JP2603463B2 - 低温可逆形状記憶合金 - Google Patents
低温可逆形状記憶合金Info
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- JP2603463B2 JP2603463B2 JP61152753A JP15275386A JP2603463B2 JP 2603463 B2 JP2603463 B2 JP 2603463B2 JP 61152753 A JP61152753 A JP 61152753A JP 15275386 A JP15275386 A JP 15275386A JP 2603463 B2 JP2603463 B2 JP 2603463B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は温度サイクルによって可逆的に形状が変化す
る形状記憶合金,特にNiTi低温可逆形状記憶合金に関す
るものである。
る形状記憶合金,特にNiTi低温可逆形状記憶合金に関す
るものである。
〔従来技術〕 TiNi,TiNiX(X=Fe,Cu…)合金は熱弾性型マルテン
サイト変態の逆変態に付随して顕著な形状記憶効果を示
すことが知られている。また本発明者等は特開昭58-151
445号公報でNiTi2元合金に於いて可逆形状記憶効果が得
られることを提案した。
サイト変態の逆変態に付随して顕著な形状記憶効果を示
すことが知られている。また本発明者等は特開昭58-151
445号公報でNiTi2元合金に於いて可逆形状記憶効果が得
られることを提案した。
TiNi合金の中でNiが50.3〜53at%のNi過剰側組成の合
金は,600℃以上の温度で熱処理後時効温度を変えること
で,可逆形状記憶効果を示す温度を調整することができ
る。しかし,上記合金に於いて変態温度を低下させるべ
く熱処理温度を変えると,その可逆性は悪くなり,0℃以
下で顕著な可逆性を得ることは困難であった。また温度
サイクルによる形状ヒステリシスは低温域に入る程広が
り,可逆性とは言いながらも本質的に使用可能な可逆範
囲は母相と中間相に係る領域のみであった。
金は,600℃以上の温度で熱処理後時効温度を変えること
で,可逆形状記憶効果を示す温度を調整することができ
る。しかし,上記合金に於いて変態温度を低下させるべ
く熱処理温度を変えると,その可逆性は悪くなり,0℃以
下で顕著な可逆性を得ることは困難であった。また温度
サイクルによる形状ヒステリシスは低温域に入る程広が
り,可逆性とは言いながらも本質的に使用可能な可逆範
囲は母相と中間相に係る領域のみであった。
本発明は上記の様な欠点を克服し,冷蔵庫等低温域で
使用可能な低温可逆形状記憶合金を提供しようとするも
のである。
使用可能な低温可逆形状記憶合金を提供しようとするも
のである。
本発明によれば,原子パーセントでNi50.3〜53.0,残
部Tiよりなる合金に,Cr,V,Ruを一種若しくは数種0.1〜
1.0原子パーセント添加した合金で,均一化のための熱
処理後,機械的に拘束した状態で400〜600℃で熱処理す
ることによって,0℃〜35℃の中間相変態開始温度と,−
10℃〜30℃以下の逆変態開始温度とを備えるとともに,
−80℃〜60℃での可逆形状記憶効果を備えていることを
特徴とする低温可逆形状記憶合金が得られる。
部Tiよりなる合金に,Cr,V,Ruを一種若しくは数種0.1〜
1.0原子パーセント添加した合金で,均一化のための熱
処理後,機械的に拘束した状態で400〜600℃で熱処理す
ることによって,0℃〜35℃の中間相変態開始温度と,−
10℃〜30℃以下の逆変態開始温度とを備えるとともに,
−80℃〜60℃での可逆形状記憶効果を備えていることを
特徴とする低温可逆形状記憶合金が得られる。
溶解法によって得たTi-51at%Ni合金にCr,V,Ruがそれ
ぞれ0.25,0.5,1.0at%と変化させて添加され,再び溶解
された。その後,熱間加工,冷間加工によって短冊状の
試料を得,これに800℃で2時間の熱処理を施した。得
られた試料の一部は500℃で2時間の熱処理が行われ,
変態温度が測定された。
ぞれ0.25,0.5,1.0at%と変化させて添加され,再び溶解
された。その後,熱間加工,冷間加工によって短冊状の
試料を得,これに800℃で2時間の熱処理を施した。得
られた試料の一部は500℃で2時間の熱処理が行われ,
変態温度が測定された。
第1図は上記のようにして得られた結果を添加量(at
%)に対し示した図である。図中には中間相変態開始温
度(MS′)と逆変態開始温度(AS)を示したが,いづれ
の合金についてもMS′は認められた。時効によって母相
中間相の変態が認められることは,可逆形状記憶効果
を示すための条件である。このことは前述の特開昭58-1
51445号公報にTiNi2元合金を例として実証している。こ
のことから本実施合金がいづれも可逆形状記憶効果を示
していることが分る。また,添加量の増加とともにMS′
点は低下傾向を示し,これらがそれぞれ低変態可逆合金
として機能し得ることを示している。
%)に対し示した図である。図中には中間相変態開始温
度(MS′)と逆変態開始温度(AS)を示したが,いづれ
の合金についてもMS′は認められた。時効によって母相
中間相の変態が認められることは,可逆形状記憶効果
を示すための条件である。このことは前述の特開昭58-1
51445号公報にTiNi2元合金を例として実証している。こ
のことから本実施合金がいづれも可逆形状記憶効果を示
していることが分る。また,添加量の増加とともにMS′
点は低下傾向を示し,これらがそれぞれ低変態可逆合金
として機能し得ることを示している。
次に,800℃で2時間,直線状に熱処理した試料を,銅
パイプに円弧状に拘束した状態で,500℃,525℃でそれぞ
れ2時間の熱処理による拘束時効処理を行った。得られ
た試料を−80℃から60℃の範囲で加熱・冷却をして可逆
形状変化を調べた。
パイプに円弧状に拘束した状態で,500℃,525℃でそれぞ
れ2時間の熱処理による拘束時効処理を行った。得られ
た試料を−80℃から60℃の範囲で加熱・冷却をして可逆
形状変化を調べた。
その結果,いづれの試料についても従来のTiNi2元合
金同様の可逆形状変化が認められた。また形状ヒステリ
シスは0.5,1.0at%添加のそれぞれの試料については殆
んど認められなかった。
金同様の可逆形状変化が認められた。また形状ヒステリ
シスは0.5,1.0at%添加のそれぞれの試料については殆
んど認められなかった。
第2図は上記の試料のうちV添加合金について得られ
た形状変化率と温度の関係を示す図である。ここに形状
変化率とは,拘束時の試料の曲率半径をγHとし,各温
度での試料の曲率半径をγTとして,γT/γHで定義し
た。図中I,II,IIIは525℃で2hr時効処理されたV添加0.
25,0.5,1.0at%合金の試料についての特性をそれぞれ示
し,II′は500℃で2hr時効処理されたV添加0.5at%合金
の試料の特性を示している。
た形状変化率と温度の関係を示す図である。ここに形状
変化率とは,拘束時の試料の曲率半径をγHとし,各温
度での試料の曲率半径をγTとして,γT/γHで定義し
た。図中I,II,IIIは525℃で2hr時効処理されたV添加0.
25,0.5,1.0at%合金の試料についての特性をそれぞれ示
し,II′は500℃で2hr時効処理されたV添加0.5at%合金
の試料の特性を示している。
第2図において,525℃時効材については,0.25at%の
Vを添加したIの場合においては,TiNi2元合金同様の低
温域での大きなヒステリシス(特開昭58-151445)を示
しているのに対し,Vを0.5又は1.0at%を添加したII及び
IIIの場合は殆んど加熱・冷却によるヒステリシスは認
められない。またII,IIIの逆変態時の形状回復は−30℃
でほぼ完了しており,II′で示した500℃処理材2と形状
変化率は殆んど変化しない。TiNi2元合金は,時効温度
を上げ変態温度を低下させると可逆の形状変化率も低下
するが,本実施例の合金では時効温度に形状変化率は殆
んど依存しない。なお第2図全体をみて言えることは,
このような合金は500℃の時効処理温度に於いて10℃以
下の逆変態開始温度を示し,525℃の時効処理では0℃以
下の逆変態開始温度を示し,ヒステリシスが極めて小さ
い可逆形状記憶素子の製造を可能にしていることが分
る。
Vを添加したIの場合においては,TiNi2元合金同様の低
温域での大きなヒステリシス(特開昭58-151445)を示
しているのに対し,Vを0.5又は1.0at%を添加したII及び
IIIの場合は殆んど加熱・冷却によるヒステリシスは認
められない。またII,IIIの逆変態時の形状回復は−30℃
でほぼ完了しており,II′で示した500℃処理材2と形状
変化率は殆んど変化しない。TiNi2元合金は,時効温度
を上げ変態温度を低下させると可逆の形状変化率も低下
するが,本実施例の合金では時効温度に形状変化率は殆
んど依存しない。なお第2図全体をみて言えることは,
このような合金は500℃の時効処理温度に於いて10℃以
下の逆変態開始温度を示し,525℃の時効処理では0℃以
下の逆変態開始温度を示し,ヒステリシスが極めて小さ
い可逆形状記憶素子の製造を可能にしていることが分
る。
上記のV添加合金に認められた傾向はCr,Ru添加試料
についても同様の結果が得られた。
についても同様の結果が得られた。
本発明でNiを50.3〜53.0at%と限定したのは,TiNi2元
合金同様に,時効によって中間相が出現する領域である
ことのためである。また,添加量を0.1〜1.0at%とした
のは,0.1at%未満では添加による顕著な効果が認められ
ないためであり,1.0at%を越えると,添加による効果は
認められるものの,形状回復率が徐々に悪くなるためで
ある。各元素の最適添加量は第2図で見るように0.5at
%前後である。
合金同様に,時効によって中間相が出現する領域である
ことのためである。また,添加量を0.1〜1.0at%とした
のは,0.1at%未満では添加による顕著な効果が認められ
ないためであり,1.0at%を越えると,添加による効果は
認められるものの,形状回復率が徐々に悪くなるためで
ある。各元素の最適添加量は第2図で見るように0.5at
%前後である。
以上,説明したように,本発明の低温可逆形状記憶合
金によれば,TiNi合金の特性を改善し,−80℃〜60℃で
の温度範囲内という低温域での可逆性を大巾に改善する
ことができ,冷蔵庫等低温で作動するアクチュエータ等
への利用が期待できる。
金によれば,TiNi合金の特性を改善し,−80℃〜60℃で
の温度範囲内という低温域での可逆性を大巾に改善する
ことができ,冷蔵庫等低温で作動するアクチュエータ等
への利用が期待できる。
第1図はTi-51at%Ni合金にCr,V,Ruをそれぞれ0,0.25,
0.5,1.0at%添加した試料を800℃で2hr熱処理後500℃で
2時間処理した時の変態点の添加量依存性を示すグラフ
である。 第2図は,Ti-51at%Ni合金にVを0.25,0.5,1.0at%添加
した試料を800℃で2hr熱処理後の拘束時効試料の温度変
化による形状変化のそれぞれを示している。
0.5,1.0at%添加した試料を800℃で2hr熱処理後500℃で
2時間処理した時の変態点の添加量依存性を示すグラフ
である。 第2図は,Ti-51at%Ni合金にVを0.25,0.5,1.0at%添加
した試料を800℃で2hr熱処理後の拘束時効試料の温度変
化による形状変化のそれぞれを示している。
Claims (1)
- 【請求項1】原子パーセントでNi50.3〜53.0,残部Tiよ
りなる合金に,Cr,V,Ruを一種若しくは数種0.1〜1.0原子
パーセント添加した合金で,均一化のための熱処理後,
機械的に拘束した状態で400〜600℃で熱処理することに
よって,0℃〜35℃の中間相変態開始温度と,−10℃〜30
℃以下の逆変態開始温度とを備えるとともに,−80℃〜
60℃での可逆形状記憶効果を備えていることを特徴とす
る低温可逆形状記憶合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61152753A JP2603463B2 (ja) | 1986-07-01 | 1986-07-01 | 低温可逆形状記憶合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61152753A JP2603463B2 (ja) | 1986-07-01 | 1986-07-01 | 低温可逆形状記憶合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6311636A JPS6311636A (ja) | 1988-01-19 |
JP2603463B2 true JP2603463B2 (ja) | 1997-04-23 |
Family
ID=15547412
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61152753A Expired - Fee Related JP2603463B2 (ja) | 1986-07-01 | 1986-07-01 | 低温可逆形状記憶合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2603463B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0665742B2 (ja) * | 1987-01-08 | 1994-08-24 | 株式会社ト−キン | 形状記憶TiNiV合金の製造方法 |
JP2691567B2 (ja) * | 1988-07-11 | 1997-12-17 | 株式会社トーキン | 超弾性素子 |
KR102048032B1 (ko) * | 2017-10-20 | 2019-11-22 | 서울대학교산학협력단 | 냉각시스템 및 이에 사용되는 초탄성 물질 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58151445A (ja) * | 1982-02-27 | 1983-09-08 | Tohoku Metal Ind Ltd | 可逆形状記憶効果を有するチタンニツケル合金およびその製造方法 |
JPS5928548A (ja) * | 1982-08-06 | 1984-02-15 | Kazuhiro Otsuka | 超弾性、非可逆形状記憶性Ni−Ti基合金材とその製造方法 |
JPS6026648A (ja) * | 1983-07-21 | 1985-02-09 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 形状記憶NiTi系合金板の製造法 |
JPS6210233A (ja) * | 1985-07-09 | 1987-01-19 | Tohoku Metal Ind Ltd | 形状記憶合金 |
-
1986
- 1986-07-01 JP JP61152753A patent/JP2603463B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58151445A (ja) * | 1982-02-27 | 1983-09-08 | Tohoku Metal Ind Ltd | 可逆形状記憶効果を有するチタンニツケル合金およびその製造方法 |
JPS5928548A (ja) * | 1982-08-06 | 1984-02-15 | Kazuhiro Otsuka | 超弾性、非可逆形状記憶性Ni−Ti基合金材とその製造方法 |
JPS6026648A (ja) * | 1983-07-21 | 1985-02-09 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 形状記憶NiTi系合金板の製造法 |
JPS6210233A (ja) * | 1985-07-09 | 1987-01-19 | Tohoku Metal Ind Ltd | 形状記憶合金 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6311636A (ja) | 1988-01-19 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |