JP2592429B2 - 下水道及びその施工法 - Google Patents

下水道及びその施工法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は下水道の施工法に関するものであり、特に
経年変化が少ない下水道の施工法に関するものである。
(従来の技術) 下水道を施工する場合、現場の溝内にプレキャストコン
クリート管を連続して埋設して、これを繋いで下水道と
するのが一般的である。しかしこのような施工である
と、プレキャスト管の搬入に多大な労力を必要とし、ま
た現場で掘削した凹凸のある溝内でプレキャスト管を繋
いでいくのは極めて煩雑な作業であった。
このようなプレキャスト管の搬入の手間や連結の手間
を解決した方法であり、現場において全て構築する下水
道の施工法として第4図と第5図に示すような技術が開
発されている。
すなわち地盤に溝aを掘り、この溝aのなかにゴムチ
ューブbを配してこのゴムチューブbの内部に圧縮空気
cを封入してゴムチューブbを脹らませ、溝a内であっ
てゴムチューブb外周にコンクリートdを打設して硬化
させ、その後ゴムチューブbを取り出すものである。ゴ
ムチューブb内の圧縮空気cによって溝aの中に水路と
なる空間が形成されるものである。
(この発明が解決する課題) このような従来技術には以下のような課題が存在して
いる。
〈イ〉下水道の内周面にコンクリートの表面が表れるた
め、下水がこの中を流れる際の磨耗が激しく、長年の使
用に耐えることができない。
〈ロ〉コンクリートにひび割れが発生し、下水が周辺地
盤に浸透して環境悪化の問題が生じることがあった。
〈ハ〉チューブが柔らかいため、周りに打設したコンク
リートなどによって内側凹凸が出来てします、この凹凸
によって水の流れが良くないものになるとともに、ゴミ
などが引っ掛かり易くなってしまう。
〈ニ〉溝の長手方向にゴムチューブを移動して下水道を
連続して形成するのであるが、継目がどうしても不連続
となってしまい、設計通りの水路が形成されないことが
あった。
〈ホ〉下水道の曲線部分では水路内面にゆがみが発生し
て、スムーズな流れの障害となっていた。
〈ヘ〉コンクリートの壁面からなる下水路では地盤沈下
に容易に追従できず、壁面にクラックが生じて地中へ水
が浸透することがあった。
このような課題を解決するために、合成樹脂管を使用
してこれを溝内に埋設する方法も考えられるが、厚肉の
合成樹脂管を使用したのでは前記したプレキャストコン
クリート管と同様な搬入の手間や連結の手間が生じてし
まう。またこれら課題を解決するために、下水道の内面
だけを合成樹脂にするために薄肉の軽量で屈曲いし易い
合成樹脂管を使用すると、周りに打設したコンクリート
の重みによって潰れ、形が変形してしまうことがあっ
た。
この発明は以上のような課題を解決するためになされ
たもので、経年変化がなく、環境悪化の問題が生じず、
さらに設計通りの施工が容易に可能な下水道の施工法を
提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) この発明にかかる下水道は、掘削した溝内に薄肉の合
成樹脂管を配して、その外周に硬化材を打設して溝を埋
設するものである。硬化材はスチールファイバーを混入
したコンクリートを使用することもできる。合成樹脂管
としてポリエチレン管を使用できる。合成樹脂管は或る
程度の剛性を有している。或る程度とは、自立するが、
この上に載るものを支えるまでの剛性はない程度の剛性
である。また溝内に鉄筋を配して補強することも考えら
れる。
この下水道の施工には、袋状の支持管を使用して薄肉
の合成樹脂管の形状を維持する。つまりこの支持管を合
成樹脂管の中に配して、この支持管内に圧縮空気を封入
して合成樹脂管を支える。この状態で溝内に硬化材を打
設して、その後支持管を撤去する。
その他、合成樹脂管としてポリエチレン管を使用する
ことも可能であるし、硬化材打設前に溝内に鉄筋を配筋
してもよい。
さらに硬化材としてスチールファイバーとセメント系
硬化材を空練りしたものを使用し、地下水の浸透により
硬化材を硬化させてもよい。
(作用) 薄肉の合成樹脂管を内部に配置した支持管に空気を封
入して、この空気の圧力によって形を維持する。これに
よって薄肉の合成樹脂管であっても、周囲の硬化材の重
量によって合成樹脂管が潰れたり変形しない。
薄肉の合成樹脂管を使用するため、搬入が容易で、多
少繋ぎめの形状がズレていても、薄いため簡単に変形し
て繋ぎが容易に行なえる。また周辺のコンクリートなど
の凹凸によって変形せず、滑らかな内周面となる。
水路の内側が合成樹脂管となるため、水はスムーズに
流れ、磨耗が少ない。コンクリートのひび割れには水を
浸透して行かない。
合成樹脂管内に支持管を入れて水や圧縮空気を封入す
るため、設計通りの形状を維持しやすい。また剛性の高
い下水管が不要である。
(実施例) 以下、図に示す一実施例に基づいてこの発明を詳細に
説明する。
図において1は溝であって、この掘削した溝1の底に
硬化材2を一定深さ打設する。ここで硬化材2とは通常
のコンクリート、モルタル等が使用できるが、後に述べ
るようにスチールファイバーとセメント系硬化材を空練
りしたものでもよい。
前記硬化材2上に合成樹脂管3を配する。この合成樹
脂管3としては、ある程度の剛性が要求され、しかしこ
の上に載るものを支えるほどの剛性は必要とされず、例
えば薄肉のポリエチレン管等が採用できる。
合成樹脂管3の中には袋状の支持管4を入れる。支持
管4は空気を入れた場合自在に膨れるほどであることが
必要で、具体的にはゴムチューブやビニール袋が使用で
きる。支持管4の中に、コンプレッサー5によって圧縮
空気を送り、合成樹脂管3を圧縮空気によって支える。
この状態で溝1内であって、合成樹脂管3の外周に硬
化材2を打設する。合成樹脂管3に一度に大きな荷重を
かけないために、硬化材2は幾度かに分けて打設しても
よい。
硬化材2の硬化後、支持管4を合成樹脂管3内から撤
去する。
硬化材2としてはスチールファイバーとセメント系硬
化材を空練りしたものを使用でき、この空練りの状態の
まま溝1内に打設する。細骨材を同時に混入することも
可能である。またここでいうセメント系硬化材2として
は普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメン
ト、高炉セメント、等が採用できる。
溝1内には地下水が浸透して硬化材2は硬化し始め
て、必要な強度を得る。
また溝1内に鉄筋を配筋して補強することもある。
(発明の効果) この発明は以上のような構成を有するため、以下のよ
うな効果を得ることができる。
〈a〉水路の内周面が合成樹脂管であるため、水の流れ
はスムーズであり、磨耗が少なく、経年変化が小さい。
〈b〉硬化材にひび割れが生じても水が水路から漏れ出
すことがなく、環境悪化の心配がない。
〈c〉薄肉の合成樹脂管であり、軽量で運搬・搬入の作
業が極めて容易である。
〈d〉水路の継目は薄肉の合成樹脂管を重ねたり、溶着
したりすればよく、設計通りの水路が容易に出来上が
る。
〈e〉合成樹脂管は或る程度の剛性を有しているため、
周りに硬化材を打設しても内周が凹凸とならずに滑らか
となるため、ゴミなどが引っ掛からずにスムーズな水の
流れを確保できる。
〈f〉合成樹脂管は薄肉であるため、溝の凹凸によって
ズレたり、管にネジレが生じても、容易に曲げて繋ぐこ
とが可能である。
〈g〉支持管を使用して薄肉の合成樹脂管を支えるた
め、合成樹脂管が周りの硬化材によって潰れない。
〈h〉薄肉の合成樹脂管は曲線加工が容易であるので、
これを曲線部分に使用すれば、水路の曲線部分でも水路
内面にゆがみが発生しない。これによってスムーズな流
れを確保することが可能な下水路を容易に施工できる。
〈i〉薄肉の合成樹脂管は柔軟性を有しており、地盤沈
下に追従でき、水路内面にクラックが発生せず、地中へ
の水の浸透の問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
第1図:この発明の一実施例の斜視図、 第2図・第3図:施工順序断面図、 第4図・第5図:従来の施工順序断面図。 1……溝、2……硬化材、3……合成樹脂管、4……支
持管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−57981(JP,A) 特開 平2−125193(JP,A) 特開 昭56−25529(JP,A) 特開 昭57−206212(JP,A) 特開 昭61−238371(JP,A) 実開 昭55−19490(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溝内に配置した薄肉の或る程度の剛性を有
    する合成樹脂管内に、袋状の支持管を配し、この支持管
    内に空気を封入して合成樹脂管を支えた状態で合成樹脂
    管外周に硬化材を打設し、その後支持管を撤去すること
    を特徴とする下水道の施工法。
  2. 【請求項2】合成樹脂管は薄肉のポリエチレン管である
    ことを特徴とする請求項(1)記載の下水道の施工法。
  3. 【請求項3】硬化材としてスチールファイバーとセメン
    ト系硬化材を空練りしたものを使用し、地下水の浸透に
    より硬化材を硬化させることを特徴とする請求項(1)
    記載の下水道の施工法。
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