JP2620514B2 - 減衰装置 - Google Patents

減衰装置

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JP2620514B2
JP2620514B2 JP6132110A JP13211094A JP2620514B2 JP 2620514 B2 JP2620514 B2 JP 2620514B2 JP 6132110 A JP6132110 A JP 6132110A JP 13211094 A JP13211094 A JP 13211094A JP 2620514 B2 JP2620514 B2 JP 2620514B2
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博文 宮田
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Bando Chemical Industries Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/08Means for varying tension of belts, ropes, or chains
    • F16H2007/0802Actuators for final output members
    • F16H2007/081Torsion springs
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/08Means for varying tension of belts, ropes, or chains
    • F16H7/0829Means for varying tension of belts, ropes, or chains with vibration damping means

Landscapes

  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車エンジ
ンのタイミングベルトや補機類駆動ベルトに張力を付与
しつつ外力としてのベルト反力を減衰させるオートテン
ショナ等に用いられる減衰装置に関し、特に構造の簡単
化を図る対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の減衰装置としては油
圧式のものが一般に普及しており、その一例として例え
ば実開平4−66448号公報で知られているものがあ
る。
【0003】このものでは、作動油が充填されたシリン
ダボディと、該シリンダボディ内に往復動自在に嵌挿さ
れ、シリンダボディ内を第1及び第2の2つの油室に区
画するピストンと、シリンダにおける第1油室側の端部
壁を貫通して内端部がピストンに移動一体に連結された
ピストンロッドと、第2油室に縮装され、シリンダが伸
長するようにピストンを第1油室の側に向けて押動付勢
する圧縮コイルばねとを備えている。そして、上記ピス
トン及びシリンダにそれぞれ両油室を互いに連通する連
通路が設けられ、かつピストン側の連通路にはチェック
バルブが設けられている。
【0004】上記チェックバルブは、シリンダの収縮方
向への外力の作用によりピストンが圧縮コイルばねの付
勢方向と逆の方向に移動して第2油室の作動油が第1油
室に流入しようとするときには、連通路を閉じるように
作動してピストンの移動を規制する一方、シリンダの伸
長時にピストンが付勢方向に移動して第1油室の作動油
が第2油室に流入しようとするときには、連通路を開く
ように作動してピストンの移動を許容するようになされ
ている。これにより、上記ピストンを付勢方向とは逆の
方向に押圧してシリンダ収縮方向の外力がピストンロッ
ド先端に加わったときには、該ピストンの移動を抑制
し、このことで外力を減衰させるようになされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記油
圧式の減衰装置では、作動油の流動抵抗を利用するの
で、高いシール性を要し、構造が複雑となる。したがっ
て、部品点数が多くなりがちで組立に手間がかかり、コ
ストダウンが困難であるという問題がある。
【0006】また、過度の外力が加わった場合には、そ
の外力に比例して作動油の圧力が上昇することになるた
めに、減衰装置自体が高圧により損傷する虞れもある。
【0007】また、減衰特性が連通路やチェックバルブ
等の流路抵抗によって決まることから、所定の減衰特性
が既に設定されている減衰装置において、その減衰特性
を変更調整することは困難であり、したがって、減衰特
性を変更するためには、減衰装置自体を交換しなければ
ならない。
【0008】さらに、その減衰特性についても、作動油
の粘性特性が温度変化の影響を受け易く、例えば常温時
に比べて低温時には作動油の流動抵抗が増大して減衰力
が所定の値よりも大きくなる等の難点も抱えている。
【0009】この発明は斯かる諸点に鑑みてなされたも
のであり、その主な目的は、プーリ部材と、それに巻き
掛けられるベルト等の摩擦部材とを利用するようにする
ことにより、少ない部品点数で容易に組み立てられるよ
うにしてコストダウンが図れる一方、過度の外力に対す
るフェールセーフ機能が具備されるようにするととも
に、減衰特性の設定チューニングが容易でかつ温度依存
性が小さくなるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明では、2つのプーリ部材間に巻き掛
けられたエンドレスの摩擦部材の両スパンの張力が変化
すると、プーリ部材と摩擦部材との間のグリップ力が変
化することを利用し、減衰させるべき外力に応じて上記
グリップ力を変化させることにより、該外力に応じた減
衰力が得られるようにし、このことで、部品点数の低減
化及び組立作業の容易化を図ってコストダウンに寄与で
きるようにする一方、過度の外力に対してはプーリ部材
及び摩擦部材間のスリップにより対処するとともに、ス
パンの張力変化率を調整することで減衰特性の設定を容
易にチューニングでき、かつ作動油が不要であることか
ら温度依存性が小さくなるようにした。
【0011】具体的には、固定側に固定されると共に外
周に略円弧状の摩擦面を有する固定プーリ部材と、該固
定プーリ部材に回動自在に支持されていると共に、減衰
すべき外力が作用する作用力部を有するレバー部材と、
該レバー部材に上記固定プーリ部材と同一面側において
回動自在に偏心支持されていると共に、外周に固定プー
リ部材の摩擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を有する移
動プーリ部材と、上記固定プーリ部材の摩擦面と移動プ
ーリ部材の摩擦面との間に巻き掛けられたエンドレスの
摩擦部材とを設ける。また、上記移動プーリ部材の偏心
回動中心を、両プーリ部材の摩擦面の円弧中心点同士を
結ぶ直線に対して一方側に片寄った位置に設定すると共
に、上記移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心とし
て摩擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付勢す
る付勢手段を設けた構成としている。
【0012】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の減衰装置において、作用力部に作用する外力によりレ
バー部材が移動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向と
は逆方向に向って回動する際に摩擦部材との間で滑りが
発生するプーリ部材側に、作用力部に作用する外力によ
りレバー部材が移動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方
向に向って回動する際に摩擦部材の滑りの発生を規制す
る一方、レバー部材が移動プーリ部材の偏心回動中心の
偏心方向とは逆方向に向って回動する際に摩擦部材の滑
りの発生を許容する一方向規制手段を設けた構成として
いる。
【0013】請求項3記載の発明は、上記請求項2記載
の減衰装置において、各プーリ部材を互いに径寸法が異
なるように設定し、作用力部に作用する外力によりレバ
ー部材が移動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向とは
逆方向に向って回動する際には小径のプーリ部材におい
て摩擦部材との間で滑りが発生するようにする。そし
て、一方向規制手段を、摩擦部材を小径のプーリ部材に
対して押圧するような構成としている。
【0014】請求項4記載の発明は、上記請求項2記載
の減衰装置において、各プーリ部材は互いに摩擦部材と
の間における摩擦係数が異なるように設定し、作用力部
に作用する外力によりレバー部材が移動プーリ部材の偏
心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動する際に
は上記摩擦係数が小さいプーリ部材において摩擦部材と
の間で滑りが発生するようにする。そして、一方向規制
手段を、摩擦部材を上記摩擦係数が小さいプーリ部材に
対して押圧するような構成としている。
【0015】請求項5記載の発明は、摩擦部材が巻き掛
けられるプーリ部材を1個のみにしたものである。具体
的には、固定側に固定された固定板と、該固定板に回動
自在に支持されていると共に、減衰すべき外力が作用す
る作用力部を有するレバー部材と、該レバー部材に上記
固定板と同一面側において回動自在に偏心支持されてい
ると共に、外周に略円弧状の摩擦面を有する移動プーリ
部材と、両端が上記固定板に固定された状態で移動プー
リ部材の摩擦面に巻き掛けられた摩擦部材とを設ける。
また、上記移動プーリ部材の偏心回動中心を、移動プー
リ部材の摩擦面に巻き掛けられた摩擦部材の接触中央点
と該移動プーリ部材の摩擦面の円弧中心点とを結ぶ直線
に対して一方側に片寄った位置に設定すると共に、上記
移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心として摩擦部
材に初期張力を付与するよう外方に回動付勢する付勢手
段を設けた構成としている。
【0016】請求項6記載の発明は、外力に応じた減衰
力をレバー部材の両方向の回動に対して得られるように
したものである。具体的には、固定側に固定されると共
に外周に略円弧状の摩擦面を有する第1及び第2の固定
プーリ部材と、該第1及び第2の固定プーリ部材に回動
自在に支持されていると共に、減衰すべき外力が作用す
る作用力部を有するレバー部材と、該レバー部材に上記
第1固定プーリ部材と同一面側において回動自在に偏心
支持されていると共に、外周に第1固定プーリ部材の摩
擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を有する第1移動プー
リ部材と、上記レバー部材に上記第2固定プーリ部材と
同一面側において回動自在に偏心支持されていると共
に、外周に第2固定プーリ部材の摩擦面と対をなす略円
弧状の摩擦面を有する第2移動プーリ部材と、上記第1
固定プーリ部材の摩擦面と第1移動プーリ部材の摩擦面
との間に巻き掛けられたエンドレスの第1摩擦部材と、
上記第2固定プーリ部材の摩擦面と第2移動プーリ部材
の摩擦面との間に巻き掛けられたエンドレスの第2摩擦
部材とを設ける。また、上記第1移動プーリ部材の偏心
回動中心を、第1固定プーリ部材の摩擦面の円弧中心点
と第1移動プーリ部材の摩擦面の円弧中心点とを結ぶ直
線に対して一方側に片寄った位置に設定する一方、上記
第2移動プーリ部材の偏心回動中心を、第2固定プーリ
部材の摩擦面の円弧中心点と第2移動プーリ部材の摩擦
面の円弧中心点とを結ぶ直線に対して上記第1移動プー
リ部材の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向側に片寄っ
た位置に設定すると共に、上記第1移動プーリ部材をそ
の偏心回動中心を中心として第1摩擦部材に初期張力を
付与するよう外方に回動付勢する第1付勢手段と、上記
第2移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心として第
2摩擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付勢す
る第2付勢手段とを設けた構成としている。
【0017】請求項7記載の発明は、摩擦部材が巻き掛
けられるプーリ部材を1個のみにしたもので、且つ外力
に応じた減衰力をレバー部材の両方向の回動に対して得
られるようにしたものである。具体的には、固定側に固
定された第1及び第2の固定板と、該第1及び第2の固
定板に回動自在に支持されていると共に、減衰すべき外
力が作用する作用力部を有するレバー部材と、該レバー
部材に上記第1固定板と同一面側において回動自在に偏
心支持されていると共に、外周に略円弧状の摩擦面を有
する第1移動プーリ部材と、上記レバー部材に上記第2
固定板と同一面側において回動自在に偏心支持されてい
ると共に、外周に略円弧状の摩擦面を有する第2移動プ
ーリ部材と、両端が上記第1固定板に固定された状態で
第1移動プーリ部材の摩擦面に巻き掛けられた第1摩擦
部材と、両端が上記第2固定板に固定された状態で第2
移動プーリ部材の摩擦面に巻き掛けられた第2摩擦部材
とを設ける。また、上記第1移動プーリ部材の偏心回動
中心を、第1移動プーリ部材の摩擦面に巻き掛けられた
第1摩擦部材の接触中央点と該第1移動プーリ部材の摩
擦面の円弧中心点とを結ぶ直線に対して一方側に片寄っ
た位置に設定する一方、上記第2移動プーリ部材の偏心
回動中心を、第2移動プーリ部材の摩擦面に巻き掛けら
れた第2摩擦部材の接触中央点と該第2移動プーリ部材
の摩擦面の円弧中心点とを結ぶ直線に対して上記第1移
動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向側に
片寄った位置に設定すると共に、上記第1移動プーリ部
材をその偏心回動中心を中心として第1摩擦部材に初期
張力を付与するよう外方に回動付勢する第1付勢手段
と、上記第2移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心
として第2摩擦部材に初期張力を付与するよう外方に回
動付勢する第2付勢手段とを設けた構成としている。
【0018】請求項8記載の発明は、上記請求項1、
2、3、4、5、6または7記載の減衰装置において、
移動プーリ部材の重心位置は、レバー部材が回動する際
における移動プーリ部材の偏心回動中心の移動軌跡に対
してレバー部材回動中心と反対側に設定した構成として
いる。
【0019】
【作用】上記の構成により、本発明では以下に述べるよ
うな作用が得られる。請求項1記載の発明では、レバー
部材に対して、該レバー部材を移動プーリ部材の偏心回
動中心の偏心方向に回動させるような外力が作用した場
合、固定プーリ部材は回動不能であるために、上記偏心
方向とは逆方向に位置する摩擦部材のスパンの張力が外
力の大きさに応じて上昇しようとする。ところが、この
張力の上昇分は、移動プーリ部材が、偏心回動中心を回
動中心として、両プーリ部材の摩擦面の円弧中心同士の
距離を小さくする方向に回動することによって吸収され
る。このため、摩擦部材の張力は上昇せず、各プーリ部
材の少なくとも一方と摩擦部材との間で滑りが発生し、
レバー部材の回動は許容されることになる。つまり、こ
の回動方向の減衰力は小さくなっている。
【0020】一方、レバー部材に対して、該レバー部材
を移動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向と逆方向に
回動させるような外力が作用した場合、固定プーリ部材
は回動不能であるために、上記偏心方向に位置する摩擦
部材のスパンの張力が外力の大きさに応じて上昇する。
そして、この張力の上昇分は、移動プーリ部材が、偏心
回動中心を回動中心として、両プーリ部材の摩擦面の円
弧中心同士の距離を大きくする方向に回動する回動力と
なる。ところが、摩擦部材に伸びが発生しない限り移動
プーリ部材は回動できないので、この回動力は上記偏心
方向とは逆方向に位置する摩擦部材のスパンの張力を上
昇させることになり、摩擦部材全体としての張力が増大
し、これによって摩擦部材の各プーリ部材に対する加圧
力が上昇して、この各部材間に高いグリップ力が発生す
る。このため、レバー部材に作用する外力に対して大き
な減衰力(回動反力)が発生することになり、各プーリ
部材の少なくとも一方と摩擦部材との間で滑りが発生し
ない限りレバー部材の回動が阻止されることになる。つ
まり、この回動方向の減衰力は大きく設定されている。
【0021】そして、レバー部材を上記偏心方向と逆方
向に回動させる外力として、各プーリ部材と摩擦部材と
の間のグリップ力にうち勝つ大きな外力が作用した場合
には、各プーリ部材の少なくとも一方と摩擦部材との間
で滑りが発生し、これにより、レバー部材は回動を開始
することになる。
【0022】このように、上記減衰機構は、2つのプー
リ間に伝動ベルトを巻き掛けたベルト伝動機構と同様の
簡単な構造で減衰力を発生させることができるので、部
品点数が少なくて済み、組立が容易である。さらに、各
スパンの張力変化に応じて減衰力が変化するので、スパ
ンの張力変化量を調整することにより減衰特性を変更で
き、したがって、減衰特性の設定変更が容易である。ま
た、温度により特性が変化し易い作動油等の作動体を用
いることなく減衰力が発生するので、温度変化に対し安
定した減衰特性が得られる。更に、過度の外力に対して
は各プーリ部材の少なくとも一方と摩擦部材との間で滑
りが発生することによりフェールセーフ機能が具備され
ている。
【0023】請求項2記載の発明では、一方向規制手段
により、作用力部に作用する外力によりレバー部材が移
動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向に向って回動す
る際には摩擦部材の滑りの発生が規制される一方、レバ
ー部材が移動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向とは
逆方向に向って回動する際には摩擦部材の滑りの発生が
許容される。つまり、レバー部材の揺動に伴って摩擦部
材は各プーリ部材間を一方向に循環することになる。こ
のため、各プーリ部材に対する摩擦部材の接触部分が変
更されることになるので、摩擦部材の一部分のみが常に
プーリ部材に接触して局部的に劣化してしまうようなこ
とが回避され、摩擦部材の長寿命化を図ることができ
る。
【0024】請求項3及び4記載の発明では、作用力部
に作用する外力によりレバー部材が移動プーリ部材の偏
心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動する際に
摩擦部材との間で滑りが発生するプーリ部材側の設定
を、簡単でかつ実用性の高い構成によって行うことがで
きる。
【0025】請求項5記載の発明では、上述した請求項
1記載の発明に係る作用と略同様にして、レバー部材の
一方向の回動に対する減衰力を小さく、他方向の回動に
対する減衰力を大きくすることができる。
【0026】請求項6記載では請求項1記載の発明に係
る作用を、請求項7記載の発明では請求項5記載の発明
に係る作用を、レバー部材の回動方向の両方向において
得ることができる。つまり、レバー部材の回動方向の両
方向に対して高い減衰力を得る構成とすることができ
る。また、この構成によれば、各摩擦部材のスパンの張
力変化量を調整することにより減衰特性を変更できるの
で、レバー部材の回動方向の両方向において夫々異なっ
た減衰特性の設定が容易である。
【0027】請求項8記載の発明では、レバー部材に作
用する減衰すべき外力が衝撃荷重であった場合、移動プ
ーリ部材の重心位置が、レバー部材が回動する際におけ
る移動プーリ部材の偏心回動中心の移動軌跡に対して外
周側に位置されているために、その慣性力によって移動
プーリ部材は上記偏心方向とは逆方向に位置する摩擦部
材のスパンの張力を上昇させるように回動しようとして
軸荷重を上昇させる。また、この偏心方向とは逆方向に
位置する摩擦部材のスパンでは、上述したように、上記
偏心方向に位置する摩擦部材のスパンの張力の上昇に伴
って所定の上昇割合で上昇されている。このように、軸
荷重を上昇させる要因が2箇所で発生することにより、
衝撃荷重が作用した場合には、静的な荷重が作用した場
合に比べて、摩擦部材と各プーリ部材との間でのグリッ
プ力も大きくなり、大きな減衰力を発生させることがで
き、これにより、衝撃荷重に対して不用意にレバー部材
が回動してしまうような状況の発生を回避できる。
【0028】
【実施例】
(第1実施例)次に、本発明に係る減衰装置の第1実施
例について説明する。図1〜図3は本実施例に係る減衰
装置の全体構成を示しており、図1は減衰装置のフロン
ト(正面)側を示す図、図2は減衰装置のリヤ(背面)
側を示す図、図3は図1におけるIII-III 線に沿った断
面図(左側がフロント、右側がリヤ)である。
【0029】これら各図に示すように、この減衰装置
は、外径寸法の等しい上下一対のプーリ部材1,2、レ
バー部材3、摩擦部材としてのベルト4及び付勢手段と
しての初期張力付与ばね5を備えて成っている。以下、
各部材について詳しく説明する。
【0030】下側に位置するプーリ部材1は、各図に仮
想線で示す固定側としての固定基材6に回動不能に固定
された固定プーリ部材となっていると共に、フロント側
が開口された有底円筒状のカップ形状を呈し、その全周
に亘って円弧状の摩擦面1aを備えている。また、その
内部における底壁中央から中心軸O1 に沿ってフロント
側に延びる円柱状の軸受部1bを有している。
【0031】レバー部材3は、平板状の板材で成り、そ
の下端部にリヤ側に突出するボス部3aを有し、該ボス
部3aが固定プーリ部材1の軸受部1bにベアリングB
1を介して装着されており、これにより、固定プーリ部
材1のフロント側において、該固定プーリ部材1の中心
点O1 回りに回動自在に支持されている。また、このレ
バー部材3の上端部には、図示しない減衰対象に連結さ
れて、この減衰対象から作用する外力が作用する作用力
部3bが形成されている。更に、このレバー部材3の作
用力部3bから所定寸法を存した下側位置には図1にお
いて右側に張出された突出片部3cが形成されており、
この突出片部3cのリヤ側面には円柱状の偏心軸受部3
dが突設されている。
【0032】上側に位置するプーリ部材2は、レバー部
材3のリヤ側に配設され、開口2aを有し、この開口2
aに偏心軸受部3dが挿通されることによりレバー部材
3に回動自在に支持された移動プーリ部材となってい
る。また、この移動プーリ部材2の外周縁は円弧状の摩
擦面2bを備え、この外周縁における固定プーリ部材1
に対向する下側部分の一部は切欠かれて平坦なばね当接
面2cとなっている。
【0033】そして、この移動プーリ部材2の特徴とし
ては、摩擦面2bの円弧中心点O2に対して図1におい
て水平方向右側に所定寸法t1 だけ偏心した位置O3 に
おいて偏心軸受部3dに回動自在に支持されていること
にある。つまり、上記開口2aの位置が摩擦面2bの円
弧中心点O2 に対して偏心されている。このため、この
移動プーリ部材2が偏心軸(偏心回動中心)O3 回りに
図1における反時計回り方向に回動した場合には、この
移動プーリ部材2の中心点O2 と固定プーリ部材1の中
心点O1 との間隔寸法t2 が小さくなる一方、時計回り
方向に回動した場合には、移動プーリ部材2の中心点O
2 と固定プーリ部材1の中心点O1 との間隔寸法t2 が
大きくなるような構成となっている。
【0034】ベルト4は、固定プーリ部材1及び移動プ
ーリ部材2の各摩擦面1a,2bに亘って掛け渡された
エンドレスの平ベルトで成っている。
【0035】初期張力付与ばね5は、ベルト4に所定の
初期張力を与えるためのものであって、レバー部材3の
リヤ側面における固定プーリ部材1と移動プーリ部材2
との間で、且つ各プーリ部材1,2の中心点O1,O2 を
結ぶ直線L1 に対して偏心軸O3 の偏心方向とは逆方向
(図1における左方向)に偏心した位置に突設された小
径のピン3eに一端が係止されていると共に、他端が移
動プーリ部材2のばね当接面2cに当接するように縮装
されている。このため、この初期張力付与ばね5の付勢
力は、移動プーリ部材2を偏心軸O3 回りに図1におけ
る時計回り方向に回動させる力として作用する。つま
り、移動プーリ部材2の中心点O2 と固定プーリ部材1
の中心点O1 との間隔寸法t2 を大きくする方向への回
動付勢力によりベルト4に所定の張力を与え、この張力
が、ベルト4に外力が作用していない状態での初期張力
として得られるような構成となっている。また、初期張
力付与ばね5の付勢力は、各プーリ部材1,2とベルト
4との間に所定の摩擦力が得られる程度の値に設定され
ている。
【0036】次に、上述の如く構成された減衰装置の減
衰動作について説明する。今、各プーリ部材1,2に掛
け渡されているベルト4において、図1の右側のスパン
の張力をT1 ,左側のスパンの張力をT2 とし、レバー
部材3の作用力部3bに減衰対象からの外力が作用する
場合を考える。
【0037】先ず、レバー部材3を図1における時計回
り方向に回動させるような外力(図1の矢印A)が作用
した場合について説明する。このような外力Aが作用し
た場合には、固定プーリ部材1は回動不能であるため
に、左側スパンの張力T2 が外力Aの大きさに応じて上
昇しようとする。ところが、この張力T2 の上昇分は、
移動プーリ部材2が偏心軸O3 を回動中心として反時計
回り方向に回動することによって吸収される。つまり、
移動プーリ部材2の中心点O2 と固定プーリ部材1の中
心点O1 との間隔寸法t2 が小さくなる方向に移動プー
リ部材2が回動することにより、ベルト4の張力は上昇
しない。これによって各プーリ部材1,2とベルト4と
は、初期張力付与ばね5によって与えられる初期張力の
みによって当接されることになり、上記間隔寸法t2 が
小さくなることにより各プーリ部材1,2の少なくとも
一方とベルト4との間で滑りが発生し、これによって、
レバー部材3の時計回り方向の回動は許容されることに
なる。尚、ここでのプーリ部材1,2とベルト4との間
で滑りの発生は、各プーリ部材1,2の径が異なる場合
には小径側において起り、図1のような同径の場合には
主に固定プーリ部材1において起る。
【0038】次に、逆にレバー部材3を図1における反
時計回り方向に回動させるような外力(図1の矢印B)
が作用した場合について説明する。このような外力Bが
作用した場合には、固定プーリ部材1は回動不能である
ために、右側スパンの張力T1 が外力Bの大きさに応じ
て上昇する。そして、この張力T1 の上昇分は移動プー
リ部材2を偏心軸O3 を回動中心として時計回り方向に
回動させる回動力となる。ところが、この回動力は、移
動プーリ部材2の中心点O2 と固定プーリ部材1の中心
点O1 との間隔寸法t2 が大きくなる方向であるので、
ベルト4に伸びが発生しない限り移動プーリ部材2は回
動できない。このため、この回動力は左側スパンの張力
T2 を上昇させることになる。つまり、張力T1 の上昇
によって移動プーリ部材2に与えられる回動力が張力T
2 に変換される。また、このときの張力T2 の上昇割合
は、移動プーリ部材2の偏心軸O3 の偏心寸法t1 によ
って設定される。即ち、偏心寸法t1 が短い場合には、
T1 の上昇分に対するT2の上昇割合は比較的大きく、
偏心寸法t1 が長くなるに従って、T1 の上昇分に対す
るT2 の上昇割合は小さくなる。
【0039】このようにして、張力T1 の上昇に比例し
て張力T2 も所定割合で上昇するために、ベルト4全体
としての張力が増大し、これによってベルト4の各プー
リ部材1,2に対する加圧力が上昇して、この各部材間
に高いグリップ力が発生する。このため、レバー部材3
に作用する外力Bに対して大きな減衰力(回動反力)が
発生することになり、各プーリ部材1,2の少なくとも
一方とベルト4との間で滑りが発生しない限りレバー部
材3の反時計回り方向の回動が阻止されることになる。
【0040】更に、上述した高いグリップ力の発生に伴
って移動プーリ部材2の偏心軸O3には軸荷重(図1の
矢印C)が作用する。この軸荷重Cは左右の各スパンの
張力T1 ,T2 の合力であって、この荷重Cはレバー部
材3を時計回り方向に回動させる回動トルクを発生させ
ることになり、この回動トルクはレバー部材3に作用す
る外力Bに対して逆方向に作用する反力Dとなる。つま
り、この反力Dによってもレバー部材3に作用する外力
Bに対して大きな減衰力(回動反力)が発生することに
なって、各プーリ部材1,2の少なくとも一方とベルト
4との間で滑りが発生しない限りレバー部材3の反時計
回り方向の回動が阻止されることになる。
【0041】そして、レバー部材3に作用する外力Bと
して、各プーリ部材1,2とベルト4との間のグリップ
力にうち勝つ大きな外力が作用した場合には、各プーリ
部材1,2の少なくとも一方とベルト4との間で滑りが
発生し、これにより、外力Bとその反力Dとのバランス
が崩れて、レバー部材3は反時計回り方向の回動を開始
することになる。また、このような滑りの発生によるレ
バー部材3の回動時にあっても上述した張力T1,T2 の
上昇による減衰力は発生しているので、この外力Bと減
衰力のバランスにより、単位時間当り滑り量は僅かとな
り、レバー部材3は徐々に元の位置に向って戻っていく
ことになる。
【0042】また、このレバー部材3が回動を開始する
外力Bの値を設定するには、偏心軸O3 の偏心量や、ベ
ルト4の種類、初期張力付与ばね5の付勢力などを適宜
設定することによって任意に得ることができる。具体的
には、偏心軸O3 の偏心寸法t1 を大きくするほどT1
の上昇分に対するT2 の上昇割合が小さくなるので、回
動を開始する外力Bの値は小さくなり、また、ベルト4
の種類としてはVベルトよりもリブ付きべルト、リブ付
きベルトよりも平ベルトの方がベルト張力に対するグリ
ップ力が小さくなるので、回動を開始する外力Bの値は
小さくなり、更に、初期張力付与ばね5の付勢力が小さ
いほどT1 の上昇に対するグリップ力が小さくなるの
で、回動を開始する外力Bの値は小さくなる。従って、
これらの設定によっては、僅かな外力Bが作用した時点
からレバー部材3の回動を開始させることもできる。
【0043】以上説明してきたように、本例の減衰装置
では、レバー部材3を図1における時計回り方向に回動
させるような外力Aが作用した場合にはレバー部材3の
回動を許容する一方、レバー部材3を反時計回り方向に
回動させるような外力Bが作用した場合にはレバー部材
3の回動を抑制する大きな減衰力を発生させることがで
きるようになっており、簡単な構成で、一方向性をもっ
た高い減衰特性を得ることができる。
【0044】このように本実施例によれば、プーリに伝
動ベルトが巻き掛けられて成るベルト伝動機構と略同様
の簡単な構造であるので、部品点数が少なくて済み、組
立が容易である。さらに、各スパンの張力変化に応じて
減衰力が変化するので、スパンの張力変化量を調整する
ことで減衰特性を変更することができ、減衰特性の設定
を容易に変更することができる。また、油圧式減衰装置
の作動油のような作動特性が温度変化の影響を受け易い
作動体を用いることなく減衰力を発生させることができ
るので、温度変化の影響を受け難い減衰特性が得られ
る。更に、過度の外力に対しては各プーリ部材の少なく
とも一方と摩擦部材との間で滑りが発生することにより
フェールセーフ機能が具備されている。
【0045】また、本例では、各プーリ部材1,2に掛
け渡される摩擦部材をエンドレスのベルト4としたが、
これに限らず、有端状のベルトとし、各端部を固定プー
リ部材1に固着するような構成としても同様の作用及び
効果を得ることができる。また、このような場合、固定
プーリ部材1には摩擦面を備えさせる必要はなく、移動
プーリ部材2の偏心回動中心O3 は、移動プーリ部材2
の摩擦面2bに巻き掛けられたベルト4の接触中央点と
該移動プーリ部材2の摩擦面2bの円弧中心点O2 とを
結ぶ直線に対して一方側に片寄った位置に設定されるこ
とになる。
【0046】(第2実施例)次に、本発明に係る減衰装
置を、自動車エンジンによる補機類駆動のためのVベル
トに所定の張力を付与し、且つその張力変動に応じて張
力調整動作に対する減衰力を自動的に変化させるように
したオートテンショナに適用した場合の実施例について
説明する。尚、以下の説明では、上述した第1実施例の
減衰装置に備えられた部材と同じ機能をもつ部材には同
符号を付す。
【0047】図4〜図6は本実施例に係るオートテンシ
ョナの全体構成を示しており、図4はオートテンショナ
のフロント側(エンジンブロック6に対向しない側)を
示す図、図5はオートテンショナのリヤ側(エンジンブ
ロック6に対向する側)を示す図、図6は図4における
VI-VI 線に沿った断面図(左側がフロント、右側がリ
ヤ)である。
【0048】これら各図に示すように、このオートテン
ショナは、自動車用エンジンのエンジンブロック6に固
定されたアルミ合金等の金属からなる固定プーリ1と、
この固定プーリ1に中心軸O1 回りに回動可能に支持さ
れた金属製のレバー部材3と、これら固定プーリ1とレ
バー部材3との間に縮装され、レバー部材3を固定プー
リ1に対し図4の時計回り方向に回動付勢する捩りコイ
ルばね7と、レバー部材3に回動軸心(偏心回動中心)
O3 回りに回動可能に支持された金属製の移動プーリ2
と、固定プーリ1及び移動プーリ2に掛け渡されたリブ
付きベルト4と、レバー部材3に回動軸心O2 回りに回
動可能に支持され、エンジンの補機類駆動用のVベルト
9に所定の張力を付与するためのテンションプーリ8と
を備えている。以下、各部材について詳述する。
【0049】固定プーリ1は、フロント側(図6の左
側)が開口された有底円筒状のカップ形状を呈し、その
内部において底壁中央から中心軸O1 に沿ってフロント
側に延びる円筒状の軸受部1bを有している。また、こ
の固定プーリ1外周縁の摩擦面1aには、リブ付きベル
ト4のリブが係合するV溝1cが周方向の全周に亘って
形成されている一方、内周面の底部近傍位置には半径方
向外側に向って凹陥されたばねリヤ側端係止孔1dが形
成されている。
【0050】レバー部材3は、平板状のレバー本体部3
fと、該レバー本体部3fのリヤ側面における固定プー
リ1に対向する一端部(図6における下端部)から固定
プーリ1の軸受部1bに向って延び、該軸受部1bにベ
アリングB1を介して支持された円柱状の回動軸部3a
と、レバー本体部3fのリヤ側面における移動プーリ2
に対向する他端部(図6における上端部)から移動プー
リ2の回動軸として突設された第1軸部3dと、レバー
本体部3fのフロント側面からテンションプーリ8の回
動軸として突設された第2軸部3gとを備えている。ま
た、この第2軸部3gの中心部にはボルト孔3hが形成
されている。更に、このレバー部材3のレバー本体部3
fにおけるリヤ側面の固定プーリ1の内部に対向する部
分にはフロント側に向って凹陥されたばねフロント側端
係止孔3iが形成されている。
【0051】捩りコイルばね7は、本体がリヤ側端7a
からフロント側端7bに向ってフロント側から見て左巻
きに形成され、リヤ側に位置するリヤ側端7aが固定プ
ーリ1のばねリヤ側端係止孔1dに、フロント側に位置
するフロント側端7bがレバー部材3のばねフロント側
端係止孔3iに夫々嵌め込まれて縮装されており、これ
により、レバー部材3を固定プーリ1に対して所定方向
(図4における時計回り方向)に回動付勢するようにな
されている。
【0052】テンションプーリ8は、レバー部材3の第
2軸部3gにベアリングB2を介して回動自在に支持さ
れ、第2軸部3gにボルト10が螺着されることによっ
て抜け止めされていると共に、上記補機類駆動用のVベ
ルト9が図4及び図5に仮想線で示すように巻き掛けら
れており、上述した捩りコイルばね7の付勢力によって
Vベルト9を押圧して所定の張力を付与するようになっ
ている。
【0053】移動プーリ2は、外周縁の一部で固定プー
リ1に対向する部分が切欠かれ、その外周面は円弧状の
摩擦面2bと平坦なばね当接面2cとを備えている。ま
た、この移動プーリ2は、レバー部材3の第1軸部3d
に回動自在に支持されており、固定プーリ1との干渉を
回避すると共に、この固定プーリ1に対して所定間隔を
有するような位置に設けられている。そして、この移動
プーリ2の特徴としては、その回動中心O3 が円弧状の
摩擦面2bの円弧中心点O2 に対して図4の状態におい
て水平方向右側に所定寸法t1 だけ偏心されていること
にある。詳しくは、この摩擦面2bの円弧中心点O2
は、テンションプーリ8の回動中心つまり第2軸部3g
の中心点O2 に対向した位置に設定されているのに対
し、移動プーリ2の偏心軸O3 つまり第1軸部3dに支
持される開口2aの中心位置は、この円弧中心点O2 に
対して図4における寸法t1を存して水平方向右側に偏
心された位置に設定されている。このため、この移動プ
ーリ2が偏心軸O3 回りに図4における反時計回り方向
に回動した場合には、この移動プーリ2の円弧中心点O
2 と固定プーリ1の中心点O1 との間隔寸法t2 が小さ
くなる一方、時計回り方向に回動した場合には、移動プ
ーリ2の円弧中心点O2 と固定プーリ1の中心点O1 と
の間隔寸法t2 が大きくなる構成となっている。また、
この移動プーリ2の摩擦面2bには固定プーリ1と同様
にリブ付きベルト4のリブが係合するV溝2dが周方向
に亘って形成されている。
【0054】リブ付きベルト4は、固定プーリ1及び移
動プーリ2の各摩擦面1a,2bに亘って掛け渡されて
おり、固定プーリ1との接触部分は、該固定プーリ1の
摩擦面1aの下側半分であり、移動プーリ2との接触部
分は、該移動プーリ2の摩擦面2bの上側半分となって
いる。
【0055】また、レバー部材3と移動プーリ2との間
にはリブ付きベルト4に所定の初期張力を与えるための
初期張力付与ばね5が設けられている。詳しくは、レバ
ー部材3のリヤ側面における固定プーリ1と移動プーリ
2との間で、且つ各プーリ1,2の円弧中心点O1 ,O
2 を結ぶ直線L1 に対して移動プーリ2の偏心軸O3の
偏心方向とは逆方向に偏心した位置に突設された小径の
ピン3eに一端が係止され、他端が移動プーリ2のばね
当接面2cに当接するように捩りコイルばねで成る初期
張力付与ばね5が縮装されている。このため、この初期
張力付与ばね5の付勢力は、移動プーリ2を偏心軸O3
回りに図4における時計回り方向に回動させる力として
作用する。つまり、移動プーリ2の円弧中心点O2 と固
定プーリ1の中心点O1 との間隔寸法t2 を大きくする
方向への回動付勢力によりリブ付きベルト4に所定の張
力を与え、この張力が、リブ付きベルト4に外力が作用
していない状態での初張力として得られるようになって
いる。
【0056】次に、上述の如く構成されたオートテンシ
ョナの動作について説明する。尚、ここでは、各プーリ
1,2に掛け渡されているベルト4において、図4の右
側のスパンの張力をT1 ,左側のスパンの張力をT2 と
する。
【0057】捩りコイルばね7の付勢力により、レバー
部材3は図4において時計回り方向の付勢力Aが与えら
れているために、Vベルト9が掛けられているテンショ
ンプーリ8は、このVベルト9に押圧力を与えながらV
ベルト9の走行に伴って回動する。そして、この状態か
ら図示しない補機類(エアコン等)が作動して、Vベル
ト9が掛けられている補機類駆動用のプーリに負荷が掛
り、Vベルト9のテンションプーリ8が当接している部
分に緩みが発生した場合には、この緩みを吸収するため
に捩りコイルばね7の付勢力によりレバー部材3は図4
において時計回り方向に回動することになる。そして、
この回動が生じる際には、上述した第1実施例の場合と
同様の作用により、ベルト4の張力は上昇しない。これ
によって各プーリ1,2とベルト4とは、初期張力付与
ばね5によって与えられる初期張力のみによって当接さ
れており、上記間隔寸法t2 が小さくなることにより、
各プーリ部材1,2の少なくとも一方とベルト4との間
で滑りが発生し、これによって、レバー部材3の時計回
り方向の回動は許容されることになる。つまり、Vベル
ト9の張力と捩りコイルばね7の付勢力とが釣合う位置
までレバー部材3が回動してテンションプーリ8がVベ
ルト9を押圧してその緩みを吸収する。このため、Vベ
ルト9の張力は、このような緩みが発生した場合であっ
ても常に安定した値に維持されることになって補機類の
駆動が安定して行われる。即ち、本オートテンショナで
は、このようなVベルト9に緩みが発生したような状況
で必要とされるレバー部材3の回動方向には殆ど減衰力
を生じさせることなく、Vベルト9の張力維持動作を迅
速に行うことができるようになっている。
【0058】一方、上述したような状態から補機類が停
止される等して、Vベルト9が掛けられている補機類駆
動用のプーリの負荷が解除され、Vベルト9におけるテ
ンションプーリ8が当接している部分の張力が増大した
場合には、捩りコイルばね7の付勢力に抗した大きな力
Bがテンションプーリ8を介してレバー部材3を図4に
おいて反時計回り方向に回動させる方向に作用する。そ
して、この場合には、上述した第1実施例と同様の作用
により、ベルト4全体としての張力が増大し、これによ
ってベルト4の各プーリ1,2に対する加圧力が上昇し
て、この各部材間に高いグリップ力が発生する。このた
め、レバー部材3に作用するVベルト9からの力Bに対
して大きな減衰力(回動反力)が発生することになり、
各プーリ1,2の少なくとも一方とベルト4との間で滑
りが発生しない限りレバー部材3の反時計回り方向の回
動が阻止されることになる。
【0059】更に、上述した高いグリップ力の発生に伴
って移動プーリ2の偏心軸O3 には軸荷重(図4の矢印
C)が作用する。この軸荷重は左右の各スパンの張力T
1 ,T2 の合力であって、この荷重はレバー部材3を時
計回り方向に回動させる回動トルクを発生させることに
なり、この回動トルクはVベルト9からレバー部材3に
作用する力Bに対して逆方向に作用する反力Dとなる。
つまり、この反力Dによってもレバー部材3に作用する
力Bに対して大きな減衰力(回動反力)が発生すること
になって、各プーリ部材1,2の少なくとも一方とベル
ト4との間で滑りが発生しない限りレバー部材3の反時
計回り方向の回動が阻止されることになる。
【0060】そして、レバー部材3に作用するVベルト
9からの力Bとして、各プーリ1,2とベルト4との間
のグリップ力にうち勝つ大きな力が作用した場合には、
各プーリ1,2の少なくとも一方とベルト4との間で滑
りが発生し、これにより、Vベルト9からの力Bとその
反力Dとのバランスが崩れて、レバー部材3は反時計回
り方向の回動を開始することになる。また、このような
滑りの発生によるレバー部材3の回動時にあっても上述
した張力T1,T2 の上昇による減衰力は発生しているの
で、この外力と減衰力のバランスにより、単位時間当り
滑り量は僅かとなり、レバー部材3は徐々に元の位置に
向って戻っていくことになり、Vベルト9は徐々に元の
張力状態に戻っていく。
【0061】つまり、Vベルト9の張力が増大した場合
のレバー部材3の回動を抑制することにより、Vベルト
9のばた付きを回避しながら張力をコントロールするこ
とができる。即ち、本オートテンショナでは、このよう
なVベルト9の張力が増大したような状況でのレバー部
材3の回動方向に大きな減衰力を発生させて、Vベルト
9の走行を安定して得ることができる。
【0062】以上のように、本発明に係る減衰装置を利
用した本例のオートテンショナにあっては、Vベルト9
の緩みを吸収する方向へのレバー部材3の回動に対する
減衰力は小さく、Vベルト9の張力増大によってレバー
部材3に与えられる回動力に対する減衰力は大きくなる
ような構成とすることができ、一方向性をもった高い減
衰特性を得ることができる。
【0063】このように本実施例によっても上述した第
1実施例と同様に、部品点数の減少による組立作業の容
易化、減衰特性の設定変更の簡略化、温度依存性の抑
制、過度の外力に対するフェールセーフ機能といった効
果を備えさせることができる。
【0064】また、この種のオートテンショナの変形例
として、図7には、リブ付きベルトに代えて平ベルト4
´を用いた場合を示している。このような構成によれ
ば、上述したように、ベルト張力の上昇分に対するグリ
ップ力の上昇割合が比較的小さく設定でき、これによっ
てレバー部材3の回動を開始するVベルト9からの抗力
の設定値を小さくできる。つまり、比較的小さなVベル
ト9からの抗力が作用した時点からレバー部材3の回動
を開始させることができ、Vベルト9のばたつきを回避
しながらその張力を元の状態に戻す時間を短くすること
ができる。このように、ベルト4の種類を変更すること
により減衰特性を任意に設定できる。
【0065】(第3実施例)次に、本発明に係る減衰装
置を、OHCエンジンにおけるカム軸駆動のためのタイ
ミングベルトに所定の張力を付与するオートテンショナ
に適用した例について説明する。
【0066】図8〜図10は本実施例に係るオートテン
ショナの全体構成を示しており、図8はオートテンショ
ナのフロント側(エンジンブロック16に対向しない
側)を示す図、図9は図8におけるIX-IX 線に沿った断
面図(下側がフロント、上側がリヤ)、図10は図8に
おけるX-X 線に沿った断面図(左側がフロント、右側が
リヤ)である。また、図11は、このオートテンショナ
の分解斜視図を示している。
【0067】これら各図に示すように、このオートテン
ショナは、自動車用エンジンのエンジンブロック16に
固定される固定プーリ部材に相当する固定部材11と、
この固定部材11に中心軸O1 に対して偏心した位置に
外装されたレバー部材に相当する偏心筒体13と、これ
ら固定部材11と偏心筒体13との間に縮装され、偏心
筒体13を固定部材11に対し図8の反時計回り方向に
回動付勢する捩りコイルばね17と、偏心筒体13に回
動軸心O3 回りに回動可能に支持された移動プーリ部材
に相当する張力変換部材12と、固定部材11及び張力
変換部材12に掛け渡された摩擦部材に相当するベルト
14と、偏心筒体13に回動可能に支持され、エンジン
のカム軸駆動用のタイミングベルト19に所定の張力を
付与するための作用力部に相当するテンションプーリ1
8とを備えている。以下、各部材について詳述する。
【0068】固定部材11は、フロント側に位置する第
1固定部材11aと、リヤ側に位置する第2固定部材1
1bとが一体的に組付けられて成っている。第1固定部
材11aは、比較的大径で偏平な円板状のプーリ部11
cと、該プーリ部11cのリヤ側において比較的小径で
プーリ部11cよりも長さ寸法の長いシャフト部11d
とを備え、このプーリ部11cからシャフト部11dに
亘って夫々の中央部を貫通する貫通孔11eが形成され
ている。また、プーリ部11cの外周面は、ベルト14
が掛けられる摩擦面11fとなっている。第2固定部材
11bは、フロント側(図9の下側,図10の左側)が
開口された有底円筒状のカップ形状を呈し、その中央部
が上記シャフト部11dのリヤ側端部に一体的に取付け
られている。また、この第2固定部材11bは、そのリ
ヤ側面がエンジンブロック16に当接された状態で固定
されており、これによって固定部材11全体がエンジン
ブロック16に固定されている。また、この第2固定部
材11bの周壁の底部近傍位置には半径方向の延びて周
壁を貫通するばねリヤ側端係止孔11gが形成されてい
る。
【0069】偏心筒体13は、筒状の部材であって、そ
の中心点O2 に対して偏心した位置に開口13aを有
し、この開口13aに上記固定部材11のシャフト部1
1dがスリーブ部材20を介して挿通されている。これ
により、偏心筒体13は固定部材11のシャフト部11
d回りに所定の偏心量(偏心寸法t2 )をもって回動自
在に支持されている。また、この偏心筒体13のリヤ側
端部は、上記第2固定部材11bに対向するようにリヤ
側(図9の上側,図10の右側)が開口された有底円筒
状のカップ形状を呈しており、その周壁の底部近傍位置
には半径方向の延びて周壁を貫通するばねフロント側端
係止孔13bが形成されている。また、この偏心筒体1
3のフロント側の端面には張力変換部材12を回動自在
に支持するための軸孔13cが形成されている。
【0070】捩りコイルばね17は、本体がリヤ側端1
7aからフロント側端17bに向ってフロント側から見
て左巻きに形成され、リヤ側に位置するリヤ側端17a
が第2固定部材11bのばねリヤ側端係止孔11gに、
フロント側に位置するフロント側端17bが偏心筒体1
3のばねフロント側端係止孔13bに夫々嵌め込まれて
縮装されており、これにより、偏心筒体13を固定部材
11に対して所定方向(図8における反時計回り方向)
に回動付勢するようになされている。
【0071】テンションプーリ18は、偏心筒体13の
外周部にベアリングB3を介して回動自在に支持され、
カム軸を駆動するためにエンジンの図示しないクランク
軸とカムプーリとの間に掛けられたタイミングベルト1
9が図8に仮想線で示すように巻き掛けられており、上
述した捩りコイルばね17の付勢力によってタイミング
ベルト19を押圧して所定の張力を付与するようになっ
ている。
【0072】張力変換部材12は、図12に示すよう
に、略三日月状の板材で成るベース部12aの裏面側か
ら突設された回動軸12bが偏心筒体13の軸孔13c
に嵌め込まれて、この回動軸12bを中心に回動自在と
なっている。また、このベース部12aの外周縁部には
フロント側に向って延びる略円弧状の外周面を有する摩
擦板部12cが一体形成され、この摩擦板部12cの外
周面が摩擦面12dとなっている。
【0073】そして、この張力変換部材12の特徴とし
ては、その回動中心O3 が偏心筒体13の中心点O2 に
対して図8における下側に所定寸法t1 だけ偏心されて
いることにある。詳しくは、ベース部12aの裏面側に
突設された回動軸12bの位置が、ベース部12aの長
手方向の一側部近傍位置に設定されている。このため、
この張力変換部材12が偏心軸O3 回りに図8における
時計回り方向に回動した場合には、この張力変換部材1
2の摩擦面12dの円弧中心(図8に示す状態ではO2
と略一致する位置にある)と固定部材11の中心点O1
との間隔寸法t2 が小さくなる一方、反時計回り方向に
回動した場合には、張力変換部材12の摩擦面12dの
円弧中心と固定部材11の中心点O1 との間隔寸法t2
が大きくなる構成となっている。
【0074】ベルト14は、固定部材11及び張力変換
部材12の各摩擦面11f,12dに亘って掛け渡され
ている。
【0075】また、固定部材11と張力変換部材12と
の間にはベルト14に所定の初期張力を与えるための付
勢手段としての初期張力付与ばね15が設けられてい
る。詳しくは、固定部材11のプーリ部11cの外周面
の一部で張力変換部材12に対向する位置にばね挿入用
の凹陥部11hが形成されており、この凹陥部11hに
コイルばねで成る初期張力付与ばね15が収容され、こ
の初期張力付与ばね15が凹陥部11hの底部と張力変
換部材12の摩擦板部12cの内面と間に縮装されてい
る。このため、この初期張力付与ばね15の付勢力は、
張力変換部材12を偏心軸O3 回りに図8における反時
計回り方向に回動させる力として作用する。つまり、張
力変換部材12の円弧中心と固定部材11の中心点O1
との間隔寸法を大きくする方向への回動付勢力によりベ
ルト14に所定の張力を与え、この張力が、ベルト14
に外力が作用していない状態での初張力として得られる
ようになっている。また、この初期張力付与ばね15の
付勢力は、固定部材11及び張力変換部材12の各摩擦
面11f,12dとベルト4との間に所定の摩擦力が得
られる程度の値に設定されている。
【0076】次に、上述の如く構成されたタミングベル
ト用のオートテンショナの動作について説明する。尚、
ここでは、固定部材11のプーリ部11cと偏心筒体1
2の摩擦板部12cに掛け渡されているベルト14にお
いて、図8の下側のスパンの張力をT1 ,上側のスパン
の張力をT2 とする。
【0077】捩りコイルばね17の付勢力により、偏心
筒体13は図8において反時計回り方向の付勢力Aが与
えられているために、タイミングベルト19が掛けられ
ているテンションプーリ18は、このタイミングベルト
19に押圧力を与えながら該タイミングベルト19の走
行に伴って回動する。
【0078】そして、この状態からエンジンの運転状態
の変化に伴ってタイミングベルト19のテンションプー
リ18が当接している部分に緩みが発生した場合には、
この緩みを吸収するために捩りコイルばね17の付勢力
により偏心筒体13は図8において時計回り方向に回動
することになる。そして、このような場合には、上述し
た第1実施例と同様の作用により、ベルト14の張力は
上昇しない。これによって固定部材11及び張力変換部
材12の各摩擦面11f,12dとベルト14とは、初
期張力付与ばね15によって与えられる初期張力のみに
よって当接されており、上記間隔寸法が小さくなること
により、固定部材11及び張力変換部材12の各摩擦面
11f,12dの少なくとも一方とベルト14との間で
滑りが発生し、これによって、偏心筒体13の時計回り
方向の回動は許容されることになる。つまり、タイミン
グベルト19の張力と捩りコイルばね17の付勢力とが
釣合う位置まで偏心筒体13が回動してテンションプー
リ18がタイミングベルト19を押圧してその緩みを吸
収する。このため、タイミングベルト19の張力は、こ
のような緩みが発生した場合であっても常に安定した値
に維持されることになって、このタイミングベルト19
によって同期回転が行われている図示しないクランク軸
とカムプーリとの間で安定した同期回転状態が得られ
る。つまり、本オートテンショナでは、このようなタイ
ミングベルト19に緩みが発生したような状況で必要と
される偏心筒体13の回動方向には殆ど減衰力を生じさ
せることなく、タイミングベルト19の張力維持動作を
迅速に行うことができるようになっている。
【0079】一方、上述したような状態からエンジンの
運転状態の変化に伴ってタイミングベルト19における
テンションプーリ18が当接している部分の張力が増大
した場合には、捩りコイルばね17の付勢力に抗した大
きな力Bがテンションプーリ18を介して偏心筒体13
を図8において時計回り方向に回動させる方向に作用す
る。そして、この場合、上述した第1実施例と同様の作
用により、ベルト14全体としての張力が増大し、これ
によってベルト4の固定部材11及び張力変換部材12
の各摩擦面11f,12dに対する加圧力が上昇して、
この各部材間に高いグリップ力が発生する。このため、
偏心筒体13に作用するタイミングベルト19からの力
Bに対して大きな減衰力(回動反力)が発生することに
なり、固定部材11及び張力変換部材12の各摩擦面1
1f,12dの少なくとも一方とベルト14との間で滑
りが発生しない限り偏心筒体13の時計回り方向の回動
が阻止されることになる。
【0080】更に、上述した高いグリップ力の発生に伴
って張力変換部材12の偏心軸O3には軸荷重(図8の
矢印C)が作用する。この軸荷重は上下の各スパンの張
力T1 ,T2 の合力であって、この荷重は偏心筒体13
を反時計回り方向に回動させる回動トルクを発生させる
ことになり、この回動トルクはタイミングベルト19か
ら偏心筒体13に作用する力Bに対して逆方向に作用す
る反力Dとなる。つまり、この反力Dによっても偏心筒
体13に作用する力Bに対して大きな減衰力(回動反
力)が発生することになって、固定部材11及び張力変
換部材12の各摩擦面11f,12dの少なくとも一方
とベルト14との間で滑りが発生しない限り偏心筒体1
3の時計回り方向の回動が阻止されることになる。
【0081】そして、偏心筒体13に作用するタイミン
グベルト19からの力Bとして、固定部材11及び張力
変換部材12の各摩擦面11f,12dとベルト4との
間のグリップ力にうち勝つ大きな力が作用した場合に
は、各摩擦面11f,12dの少なくとも一方とベルト
14との間で滑りが発生し、これにより、タイミングベ
ルト19からの力Bとその反力Dとのバランスが崩れ
て、偏心筒体13は時計回り方向の回動を開始すること
になる。また、このような滑りの発生による偏心筒体1
3の回動時にあっても上述した張力T1,T2 の上昇によ
る減衰力は発生しているので、この外力Bと減衰力との
バランスにより、単位時間当り滑り量は僅かとなり、偏
心筒体13は徐々に元の位置に向って戻っていくことに
なり、タイミングベルト19は徐々に元の張力状態に戻
っていく。
【0082】つまり、タイミングベルト19の張力が増
大した場合の偏心筒体13の回動を抑制することによ
り、タイミングベルト19のばた付きを回避しながら張
力をコントロールすることができる。即ち、本オートテ
ンショナでは、このようなタイミングベルト19の張力
が増大したような状況での偏心筒体13の回動方向に大
きな減衰力を発生させて、タイミングベルト19の走行
を安定して得ることができ、クランク軸とカムプーリと
の間で安定した同期回転状態が得られる。
【0083】以上のように、本発明に係る減衰装置を利
用した本例のタイミングベルト用オートテンショナにあ
っては、タイミングベルト19の緩みを吸収する方向へ
の偏心筒体13の回動に対する減衰力は小さく、タイミ
ングベルト19の張力増大によって偏心筒体13に与え
られる回動力に対する減衰力は大きくなるような構成と
することができ、一方向性をもった高い減衰特性を得る
ことができる。
【0084】このように本実施例によっても上述した各
実施例と同様に、部品点数の減少による組立作業の容易
化、減衰特性の設定変更の簡略化、温度依存性の抑制、
過度の外力に対するフェールセーフ機能といった効果を
備えさせることができる。
【0085】(変形例)次に、上述したオートテンショ
ナに改良を加えた3タイプの変形例について説明する。
また、各変形例のオートテンショナの基本構成は上述し
たものと同様であるので、この変形例では、特に、上述
と異なる構成部分についてのみ説明する。
【0086】先ず、第1タイプの変形例について説明す
る。図13〜図15に示すように、この変形例は、第2
実施例に係るオートテンショナに改良を加えたものであ
って、移動プーリ2を略半円形状で、且つ固定プーリ1
に比べて小径に形成している。具体的に、本例では移動
プーリ2の径寸法を固定プーリ1に対して約70%程度
に設定している。この構成により、移動プーリ2の摩擦
面2bにおけるベルト4の接触面積は固定プーリ1の摩
擦面1aにおけるベルト4の接触面積よりも小さくなる
ので、レバー部材3が回動する際、基本的にはこの移動
プーリ2の摩擦面2bとベルト4との間で滑りが発生す
るような設定となっている。
【0087】そして、本例の特徴とする構成として、移
動プーリ2には一方向規制手段としてのベルト押え部材
31が取付けられている。このベルト押え部材31は、
アーム部31aと該アーム部31aに固着された当接体
31bとから成り、アーム部31aは、一端が移動プー
リ2のフロント側面の上端部にビス止めされ、他端がリ
ヤ側に屈曲して移動プーリ2の摩擦面2bに対向する位
置に設定されている。また、当接体31bは、アーム部
31aの他端の下面に固着され、その下端面が移動プー
リ2の摩擦面2bに掛けられているベルト4の背面に当
接し、このベルト4を摩擦面2bに向って押圧してい
る。また、このベルト4を摩擦面2bに向って押圧する
押圧力は、レバー部材3が図13における時計回り方向
に回動する際に、移動プーリ2の摩擦面2bとベルト4
との間での滑りを発生させることなく、固定プーリ1の
摩擦面1aとベルト4との間で滑りを発生させる程度に
設定されている。
【0088】このような構成により、本オートテンショ
ナの作動時には、レバー部材3が図13における時計回
り方向に回動する際には、ベルト張力の上昇が殆どない
ので、ベルト押え部材31が移動プーリ2の摩擦面2b
とベルト4との間での滑りの発生を阻止することによ
り、固定プーリ1の摩擦面1aとベルト4との間で滑り
が発生しながらレバー部材3が回動することになる。こ
れに対し、レバー部材3が図13における反時計回り方
向に回動する際には、ベルト張力の上昇によりベルト4
が移動プーリ2の摩擦面2bに押え込まれることで、ベ
ルト4の各プーリ1,2に対する加圧力はベルト押え部
材31の影響を殆ど受けないことになる。そして、この
ようなベルト4と各プーリ1,2との接触状態におい
て、この移動プーリ2は固定プーリ1よりも小径である
ために、固定プーリ1の摩擦面1aとベルト4との間で
滑りが発生することなしに、移動プーリ2の摩擦面2b
とベルト4との間で滑りが発生する。このような動作が
レバー部材3の揺動に伴って連続的に起る。つまり、レ
バー部材3が図13における時計回り方向に回動する際
には固定プーリ1において滑りが発生し、レバー部材3
が反時計回り方向に回動する際には移動プーリ2におい
て滑りが発生するので、ベルト4は、この各プーリ1,
2間を図13に矢印Eで示す方向に循環することにな
る。このため、各プーリ1,2に対するベルト4の接触
部分が変更されることになるので、ベルト4の一部分の
みが常にプーリ1,2に接触して局部的に劣化してしま
うようなことが回避され、ベルト4の長寿命化を図るこ
とができる。
【0089】また、上述した構成に代えて、固定プーリ
1を移動プーリ2に比べて小径に形成し、固定プーリ1
にベルト押え部材31を取付けるようにした場合には、
レバー部材3が図13における時計回り方向に回動する
際に移動プーリ2において滑りが発生し、レバー部材3
が反時計回り方向に回動する際に固定プーリ1において
滑りが発生するので、この場合にも、ベルト4の一部分
のみが常にプーリ1,2に接触して局部的に劣化してし
まうようなことが回避され、ベルト4の長寿命化を図る
ことができる。尚、この場合、ベルト4の循環方向は上
述とは逆方向になる。
【0090】更に、このような構成を第3実施例に係る
オートテンショナに対して適用することも可能であり、
具体的には、図8に仮想線で示すような位置にベルト押
え部材31を取付けてベルト4を張力変換部材12の摩
擦面12dに向って押圧させるようにする。また、この
タイプのオートテンショナにおいて、ベルト押え部材3
1によりベルト4を固定部材11の摩擦面11fに向っ
て押圧させるようにしてもよい。
【0091】また、本例では、各プーリ1,2の径を異
らせることによって、レバー部材3が図13において反
時計回り方向に回動する際にベルト押え部材31が配設
されている側のプーリ1,2において滑りを発生させる
ようにしたが、各プーリ1,2におけるベルト4との間
の摩擦係数を異ならせることによってもベルト押え部材
31が配設されている側のプーリ1,2において滑りを
発生させることができる。
【0092】次に、第2タイプの変形例について説明す
る。図16〜図18に示すように、この変形例は、第3
実施例に係るオートテンショナに改良を加えたものであ
って、偏心筒体13の両回動方向に対して減衰力を発生
させるようにしたものである。具体的に説明すると、固
定部材11のプーリ部11cの高さ寸法を大きく設定す
ると共に、第1移動プーリ部材としての張力変換部材
(以下第1張力変換部材という)12に対して略対称形
状の第2移動プーリ部材としての第2張力変換部材22
を、上記第1張力変換部材12の回動軸O3 の偏心方向
に対して逆方向に偏心した位置O4 において偏心筒体1
3の端面に回動自在に支持する。また、この第2張力変
換部材22の基端部と偏心筒体13との間に、該第2張
力変換部材22を図16における時計回り方向に回動付
勢する第2初期張力付与ばね25を架設する。また、図
17に示すように、第2張力変換部材22の摩擦板部2
2cは、その高さ寸法が第1張力変換部材12の摩擦板
部12cの高さ寸法よりも大きく設定され、この第1張
力変換部材12の摩擦板部12cよりもフロント側に突
出している。
【0093】また、第1張力変換部材12とプーリ部1
1cの摩擦面11fとに亘って第1ベルト14を、第2
張力変換部材22とプーリ部11cの摩擦面11fとに
亘って第2ベルト24を夫々掛け渡す。つまり、第1ベ
ルト14に対して第2ベルト24がフロント側に位置す
るように両ベルト14,24が並列に配置されている。
【0094】このような構成により、上述した減衰作用
と同様の作用が各ベルト14,24によるグリップ力に
よって発揮されることになる。つまり、偏心筒体13が
図16において時計回り方向に回動する際には、第1ベ
ルト14とそれが掛け渡されている第1張力変換部材1
2及び固定部材11によって回転を抑制するような減衰
力が発生し、逆に、偏心筒体13が図16において反時
計回り方向に回動する際には、第2ベルト24とそれが
掛け渡されている第2張力変換部材22及び固定部材1
1によって回転を抑制するような減衰力が発生すること
になる。
【0095】つまり、本例の構成によれば、両回転方向
に対して減衰力を発揮させることができ、また、夫々の
減衰力の大きさは、各張力変換部材12,22の回動軸
O3,O4 の偏心量、各ベルト14,24の種類、各初
期張力付与ばね15,25の回動付勢力の大きさの設定
により任意に設定することができるので、特に、タイミ
ングベルト19の張力が減少した際の回転方向に対する
減衰力を比較的小さく設定する一方、タイミングベルト
19の張力が上昇した際の回転方向に対する減衰力を大
きく設定するようにすれば、タイミングベルト19の張
力が減少した際における該タイミングベルト19に対す
るテンションプーリの接触圧の急激な変化を抑制してタ
イミングベルト19の劣化を抑制しながら、該タイミン
グベルト19の張力が上昇した際の走行を安定して得る
ことができることになる。尚、本例の構成によっては固
定部材11が本発明でいう第1固定プーリ部材と第2固
定プーリ部材とを兼用している。
【0096】また、このような構成を第2実施例に係る
オートテンショナに対して適用することも可能であり、
具体的には、レバー部材13のフロント側及びリヤ側に
移動プーリ2の偏心軸の偏心方向が互いに異なる一対の
減衰機構を配置させることにより、上記と同様に、両回
転方向に対して減衰力を発揮させることができ、且つ夫
々の減衰力を任意に設定することができる。
【0097】次に、第3タイプの変形例について説明す
る。図19〜図23に示すように、この変形例は、第2
実施例に係るオートテンショナに改良を加えたものであ
って、特に、移動プーリ2の形状を変更することによっ
て減衰特性を改良したものである。具体的に説明する
と、図19に示すように、移動プーリ2の内部を中空状
態にすると共に上端部に錘部材32を一体的に取付けた
構成としている。詳しくは、移動プーリ2の内部を正面
視略扇形に切除し、この移動プーリ2の本体部分の重量
を軽減しておき、摩擦面2bの幅方向の一縁部でベルト
4と干渉しない部分に比較的重量の大きな錘部材32を
取付ける。また、この錘部材32の下端と移動プーリ2
の摩擦面2bとの間にはベルト4を配置するための隙間
Sが形成されている。このような構成により、図23に
示すように、移動プーリ2全体としての重心Gは、図2
4に示すような形状であった上述した実施例のものに比
べて上側に位置され(図23のG及び図24のG´参
照)、この重心位置Gは、レバー部材3が回動する際に
おける移動プーリ2の偏心回動中心の移動軌跡L2に対
して外周側に位置されている。
【0098】次に、この構成による減衰動作について説
明する。Vベルト9からの反力(図20の矢印B)が作
用した際、このVベルト9からの反力Bが衝撃を伴わな
い静的な荷重であった場合には、上述した第2実施例の
場合と同様に、ベルト張力の増大によるベルト4と各プ
ーリ1,2との間でのグリップ力によって所定の減衰力
が得られる。
【0099】これに対し、Vベルト9からの反力が衝撃
荷重であった場合には、上述したように、移動プーリ2
の重心位置は、レバー部材3が回動する際における移動
プーリ2の偏心回動中心の移動軌跡に対して外周側に位
置されているために、その慣性力によって移動プーリ2
は、偏心軸O3 回りに図20における時計回り方向に回
動しようとする。つまり、軸荷重を上昇させることにな
る。また、両スパンのうち図20において左側のスパン
は、上述した第1実施例でも述べたように、上記荷重の
作用による右側スパンの張力T1 の上昇に伴って所定の
上昇割合で上昇されている。このように、軸荷重を上昇
させる要因が2箇所で発生することにより、衝撃荷重が
作用した場合には、静的な荷重が作用した場合に比べて
軸荷重が更に上昇することになる。このため、ベルト4
と各プーリ1,2との間でのグリップ力も大きくなり、
静的な荷重が作用した場合に比べて大きな減衰力が発生
する。
【0100】このように、本例の構成では、Vベルト9
からの反力が衝撃荷重であった場合に、その荷重に対し
て大きな減衰力を発生させることができ、荷重の速度に
対して減衰力に依存性をもたせることができて、衝撃荷
重に対して不用意にレバー部材3が回動してしまうよう
な状況の発生を回避できる。
【0101】また、このような構成を第3実施例に係る
オートテンショナに対して適用することも可能であり、
具体的には、図8に仮想線で示すように張力変換部材1
2の外周面に錘部材32を一体的に取付けるようにす
る。
【0102】尚、上述した第2及び第3実施例は、本発
明に係る減衰装置をオートテンショナに適用した場合に
ついて説明したが、本発明は、これに限らず自動車用シ
ョックアブソーバなど種々の減衰装置として適用可能で
ある。
【0103】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば以下に述べるような効果が発揮される。請求項1及び
5記載の発明によれば、プーリに伝動ベルトが巻き掛け
られて成るベルト伝動機構と略同様の構成で減衰特性が
得られる減衰装置を実現させたために、構造の簡略化に
より部品点数が少なくて済み、組立が容易である。さら
に、摩擦部材の各スパンの張力変化に応じて減衰力が変
化するので、スパンの張力変化量を調整することで減衰
特性を変更することができ、減衰特性の設定を容易に変
更することができる。また、油圧式減衰装置の作動油の
ような作動特性が温度変化の影響を受け易い作動体を用
いることなく減衰力を発生させることができるので、温
度変化の影響を受け難い減衰特性が得られる。更に、過
度の外力に対してはプーリ部材と摩擦部材との間で滑り
が発生することによりフェールセーフ機能を具備させる
ことができる。
【0104】請求項2記載の発明によれば、レバー部材
の揺動に伴って摩擦部材を各プーリ部材間で一方向に循
環させるようにしたために、各プーリ部材に対する摩擦
部材の接触部分を変更させることができ、摩擦部材の一
部分のみが常にプーリ部材に接触して局部的に劣化して
しまうようなことが回避され、摩擦部材の長寿命化を図
ることができる。
【0105】請求項3及び4記載の発明によれば、作用
力部に作用する外力によりレバー部材が移動プーリ部材
の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動する
際に摩擦部材との間で滑りが発生するプーリ部材側の設
定を、簡単でかつ実用性の高い構成によって行うことが
でき、請求項2記載の発明に係る効果を確実に得ること
ができ、装置としての信頼性を向上できる。
【0106】請求項6及び7記載の発明によれば、レバ
ー部材の回動方向の両方向に対して高い減衰力を得る構
成とすることができる。また、この構成によれば、各摩
擦部材のスパンの張力変化量を調整することにより減衰
特性を変更できるので、レバー部材の回動方向の両方向
において夫々異なった減衰特性の設定変更が容易であ
り、減衰装置としての汎用性を大幅に拡大することがで
きる。
【0107】請求項8記載の発明によれば、衝撃荷重が
作用した場合に、静的な荷重が作用した場合に比べて、
摩擦部材とプーリ部材との間でのグリップ力を大きくし
て大きな減衰力を発生できるようにしたので、衝撃荷重
に対して不用意にレバー部材が回動してしまうような状
況の発生を回避でき、減衰動作の信頼性の向上を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る減衰装置を示す正面
図である。
【図2】第1実施例に係る減衰装置の背面図である。
【図3】図1のIII −III 線断面図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るオートテンショナを
示す正面図である。
【図5】第2実施例に係るオートテンショナの背面図で
ある。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】ベルトの変形例に係る図6相当図である。
【図8】本発明の第3実施例に係るオートテンショナを
示す正面図である。
【図9】図8のIX-IX 線断面図である。
【図10】図8のX-X 線断面図である。
【図11】第3実施例に係るオートテンショナの分解斜
視図である。
【図12】張力変換部材の斜視図である。
【図13】第1タイプの変形例における図4相当図であ
る。
【図14】第1タイプの変形例における図5相当図であ
る。
【図15】第1タイプの変形例における図6相当図であ
る。
【図16】第2タイプの変形例における図8相当図であ
る。
【図17】第2タイプの変形例における図9相当図であ
る。
【図18】第2タイプの変形例における図10相当図で
ある。
【図19】第3タイプの変形例における移動プーリの斜
視図である。
【図20】第3タイプの変形例における図4相当図であ
る。
【図21】第3タイプの変形例における図5相当図であ
る。
【図22】第3タイプの変形例における図6相当図であ
る。
【図23】第3タイプの変形例における移動プーリの重
心位置を示す図である。
【図24】移動プーリの重心位置を比較するための図で
ある。
【符号の説明】
1 固定プーリ部材 1a 摩擦面 2 移動プーリ部材 2b 摩擦面 3 レバー部材 3b 作用力部 4,14 ベルト(摩擦部材) 5,15 初期張力付与ばね(付勢手段) 6,16 エンジンブロック(固定側) 11 固定部材(固定プーリ部材) 12 張力変換部材(移動プーリ部材) 13 偏心筒体(レバー部材) 31 ベルト押え部材(一方向規制手段)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定側に固定されると共に外周に略円弧
    状の摩擦面を有する固定プーリ部材と、 該固定プーリ部材に回動自在に支持されていると共に、
    減衰すべき外力が作用する作用力部を有するレバー部材
    と、 該レバー部材に上記固定プーリ部材と同一面側において
    回動自在に偏心支持されていると共に、外周に固定プー
    リ部材の摩擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を有する移
    動プーリ部材と、 上記固定プーリ部材の摩擦面と移動プーリ部材の摩擦面
    との間に巻き掛けられたエンドレスの摩擦部材と、 上記移動プーリ部材の偏心回動中心は、両プーリ部材の
    摩擦面の円弧中心点同士を結ぶ直線に対して一方側に片
    寄った位置に設定されていると共に、 上記移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心として摩
    擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付勢する付
    勢手段とを設けたことを特徴とする減衰装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の減衰装置において、 作用力部に作用する外力によりレバー部材が移動プーリ
    部材の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動
    する際に摩擦部材との間で滑りが発生するプーリ部材側
    には、作用力部に作用する外力によりレバー部材が移動
    プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向に向って回動する
    際に摩擦部材の滑りの発生を規制する一方、レバー部材
    が移動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向
    に向って回動する際に摩擦部材の滑りの発生を許容する
    一方向規制手段が設けられていることを特徴とする減衰
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の減衰装置において、 各プーリ部材は互いに径寸法が異なるように設定され、
    作用力部に作用する外力によりレバー部材が移動プーリ
    部材の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動
    する際には小径のプーリ部材において摩擦部材との間で
    滑りが発生するようになっており、 一方向規制手段は、摩擦部材を小径のプーリ部材に対し
    て押圧するように構成されていることを特徴とする減衰
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の減衰装置において、 各プーリ部材は互いに摩擦部材との間における摩擦係数
    が異なるように設定され、作用力部に作用する外力によ
    りレバー部材が移動プーリ部材の偏心回動中心の偏心方
    向とは逆方向に向って回動する際には上記摩擦係数が小
    さいプーリ部材において摩擦部材との間で滑りが発生す
    るようになっており、 一方向規制手段は、摩擦部材を上記摩擦係数が小さいプ
    ーリ部材に対して押圧するように構成されていることを
    特徴とする減衰装置。
  5. 【請求項5】 固定側に固定された固定板と、 該固定板に回動自在に支持されていると共に、減衰すべ
    き外力が作用する作用力部を有するレバー部材と、 該レバー部材に上記固定板と同一面側において回動自在
    に偏心支持されていると共に、外周に略円弧状の摩擦面
    を有する移動プーリ部材と、 両端が上記固定板に固定された状態で移動プーリ部材の
    摩擦面に巻き掛けられた摩擦部材と、 上記移動プーリ部材の偏心回動中心は、移動プーリ部材
    の摩擦面に巻き掛けられた摩擦部材の接触中央点と該移
    動プーリ部材の摩擦面の円弧中心点とを結ぶ直線に対し
    て一方側に片寄った位置に設定されていると共に、 上記移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心として摩
    擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付勢する付
    勢手段とを設けたことを特徴とする減衰装置。
  6. 【請求項6】 固定側に固定されると共に外周に略円弧
    状の摩擦面を有する第1及び第2の固定プーリ部材と、 該第1及び第2の固定プーリ部材に回動自在に支持され
    ていると共に、減衰すべき外力が作用する作用力部を有
    するレバー部材と、 該レバー部材に上記第1固定プーリ部材と同一面側にお
    いて回動自在に偏心支持されていると共に、外周に第1
    固定プーリ部材の摩擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を
    有する第1移動プーリ部材と、 上記レバー部材に上記第2固定プーリ部材と同一面側に
    おいて回動自在に偏心支持されていると共に、外周に第
    2固定プーリ部材の摩擦面と対をなす略円弧状の摩擦面
    を有する第2移動プーリ部材と、 上記第1固定プーリ部材の摩擦面と第1移動プーリ部材
    の摩擦面との間に巻き掛けられたエンドレスの第1摩擦
    部材と、 上記第2固定プーリ部材の摩擦面と第2移動プーリ部材
    の摩擦面との間に巻き掛けられたエンドレスの第2摩擦
    部材と、 上記第1移動プーリ部材の偏心回動中心は、第1固定プ
    ーリ部材の摩擦面の円弧中心点と第1移動プーリ部材の
    摩擦面の円弧中心点とを結ぶ直線に対して一方側に片寄
    った位置に設定されている一方、 上記第2移動プーリ部材の偏心回動中心は、第2固定プ
    ーリ部材の摩擦面の円弧中心点と第2移動プーリ部材の
    摩擦面の円弧中心点とを結ぶ直線に対して上記第1移動
    プーリ部材の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向側に片
    寄った位置に設定されていると共に、 上記第1移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心とし
    て第1摩擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付
    勢する第1付勢手段と、 上記第2移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心とし
    て第2摩擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付
    勢する第2付勢手段とを設けたことを特徴とする減衰装
    置。
  7. 【請求項7】 固定側に固定された第1及び第2の固定
    板と、 該第1及び第2の固定板に回動自在に支持されていると
    共に、減衰すべき外力が作用する作用力部を有するレバ
    ー部材と、 該レバー部材に上記第1固定板と同一面側において回動
    自在に偏心支持されていると共に、外周に略円弧状の摩
    擦面を有する第1移動プーリ部材と、 上記レバー部材に上記第2固定板と同一面側において回
    動自在に偏心支持されていると共に、外周に略円弧状の
    摩擦面を有する第2移動プーリ部材と、 両端が上記第1固定板に固定された状態で第1移動プー
    リ部材の摩擦面に巻き掛けられた第1摩擦部材と、 両端が上記第2固定板に固定された状態で第2移動プー
    リ部材の摩擦面に巻き掛けられた第2摩擦部材と、 上記第1移動プーリ部材の偏心回動中心は、第1移動プ
    ーリ部材の摩擦面に巻き掛けられた第1摩擦部材の接触
    中央点と該第1移動プーリ部材の摩擦面の円弧中心点と
    を結ぶ直線に対して一方側に片寄った位置に設定されて
    いる一方、 上記第2移動プーリ部材の偏心回動中心は、第2移動プ
    ーリ部材の摩擦面に巻き掛けられた第2摩擦部材の接触
    中央点と該第2移動プーリ部材の摩擦面の円弧中心点と
    を結ぶ直線に対して上記第1移動プーリ部材の偏心回動
    中心の偏心方向とは逆方向側に片寄った位置に設定され
    ていると共に、 上記第1移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心とし
    て第1摩擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付
    勢する第1付勢手段と、 上記第2移動プーリ部材をその偏心回動中心を中心とし
    て第2摩擦部材に初期張力を付与するよう外方に回動付
    勢する第2付勢手段とを設けたことを特徴とする減衰装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6または7
    記載の減衰装置において、 移動プーリ部材の重心位置は、レバー部材が回動する際
    における移動プーリ部材の偏心回動中心の移動軌跡に対
    してレバー部材回動中心と反対側に設定されていること
    を特徴とする減衰装置。
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