JP2000087177A - 被削性に優れた冷間工具鋼鋳鋼品とその製造方法 - Google Patents

被削性に優れた冷間工具鋼鋳鋼品とその製造方法

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JP2000087177A
JP2000087177A JP10260784A JP26078498A JP2000087177A JP 2000087177 A JP2000087177 A JP 2000087177A JP 10260784 A JP10260784 A JP 10260784A JP 26078498 A JP26078498 A JP 26078498A JP 2000087177 A JP2000087177 A JP 2000087177A
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Seiji Kurata
征児 倉田
Yukinori Matsuda
幸紀 松田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳造ままの鍛伸無しの状態でも十分な靭性を有
し且つ被削性に優れた冷間工具鋼鋳鋼品を提供する。 【解決手段】冷間工具鋼鋳鋼品の組成を、重量%でC:
0.5〜1.2%,Si:≦3.0%,Mn:≦3.0
%,Cr:≦3.0%,2Mo+W:0.1〜8.0
%,S:0.05〜0.4%,Ca:0.0002〜
0.02%を含有し、残部が実質的にFeの組成を有す
るものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は被削性に優れた冷
間工具鋼鋳鋼品及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】従来、金型を始めとする冷間工具はイン
ゴットから鍛造加工によって所定形状を得、その後に切
削加工を施した後に焼入れ・焼戻し処理を行い、しかる
後最終的に仕上研磨加工を施して製品金型等工具を得て
いた。しかしながらこの場合、金型等工具製造に多くの
加工とそのための手間,時間がかかってしまい、併せて
コストも高いものとなってしまう。
【0003】近年、金型を始めとする冷間工具におい
て、新製品の開発期間やモデルチェンジのための期間短
縮のために金型等工具の製作及び納期短縮が重要な課題
となっており、従来の金型等工具製造では必ずしもこれ
に十分応えられなくなってきている。
【0004】冷間工具の製作,納期短縮や製作コストの
削減のための有効な手段として、冷間工具を鋳造で製作
すること、即ち冷間工具を鋳鋼品とすることが考えられ
る。
【0005】冷間工具をこのような鋳鋼品とした場合、
鋳造によってニアネットシェイプ、即ち最終形状,寸法
に近似した形状,寸法に成形でき、従ってその後におい
て切削加工等を施すにしてもその切削量は少なくて済
み、工具製作に要する加工工程数ないし加工量,手間,
加工時間を節減できて製作のための所要期間,所要コス
トを低減することができる。
【0006】ところで金型等工具を鋳造により製造する
にしても、上記のようにその後の切削,研磨等は必要で
あり、従ってその切削等機械加工を施すに際して被削性
が良好であることが求められる。
【0007】鋳鋼品の被削性を高める手段として、端的
には鋼中に快削成分としてSを含有させることが考えら
れる。しかしながら鋳鋼品の場合、鍛造品と異なって鋳
造後において鍛伸等の処理が行われないまま工具として
使用されるものであり、単に快削成分としてのSを含有
させただけであると、鋳造時に析出したMnS等がその
ままの形態で残ってしまい、これが製品の性能を低下さ
せてしまう問題を生ずる。
【0008】現に本発明者が鋼中にSを添加含有させた
ところ、被削性は確かに向上するものの機械的特性、特
に靭性が大きく低下してしまい、金型等工具として不適
なものであった。
【0009】その原因は、鋳鋼品の場合鋼中にSを含有
させると、図1(イ)に示しているように鋳造ままの状
態でMnSが大きな塊として、詳しくは角状,棒状の大
きな塊が混在した形で、しかもコロニー状に局所的に偏
在した形態で析出存在し、これが鋳鋼品の靭性を劣化さ
せているものと考えられる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
事情を背景としてなされたもので、優れた靭性及び被削
性を有する冷間工具鋼鋳鋼品及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。而して請求項1のものは冷間工具
鋼鋳鋼品に係るもので、重量%で、C:0.5〜1.2
%,Si:≦3.0%,Mn:≦3.0%,Cr:≦
3.0%,2Mo+W:0.1〜8.0%,S:0.0
5〜0.4%,Ca:0.0002〜0.02%を含有
し、残部が実質的にFeであることを特徴とする。
【0011】請求項2のものは、請求項1に記載の冷間
工具鋼鋳鋼品おいて、更にNi又はVの1種又は2種を
Ni:≦3.0%,V:0.05〜2.0%で含有する
ことを特徴とする。
【0012】請求項3のものは、請求項1,2の何れか
に記載の冷間工具鋼鋳鋼品において、更にNb又はTa
の1種又は2種をNb:0.02〜2.0%,Ta:
0.02〜2.0%で含有することを特徴とする。
【0013】請求項4のものは、請求項1〜3の何れか
に記載の冷間工具鋼鋳鋼品において、更にTe,Pb,
Se,Biの1種又は2種以上を、Te:≦0.05
%,Pb:≦0.50%,Se:≦0.20%,Bi:
≦0.20%で含有することを特徴とする。
【0014】請求項5は冷間工具鋼鋳鋼品の製造方法に
係るもので、請求項1〜4の何れかに記載の冷間工具鋼
鋳鋼品の製造方法であって、所定形状に鋳造後におい
て、γ単相域でソーキング処理を施すことを特徴とす
る。
【0015】
【作用及び発明の効果】上記のように本発明は、冷間工
具鋼鋳鋼品において被削性を高めるためにSと併せてC
aを所定量添加含有させることを骨子とするもので、こ
のようにした場合、Sの添加含有による靭性の低下を良
好に抑制しつつ被削性を高めることができる。
【0016】特筆すべきはSとCaとを併せて添加含有
させることによって、Sを単独で添加含有させた場合よ
りも被削性を更に高めることができる。換言すれば、本
発明により金型等工具を鋳鋼品とすることを実現でき、
最終工具形状,寸法に近い形状まで鋳造によりこれを成
形することができる。
【0017】しかも本発明の鋳鋼品は被削性に優れたも
のであるから、その後に切削等機械加工を施す際にも同
加工を高速,短時間で簡単に行うことができる。従って
本発明によれば工具の製作期間、納期を短縮化でき、併
せて所要製作コストを低減することができる。
【0018】本発明において、Sと併せてCaを添加含
有させることにより靭性の劣化を抑え、被削性を高め得
る理由は必ずしも明確に判明しているわけではないが、
推察として次のことが考えられている。
【0019】図1(ロ)は本発明に従ってSとCaとを
複合添加した場合の鋳造ままのミクロ組織を観察して図
示したものであるが、同図に示しているようにSとCa
とを複合添加した場合、MnSが球状化,微細化し且つ
均一にマトリックス中に分散した状態となる。
【0020】これはCaの添加によってMnSがCaと
ともに複合化した形態で析出したことによるものと考え
られる。何れにしても上記のようにMnSが球状化,微
細化し且つ均一に分散した状態で析出することから、靭
性の劣化が可及的に抑えられることとなったものと考え
られる。
【0021】本発明においては、必要に応じて焼入れ性
を高めるべくNi:≦3.0%,V:0.05〜2.0
%の1種又は2種を選択元素として添加することができ
る(請求項2)。
【0022】本発明においては、更に必要に応じてN
b:0.02〜2.0%,Ta:0.02〜2.0%の
1種又は2種を選択元素として添加することができる
(請求項3)。これらNb,Taを添加することによっ
て鋳鋼品の表面を火炎焼入れ処理(フレームハード処
理)したときに、結晶粒の粗大化による靭性の劣化を抑
制することができる。
【0023】而して火炎焼入れ処理を施しても結晶粒の
粗大化による靭性の低下が少ないため、焼入れ・焼戻し
後の金型に対しても火炎焼入れ処理を施すことができ、
金型の寿命を向上せしめることができる。
【0024】或いはまた、本発明では選択元素としてT
e,Pb,Se,Biを必要に応じて上記所定範囲で添
加することができる(請求項4)。これにより被削性を
更に高めることができる。
【0025】本発明の冷間工具鋼鋳鋼品の場合、鋳造後
に先ず切削加工を行い、その後に焼入れ・焼戻し処理し
た上で最終的に研磨加工等の機械仕上加工を行うことが
可能であるが、本発明の鋳鋼品は被削性が優れているこ
とから、鋳造後に切削加工を行うことなく焼入れ・焼戻
し処理し、その後において切削加工,研磨加工等機械加
工をまとめて行うことができ、金型等工具製造のための
機械加工の工程を複数に分けることなく1つにまとめた
工程として行うことが可能である。
【0026】本発明において、金型等工具を製造するに
際しては鋳造後にγ単相域でソーキング処理を施すのが
良い(請求項5)。このようなソーキング処理を施すこ
とにより、鋳造時に生じた粗大な一次炭化物を減少若し
くは消滅させることができ、靭性を向上させることがで
きる。
【0027】次に本発明における各化学成分の限定理由
を詳述する。 C:0.5〜1.2% Cは基地の硬さを高めるとともに高温焼戻しにより二次
炭化物を生成し、耐摩耗性を確保するために含有させ
る。但し0.5%より少ないと硬さを確保することがで
きず、また逆に過度に添加すると粗大な一次炭化物生成
の原因となり、靭性が低下するので1.2%を上限とす
る。
【0028】Si:≦3.0% Siはパーライト及びベイナイト焼入れ性の向上及び高
温焼戻し硬さを増大させるために含有させる。但し過度
に添加すると靭性が低下するので3.0%を上限とす
る。Siの望ましい含有量は0.5%以上である。
【0029】Mn:≦3.0% Mnはパーライト及びベイナイト焼入れ性の向上及びM
nSを生成させるための元素であるが、過度に添加する
と靭性が低下するので3.0%を上限とする。望ましい
添加量は0.5%以上である。
【0030】Cr:≦3.0% Crは焼入れ性及び高温焼戻し硬さを向上させるために
含有させる元素であるが、3.0%を超えると難固溶炭
化物(Cr)を形成してフレームハード性(火炎
焼入れ性)を低下させ、高硬度炭化物が多くなることに
よって被削性が低下するので3.0%を上限とする。望
ましい含有量は0.2%以上である。
【0031】2Mo+W:0.1〜8.0% Mo及びWはベイナイト焼入れ性を向上させ、また高温
焼戻し硬さを増大させるために含有させる元素で、0.
1%より少ないとベイナイト焼入れ性を向上させること
及び高温焼戻しで二次硬化させることができず、逆に
8.0%を超えると難固溶の一次炭化物量が増大して焼
入れ温度を上昇させ、火炎焼入れ硬さを低下させるの
で、その含有量を0.1〜8.0%とする。
【0032】S:0.05〜0.4% Sは被削性を向上させるために含有させる元素で、0.
05%より少ないと被削性が改善されず、また0.4%
を超えると靭性,硬さ及び熱間加工性が低下するので、
その含有量を0.05〜0.4%とする。
【0033】Ca:0.0002〜0.02% MnSに固溶して鋳造ままの状態においてMnSを球状
化させて靭性の劣化を抑制し、被削性を向上させるため
に含有させる元素で、0.0002%より少ないとその
効果がなく、0.02%を超えると靭性が低下するの
で、その含有量を0.0002〜0.02%とする。
【0034】Ni:≦3.0% Niは焼入れ性を向上させるために選択元素として含有
させる元素であるが、3.0%を超えると残留オーステ
ナイトが増加して必要な硬さを確保するのが困難とな
り、また靭性も低下するので3.0%を上限とする。望
ましい含有量は0.5%以上である。
【0035】V:0.05〜2.0% Vは高温焼戻し硬さを増大し結晶粒の粗大化を防止する
ために選択元素として含有させる元素で、0.05%よ
り少ないと結晶粒の粗大化を防止する効果はなく、また
2.0%を超えると難固溶の一次炭化物量が増大して焼
入れ温度を上昇させ、靭性が低下するので含有量を0.
05〜2.0%とする。
【0036】Nb:0.02〜2.0% Ta:0.02〜2.0%これらは結晶粒の成長を抑制
するために選択元素として含有させる元素で、0.02
%より少ないと結晶粒の抑制効果がなく、また2.0%
を超えると難固溶の一次炭化物量が増大して焼入れ温度
を上昇し、火炎焼入れ硬さ及び被削性が低下するので、
その含有量を0.02〜2.0%とする。
【0037】Te:≦0.05% MnTeを形成し被削性を向上させるために含有させる
元素であり、必要に応じて添加することが可能である。
但し0.05%を超えると靭性及び熱間加工性が低下す
るので上限値を0.05%とする。望ましい含有量は
0.005%以上である。
【0038】Pb:≦0.50% 被削性を向上させるために添加する元素であり、必要に
応じて添加することが可能である。但し0.50%を超
えると熱間衝撃性を悪くするので上限値を0.50%と
する。望ましい含有量は0.05%以上である。
【0039】Se:≦0.20%被削性を向上させるた
めに添加する元素であり、必要に応じて添加することが
可能である。但し0.20%を超えると靭性を低下させ
るので上限を0.20%、望ましくは0.10%とす
る。一方望ましい下限値は0.01%である。
【0040】Bi:≦0.20% 被削性を向上させるために選択元素として添加する元素
であるが、0.20%を超えると靭性を低下させるので
上限を0.20%とする。望ましい含有量は0.04%
以上である。
【0041】
【実施例】次に本発明の実施例を以下に詳述する。表1
に示す化学組成の鋼を高周波誘導過熱により溶解した
後、図2に示す順に各処理を行った。即ち先ず各鋼の溶
湯をJIS G 0307に従って舟形に鋳造成形して
試験片素材(鋳造成形体)を得、その後700℃×5h
の条件で焼きなまし処理を行った。尚一部のものについ
ては1200℃×4hの条件でソーキング処理を施した
後に焼きなまし処理を行った。
【0042】次に被削性試験片,シャルピー試験片(1
0Rノッチ),結晶粒径測定用試験片をそれぞれ粗加工
し、続いて焼入れ・焼戻し処理を行い、その後に硬さ測
定を行った。ここで焼入れ・焼戻し処理は焼入れ温度を
900℃,焼戻し温度を200〜600℃とし、HRC
50〜60を目標硬さとして各焼入れ・焼戻し処理を行
って各試験片を調質した。
【0043】尚一部については焼入れ・焼戻し処理に代
えて火炎焼入れに相当する短時間焼入れ試験を行い、そ
の後に結晶粒度測定を行った。ここで短時間焼入れの熱
処理条件は以下とした。 <熱処理条件> 焼入れ温度:800〜950℃ 保持時間:1〜10min 油冷
【0044】上記焼入れ・焼戻し後の試験片について、
次にそれらを以下の寸法に精加工した。 被削性試験片:幅50mm,厚さ40mm,長さ200mm シャルピー試験片:幅10mm,厚さ10mm,長さ55mm そしてシャルピー試験片を用いてシャルピー衝撃試験を
実施し、また被削性試験片にて被削性の評価試験を行っ
た。
【0045】ここで被削性の評価試験は超硬エンドミル
で切削を行い、逃げ面摩耗=0.3mmとなるまでの切削
長を測定し、S,Caを含有しない材料(表1中従来例
12のもの)の切削長を100とする指数で評価を行っ
た。尚試験条件は下記とした。
【0046】<試験条件> 工具:超硬エンドミル(UTi20T),1刃 切削幅:1mm 切削深さ:4.0mm 切削速度:100m/min 送り:0.035mm/刃 切削油:乾式 これらの結果が表1に併せて示してある。
【0047】
【表1】
【0048】表1の結果にみられるようにS,Caを添
加していない従来例12,13,14では、工具寿命が
100,150,155であって被削性が悪く、またシ
ャルピー衝撃値も低い値であって靭性も劣っている。
【0049】更にSの添加量が本発明の範囲以下の比較
例15のものは、Caを本発明の範囲内で含んでいるも
のの工具寿命が63と低く、被削性において劣ってい
る。またSの添加量が本発明の範囲内であるものの、C
aを複合添加していない比較例16のものは、シャルピ
ー衝撃値が6.8で靭性値が低いものとなっている。
【0050】またS,Caの何れをも添加していない比
較例18のものは、工具寿命が72で被削性が悪く、併
せてシャルピー衝撃値も3.9で靭性値の低いものとな
っている。同様にSを本発明の範囲を超えて過剰に添加
している比較例20もまた靭性値が低く、更に被削性も
それ程高くない。
【0051】これに対しS,Caを複合添加して成る本
実施例のものは、何れもシャルピー衝撃値が10J/cm
以上であって靭性に優れており、また工具寿命は何れ
も175以上であって良好な被削性を有している。
【0052】表1の結果は、また、実施例1と実施例2
との比較から分かるようにソーキング処理を行うことに
よって靭性が向上し、また工具寿命も向上することを示
している。
【0053】本発明の鋳鋼品の場合、被削性が良好であ
ることから焼入れ・焼戻し処理後において切削加工等機
械加工を行って最終の工具形状とすることが可能であ
る。但しそのような焼入れ・焼戻しを行う以前の焼きな
まし状態で切削等機械加工を行えば加工性の良好な状態
で加工を行うことができる。
【0054】従来にあっては、焼入れ・焼戻し処理を行
う以前に切削等の加工を行うのが通例である。即ち、焼
入れ・焼戻し処理を施して成る比較例18の場合、工具
寿命が72と低く被削性が悪いのに対して、同じ組成の
比較例19の場合、焼入れ・焼戻し処理を行っていない
ことから工具寿命が380であって、被削性は焼入れ・
焼戻し後のそれに比べて良好であり、このことから従来
では焼入れ・焼戻し処理前に切削等加工を行っている。
【0055】本発明においても焼入れ・焼戻し処理を行
う以前に切削加工を行えば、実施例2と実施例3との比
較から明らかなように被削性が高い状態の下で加工を行
うことができる。
【0056】この焼入れ・焼戻し前の被削性の値は、実
施例3と比較例17又は19との比較から明らかなよう
に本実施例の方が格段に勝っている。即ち実施例3の場
合被削性が指数で950であるのに対し、比較例17で
は450、比較例19では380であり、本実施例の鋳
鋼品が高い被削性を有していることを示している。
【0057】表1中実施例5〜11はNb又はTa或い
はその両方を添加したもので、これら実施例の場合、そ
れら成分の添加によって結晶粒の成長,粗大化が抑制さ
れていることから、火炎焼入れ処理(フレームハード処
理)を行ったときの結晶粒度が小さく、Nb,Taを添
加することによって火炎焼入れ時の結晶粒の粗大化を防
止して型寿命を延ばすことが可能であることが分かる。
【0058】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って快削成分であるSをCaと複合
添加した場合のMnSの析出形態をS単独で添加した場
合と比較して示した図である。
【図2】本発明の実施例の処理工程を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C :0.5〜1.2% Si:≦3.0% Mn:≦3.0% Cr:≦3.0% 2Mo+W:0.1〜8.0% S :0.05〜0.4% Ca:0.0002〜0.02% を含有し、残部が実質的にFeであることを特徴とする
    被削性に優れた冷間工具鋼鋳鋼品。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の冷間工具鋼鋳鋼品お
    いて、更にNi又はVの1種又は2種を Ni:≦3.0% V :0.05〜2.0% で含有することを特徴とする被削性に優れた冷間工具鋼
    鋳鋼品。
  3. 【請求項3】 請求項1,2の何れかに記載の冷間工
    具鋼鋳鋼品において、更にNb又はTaの1種又は2種
    を Nb:0.02〜2.0% Ta:0.02〜2.0% で含有することを特徴とする被削性に優れた冷間工具鋼
    鋳鋼品。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の冷間工具
    鋼鋳鋼品において、更にTe,Pb,Se,Biの1種
    又は2種以上を、 Te:≦0.05% Pb:≦0.50% Se:≦0.20% Bi:≦0.20% で含有することを特徴とする被削性に優れた冷間工具鋼
    鋳鋼品。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の冷間工具
    鋼鋳鋼品の製造方法であって、 所定形状に鋳造後において、γ単相域でソーキング処理
    を施すことを特徴とする被削性に優れた冷間工具鋼鋳鋼
    品の製造方法。
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