JP2596128Y2 - 内燃機関の可変圧縮比装置 - Google Patents

内燃機関の可変圧縮比装置

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JP2596128Y2
JP2596128Y2 JP1992007955U JP795592U JP2596128Y2 JP 2596128 Y2 JP2596128 Y2 JP 2596128Y2 JP 1992007955 U JP1992007955 U JP 1992007955U JP 795592 U JP795592 U JP 795592U JP 2596128 Y2 JP2596128 Y2 JP 2596128Y2
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pin
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rotation
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、内燃機関の可変圧縮比
装置に関し、さらに詳しくは、圧縮比を変えるために用
いられる偏心スリ−ブの回転緩衝構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内燃機関の一つである自動車用
エンジンにおいては、中負荷域以上の高い負荷域あるい
はエンジンの高速回転域での運転時にノッキングを発生
させないようにするとともに中負荷よりも低い負荷域で
の運転時には熱効率を上げて燃料の消費率を改善するこ
とを目的として、圧縮比を変化させることのできる構造
が提案されている。
【0003】この可変圧縮比装置の構造としては、本願
出願人による先願である特願平3−338859号(特
開平5−171963号公報)の明細書に記載されたも
のがある。特開平5−171963号公報の技術による
と、クランクシャフトのクランクピン外周面とコネクテ
イングロッドにおける大端部の軸受孔内周面との間に回
転可能な偏心スリ−ブを配置し、この偏心スリ−ブがク
ランクピンの遠心力によって回転する際に、コネクティ
ングロッド側での軸受面の中心位置に対してピストン側
のピストンピンの中心位置を上昇させる最大偏心位置と
下降させる最小偏心位置とに切り換えることができるよ
うになっている。偏心スリ−ブの最大偏心位置と最小偏
心位置との切り換えに際しては、偏心スリ−ブが回転す
ることが必要であり、この回転は、次のようにして行な
われる。すなわち、クランク軸の回転方向が時計方向に
設定されている場合でいうと、クランク軸の回転による
偏心スリ−ブへの遠心力と偏心スリ−ブ自体の重心に作
用する慣性力からの力との和によって偏心スリ−ブは時
計方向に回転を生じる。そして、この回転力は、コネク
ティングロッドの大端部軸受面との間およびクランクピ
ンとの間に設けられている油路形成用の隙間に介在して
いるオイルの粘性によっても維持されるようになってい
る。
【0004】ところで、ピストンの変位に対して、遠心
力による偏心スリ−ブの回転状態をみると、ピストンの
下死点から上死点に至る範囲では、遠心力が有効に作用
することによりクランクピン中心を支点として偏心スリ
−ブの時計方向への回転が維持される反面、ピストンが
上死点から下死点に至る範囲では、燃焼圧力がコネクテ
ィングロッドの大端部中心に作用した場合に生じる左方
向への分力によって偏心スリ−ブの中心位置が偏寄し、
これに応じて大端部中心位置がクランクピン中心から左
側にオフセットされることにより、偏心スリ−ブに対し
てクランクピン中心を支点とした回転を今までと逆の方
向に行なわせようとするモ−メントが生じる。従って、
ピストンの下死点から上死点に至る範囲では、遠心力に
よる大径部の重量マスを利用した偏心スリ−ブの回転に
より最小偏心位置から最大偏心位置への切り換えが行な
われ、また、ピストンの上死点から下死点に至る範囲で
は、大径部が元の位置に復帰する態位である最大偏心位
置から最小偏心位置への切り換えが行なわれるようにな
っている。
【0005】このように、偏心スリ−ブは、クランク軸
の1回転中に正逆方向に回転方向を変化させるので、各
方向への回転時に偏心スリ−ブの位置を固定することが
必要になり、このための構造が採用されている。この構
造は、偏心スリ−ブの軸方向両端に位置するフランジに
おいて、最大偏心位置と最小偏心位置とを決めるために
周方向に沿って交互に形成されている係止凹部と、この
係止凹部に対して油圧制御による突没可能に設けられて
いるロックピンとで構成され、このロックピンの突出態
位を切り換えることによって、各偏心位置に偏心スリ−
ブを固定するようになっている。また、このフランジに
は、係止凹部とロックピンとの係合関係を整合するため
の構造が設けられており、この構造は、上述した偏心ス
リ−ブのフランジにおける周方向での係止凹部間に衝合
用段部をなす切欠き部を設け、この切欠き部に対して弾
性体あるいはオイルによる偏心スリ−ブの回転を減衰さ
せる緩衝装置に設けられているピンの軸方向両端を切欠
き部に対する回転方向上流側でそれぞれ衝合させるよう
に構成されている。
【0006】このように特開平5−171963号公報
の技術では、低圧縮比位置から高圧縮比位置に切り換え
る場合にクランクピン周りに右回転(時計方向)するこ
とにより切り換えが行われるとすると、その後の高圧縮
比位置から低圧縮比位置への切り換えは、クランクピン
周りに左回転(反時計方向)することにより行われる。
しかしながら、クランク軸の1回転中に「右回り→左
回り→右囲り」といった回転方向が変化する偏心スリ−
ブを備えた可変圧縮比装置においては、偏心スリ−ブの
外周に位置する油路形成用隙間に介在しているオイルの
粘性が比較的高いために、燃焼圧力がコネクティングロ
ッドに作用した場合、偏心スリ−ブの回転方向の切り換
えが不安定になる虞れがあった。
【0007】また、燃焼圧力はかなり大きな圧力である
ために、油路形成用隙間が圧力によって均一性を損ねて
しまい、偏心スリ−ブ外周面と隙間をはさんで対向する
箇所との間に摩擦抵抗が生じ、偏心スリ−ブの回転が損
ねられ、円滑な偏心位置の切り換えが行なえなくなるこ
ともある。
【0008】しかも、偏心スリ−ブに形成されている係
止凹部は、最大偏心位置から最小偏心位置への切り換え
のための反時計方向への回転が行ないやすくなるように
中心線上から偏寄させてあるので、クランク軸の回転に
よって生成されている遠心力の作用を損ねることになり
動力損失を招くことにもなる。
【0009】そこで、このような問題を解決するため
に、遠心力によってのみ偏心スリ−ブの回転方向を設定
してクランク軸の回転に沿って一方向への回転を行なう
ようにし、この回転時に偏心スリ−ブのフランジに形成
されて最大偏心位置と最小偏心位置とを設定する係止凹
部と切り換え機構との係合関係を、係止凹部間に形成さ
れている切欠き部と緩衝装置に設けられているピンとの
衝合によって設定するようにした構造が例えば、本願出
願人の先願による実開平5−66240号公報に開示さ
れる。
【0010】この実開平5−66240号公報に開示さ
れる構造は、偏心スリ−ブのフランジに形成されている
係止凹部の位置を、コネクティングロッドの大端部中心
とクランクピン中心とが燃焼圧力の作用する方向に並ぶ
関係を設定できる位置とし、この位置を設定するために
偏心スリ−ブの回転を減衰停止させる緩衝装置側のピン
と衝合する切欠き部が偏心スリ−ブの周方向で係止凹部
間に形成されている。
【0011】従って、このような構造に用いられる緩衝
装置のピンは、偏心スリ−ブが一方向への回転のみを行
なうようになっていることから、一方のフランジ側の切
欠き部に衝合している場合には他方のフランジ側の切欠
き部から退避させることが必要であるために、偏心スリ
−ブの回転を減衰させるための方向に相当する接線方向
への変位とこの変位方向と直角な方向に相当する、切欠
き部に対して突没可能な方向への変位とが設定されてい
る。このように、実開平5−66240号公報に開示さ
れる技術では、低圧縮比位置から高圧縮比位置に切り換
える場合にクランクピン周りに右回転(時計方向)する
ことにより切り換えが行われるとすると、その後の高圧
縮比位置から低圧縮比位置への切り換えも、クランクピ
ン周りに右回転(時計方向)することにより行われる。
このように「右回り→右回り→右囲り」といった切り換
えを行うのが実開平5−66240号公報に開示された
内容である。この場合、逆転が生じない分、作動の不安
定さが改善される。
【0012】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな緩衝装置でのピンの変位設定は、切欠き部に対して
突没可能に設けられているピンの大きさを小さくしてし
まう結果となる。これは、緩衝装置内に設けられていて
偏心スリ−ブの接線方向への変位を行なわせるためのピ
ストン部材の内部に上述した変位方向を設定されている
ピンが設けられている関係上、ピンの突没方向での変位
を油圧駆動により行うようにすると、このピンをピスト
ン部材内の油圧室で摺動するプランジャとして構成しな
ければならないことから、例えば、油圧を受けるための
鍔を設けた場合に偏心スリ−ブの切欠き部に衝合する部
分はこの鍔よりも小径に設定されることが原因してい
る。
【0013】従って、偏心スリ−ブを一方向にのみ回転
させる場合には、偏心スリ−ブの接線方向への変位を行
わせる構造内にピンの突没変位を行なわせるための構造
が必要となる分、ピンの大きさが小さくなってしまい、
遠心力により回転してくる偏心スリ−ブのフランジにお
ける切欠き部との衝合時に発生する衝撃に対する剛性を
充分なものとすることができなくなる虞れがあった。
【0014】また、偏心スリ−ブの回転を減衰させるた
めのピンの移動ストロ−クが比較的大きくされているこ
とによって、緩衝装置が大型化することは否めなかっ
た。
【0015】そこで、本考案の目的は、上述した従来の
可変圧縮比装置における緩衝装置の問題に鑑み、小型化
が可能であり、かつ、偏心スリ−ブと衝合する際の剛性
を確保することのできる構造からなる緩衝装置を備えた
可変圧縮比装置を得ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本考案は、コネクティングロッドの大端部における
軸受面とこれに挿嵌されるクランク軸側のクランクピン
外周面との間に配置されて回転可能な偏心スリ−ブを有
し、この偏心スリ−ブを一方向に回転させることによっ
て、コネクティングロッドの軸受面中心位置に対しコネ
クティングロッドとピストンとの枢支位置を上昇させた
高圧縮比状態が得られる第1位置と、上記枢支位置を下
降させた低圧縮比状態が得られる第2位置とに切り換え
る機構部と、上記偏心スリ−ブの上記コネクティングロ
ッドを挟んで軸方向両端部に位置する一対のフランジの
周方向に沿って形成される該偏心スリーブの回転位置を
上記第1位置に固定するための第1係止凹部及び上記第
2位置に固定するための第2係止凹部と、上記コネクテ
ィングロッド内から上記第1係止凹部及び第2係止凹部
に対して突没可能に設けられたロック部材と、上記フラ
ンジの周方向において上記第1係止凹部及び第2係止凹
部との間に設けられ、上記偏心スリーブの回転位置を上
記第1位置に位置決めするための第1ガイド用切欠き及
び上記第2位置に位置決めするための第2ガイド用切欠
きと、上記第1ガイド用切欠き及び第2ガイド用切欠き
に衝合して上記偏心スリーブの回転位置を位置決めする
と共に、衝合時に該偏心スリーブの回転を減衰させる緩
衝装置とを備えた内燃機関の可変圧縮比装置において、
上記緩衝装置は、上記偏心スリーブの軸方向に突没可能
に設けられ上記第1ガイド用切欠き及び第2ガイド用切
欠きに衝合するピンと、上記ピンを突没可能に収容する
と共に、上記衝合時のピンの変位を回転運動に変換する
ピストン部材と、上記ピストン部材の一方の端部側に設
けられ上記回転運動を制動する制動機構と、上記ピスト
ン部材の他方の端部側に設けられ上記回転運動に抗して
上記ピンの位置を初期位置に復帰させる復帰機構とを含
み、上記制動機構が、上記コネクティングロッドの大端
部下部に設けられた油圧室と、上記油圧室内に配置され
上記ピストン部材の回転軸から放射状に延出する制動羽
根と、上記制動羽根の基部と上記油圧室の内壁から延出
する堰部材との間の間隙によって構成され、該間隙が該
制動羽根の回転方向上流側から下流側に至るに従い漸減
するように形成されたオリフィスとからなることを特徴
としている。
【0017】また、請求項2の本考案では、請求項1記
載の内燃機関の可変圧縮比装置において、上記復帰機構
は、一端が上記ピストン部材側に他端が上記コネクティ
ングロッドの大端部側にそれぞれ固定されているスプリ
ングからなり、上記ピンが上記偏心スリ−ブと衝合して
上記ピストン部材が回転する際の蓄勢圧により該ピスト
ン部材の回転を初期状態に変位させて上記ピンの位置を
初期位置に復帰させることを特徴としている。
【0018】
【作用】本考案によれば、偏心スリ−ブの回転を減衰す
るための緩衝装置を構成する部材として、偏心スリーブ
の軸方向に突没可能に設けられるピンが第1ガイド用切
欠き及び第2ガイド用切欠きに衝合するよう設けられ、
上記ピンを突没可能に収容するピストン部材が衝合時の
ピンの変位を回転運動に変換し、上記ピストン部材の一
方の端部側に設けられた制動機構が回転運動を制動し、
上記ピストン部材の他方の端部側に設けられた復帰機構
がピンの回転運動に抗してピンの位置を初期位置に復帰
させ、しかも、ここでの制動機構が、コネクティングロ
ッドの大端部下部に設けられた油圧室と、その油圧室内
に配置されピストン部材の回転軸から放射状に延出する
制動羽根と、その制動羽根の基部と油圧室の内壁から延
出する堰部材との間の間隙によって構成され、該間隙が
該制動羽根の回転方向上流側から下流側に至るに従い漸
減するように形成されたオリフィスとからなる。このた
め、偏心スリ−ブの回転を減衰するための緩衝機構は、
偏心スリ−ブとピンが衝合した場合に生じるピンを支持
するピストン部材の回転変動を、同ピストン部材の一端
に配置されている制動機構において油圧室内を移動する
制動羽根に対するオイルの圧力抵抗および油圧室内の堰
部との間の間隔により得られるオリフイス作用によって
抑制出来る。特に、ここでは制動機構と、減衰動作時に
第1、第2ガイド用切欠きに直接当接するピン及びこの
ピンを偏心スリ−ブに対して突没可能に収容しているピ
ストン部材とから成る機構とを区分けして構成すること
により、同じピストン部材内部に制動機構とピンを配置
した場合に比べ、ピンの突没のみを考慮した構造とする
ことができピンの大きさを比較的大きくできる。
【0019】また、本考案によれば、フランジの第1、
第2ガイド用切欠きと衝合して偏心スリ−ブの回転を減
衰した後は、減衰時に蓄えられたスプリングの力によっ
てピンを初期位置に復帰させてロック機構と係止凹部と
の係合関係を設定することができる。
【0020】
【実施例】以下、図1乃至図4において、本考案の実施
例の詳細を説明する。本実施例の特徴は、クランクピン
K1とこれに外嵌されるコネクティングロッド1の大端
部1Aとの間に介装される偏心スリ−ブ7を有し、この
偏心スリ−ブ7を用いて、コネクティングロッド1の軸
受面中心位置に対しコネクティングロッドとピストンP
との枢支位置を上昇させた高圧縮比状態が得られる第1
位置と、枢支位置を下降させた低圧縮比状態が得られる
第2位置との換えが成されるよう切り換え操作する機構
部Mを備えたもので、特に、偏心スリ−ブ7の回転を減
衰させる緩衝装置4における、偏心スリ−ブとピンが衝
合した場合に生じるピン8を支持するピストン部材5の
回転変動を制動する制動機構と、偏心スリ−ブに対する
ピン8の突没操作を行う機構とを区分けして構成したこ
とにある。
【0021】図1は、本考案の実施例による可変圧縮比
装置に用いられるコネクティングロッドの大端部を示す
側面図であり、同図においてコネクティングロッド1の
大端部1AとクランクピンK1の間に相対回転可能に嵌
着される偏心スリ−ブ7はコネクティングロッドを挟ん
で軸方向両端部に位置する一対のフランジを備える。両
フランジの周方向には、偏心スリーブ7の回転位置を高
圧縮比状態が得られる第1位置に固定する第1係止凹部
d1と、低圧縮比状態が得られる第2位置に固定する第
2係止凹部d2と、偏心スリーブ7の回転位置を第1位
置に位置決めする際用いる第1ガイド用切欠き7A1
と、第2位置に位置決めする際用いる第2ガイド用切欠
き7A2とが形成される。ここでコネクティングロッド
1の大端部1Aの下部には緩衝装置4が配備され、上部
にはロック機構11が配備される。ロック機構11はバ
ネ111により突き出し付勢される鍔付きピン112
と、同ピン112を収容するとともに一方端に付勢する
油圧室113を備え、油圧室113に制御油路からの圧
油を受けた際にバネ111に抗して鍔付きピン111を
偏心スリーブ7側より退却するという周知の構成を採
る。コネクティングロッド1の大端部1Aには軸方向に
貫通する空間部が形成されており、この空間部における
上部には、図2に示す油圧室1Bが、そして、下部に相
当する外周壁には、大端部1Aの軸方向中央部に孔1C
がそれぞれ設けられている。油圧室1Bは、大端部1A
の空間部に対向する面をシ−ル板2によって遮蔽されて
おり、また、外周壁に有する孔1Cは座板3が螺子止め
されることにより覆われていて、この座板3の内側に
は、後述する緩衝装置4に設けられているピストン部材
5の軸受6が固定されている。
【0022】緩衝装置4は、偏心スリ−ブ7(図1参照)
の回転を減衰するために設けられているものであって、
ピストン部材5と、ピン8と、第1ガイド用切欠き7A
1及び第2ガイド用切欠き7A2と、ピストン部材5の
一方の端部側に設けられピストン部材5の回転運動を制
動する制動機構と、ピストン部材5の他方の端部側に設
けられピンの位置を初期位置に復帰させる復帰機構とで
構成されている。ピストン部材5は、偏心スリ−ブ7の
回転を減衰させるための制動機構を構成しており、図2
に示すように、大端部1Aの径方向に沿った長手方向を
設定されている回転軸状の部材が用いられ、長手方向の
一端を、油圧室1Bの近傍に形成されている軸支部1D
に配置された軸受9によって、また、長手方向の他端を
上記座板3に固定されている軸受6によってそれぞれ支
持されている。このピストン部材5は、長手方向におい
て油圧室1Bにかかる範囲に、径方向の一方に向け放射
する制動羽根5Aが設けられており、また、この制動羽
根5Aの基部が位置する軸部に凹部5Bが形成されてい
る。凹部5Bは、図3において、ピストン部材5が時計
方向に回転する場合でいうと、制動羽根5Aの回転方向
上流側から下流側に至るに従い深さが浅くなる断面形状
を設定されており、その下流側の後方位置に制動羽根5
Aが位置している。また凹部5Bは、油圧室内壁におい
て、油圧室中心に向け突出形成されている堰板1Eと協
働して制動羽根5Aにより撹拌されるオイルのオリフィ
スを構成するようになっている。ここで、ピン8と偏心
スリーブの衝合によりピン8が変位し、該変位はピスト
ン部材5の回転運動に変換される。ピストン部材5の回
転運動は、ピストン部材5から延出し油圧室1B内に配
置される制動羽根5Aを同時に回動させることとなり、
制動羽根5Aがベーンとなって油圧室内のオイルを撹拌
する。このとき、油圧室1B内壁から突出する堰板lE
の先端部と制動羽根の基部(凹部5B)とによって可変
オリフィスが形成されているので、撹拌されるオイルの
移動がオりフィス効果により制限され、結果的に制動羽
根5Aの回動が減衰される。しかも、凹部5Bの形状が
制動羽根5Aの初期位置から回動するに従ってオリフイ
ス径が小さくなるようなプロフィールに形成されている
ため、結果的にピン8が衝合開始した初期位置から変位
すればするほど制動力(減衰力)が増加する。十分に制
動されれば、復帰機構によりピン8を初期位置に戻すの
で次の衝合に備えることができる。
【0023】一方、ピストン部材5の長手方向一端と他
端との間には、内部に油圧室を有するケ−シング5Cが
設けられており、このケ−シング5Cの内部には、偏心
スリ−ブ7の軸方向に摺動可能なピン8が配置される。
これらピストン部材5のケ−シング5Cとピン8から成
る機構が、減衰動作時に第1、第2ガイド用切欠きに直
接当接するピン8を突没可能に収容する機構を成してい
る。ピン8は、ケ−シング5Cの壁部に形成されている
孔から突出しているロッド部材であり、偏心スリ−ブ7
の一対のフランジのうちの一方に対してのみ衝合するこ
とのできる長さを設定されるとともに、その長手方向中
央部には油圧室を仕切る鍔8Aが形成されており、鍔8
Aとこの鍔8Aにより仕切られている油圧室の一方の内
壁との間に配置されているリタ−ンスプリング10によ
って、通常、一方向に向け移動させる習性を付与されて
いる。本実施例の場合、この一方向への付勢は、偏心ス
リ−ブ7の低圧縮比状態が得られる第2位置(図1参
照)を設定するための第2係止凹部d2を形成されてい
るフランジの切欠き部7A2に向け移動させるようにな
っている。
【0024】そして、ピン8の鍔8Aにより仕切られて
いる油圧室のうちの他方には、ピストン部材5中に形成
された油路5Dが接続される。この油路5Dは、偏心ス
リ−ブ7の第1第2係止凹部d1、d2と係脱制御され
るロック機構11(図1参照)に用いられる油圧制御部に
連通しており、ロック機構11での油圧制御に連動して
オイルの給排制御が行われるようになっている。また、
この油路5Dとは別に、上述した大端部1Aの油圧室1
Bにも油路1Fが接続されており、この油路1Fは、油
圧室1B内のオイルを充足させるためのものである。
【0025】一方、ケ−シング5Cの下部と大端部1A
側の座板3との間には、コイルバネ12が配置されてお
り、このコイルバネ12は、各端部を、例えばロウ付け
されることによってケ−シング5Cの下部と座板3とに
それぞれ固着されている。このコイルバネ12は、図4
に示すように、ケ−シング5Cの回転する際に巻き締め
られ、その回転が停止した場合には巻き締め時に生じた
蓄勢力によってケ−シング5Cを元の位置に復帰させる
復帰機構を構成している。
【0026】本実施例は以上のような構造であるから、
緩衝装置4におけるピストン部材5は、ケ−シング5C
の下部と座板3との間に位置するコイルバネ12によっ
て、図4に示すように、偏心スリ−ブの低圧縮比状態が
得られる第2位置(図1参照)を設定するための第2係
止凹部d2が形成されているフランジの第2ガイド用切
欠き7A2に対してケ−シング5C内のピン8を直角な
向きに対設する。このような初期態位にあるピストン部
材5は、ピン8に対して偏心スリ−ブ7側の第2ガイド
用切欠き7A2が衝合することによってピン8とつれ回
るが、制動羽根5Aが油圧室1B内で回転する際に生じ
るオイルの流動抵抗および軸部に形成されている凹部5
Bと油圧室内の堰板1Eとの間でのオリフィスによる絞
り作用によって、フランジ側の回転を減衰させる働きを
する。また、このときコイルバネ12は巻き締められる
ことによって蓄勢圧を高められる。
【0027】そして、上述した減衰作用によってフラン
ジ側の回転が停止すると、ピストン部材5はコイルバネ
12の蓄勢圧により初期態位に復帰回転させられ、ロッ
ク機構11側と第2係止凹部d2との係合を可能にす
る。なお、ロック機構11側と第1係止凹部d1との係
合もほぼ同様である。
【0028】一方、このような偏心スリ−ブ7側での回
転を減衰する動作とは別に、偏心スリ−ブのフランジf
における第2ガイド用切欠き7A2とピン8との衝合関
係を第1ガイド用切欠き7A1とピン8との衝合関係に
切り換える場合には、ケ−シング5C内の油圧室の他方
に対して油路5Dからのオイルの供給が行われ、他方の
油圧室の圧力が高められることによってピン8をリタ−
ンスプリング10の付勢に抗して初期位置から逆の方向
に押し動かして、高圧縮比状態が得られる第1位置を設
定するための第1係止凹部d1が形成されているフラン
ジの第1ガイド用切欠き7A1に衝合する態位を設定す
る。
【0029】本実施例によれば、偏心スリ−ブ7の回転
を減衰する緩衝装置4に設けられているピストン部材5
は、従来構造のように摺動して減衰する構造と異なり、
回転する構造であるので、摺動する場合に生じる自励振
動の発生を抑えることができる。
【0030】
【考案の効果】以上のように本考案によれば、偏心スリ
−ブのフランジに衝合して偏心スリ−ブの接線方向に変
位することによりスリ−ブの回転を減衰させる制動機構
と一方向に回転している偏心スリ−ブに衝合して減衰動
作を直接行なうピンをスリ−ブに対して突没させる機構
とを区分けしており、同じ部材内にピンを配置した場合
に比べてピンの大きさを大きくすることができ、しか
も、偏心スリ−ブとピンが衝合した場合、ピンの回転は
ピストン部材の一端に配置されている制動機構において
油圧室内を移動する制動羽根に対するオイルの圧力抵抗
および油圧室内の堰部との間の間隔により得られるオリ
フイス作用によって抑制されるので、偏心スリ−ブの回
転力による衝撃を受ける部材であるピンの剛性及び耐久
性を確保することができ。また、本考案によれば、ピン
が偏心スリ−ブと衝合してピストン部材とともに回転す
る際の蓄勢圧により該ピストン部材の回転を初期状態に
容易に変位させて第1、第2位置の切換えを容易化させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例による可変圧縮比装置の要部で
あるコネクティングロッドの外観を示す部分的な断面図
である。
【図2】図1に示したコネクテイングロッドの大端部下
部に設けられている緩衝装置の構造を示す断面図であ
る。
【図3】図2中、符号−線で示す方向の矢視断面図
である。
【図4】図2に示した緩衝装置の要部の構造示す斜視図
である。
【符号の説明】
1 コネクティングロッド 1A 大端部 1B 油圧室 1E 堰板 4 緩衝装置 5 ピストン部材 5A 制動羽根 5B 凹部 5C ケ−シング 7 偏心スリ−ブ 7A1 第1ガイド用切欠き部 7A2 第2ガイド用切欠き部 8 ピン 10 リタ−ンスプリング 11 ロック機構 12 コイルバネ d1 第1係止凹部 d2 第2係止凹部 M 機構部

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】コネクティングロッドの大端部における軸
    受面とこれに挿嵌されるクランク軸側のクランクピン外
    周面との間に配置されて回転可能な偏心スリ−ブを有
    し、この偏心スリ−ブを一方向に回転させることによっ
    て、コネクティングロッドの軸受面中心位置に対しコネ
    クティングロッドとピストンとの枢支位置を上昇させた
    高圧縮比状態が得られる第1位置と、上記枢支位置を下
    降させた低圧縮比状態が得られる第2位置とに切り換え
    機構部と、 上記偏心スリ−ブの上記コネクティングロッドを挟んで
    軸方向両端部に位置する一対のフランジの周方向に沿っ
    て形成される該偏心スリーブの回転位置を上記第1位置
    に固定するための第1係止凹部及び上記第2位置に固定
    するための第2係止凹部と、 上記コネクティングロッド内から上記第1係止凹部及び
    第2係止凹部に対して突没可能に設けられたロック部材
    と、 上記フランジの周方向において上記第1係止凹部及び第
    2係止凹部との間に設けられ、上記偏心スリーブの回転
    位置を上記第1位置に位置決めするための第1ガイド用
    切欠き及び上記第2位置に位置決めするための第2ガイ
    ド用切欠きと、 上記第1ガイド用切欠き及び第2ガイド用切欠きに衝合
    して上記偏心スリーブの回転位置を位置決めすると共
    に、衝合時に該偏心スリーブの回転を減衰させる緩衝装
    置とを備えた内燃機関の可変圧縮比装置において、 上記緩衝装置は、上記偏心スリーブの軸方向に突没可能
    に設けられ上記第1ガイド用切欠き及び第2ガイド用切
    欠きに衝合するピンと、 上記ピンを突没可能に収容すると共に、上記衝合時のピ
    ンの変位を回転運動に変換するピストン部材と、 上記ピストン部材の一方の端部側に設けられ上記回転運
    動を制動する制動機構と、 上記ピストン部材の他方の端部側に設けられ上記回転運
    動に抗して上記ピンの 位置を初期位置に復帰させる復帰
    機構とを含み、 上記制動機構が、上記コネクティングロッドの大端部下
    部に設けられた油圧室と、 上記油圧室内に配置され上記ピストン部材の回転軸から
    放射状に延出する制動羽根と、 上記制動羽根の基部と上記油圧室の内壁から延出する堰
    部材との間の間隙によって構成され、該間隙が該制動羽
    根の回転方向上流側から下流側に至るに従い漸減するよ
    うに形成されたオリフィスとからなることを特徴とする
    内燃機関の可変圧縮比装置。
  2. 【請求項2】上記復帰機構は、一端が上記ピストン部材
    側に他端が上記コネクティングロッドの大端部側にそれ
    ぞれ固定されているスプリングからなり、上記ピンが上
    記偏心スリ−ブと衝合して上記ピストン部材が回転する
    際の蓄勢圧により該ピストン部材の回転を初期状態に変
    位させて上記ピンの位置を初期位置に復帰させることを
    特徴とする請求項1記載の内燃機関の可変圧縮比装置。
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