JP2781296B2 - 冷間圧延用鍛鋼ロールの製造方法 - Google Patents

冷間圧延用鍛鋼ロールの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、冷間圧延機のワー
ロール、中間ロール等に用いる鍛鋼ロールに関し、特に
ロール表面品質特性(特にショットダルロール粗度の均
一性)を有利に改善し、かつ鍛造後の球状化焼鈍処理を
省略できる製造方法を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延用ワークロールが具備すべき特
性としては、耐事故性、耐摩耗性、硬化深度などが挙げ
られ、加えて、良好な表面品質を特に要求される被圧延
材に対しては、耐肌荒れ性が極めて重要な特性となる。
このワークロールに肌荒れが生じると、被圧延板の表面
にも肌荒れが転写されて製品表面の品質が劣化し、また
ロールの肌荒れが著しい場合にはロールを再研削する必
要が生じる。かかる冷間圧延用ワークロールに、耐肌荒
れ性が優れていることが要求される所以である。
【0003】ところでロールには、鋳造の際の凝固時に
樹枝状晶(デンドライト)が形成され、鍛造過程で、特
有のデンドライト模様(デンドライトの樹枝部と樹間
部)がこの表面に生じる結果、ロール表面には、この模
様に沿って硬度むら(うねり)があり、加えて組織むら
(細粒と粗粒)も存在する。このロール表面の硬度むら
及び組織むらが、前述した肌荒れの要因である。
【0004】また調質圧延に用いるワークロールには、
被圧延材の表面粗度の調整を行うために、ロール表面を
ダル(微細な梨地)に粗面化したロールを使用してい
る。かかるロールの粗度化には、通常ショットブラスト
方式すなわち粗度に応じたグリッドをロールに向けて投
射することにより行っている。このショットブラストの
際、グリッドは、一粒一粒が全く同じ大きさではなく、
ある粒度分布を持っているので、完全にランダムに投射
したとしても統計的なゆらぎによってロール表面には粗
度むら(うねり)が発生する。かかる投射グリッドの不
均一に基づく粗度むらが、上述したロール表面の硬度む
ら及び組織むらと重畳して、ロール表面に大きな粗度む
ら(うねり)を形成してしまい、冷延製品の表面品質や
圧延中の板形状に影響を及ぼし、生産性の低下や操業の
攪乱を招き、問題となっていた。
【0005】これらの問題を解決するためにデンドライ
トを微細化する技術が考えられ、例えば特開昭61-9554
号及び同61-9558 号各公報には、それぞれP添加及びZ
r、Niの複合添加を行う方法が開示されていて、また特
開昭56-86611号公報には、デンドライト主幹のロール胴
の外表面とのなす角を15度以上にすることが開示されて
いる。しかしながら何れの方法もデンドライトの樹枝部
と樹間部との硬度差を本質的に低減する技術ではなく、
ショットダルロールのように粗度むらのないことが厳し
く要求されるロールでは十分な効果を発揮しているとは
言い難かった。
【0006】またこのような冷間圧延用鍛鋼ロールの製
造にあっては通常、鍛造終了後の高C−Cr系鍛鋼ロール
素材を、割れ防止のために室温まで放冷することなく高
温状態のまま熱処理炉に装入(いわゆる赤材扱い)し、
次いで鍛造後の粗い炭化物を適切な球状炭化物にする球
状化焼鈍処理が施されていた。かかる処理については、
日本鉄鋼協会編「第3版鉄鋼便覧(第V巻)鋳造・鍛造
・粉末冶金」丸善(昭和57年5月31日発行)p.330 、表
11・6に詳細に説明されている。
【0007】かかるロール素材の鍛造後の球状化焼鈍処
理及び調質処理は、冷間圧延用ワークロールが、前に述
べたようにロール胴部の表面硬さがHs:90以上で、かつ
深い硬化層と耐事故性が要求されるから、そのためにロ
ール胴部の表面焼入れの前工程で、結晶粒及び組織の調
整により適切な球状炭化物を有しかつ軸部硬さの調整及
びロール内部の強じん化を高めておく必要があるためで
ある。かかるロール素材の球状化焼鈍処理は、ロール素
材の結晶粒及び組織の調整により適切な球状炭化物を得
るためには不可欠な工程であるが、この処理は約150時
間にわたって熱処理炉を占有するため、多大の経費及び
時間を要するという問題があった。
【0008】そこで出願人は先に特開平2-282429 号公
報で、球状化焼鈍処理を省略してもこの処理を行った場
合と同品質の鍛鋼ロール素材を製造し得る方法を提案し
たが、最近の厳しいロール表面品質の要求に対して十分
な対処ができなくなり、上記の課題は十分に解決されて
いるとはいえなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、 ロール表面品質特性の改善(特にショットダルロール
粗度の均一化)を図るために、デンドライトの樹枝部と
樹間部との硬度むらを最小値(あるいは飽和値)まで低
減し、かつ 球状化焼鈍処理を省略してもこの処理を行った場合と
同品質の高C−Cr系鍛鋼ロール素材を製造し得る鍛鋼ロ
ールの製造方法を提案すること目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、 適切な加熱拡散を施すことよりデンドライトの樹枝部
と樹間部との硬度むらを最小値(あるいは飽和値)まで
低減させることによってロール表面品質特性(特にショ
ットダルロール粗度の均一性)の優れた鍛鋼ロールを製
造し得ること、及び 加熱拡散処理、鍛造方法、鍛造後の冷却方法及び調質
熱処理の球状化作用を上手に組み合わせることによっ
て、球状化焼鈍処理を省略してもこの処理を行った場合
と同品質の高C−Cr系鍛鋼ロール素材を製造し得ること
の知見を得て、これらの知見に基づいてこの発明をなす
に至った。
【0011】すなわちこの発明は、C:0.7 〜1.2 wt%
(以下単に%で示す)及びCr:2.0〜12.0%を含有する
鍛鋼ロール用鋳造材に、熱間鍛造及びそれに引き続く熱
処理を施して鍛鋼ロールを製造するに当たり、 該熱間
鍛造に先立って、1200〜1280℃の範囲の温度での加熱拡
散処理を、次式で算出される加熱拡散パラメータP P=log(t)−(19840/T) (ここにt:加熱保持時間(min) 、T:加熱温度
(K)) が−9.8 〜−9.2 の範囲を満足させて施すことを特徴と
する冷間圧延用鍛鋼ロールの製造方法である。
【0012】またこの発明は、C:0.7 〜1.2 %及びC
r:2.0 〜12.0%を含有する鍛鋼ロール用鋳造材に、熱
間鍛造及びそれに引き続く熱処理を施して鍛鋼ロールを
製造するに当たり、該熱間鍛造に先立って、1200〜1280
℃の範囲の温度での加熱拡散処理を、次式で算出される
加熱拡散パラメータP P=log(t)−(19840/T) (t:加熱保持時間(min) 、T:加熱温度(K)) が−9.8 〜−9.2 の範囲を満足させて施し、次いで熱間
鍛造を、1050〜1200℃で上下V金敷を用いて圧下代6%
以上の圧下量でかつ鍛錬比1.6 S 以上に鍛錬し、引き続
く冷却を、Ms点以上〜Ms点+150 ℃の温度域までは空冷
し、その後調質熱処理を施すことを特徴とする冷延圧延
用鍛鋼ロールの製造方法である。
【0013】
【作用】ロール素材表面のデンドライトの樹枝部と樹間
部での硬度むらは、CrさらにはMoのミクロ偏析が要因で
あり、そこで鍛造に先立つ適正な加熱拡散処理により、
デンドライト模様の不鮮明及びミクロ組織の均一化を介
して硬度むらが大幅に低減し、これに伴ってショットダ
ルロールのような冷間圧延用鍛鋼ロール粗度の均一化が
図れるのである。
【0014】図1及び図2に0.90%C−4.5 %Cr−0.6
%Mo−0.07%V系の材料に種々の条件で加熱拡散処理を
行った場合の硬度むら及びCr、Moのミクロ偏析について
調べた結果をそれぞれ示す。同図から明らかなように、
この発明に従う加熱拡散処理(1200〜1280℃)を施した
ロールは、この発明の範囲よりも低い温度での加熱拡散
処理材(1180℃)に比べてデンドライトの樹枝部と樹間
部との硬度むらが低減していて、この硬度むらは、Cr、
Moのミクロ偏析軽減と対応している。硬度むらの最小値
(あるいは飽和値)は、1200〜1280℃の加熱拡散処理を
加熱拡散パラメータP P=log(t)−(19840/T) (ここにt:加熱保持時間(mi
n) 、T:加熱温度(K)) が−9.8 〜−9.2 となる範囲で施すことにより得られ
る。
【0015】かかる加熱拡散処理は、製造工程における
球状化焼鈍の省略のためにも有効である。すなわち、通
常の鍛造温度加熱温度(1050〜1200℃)よりも50〜150
℃高い温度での加熱拡散処理(1200〜1280℃)を施し、
次いで通常の鍛造加熱温度で、鍛造方法をコントロール
して組織の均一化と結晶粒の微細化を図り、また鍛造後
の冷却条件を限定することで球状化焼鈍処理の省略が可
能になるのである。
【0016】加熱拡散処理の温度は、1200℃より低い
と、Cr、Moのミクロ偏析を軽減して基地への固溶促進を
図る効果が少なくなりかつ共晶炭化物を細分球状化させ
る効果が少なくなり、一方1280℃を超えるとボイドの圧
着が困難になってくるので1200〜1280℃の範囲に限定し
た。より好ましく1230〜1280℃の範囲に管理すればより
効果的な拡散が得られる。
【0017】加熱拡散パラメータPは、−9.2 より大き
い場合(高温、長時間加熱)は、Moの再偏析が生じ、か
つ加熱費用も多くなって経済的でないため上限を−9.2
とする(ロールの熱間鍛造の際に、表面の脱炭層の深さ
はあまり大きな問題にはならない)。一方、パラメータ
Pが−9.8 よりも小さいと、図2に示すΔHvが増加する
傾向を示し、通常の管理範囲で許容できるΔHv:60以内
となる範囲として下限を−9.8 とした。
【0018】なお鍛造及びその後の熱処理条件に関して
は、ロール表面性状の改善を図る場合には、通常実施さ
れている条件で適宜決定すればよい。
【0019】次に鍛造及び熱処理条件に関して、球状化
焼鈍工程を省略しようとする場合には、以下のように行
うことが肝要である。
【0020】鍛造加熱温度:1050〜1200℃ 鍛造加熱温度は低すぎると鍛造作業性が悪く、一方高す
ぎると鋼塊偏析部の共晶炭化物が部分溶融して熱間加工
性の低下に伴い、塑性加工が困難になる。このため、鍛
造加熱温度はCr、Mo、Vの含有量によって異なるが、10
50〜1200℃の範囲に限定した。より好ましくは1080〜11
80℃の範囲に管理すれば加工性はより安定する。
【0021】鍛造方法:上下V金敷、圧下量6%以上、
鍛錬比1.6 S 以上 通常の鍛造加熱温度(1050〜1200℃)よりも50〜150 ℃
高い温度で加熱拡散処理(1200〜1280℃)を施すと、鋼
塊偏析部の共晶炭化物が溶融し、ボイドが発生するの
で、鍛造でボイドの圧着及び共晶炭化物の分断を図る必
要があり、鍛造方法は上下V金敷を用いて、圧下量6%
以上、鍛錬比1.6 S 以上に限定した。ここに上下V金敷
は、平金敷に比較して圧下量が小さくても鋼塊の中心ま
で圧下力を伝え、大きな塑性加工を加えることができる
からであり、圧下量が6%に満たない場合や鍛錬比が1.
6 S よりも小さい場合には空隙欠陥圧着のための十分な
圧着効果を得ることができないためである。
【0022】鍛造後の冷却条件:上記の条件で得られた
鍛造品は、マルテンサイト変態の開始点Ms点(この発明
の鍛鋼ロールでは200 〜250 ℃)以上、Ms点+(50 〜15
0 ℃) までの温度範囲、具体的には300 〜400 ℃の温度
域まで空冷し、均一に炭化物を分布させる。ここで鍛造
後の冷却速度が遅いと、炭化物が粗くなり、この粗大炭
化物は次工程の調質熱処理、表面焼入れ後も残留するの
で、鍛造後に空冷し、均一に炭化物を分布させておくこ
とが重要である。とはいえ割れ防止の点から、鍛造終了
後の空冷終了温度はMs点近傍からMs点+150 ℃までの温
度域とし、それ以後は赤材扱いで熱処理炉に装入し、γ
→αの相変態を行った後、調質熱処理で炭化物の球状化
及びマトリックスの強じん化を図る。
【0023】このように高温の加熱拡散処理で、共晶炭
化物を細分球状化させると共に、Cr、Moのミクロ偏析を
軽減して基地への固溶促進を図り、かつ鍛造工程で結晶
粒の微細化を図り、次いで鍛造後の冷却で均一に炭化物
を分散させ、その後に赤材扱いの調質熱処理で炭化物の
球状化が施されるため、球状化焼鈍処理の作用を代替で
き、したがって球状化焼鈍処理を省略してもこの処理を
行ったと同品質のロール素材が得られるのである。かか
る製造工程のブロック図を図3に示す。
【0024】なお熱処理条件は、ロールの仕様、材質に
よって異なり、ロール胴部及び軸部の硬さ仕様との兼ね
合いで上記の範囲内で適宜決定される。
【0025】次にこの発明で鍛鋼ロールの成分組成範囲
を限定した理由は次のとおりである。
【0026】C:0.7 〜1.2 % Cは、焼入れ性向上、硬さ向上に有効な成分であって、
焼入れ鍛鋼ロールとして必要な焼入れ性及び硬さ確保す
るためには0.7 %以上は必要であるが1.2 %を超えると
硬さの増加が顕著ではないため0.7 〜1.2%の範囲に限
定した。
【0027】Cr:2.0 〜12.0% Crは、冷間圧延用ロールとして必要な耐摩耗性を得るの
に有効な成分であって、そのため2.0 %以上の含有が必
要であるが、12.0%を超えると焼入れ性を低下させるの
で2.0 〜12.0%の範囲に限定した。
【0028】Mo:0.2 〜4.50%及び V:0.05〜2.00% の1種又は2種(2種の場合、合計で0.50〜5.50wt%) Mo、Vはいずれも複合炭化物を形成し、炭化物自体の耐
摩耗性を向上させることによってこの発明の効果を副次
的に補うために添加する。Moが0.20%またVが0.05%に
満たないと、必要な耐摩耗性が得られない不利があり、
一方Moが4.50%、またVが2.00%を超えると延性及びじ
ん性が低下し、焼割れを生じ易いという不都合を生じる
ので、Mo:0.20〜4.50%程度、V:0.05〜2.00%程度と
することが好ましい。
【0029】Ni:0.60wt%以下 Niは、焼入れ性向上及び耐焼割れ性確保のために微量添
加してもよい。Niが0.60%を超えると残留オーステイナ
イト量を増大させて硬さを低下させるという不都合を生
じるので、0.60%以下程度とすることが好ましい。
【0030】Si:0.50〜1.20wt% Siは、焼入れ性向上及び耐焼割れ性確保のために0.50%
以上添加する。1.20%を超えるとこれらの効果が小さく
なるから0.50〜1.20%程度とすることが好ましい。
【0031】Mn:0.30〜1.00wt% Mnは、焼入れ性向上のために有効な成分であって、その
ために0.30%は必要であるが1.00%を超えるとぜい化が
顕著となるから 0.30〜1.00%程度とすることが好まし
い。
【0032】
【実施例】
実施例1 表1に示す種々の成分組成になる鋼をESR(エレクト
ロスラグ再溶解)法にて、直径850 mm、長さ1800mmのサ
イズの鋼塊に各々4個ずつ製作した。
【0033】
【表1】
【0034】これらの鋼塊から胴径610 mm、胴長1800m
m、全長3880mmの鍛鋼ロール素材を鍛造するに当たり、
各チャージ内の2個の鋼塊にはこの発明にかかる方法
を、各チャージ内の他の鋼塊には従来方法をそれぞれ適
用した。ここに、この発明に従う方法は、加熱拡散処理
が、1280℃,30時間(P=−9.5 )であり、従来方法は
加熱拡散処理が、1180℃,23時間(P=−10.5)であ
る。なお鍛造はもとより熱処理以降の製造工程は、一般
的な鍛鋼ロールの製造方法に従って行った。得られた鍛
鋼ロールの品質を完成検査及び使用実績で調査し、その
結果をまとめて表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】また得られた鍛鋼ロールのロール表面の硬
度分布を図4に、ロール粗度分布を図5に、それぞれ実
施例((a))と、比較例((b))とで比較して示す。表2及
び図4,5から明らかなように、この発明に従う実施例
は、比較例に比べデンドライトの樹枝部と樹間部との硬
度むらが大幅に低減し、これに伴い、ショットダルロー
ル粗度の均一化が図れた。
【0037】実施例2 表3に示す種々の成分組成になる鋼をESR(エレクト
ロスラグ再溶解)法にて図6(a) に示す直径610 mm、長
さ1800mmのサイズの鋼塊を各鋼種4個ずつ製作した。
【0038】
【表3】
【0039】これらの鋼塊から図6(b) に示す胴径420
mm、胴長1640mm、全長4490mmの鍛鋼ロールを鍛造するに
あたり、各鋼種の一方の鋼塊(2個ずつ)にはこの発明
にかかる方法を、他の鋼塊には従来方法をそれぞれ適用
した。ここにこの発明にかかる方法は、まず加熱拡散処
理として鋼A,Bには1280℃、30時間、鋼C〜Gには12
30℃, 30時間、鋼H〜Jには1280℃, 30時間施し、次い
で通常の鍛造加熱温度(A,B鋼:1180℃、D鋼:1150
℃、C,G鋼:1100℃、E,F鋼:1080℃、H鋼:1180
℃、I鋼:1180℃、J鋼:1180℃、)で上下V金敷を用
いて、圧下代6〜10%の範囲で鍛錬比2S に鍛錬した
後、鍛造品の表面温度が300 ℃になるまで空冷し、次い
で赤材扱いで熱処理炉に装入し調質処理を施した。また
従来方法は、所定の鍛造(上下V金敷を用いて、圧下代
6〜10%の範囲で鍛錬比2S に鍛錬)を施した後、図7
に示す熱サイクルで焼ならし及び球状化焼鈍を施した
後、調質処理を施した。なお調質熱処理以降の製造工程
は、一般的な鍛鋼ロールの製造方法に従って行った。か
くして得られた鍛鋼ロールの品質を完成検査及び使用実
績で調査し、その結果を表4にまとめて示す。
【0040】
【表4】
【0041】同表から明らかなように、この発明に従う
実施例は、球状化焼鈍を省略しても従来法で得られた比
較例と同品質である。
【0042】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、ロール表面
品質特性を改善でき、したがって冷延鋼板の圧延ライン
において生産性の向上、操業安定化に著しい効果を奏す
る。また球状化焼鈍を省略することができ、したがって
製造コストの削減、能率向上に著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、加熱拡散処理が硬度むら低減に及ぼす
効果を示すグラフである。
【図2】図2は、加熱拡散処理がミクロ偏析低減に及ぼ
す効果を示すグラフである。
【図3】図3は、この発明にかかる製造工程のブロック
図である。
【図4】図4は、鍛鋼ロールのロール表面の硬度分布を
示すグラフである。
【図5】図5は、鍛鋼ロールのロール表面の粗度分布を
示すグラフである。
【図6】図6は、実施例における鋼塊及び鍛造品のサイ
ズを示す説明図である。
【図7】図7は、比較例における熱処理サイクルを示す
説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 27/00 C21D 6/00 101 C21D 8/00 C21D 9/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.7 〜1.2 wt%及び Cr:2.0 〜12.0wt% を含有する鍛鋼ロール用鋳造材に、熱間鍛造及びそれに
    引き続く熱処理を施して鍛鋼ロールを製造するに当た
    り、 該熱間鍛造に先立って、1200〜1280℃の範囲の温度での
    加熱拡散処理を、次式で算出される加熱拡散パラメータ
    P P=log(t)−(19840/T) (ここにt:加熱保持時間(min) 、T:加熱温度
    (K)) が−9.8 〜−9.2 の範囲を満足させて施すことを特徴と
    する冷間圧延用鍛鋼ロールの製造方法。
  2. 【請求項2】 C:0.7 〜1.2 wt%及び Cr:2.0 〜12.0wt% を含有する鍛鋼ロール用鋳造材に、熱間鍛造及びそれに
    引き続く熱処理を施して鍛鋼ロールを製造するに当た
    り、 該熱間鍛造に先立って、1200〜1280℃の範囲の温度での
    加熱拡散処理を、次式で算出される加熱拡散パラメータ
    P P=log(t)−(19840/T) (t:加熱保持時間(min) 、T:加熱温度(K)) が−9.8 〜−9.2 の範囲を満足させて施し、 次いで熱間鍛造を、1050〜1200℃で上下V金敷を用いて
    圧下代6%以上の圧下量でかつ鍛錬比1.6 S 以上に鍛錬
    し、 引き続く冷却を、Ms点以上〜Ms点+150 ℃の温度域まで
    は空冷し、 その後調質熱処理を施すことを特徴とする冷延圧延用鍛
    鋼ロールの製造方法。
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JPH0578750A (ja) 1993-03-30

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