JP2592945B2 - 印刷機用インキ計量ローラ及びその製造方法 - Google Patents

印刷機用インキ計量ローラ及びその製造方法

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JP2592945B2
JP2592945B2 JP50041387A JP50041387A JP2592945B2 JP 2592945 B2 JP2592945 B2 JP 2592945B2 JP 50041387 A JP50041387 A JP 50041387A JP 50041387 A JP50041387 A JP 50041387A JP 2592945 B2 JP2592945 B2 JP 2592945B2
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三郎 薗部
宣行 石橋
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、フレキソ印刷機用、オフセット印刷機用、
凸版印刷機用等のインキ装置のインキ受け渡しローラと
して使用される印刷機用インキ計量ローラ及びその製造
方法に関する。
背景技術 インキ装置のインキ受け渡しローラとして、アニロッ
クスローラと称せられるローラが使用されている。アニ
ロックスローラは、インキの供給および計量を行なう機
能を有している。この機能は、第1図或いは第2図に示
すように金属或いはセラミックで形成されたローラの周
面1、2にレーザや機械的な加工によって形成した多数
個の相互に独立した凹部(セル)1a、2aによって達成さ
れる。
第3図は、フレキソ印刷機の概略構成を示している。
インキ槽3中のインキ4は、アニロックスローラ5によ
って版胴6に転写される。このとき過剰のインキ4は、
アニロックスローラ5に当接されたドクターブレード7
によって掻き落とされる。ドクターブレード7は、スチ
ール或いは樹脂等で形成されている。すなわち、必要な
量のインキ4だけが、アニロックスローラの周面に形成
された凹部に充填された状態で版胴6に転写される。そ
して、圧胴8の接触圧によって版胴6に押付けられた紙
等の被印刷体9に、版胴6からインキの被膜が転写され
て所定の印刷が行われる。
第4図は、キーレスオフセット印刷機が概略構成を示
している。この場合、インキ槽3中のインキ4は、まず
ファウンテンローラ10からアニロックスローラ5に転写
される。そして、アニロックスローラ5がらゴム製のイ
ンキ着けローラ11に転写されてから、版胴6にインキ4
が転写される。この場合も過剰のインキ4は、アニロッ
クスローラ5に当接されたドクターブレード7によって
掻き落とされる。そして、版胴6からこれに接触したゴ
ムブランケット胴12にインキの被膜が転写される。そし
て、ゴムブランケット胴12から被印刷体9にインキの被
膜が転写されて所定の印刷が行われる。
なお、湿し水装置13は、非画像部を形成するためのも
のである。すなわち、湿し水装置13は、版にインキが共
有される前に版の非画像部に、水付け着ローラ14によっ
て湿し水15を与える。これによってインキの付着を防
ぐ。
このように周面に多数個の凹部を設けたアニロックス
ローラ5のインキ転写性能によって印刷の精度が大きく
左右される。このようなアニロックスローラの凹部の形
成方法は、例えば金型の母型を芯金の周面に押付けて、
芯金の一端部から順次形成することにより行なう。その
後、耐摩耗性を付与するために芯金の周面に銅やクロム
のメッキを施す。この他にも前述のように芯金の上にセ
ラミックを溶射して研磨してから、レーザによって彫刻
で凹部を形成する方法もある。凹部の形状としては、四
角錐状のものや四角錐台状のものが多く用いられてい
る。また、凹部の数は、芯金の周面に例えば、165線/
インチ、180線/インチ、200線/インチのように設けら
れる線数に対応して設定される。そして、凹部の数が多
くなるに従って凹部の深さは浅くなる。そして、アニロ
ックスローラによって転移されるインキの量は少なくな
る。このような凹部(セル)は、形状精度が高いこ
と、湿し水によってインキが容易に剥離しないこと
(オフセット印刷の場合)が特に要求される。
従来のアニロックスローラには、次の欠点がある。
(1)凹部を母型で形成するアニロックスローラの場合 1本のローラ間及び他のローラとの相互間で、凹部の
形状のばらつきが大きい。
ドクターブレードによってローラの周面が摩滅し、凹
部の形状がローラの使用に伴って変化する。そして、次
第に凹部のインキ収容量が減少し、印刷物の濃度が変化
する。
凹部が相互に独立している構造では、湿し水の過多に
より、インキを受けつけなくなる所謂ストリッピング現
象が発生する。なお、通常凹部の深さは、15〜40μmで
ある。
(2)凹部をレーザで形成するアニロックスローラの場
合 凹部及びローラを作るために膨大な設備を必要とす
る。
ローラの周面に傷が付くと、補修が不可能で、新しく
最初からローラを作らなければならない。
ドクターブレードとアニロックスローラ間で摩擦によ
る発熱が生じる。このためアニロックスローラと接触す
るゴムローラが膨張する。その結果、ゴムローラのニッ
プ幅の調整が必要となる。
湿し水の過多により、ストリッピング現象が発生す
る。
発明の開示 本発明は、長期間に亘って所定量のインキの転写機能
を維持することができて、印刷機の印刷性能を高めるこ
とができると共に、その製造及び修復が極めて容易な印
刷機用インキ計量ローラ及びその製造方法を提供するも
のである。
すなわち、本発明は、芯金と、該芯金の表面に形成さ
れ、インキ吸引性を有すると共に表面研磨が可能な合成
樹脂またはゴム状物質からなる表面層と、該表面層に混
入された多数個の略球状粒子と、前記表面層の表面領域
に部分的に露出した多数個の該略球状粒子によって形成
された多数個の相互に独立した凸部とを具備することを
特徴とする印刷機用インキ計量ローラである。
ここで、合成樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル
樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂の何れかを使用するのが望ましい。
また、表面層のインキ吸引性を調節するためにインキ親
和性の異なるこれらの樹脂の2種以上を適宜使用しても
良い。
また、ゴム状物質としては、ニトリルゴム、ウレタン
ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒ
ドリンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポ
リエチレン、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ポ
リブタジエンゴム、天然ゴムの何れかを使用するのが望
ましい。また、表面層のインキ吸引性を調節するために
インキ親和性の異なるこれらのゴムの2種以上を適宜使
用しても良い。
また、合成樹脂及びゴム状物質は、若干のインキ浸透
性を有るものである。このインキ浸透性によって表面層
のインキ親和性が増す。その結果、表面層にインキ吸引
性が出現する。このため印刷機用インキローラを使用し
た場合に、湿し水が過多となってもストリッピング等の
不都合が起きるのを激減して、安定した印刷を保証でき
るものである。
因みに、上述のような種類の合成樹脂及びゴム状物質
は、例えばゴムローラとして1年程度使用した後、顕微
鏡で観察すると1mm程度のインキ浸透性があることを確
認している。なお、合成樹脂及びゴム状物質の種類は、
印刷するインキの種類に応じて所定のものを決定すべき
である。過度にインキ浸透性を有するものを使用する
と、表面層の外形が変化し好ましくない。
また、表面層中には、所定のインキ親和性を発揮させ
るため、或いはインキ親和性を調節するために、銅粉
末、黄銅或いは青銅の銅合金を混入しても良い。また、
表面層の硬さは、ショアー硬度Aで80以上に設定するの
が好ましい。その理由は、80未満の場合はドクターブレ
ードによる表面層の摩耗が激しいからである。
また、略球状粒子は、シリカ球状粒子、アルミナ(Al
2O3)球状粒子、アルミノシリケート球状粒子、セラミ
ック球状粒子、ガラス球状粒子、ステンレススチール球
状粒子、エポキシ樹脂球状粒子、フェノール樹脂球状粒
子の何れか1種以上からなるものを使用するのが望まし
い。これらの粒子のうち何れのものを使用するかは、上
述の合成樹脂或いはゴム状物質との親和性、研磨性の違
いを考慮して決定するのが望ましい。一般的には、高温
溶射法によって製造されたシリカ或いはアルミナからな
る略球状粒子を使用するのが好ましい。
また、略球状の粒子である必要性は、次の理由によ
る。
すなわち、この印刷機用インキ計量ローラに接触する
ドクターブレードによって傷が付くのを防ぐたと共にド
クターブレード自体の摩耗を防ぐためである。球状でな
く、不定形のアランダムや不定形のコランダムの粒子を
使用すると、ローラの周面に傷が付くと共に、他のロー
マも傷付けることになる。また、球状粒子にすることに
よって、他のローラと接触する際に生じる発熱を抑える
ことができる。更に、球状であると流動性や充填性に優
れるから、印刷機用インキ計量ローラの製造が容易であ
る。
また、合成樹脂及びゴム状物質よりも略球状粒子を硬
質にするのは次の理由による。すなわち、印刷機用イン
キ計量ローラの使用後に、表面層18を研磨するだけで略
球状粒子の方は削らずに表面領域17から露出させて容易
に相互に独立した凸部を形成するためである(第5図参
照)。その結果、この凸部16と表面層18間の平坦な領域
全体にインキ溜め部を容易に形成することができる。し
かも、略球状粒子を硬質にしておくことによって、この
インキ溜め部の形状を長期間に亘って高い形状精度に保
ことができる。そして、インキの転写性能を高い状態で
維持できる。このため、例えば第4図に示したキーレス
オフセット印刷機の場合で考えると、この印刷機用イン
キローラは、アニロックスローラ5として使用される。
この場合、このアニロックスローラ5上のインキ溜め部
(第5図の符号17の部分)のインキ4は、インキ着けロ
ーラ11に転写される。このインキ4の転写は、アニロッ
クスローラ5とインキ着けローラ11とのニップの離れる
位置で行われる。而して、インキ溜め部17中のインキ4
は、全て一連に連なっているので、第4図に示した従来
のアニロックスローラ5の場合のように所謂真空効果を
起こすことはない。その結果、極めて効率良く、かつ、
容易にインキ4の転写を行なうことができる。更に本発
明による印刷機用インキ計量ローラの利点は、誤ってロ
ーラの表面を傷付けたり、或いはローラの表面が摩耗し
た場合には、再度砥石等によりローラの表面を研磨する
だけで、新しく多数個の相互に独立した凸部を有する表
面層を作ることができる点にある。
略球状粒子の形状としては、インキ転写のためにこの
インキローラに要求されるインキ被膜の厚さを考慮して
5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲で球状とす
るのが好ましい。
インキ被膜の厚さ或いはこの印刷機用インキ計量ロー
ラを用いた場合の印刷におけるインキの濃度の大小は、
略球状粒子の量及び大小を所定のものにすることによっ
て決定される。例えば、インキ被膜を薄くしてインキの
濃度を下げようとする場合は、小さな略球状粒子を採用
し、この印刷機用インキ計量ローラに接触するドクター
ブレードと印刷機用インキ計量ローラの間隙を小さくす
る。逆に、インキ被膜を厚くしてインキの濃度を高めよ
うとする場合は、大きな略球状粒子を採用し、印刷機用
インキ計量ローラとドクターブレードとの間隙を大きく
する。
また、本発明は、表面領域に多数の凹凸部を有する表
面層を芯金の周面に形成する印刷機用インキ計量ローラ
の製造方法において、インキ吸引性を有する合成樹脂ま
たはゴム状物質からなる母材と、該母材よりも硬度の高
い多数個の略球状粒子を混合する工程と、前記工程で得
られた混合物を硬化または架橋して前記母材と前記略球
状粒子を一体化して表面層素材を形成する工程と、前記
表面層素材を研磨して前記多数個の略球状粒子の任意の
ものを表面領域に部分的に露出させて多数個の相互に独
立した凸部を出現させる工程とにより、表面層を形成す
ることを特徴とする印刷機用インキ計量ローラの製造方
法である。
ここで、表面層を芯金の表面に被着する手段として
は、注型法、回転成型法、シート巻成型法、或いはリア
クション インジェクション モールディング(RIM)
法、溶射法等を採用できる。
注型法は、母材の形態が液状物の場合に使用できる。
この方法では、まず、母材、略球状粒子及び硬化剤を混
合し、さらに脱泡して表面層を形成するための混合物を
作る。次に、表面に接着剤を塗布した芯金を金型内に設
定する。この金型に前述の混合物を注型し、硬化させて
芯金と一体化した表面層を形成する。然る後、表面層に
研磨を施して印刷機用インキ計量ローラを得る。
回転成型法は、まず、回転成型用の円筒状金型を用意
する。次いで、金型のキャビティ部分に内面研磨を施し
てから離型剤を塗布する。次に、注型法と同様にして作
った混合物をキャビティ内に注入する。然る後、これを
所定温度で所定時間回転成型して混合物を硬化させて表
面層の部分を形成する。得られた表面層を脱型し、その
内面に研磨処理を施す。この後、表面層内に所定の芯金
を例えば焼きばめによって挿着する。この後表面層に研
磨を施して印刷機用インキ計量ローラを得る。
シート巻成型法は、母材の形態が固形で混練りタイプ
の場合に採用できる。この方法では、まず、練りロール
で母材に略球状粒子、架橋剤、その他加工助剤等の必要
な薬品を混合してシートを作る。次いで、このシートを
所定の芯金に巻装する。次に巻装したシートに熱処理を
施し、芯金と一体化した表面層を形成する。然る後、表
面層に研磨処理を施して印刷機用インキ計量ローラを得
る。この場合、芯金に巻装する表面層を押出成型によっ
て作っても良い。
また、これらの方法で行なう研磨は、砥石或いは研磨
布を用いて行なう。
また、合成樹脂、ゴム状物質、略球状粒子の夫々の種
類及び略球状粒子の形状としては、前述のものと同じで
ある。
また、母材中に混入する略球状粒子の混入量は、母材
100重量部に対して10〜400重量部である。混入量が10重
量部未満の場合は、インキ溜め部を形成する高低差が不
十分となる。混入量が400重量部を越える場合は、凸部
の量が多くなりすぎインキを保持する能力が低下する。
また、母材中には、必要に応じて銅粉末、黄銅或いは
青銅の銅合金を混入しても良い。この場合、母材中に混
入する銅粉末等の量は、母材100重量部に対して50〜400
重量部とするのが好ましい。
図面の簡単な説明 第1図及び第2図は、アニロックスローラの周面に形
成された凹部の説明図、第3図は、フレキソ印刷機の概
略構成を示す説明図、第4図は、キーレスオフセット印
刷機の概略構成を示す説明図、第5図は、本発明の実施
例の要部の斜視図である。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明のについて実施例について説明する。
実施例1 サンニックスHR−450P(三洋化成社製ポリオール)10
0重量部を加熱脱水し、これに平均球径25μmのシリカ
からなる硬質の球状粒子S−COL(マイクロン社製)150
重量部を混合する。次いで、これに硬化剤としてミリオ
ネートMT(日本ポリウレタン社製イソシアネート)110
重量部を投入し、減圧状態で撹拌を施して表面層を形成
するための原料を得る。
次に、脱錆、脱脂を施した後表面に接着剤を塗布した
芯金を型組し、この型内に上述のようにして得た原料を
注入し、85℃で6時間加熱を施して硬化させ芯金の表面
に表面層を形成する。然る後、これを脱型して十分に冷
却した後、表面層に砥石で表面研磨を施し、外径175m
m、片肉厚5mmの表面層を形成した。
このようにして得た印刷機用インキ計量ローラの表面
粗さ(Rz)は、5〜7μmで、ショアーD硬さは、87で
あった。この印刷機用インキ計量ローラをアニロックス
ローラ5として第4図に示したものと同様の印刷機に取
付けて、毎分300回転の速度で6時間印刷を行なった。
この場合インキ濃度のムラが全くない極めて良好な印刷
物を得た。この印刷物をグレタグ(GRETAG)濃度計D142
−3でベタ濃度を測定したところ0.9であった。
実施例2 無水ε−カプロラクタム100重量部を80℃に加熱し、
これに金属カリ0.5モル%を加えて混合した。次いで、
これに平均球径42μmのアルミナからなる硬質の球状粒
子CB−A40(昭和電工社製)30重量部を混合する。次い
で、これにトリレンジイソシアネート0.5モルを加えて1
20℃に加熱して表面層を形成するための原料を得る。
次に、この原料を回転成型用の金型に注入し、145℃
で750rpmで回転させて加熱を施して硬化させ外径が176m
mの表面層を形成する。然る後、この表面層内に鉄芯を
焼きばめする。次いで、表面層に砥石で表面研磨を施
し、外径175mm、片肉厚5mmの表面層を形成した。
このようにして得た印刷機用インキ計量ローラの表面
粗さ(Rz)は10〜15μmで、ショアーD硬さは、80であ
った。この印刷機用インキ計量ローラをキーレスオフセ
ット用の印刷機にインキ受け渡しローラーとして取付け
て、毎分300回転の速度で5時間印刷を行なった。この
場合インキ濃度のムラが全くない極めて良好な印刷物を
得た。この印刷物をグレタグ濃度計D142−3でベタ濃度
を測定したところ1.05であった。
実施例3 エポキシ樹脂アラルダイトAY101(日本チバガイギー
社製)100重量部に、硬化剤としてHY956(日本チバガイ
ギー社製)10重量部を加えて混合する。これに平均球径
50μmのアルミナからなる硬質の球状粒子アルナビーズ
CB−A50(昭和電工社製)200重量部を混合する。次い
で、これを撹拌、脱泡して表面層を形成するための原料
を得る。
次に、脱錆、脱脂を施した後表面に接着剤を塗布した
芯金を型組し、この型内に上述のようにして得た原料を
注入し、約40℃に温度調整した部屋に24時間放置して硬
化させ芯金の表面に表面層を形成する。然る後、これを
脱型した後、表面層に砥石で表面研磨を施し外径175m
m、片肉厚5mmの表面層を有する印刷機用インキローラを
得た。
このようにして得た印刷機用インキ計量ローラの表面
の粗さは(Rz)、13〜15μmで、ショアーD硬さは、85
であった。この印刷機用インキ計量ローラをキーレスオ
フセット印刷機に取付けて、毎分300回転の速度で1日
当り8時間の連続印刷を6ケ月間行なった。この場合、
印刷は均一でストリッピングの発生は全くなかった。こ
の印刷物をグレタグ濃度計D142−3でベタ濃度を測定し
たところ1.1であった。
実施例4 PolybdR45HD(出光石油化学社製ポリブタジエン)100
重量部に、銅微粉末Cu−At−W−250(福田金属箔粉社
製)を100重量部と、平均球径60μmのアルミナからな
る硬質の球状粒子アルナビーズCB−A60(昭和電工社
製)180重量部を混合し、撹拌、脱泡する。次いで、こ
れに硬化剤としてアイソネート143L(化成アップジョン
社製)15重量部を加え、触媒ジブチルチンジラウレート
0.01重量部を加えて十分に混合して表面層を形成するた
めの原料を得る。
次に、脱錆、脱脂を施した後表面に接着剤を塗布した
芯金を型組し、この原料を型内に注入し、室温で3日間
放置して硬化させ、これに砥石で表面研磨を施し外径が
175mmで片肉厚さが5mmの表面層を形成する。
このようにして得た印刷機用インキ計量ローラの表面
粗さ(Rz)は、15〜17μmで、ショアーA硬さは、80で
あった。この印刷機用インキ計量ローラをフレキソ印刷
機に取付けて、毎分100mのスピードで印刷したところ、
印刷ムラがなくグレタグ濃度計D142−3でベタ濃度を測
定したところ、1.2であった。
実施例5 配合組成 重量部 JSRN230(日本合成ゴム社製ニトリルゴム) 100 亜鉛華 5 イオウ 40 促進剤D 2 ステアリン酸 1 クレー 50 スミライトレンジPR310 (住友ジュレッツ社製フェノール樹脂) 30 ニポール1312 (日本ゼオン社製液状ニトリルゴム) 10 アルナビーズCB−A30 (昭和電工社製硬質球状アルミナビーズ、平均 球径30μm) 150 上記配合物を練りロールで十分に混練りする。次に、
これをカレンダーロールを用いて厚さ約2mmのシートに
成形する。次いで、別途用意した芯金にサンドブラスト
処理を施す。この芯金の表面に上記配合物をトルオール
に溶かして作ったゴム糊を塗布する。次いで、ゴム糊を
塗布した芯金上に上述のようにして作ったシートを片肉
厚さが約8mmになるまで巻装する。然る後、巻装して形
成した表面層の周面に綿テープ及びスチールワイヤを巻
き付ける。この状態でこれを加硫缶内に導入し、水蒸気
圧4Kg/cm2で8時間加熱する。このようにして加硫した
表面層に砥石及び360メッシュのサンドペーパで研磨を
施す。
このようにして外径が175mmで片肉厚さが5mmの表面層
を形成する。この表面層の硬さはショアーD硬度で90、
表面粗さ(Rz)は、7〜9μmであった。
このようにして得た印刷機用インキ計量ローラをキー
レス凸版印刷機に取付けて、毎分3000回転で4時間印刷
した。印刷には全く問題はなかった。また、印刷物は、
グレタグ濃度計D142−3でベタ濃度を測定したところ、
0.95であった。
産業上の利用可能性 本発明は、長期間に亘って所定量のインキの転写機能
を維持することができて、印刷機の印刷性能を高めるこ
とができると共に、その製造及び修復が極めて容易なも
のであり、フレキソ印刷機用、オフセット印刷機用、凸
版印刷機用等のインキ装置のインキ受け渡しローラとし
て極めて有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−14997(JP,A) 実開 昭60−194563(JP,U) 実開 昭60−194564(JP,U) 実開 昭61−31765(JP,U) 実開 昭64−30272(JP,U) 特公 昭53−7841(JP,B2)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯金と、該芯金の表面に形成され、インキ
    吸引性を有すると共に表面研磨が可能な合成樹脂または
    ゴム状物質からなり、かつ硬さがショアー硬度Aで80以
    上の表面層と、該表面層に混入された多数個の略球状粒
    子と、前記表面層の表面領域に部分的に露出した多数個
    の相互に独立した凸部とを具備することを特徴とする印
    刷機用インキ計量ローラ。
  2. 【請求項2】合成樹脂が、ウレタン樹脂、ポリアミド樹
    脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹
    脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
    アミドイミド樹脂の何れかである請求の範囲第1項記載
    の印刷機用インキローラ。
  3. 【請求項3】ゴム状物質が、ニトリルゴム、ウレタンゴ
    ム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒド
    リンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリ
    エチレン、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリ
    ブタジエンゴム、天然ゴムの何れかである請求の範囲第
    1項記載の印刷機用インキ計量ローラ。
  4. 【請求項4】表面層中に銅粉末、黄銅或いは青銅の銅合
    金が混入されている請求の範囲第1項記載の印刷機用イ
    ンキ計量ローラ。
  5. 【請求項5】略球状粒子が、シリカ球状粒子、アルミナ
    球状粒子、アルミノシリケート球状粒子、セラミック球
    状粒子、セラミック球状粒子、ガラス球状粒子、ステン
    レススチール球状粒子、エポキシ樹脂球状粒子、フェノ
    ール樹脂球状粒子の何れか1種以上からなるものである
    請求の範囲第1項記載の印刷機用インキ計量ローラ。
  6. 【請求項6】略球状粒子の形状が、5〜100μmの球状
    である請求の範囲第1項記載の印刷機用インキ計量ロー
    ラ。
  7. 【請求項7】略球状粒子の埋込深さが、表面層の表面領
    域から少なくとも2.5μmである請求の範囲第1項記載
    の印刷機用インキ計量ローラ。
  8. 【請求項8】表面領域に多数の凹凸部を有する表面層を
    芯金の周面に形成する印刷機用インキ計量ローラの製造
    方法において、インキ吸引性を有する合成樹脂またはゴ
    ム状物質からなる母材と、該母材よりも硬度の高い多数
    個の略球状粒子を混合する工程と、前記工程で得られた
    混合物を硬化または架橋して前記母材と前記略球状粒子
    と一体化して表面層素材を形成する工程と、前記表面層
    素材を研磨して前記多数個の略球状粒子の任意のものを
    表面領域に部分的に露出させて多数個の相互に独立した
    凸部を出現させる工程とにより、表面層を形成すること
    を特徴とする印刷機用インキ計量ローラの製造方法。
  9. 【請求項9】合成樹脂が、ウレタン樹脂、ポリアミド樹
    脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹
    脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
    アミドイミド樹脂の何れかである請求の範囲第8項記載
    の印刷機用インキ計量ローラの製造方法。
  10. 【請求項10】ゴム状物質が、ニトリルゴム、ウレタン
    ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒ
    ドリンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポ
    リエチレン、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ポ
    リブタジエンゴム、天然ゴムの何れかである請求の範囲
    第8項記載の印刷機用インキ計量ローラの製造方法。
  11. 【請求項11】母材中に銅粉末、黄銅或いは青銅の銅合
    金が混入されている請求の範囲第8項記載の印刷機用イ
    ンキローラの製造方法。
  12. 【請求項12】母材中に混入する銅粉末、黄銅或いは青
    銅の銅合金の混入量が、母材100重量部に対して50〜400
    重量部である請求の範囲第11項記載の印刷機用インキ計
    量ローラの製造方法。
  13. 【請求項13】略球状粒子が、シリカ球状粒子、アルミ
    ナ球状粒子、アルミノシリケート球状粒子、セラミック
    球状粒子、セラミック球状粒子、ガラス球状粒子、ステ
    ンレススチール球状粒子、エポキシ樹脂球状粒子、フェ
    ノール樹脂球状粒子の何れか1種以上からなるものであ
    る請求の範囲第8項記載の印刷機用インキ計量ローラの
    製造方法。
  14. 【請求項14】母材中に混入する略球状粒子の混入量
    が、母材100重量部に対して10〜400重量部である請求の
    範囲第8項記載の印刷機用インキ計量ローラの製造方
    法。
  15. 【請求項15】略球状粒子の形状が、5〜100μmの球
    状である請求の範囲第8項記載の印刷機用インキ計量ロ
    ーラの製造方法。
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