JP2595837B2 - 映像信号復調装置 - Google Patents

映像信号復調装置

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  • Signal Processing (AREA)
  • Television Signal Processing For Recording (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はVTR等の映像信号復調
装置に係り、特に、モアレを充分に低減し得る映像信号
復調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】VTR(ビデオテープレコーダ)のFM
映像信号用復調装置として、FM映像信号の0クロス点
を情報とするパルスカウント型復調器が、従来より一般
的に用いられている。しかるに、変調信号周波数fp
対してFM搬送波(キャリア)周波数fc がそれほど高
くない低搬送波FM信号の場合、FM復調時のパルスカ
ウンタによるサイドバンド(側帯波成分)が復調信号の
ベースバンド帯域内に混入して、信号劣化(所謂モアレ
現象)を引き起していた。
【0003】かかる現象の対策方法の一例として、FM
変調信号の搬送波周波数をfc ,変調波周波数をfp
すると、第1下側帯波を搬送波に対して所定量{fc
7MHz,fp =5MHzのとき50nsec程度}遅らせ、第1上側
帯波を搬送波に対して所定量{同じく15nsec程度}進ま
せることにより、パルスカウンタ(パルスカウント復調
器)によって発生するモアレ成分(2fc -2fp 等)を減
衰させている。或いは、このモアレがベースバンド帯域
外となるように、搬送波周波数fc をベースバンド信号
周波数最高値の1.5 倍以上に設定しているものもある。
【0004】また、S−VHS(登録商標)方式VTR
等のように、低搬送波FM記録を行なうVTRにおい
て、輝度信号画質を劣化させる要因として次の2つがあ
る。[1] 図2に示すように、FM信号の第2下側帯波以
下が周波数0Hzで折返して、FMスペクトラムに干渉
し、これが復調後にモアレとなる。特に第1下側帯波と
第2下側帯波の折返しが近い周波数となる場合にビート
を生じ、著しい画質劣化を起してしまう。このときのキ
ャリア周波数fc と変調波周波数fp の関係は、 大よそ fc −fp =−(fc −2fp ) より、近似的に fp =2fc /3 …………………………(1) となる。またこの第2下側帯波の折返しによる復調後のモアレの周波数fm は、 fm =2fc −2fp …………………………(2) となる。
【0005】[2]図3は一般的なVTR再生系(従来
の映像信号復調装置)の概略ブロック図である。図示し
ない録再ヘッドにて磁気テープより再生されたFM信号
は、プリアンプ(前置増幅器)2で増幅され、再生イコ
ライザ3にてキャリア周波数付近の群遅延特性をイコラ
イジングされた後、リミッタ4を介してFM復調器5に
供給されてされる。このFM復調器5が図5に示すよう
なパルスカウント方式の構成を採用している場合、その
出力信号のスペクトルは図4のようになり、LPF(低
域濾波器)6にてベースバンド帯域外の周波数成分を減
衰乃至除去して出力される。なお、リミッタ4はAM変
動成分を除去すると共に上側帯波を復元するものであ
り、また、図5において、8は遅延回路、9は排他的論
理和回路(乗算器を使用してもよい)である。
【0006】この図4に示されるように、出力信号には
2倍のキャリア成分2fc が発生し、その下側帯波 2f
c -2fp ,2fc -3fp 等が、ベースバンド帯域内に不要
成分として混入してモアレとなる。特に、fm =2fc
−2fp (2倍のキャリアの第2下側帯波)が、ベース
バンド信号周波数fp に近い場合にビートを生じ、著し
い画質劣化を起こす。このときのfc とfp の関係は、
モアレの周波数fm が略fp に等しくなることにより、
近似的に、 fp =2fc /3 ……………………………(3) となる。これら[1],[2] の主なモアレ成分の周波数は、
2fc −2fp =fm ,fp の式より、同一であること
が分る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の映像信号復
調装置においては、次のような欠点があった。キャリ
アに対する下側帯波の群遅延量を所定量大きくすると共
に、上側帯波の群遅延量を所定量小さくするという2つ
の操作が必要なので面倒である。VTR等では復調後
の信号のパルス特性を良好にするため、キャリア付近の
群遅延特性をイコライジングする必要があり、これを行
ないつつ上下両側帯波の群遅延量を操作するのは困難で
ある。復調時に発生するモアレは減衰できても、変調
時に発生する下側帯波の折返しによるモアレをキャンセ
ルすることはできなかった。
【0008】本発明の映像信号復調装置は、再生FM映
像信号を入力して搬送波周波数付近の群遅延特性をイコ
ライジングする再生イコライザと、AM変動成分を除去
すると共に上側帯波を復元するリミッタと、低搬送波F
M変調された映像信号を復調するFM復調器と、ベース
バンド映像信号の最高周波数より高い周波数成分を減衰
又は除去する低域濾波器とを備えた映像信号復調装置に
おいて、上記低搬送波FM変調された信号の第1下側帯
波及び第2下側帯波の折返しのみを、上記低搬送波に対
して夫々一定量遅らせるモアレ低減回路を更に備え、該
モアレ低減回路の出力信号を上記リミッタを介した後F
M復調することにより、搬送波周波数によらず常に、上
記再生FM映像信号に含まれているFM変調時に発生し
た折返しによるモアレ成分を、上記FM復調器で発生す
るモアレ成分に対してこのモアレ低減回路にて逆位相と
することにより、両者を相殺させる映像信号復調装置を
提供するものである。
【0009】
【実施例】本発明の映像信号復調装置は、FM信号の第
1下側帯波及び第2下側帯波の折返しの群遅延量を、キ
ャリアに対して夫々所定量遅らせるイコライザ回路(再
生イコライザ)3を通した後、リミッタ処理して復調す
ることにより、前記[1] で発生するモアレと [2]で発生
するモアレを互いに逆相の信号とし、両者が加算される
ことにより相殺させるものである。以下、図1等を参照
し乍ら、本発明の映像信号復調装置の一実施例について
説明する。図1は本発明の映像信号復調装置1の概略ブ
ロック図であり、この図において図3に示した従来装置
と同一構成部分には同一符号を付して、その詳細な説明
を省略する。図1中、7はモアレ低減回路であり、プリ
アンプの図示は省略している。
【0010】今、FM信号をF(t),キャリア角周波
数をω,変調波角周波数をpとすると、 F(t)=Jsinωt+J*{sin(ω+p)t−sin(ω−p )t} +J*{sin(ω+2p)t+sin(ω−2p)t}……… ………(4) (但し、ω=2πf,p=2πfとする) 前記図5に示したパルスカウント方式のFM復調器5の
出力E(t)は、 E(t)=F(t)*F(t−τ) ………………………… (5) で表わすことができる。τは遅延回路8の遅延時間であ
り、排他的論理和回路9は実際には乗算動作を行なって
いる。
【0011】FM信号F(t)の第2下側帯波の折返し
を、キャリアに対して一定量(t)遅らせ、リミッタ
4を通して上側帯波を復元した後復調すると、モアレ成
分Mは M=Acos{2(ω−p)t+2pt−ωτ−ωt+pτ}……… (6) (但し、A<0) で表わされる。また、第1下側帯波をキャリアに対して
遅らせて復調すると、復調動作によって発生するモ
アレ成分Mは、 M=Bcos{2(ω−p)t+2pt−ωτ−2ωt+pτ}…… (7) (但し、B<0) で表わされる。
【0012】ここで、M,Mの位相項を夫々φ
φとすると、 φ=2pt−ωτ−ωt+pτ …………………(8) φ=2pt−ωτ−2ωt+pτ …………………(9) となり、モアレの影響が大きい式(1)の状態では、t
=tなので、 φ=φ+ωt=φ+2πf …………………(10) と表わすことができる。
【0013】一例として、S−VHS方式VTRにおい
て比較的モアレの目立ち易い50%白レベル付近のキャ
リア周波数である6.5MHzをfの値とすると、大
よそt=77nsecに設定すれば、 φ=φ+π …………………(11) となるので、これを上式(6),(7)に代入すると、 M=Acos{2(ω−p)t+φ} …………………( 6)′ M=Bcos{2(ω−p)t+φ−π} =−Bcos{2(ω−p)t+φ} …………………… (7)′ と表わせる
【0014】よって、M,Mは互いに同一周波数で
逆相の信号となり、相殺される。これにより、従来問題
となっていた、変復調両系で発生するモアレを、図1の
モアレ低減回路7において同時に低減することができ、
大幅な画質改善効果が得られた。一般に変調波周波数が
変化すれば、第1下側帯波及び第2下側帯波の折り返し
周波数も夫々変化するが、変調周波数によらず常に式
(11)成り立つようなt,tの軌跡を式(8),
(9)から求め、このような群遅延特性をFM信号に与
えれば、変調波周波数によらずモアレM,Mはキャ
ンセルされる。なお、群遅延を操作するための、モアレ
低減回路7の具体的な回路構成例としては、抵抗R
,NPNトランジスタQ,Q及びコンデンサC
を用い、これらを図6に示すように結線するとよい。こ
の回路の群遅延特性は図7のようになる。すなわち、群
遅延特性は、モアレの目立ち易いキャリア周波数を考慮
して、変調波周波数によらず式(11)を満足するよう
に、コンデンサCの容量値及び抵抗R〜Rの値を調
整して、設定すると良い。
【0015】なお、以上の説明において、本発明の映像
信号復調装置に設けているモアレ低減回路7を、映像信
号変調装置や映像信号記録再生装置の記録信号処理系側
(即ちFM変調器と記録アンプとの間)に設けても、同
様の効果が得られる。また、モアレ低減回路7の構成例
としては、所望の群遅延特性が得られるものであれば、
図6に示したようなアクティブフィルタを用いた回路で
なくても良い。なお、VTR等においては、再生イコラ
イザ回路{磁気記録技術入門p.241(総合電子出版)参
照}において、同様の特性を得るようにしても良い。
【0016】
【発明の効果】本発明の映像信号復調装置は以上のよう
に構成したので、次のような優れた特長を有する。F
M復調時に発生するモアレの減衰は勿論、変調時に発生
する下側帯波の折返しによるモアレを同時にキャンセル
(相殺)することができ、輝度信号のエッジ部分等、高
域信号部で目立つモアレの妨害による画質劣化を大幅に
改善できた。群遅延特性の操作は下側帯波についての
み行なえば良いので、復調後のパルス特性にとって重要
であるキャリア付近の群遅延特性に影響を与えない。従
って、復調信号の歪みも殆ど無い。キャリア周波数と
変調波周波数及び必要な群遅延操作量との関係が明白で
あり、設計が容易である。モアレの影響を避けるた
め、キャリア周波数を高く設定する必要がなく、低搬送
波FM記録等を行なうVTR等にとって有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の映像信号復調装置の一実施例を示す概
略ブロック図。
【図2】低搬送波FM信号スペクトル図。
【図3】従来の代表的映像信号復調装置の概略ブロック
図。
【図4】本発明装置を構成するパルスカウント方式FM
復調器の出力信号スペクトル図。
【図5】パルスカウント方式FM復調器の回路構成図。
【図6】本発明装置を構成するモアレ低減回路の具体的
構成例を示す回路図。
【図7】モアレ低減回路の群遅延特性図。
【符号の説明】
1 映像信号復調装置 3 再生イコライザ 4 リミッタ 5 FM復調器 6 LPF 7 モアレ低減回路 8 遅延回路 9 排他的論理和回路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】再生FM映像信号を入力して搬送波周波数
    付近の群遅延特性をイコライジングする再生イコライザ
    と、AM変動成分を除去すると共に上側帯波を復元する
    リミッタと、低搬送波FM変調された映像信号を復調す
    るFM復調器と、ベースバンド映像信号の最高周波数よ
    り高い周波数成分を減衰又は除去する低域濾波器とを備
    えた映像信号復調装置において、 上記低搬送波FM変調された信号の第1下側帯波及び第
    2下側帯波の折返しのみを、上記低搬送波に対して夫々
    一定量遅らせるモアレ低減回路を更に備え、該モアレ低
    減回路の出力信号を上記リミッタを介した後FM復調す
    ることにより、搬送波周波数によらず常に、上記再生F
    M映像信号に含まれているFM変調時に発生した折返し
    によるモアレ成分を、上記FM復調器で発生するモアレ
    成分に対してこのモアレ低減回路にて逆位相とすること
    により、両者を相殺させるよう構成した映像信号復調装
    置。
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