JP2599780B2 - 高速回転部材の製造法 - Google Patents
高速回転部材の製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高強度と高靭性を有する高速回転部材の製造
法に関する。
法に関する。
従来から引張強さ、伸び、衝撃値など機械的性質の優
れた、いわゆる高強度と高靭性を有する球状黒鉛鋳鉄製
のクランクシャフトに代表される高速回転部材を製造す
るためには、鋳放しで製造する方法、あるいは鋳込み
後、常温近くまで冷却し再び高温に加熱して熱処理を行
なう方法がとられている。
れた、いわゆる高強度と高靭性を有する球状黒鉛鋳鉄製
のクランクシャフトに代表される高速回転部材を製造す
るためには、鋳放しで製造する方法、あるいは鋳込み
後、常温近くまで冷却し再び高温に加熱して熱処理を行
なう方法がとられている。
鋳放しで製造する方法では、高度な伸び、衝撃値を有
する球状黒鉛鋳鉄製のクランクシャフトを得ることがで
きず、また、常温近くまで冷却した球状黒鉛鋳鉄製のク
ランクシャフトを再び高温に加熱する方法では、多くの
熱エネルギーを必要とするのできわめて不経済である。
する球状黒鉛鋳鉄製のクランクシャフトを得ることがで
きず、また、常温近くまで冷却した球状黒鉛鋳鉄製のク
ランクシャフトを再び高温に加熱する方法では、多くの
熱エネルギーを必要とするのできわめて不経済である。
特願昭55−103281号では、薄肉の鋳放し球状黒鉛鋳鉄
鋳物の製造方法が示されているが、この技術は鋳物の肉
厚をこの鋳物の冷却速度が13℃/min以上となるように形
成するもので、基地組織であるフェラトとパーライトの
混合組織を鋳放しで安定して得るための製造方法である
が機械的性質の優れた高強度高靭性の球状黒鉛鋳鉄を得
ることはできない。
鋳物の製造方法が示されているが、この技術は鋳物の肉
厚をこの鋳物の冷却速度が13℃/min以上となるように形
成するもので、基地組織であるフェラトとパーライトの
混合組織を鋳放しで安定して得るための製造方法である
が機械的性質の優れた高強度高靭性の球状黒鉛鋳鉄を得
ることはできない。
また特願昭50−137304号ではフェライト粒とパーライ
ト粒との微細混合組織より成る基地に黒鉛が晶出した組
織を有する強力で伸びが大きい強靭球状黒鉛鋳鉄および
パーライト基地知識から加熱してフェライト、オーステ
ナイト、黒鉛の共存する温度領域まで加熱し、そこから
空冷する操作を主体とするその熱処理方法が示されてい
る。
ト粒との微細混合組織より成る基地に黒鉛が晶出した組
織を有する強力で伸びが大きい強靭球状黒鉛鋳鉄および
パーライト基地知識から加熱してフェライト、オーステ
ナイト、黒鉛の共存する温度領域まで加熱し、そこから
空冷する操作を主体とするその熱処理方法が示されてい
る。
さらに特公昭63−58881号公報では基地組織をフェラ
イトとマルテンサイトとの微細二相混合焼入組織とし、
ついでにこれを焼戻して微細二相混合焼戻組織として良
好な機械的性質を有し、かつ被削性、耐摩耗性の良好な
強靭球状黒鉛鋳鉄の製造方法が開示されている。
イトとマルテンサイトとの微細二相混合焼入組織とし、
ついでにこれを焼戻して微細二相混合焼戻組織として良
好な機械的性質を有し、かつ被削性、耐摩耗性の良好な
強靭球状黒鉛鋳鉄の製造方法が開示されている。
しかるに、本発明の高速回転部材の製造法は、鋳型に
球状黒鉛鋳鉄組成の溶湯を注湯し、凝固完了後直ちに型
バラシを行ない、A1変態点以上の温度から800〜950℃に
加熱した連続炉に入炉して熱処理を施こし、所望温度で
取り出し強制冷却することにより、パーライトの面積率
は92%以上であり、黒鉛の平均粒径は35μm以下であ
り、上記パーライトと黒鉛との間にフェライトがなく、
黒鉛が隙間なく充填されていることを特徴とするもので
ある。
球状黒鉛鋳鉄組成の溶湯を注湯し、凝固完了後直ちに型
バラシを行ない、A1変態点以上の温度から800〜950℃に
加熱した連続炉に入炉して熱処理を施こし、所望温度で
取り出し強制冷却することにより、パーライトの面積率
は92%以上であり、黒鉛の平均粒径は35μm以下であ
り、上記パーライトと黒鉛との間にフェライトがなく、
黒鉛が隙間なく充填されていることを特徴とするもので
ある。
従って、上述せる従来技術とはその技術的思想を全く
異にするものである。
異にするものである。
本発明者は、さきに球状黒鉛鋳鉄の疲労強度に及ぼす
黒鉛の弾性効果を知るため、熱処理前の基地組織を変え
て焼入れ焼戻しを行ない、基地が黒鉛を強く圧縮してい
ると考えられるものと、基地と黒鉛との間に隙間がある
と考えられるものを作り、それぞれの疲労限度を比較し
た。
黒鉛の弾性効果を知るため、熱処理前の基地組織を変え
て焼入れ焼戻しを行ない、基地が黒鉛を強く圧縮してい
ると考えられるものと、基地と黒鉛との間に隙間がある
と考えられるものを作り、それぞれの疲労限度を比較し
た。
この結果基地の硬さがほぼ等しくなるよう熱処理され
ているにもかかわらず、前者は後者に対し約24%高い疲
労強度を示したことを開示した。〔日本機械学会論文集
(A編)52巻481号2150〜2153頁〕 本発明者等は、更に研究を重ね、このように良好な疲
労強度を有する材料でクランクシャフトを製造し、従来
から焼き付き及び摩耗が問題となっていた超高速回転の
ガソリンエンジンに組み込んだ結果、焼き付き及び摩耗
に対してきわめて優れた特性を有することを知見し、か
つその理論的な根拠を解明し本発明を完成したものであ
る。
ているにもかかわらず、前者は後者に対し約24%高い疲
労強度を示したことを開示した。〔日本機械学会論文集
(A編)52巻481号2150〜2153頁〕 本発明者等は、更に研究を重ね、このように良好な疲
労強度を有する材料でクランクシャフトを製造し、従来
から焼き付き及び摩耗が問題となっていた超高速回転の
ガソリンエンジンに組み込んだ結果、焼き付き及び摩耗
に対してきわめて優れた特性を有することを知見し、か
つその理論的な根拠を解明し本発明を完成したものであ
る。
すなわちプレーンメタル軸受によって保持されるガソ
リン及びディーゼルエンジン用クランクシャフトの摺動
軸面は、潤滑油によって形成される1μm程度の油膜を
介してメタルと接している。
リン及びディーゼルエンジン用クランクシャフトの摺動
軸面は、潤滑油によって形成される1μm程度の油膜を
介してメタルと接している。
従ってクランクシャフトの摺動軸面上の突出するもの
が存在すると、正常な油膜が形成されないばかりでな
く、油膜厚さ以上の高さの突出物があれば、プレーンメ
タン軸受と直に接触して、比較的軟いメタル表面を損傷
することになる。これが進行すると過大な摩耗を生じ、
ときには焼き付きという好ましからざる結果を招くこと
になる。
が存在すると、正常な油膜が形成されないばかりでな
く、油膜厚さ以上の高さの突出物があれば、プレーンメ
タン軸受と直に接触して、比較的軟いメタル表面を損傷
することになる。これが進行すると過大な摩耗を生じ、
ときには焼き付きという好ましからざる結果を招くこと
になる。
クランクシャフトの回転数が6000回/分を超える高速
回転、高トルクの自動車用ガソリンエンジンでは、油膜
厚さが0.8〜1μmであるため黒鉛周囲の研磨バリガ生
じやすい球状黒鉛鋳鉄製の鋳造クランクシャフトは不適
当視されている。
回転、高トルクの自動車用ガソリンエンジンでは、油膜
厚さが0.8〜1μmであるため黒鉛周囲の研磨バリガ生
じやすい球状黒鉛鋳鉄製の鋳造クランクシャフトは不適
当視されている。
これらの理由で、軸受負荷の大きい高速回転、高トル
クのガソリンエンジンや筒内圧の大きいディーゼルエン
ジンのクランクシャフトは鍛鋼製クランクシャフトが未
だに使用されている。
クのガソリンエンジンや筒内圧の大きいディーゼルエン
ジンのクランクシャフトは鍛鋼製クランクシャフトが未
だに使用されている。
鋳放し球状黒鉛鋳鉄を、高強度かつ高耐摩耗性が要求
される鋳造クランクシャフト部材に適用する場合、パー
ライト化を促進する元素、例えば、Cu,Snなどを適量添
加する必要があるが、運転稼働中に発生する多大な衝撃
荷重に対し折損しないように、高い靭性が求められる。
される鋳造クランクシャフト部材に適用する場合、パー
ライト化を促進する元素、例えば、Cu,Snなどを適量添
加する必要があるが、運転稼働中に発生する多大な衝撃
荷重に対し折損しないように、高い靭性が求められる。
すなわち、高強度、高耐摩耗性並びに高靭性を満足す
る合金組成でなければならず、靭性を低下させるCu,Sn
等の元素の添加量には制限がある。Cuについていえば、
0.7〜0.8重量%が一般に添加量の上限とされる。この場
合、黒鉛を囲むようにフェライトが折出するが、研磨加
工の際にこれがバリ状に加工表面に突出する形で残るこ
とが多い。(第6,7図参照) 本発明の目的は、良好な機械的性質を有する高速回転
部材をきわめて少ない熱エネルギーで安定して得れる製
造法を提供するものである。
る合金組成でなければならず、靭性を低下させるCu,Sn
等の元素の添加量には制限がある。Cuについていえば、
0.7〜0.8重量%が一般に添加量の上限とされる。この場
合、黒鉛を囲むようにフェライトが折出するが、研磨加
工の際にこれがバリ状に加工表面に突出する形で残るこ
とが多い。(第6,7図参照) 本発明の目的は、良好な機械的性質を有する高速回転
部材をきわめて少ない熱エネルギーで安定して得れる製
造法を提供するものである。
また本発明の他の目的は、黒鉛周囲のフェライトを消
失せしめ、研削加工性のよいち密なパーライト地にする
ことで、黒鉛周囲に研磨バリが発生ぜす、従って焼き付
きの発生を防止し得る高速回転部材の製造法を提供する
ものである。
失せしめ、研削加工性のよいち密なパーライト地にする
ことで、黒鉛周囲に研磨バリが発生ぜす、従って焼き付
きの発生を防止し得る高速回転部材の製造法を提供する
ものである。
本発明の高速回転部材の製造法は、鋳型に球状黒鉛鋳
鉄組成の溶湯を注湯し、凝固完了後直ちに型バラシを行
ない、A1変態点以上の温度から800〜950℃に加熱した連
続炉に入炉して熱処理を施し、所望温度で取り出し強制
冷却することを特徴とする。
鉄組成の溶湯を注湯し、凝固完了後直ちに型バラシを行
ない、A1変態点以上の温度から800〜950℃に加熱した連
続炉に入炉して熱処理を施し、所望温度で取り出し強制
冷却することを特徴とする。
また、上記800〜950℃に加熱した連続炉の入炉し保持
する時間は5〜20分間とし、強制冷却する冷却速度は50
〜150℃/分とすることを特徴とするものである。
する時間は5〜20分間とし、強制冷却する冷却速度は50
〜150℃/分とすることを特徴とするものである。
また、上記高速回転部材は、パーライトの面積率が92
%以上であり、黒鉛の平均粒径が35μm以下であり、上
記パーライトと黒鉛との間にフェライトがなく、黒鉛が
隙間なく充填されていることを特徴とするものである。
%以上であり、黒鉛の平均粒径が35μm以下であり、上
記パーライトと黒鉛との間にフェライトがなく、黒鉛が
隙間なく充填されていることを特徴とするものである。
そして、上記高速回転部材の化学組成は、重量%でC:
3.0〜4.0%,Si:1.8〜3.0%,Mn:0.5%以下,Mg:0.01〜0.0
8%,P:0.05%以下,S:0.02%以下,Cu:0.20〜0.80%残部F
e及び不可避的不純物よりなることを特徴とするもので
ある。
3.0〜4.0%,Si:1.8〜3.0%,Mn:0.5%以下,Mg:0.01〜0.0
8%,P:0.05%以下,S:0.02%以下,Cu:0.20〜0.80%残部F
e及び不可避的不純物よりなることを特徴とするもので
ある。
以下数値限定理由について説明する。
(1)A1変態点以上の温度から800〜950℃に加熱した連
続炉に入炉して熱処理 凝固完了後直りに型バラシを行ない、A1変態点以上の
温度から800〜950℃に加熱した連続炉に入炉して5〜20
分間保持する熱処理する。連続炉の温度が800℃未満で
は、組織の改善に長時間を必要とし経済的でない。一
方、連続炉の温度が950℃を超えると、エネルギーコス
トが上るのみならず、鋳造品の歪も増大する結果とな
り、その矯正に多くの工数を必要とし不経済である。
続炉に入炉して熱処理 凝固完了後直りに型バラシを行ない、A1変態点以上の
温度から800〜950℃に加熱した連続炉に入炉して5〜20
分間保持する熱処理する。連続炉の温度が800℃未満で
は、組織の改善に長時間を必要とし経済的でない。一
方、連続炉の温度が950℃を超えると、エネルギーコス
トが上るのみならず、鋳造品の歪も増大する結果とな
り、その矯正に多くの工数を必要とし不経済である。
上記800〜950℃に加熱した連続炉に入炉し保持する時
間は、好ましくは5〜20分間とする。連続炉での保持時
間が5分未満では、チルが発生した場合、チルの完全消
失が達成出来ないばかりでなく、強度、靭性の低下をひ
き起こす恐れがある。一方、保持時間が20分を超える
と、鋳造品の歪が増大するばかりでなく不経済である。
間は、好ましくは5〜20分間とする。連続炉での保持時
間が5分未満では、チルが発生した場合、チルの完全消
失が達成出来ないばかりでなく、強度、靭性の低下をひ
き起こす恐れがある。一方、保持時間が20分を超える
と、鋳造品の歪が増大するばかりでなく不経済である。
(2)所望温度で取り出し矯制冷却 矯制冷却する冷却速度は50〜150℃/分とする。冷却
速度が50℃/分未満ではパーライトの均一性を得がた
い。一方、冷却速度が150℃/分を超えると、基地中に
緻密なパーライトが残留して硬くなり、靭性が低下して
切削性を阻害する。
速度が50℃/分未満ではパーライトの均一性を得がた
い。一方、冷却速度が150℃/分を超えると、基地中に
緻密なパーライトが残留して硬くなり、靭性が低下して
切削性を阻害する。
(3)パーライトの面積率が92%以上 パーライトの面積率が92%未満では引張強さ80kgf/mm
2以上、耐力50kgf/mm2以上を満足することができない。
2以上、耐力50kgf/mm2以上を満足することができない。
(4)黒鉛の平均粒径が35μm以下 黒鉛の平均粒径が35μmを超えると切削性と疲労強度
が低下する。
が低下する。
(5)C:3.0〜4.0% CはSiの量にも関係するが3.0%未満、或いは4.0%を
超えると鋳造性が悪くなる。
超えると鋳造性が悪くなる。
(6)Si:1.8〜3.0% Siは1.8%未満では炭化物生成傾向が増大し、3.0%を
超えるとパーライト量の制御が困難となり均一なパーラ
イトを得ることがむつかしくなる。
超えるとパーライト量の制御が困難となり均一なパーラ
イトを得ることがむつかしくなる。
(7)Mn:0.5%以下 Mnはパーライト安定化元素であると共に、炭化物生成
元素でもあるため0.5%以下とした。
元素でもあるため0.5%以下とした。
(8)Mg:0.01〜0.08% Mgは0.01%未満では球状黒鉛鋳鉄を得るための歩留り
が低下し、0.08%を超えてもその効果がなく、チル発生
の要因にもなる。
が低下し、0.08%を超えてもその効果がなく、チル発生
の要因にもなる。
(9)P:0.05%以下 Pは球状化阻害元素であるため、0.05%以下とした。
(10)S:0.02%以下 Sは球状化阻害元素であるため、0.02%以下とした。
(11)Cu:0.20〜0.8% Cuは炭化物生成傾向を持たないパーライト安定化元素
であり、組織中のパーライトを均一にするため0.20%以
上とし、上限の0.8%を超えて添加してもその効果は期
待できない。
であり、組織中のパーライトを均一にするため0.20%以
上とし、上限の0.8%を超えて添加してもその効果は期
待できない。
(実施例.1) (1)化学成分 鉄と不可避的不純物と下記の成分とからなる材料か
ら、直径65mm×長さ3000mmの試験片を製作した。鋳型は
CO2鋳型であり、注入温度は1,420℃であった。
ら、直径65mm×長さ3000mmの試験片を製作した。鋳型は
CO2鋳型であり、注入温度は1,420℃であった。
(2)熱処理 鋳型に上記球状黒鉛鋳鉄組成の溶湯を注入し、7分後
に型バラシを行ない、試験片の温度が900℃のとき850℃
に加熱された連続炉に入炉し10分後保持した後、炉外へ
取り出しブロアーによって75℃/分の冷却速度で強制冷
却した。第1図は鋳型に熱電対を挿入して溶湯の冷却状
況を測定した冷却曲線である。
に型バラシを行ない、試験片の温度が900℃のとき850℃
に加熱された連続炉に入炉し10分後保持した後、炉外へ
取り出しブロアーによって75℃/分の冷却速度で強制冷
却した。第1図は鋳型に熱電対を挿入して溶湯の冷却状
況を測定した冷却曲線である。
(3)組織 上記熱処理によって得られた本発明の試験片の顕微鏡
組織写真を第2図に示す。なお、比較例として同一化学
成分の鋳放し品の試験片の顕微鏡組織写真を第3図に示
す。本発明品は良好な微細パーライト組織であるのに対
し、比較例の鋳放し品は層状パーライト組織である。
組織写真を第2図に示す。なお、比較例として同一化学
成分の鋳放し品の試験片の顕微鏡組織写真を第3図に示
す。本発明品は良好な微細パーライト組織であるのに対
し、比較例の鋳放し品は層状パーライト組織である。
しかも、第3図では黒鉛の周辺に多量のフェライトが
存在しているため良好な機械的性質を有しないが、本発
明の第2図では黒鉛周辺のフェライトが極めて少なく、
パーライトが黒鉛を強く圧縮しているため第1表に示す
ような優れた機械的性質を有するものである。
存在しているため良好な機械的性質を有しないが、本発
明の第2図では黒鉛周辺のフェライトが極めて少なく、
パーライトが黒鉛を強く圧縮しているため第1表に示す
ような優れた機械的性質を有するものである。
また、第4図では黒鉛の周囲に隙間があり、この隙間
の周囲にフェライトが存在するので機械的性質は第3図
よりも更に低い値を示す。
の周囲にフェライトが存在するので機械的性質は第3図
よりも更に低い値を示す。
(4)機械的性質 本発明品と鋳放し品の機械的性質は第1表に示す通り
である。
である。
第1表で明らかなように、鋳放し品と比較して本発明
の製造法によるものは優れた機械的性質を有し、特に伸
び、衝撃値に著しい差異を有することがわかる。
の製造法によるものは優れた機械的性質を有し、特に伸
び、衝撃値に著しい差異を有することがわかる。
(5)研磨後のバリの発生状況 第5図に本発明品の顕微鏡写真を、また第6,7図に従
来品の顕微鏡写真を示す。図で明らかなように研磨後の
バリの発生状況が著しく異なる このバリがクランクシャフトの研磨面に発生すると急
速に摩耗するばかりでなく、軸受を傷付け焼き付き発生
の原因となるものである。
来品の顕微鏡写真を示す。図で明らかなように研磨後の
バリの発生状況が著しく異なる このバリがクランクシャフトの研磨面に発生すると急
速に摩耗するばかりでなく、軸受を傷付け焼き付き発生
の原因となるものである。
本発明の製造法でつくられたクランクシャフトの回転
数8000回/分のガソリンエンジンに組み込み500時間の
連続運転を実施したところ、摩耗及び焼き付きは全く認
められず良好な結果を得ることができた。
数8000回/分のガソリンエンジンに組み込み500時間の
連続運転を実施したところ、摩耗及び焼き付きは全く認
められず良好な結果を得ることができた。
これに対し、黒鉛周囲にフェライト環を有し、そのフ
ェライト面積率が10〜12%である鋳放し球状黒鉛鋳鉄製
の鋳造クランクシャフトで、同一条件のエンジン試験を
実施したところ、75時間で焼き付けて、エンジンが停止
した。
ェライト面積率が10〜12%である鋳放し球状黒鉛鋳鉄製
の鋳造クランクシャフトで、同一条件のエンジン試験を
実施したところ、75時間で焼き付けて、エンジンが停止
した。
なお、このクランクシャフトの摺動軸面上にはフェラ
イトの研磨バリが組込み前に観察されていた。
イトの研磨バリが組込み前に観察されていた。
以上の説明で明らかなように本発明の高速回転部材の
製造法は、鋳型に球状黒鉛鋳鉄組成の溶湯を注湯し、凝
固完了後直ちに型バラシを行ない、A1変態点以上の温度
から加熱した連続炉に入炉して熱処理を施こし、所定温
度で取り出し強制冷却することにより、パーライトの面
積率が92%以上であり、黒鉛の平均粒径が35μm以下で
あり、パーライトと黒鉛との間にフェライトがなく、黒
鉛が隙間なく充填されていることを特徴とするものであ
る。
製造法は、鋳型に球状黒鉛鋳鉄組成の溶湯を注湯し、凝
固完了後直ちに型バラシを行ない、A1変態点以上の温度
から加熱した連続炉に入炉して熱処理を施こし、所定温
度で取り出し強制冷却することにより、パーライトの面
積率が92%以上であり、黒鉛の平均粒径が35μm以下で
あり、パーライトと黒鉛との間にフェライトがなく、黒
鉛が隙間なく充填されていることを特徴とするものであ
る。
このように、鋳造品をホットな状態から連続式の簡便
な連続炉に装入するため、エネルギーコストも、きわめ
て低廉であり、優れた機械的性質を有する高速回転部材
を得ることができた。
な連続炉に装入するため、エネルギーコストも、きわめ
て低廉であり、優れた機械的性質を有する高速回転部材
を得ることができた。
しかも、本発明の製造法による高速回転部材は、耐焼
き付き性、耐摩耗性がきわめて良好であり、工業的に著
しい効果を得ることができるものである。
き付き性、耐摩耗性がきわめて良好であり、工業的に著
しい効果を得ることができるものである。
第1図は鋳型内溶湯の冷却曲線、第2,3,4,5,6,7図はと
もに金属顕微鏡組織写真である。
もに金属顕微鏡組織写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 公輝 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属 株式会社素材研究所内 (72)発明者 藤井 義正 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属 株式会社素材研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】鋳型に球状黒鉛鋳鉄組成の溶湯を注湯し、
凝固完了後直ちに型バラシを行ない、A1変態点以上の温
度から800〜950℃に加熱した連続炉に入炉して熱処理を
施こし、所望温度で取り出強制冷却することを特徴とす
る高速回転部材の製造法。 - 【請求項2】上記800〜950℃に加熱した連続炉に入炉し
保持する時間は5〜20分間とし、強制冷却する冷却速度
は50〜150℃/分とすることを特徴とする特許請求の範
囲第1項記載の高速回転部材の製造法。 - 【請求項3】上記高速回転部材は、パーライトの面積率
は92%以上であり、黒鉛の平均粒径は35μm以下であ
り、上記パーライトと黒鉛との間にフェライトがなく、
黒鉛が隙間なく充填されていることを特徴とする特許請
求の範囲第1項または第2項何れかに記載の高速回転部
材の製造法。 - 【請求項4】上記高速回転部材は、重量%でC:3.0〜4.0
%,Si:1.8〜3.0%,Mn:0.5%以下,Mg:0.01〜0.08%,P:0.
05%以下,S:0.02%以下,Cu:0.20〜0.80%残部Fe及び不
可避的不純物よりなることを特徴とする特許請求の範囲
第1項乃至第3項何れかに記載の高速回転部材の製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63328190A JP2599780B2 (ja) | 1988-12-26 | 1988-12-26 | 高速回転部材の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63328190A JP2599780B2 (ja) | 1988-12-26 | 1988-12-26 | 高速回転部材の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02173240A JPH02173240A (ja) | 1990-07-04 |
JP2599780B2 true JP2599780B2 (ja) | 1997-04-16 |
Family
ID=18207470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63328190A Expired - Lifetime JP2599780B2 (ja) | 1988-12-26 | 1988-12-26 | 高速回転部材の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2599780B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0617186A (ja) * | 1992-02-27 | 1994-01-25 | Hitachi Metals Ltd | 球状黒鉛鋳鉄部材及びその製造方法 |
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JPS62217411A (ja) * | 1986-03-18 | 1987-09-24 | Victor Co Of Japan Ltd | 磁気ヘツド |
-
1988
- 1988-12-26 JP JP63328190A patent/JP2599780B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
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JPS62217411A (ja) * | 1986-03-18 | 1987-09-24 | Victor Co Of Japan Ltd | 磁気ヘツド |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02173240A (ja) | 1990-07-04 |
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