JP2596223Y2 - 電気掃除機の吸込口体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、回転清掃体を有する
電気掃除機の吸込口体に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、底面に開口する吸込口が形成され
た吸込室を有し、吸込室には、回転軸部から放射状に延
びる複数枚のブレードを有すると共に吸込口に臨んで回
転自在に軸支された回転清掃体が装着された電気掃除機
の吸込口体が知られている。

【０００３】図５に示す回転清掃体１は、回転軸部２を
中心に直交する四方に断面十字形に延びて形成された四
枚のブレード３を有しており、同時に、回転軸部２の両
端に取り付けられて回転軸部２を固定保持する両受け部
材４（他方図示せず）間には、各ブレード３間に位置さ
せて、回転軸部２の周囲に位置すると共に回転軸部２に
沿うシャフト５が掛け渡されている。

【０００４】ところで、回転清掃体１のブレード３は、
清掃面に当たって清掃面の塵埃を掻き上げる際に、清掃
面を傷つけたりしないようにするために、軟質の樹脂等
の弾性体から形成されていてるのが普通である。従っ
て、上述のように、回転軸部２とブレード３を一体に形
成した場合、ブレード３を軟質の樹脂等の弾性体からす
ると、回転軸部２もブレード３と同じ軟質の樹脂等の弾
性体から形成されることになる。

【０００５】そして、この回転清掃体１による清掃時に
は、例えば回転清掃体１の回転に伴って回転軸部２の長
手方向中央部に遠心力が作用して、回転軸部２が外側に
向って弧を描くように撓もうとする。

【０００６】従って、上述のシャフト５を設けない場合
において、回転軸部２を上述のようにブレード３と同じ
軟質の樹脂等の弾性体から形成すると、回転軸部２は径
が小さくなるほど上述の遠心力によってより中央が大き
く撓み変形させられることになる。

【０００７】しかし、上述の４本のシャフト５は、図５
から明らかな如く、各ブレード３，３の基端部間に位置
して、回転軸部２が軸線と交差する方向に撓むのを防止
可能としている。

【０００８】この結果、回転清掃体１による清掃時に、
回転軸部２が遠心力により軸線と交差する方向への曲げ
変形力を受けても、４本のシャフト５がこの曲げ変形力
を受けて、回転軸部２が軸線と交差する方向に撓み変形
するのを防止して、ブレード３が長手方向全体において
清掃面に撓んで密着することが可能となる。

【０００９】即ち、上述のように４本のシャフト５で回
転軸部２の軸線と交差する方向への撓み変形を阻止する
ようにすることにより、回転軸部２を太くせずに回転時
の回 転軸部２の軸線と交差する方向への撓み防止が可能
とできる。この結果、回転軸部２を細くしても、回転清
掃体１の回転による清掃時に、回転軸部２が軸線と交差
する方向に撓むことなく、ブレード３全面を被清掃面に
密着させることが可能となる。故に、回転軸部２の径を
小さくして、回転清掃体１の小型化を図っても、この様
にシャフト５を設けることにより、ブレード３の十分な
掻き出し機能を確保できる。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】この様なシャフト５の
剛性力は、その断面積（太さ）や材質等によって異な
り、材質が同じであれば直径を大きくして断面積を大き
くすることにより大きくなる。従って、回転清掃体１の
回転による清掃時に、回転軸部２が軸線と交差する方向
への撓み変形力を遠心力により受けたときに、この回転
軸部２の軸線と交差する方向への撓み変形をシャフト５
で行うには、シャフト５の直径を太くすればよい。しか
し、この場合には、受け部材４が大きくなって、回転清
掃体１全体の小型化に反し、好ましくない。

【００１１】また、シャフト５の直径をあまり大きくせ
ずに、回転清掃体１の回転時の回転軸部２の撓み防止を
より確実にするためには、回転軸部２を極力太くする必
要がる。しかし、回転軸部２を太くすればする程回転清
掃体１全体の小型化に反してしまうという問題点があっ
た。

【００１２】この考案は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、回転軸部を太く
することなく回転清掃体全体の小型化を図りつつ、回転
清掃体の回転による清掃時に、回転軸部が軸線と交差す
る方向に撓むのをより確実に防止することができる電気
掃除機の吸込口体を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この考案に係る電気掃除機の吸込口体は、吸込室が
設けられ且つ前記吸込室の吸込口が底面に開口させられ
た吸込口本体と、前記吸 込室内に配設された回転清掃体
を備え、前記回転清掃体は、前記吸込口に沿って前記吸
込室に配設された可撓性材料からなる回転軸部と、前記
回転軸部に沿う方向及び放射方向に延び且つ前記可撓性
材料から前記回転軸部と一体に形成された可撓性のブレ
ードと、前記回転軸部の前記両端部を前記吸込口本体の
両端部に回転自在に支持する一対の受け部材と、前記回
転軸部に沿って配設されたシャフトとを備える電気掃除
機の吸込口体において、前記回転軸部の両端部は前記一
対の受け部材に固定保持され、前記シャフトは前記回転
軸部及び前記ブレードに前記回転軸部の軸線方向への引
っ張り張力を付与可能に前記一対の受け部材間に押し縮
められた状態で掛け渡されて撓み変形させられることを
特徴とする。

【００１４】

【作用】上記構成を有する電気掃除機の吸込口体によ
り、回転清掃体の回転に伴って回転軸部及びシャフトの
長手方向中央部に遠心力が作用し、回転軸部及びシャフ
トが外側に向って弧を描くように撓もうとする。しか
し、直線状に伸長しようとするシャフトの弾性力は、シ
ャフトの中央を外側に撓ませようとする力に抗してシャ
フトの撓みを防止する。また、両受け部材は撓み変形さ
せたシャフトにより回転軸部を軸線方向に引っ張っるこ
とで、回転による遠心力の作用によっては回転軸部の中
央部が撓みにくくしているので、回転軸部を太くするこ
となく回転清掃体全体の小型化を図りつつ、回転清掃体
の回転時の撓みを防止することができる。

【００１５】

【実施例】以下、この考案に係る電気掃除機の吸込口体
の実施例を図面を参照しつつ説明する。

【００１６】図１に示す電気掃除機の吸込口体１０は、
吸込口本体１１に形成された吸込室１２を有しており、
吸込室１２には、図示しない駆動源により回転駆動され
る回転清掃体１３が装着されている。

【００１７】吸込室１２は、吸込口本体１１内部に形成
されており、吸込口本体１１の底面１１ａに開口する吸
込口１４を有している。この吸込室１２は、吸込口本体
１１の後端辺に突設された連結部１５に連通しており、
連結部１５に延長パイプ及び連結ホース（図示せず）を
連結することにより、吸込室１２を経て吸込口１４から
掃除機本体の集塵室（図示せず）に続く連通路が形成さ
れる。

【００１８】なお、底面１１ａの前端部両側には前輪１
６ａが、後端部両側には後輪１６ｂが、それぞれ装着さ
れており、底面１１ａの略中央には一対の駆動輪１７が
装着されている。

【００１９】回転清掃体１３は、図１に示すように、吸
込口本体１１の吸込口１４に沿って左右に配設されてい
る。また、回転清掃体１３は、図２に示したように、回
転軸部１８と、この回転軸部１８から放射状に延びる４
枚のブレード１９を有している。この回転軸部１８と４
枚（複数）のブレード１９は可撓性材料から一体に形成
されている。尚、回転軸部１８は図１の吸込口１４に沿
って配設される。

【００２０】回転軸部１８は、ブレード１９よりも若干
長く形成されており、ブレード１９の両端から外側に突
出する突出端１８ａを有している。この回転軸部１８両
端の直径位置には、後述する係止凹所２８に係止する一
対の係止突起２０が形成されている（図３参照）。ブレ
ード１９は、回転軸部１８を中心に直交する四方に断面
十字形に延びる薄板状により形成されている。

【００２１】また、回転清掃体１３は、図２に示したよ
うに、回転軸部１８の長手方向両端部に配設された受け
部材２１，２１と、回転軸部１８の周囲に配設した四本
の金属製シャフト２２を有する。この四本の各金属製シ
ャフト２２は、回転軸部１８に沿って配設されていると
共に、隣接するブレード１９，１９の基端部間にそれぞ
れ配設されている。

【００２２】シャフト２２は、回転軸部１８と略同一の
外径を有しており、ブレード１９よりも長く形成される
ことにより、両端をブレード１９の外側に突出させてい
る（図３参照）。

【００２３】受け部材２１は、図３，図４に示したよう
に、一端側に拡径部２２を有する円柱状体からなる。こ
の拡径部２２には、一端側に開口する凹部２２ａが設け
られている。この凹部２２ａには回動部材２３が回動自
在に組み込まれ（装着され）ている（図４参照）。この
様に回動部材２３は受け部材２１に組み込まれて、回動
部材２３の外端面は受け部材２１の一端面２１ａを形成
している。

【００２４】この回動部材２３の一端面２１ａには軸受
２４が突設され、受け部材２１には 連結軸２５が同軸に
固定されている。この連結軸２５の一端部は拡径部２２
の端から突出していて、この連結軸２５の一端部に回動
部材２３が回動自在に保持されている。２１ｂは受け部
材２１の他端面である。

【００２５】また、受け部材２１の他端部には、他端面
２１ｂの中央に開口する軸部凹所２６と、軸部凹所２６
に隣接して他端面２１ｂに開口する４つのシャフト凹所
２７が形成されている。この４つのシャフト凹所２７
は、軸部凹所２６の周囲に９０°の間隔をおいて形成さ
れている。この軸部凹所２６は回転軸部１８の突出端１
８ａを挿入嵌合させるのに用いられ、シャフト凹所２７
はシャフト２２の先端を挿入嵌合させるのに用いられ
る。

【００２６】軸部凹所２６の奥部には、係止突起２０を
係止させる一対の係止凹所２８が形成されている。シャ
フト凹所２７の深さは、シャフト２２のブレード１９か
らの突出長さよりも短く形成されている（図３参照）。

【００２７】そして、回転軸部１８の突出端１８ａが軸
部凹所２６に挿入嵌合されている。 また、この突出端１
８ａに設けた係止突起２０は、突出端１８ａが軸部凹所
２６に挿入嵌合される際に、軸部凹所２６によって圧迫
変形させられて係止凹所２８の位置まで移動させられ、
係止凹部２８に臨んだときに原形に復帰して、係止凹所
２８に係止されることとなる。この係止状態で回転軸部
１８の突出端１８ａを軸部凹所２６に接着剤等を用いて
固着させることで、回転軸部１８と受け部材２１は一体
化される。しかも、シャフト２２の両端がシャフト凹所
２７に嵌合装着されていると共に、回転軸部１８の突出
端１８ａが軸部凹所２６に嵌合装着されている。

【００２８】この様にして、回転軸部１８と四本のシャ
フト２２は、回転軸部１８の両側に装着した両受け部材
２１，２１間に挟み込まれる様に配置されている（図４
参照）。

【００２９】更に、この様に回転軸部１８と四本のシャ
フト２２を図２の如く両受け部材２１，２１により挟み
込んだ状態で、図２の両受け部材２１，２１と一体の軸
受２４，（他方図示略）を吸込口体本体１１の両端部に
図１の如く固定（固定部の他方は図示略）することによ
り、回転清掃体１３は吸込口１４に臨んで回転自在に装
着される（図１参照）。

【００３０】しかも、各シャフト２２は、押し縮められ
て中央部が僅かに湾曲した状態で両端部が両受け部材２
１，２１に保持されている。尚、このシャフト２２の中
央部の湾曲量（撓み変形量）は図２からも明らかな如く
非常に小さなもので、回転軸部１８が軸線と交差する方
向に大きく撓み変形（曲げ変形）するのを阻止可能とな
っている。また、回転軸部１８の両端は受け部材２１，
２１に上述の如く固定されているので、各シャフト２２
を押し縮められて中央部が僅かに湾曲した状態とするこ
とにより、この各シャフト２２が自己の弾性力で直線状
に戻ろうとする力で回転軸部１８の両端が互いに反対側
に引っ張られ、回転軸部１８全体が軸線方向に延びる方
向に引っ張られることになる。この引っ張り力は４枚の
各ブレード１９の基端部にも作用して、ブレード１９も
基端部が回転軸部１８と一体に回 転軸部１８が延びる方
向に引っ張った状態に保持される。この様に、回転軸部
１８及びブレード１９は、シャフト２２によりそれぞれ
引っ張り張力が付与された状態に保持される（図２参
照）。

【００３１】次に、上記構成を有する電気掃除機の吸込
口体の作用を説明する。

【００３２】電気掃除機の吸込口体１０を使用して絨毯
等の被清掃面を掃除する際、回転清掃体１３を回転駆動
させる。回転清掃体１３の回転に伴うブレード１９の掻
き出し作用により、清掃面である絨毯等の毛足内奥に入
り込んだ塵埃も効率良く吸込口１４から吸い込むことが
できる。

【００３３】一方、この回転清掃体１３の回転に伴っ
て、回転軸部１８及びシャフト２２の長手方向中央部に
遠心力が作用し、回転軸部１８及びシャフト２２が外側
に向って弧を描くように撓もうとする。

【００３４】しかし、シャフト２２は自己の弾性力で直
線状に伸長しようとしていて、この弾性力はシャフト２
２の中央を外側に撓ませようとする力に抗してシャフト
２２の撓みを防止している。また、両受け部材２１，２
１は撓み変形させたシャフト２２により回転軸部１８を
軸線方向に引っ張っることで、回転軸部１８の全体が軸
線と交差する方向に撓みにくく（曲がりにくく）なって
いる。従って、上述のように、回転清掃体１３の回転に
伴う清掃時に、回転による遠心力によって回転軸部１８
の中央が軸線と交差する方向への曲げ力（撓み力）を受
けても、回転軸部１８自身がこの曲げ力に抗することに
なるので、回転軸部１８の軸線方向への引っ張り力はシ
ャフト２２と協働して回転軸部１８が軸線と交差する方
向へ曲がるのを阻止する様に機能する。

【００３５】従って、回転軸部１８を太くすることなく
回転清掃体１３全体の小型化を図りつつ、回転清掃体１
３の回転時の撓み防止をより確実にすることができる。

【００３６】また、回転軸部１８にシャフト２２による
引っ張り張力が作用することにより、ブレード１９にも
引っ張り張力が作用し、回転軸部１８を細くしたために
回転軸部１８から外端縁迄の距離が長くなって変形し易
くなったブレード１９に、緊張状態となることにより剛
性が付与されて、十分な掻き出しが可能となる。

【００３７】

【考案の効果】この考案に係る電気掃除機の吸込口体
は、回転軸部を軸線方向に引っ張っていることで、回転
軸部の軸線と交差する方向への曲げ力（撓み力）に抗す
る剛性を高くしているので、回転軸部を細くしても、回
転清掃体の回転による回転清掃時に回転清掃体の回転軸
部に軸線と交差する方向への曲げ力（撓み変形力）が作
用したときに、この回転軸部の軸線と交差する方向への
撓み防止をより確実にすることができる。従って、この
考案の吸込口体は、回転軸部を太くすることなく回転清
掃体全体の小型化を図りつつ、回転清掃体の回転による
回転清掃時に回転軸部の軸線と交差する方向への撓み防
止をより確実にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る電気掃除機の吸込口体の底面図
である。

【図２】回転清掃体の斜視図である。

【図３】受け部材と回転軸部の装着状態を示す説明図で
ある。

【図４】受け部材と一体化した回転清掃体の部分斜視図
である。

【図５】従来の電気掃除機の吸込口体における回転清掃
体の説明図である。

【符号の説明】

１０ 電気掃除機の吸込口体 １１ａ 底面 １２ 吸込室 １３ 回転清掃体 １４ 吸込口 １８ 回転軸部 １９ ブレード ２１ 受け部材 ２２ シャフト

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸込室が設けられ且つ前記吸込室の吸込
   口が底面に開口させられた吸込口本体と、前記吸込室内
   に配設された回転清掃体を備え、 前記回転清掃体は、前記吸込口に沿って前記吸込室に配
   設された可撓性材料からなる回転軸部と、前記回転軸部
   に沿う方向及び放射方向に延び且つ前記可撓性材料から
   前記回転軸部と一体に形成された可撓性のブレードと、
   前記回転軸部の前記両端部を前記吸込口本体の両端部に
   回転自在に支持する一対の受け部材と、前記回転軸部に
   沿って配設されたシャフトとを備える電気掃除機の吸込
   口体において、 前記回転軸部の両端部は前記一対の受け部材に固定保持
   され、前記シャフトは前記回転軸部及び前記ブレードに
   前記回転軸部の軸線方向への引っ張り張力を付与可能に
   前記一対の受け部材間に押し縮められた状態で掛け渡さ
   れて撓み変形させられていること を特徴とする電気掃除
   機の吸込口体。