JP2620515B2 - オートテンショナ - Google Patents

オートテンショナ

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JP2620515B2
JP2620515B2 JP6132119A JP13211994A JP2620515B2 JP 2620515 B2 JP2620515 B2 JP 2620515B2 JP 6132119 A JP6132119 A JP 6132119A JP 13211994 A JP13211994 A JP 13211994A JP 2620515 B2 JP2620515 B2 JP 2620515B2
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/08Means for varying tension of belts, ropes, or chains
    • F16H2007/0802Actuators for final output members
    • F16H2007/081Torsion springs

Landscapes

  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車エンジ
ンのタイミングベルトや補機類駆動ベルトに張力を付与
しつつ外力としてのベルト反力を減衰させるオートテン
ショナに関し、特に減衰機構の簡単化を図る対策に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のオートテンショナと
しては油圧式のものが一般に普及しており、その一例と
して例えば実開平4−66448号公報で知られている
ものがある。
【0003】このものでは、作動油が充填されたシリン
ダボディと、該シリンダボディ内に往復動自在に嵌挿さ
れ、シリンダボディ内を第1及び第2の2つの油室に区
画するピストンと、シリンダにおける第1油室側の端部
壁を貫通して内端部がピストンに移動一体に連結された
ピストンロッドと、第2油室に縮装され、シリンダが伸
長するようにピストンを第1油室の側に向けて押動付勢
する圧縮コイルばねとを備えている。そして、上記ピス
トン及びシリンダにそれぞれ両油室を互いに連通する連
通路が設けられ、かつピストン側の連通路にはチェック
バルブが設けられている。
【0004】上記チェックバルブは、シリンダの収縮方
向への外力の作用によりピストンが圧縮コイルばねの付
勢方向と逆の方向に移動して第2油室の作動油が第1油
室に流入しようとするときには、連通路を閉じるように
作動してピストンの移動を規制する一方、シリンダの伸
長時にピストンが付勢方向に移動して第1油室の作動油
が第2油室に流入しようとするときには、連通路を開く
ように作動してピストンの移動を許容するようになされ
ている。これにより、上記ピストンを付勢方向とは逆の
方向に押圧してシリンダ収縮方向の外力がピストンロッ
ド先端に加わったときには、該ピストンの移動を抑制
し、このことで外力を減衰させるようになされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記油
圧式のオートテンショナでは、以下に述べるような幾つ
かの課題があり、それらの課題を解消することが求めら
れる。
【0006】(1) 作動油の流動抵抗を利用するので、高
いシール性を要し、構造が複雑となる。したがって、部
品点数が多くなりがちで組立に手間がかかり、コストダ
ウンが困難である。
【0007】(2) 過度の外力が加わった場合には、その
外力に比例して作動油の圧力が上昇することになるため
に、オートテンショナ自体が高圧により損傷する虞れが
ある。
【0008】(3) 減衰特性が連通路やチェックバルブ等
の流路抵抗によって決まることから、所定の減衰特性が
既に設定されているオートテンショナにおいて、その減
衰特性を変更調整することは困難であり、したがって、
減衰特性を変更するためには、オートテンショナ自体を
交換しなければならない。
【0009】(4) 減衰特性に関し、作動油の粘性特性が
温度変化の影響を受け易く、例えば常温時に比べて低温
時には作動油の流動抵抗が増大して減衰力が所定の値よ
りも大きくなる。
【0010】(5) 減衰機構部がその長さ方向に作動する
ことから、ピストンロッドの先端に直接にテンションプ
ーリを取付けてベルトの押圧を行うようにすると、減衰
機構部の基端側がエンジンから側方に向けて突出するこ
とになるため、減衰機構部をベルトの走行方向に沿って
配置させざるを得ない。
【0011】(6) 減衰機構部及び作動方向転換部材の2
つの部材をエンジンに取付けなければならないために、
取付けに手間がかかる。
【0012】この発明は斯かる諸点に鑑みてなされたも
のであり、その主な目的は、プーリ部材と、それに巻き
掛けられるベルト等の摩擦部材とを利用するようにする
ことにより、少ない部品点数で容易に組み立てられるよ
うにしてコストダウンが図れる一方、過度の外力に対す
るフェールセーフ機能が具備されるようにするととも
に、減衰特性の設定チューニングが容易でかつ温度依存
性を小さくし、更には、小型化を図りながらエンジンへ
の取付け作業を簡略化できるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、2つのプーリ部材間に巻き
掛けられたエンドレスのベルトの両スパンの張力が変化
すると、プーリ部材とベルトとの間のグリップ力が変化
することを利用し、減衰させるべき外力に応じて上記グ
リップ力を変化させることにより、該外力に応じた減衰
力が得られるようにし、このことで、部品点数の低減化
及び組立作業の容易化を図ってコストダウンに寄与でき
るようにする一方、過度の外力に対してはプーリ部材及
びベルト間のスリップにより対処するとともに、スパン
の張力変化率を調整することで減衰特性の設定を容易に
チューニングでき、かつ作動油が不要であることから温
度依存性が小さくなるようにし、更には、小型化を図り
ながらエンジンへの取付け作業を簡略化できるようにし
た。
【0014】具体的には、固定側に固定されると共に外
周に略円弧状の摩擦面を有する固定プーリと、該固定プ
ーリに回動自在に支持されたレバー部材と、該レバー部
材の先端部にその回動中心と平行な軸心をもって回動自
在に支持されたテンションプーリと、上記レバー部材を
固定プーリに対して所定方向に回動付勢する弾性部材
と、上記レバー部材に固定プーリと同一面側において回
動自在に偏心支持されていると共に、外周に固定プーリ
の摩擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を有する移動プー
リと、上記固定プーリの摩擦面と移動プーリの摩擦面と
の間に巻き掛けられたエンドレスのベルトとを設ける。
また、上記移動プーリの偏心回動中心を、両プーリの摩
擦面の円弧中心点同士を結ぶ直線に対して弾性部材の回
動付勢方向と同方向側に片寄った位置に設定すると共
に、上記移動プーリをその偏心回動中心を中心としてベ
ルトに初期張力を付与するよう外方に回動付勢する付勢
部材を設けた構成としている。
【0015】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
のオートテンショナにおいて、テンションプーリに作用
する外力によりレバー部材が移動プーリの偏心回動中心
の偏心方向とは逆方向に向って回動する際にベルトとの
間で滑りが発生するプーリ側に、レバー部材に作用する
弾性部材の付勢力によりレバー部材が移動プーリの偏心
回動中心の偏心方向に向って回動する際にベルトの滑り
の発生を規制する一方、テンションプーリに作用する外
力によりレバー部材が移動プーリの偏心回動中心の偏心
方向とは逆方向に向って回動する際にベルトの滑りの発
生を許容する一方向規制手段を設けた構成としている。
【0016】請求項3記載の発明は、上記請求項2記載
のオートテンショナにおいて、各プーリを互いに径寸法
が異なるように設定し、テンションプーリに作用する外
力によりレバー部材が移動プーリの偏心回動中心の偏心
方向とは逆方向に向って回動する際には小径のプーリに
おいてベルトとの間で滑りが発生するようにする。そし
て、一方向規制手段を、ベルトを小径のプーリに対して
押圧するような構成としている。
【0017】請求項4記載の発明は、上記請求項2記載
のオートテンショナにおいて、各プーリを互いにベルト
との間における摩擦係数が異なるように設定し、テンシ
ョンプーリに作用する外力によりレバー部材が移動プー
リの偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動す
る際には上記摩擦係数が小さいプーリにおいてベルトと
の間で滑りが発生するようにする。そして、一方向規制
手段を、ベルトを上記摩擦係数が小さいプーリに対して
押圧するような構成としている。
【0018】請求項5記載の発明は、弾性部材の付勢力
及びテンションプーリに作用する外力に応じた減衰力を
両方向の回動に対して得られるようにしたものである。
具体的には、固定側に固定されると共に外周に略円弧状
の摩擦面を有する第1及び第2の固定プーリと、該第1
及び第2の固定プーリに回動自在に支持されたレバー部
材と、該レバー部材の先端部にその回動中止と平行な軸
心をもって回動自在に支持されたテンションプーリと、
上記レバー部材を固定プーリに対して所定方向に回動付
勢する弾性部材と、上記レバー部材に第1固定プーリと
同一面側において回動自在に偏心支持されていると共
に、外周に第1固定プーリの摩擦面と対をなす略円弧状
の摩擦面を有する第1移動プーリと、上記レバー部材に
第2固定プーリと同一面側において回動自在に偏心支持
されていると共に、外周に第2固定プーリの摩擦面と対
をなす略円弧状の摩擦面を有する第2移動プーリと、上
記第1固定プーリの摩擦面と第1移動プーリの摩擦面と
の間に巻き掛けられたエンドレスの第1ベルトと、上記
第2固定プーリの摩擦面と第2移動プーリの摩擦面との
間に巻き掛けられたエンドレスの第2ベルトとを設け
る。また、上記第1移動プーリの偏心回動中心を、第1
固定プーリの摩擦面の円弧中心点と第1移動プーリの摩
擦面の円弧中心点とを結ぶ直線に対して弾性部材の回動
付勢方向と同方向側に片寄った位置に設定する一方、上
記第2移動プーリの偏心回動中心を、第2固定プーリの
摩擦面の円弧中心点と第2移動プーリの摩擦面の円弧中
心点とを結ぶ直線に対して弾性部材の回動付勢方向と逆
方向側に片寄った位置に設定すると共に、上記第1移動
プーリをその偏心回動中心を中心として第1ベルトに初
期張力を付与するよう外方に回動付勢する第1付勢部材
と、上記第2移動プーリをその偏心回動中心を中心とし
て第2ベルトに初期張力を付与するよう外方に回動付勢
する第2付勢部材とを設けた構成としている。
【0019】請求項6記載の発明は、上記請求項1、
2、3、4または5記載のオートテンショナにおいて、
移動プーリの重心位置を、レバー部材が回動する際にお
ける移動プーリの偏心回動中心の移動軌跡に対してレバ
ー部材回動中心と反対側に設定した構成としている。
【0020】
【作用】上記の構成により、本発明では以下に述べるよ
うな作用が得られる。請求項1記載の発明では、レバー
部材に対して、弾性部材により、該レバー部材を移動プ
ーリの偏心回動中心の偏心方向に回動させるような力が
作用した場合、固定プーリは回動不能であるために、上
記偏心方向とは逆方向に位置するベルトのスパンの張力
が外力の大きさに応じて上昇しようとする。ところが、
この張力の上昇分は、移動プーリが、偏心回動中心を回
動中心として、両プーリの摩擦面の円弧中心同士の距離
を小さくする方向に回動することによって吸収される。
このため、ベルトの張力は上昇せず、各プーリの少なく
とも一方とベルトとの間で滑りが発生し、レバー部材の
回動は許容されることになる。つまり、この回動方向の
減衰力は小さくなっている。
【0021】一方、レバー部材に対して、該レバー部材
を移動プーリの偏心回動中心の偏心方向と逆方向に回動
させるような外力が作用した場合、固定プーリは回動不
能であるために、上記偏心方向に位置するベルトのスパ
ンの張力が外力の大きさに応じて上昇する。そして、こ
の張力の上昇分は、移動プーリが、偏心回動中心を回動
中心として、両プーリの摩擦面の円弧中心同士の距離を
大きくする方向に回動する回動力となる。ところが、ベ
ルトに伸びが発生しない限り移動プーリは回動できない
ので、この回動力は上記偏心方向とは逆方向に位置する
ベルトのスパンの張力を上昇させることになり、ベルト
全体としての張力が増大し、これによってベルトの各プ
ーリに対する加圧力が上昇して、この各部材間に高いグ
リップ力が発生する。このため、レバー部材に作用する
外力に対して大きな減衰力(回動反力)が発生すること
になり、各プーリの少なくとも一方とベルトとの間で滑
りが発生しない限りレバー部材の回動が阻止されること
になる。つまり、この回動方向の減衰力は大きく設定さ
れている。
【0022】そして、レバー部材に作用する外力とし
て、各プーリとベルトとの間のグリップ力にうち勝つ大
きな外力が作用した場合には、各プーリの少なくとも一
方とベルトとの間で滑りが発生し、これにより、レバー
部材は回動を開始することになる。
【0023】そして、上記減衰機構は、2つのプーリ間
に伝動ベルトを巻き掛けたベルト伝動機構と同様の簡単
な構造であるので、部品点数が少なくて済み、組立が容
易である。さらに、各スパンの張力変化に応じて減衰力
が変化するので、スパンの張力変化量を調整することに
より減衰特性を変更でき、したがって、減衰特性の設定
変更が容易である。また、温度により特性が変化し易い
作動油等の作動体を用いることなく減衰力が発生するの
で、温度変化に対し安定した減衰特性が得られる。更
に、過度の外力に対しては各プーリの少なくとも一方と
ベルトとの間で滑りが発生することによりフェールセー
フ機能が具備されている。また、油圧式の減衰機構のよ
うなピストンロッドが不要であるので小型化を図ること
もでき、固定側への取付け箇所が1箇所で済むので、取
付け作業を簡略化できる。
【0024】請求項2記載の発明では、一方向規制手段
により、テンションプーリに作用する外力によりレバー
部材が移動プーリの偏心回動中心の偏心方向に向って回
動する際にベルトの滑りの発生が規制される一方、レバ
ー部材が移動プーリの偏心回動中心の偏心方向とは逆方
向に向って回動する際にベルトの滑りの発生が許容され
る。つまり、レバー部材の揺動に伴ってベルトは各プー
リ間を一方向に循環することになる。このため、各プー
リに対するベルトの接触部分が変更されることになるの
で、ベルトの一部分のみが常にプーリに接触して局部的
に劣化してしまうようなことが回避され、ベルトの長寿
命化を図ることができる。
【0025】請求項3及び4記載の発明では、テンショ
ンプーリに作用する外力によりレバー部材が移動プーリ
の偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動する
際にベルトとの間で滑りが発生するプーリ側の設定を、
簡単でかつ実用性の高い構成によって行うことができ
る。
【0026】請求項5記載では請求項1記載の発明に係
る作用をレバー部材の回動方向の両方向において得るこ
とができる。つまり、レバー部材の回動方向の両方向に
対して高い減衰力を得る構成とすることができる。ま
た、この構成によれば、各ベルトのスパンの張力変化量
を調整することにより減衰特性を変更できるので、レバ
ー部材の回動方向の両方向において夫々異なった減衰特
性の設定変更が容易である。
【0027】請求項6記載の発明では、レバー部材に作
用する減衰すべき外力が衝撃荷重であった場合、移動プ
ーリの重心位置が、レバー部材が回動する際における移
動プーリの偏心回動中心の移動軌跡に対して外周側に位
置されているために、その慣性力によって移動プーリは
上記偏心方向とは逆方向に位置するベルトのスパンの張
力を上昇させるように回動しようとして軸荷重を上昇さ
せる。また、この偏心方向とは逆方向に位置するベルト
のスパンでは、上述したように、上記偏心方向に位置す
るベルトのスパンの張力の上昇に伴って所定の上昇割合
で上昇されている。このように、軸荷重を上昇させる要
因が2箇所で発生することにより、衝撃荷重が作用した
場合には、静的な荷重が作用した場合に比べて、ベルト
とプーリとの間でのグリップ力も大きくなり、大きな減
衰力を発生させることができ、これにより、衝撃荷重に
対して不用意にレバー部材が回動してしまうような状況
の発生を回避できる。
【0028】
【実施例】次に、本発明に係るオートテンショナとし
て、自動車エンジンによる補機類駆動のためのVベルト
に所定の張力を付与し、且つその張力変動に応じて張力
調整動作に対する減衰力を自動的に変化させるようにし
たオートテンショナに適用した場合について説明する。
【0029】図1〜図3は本実施例に係るオートテンシ
ョナの全体構成を示しており、図1はオートテンショナ
のフロント側(エンジンブロック6に対向しない側)を
示す図、図2はオートテンショナのリヤ側(エンジンブ
ロック6に対向する側)を示す図、図3は図1における
III-III 線に沿った断面図(左側がフロント、右側がリ
ヤ)である。
【0030】これら各図に示すように、このオートテン
ショナは、自動車用エンジンのエンジンブロック6に固
定されたアルミ合金等の金属からなる固定プーリ1と、
この固定プーリ1に中心軸O1 回りに回動可能に支持さ
れた金属製のレバー部材3と、これら固定プーリ1とレ
バー部材3との間に縮装され、レバー部材3を固定プー
リ1に対し図1の時計回り方向に回動付勢する弾性部材
としての捩りコイルばね7と、レバー部材3に回動軸心
(偏心回動中心)O3 回りに回動可能に支持された金属
製の移動プーリ2と、固定プーリ1及び移動プーリ2に
掛け渡されたリブ付きベルト4と、レバー部材3に回動
軸心O2 回りに回動可能に支持され、エンジンの補機類
駆動用のVベルト9に所定の張力を付与するためのテン
ションプーリ8とを備えている。以下、各部材について
詳述する。
【0031】固定プーリ1は、フロント側(図3の左
側)が開口された有底円筒状のカップ形状を呈し、その
内部において底壁中央から中心軸O1 に沿ってフロント
側に延びる円筒状の軸受部1bを有している。また、こ
の固定プーリ1外周縁の摩擦面1aには、リブ付きベル
ト4のリブが係合するV溝1cが周方向の全周に亘って
形成されている一方、内周面の底部近傍位置には半径方
向外側に向って凹陥されたばねリヤ側端係止孔1dが形
成されている。
【0032】レバー部材3は、平板状のレバー本体部3
fと、該レバー本体部3fのリヤ側面における固定プー
リ1に対向する一端部(図3における下端部)から固定
プーリ1の軸受部1bに向って延び、該軸受部1bにベ
アリングB1を介して支持された円柱状の回動軸部3a
と、レバー本体部3fのリヤ側面における移動プーリ2
に対向する他端部(図3における上端部)から移動プー
リ2の回動軸として突設された第1軸部3dと、レバー
本体部3fのフロント側面からテンションプーリ8の回
動軸として突設された第2軸部3gとを備えている。ま
た、この第2軸部3gの中心部にはボルト孔3hが形成
されている。更に、このレバー部材3のレバー本体部3
fにおけるリヤ側面の固定プーリ1の内部に対向する部
分にはフロント側に向って凹陥されたばねフロント側端
係止孔3iが形成されている。
【0033】捩りコイルばね7は、本体がリヤ側端7a
からフロント側端7bに向ってフロント側から見て左巻
きに形成され、リヤ側に位置するリヤ側端7aが固定プ
ーリ1のばねリヤ側端係止孔1dに、フロント側に位置
するフロント側端7bがレバー部材3のばねフロント側
端係止孔3iに夫々嵌め込まれて縮装されており、これ
により、レバー部材3を固定プーリ1に対して所定方向
(図1における時計回り方向)に回動付勢するようにな
されている。
【0034】テンションプーリ8は、レバー部材3の第
2軸部3gにベアリングB2を介して回動自在に支持さ
れ、第2軸部3gにボルト10が螺着されることによっ
て抜け止めされていると共に、上記補機類駆動用のVベ
ルト9が図1及び図2に仮想線で示すように巻き掛けら
れており、上述した捩りコイルばね7の付勢力によって
Vベルト9を押圧して所定の張力を付与するようになっ
ている。
【0035】移動プーリ2は、外周縁の一部で固定プー
リ1に対向する部分が切欠かれ、その外周面は円弧状の
摩擦面2bと平坦なばね当接面2cとを備えている。ま
た、この移動プーリ2は、レバー部材3の第1軸部3d
に回動自在に支持されており、固定プーリ1との干渉を
回避すると共に、この固定プーリ1に対して所定間隔を
有するような位置に設けられている。そして、この移動
プーリ2の特徴としては、その回動中心O3 が円弧状の
摩擦面2bの円弧中心点O2 に対して図1の状態におい
て水平方向右側に所定寸法t1 だけ偏心されていること
にある。詳しくは、この摩擦面2bの円弧中心点O2
は、テンションプーリ8の回動中心つまり第2軸部3g
の中心点O2 に対向した位置に設定されているのに対
し、移動プーリ2の偏心軸O3 つまり第1軸部3dに支
持される開口2aの中心位置は、この円弧中心点O2 に
対して図1における寸法t1を存して水平方向右側に偏
心された位置に設定されている。このため、この移動プ
ーリ2が偏心軸O3 回りに図1における反時計回り方向
に回動した場合には、この移動プーリ2の円弧中心点O
2 と固定プーリ1の中心点O1 との間隔寸法t2 が小さ
くなる一方、時計回り方向に回動した場合には、移動プ
ーリ2の円弧中心点O2 と固定プーリ1の中心点O1 と
の間隔寸法t2 が大きくなる構成となっている。また、
この移動プーリ2の摩擦面2bには固定プーリ1と同様
にリブ付きベルト4のリブが係合するV溝2dが周方向
に亘って形成されている。
【0036】リブ付きベルト4は、固定プーリ1及び移
動プーリ2の各摩擦面1a,2bに亘って掛け渡されて
おり、固定プーリ1との接触部分は、該固定プーリ1の
摩擦面1aの下側半分であり、移動プーリ2との接触部
分は、該移動プーリ2の摩擦面2bの上側半分となって
いる。
【0037】また、レバー部材3と移動プーリ2との間
にはリブ付きベルト4に所定の初期張力を与えるための
付勢部材としての初期張力付与ばね5が設けられてい
る。詳しくは、レバー部材3のリヤ側面における固定プ
ーリ1と移動プーリ2との間で、且つ各プーリ1,2の
円弧中心点O1 ,O2 を結ぶ直線L1 に対して移動プー
リ2の偏心軸O3 の偏心方向とは逆方向に偏心した位置
に突設された小径のピン3eに一端が係止され、他端が
移動プーリ2のばね当接面2cに当接するように捩りコ
イルばねで成る初期張力付与ばね5が縮装されている。
このため、この初期張力付与ばね5の付勢力は、移動プ
ーリ2を偏心軸O3 回りに図1における時計回り方向に
回動させる力として作用する。つまり、移動プーリ2の
円弧中心点O2 と固定プーリ1の中心点O1 との間隔寸
法t2 を大きくする方向への回動付勢力によりリブ付き
ベルト4に所定の張力を与え、この張力が、リブ付きベ
ルト4に外力が作用していない状態での初張力として得
られるようになっている。
【0038】次に、上述の如く構成されたオートテンシ
ョナの動作について説明する。尚、ここでは、各プーリ
1,2に掛け渡されているベルト4において、図1の右
側のスパンの張力をT1 ,左側のスパンの張力をT2 と
する。
【0039】捩りコイルばね7の付勢力により、レバー
部材3は図1において時計回り方向の付勢力Aが与えら
れているために、Vベルト9が掛けられているテンショ
ンプーリ8は、このVベルト9に押圧力を与えながらV
ベルト9の走行に伴って回動する。そして、この状態か
ら図示しない補機類(エアコン等)が作動して、Vベル
ト9が掛けられている補機類駆動用のプーリに負荷が掛
り、Vベルト9のテンションプーリ8が当接している部
分に緩みが発生した場合には、この緩みを吸収するため
に捩りコイルばね7の付勢力によりレバー部材3は図1
において時計回り方向に回動することになる。そして、
この回動が生じる際、固定プーリ1は回動不能となって
いるために、左側スパンの張力T2 が捩りコイルばね7
の付勢力の大きさに応じて上昇しようとする。ところ
が、この張力の増加分は、移動プーリ2が偏心軸O3 を
回動中心として反時計回り方向に回動することによって
吸収される。つまり、移動プーリ2の円弧中心点O2 と
固定プーリ1の中心点O1 との間隔寸法t2 が小さくな
る方向に移動プーリ2が回動することにより、ベルト4
の張力は上昇しない。これによって各プーリ1,2とベ
ルト4とは、初期張力付与ばね5によって与えられる初
期張力のみによって当接されており、上記間隔寸法t2
が小さくなることにより、各プーリ部材1,2の少なく
とも一方とベルト4との間で滑りが発生し、これによっ
て、レバー部材3の時計回り方向の回動は許容されるこ
とになる。つまり、Vベルト9の張力と捩りコイルばね
7の付勢力とが釣合う位置までレバー部材3が回動して
テンションプーリ8がVベルト9を押圧してその緩みを
吸収する。このため、Vベルト9の張力は、このような
緩みが発生した場合であっても常に安定した値に維持さ
れることになって補機類の駆動が安定して行われる。つ
まり、本オートテンショナでは、このようなVベルト9
に緩みが発生したような状況で必要とされるレバー部材
3の回動方向には殆ど減衰力を生じさせることなく、V
ベルト9の張力維持動作を迅速に行うことができるよう
になっている。
【0040】一方、上述したような状態から補機類が停
止される等して、Vベルト9が掛けられている補機類駆
動用のプーリの負荷が解除され、Vベルト9におけるテ
ンションプーリ8が当接している部分の張力が増大した
場合には、捩りコイルばね7の付勢力に抗した大きな力
Bがテンションプーリ8を介してレバー部材3を図1に
おいて反時計回り方向に回動させる方向に作用する。そ
して、この場合、固定プーリ1は回動不能であるため
に、右側スパンの張力T1 がVベルト9からの抗力の大
きさに応じて上昇する。そして、この張力T1 の上昇分
は移動プーリ2を偏心軸O3 を回動中心として時計回り
方向に回動させる回動力となる。ところが、この回動力
は、移動プーリ2の円弧中心点O2 と固定プーリ部材1
の中心点O1 との間隔寸法t2 が大きくなる方向である
ので、ベルト4に伸びが発生しない限り移動プーリ2は
回動できない。このため、この回動力は左側スパンの張
力T2 を上昇させることになる。つまり、張力T1 の上
昇によって移動プーリ2に与えられる回動力が張力T2
に変換される。
【0041】このようにして、張力T1 の上昇に比例し
て張力T2 も所定割合で上昇するために、ベルト4全体
としての張力が増大し、これによってベルト4の各プー
リ1,2に対する加圧力が上昇して、この各部材間に高
いグリップ力が発生する。このため、レバー部材3に作
用するVベルト9からの力Bに対して大きな減衰力(回
動反力)が発生することになり、各プーリ1,2の少な
くとも一方とベルト4との間で滑りが発生しない限りレ
バー部材3の反時計回り方向の回動が阻止されることに
なる。
【0042】更に、上述した高いグリップ力の発生に伴
って移動プーリ2の偏心軸O3 には軸荷重(図1の矢印
C)が作用する。この軸荷重は左右の各スパンの張力T
1 ,T2 の合力であって、この荷重はレバー部材3を時
計回り方向に回動させる回動トルクを発生させることに
なり、この回動トルクはVベルト9からレバー部材3に
作用する力Bに対して逆方向に作用する反力Dとなる。
つまり、この反力Dによってもレバー部材3に作用する
力Bに対して大きな減衰力(回動反力)が発生すること
になって、各プーリ部材1,2の少なくとも一方とベル
ト4との間で滑りが発生しない限りレバー部材3の反時
計回り方向の回動が阻止されることになる。
【0043】そして、レバー部材3に作用するVベルト
9からの力Bとして、各プーリ1,2とベルト4との間
のグリップ力にうち勝つ大きな力が作用した場合には、
各プーリ1,2の少なくとも一方とベルト4との間で滑
りが発生し、これにより、Vベルト9からの力Bとその
反力Dとのバランスが崩れて、レバー部材3は反時計回
り方向の回動を開始することになる。また、このような
滑りの発生によるレバー部材3の回動時にあっても上述
した張力T1,T2 の上昇による減衰力は発生しているの
で、この外力と減衰力のバランスにより、単位時間当り
滑り量は僅かとなり、レバー部材3は徐々に元の位置に
向って戻っていくことになり、Vベルト9は徐々に元の
張力状態に戻っていく。
【0044】つまり、Vベルト9の張力が増大した場合
のレバー部材3の回動を抑制することにより、Vベルト
9のばた付きを回避しながら張力をコントロールするこ
とができる。即ち、本オートテンショナでは、このよう
なVベルト9の張力が増大したような状況でのレバー部
材3の回動方向に大きな減衰力を発生させて、Vベルト
9の走行を安定して得ることができる。
【0045】また、このレバー部材3が回動を開始する
外力Bの値を設定するには、偏心軸O3 の偏心量や、ベ
ルト4の種類、初期張力付与ばね5の付勢力などを適宜
設定することによって任意に得ることができる。具体的
には、偏心軸O3 の偏心寸法t1 を大きくするほどT1
の上昇分に対するT2 の上昇割合が小さくなるので、回
動を開始する外力Bの値は小さくなり、また、ベルト4
の種類としてはVベルトよりもリブ付きべルト、リブ付
きベルトよりも平ベルトの方がベルト張力に対するグリ
ップ力が小さくなるので、回動を開始する外力Bの値は
小さくなり、更に、初期張力付与ばね5の付勢力が小さ
いほどT1 の上昇に対するグリップ力が小さくなるの
で、回動を開始する外力Bの値は小さくなる。従って、
これらの設定によっては、僅かな外力Bが作用した時点
からレバー部材3の回動を開始させることもできる。
【0046】以上のように、本例のオートテンショナに
あっては、Vベルト9の緩みを吸収する方向へのレバー
部材3の回動に対する減衰力は小さく、Vベルト9の張
力増大によってレバー部材3に与えられる回動力に対す
る減衰力は大きくなるような構成とすることができ、一
方向性をもった高い減衰特性を得ることができる。
【0047】このように本実施例によれば、2つのプー
リ間に伝動ベルトが巻き掛けられて成るベルト伝動機構
と略同様の簡単な構造であるので、部品点数が少なくて
済み、組立が容易である。さらに、各スパンの張力変化
に応じて減衰力が変化するので、スパンの張力変化量を
調整することで減衰特性を変更することができ、減衰特
性の設定を容易に変更することができる。また、油圧式
オートテンショナの作動油のような作動特性が温度変化
の影響を受け易い作動体を用いることなく減衰力を発生
させることができるので、温度変化の影響を受け難い減
衰特性が得られる。更に、過度の外力に対しては各プー
リ部材の少なくとも一方とベルトとの間で滑りが発生す
ることによりフェールセーフ機能が具備されている。ま
た、油圧式の減衰機構のようなピストンロッドが不要で
あるので小型化を図ることもでき、エンジンへの取付け
箇所が1箇所で済むので、取付け作業を簡略化できる。
【0048】また、この種のオートテンショナの変形例
として、図4には、リブ付きベルトに代えて平ベルト4
´を用いた場合を示している。このような構成によれ
ば、上述したように、ベルト張力の上昇分に対するグリ
ップ力の上昇割合が比較的小さく設定でき、これによっ
てレバー部材3の回動を開始するVベルト9の抗力の設
定値を小さくできる。つまり、比較的小さなVベルト9
の抗力が作用した時点からレバー部材3の回動を開始さ
せることができ、Vベルト9のばたつきを回避しながら
その張力を元の状態に戻す時間を短くすることができ
る。このように、ベルト4の種類を変更することにより
減衰特性を任意に設定できる。
【0049】(変形例)次に、上述したオートテンショ
ナに改良を加えた3タイプの変形例について説明する。
また、各変形例のオートテンショナの基本構成は上述し
たものと同様であるので、この変形例では、特に、上述
と異なる構成部分についてのみ説明する。
【0050】先ず、第1タイプの変形例について説明す
る。図5〜図7に示すように、この変形例では、移動プ
ーリ2を略半円形状で、且つ固定プーリ1に比べて小径
に形成している。具体的に、本例では移動プーリ2の径
寸法を固定プーリ1に対して約70%程度に設定してい
る。この構成により、移動プーリ2の摩擦面2bにおけ
るベルト4の接触面積は固定プーリ1の摩擦面1aにお
けるベルト4の接触面積よりも小さくなるので、レバー
部材3が回動する際、基本的にはこの移動プーリ2の摩
擦面2bとベルト4との間で滑りが発生するような設定
となっている。
【0051】そして、本例の特徴とする構成として、移
動プーリ2には一方向規制手段としてのベルト押え部材
31が取付けられている。このベルト押え部材31は、
アーム部31aと該アーム部31aに固着された当接体
31bとから成り、アーム部31aは、一端が移動プー
リ2のフロント側面の上端部にビス止めされ、他端がリ
ヤ側に屈曲して移動プーリ2の摩擦面2bに対向する位
置に設定されている。また、当接体31bは、アーム部
31aの他端の下面に固着され、その下端面が移動プー
リ2の摩擦面2bに掛けられているベルト4の背面に当
接し、このベルト4を摩擦面2bに向って押圧してい
る。また、このベルト4を摩擦面2bに向って押圧する
押圧力は、レバー部材3が図5における時計回り方向に
回動する際に、移動プーリ2の摩擦面2bとベルト4と
の間での滑りを発生させることなく、固定プーリ1の摩
擦面1aとベルト4との間で滑りを発生させる程度に設
定されている。
【0052】このような構成により、本オートテンショ
ナの作動時には、レバー部材3が図5における時計回り
方向に回動する際には、ベルト押え部材31が移動プー
リ2の摩擦面2bとベルト4との間での滑りの発生を阻
止することにより、固定プーリ1の摩擦面1aとベルト
4との間で滑りが発生しながらレバー部材3が回動する
ことになる。これに対し、レバー部材3が図5における
反時計回り方向に回動する際には、ベルト張力の上昇に
よりベルト4が移動プーリ2の摩擦面2bに押え込まれ
ることで、ベルト4の各プーリ1,2に対する加圧力は
ベルト押え部材31の影響を殆ど受けないことになる。
そして、このようなベルト4と各プーリ1,2との接触
状態において、この移動プーリ2は固定プーリ1よりも
小径であるために、固定プーリ1の摩擦面1aとベルト
4との間で滑りが発生することなしに、移動プーリ2の
摩擦面2bとベルト4との間で滑りが発生する。このよ
うな動作がレバー部材3の揺動に伴って連続的に起る。
つまり、レバー部材3が図5における時計回り方向に回
動する際には固定プーリ1において滑りが発生し、レバ
ー部材3が反時計回り方向に回動する際には移動プーリ
2において滑りが発生するので、ベルト4は、この各プ
ーリ1,2間を図5に矢印Eで示す方向に循環すること
になる。このため、各プーリ1,2に対するベルト4の
接触部分が変更されることになるので、ベルト4の一部
分のみが常にプーリ1,2に接触して局部的に劣化して
しまうようなことが回避され、ベルト4の長寿命化を図
ることができる。
【0053】また、上述した構成に代えて、固定プーリ
1を移動プーリ2に比べて小径に形成し、固定プーリ1
にベルト押え部材31を取付けるようにした場合には、
レバー部材3が図5における時計回り方向に回動する際
には移動プーリ2において滑りが発生し、レバー部材3
が反時計回り方向に回動する際には固定プーリ1におい
て滑りが発生するので、この場合にも、ベルト4の一部
分のみが常にプーリ1,2に接触して局部的に劣化して
しまうようなことが回避され、ベルト4の長寿命化を図
ることができる。尚、この場合、ベルト4の循環方向は
上述とは逆方向になる。
【0054】また、本例では、各プーリ1,2の径を異
らせることによって、レバー部材3が図5において反時
計回り方向に回動する際にベルト押え部材31が配設さ
れている側のプーリ1,2において滑りを発生させるよ
うにしたが、各プーリ1,2におけるベルト4との間の
摩擦係数を異ならせることによってもベルト押え部材3
1が配設されている側のプーリ1,2において滑りを発
生させることができる。
【0055】次に、第2タイプの変形例について説明す
る。図8〜図12に示すように、この変形例は、特に、
移動プーリ2の形状を変更することによって減衰特性を
改良したものである。具体的に説明すると、図8に示す
ように、移動プーリ2の内部を中空状態にすると共に上
端部に錘部材32を一体的に取付けた構成としている。
詳しくは、移動プーリ2の内部を正面視略扇形に切除
し、この移動プーリ2の本体部分の重量を軽減してお
き、摩擦面2bの幅方向の一縁部でベルト4と干渉しな
い部分に比較的重量の大きな錘部材32を取付ける。ま
た、この錘部材32の下端と移動プーリ2の摩擦面2b
との間にはベルト4を配置するための隙間Sが形成され
ている。このような構成により、図12に示すように、
移動プーリ2全体としての重心Gは、図13に示すよう
な形状であった上述した実施例のものに比べて上側に位
置され(図12のG及び図13のG´参照)、この重心
位置Gは、レバー部材3が回動する際における移動プー
リ2の偏心回動中心の移動軌跡L2に対して外周側に位
置されている。
【0056】次に、この構成による減衰動作について説
明する。Vベルト9からの反力(図9の矢印B)が作用
した際、このVベルト9からの反力Bが衝撃を伴わない
静的な荷重であった場合には、上述した第2実施例の場
合と同様に、ベルト張力の増大によるベルト4と各プー
リ1,2との間でのグリップ力によって所定の減衰力が
得られる。
【0057】これに対し、Vベルト9からの反力が衝撃
荷重であった場合には、上述したように、移動プーリ2
の重心位置は、レバー部材3が回動する際における移動
プーリ2の偏心回動中心の移動軌跡に対して外周側に位
置されているために、その慣性力によって移動プーリ2
は、偏心軸O3 回りに図9における時計回り方向に回動
しようとする。つまり、軸荷重を上昇させることにな
る。また、両スパンのうち図9において左側のスパン
は、上述した第2実施例でも述べたように、上記荷重の
作用による右側スパンの張力T1 の上昇に伴って所定の
上昇割合で上昇されている。このように、軸荷重を上昇
させる要因が2箇所で発生することにより、衝撃荷重が
作用した場合には、静的な荷重が作用した場合に比べて
軸荷重が更に上昇することになる。このため、ベルト4
と各プーリ1,2との間でのグリップ力も大きくなり、
静的な荷重が作用した場合に比べて大きな減衰力が発生
する。
【0058】このように、本例の構成では、Vベルト9
からの反力が衝撃荷重であった場合に、その荷重に対し
て大きな減衰力を発生させることができ、荷重の速度に
対して減衰力に依存性をもたせることができて、衝撃荷
重に対して不用意にレバー部材3が回動してしまうよう
な状況の発生を回避できる。
【0059】次に、第3タイプの変形例として、上述し
たような減衰機構を一対設け、夫々の固定プーリの偏心
回動軸の偏心方向を異ならせるようにすると共に、各減
衰機構のレバー部材を共通化させるようにすれば、レバ
ー部材の回動方向の両方向に対して所定の減衰力を発生
させることができることになる。つまり、図3に示すよ
うな機構を背中合わせ状態で一対設ける構成とすること
により、上述した減衰作用と同様の作用が各減衰機構に
おいて互いに逆方向で発揮されることになる。即ち、レ
バー部材3が図1において時計回り方向に回動する際に
は、一方の減衰機構において回動を抑制するような減衰
力が発生し、逆に、レバー部材3が反時計回り方向に回
動する際には、他方の減衰機構において回動を抑制する
ような減衰力が発生することになる。つまり、この構成
では、一方の減衰機構の固定プーリ、移動プーリ、ベル
ト及び初期張力付与ばねが、本発明でいう第1固定プー
リ、第1移動プーリ、第1ベルト及び第1付勢部材に夫
々相当し、他方の減衰機構の固定プーリ、移動プーリ、
ベルト及び初期張力付与ばねが、本発明でいう第2固定
プーリ、第2移動プーリ、第2ベルト及び第2付勢部材
に夫々相当することになる。
【0060】このように、本例の構成によれば、両回転
方向に対して減衰力を発揮させることができ、また、夫
々の減衰力の大きさは、各減衰機構における移動プーリ
2の偏心回動軸の偏心量、ベルト4の種類、初期張力付
与ばね5の回動付勢力の大きさの設定により任意に設定
することができるので、特に、Vベルト9の張力が減少
した際の回動方向に対する減衰力を比較的小さく設定す
る一方、Vベルト9の張力が上昇した際の回動方向に対
する減衰力を大きく設定するようにすれば、Vベルト9
の張力が減少した際における該Vベルト9に対するテン
ションプーリ8の接触圧の急激な変化を抑制してVベル
ト9の劣化を抑制しながら、該Vベルト9の張力が上昇
した際の走行を安定して得ることができることになる。
【0061】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば以下に述べるような効果が発揮される。請求項1記載
の発明によれば、プーリに伝動ベルトが巻き掛けられて
成るベルト伝動機構と略同様の構成で減衰特性が得られ
るオートテンショナを実現させたために、構造の簡略化
により部品点数が少なくて済み、組立が容易である。さ
らに、ベルトの各スパンの張力変化に応じて減衰力が変
化するので、スパンの張力変化量を調整することで減衰
特性を変更することができ、減衰特性の設定を容易に変
更することができる。また、油圧式オートテンショナの
作動油のような作動特性が温度変化の影響を受け易い作
動体を用いることなく減衰力を発生させることができる
ので、温度変化の影響を受け難い減衰特性が得られる。
更に、過度の外力に対してはプーリとベルトとの間で滑
りが発生することによりフェールセーフ機能を具備させ
ることができる。また、油圧式の減衰機構のようなピス
トンロッドが不要であるので小型化を図ることもでき、
固定側への取付け箇所が1箇所で済むので、取付け作業
の簡略化を図ることができる。
【0062】請求項2記載の発明によれば、レバーの揺
動に伴ってベルトを各プーリ間で一方向に循環させるよ
うにしたために、各プーリに対するベルトの接触部分を
変更させることができ、ベルトの一部分のみが常にプー
リに接触して局部的に劣化してしまうようなことが回避
され、ベルトの長寿命化を図ることができる。
【0063】請求項3及び4記載の発明によれば、テン
ションプーリに作用する外力によりレバー部材が移動プ
ーリの偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動
する際にベルトとの間で滑りが発生するプーリ側の設定
を、簡単でかつ実用性の高い構成によって行うことがで
き、請求項2記載の発明に係る効果を確実に得ることが
でき、装置としての信頼性を向上できる。
【0064】請求項5記載の発明によれば、レバー部材
の回動方向の両方向に対して高い減衰力を得る構成とす
ることができる。また、この構成によれば、各ベルトの
スパンの張力変化量を調整することにより減衰特性を変
更できるので、レバー部材の回動方向の両方向において
夫々異なった減衰特性の設定変更が容易であり、オート
テンショナとして利用価値を大幅に向上することができ
る。
【0065】請求項6記載の発明によれば、衝撃荷重が
作用した場合に、静的な荷重が作用した場合に比べて、
ベルトとプーリとの間でのグリップ力を大きくして大き
な減衰力を発生できるようにしたので、衝撃荷重に対し
て不用意にレバー部材が回動してしまうような状況の発
生を回避でき、減衰動作の信頼性の向上を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るオートテンショナを示す正面図で
ある。
【図2】実施例に係るオートテンショナの背面図であ
る。
【図3】図1のIII-III 線断面図である。
【図4】ベルトの変形例に係る図3相当図である。
【図5】第1タイプの変形例における図1相当図であ
る。
【図6】第1タイプの変形例における図2相当図であ
る。
【図7】第1タイプの変形例における図3相当図であ
る。
【図8】第2タイプの変形例における移動プーリの斜視
図である。
【図9】第2タイプの変形例における図1相当図であ
る。
【図10】第2タイプの変形例における図2相当図であ
る。
【図11】第2タイプの変形例における図3相当図であ
る。
【図12】第2タイプの変形例における移動プーリの重
心位置を示す図である。
【図13】移動プーリの重心位置を比較するための図で
ある。
【符号の説明】
1 固定プーリ 1a 摩擦面 2 移動プーリ 2b 摩擦面 3 レバー部材 4 ベルト 5 初期張力付与ばね(付勢部材) 6 エンジンブロック(固定側) 7 捩りコイルばね(弾性部材) 8 テンションプーリ 31 ベルト押え部材(一方向規制手段)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定側に固定されると共に外周に略円弧
    状の摩擦面を有する固定プーリと、 該固定プーリに回動自在に支持されたレバー部材と、 該レバー部材の先端部にその回動中心と平行な軸心をも
    って回動自在に支持されたテンションプーリと、 上記レバー部材を固定プーリに対して所定方向に回動付
    勢する弾性部材と、 上記レバー部材に固定プーリと同一面側において回動自
    在に偏心支持されていると共に、外周に固定プーリの摩
    擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を有する移動プーリ
    と、 上記固定プーリの摩擦面と移動プーリの摩擦面との間に
    巻き掛けられたエンドレスのベルトと、 上記移動プーリの偏心回動中心は、両プーリの摩擦面の
    円弧中心点同士を結ぶ直線に対して弾性部材の回動付勢
    方向と同方向側に片寄った位置に設定されていると共
    に、 上記移動プーリをその偏心回動中心を中心としてベルト
    に初期張力を付与するよう外方に回動付勢する付勢部材
    とを設けたことを特徴とするオートテンショナ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のオートテンショナにおい
    て、 テンションプーリに作用する外力によりレバー部材が移
    動プーリの偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って
    回動する際にベルトとの間で滑りが発生するプーリ側に
    は、レバー部材に作用する弾性部材の付勢力によりレバ
    ー部材が移動プーリの偏心回動中心の偏心方向に向って
    回動する際にベルトの滑りの発生を規制する一方、テン
    ションプーリに作用する外力によりレバー部材が移動プ
    ーリの偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動
    する際にベルトの滑りの発生を許容する一方向規制手段
    が設けられていることを特徴とするオートテンショナ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のオートテンショナにおい
    て、 各プーリは互いに径寸法が異なるように設定され、テン
    ションプーリに作用する外力によりレバー部材が移動プ
    ーリの偏心回動中心の偏心方向とは逆方向に向って回動
    する際には小径のプーリにおいてベルトとの間で滑りが
    発生するようになっており、 一方向規制手段は、ベルトを小径のプーリに対して押圧
    するように構成されていることを特徴とするオートテン
    ショナ。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のオートテンショナにおい
    て、 各プーリは互いにベルトとの間における摩擦係数が異な
    るように設定され、テンションプーリに作用する外力に
    よりレバー部材が移動プーリの偏心回動中心の偏心方向
    とは逆方向に向って回動する際には上記摩擦係数が小さ
    いプーリにおいてベルトとの間で滑りが発生するように
    なっており、 一方向規制手段は、ベルトを上記摩擦係数が小さいプー
    リに対して押圧するように構成されていることを特徴と
    するオートテンショナ。
  5. 【請求項5】 固定側に固定されると共に外周に略円弧
    状の摩擦面を有する第1及び第2の固定プーリと、 該第1及び第2の固定プーリに回動自在に支持されたレ
    バー部材と、 該レバー部材の先端部にその回動中止と平行な軸心をも
    って回動自在に支持されたテンションプーリと、 上記レバー部材を固定プーリに対して所定方向に回動付
    勢する弾性部材と、 上記レバー部材に第1固定プーリと同一面側において回
    動自在に偏心支持されていると共に、外周に第1固定プ
    ーリの摩擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を有する第1
    移動プーリと、 上記レバー部材に第2固定プーリと同一面側において回
    動自在に偏心支持されていると共に、外周に第2固定プ
    ーリの摩擦面と対をなす略円弧状の摩擦面を有する第2
    移動プーリと、 上記第1固定プーリの摩擦面と第1移動プーリの摩擦面
    との間に巻き掛けられたエンドレスの第1ベルトと、 上記第2固定プーリの摩擦面と第2移動プーリの摩擦面
    との間に巻き掛けられたエンドレスの第2ベルトと、 上記第1移動プーリの偏心回動中心は、第1固定プーリ
    の摩擦面の円弧中心点と第1移動プーリの摩擦面の円弧
    中心点とを結ぶ直線に対して弾性部材の回動付勢方向と
    同方向側に片寄った位置に設定されている一方、 上記第2移動プーリの偏心回動中心は、第2固定プーリ
    の摩擦面の円弧中心点と第2移動プーリの摩擦面の円弧
    中心点とを結ぶ直線に対して弾性部材の回動付勢方向と
    逆方向側に片寄った位置に設定されていると共に、 上記第1移動プーリをその偏心回動中心を中心として第
    1ベルトに初期張力を付与するよう外方に回動付勢する
    第1付勢部材と、 上記第2移動プーリをその偏心回動中心を中心として第
    2ベルトに初期張力を付与するよう外方に回動付勢する
    第2付勢部材とを設けたことを特徴とするオートテンシ
    ョナ。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5記載のオ
    ートテンショナにおいて、移動プーリの重心位置は、レ
    バー部材が回動する際における移動プーリの偏心回動中
    心の移動軌跡に対してレバー部材回動中心と反対側に設
    定されていることを特徴とするオートテンショナ。
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