JP2595401Y2 - 締付工具におけるビットの抜け止め構造 - Google Patents

締付工具におけるビットの抜け止め構造

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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、作業内容に合わせて先
端工具(ドライバビットやソケットビット等、以下単に
「ビット」という)を取り替えて装着する形式の例えば
スクリュードライバ等の締付工具における前記ビットの
抜け止め構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の締付工具にビットを抜け
止めした状態で装着するための構造は例えば図3に示す
ように構成したものがあった。
【0003】すなわち、駆動モータMにより回転するス
ピンドル20の中心に形成されたビット21の差込み用
の装着孔22に対応して、このスピンドル20の外周面
にはその全周にわたって溝部23が形成され、この溝部
23の底面には上記装着孔22に貫通するテーパ形状の
支持孔24が形成されている。この支持孔24にはスチ
ールボール25が嵌め込まれ、このスチールボール25
は、上記溝部23に沿って装着されたリーフスプリング
26によって、装着孔22内に突き出る方向に付勢され
ている。そして、装着孔22にビット21が差し込まれ
ると、スチールボール25はリーフスプリング26によ
って、ビット21に形成された抜け止め用の溝部27に
嵌まり込み、これによりこのビット21が抜け止めされ
た状態で装着されるようになっていた。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】このように、従来はリ
ーフスプリング26の弾性力によってスチールボール2
5をビット21の溝部26に嵌まり込んだ状態に押し付
けておくことによりこのビット21の抜け止めをなす構
成であったので、例えばビット21が、締め付けたねじ
の十字孔に食い付いたような場合に、この食い付き力が
上記リーフスプリング26の弾性力に勝るものであると
そのまま工具を引き離したのではビット21がスピンド
ル20から抜け出してしまうという問題があった。
【0005】本考案はこの問題に鑑みなされたもので、
ビットの不必要な抜け出しを確実に防止することのでき
る、締付工具におけるビットの抜け止め構造を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本考案は、スピ
ンドルがその軸方向に移動可能に支持された形式の締付
工具において、前記スピンドルが前方へ移動した時に、
ビットの抜け止めをするためのストッパ部材が前記スピ
ンドルを支持する軸受けによってビットの抜け止め溝か
ら離脱不能となり、前記スピンドルが後方へ移動した時
に、前記ストッパ部材が前記ビットの抜け止め溝から離
脱可能となる構成とした。
【0007】
【作用】上記構成によれば、ねじ締めを行うべくビット
をねじ部材に押し付けると、ビットとともにスピンドル
は工具本体の内部側に押し込まれて、駆動モータの回転
力が伝達され得る状態となり、駆動モータを起動させる
とスピンドルひいてはビットが回転され、これによりね
じ部材は回転してねじ締めがなされる。このねじ締め時
すなわちスピンドルの後退時において、ビットの抜け止
めをするためのストッパ部材はビットの抜け止め溝から
離脱可能であるので、このストッパ部材はビットの抜け
止めの機能を果しておらず、従ってビットを抜き出すこ
とができる。しかしながら、この場合は、ビットはねじ
部材に押し付けられているのでスピンドルから外れるこ
とはない。
【0008】一方、例えばねじ締めが完了して締付工具
をねじ部材から引き離す方向に移動させるとスピンドル
は締付工具に対して相対的に前方へ移動するのである
が、スピンドルが前方へ移動すると、このスピンドルを
支持する軸受によって上記ストッパ部材はビットの抜け
止め溝に嵌まり込んで離脱不能となるので、ビットは抜
け止めされた状態に保持され、この抜け止め状態はスピ
ンドルが前方位置にある限り確実に保持される。
【0009】従って、例えばねじ締め作業中にビットの
先端がねじ部材の十字孔に食い付いたような場合に、こ
の食い付き状態のまま締付工具を引き離し方向に移動さ
せても、スピンドルは後方へ移動しないのでストッパ部
材はビットの抜け止め溝に嵌まり込んだ状態のまま保持
され、従ってビットはスピンドルから外れることはなく
装着された状態のまま確実にねじ部材から引き離すこと
ができる。
【0010】また、ビットをねじ部材から完全に引き離
した状態においても、スピンドルは前方位置に保持され
るのでビットの抜け止め溝にはストッパ部材が嵌まり込
んだ状態のまま保持され、従ってビットはスピンドルか
ら外れることはなくその抜け止めがなされた状態とな
る。
【0011】なお、ビットの交換にあたってこのビット
をスピンドルから外したい場合には、ビットを押し込む
ことによりスピンドルを移動させるのではなく、スピン
ドルだけを直接押込み方向に移動させることによりスト
ッパ部材をビットの抜け止め溝から離脱可能な状態と
し、この状態においてビットだけを外し方向に移動させ
てやればよい。
【0012】
【実施例】次に、本考案の実施例を図1および図2に基
づいて説明する。本例は締付工具としてのスクリュード
ライバ1に、以下説明するビット14の抜け止め構造を
適用した場合を例示するものであり、従って、図1はこ
のスクリュードライバ1の全体を示している。なお、こ
のスクリュードライバ1においてビット10の抜け止め
をするための構造以外については特に変更を要するもの
ではないが、以下簡単に説明する。
【0013】このスクリュードライバ1のハウジング2
には駆動源としての電動モータMが収容され、この電動
モータMはトリガ4の操作によって起動停止するように
なっている。モータMの出力軸5にはギヤ歯5aが形成
され、このギヤ歯5aには駆動ギヤ6が噛み合ってい
る。この駆動ギヤ6はスピンドル8に対して相対回転可
能に支持されており、この駆動ギヤ6の回転はクラッチ
7を経てスピンドル8に伝達される。
【0014】クラッチ7は、主として適数個のスチール
ボール7aと前面(図示左端面)にクラッチ歯7cが形
成された中間クラッチ部材7bから構成されており、こ
の中間クラッチ部材7bもスピンドル8に対して相対回
転可能かつ軸方向に移動可能に支持されている。この中
間クラッチ部材7bの図示左端面にはクラッチ歯7cが
形成され、またこの中間クラッチ部材7bは、スピンド
ル8の大径部8aとの間に介装された圧縮コイルバネ7
dによって駆動ギヤ6側(図示右方)に付勢されて、駆
動ギヤ6との間に上記各スチールボール7aを挟み込ん
だ状態で押し付けられている。
【0015】一方、スピンドル8の大径部8aの図示右
端面には上記クラッチ歯7cと噛み合い可能なクラッチ
歯8bが形成されており、このスピンドル8が上記圧縮
コイルバネ7dに抗して図示右方に移動すると、クラッ
チ歯8bと7cが噛み合わされ、これにより駆動ギヤ6
ひいてはモータMの回転力がスピンドル8に伝達され
る。
【0016】上記したスチールボール7aは駆動ギヤ6
に対して中間クラッチ部材7bを一定の範囲でのみ相対
回転可能とする関係を持たせる働きをするもので、これ
により上記中間クラッチ部材7bのクラッチ歯7cとス
ピンドル8側のクラッチ歯8bがスムーズに噛み合うよ
うになっている。なお、このクラッチ7については、本
出願人の出願に係る特願平4−289654号において
詳しく開示したものであるのでそちらを参照されたい。
【0017】次に、このスピンドル8は、軸受3,10
によって回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されてい
る。このスピンドル8の先端側(図示左側)を支持する
上記軸受10は略円筒状をなすもので、その先端内周面
には突条10aが形成されている。この突条10aは、
一定の幅でこの軸受の内周の全周にわたって形成されて
おり、従ってこの突条10aの内径はその他の部分(突
条10aが形成されていない部分、以下「大径部10
b」という)の内径よりも小径となって、この軸受10
の内周面が段付形成されている。この突条10aと大径
部10bとの境部分は滑らかな傾斜面でつながってい
る。
【0018】一方、スピンドル8の上記軸受10に支持
される部分は、上記段付形成された軸受10の内周面に
対応して段付形成されており、従ってその先端側が、上
記突条10aの段差に相当する寸法だけより小径に形成
されている。この先端側の小径部8cが上記軸受10の
突条10aによって支持され、その他の部分が上記大径
部10bによって支持されている。
【0019】このスピンドル8の先端には、ビット14
を挿入するための装着孔9がその軸心に沿って所定の深
さで形成されており、この装着孔9に貫通して上記小径
部8cには軸方向に直交する方向に支持孔11が形成さ
れている。この支持孔11には、球体をなすスチールボ
ール12が嵌め込まれており、このスチールボール12
は上記支持孔11内において、スピンドル8の軸方向に
対して直交する方向に移動可能であるが、この支持孔1
1は装着孔9側(図示下側)が小径となるテーパ状に形
成されているため、このスチールボール12は装着孔9
内に突き出し可能ではあるものの脱落することはないよ
うになっている。
【0020】また、上記支持孔11と突条10aとの位
置関係は、スピンドル8が圧縮コイルバネ7dによって
図示左側の移動端(前方位置)に位置する状態におい
て、支持孔11と突条10aの軸方向の位置が一致する
ように設定されている。従って、スピンドル8が図示左
側の前方位置に位置する状態において、スチールボール
12は突条10aによって装着孔9側(図示下方)に押
し込まれてその下部が装着孔9の内周側に突き出た状態
となるとともに、支持孔11は突条10aに閉塞された
状態となってこのスチールボール12はビット14の抜
け止め溝14aから離脱する方向(図示上方)へ移動不
能な状態となる。この状態において、スチールボール1
2の、装着孔9内に突き出た部分がビット14の抜け止
め溝14aに嵌まり込んでビット14の抜け止めがなさ
れる。
【0021】図中16は、ハウジング2の先端にねじ部
16aを介して取付けられたアジャストスリーブであ
り、このアジャストスリーブ16を回転させてその締め
込み量を調整することによって、後述するストッパスリ
ーブ15を軸方向に移動させ、これによりねじの締め込
み深さを調整できるようになっている。
【0022】次に、図中13は、上記アジャストスリー
ブ16の先端開口部の内周側に嵌め込み状に保持された
防塵スリーブである。この防塵スリーブ13は、アジャ
ストスリーブ16とビット14との間を閉塞してこの締
付工具1の内部と外部を遮断し、これにより締付工具1
の内部の防塵をする機能を有する。この防塵スリーブ1
3はその後端部(図示右端部)に形成されたフランジ部
13aをハウジング2の先端内周面に形成された溝部2
aに嵌め込んだ状態で取付けられている。そして、この
溝部2aは、図示するように軸方向(図示左右方向)に
一定の幅で形成されており、これによりこの防塵スリー
ブ13は、そのフランジ部13aが上記溝部2a内にお
いて軸方向に移動できる範囲で軸方向に移動できるよう
になっている。
【0023】また、この防塵スリーブ13の後端面には
スピンドル8の先端に形成された段付部8dが当接され
るようになっており、従ってこの防塵スリーブ13を図
示右方に押し込むとこのスピンドル8も同方向に移動す
る。
【0024】図中15は上記したストッパスリーブであ
り、上記アジャストスリーブ16の先端に着脱可能に取
付けられている。そして、図示するようにこのストッパ
スリーブ15と上記防塵スリーブ13との内周側を経て
ビット14が装着孔9に挿入される。また、上記したよ
うにアジャストスリーブ16を回転させることによりこ
のストッパスリーブ15は軸方向に移動可能であり、こ
れによりビット14に対する位置を調整してねじの締め
込み深さを調整できるようになっている。
【0025】次に、以上のように構成された本例の締付
工具1にビット14を装着する場合の手順について図2
を参照して説明する。なお、この図2は、ビット14が
抜け止めされた状態と抜き出し可能な状態とを対比して
示したもので、一点鎖線よりも上側がビット14が抜け
止めされた状態を、また下側がビット14を抜き出し可
能な状態をそれぞれ示している。
【0026】先ず、ビット14を締付工具1に装着する
際には、ビット14をストッパスリーブ15および防塵
スリーブ13の内周側を経てスピンドル8の装着孔9に
挿入する。この時点で、スピンドル8は圧縮コイルバネ
7dによって図示左側の前方位置に位置して、軸受10
の突条10aがスピンドル8の支持孔11を閉塞する状
態となっており、従って、この支持孔11に保持された
スチールボール12の図示下部が装着孔9内に突き出た
状態となっている。このことから、上記のようにして装
着孔9に挿入されたスピンドル8の挿入側先端部は、ス
チールボール12に当たってそれ以上挿入できない。
【0027】そこで、次にこのビット10をさらに大き
な力で押し込むことにより、スピンドル8を圧縮コイル
バネ7dに抗して図示右方に移動させる。これにより、
支持孔11すなわちスチールボール12は突条10aの
図示直下から外れて軸受10の大径部10bの直下に至
る。この状態においてスピンドル8の小径部8cと軸受
10との間には、突条10aの突出寸法に相当する隙間
が形成される。従って、この隙間の範囲内においてスチ
ールボール12は支持孔11内を装着孔9から離脱する
方向(図示上方)に移動可能な状態となる。
【0028】こうしてスチールボール12が装着孔9内
から退去可能な状態となると、これとほぼ同時に、依然
として押込み方向に力が加えられているビット14は、
上記スチールボール12を装着孔9内から押出しつつ、
さらにこの装着孔9内に挿入される。そして、ビット1
4の抜け止め溝14aがスチールボール12の直下(軸
方向に一致する位置)に至ると、このスチールボール1
2が再び支持孔11内を移動して装着孔9内に突き出し
可能な状態となる。この状態となるとビット14の挿入
側先端が装着孔9の突き当たり面に当接して、ビット1
4はそれ以上装着孔9内に挿入不能となる。この状態と
したならば、ビット14の押込みをやめる。すると、ビ
ット14およびスピンドル8は圧縮コイルバネ7dによ
って前方に押し出される。これによりスチールボール1
2は突条10aによって装着孔9内に突き出した状態に
押し込まれ、従ってこの突き出した部分がビット14の
抜け止め溝14aに嵌まり込み、これでビット14は抜
け止めされた状態で締付工具1に装着された状態(図2
中、一点鎖線よりも上側に示した状態)となる。そし
て、この状態において、突条10aは支持孔11を閉塞
した状態となり、従ってスチールボール12はビット1
4の抜け止め溝14aから離脱不能な状態となって、ビ
ット14の抜け止め状態が保持されている。
【0029】以上のようにしてビット14が装着された
締付工具1をねじ締め作業に使用するにあたって、ビッ
ト14の先端を締付けようとするねじ部材の例えば十字
孔に嵌め込み、この状態で締付工具1をねじ部材に押し
付ける。すると、ビット14とともにスピンドル8が後
退し、従ってクラッチ歯8bと中間クラッチ部材7bの
クラッチ歯7cが噛み合い、これによりモータMの回転
力をスピンドル8に伝達可能な状態となる。この押付け
状態でトリガ4を操作してモータMを回転させるとスピ
ンドル8ひいてはビット14が回転し、ねじ部材は締め
込まれる。
【0030】ここで、この締付け作業時において、すな
わち締付工具1の押付け状態においてスピンドル8は後
退状態にあるので、スチールボール12は突条10aの
直下から外れた状態(図2中、一点鎖線よりも下側に示
した状態)にあり、従ってこのスチールボール12は装
着孔9内から退去可能な状態となっているのであるが、
この場合にはビット14はねじ部材に押し付けられてい
るので、スピンドル8から外れることはない。
【0031】ねじ締めが完了して締付工具1をねじ部材
から引き離す方向に移動させると、相対的にスピンドル
8は前方に移動し、従ってスチールボール12は突条1
0aの直下に戻って再びビット14の抜け止め溝14a
に嵌め込まれた状態となり、よってビット14が抜け止
めされた状態となる。このことから、例えばねじ締め中
にビット14の先端がねじ部材の十字孔に食い付いてし
まい、この食い付いた状態のまま締付工具1を引き離し
方向に移動させた場合であっても、ビット14はスピン
ドル8から外れることはない。しかも、このビット14
の抜け止め状態はスピンドル8が前方位置にある限り確
実に保持されるのであり、従来のように上記食い付き力
がリーフスプリング26の弾性力に勝るような場合であ
ってもビット14の抜け止めが確実になされる。
【0032】次に、ビット14を交換する場合について
説明する。この場合には、ビット14を押込み方向に移
動させることができない。そこで、この場合には、先ず
ストッパスリーブ15を取り外す。すると、アジャスト
スリーブ16の先端開口部からは防塵スリーブ13の先
端が突き出した状態となっているので、この防塵スリー
ブ13を圧縮コイルバネ7dに抗して押込み方向に移動
させることによりスピンドル8を後退させるのである。
これによりスチールボール12は上記したと同様に装着
孔9内から退去可能となるので、この防塵スリーブ13
の押込み状態を保持したまま、一方でビット14を引き
抜くことでこのビット14をスピンドル8から外すこと
ができる。ビット14の取り外しが完了したならば、防
塵スリーブ13を突き出し方向に戻し、またストッパス
リーブ15をアジャストスリーブ16に取付ける。な
お、防塵スリーブ13は圧縮コイルバネ7dによってス
ピンドル8が前方に戻されることに伴い、自動的に突き
出し方向に戻される。
【0033】本例は以上のように構成したものであり、
これによれば次のような作用効果を奏する。本例におけ
るビット14の抜け止め構造は、スピンドル8が軸方向
に移動する構成を利用してビット14の抜け止めを実現
する構成とされている。すなわち、スピンドル8が前方
に位置している状態にあっては、スチールボール12が
軸受10に設けられた突条10aによって装着孔9内に
突き出た状態に保持されてビット14の抜け止めがなさ
れる一方、スピンドル8が後退した状態にあってはスチ
ールボール12は上記突条10aの直下から外れて装着
孔9内から退去可能となり、従ってビット14を装着孔
9内から抜き出し可能あるいは装着孔9に挿入可能とな
るよう構成されている。
【0034】この構成によれば、ねじ締めが完了して締
付工具1をねじ部材から引き離すとほぼ同時にスピンド
ル8は圧縮コイルバネ7dによって前方に移動し、これ
によりスチールボール12は突条10aによって装着孔
9内に突き出た状態に確実に保持されてビット14の抜
け止めがなされる。従って、このビット14の抜け止め
状態はスピンドル8が前方位置にある限り確実になされ
る。
【0035】このことから、ねじ締め中にビット14の
先端がねじ部材の十字孔に食い付いたまま締付工具1を
引き離した場合に、この引き離し動作とほぼ同時にビッ
ト14の抜け止めがなされ、従ってビット14はスピン
ドル8から外れることはない。この点、従来はリーフス
プリング26の弾性力によってビット21の抜け止めを
なす構成であったので、ビット21のねじ部材に対する
食い付き力が上記弾性力に勝るものである場合には、ビ
ット21はスピンドル20から外れてしまうのであっ
た。
【0036】なお、以上説明した実施例においてはスト
ッパ部材として球体をなすスチールボール12を例示し
たが本考案はこれに限定されるものではなく、例えば円
筒体のピンであってもよく、またスチール製である必要
は必ずしもない。
【0037】また、本例では軸受10の内周面に突条1
0aを形成し、この突条10aによってスチールボール
12がビット14の抜け止め溝14aから離脱すること
を阻止する構成を例示したが、本考案はこの構成の他
に、例えば例示した軸受け10に代えて内周面に突条を
有しない通常の筒体をなす軸受けを用い、スピンドル8
を前進させた状態ではスチールボール12がこの軸受け
の内周側に移動して、当該スチールボール12のスピン
ドル径方向への移動が禁止される一方、スピンドル8を
後退させることによりスチールボール12が軸受の内周
側から外れることにより当該スチールボール12のスピ
ンドル径方向への移動が許容されて、ビット14を取り
外し可能な構成としてもよい。なお、スチールボール1
2が軸受けの内周側から外れる結果、当該スチールボー
ル12の支持孔11からの脱落を防止するために、他の
部材、例えば当該締付工具のハウジング内面に突条を設
け、この突条によりスチールボール12のスピンドル径
方向への移動量を規制する構成とすればよい。
【0038】
【考案の効果】本考案によれば、スピンドルが前方位置
に移動するとストッパ部材がビットの抜け止め溝に嵌ま
り込んだ状態が保持されてビットの抜け止めがなされる
構成であるので、ねじ締め完了後に締付工具をねじ部材
から引き離す方向に移動させると、これとほぼ同時にビ
ットの抜け止めがなされる。しかも、この抜け止め状態
はスピンドルが前方位置にある限り確実に保持されるの
で、例えばビットの先端がねじ締め中に食い付いたよう
な場合であっても、ねじ締め完了後締付工具を引き離す
際にビットがスピンドルから外れるようなことはなく確
実な抜け止めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示し、スクリュードライバの
一部破断側面図である。
【図2】本考案の要部を示し、ビットの抜け止め状態と
非抜け止め状態を対比して示した縦断面図である。
【図3】従来のビットの抜け止め構造に係り、スクリュ
ードライバの一部破断側面図である。
【符号の説明】
1…締付工具(スクリュードライバ) 2…ハウジング 7…クラッチ 8…スピンドル、8c…小径部 9…装着孔 10…軸受、10a…突条、10b…大径部 11…支持孔 12…スチールボール(ストッパ部材) 13…防塵スリーブ 14…ビット、14a…抜け止め溝 15…ストッパスリーブ 16…アジャストスリーブ 26…リーフスプリング M…駆動モータ

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピンドルがその軸方向に移動可能に支
    持された形式の締付工具において、前記スピンドルが前
    方へ移動した時に、ビットの抜け止めをするためのスト
    ッパ部材が前記スピンドルを支持する軸受けによってビ
    ットの抜け止め溝から離脱不能となり、前記スピンドル
    が後方へ移動した時に、前記ストッパ部材が前記ビット
    の抜け止め溝から離脱可能となる構成としたことを特徴
    とする締付工具におけるビットの抜け止め構造。
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