JP2590593Y2 - 工作機械のワーク振れ止め装置 - Google Patents

工作機械のワーク振れ止め装置

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JP2590593Y2
JP2590593Y2 JP1993034325U JP3432593U JP2590593Y2 JP 2590593 Y2 JP2590593 Y2 JP 2590593Y2 JP 1993034325 U JP1993034325 U JP 1993034325U JP 3432593 U JP3432593 U JP 3432593U JP 2590593 Y2 JP2590593 Y2 JP 2590593Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は旋削加工等を行う工作機
械において、ワークの振れ止めを行うための装置に関
し、詳細にはワーク支持部材をワーク側に押圧するため
の構造,及び後退側への移動を阻止するための構造の改
善に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に長尺の軸状ワークを旋盤で加工す
ると、ワークの自重による撓みや工具の押圧力による撓
みが発生したり、切削による振動が発生したりし易い。
そこでこの種の工作機械では、従来から、上記撓み,及
び振動の発生を防止するために、主軸及び心押し軸間に
支持されたワークの長手方向中間部を回転可能に支持す
るワーク振れ止め装置を備えている。
【0003】このようなワーク振れ止め装置として、例
えば、実開昭63−172533号公報に開示されたも
のがあり、これは以下の構成を有している。ベッド上に
主軸軸線方向に移動可能にかつ所望位置で固定可能に設
けられたベースと、該ベース上にワーク径方向に往復可
能に設けられた可動台と、該可動台に該可動台の移動に
よりワークの反工具側を当接支持するワーク支持部材
(振れ止めローラ)とを備える。
【0004】また別のワーク振れ止め装置として実開昭
63−151235号公報に開示されたものがあり、こ
れは以下の構成を有している。ワーク径方向に一定の空
気圧で付勢されてワークを支持し、かつ所望位置に固定
可能に設けたられたワーク支持部材と、上記ワークをワ
ーク支持部材側に押圧するクランプ部材とを備え、ワー
クの直径が変化してもワーク支持部材により自動的に一
定圧でワークを支持し、かつクランプ部材によりワーク
をワーク支持部材側に押圧してクランプする。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のワーク振れ止め装置では、ワーク支持部材をワークに
当接させた位置にてクランプする構造を採用しているこ
とから、加工中における支持位置の軸方向移動、及び加
工に伴うワーク径の変化には対応できない。
【0006】一方、上記ワーク径の変化に対応するため
に、ワーク支持部材をクランプすることなく支持するよ
うにした場合は、切削力に抗し得る大きな押圧力でワー
クを工具側に押圧しなければならない。しかしこのよう
な大きな押圧力でワークを押圧支持するように構成する
と、切削力が押圧力より小さいときには上記押圧力によ
ってワークが撓んで高精度加工ができない。また切削力
が押圧力より大きいときには加工時にびびりが生じるの
で、これを回避するために切削負荷が小さくなるように
切削条件(例えば送り速度等)を下げて加工せねばなら
ず、効率的な加工ができない等の不都合が生じる。
【0007】本考案は、以上のような従来の問題点を解
決するためになされたものであり、加工中にワーク径が
変わっても常にワークを一定の力で押圧付勢して当接保
持でき、また切削負荷が変化した場合にもワークを撓ま
せることがないとともにワーク径方向支持位置を維持し
て加工精度を高めることのできる工作機械のワーク振れ
止め装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の考案は、軸心
回りに回転可能に支持され、外周面に工具により切削加
工が施される軸状ワークの上記工具と反対側部分に当接
して該ワークを回転可能に支持する工作機械のワーク振
れ止め装置において、上記ワークの反工具側に当接して
該ワークを回転自在に支持するワーク支持部材と、該ワ
ーク支持部材に接続され上記ワークに対して径方向に近
接離反するよう進退自在に支持された作用軸と、上記ワ
ーク支持部材が上記ワークに当接するよう上記作用軸を
押圧付勢する押圧駆動手段と、上記作用軸の押圧方向の
移動は妨げることなく後退方向の移動は阻止するクラン
プ手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】請求項2の考案は、請求項1において、上
記クランプ手段が、楔作用をなす第1傾斜面を有し、上
記作用軸と平行な面内に配設されて軸心方向に移動自在
に支持されたクランプ軸と、該クランプ軸を往復駆動す
るクランプ軸駆動手段と、上記クランプ軸及び上記作用
軸と交差する方向に移動自在に支持され、一端に上記ク
ランプ軸の第1傾斜面と摺接する第1楔傾斜面を、他端
に上記作用軸に形成され楔作用をなす第2傾斜面と摺接
する第2楔傾斜面をそれぞれ有する楔軸とを備えている
ことを特徴としている。
【0010】
【作用】本考案に係る工作機械のワーク振れ止め装置で
は、ワークがセットされると押圧駆動手段が作用軸を押
圧方向に移動付勢し、ワーク支持部材がワークをこれに
一定の押圧力を作用させて支持する。またクランプ手段
が作用軸の押圧方向への移動は妨げることなく後退方向
への移動は阻止する。
【0011】そしてワーク支持位置が軸方向に移動した
り、加工が進行したりすることによってワーク径が小さ
くなった場合は、押圧駆動手段の付勢力により作用軸ひ
いてはワーク支持部材が押圧方向に移動し、ワーク径の
変化に対応できる。また押圧駆動手段による付勢力は所
定値に設定してあり、切削負荷が小さくなった場合でも
ワークを撓ませることはない。
【0012】また切削負荷が大きくなってワーク支持部
材ひいては作用軸に後退側の力が作用した場合にも、該
作用軸はクランプ手段によって後退動作が阻止されてワ
ーク支持位置に保持される。従って切削負荷の変動によ
ってワークが撓むことはなく、高精度加工が行われる。
【0013】請求項2の考案によれば、クランプ手段
を、クランプ軸の楔作用をなす第1傾斜面を楔軸の第1
楔傾斜面に摺接させ、該楔軸の第2楔傾斜面を作用軸の
楔作用をなす第2傾斜面に摺接させたので、作用軸から
楔軸に伝達される力を低減できるとともに、クランプ軸
から楔軸に伝達される力を増大することができる。その
ためクランプ軸駆動手段による小さな力を、楔軸ひいて
は作用軸に大きな保持力として作用させることができ、
従って瞬時の大きな切削力がワークを介してワーク支持
部材に作用した場合でも、作用軸はその位置に安定保持
される。
【0014】
【実施例】以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。図1ないし図4は本考案の一実施例による工
作機械のワーク振れ止め装置を説明するための図であ
り、図1は本実施例ワーク振れ止め装置の縦断面正面
図、図2は図1のII-II 線断面図、図3は本実施例のワ
ーク振れ止め装置を備えたNC旋盤の平面図、図4は図
3のIV-IV 線断面図である。
【0015】まず、全体構成を示す図3及び図4におい
て、30はNC旋盤であり、これはオペータ側(図3下
側)に向けて傾斜したスラントべッド31と、該ベッド
31上の左端部オペレータ側に載置固定された主軸台3
3と、上記スラントベッド31上の右端部オペレータ側
に、上記主軸台33と対向し、かつ主軸軸線方向に移動
可能に配設された心押し台36と、上記スラントベッド
31上の中央部反オペレータ側に、主軸軸線と平行に移
動可能に配設された刃物台38とを備えている。
【0016】上記主軸33は、複数の軸受により主軸3
2を回転可能に支持しており、該主軸32の先端にはチ
ャック34が装着されている。また上記心押し台36
は、心押し軸35を主軸軸線と同軸をなすように進退可
能かつ回転可能に軸支しており、該心押し軸35の先端
にはセンタ37が嵌着されている。上記刃物台38に
は、タレット39が主軸軸線と直交する平面内で旋回割
り出し可能に配設されている。該タレット39の外周に
は複数の工具取付ステーションが設けられており、該各
ステーションに取付られた任意の工具Tを切削位置に割
り出し可能になっている。
【0017】上記チャック34と上記センタ37との間
にワークWが支持され、主軸32を回転駆動することに
よりワークWが回転し、このワークWの外周面に上記割
り出された工具Tを切り込むことによって旋削加工が行
われる。
【0018】また上記スラントベッド31上の上記主軸
台33と心押し台36との間のオペレータ側にワーク振
れ止め装置1が配設されている。このワーク振れ止め装
置1は、上記スラントベッド31上に主軸軸線方向に移
動可能かつ位置決め可能に配設された移動台40と、該
移動台40に支持部材41を介して固着され、ワークW
を挟んで工具Tと対向するように配設された装置本体2
と、先端でワーク支持ローラ3を回転自在に支持し、上
記装置本体2にワーク径方向に進退自在に支持された作
用軸4と、該作用軸4をワーク押圧方向への移動は妨げ
ることなく後退方向への移動は阻止するクランプ機構
(クランプ手段)5とを備えている。
【0019】上記装置本体2は図1,図2に示すよう
に、厚板ブロック状のもので、該装置本体2には断面円
形でワーク側が開口するの作用軸孔2aと、断面円形で
ワーク側が閉塞されたクランプ軸孔2bとが平行に穿設
されており、さらに該両軸孔2a,2bを直角方向に連
通する断面円形の連通孔2cが穿設されている。また上
記装置本体2には、上記作用軸孔2a,クランプ軸孔2
bから反ワーク側に延びかつ同軸をなすようにシリンダ
ボア2d,2eが形成されている。
【0020】上記作用軸4は、丸軸形状の摺動軸部4d
の図示下端部に傾斜角度θ2の第2傾斜面4aを形成す
るとともに、該摺動軸部4dの下端面にこれより小径の
縮径部4bを延長形成し、上端にローラブラケット4c
を形成したものであり、上記作用軸孔2aに矢印A,B
方向に摺動自在挿入されている。またこの作用軸4は上
記第2傾斜面4aが上記連通孔2cに臨むようにスライ
ドキー10で回り止めされている。なお、2mはキー溝
である。
【0021】上記作用軸4の上端のローラブラケット4
cは先端側が開口する凹型のものであり、該ローラブラ
ケット4cにはワーク支持ローラ(ワーク支持部材)3
がワーク軸心CTと直角方向に配置された支持ピン6を
介して回転自在に支承されている。上記ワーク支持ロー
ラ3は摺動抵抗の低い材料(例えば樹脂)によって形成
されており、外周には全周に渡ってV溝3aが凹設され
ている。該ワーク振れ止め装置1の主軸軸線方向(図2
矢印C,D方向)の移動に対しては、ワーク支持ローラ
3が回転しながらワークを支持し、ワークの回転に対し
ては上記V溝3a内を摺動させながらワークを支持する
ようになっている。
【0022】また上記縮径部4bは上記シリンダボア2
d内に挿入されており、該挿入端部にはピストン11が
同軸をなすように固着されている。このピストン11は
上記シリンダボア2dに油密かつ摺動自在に挿入されて
おり、該シリンダボア2dの該ピストン11で画成され
た上側,下側油圧室2e,2fはそれぞれ装置本体2に
穿設された油路2g,2hを介して図示しない外部油圧
発生装置に接続されている。上記上側,下側油圧室2
e,2fに油圧を切換供給することにより作用軸4は矢
印B方向(後退方向),A方向(突出方向)に移動す
る。
【0023】ここで上記下側油圧室2fへの圧油の供給
により上記作用軸4が突出し、ワーク支持ローラ3がワ
ークWに当接して該ワークWを支持することとなるが、
このときの油圧はワークを撓ませない程度に、また切削
加工やワーク振れ止め装置1のワーク軸方向移動に伴っ
てワーク径が変化しても常時ワーク支持ローラ3がワー
クに一定の押圧力で当接するように設定されている。
【0024】上記クランプ機構5は、上記装置本体2の
クランプ軸孔2bに摺動自在に挿入されたクランプ軸7
と、上記連通孔2cに摺動自在に挿入された楔軸9とを
備えている。上記クランプ軸7は、丸軸形状の摺動軸部
7cの図示上端部側面に傾斜角θ1の第1傾斜面7aを
形成するとともに、下端面に縮径軸部7bを延長形成し
たものであり、上記クランプ軸孔2bに矢印A,B方向
に摺動自在に挿入されている。
【0025】また上記縮径軸部7bは上記シリンダボア
2e内に挿入されており、該挿入端部にはピストン8が
同軸をなすように固着されている。このピストン8は上
記シリンダボア2eに油密かつ摺動自在に挿入されてお
り、該シリンダボア2eの該ピストン8で画成された上
側,下側油圧室2i,2jはそれぞれ装置本体2に穿設
された油路2k,2lを介して図示しない外部油圧発生
装置に接続されている。上記上側,下側油圧室2k,2
lに油圧を切換供給することにより、クランプ軸7はア
ンクランプ方向,クランプ方向に移動する。なお、上記
クランプ軸7,作用軸4の駆動方法については、油圧駆
動に限らず他の作動流体、例えば空気圧で駆動するよう
にしてもよい。
【0026】上記楔軸9は、丸軸形状の棒体の図示右端
に上記クランプ軸7の第1傾斜面7aに摺接する第1楔
傾斜面9bを、左端に上記作用軸4の第2傾斜面4aに
摺接する第2楔傾斜面9aをそれぞれ形成したものであ
り、上記連通孔2c内に摺動自在に挿入されている。
【0027】ここで上記第1傾斜面7aとクランプ軸7
となす傾斜角度θ1は第1楔傾斜面9bと楔軸9とのな
す傾斜角度θ1′より格段に小さく設定されている。こ
れによりクランプ軸7の矢印A方向の力を楔軸9左方へ
の力に増大して伝達する楔作用がなされ、逆に楔軸9か
らの力はクランプ軸7下方への力に大きく減少して伝達
される。
【0028】また上記第2傾斜面4aと作用軸4とのな
す傾斜角度θ2は第2楔傾斜面9aと楔軸9とのなす傾
斜角度θ2′より格段に小さく設定されている。これに
より作用軸4は楔作用をなし、楔軸9からの力は作用軸
4上方への力に大きく減少して伝達される。
【0029】さらにまた、上記クランプ軸7の第1傾斜
面7aの傾斜角θ1は、作用軸4の第2傾斜面4aの傾
斜角θ2より大きく設定されている。これにより、クラ
ンプ軸7の移動量より作用軸4の移動量の方が大きくな
る。
【0030】次に本実施例の作用効果について説明す
る。ワーク非加工時においては、クランプ機構5はアン
クランプ状態にあり、ワーク支持ローラ3は非支持状態
にある。即ち、シリンダボア2eの上側油圧室2iに油
路2kを介して外部油圧供給装置より圧油が供給され、
ピストン8ひいてはクランプ軸7が図示下側のアンクラ
ンプ位置に移動し、後述する作用軸4の後退によって楔
軸9の第2楔傾斜面9aはクランプ軸7側に移動して連
通孔2c内に没入しており、作用軸4の後退方向の移動
を妨げることのないアンクランプ位置に位置している。
またシリンダボア2dの上側油圧室2e内に油路2gを
介して圧油が供給され、作用軸4ひいてはワーク支持ロ
ーラ3は楔軸9に移動が妨げられることなく非支持位置
に後退している。
【0031】次にワークが主軸32と心押し軸35との
間に支持されると、まずワークWの支持動作が行われ、
続いて作用軸4つまりワーク支持ローラ3の後退方向へ
の移動を阻止するクランプ動作が行われる。ワークWの
支持動作では、圧油がシリンダボア2dの下側油圧室2
fに油路2hを介して供給され、作用軸4が突出して先
端のワーク支持ローラ3のV溝3aがワークWの反工具
側部分に当接する。またワーク支持ローラ3のクランプ
動作では、圧油がシリンダボア2eの下側油圧室2jに
油路2lを介して供給され、ピストン8がクランプ軸7
とともに上昇し、該クランプ軸7の第1傾斜面7aが第
1楔傾斜面9bを押圧して楔軸9を作用軸4側に移動さ
せ、該楔軸9の第2楔傾斜面9aが作用軸4の第2傾斜
面4aを押圧して作用軸4の後退移動を阻止する。
【0032】ここで上記楔軸9の第2楔傾斜面9aが作
用軸4の第2傾斜面4aに圧接することにより作用軸4
を突出側に移動させる突出作用力が発生する。しかし第
2楔傾斜面9aの傾斜角度θ2′は第2傾斜面角度θ2
より格段に大きく設定されているので、上記突出作用力
は楔軸9の軸方向力に比較して極めて小さく、従ってワ
ーク支持ローラ3によるワーク押圧力は上記下側油圧室
2fに供給される圧油の圧力によってほとんど決定され
る。その結果、上記下側油圧室2fに供給される圧油の
圧力を適宜設定することにより、ワーク支持ローラ3に
よるワーク押圧力を適正値に調整でき、上記楔軸9から
の突出作用力によりワーク押圧力が過大になってワーク
が撓むことはない。
【0033】切削加工が開始され、ワーク支持ローラ3
ひいては作用軸4に後退方向の力が作用すると、この作
用力は楔軸9を介してクランプ軸7に作用する。この場
合、楔軸9の第1楔傾斜面9bの傾斜角度θ1′は第1
傾斜面7aの傾斜角度θ1より格段に大きいので、クラ
ンプ軸7を下端側に押圧する力は大幅に減少される。一
方、第1傾斜面7aの傾斜角度θ1は極めて小さいの
で、クランプ軸7から楔軸9の軸方向に作用する力は楔
作用によって大きく増大される。従ってクランプ軸7側
のシリンダボア2eの下側油圧室2jへの圧油圧力によ
って楔軸9ひいては作用軸4に非常に大きな保持力を作
用させることができる。その結果、瞬時の大きな切削力
がワークを介してワーク支持ローラ3に作用しても作用
軸4はその位置で安定保持される。
【0034】また上記クランプ機構5は作用軸4の後退
方向の移動のみを阻止するものであって、作用軸5の突
出方向の移動を妨げることはない。即ち、加工状態にお
いてワーク支持位置の軸方向移動によってワーク径が小
さくなった場合や加工によってワーク径が小さくなった
場合は、シリンダボア2dの下側油圧室2fへの圧油に
よって作用軸4が突出側に移動し、ワーク支持ローラ3
はワークWに常時当接した状態に維持される。また切削
力によりワークWを介して作用軸4に作用する力は作用
軸後退方向の力であるので、上述したように上記クラン
プ機構5が作用して常にワークWを安定保持することと
なる。
【0035】さらにまた、作用軸4の第2傾斜面4aの
傾斜角度θ2をクランプ軸7の第1傾斜面7aの傾斜角
度θ1より小さく設定したので、クランプ軸7の移動量
よりも作用軸4の移動量が大きくなり、その結果作用軸
4をワーク支持ローラ3によるワーク支持位置により確
実に保持できる。
【0036】なお、上記実施例では第2傾斜面4aの傾
斜角度θ2を第1傾斜面7aの傾斜角度θ1より小さく
設定したが、この両傾斜面の角度θ1,θ2を同じ大き
さに設定しても構わない。
【0037】また、上記実施例では旋削加工の場合を示
したが、ミーリング加工,フライス加工を行うこともで
きる。この場合は、工具を回転させながら刃物台をワー
ク軸方向に移動し、これに伴ってワーク振れ止め装置も
ワーク軸方向に移動し、常にワークの反工具側部分を支
持する。
【0038】また上記実施例ではワーク支持手段として
V溝を有するローラを使用し、ワーク振れ止め装置の軸
方向移動に対してローラを回転させながらワークを支持
し、またワークの回転に対してローラのV溝内で摺動さ
せながらワークを支持するV溝付きローラの場合につい
て述べたが、本考案のワーク支持部材はワークを回転支
持できるものであればどのようなものでもよい。例えば
ワーク軸心と平行に支持された円筒状の2つのローラを
ワーク外周に当接させて回転支持するようにしてもよ
い。
【0039】
【考案の効果】以上のように本考案に係る工作機械のワ
ーク振れ止め装置によれば、ワーク支持部材が接続され
た作用軸をワーク押圧方向に付勢支持し、該作用軸を押
圧方向の移動は妨げることなく後退方向の移動は阻止す
るクランプ手段を設けたので、ワークの軸方向支持位置
が移動してワークの径方向支持位置が中心側に変化した
り、ワーク径が加工により小さくなってワークの径方向
支持位置が中心側に変化した場合においてもワーク支持
部材をワークに常に当接させることができ、軸方向支持
位置,ワーク径の変化に対応できる効果がある。
【0040】また切削負荷が大きくなって作用軸に後退
側の力が作用した場合にも、クランプ手段によって作用
軸の後退動作を阻止して作用軸をワーク支持位置に保持
でき、加工精度を向上できる効果がある。
【0041】請求項2の考案によれば、クランプ手段
を、クランプ軸の第1傾斜面,楔軸の第1,第2楔傾斜
面、及び作用軸の第2傾斜面により構成したので、作用
軸からクランプ軸に伝達される力を低減できるととも
に、クランプ軸から楔軸に伝達される力を増大すること
ができ、従ってクランプ軸駆動手段による小さな力を、
楔軸ひいては作用軸に大きな保持力として作用させるこ
とができ、その結果大きな切削力がワークを介してワー
ク支持部材に作用した場合でも作用軸をその位置に安定
保持でき、加工精度を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例による工作機械のワーク振れ
止め装置の縦断面正面図である。
【図2】図1のII-II 線断面図である。
【図3】上記実施例のワーク振れ止め装置を備えたNC
旋盤の平面図である。
【図4】図3のIV-IV 線断面図である。
【符号の説明】
1 ワーク振れ止め装置 2d,11 シリンダボア,ピストン(押圧駆動手段) 2j,8 シリンダボア,ピストン(クランプ軸駆動手
段) 3 ワーク支持ローラ(ワーク支持部材) 4 作用軸 4a 第2傾斜面 5 クランプ機構(クランプ手段) 7 クランプ軸 7a 第1傾斜面 9 楔軸 9a,9b 第2,第1楔傾斜面 30 マシニングセンタ(工作機械) T 工具 W ワーク

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸心回りに回転可能に支持され、外周面
    に工具により切削加工が施される軸状ワークの上記工具
    と反対側部分に当接して該ワークを回転可能に支持する
    工作機械のワーク振れ止め装置において、上記ワークの
    反工具側に当接して該ワークを回転自在に支持するワー
    ク支持部材と、該ワーク支持部材に接続され上記ワーク
    に対して径方向に近接離反するよう進退自在に支持され
    た作用軸と、上記ワーク支持部材が上記ワークに当接す
    るよう上記作用軸を押圧付勢する押圧駆動手段と、上記
    作用軸の押圧方向の移動は妨げることなく後退方向の移
    動は阻止するクランプ手段とを備えたことを特徴とする
    工作機械の振れ止め装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記クランプ手段
    が、先端部に楔作用をなす第1傾斜面を有し、上記作用
    軸と平行な面内に配設されて軸心方向に移動自在に支持
    されたクランプ軸と、該クランプ軸を往復駆動するクラ
    ンプ軸駆動手段と、上記クランプ軸及び上記作用軸と交
    差する方向に移動自在に支持され、一端に上記クランプ
    軸の第1傾斜面と摺接する第1楔傾斜面を、他端に上記
    作用軸に形成され楔作用をなす第2傾斜面と摺接する第
    2楔傾斜面をそれぞれ有する楔軸とを備えていることを
    特徴とする工作機械のワーク振れ止め装置。
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