水乾燥し、次いで該乾燥品を熱処理すること
を特徴とする、フッ素金雲母微結晶を重量基準で30〜70
%含有し、さらに、Li2O−Al2O3−SiO2系の微結晶を重
量基準で10〜50%含有している機械加工性かつ低熱膨張
性を有するガラスセラミックスの製造方法である。
ここでいうLi2O−Al2O3−SiO2系の結晶とはβ−ユー
クリプタイト、β−ユークリプタイトとシリカの間で形
成されるβ−石英固溶体、β−スポジュウメンあるいは
β−スポジュウメンとシリカの間で形成されるβ−スポ
ジュウメン固溶体あるいはこれらの混合物よりなる低熱
膨張性結晶であり、得られるガラスセラミックスの熱膨
張率の低下に効果がある。
本発明の製造方法において用いる各成分の割合は前述
のごとく、燒結体とした時点の重量比で、SiO2成分24〜
60%、Al2O3成分7〜26%、MgO成分7〜25%、K2O成分
2〜12%、Li2O成分1〜5%およびF成分1.5〜15%で
あるが、各成分のいずれかが限定範囲を外れた場合、フ
ッ素金雲母、β−ユークリプタイト、β−ユークリプタ
イトとシリカの間で生成するβ−石英固溶体、β−スポ
ジュウメンあるいはβ−スポジュウメンとシリカの間で
生成するβ−スポジュウメン固溶体の生成量が異なって
くる。すなわち、SiO2が増加すればガラス量が増え、フ
ッ素金雲母結晶の含有量が減少するため機械加工性が悪
くなる。逆にSiO2が減少すればフッ素金雲母結晶やLi2O
−Al2O3−SiO2系の結晶量は増加するが、燒結性状が悪
くなる。Al2O3が増加すれば熱膨張系数の大きなMgAl2O4
などが生成し、耐熱衝撃性が悪くなる。逆にAl2O3が減
少すればフッ素金雲母結晶やLi2O−Al2O3−SiO2系の結
晶量が減少し、機械加工性および耐熱衝撃性が低下す
る。MgOが増加すればMg2SiO4などが副生し、熱膨張系数
が大きくなる。逆にMgOが減少すればフッ素金雲母結晶
の生成量が減少するため機械加工性が悪くなる。K2Oが
増加すれば熱膨張係数の大きなKAlSi2O6などが副生し、
またLi2O−Al2O3−SiO2系の結晶量が減少するため耐熱
衝撃性が悪くなる。逆にK2Oが減少すればLi2O−Al2O3
SiO2系の結晶量は増加するが、フッ素金雲母結晶の生成
量が減少するため機械加工性が低下する。Li2Oが増加す
ると、Li2O−Al2O3−SiO2系の結晶量は増加するが、ガ
ラス質マトリックス中に残存するLi2O量も増加するため
耐熱温度が低下する。逆にLi2Oが減少するとLi2O−Al2O
3−SiO2系の結晶量が減少するため耐熱衝撃性が悪くな
る。Fが増加すればフッ素金雲母結晶の生成量は増加す
るが、揮発量も多くなるため炉材や容器等の損耗が激し
くなる。逆にFが減少するとフッ素金雲母結晶の生成量
が減少するため機械加工性が低下する。
燒結体のβ−ユークリプタイト、β−ユークリプタイ
トとシリカの間で形成されるβ−石英固溶体、β−スポ
ジュウメンあるいはβ−スポジュウメンとシリカの間で
形成されるβ−スポジュウメン固溶体の中から選ばれる
Li2O−Al2O3−SiO2系の結晶の比率および含有量は上記
の酸化物で示した各成分の限定範囲内で成分比を変化さ
せることにより任意に選択できる。例えばLi2O成分の添
加率を増加、あるいはSiO2成分およびまたはAl2O3成分
を減少させると、β−ユークリプタイトあるいはβ−ユ
ークリプタイトとシリカの間で生成するβ−石英固溶体
の割合が多くなり、逆にLi2O成分の添加率を減少、ある
いはSiO2成分およびまたはAl2O3成分を増加させると、
β−スポジュウメンあるいはβ−スポジュウメンとシリ
カの間で生成するβ−スポジュウメン固溶体の割合が多
くなる。
なお、原料中の金属成分は、その全てがアルコキシド
化合物である必要はなく、一部はAlCl3などのハロゲン
化物、K2SiF6やMgSiF6などのケイフッ化物、あるいはAl
(NO3などの硝酸塩のような極性溶媒に可溶な、そ
の他の金属化合物の形のものを使用することができる。
アルコキシド化合物としては、低級アルキル基、特に
C1〜C4のアルキル基を有するアルコキシドを使用するの
が、その製造も容易で好ましい。
フッ素化合物としては、極性溶媒に可溶であれば何で
も使用できるが、例として3−アミノベンゾトリフルオ
リド(NH2C6H4CF3)、K2SiF6、MgSiF6、KFなどが好適で
ある。
極性溶媒としては、アルコール類(C1〜C3)、ケトン
類(アセトン,メチルエチルケトン,アセトフェノン
等)などが好適である。その使用量はガラスセラミック
ス基準で、その1kg当り5〜15の範囲が適当である。
なお、極性溶媒に難溶性のアルコキシド化合物をベンゼ
ン等の非極性溶媒に溶解して使用したり、アルコキシド
化合物の製造時に用いた非極性溶媒を分離することなく
そのまま使用することもあるが、ガラスセラミックス基
準でその1Kg当り1〜5程度の非極性溶媒が出発原料
系中に混在していても、それは本発明の実施に悪影響を
及ぼすものではない。
なお、前記アルコキシド混合溶液は、燒結体とした時
点の重量で10%以下の量のB2O3,Na2O,Rb2O,Cs2O,SrO,Ba
O,TiO2,ZrO2,PbO,ZnO等の他に酸化物に変化しうる可溶
成分を含有していてもよい。
本発明の製造方法の加水分解条件は次のとおりであ
る。すなわち添加する水の量は、アルコキシドの分解に
必要な理論量(例えばSi(OC2H541モル当り4モル)
の0.5〜10倍を使用する。少なすぎると加水分解が十分
進行せずフッ素金雲母やLi2O−Al2O3−SiO2系結晶の生
成量が少なくなり、逆に多すぎると各アルコキシド成分
の加水分解速度の違いが顕著となり、分解生成物は加熱
を続けながらゲル化させるのであるが、上記加水分解速
度の顕著な違いのため得られるゲルが不均一になる。pH
は6.5以上が好適である。pHが低いとシリコンアルコキ
シドの加水分解が遅くなり、不均一なゲルが生じる原因
となる。そのためガラスセラミックス中に異なった化合
物(例えばMg2SiO4,KAlSi2O6)が生成することがあり好
ましくない。また、温度は25〜100℃の範囲であり、60
℃前後が好ましい。なお、前記アルコキシド化合物およ
びフッ素化合物の一部を他の水溶性金属化合物に置き換
え加水分解に溶解して用いても本発明の実施に悪影響を
及ぼすものではない。
アルコキシド化合物の混合溶液(この中には所望によ
り化合物のうち一部を、前述の通り、極性溶媒に可溶な
非アルコキシド化合物で置換したものを用いてもよい)
に水を加えて加水分解し、さらに続けて40〜100℃で加
温を続けると次第に反応系がゲル化してくる。このゲル
状物を取出し25〜130℃で脱水乾燥する。さらに適宜粗
粉砕した後500〜800℃で1〜12時間加熱(第一段熱処
理)する。この第一段熱処理中にゲル状物は非晶質物質
に変わり、その後Li2O−Al2O3−SiO2系の結晶の核が生
成する。引き続き800〜1050℃で1〜12時間加熱(第二
段熱処理)すると、β−ユークリプタイトあるいはβ−
ユークリプタイトとシリカの間で生成するβ−石英固溶
体あるいはβ−スポジュウメンあるいはβ−スポジュウ
メンとシリカの間で生成するβ−スポジュウメン固溶体
の中の少なくとも1種以上のLi2O−Al2O3−SiO2系の結
晶が核の回りに成長し、同時に残存するガラス質マトリ
ックスからフッ素金雲母結晶の核が生成する。このよう
に前処理工程を二段に分けて行ない、それぞれの段階に
おける処理条件を調整することにより、フッ素金雲母結
晶およびLi2O−Al2O3−SiO2系の結晶の量を個々に変化
させることが可能となり、所望の品質の製品を製造する
ことができる。ここで得られる中間物質は、この前処理
工程の過程において溶媒あるいは過剰水分の揮発のため
容積の収縮が起こり、歪曲した形状となりやすい。
そのため、この段階で一旦粉砕して微粉状とし、改め
て所望の形状に成形する。粉砕および成形の条件として
は、重量平均粒子径が1〜8μmで粒度分布が0.5〜10
μmの範囲となるよう粉砕し、必要により顆粒化した後
300Kgf/cm2以上好ましくは300〜1000kgf/cm2の成形圧で
加圧成形する。この条件で処理した成形体の嵩密度は1.
30〜1.70g/cm2で燒結(第三次熱処理)時の収縮率は8
〜17%となる。粒度が小さくなりすぎたり、成形圧が30
0kgf/cm2未満の場合には成形体の嵩密度を大きくするの
が難しく、燒結時の寸法収縮が大きくなるため、燒結体
の寸法安定性が悪くなり、また粒度が大きすぎると成形
体嵩密度は大きくなるのが粉体の燒結活性が低下するた
め燒結しにくくなるので好ましくない。成形圧が1000kg
f/cm2を超えても品質的には問題はないが大型の加圧成
形装置を必要とするため経済性は悪くなる。得られた成
形体を1050〜1200℃の温度で1〜15時間熱処理(燒結)
して燒結体としてのガラスセラミックス製品を得る。
この熱処理により、フッ素金雲母結晶およびLi2O−Al
2O3−SiO2系の微結晶は更に成長発達し、最終的にフッ
素金雲母微結晶およびLi2O−Al2O3−SiO2系の微結晶の
含有量の高い、良好なガラスセラミックス製品となる。
本発明のガラスセラミックスは、フッ素金雲母の微結
晶を重量基準で30〜70%含有し、かつLi2O−Al2O3−SiO
2系の結晶、すなわちβ−ユークリプタイト、β−ユー
クリプタイトとシリカの間で形成されるβ−石英固溶
体、β−スポジュウメンあるいはβ−スポジュウメンと
シリカの間で形成されるβ−スポジュウメン固溶体の中
の少なくとも一種以上の結晶を重量基準で10〜50%含有
しており、その結晶構造を電子顕微鏡写真で観察する
と、ガラスマトリックス中に約5μmのフッ素金雲母の
薄片状微結晶と約1μmのLi2O−Al2O3−SiO2系の球状
微結晶が全面に均一かつ緻密に分布している。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、最高1200℃での焼成による機
械加工性および耐熱衝撃性に優れたガラスセラミックス
製品の製造が可能となり、前記溶融結晶化法における均
一な非晶質マトリックスを得るための1350〜1500℃での
高温溶融過程が必要なく、従って熱エネルギーコストを
著しく低減できる。また熱処理の低温化にともないフッ
素を多量に含有している材料自身の反応性を抑制するこ
とができるので、炉材や容器等の損耗およびそれに付随
するガラスの汚染を防止することができる。
得られる製品の性能に関しては、本発明の方法では第
一段および第二段の熱処理工程を、ゲルを乾燥して得ら
れる塊状物を粗砕した粉粒体の状態で実施することがで
きるのでフッ素金雲母あるいはLi2O−Al2O3−SiO2系の
微細結晶の種を均一に析出させることができ、さらにそ
れらの析出量あるいは析出割合を制御することが可能で
あり、フッ素金雲母およびLi2O−Al2O3−SiO2系の微細
な結晶を均質にかつ任意の割合で含有するガラスセラミ
ックスを得ることができる。また、溶融結晶化法の如く
高温で処理した場合にはLi2O−Al2O3−SiO2系の結晶は
β−スポジュウメン系が主体となるが、本発明の方法の
ように低温で熱処理した場合にはより熱膨張率の小さい
β−ユークリプタイト系の結晶を共存させることができ
るので耐熱衝撃性の向上により効果的である。
さらに本発明の方法では、焼成過程(第三段熱処理)
においてフッ素金雲母微結晶およびLi2O−Al2O3−SiO2
系の微結晶の成長を起こらしめているので、結晶どうし
のからみ合いの程度が高く、かつ結晶の配列に異方性の
ない緻密質燒結体が得られやすい。従ってフッ素金雲母
結晶の粉末をフッ素金雲母と化学組成の異なる燒結助剤
で燒結する従来法とは異なり、最終製品の均質性が非常
に高く、かつ機械加工性に優れた製品の製造が可能であ
る。
本発明で得られるガラスセラミックス製品は、フッ素
金雲母微結晶の含有率が30%を越えており、きわめて優
れた機械加工性を有する。すなわちドリルによる穿孔や
旋盤等による切削加工が容易である。またLi2O−Al2O3
−SiO2系の微結晶の含有率が10%を越えているため、低
熱膨張性を有する。すなわち急激な温度変化による熱応
力の発生が小さいので、極めて耐熱衝撃性に優れてい
る。さらに、本ガラスセラミックス製品は1000℃前後の
温度での長時間加熱に対しても、収縮や変形あるいは強
度劣化を起こすことなく、機械部材として十分な強度を
有している。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。実施例中、部はすべて重量部を表す。なお、以下の
実施例において機械加工性の良否は、切削条件を一定に
して旋盤による切削試験(切削速度50m/min、バイトの
切込み量0.5mm、バイトの送り量0.05mm/rev)を行な
い、切削工具の摩耗量、切削時の抵抗の大きさ、表面の
仕上げ度により判断した。すなわち、バイトの逃げ面
摩耗量がある大きさに達するまでの切削長さ、切削時
のバイトに加わる力(主分力、送り分力および背分力)
の大きさ、仕上げ面の状態を測定し、快削性セラミッ
クスとして市販されているサンプルと比較し、その性能
の良否を判定した。
熱膨張係数の測定は10℃/minの昇温速度で25〜800℃
まで行なった。耐熱衝撃性は、水中投下急冷後の残存曲
げ強度を測定して評価した。すなわち、幅4mm,圧さ3mm,
長さ40mmの試料片を管状電気炉で所定の温度に1時間保
持した後、水中へ投下し残存曲げ強度をJIS R1601に準
じて測定し、残存曲げ強度が室温曲げ強度の70%に低下
した温度を耐熱衝撃温度とした。
実施例1 出発原料としてシリコンテトラエトキシド(Si(OC2H
5)192部、マグネシウムメトキシド(Mg(OC
H3)29部、カリウムメトキシド(KOCH3)11部、リ
チウムメトキシド(LiOCH3)6部、3−アミノベンゾト
リフルオリド(NH2C6H4CF3)15部をメタノール1200部に
溶解し、アルミニウムイソプロポキシド(Al(i−OC3H
7)66部をベンゼン300部に溶解した液を加えて混合
した。次いで水500部に28%アンモニア水1部を加えてp
H11に調整した水200部を滴下し約60〜70℃で加水分解し
た。同温度で加熱を継続して溶液が完全に白色ゲル化し
た時点で取り出し、110℃で乾燥し、130部の乾燥体を得
た。この乾燥体を750℃で5時間、引き続き1000℃で5
時間熱処理を行ない110部の仮燒体を得た。これを重量
平均粒子系が約2μmとなるように粉砕、顆粒化した後
600kgf/cm2で加圧成形し、引き続き第三段の熱処理(11
50%℃、5時間)を行なった。得られた白色のガラスセ
ラミック製品は、X線的にはフッ素金雲母とβ−スポジ
ュウメン固溶体の結晶を含んでおり、電子顕微鏡で観察
するとガラス質のマトリックス中に約5μmのフッ素金
雲母結晶と約1μmのβ−スポジュウメン固溶体の結晶
が均一に分散しているのが確認された。
このガラスセラミック製品は0〜800℃までの熱膨張
率が40×10-7/℃、室温曲げ強度が1820kgf/cm2、耐熱衝
撃温度が400℃で、良好な機械加工性を示した。
実施例2〜22 燒結体の状態における各成分の割合が酸化物に換算し
て表1の組成となるように各原料の使用量を変化させ、
さらに熱処理の条件を変化させたほかは実施例1と同様
にしてガラスセラミック製品を製造した結果を、実施例
1の結果と合わせて表1に示す。
表1より、本発明の方法によれば、50×10-7/℃以下
の低い熱膨張率の製品を得ることができ、しかも各原料
の使用量あるいは熱処理の条件を変化させることにより
任意の熱膨張率を有する製品の製造が可能であることが
わかる。
実施例23〜28 原料として用いるアルコキシド化合物の一部を極性溶
媒に可溶な化合物に置き換えて製造した結果を表2に示
す。
表2より明らかなように、アルコキシド化合物の一部
を極性溶媒に可溶な化合物に置き換えてもほぼ同等の性
状の製品を得ることができた。なお、熱処理条件は実施
例1の場合と同様にして行なった。
比較例1〜12 熱処理条件は実施例1の場合と同一にし、各成分の組
成を大幅に変えた結果を表3に示す。
各成分の組成が大幅に指定範囲を越えるとフッ素金雲
母結晶あるいはまたはLi2O−Al2O3−SiO2系の結晶の生
成量が変化し、好ましくない結晶成分が副生物として生
成したりするため耐熱衝撃性、機械加工性および燒結性
に悪影響を与えることがわかる。
比較例13〜15 燒結体の状態における各成分の割合は実施例1の場合
と同様にし、熱処理条件を大幅に変えた結果を表4に示
す。
熱処理条件が大幅に指定範囲を越えるとフッ素金雲母
結晶あるいはまたはLi2O−Al2O3−SiO2系の結晶の生成
量が変化するため耐熱衝撃性、機械加工性、抗折強度お
よび燒結性に悪影響を与えることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇都宮 泰造 栃木県栃木市国府町1番地 三井鉱山株 式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−7649(JP,A) 特開 昭61−178425(JP,A) 特開 昭62−70244(JP,A) 特公 昭38−10723(JP,B1) 特公 昭37−14912(JP,B1)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極性溶媒を主成分とする溶媒中に、燒結体
    とした時点の重量比でSiO2成分24〜60%、Al2O3成分7
    〜26%、MgO成分7〜25%、K2O成分2〜12%及びLi2O成
    分1〜5%となるような割合で上記金属成分の主として
    アルコキシド化合物よりなる化合物及びF成分1.5〜15
    %となるような割合でフッ素化合物を混合溶解した溶液
    を出発原料とし、これに水を加えて加水分解反応を行な
    わしめた後脱水乾燥し、次いで該乾燥品を熱処理するこ
    とを特徴とするフッ素金雲母微結晶及びLi2O−Al2O3−S
    iO2系微結晶を含有したガラスセラミックスの製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記各金属成分のうち少なくとも一種につ
    いてアルコキシド化合物とともに、極性溶媒に可溶な他
    の形の化合物を出発原料として併用する特許請求の範囲
    第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記脱水乾燥を25〜130℃で実施し、前記
    熱処理を500〜800℃で1〜12時間(第一段熱処理)、次
    いで800〜1050℃で1〜12時間(第二段熱処理)加熱す
    る前処理工程と、前処理工程に次いで粉砕及び所望形状
    への成形を行なった後1050〜1200℃で1〜15時間加熱
    し、燒結とフッ素金雲母微結晶の成長とLi2O−Al2O3−S
    iO2系の微結晶の成長とを同時に行なわせしめる焼成工
    程(第三段熱処理)とにより実施する、特許請求の範囲
    第1項又は第2項のいずれかに記載の方法。
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