JP2019019374A - 焼入れ性および靱性に優れた熱間工具鋼 - Google Patents

焼入れ性および靱性に優れた熱間工具鋼 Download PDF

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【課題】 大型製品の鍛造用金型に使用され、金型の中心部まで焼きが入り易く、靭性が高く、かつ靭性の異方性の小さい熱間工具鋼を得る。【解決手段】 質量%で、C:0.37〜0.45%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.6〜1.5%、Ni:0.3〜1.0%、Cr:1.0〜2.0%、Mo:1.1〜1.4%、V:0.1〜0.3%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼からなり、さらに、合金成分の式L=−0.4×Si−9.7×Mn+3.7×Ni+54.4×Moとするとき、式Lの値は54〜65であり、かつ、合金成分の式Y=−17.1×C+0.1×Si+0.2×Mn+0.2×Ni+0.5×Cr+Mo+5.0とするとき、式Yの値は0.0以上であること、を特徴とする、焼入れ性および靱性に優れた熱間工具鋼である。【選択図】 なし

Description

本発明は、特に大型製品の鍛造に使用される金型において、金型中心まで焼きが入り易く、靭性が高く、かつ、靭性の異方性が小さい熱間工具鋼に関する。
鍛造に使用する熱間工具鋼からなる金型は、大割れが発生してしまうと使用できなくなる。そこで、このような鍛造用の金型に使用される熱間工具鋼には、靭性が求められている。さらに、熱間工具鋼を大形の金型に適用する場合は、熱間工具鋼に、金型の中心部まで十分に焼入れできる焼入れ性も求められる。ただし、焼入れ性を十分に確保可能とするために鋼中の合金元素を増やすと、硬さや焼入れ性は向上するものの、合金偏析を助長してしまうので、靱性が悪化する。また、鋼中に偏析が助長されると材料中に異方性が生じることから、金型を割り出す方向において、強度が弱い箇所が生じてきてしまう。
従来から熱間鍛造の金型に使用される材料として、JIS規格のSKD61の鋼種や同じくJIS規格のSKT4の鋼種が使用されている。しかし、SKD61は高い焼入れ性を有するが、靭性の異方性が大きく、またSKT4は高靭性であり靭性の異方性が小さいが焼入れ性が低い。そのため、これらの鋼種は高い焼入れ性と、高靭性および靭性の異方性が小さい特性とを兼ね備えた鋼種とはいえないものであった。
ところで、従来から、鍛造金型用の熱間工具鋼において、靱性に優れた鋼種としての発明が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照。)。しかし、これらの発明には、鋼材の均質性や焼入れ性の確保のための制限がなく、したがって靭性の異方性が大きくなる場合や、金型の中心部まで十分に焼きが入らず靭性の低下が生じてしまうので、大型の鍛造用の金型に適用するための熱間工具鋼としては未だ十分なものとはいえないものであった。
また他にも、優れた耐摩耗寿命を得ることを可能にする靭性、延性のレベルが高く、かつ方向性の少ない等方性を備えた熱間加工用工具鋼(例えば、特許文献4参照。)や、優れた靱性を有する熱間工具鋼(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。
しかし、合金元素が多くかつ靭性に優れている特性を得ることを目的として、介在物量を制限するための特殊な操業やソーキング熱処理といった、通常より多くの作業や工程を必要とすることで、鍛造金型用の熱間工具鋼として必要な靱性の均質性を確保しなければならず、そうした製造には、手間もコストもかかるといった問題があった。
特開2016−166379号公報 特開平04−358040号公報 特開2013−213255号公報 特公平07−65141号公報 特開2015−193867号公報
本発明が解決しようとする課題は、大型製品の鍛造に使用される金型に適した、その中心部まで焼きが入り易く、靭性が高く、かつ、靭性の異方性が小さい特性を兼ね備えた熱間工具鋼を提供することである。
上述の課題を達成するために、発明者は鋭意開発を進めた結果、本願の請求項に示す化学成分からなる合金成分範囲および合金成分式L及びYを満足することで、高い焼入れ性と、高い靭性および靭性の異方性が小さい特性を兼ね備えた熱間工具鋼が得られることを見出した。
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、質量%で、C:0.37〜0.45%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.6〜1.5%、Ni:0.3〜1.0%、Cr:1.0〜2.0%、Mo:1.1〜1.4%、V:0.1〜0.3%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼であって、
さらに、合金成分の式L=−0.4×Si−9.7×Mn+3.7×Ni+54.4×Moとするとき、式Lの値が54〜65であり、
かつ、合金成分の式Y=−17.1×C+0.1×Si+0.2×Mn+0.2×Ni+0.5×Cr+Mo+5.0とするとき、式Yの値が0.0以上であること、を特徴とする、焼入れ性および靱性に優れた熱間工具鋼である。
ただし、上記の式Lおよび式Yでは、その式中の[各元素記号]の文字の部分には、各成分元素の量を%表記で示す際の数値のみを代入して値を求めるものとする。
また、上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、1030℃に加熱し、連続冷却したときのベイナイト変態の開始ノーズ時間が60分以上であることを特徴とする、本発明の第1の手段に記載の熱間工具鋼である。
上記の手段とすることで、本願の発明は、大型製品の鍛造用の金型に適用した場合であっても、その金型の中心部まで焼きが入り易く、しかも靭性が高く、かつ、靭性の異方性が小さい、熱間工具鋼を得ることができる。
ここで、本願の発明を実施するための形態を以下に実施例を通じて説明する。その説明に先立って、まず、本願の手段の成分組成および式Lおよび式Yについての限定理由について詳述する。成分は、すべて質量%で記載する。
C:0.37〜0.45%
望ましくは、0.39〜0.43%
Cは、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに焼入れ性を高める成分である。Cが0.37%より低すぎると、硬さ、耐磨耗性、焼入れ性において十分な効果が得られない。もっとも、Cが0.45%より多すぎると、粗大な炭化物を形成し靱性を悪化させる。そこで、Cは0.37〜0.45%とする。さらに、焼入れ性が高くかつ靱性を悪化させないために、望ましくはCは0.39〜0.43%とするとよい。
Si:0.3〜1.2%
望ましくは、0.4〜1.1%
Siは、脱酸剤であり、基地の硬さを得るための成分であり、また切削時に工具表面に付着して酸化皮膜を形成し、工具の焼付きを抑制する。Siが0.3%より低すぎると、硬さや焼付き抑制といった効果が十分に得られない。もっともSiが1.2%より多すぎると、固溶強化が進み、靭性が悪化する。そこで、Siは0.3〜1.2%とする。さらに、硬さや焼付き抑制といった効果をより得るには、望ましくは、Siは0.4〜1.1%とするとよい。
Mn:0.6〜1.5%
望ましくは、0.7〜1.4%
Mnは、脱酸剤であり、焼入れ性を得るための成分である。Mnが0.6%より低すぎると、十分な焼入れ性を得ることができない。もっとも、Mnが1.5%より多すぎると、マトリックスを脆化させ、靭性が悪化する。そこで、Mn:0.6〜1.5%とする。さらに、靱性を悪化させることなく、焼入れ性を十分に得るには、望ましくは、Mnは0.7〜1.4%とするとよい。
Ni:0.3〜1.0%
望ましくは、0.5〜0.9%
Niは焼入れ性、靭性を得るための成分である。Niが0.3%より低すぎると、十分な焼入れ性と靱性が得られなくなる。もっとも、Niが1.0%より多すぎると、焼なましがされにくくなり、焼なまし時にミクロ組織が部分的に(フェライト+球状炭化物)+ベイナイト混晶組織になり、合金元素の分布が不均一となるので、被削性が低下することとなる。そこで、Niは0.3〜1.0%とする。さらに、焼入れ性と靱性を十分に得つつ、被削性を低下させないようにするには、望ましくは、Niは0.5〜0.9%とするとよい。
Cr:1.0〜2.0%
望ましくは、1.2〜1.8%
Crは、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに焼入れ性を高める成分である。Crが1.0%より低すぎると、その効果を十分に得ることができなくなる。他方、Crが2.0%より高すぎると、粗大な炭化物を形成し靭性や軟化抵抗性が悪化する。そこで、Crは1.0〜2.0%とする。さらに、硬さ、耐磨耗性を向上させ、十分に焼入れ性を高めつつ、靱性や軟化抵抗性を悪化させないためには、望ましくは、1.2〜1.8%とするとよい。
Mo:1.1〜1.4%
Moは、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性を高める成分である。Moが1.1%より低すぎると、その効果を十分に得ることができなくなる。他方、Moが1.4%より高すぎると、粗大な炭化物を形成し、靭性が悪化してしまう。そこで、Moは、1.1〜1.4%とする。
V:0.1〜0.3%
望ましくは、0.1〜0.2%
Vは、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに、焼入れ時の結晶粒の粗大化を抑制する効果があり靭性の向上に寄与する成分である。Vが0.1%より低すぎると、その効果を十分に得ることができない。他方、Vが0.3%より高すぎると、粗大な炭窒化物を形成し靭性、被削性が悪化してしまう。そこで、Vは、0.1〜0.3%とする。さらに、硬さ、耐磨耗性を向上させつつ、靱性を向上させ、被削性を悪化させないためには、望ましくは、0.1〜0.2%とするとよい。
式L:L=−0.4×Si−9.7×Mn+3.7×Ni+54.4×Mo
Lの値:54〜65
ただし、上記の式Lでは、その式中の[各元素記号]の文字の部分には、各成分元素の量を%表記で示す際の数値のみを代入して値を求めるものとする。
この式Lの値は、靭性および靱性の等方性を表している。成分元素のSi、Mnが増えすぎると、素地の靭性が低下してくる。そこで、靭性向上に効果のあるNi、Moの成分組成比を上げることで靭性は向上させることができるが、増やしすぎると成分偏析が顕著になりやすいので、L方向/T方向の靭性差が大きくなってしまう。そこで、Lの値を45〜65とすることで、素地の靭性が高く、L方向/T方向の靭性差の小さい鋼種が得られることとなる。
式Y:Y=−17.1×C+0.1×Si+0.2×Mn+0.2×Ni+0.5×Cr+Mo+5
Yの値:0.0以上
ただし、上記の式Yでは、その式中の[各元素記号]の文字の部分には、各成分元素の量を%表記で示す際の数値のみを代入して値を求めるものとする。
この式で求められるYの値は、焼入れ性を表す。0.0以上とすることで、焼入れ性を向上させる各元素量が多くなり、大形の金型でも中心部まで十分焼入れできる焼入れ性を確保することができる。Cは多くなると焼入れ性を向上させる元素の一部と結合して炭化物を形成し、焼入れ性を低下させるので、この式Yの値を0.0以上とすることで、焼入れ性を確保した適切な鋼を得ることができる。
1030℃に加熱し、連続冷却したときのベイナイト変態の開始ノーズ時間が60分以上
連続冷却したときのベイナイト変態の開始ノーズ時間は、時間が長いほど焼入れ性に優れていることを示している。大形の金型でも中心部まで十分焼きが入る焼入れ性を確保し、中心部の靭性低下が起こらないようにするためには、焼入れ性が高いJIS鋼種のSKD61と同等以上であることが望ましい。SKD61では、1030℃に加熱し、連続冷却したときのベイナイト変態の変態開始ノーズ時間は60分である。そこで、1030℃に加熱し、連続冷却したときのベイナイト変態の開始ノーズ時間を60分以上とした。
表1のNo.1〜24に、本願の発明鋼の供試材として、各化学成分および残部Feからなる鋼材の成分組成を、表1のNo.25〜41に比較鋼の供試材の各化学成分および残部Feからなる鋼材の成分組成を示す。これらの成分組成の鋼材100kgを、それぞれ供試材として真空誘導溶解炉にて溶製し、これら溶製した鋼材をそれぞれ縦60mmと横60mmからなる角材に鍛伸し、これらの鍛伸した角材をシャルピー衝撃試験および焼入れ性の評価のために用いる角材とした。なお、表1には、式Lおよび式Yの計算結果の値も示している。
Figure 2019019374
次いで、靭性を評価する試験片は次のようにして準備した。まず、上記の角材を60mmの長さに切断し、950℃に30分加熱した後、油冷により焼入れを行った。
その後、500〜600℃に1時間加熱し、次いで空冷する焼戻し処理を2回繰り返すことで、47HRCに調質した。
これらの焼入れ焼戻し処理を行った角材の中心部から、角10mm、長さ55mmのシャルピー衝撃試験片を鍛伸方向(以下、「L方向」という。)およびL方向の直角方向(以下、「T方向」という。)を割出して、2mmUノッチの試験片に加工し、これらの試験片を用いて常温でシャルピー衝撃値を測定した。
一般に熱間鍛造に使用される工具鋼であるJIS鋼種のSKD61では、焼入れ焼戻し硬さが47HRC、L方向の衝撃値が38J/cm2、およびT方向の衝撃値が28J/cm2が得られる。
そこで、下記の表2において、本願の発明鋼および比較鋼における、L方向およびT方向の衝撃値が共に40J/cm2以上であれば十分な靱性が有るとして靱性値評価の欄に○と表記し、L方向またはT方向の衝撃値のどちらかが40J/cm2より低ければ十分な靱性が得られない低靭性として靱性値の評価の欄に×と表記した。
さらに、一般にJIS鋼種のSKD61は、L方向とT方向の靭性比(すなわち、T方向の衝撃値/L方向の衝撃値)は0.7である。そこで、表2において、本願の発明鋼および比較鋼における、L方向とT方向の靭性比が0.8以上であれば異方性が小さいとして衝撃値の評価欄に○と表記し、L方向とT方向の靭性比が0.8未満であれば異方性が大であるとして衝撃値の評価欄に×と表記した。
一方、本願の発明鋼および比較鋼における、焼入れ性を評価する試験片は、上記した縦60mmと横60mmからなる角材に鍛伸した、その角材の中心部から直径3mm×長さ10mmの鋼材を割り出して作製し、1030℃で30分のオーステナイト化条件により、熱膨張法により連続冷却時のベイナイト変態の開始ノーズ時間を分単位で測定し、表2において、焼入れ性(分)と記載した。そして、本願の発明鋼および比較鋼におけるベイナイト変態の変態開始ノーズ時間が60分以上であれば焼入れ性が良いとして焼入れ性の評価欄に○と表記し、ベイナイト変態開始ノーズ時間が60分未満であれは焼入れ性が悪いとして焼入れ性の評価欄に×と表記した。
Figure 2019019374
表1および表2に示す本願発明の実施例であるNo.1〜24の発明鋼は、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Vの化学成分の範囲がそれぞれ請求項1に規定する範囲内であり、靱性および靱性の等方性を表す式Lの値が54〜65の範囲内であり、焼入れ性を表す式Yの値が0.0以上であるので、試験片の鍛伸方向であるL方向のシャルピー衝撃値が40J/cm2以上でかつ鍛伸方向に直角方向であるT方向のシャルピー衝撃値が40J/cm2以上で衝撃値の評価が○であり、L方向とT方向の靱性比が0.8以上で靱性値の評価が○であり、ベイナイト変態の変態開始ノーズ時間が60分以上であり焼入れ性の評価が○である。
以上に対して、表1および表2に示す比較鋼においては、
No.25は、Cの含有量が本願発明の範囲の0.45%よりも高Cのため、粗大な炭窒化物が増えて低靭性でかつ式Yの値が−1.9で0.0未満であり、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が55分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×であって、焼入れ性が悪い。
No.26は、Cの含有量が本願発明の範囲の0.37%より低く低Cであるため、式Lの値が66と65より大となり、L方向とT方向の靱性比が0.7で異方性大きく、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が58分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×で焼入れ性が悪い。
No.27は、Siの含有量が2.0%と本願発明より高Siのため、L方向とT方向の衝撃値の値が低く、衝撃値の評価が×と悪い。
No.28は、Siの含有量が0.1%と低Siのため、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が57分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×で焼入れ性が悪い。
No.29は、Mnの含有量が2.0%と本願発明より高Mnのため、L方向とT方向のシャルピー衝撃値が共に40J/cm2より低く、衝撃値評価が×である。
No.30は、Mnの含有量が0.3%と本願発明より低Mnであり、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が25分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×で焼入れ性が悪い。
No.31は、Niの含有量が1.5%と本願発明より高Niであり、式Lの値が70と本願発明より大となり、L方向シャルピー衝撃値の41J/cm2に比してT方向シャルピー衝撃値が28J/cm2と低く、異方性が大きく、衝撃値評価が×であり、L方向とT方向の靱性比が0.7で靱性値の評価が×と悪い。
No.32は、Niの含有量が0.0%と本願発明より低Niであり、L方向シャルピー衝撃値とT方向シャルピー衝撃値が共に本願発明より低く、衝撃値の評価が×である。
No.33は、Crの含有量が5.0%と本願発明より高Crであり、式Lの値が本願は積みよりやや高く、L方向シャルピー衝撃値およびT方向シャルピー衝撃値に異方性がありかつ共に値が低く、衝撃値の評価が×である。また、L方向とT方向の靱性比が0.7であり、靱性値の評価が×と悪い。
No.34は、Crの含有量が0.5%と本願発明より低Crであり、L方向とT方向のシャルピー衝撃値の異方性があり、衝撃値の評価は×であり、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が33分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×で焼入れ性が悪い。
No.35は、Moの含有量が2.0%と本願発明より高Moであり、粗大な炭窒化物が増え、式Lの値が103と本願発明より大となり、靭性比が0.3と低くなって異方性大きい。
No.36は、Moの含有量が0.6%と本願発明より低Moであり、式Lの値が23と小となり、L方向およびT方向シャルピー衝撃値が40J/cm2より小さく、衝撃値の評価が×であり、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が44分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×で焼入れ性が悪い。
No.37は、Vの含有量が1.0%と本願発明より高Vであり、L方向とT方向のシャルピー衝撃値の異方性があり、衝撃値の評価は×であり、粗大な炭窒化物が増え、低靭性であり、L方向とT方向の靱性比が0.7で靱性値の評価が×と悪い。
No.38は、Vの含有量が0.0%と本願発明より低Vであり、結晶粒大となり、L方向およびT方向シャルピー衝撃値が40J/cm2より小さく、衝撃値の評価が×であり、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が57分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×で焼入れ性が悪い。
No.39は、式Lの値が77と本願発明より大であり、T方向の衝撃値が35J/cm2と異方性があり、衝撃値の評価が×であり、靭性比が0.7で靱性値の評価が×と悪い。
No.40は、式Lの値が53と本願発明よりやや大であり、L方向シャルピー衝撃値とT方向シャルピー衝撃値が共に本願発明より低く、衝撃値の評価が×である。
No.41は、式Yの値が−0.1と0.0未満であり、焼入れ性のベイナイト変態開始ノーズ時間が45分と60分未満であり、焼入れ性の評価が×で焼入れ性が悪い。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.37〜0.45%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.6〜1.5%、Ni:0.3〜1.0%、Cr:1.0〜2.0%、Mo:1.1〜1.4%、V:0.1〜0.3%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼であって、
    さらに、合金成分の式L=−0.4×Si−9.7×Mn+3.7×Ni+54.4×Moとするとき、式Lの値は54〜65であり、
    かつ、合金成分の式Y=−17.1×C+0.1×Si+0.2×Mn+0.2×Ni+0.5×Cr+Mo+5.0とするとき、式Yの値は0.0以上であること
    (ただし、上記の式Lおよび式Yでは、その式中の[各元素記号]の文字の部分には、各成分元素の量を%表記で示す際の数値のみを代入して値を求めるものとする。)
    を特徴とする、焼入れ性および靱性に優れた熱間工具鋼。
  2. 1030℃に加熱し、連続冷却したときのベイナイト変態の開始ノーズ時間が60分以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱間工具鋼。
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